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明細書 :イオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒、及びその使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5142178号 (P5142178)
公開番号 特開2007-237117 (P2007-237117A)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
発行日 平成25年2月13日(2013.2.13)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 イオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒、及びその使用
国際特許分類 B01J  31/12        (2006.01)
C07C  29/40        (2006.01)
C07C  33/30        (2006.01)
C07C 221/00        (2006.01)
C07C 225/18        (2006.01)
C07C 327/22        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/12 Z
C07C 29/40
C07C 33/30
C07C 221/00
C07C 225/18
C07C 327/22
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 17
全頁数 14
出願番号 特願2006-066030 (P2006-066030)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
審査請求日 平成21年1月13日(2009.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】森 雄一朗
【氏名】ヤンロン グー
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】安齋 美佐子
参考文献・文献 特表2003-512926(JP,A)
特開2001-137710(JP,A)
国際公開第2005/028446(WO,A1)
特開2004-243247(JP,A)
C.DECASTRO,et al,Immobilised Ionic Liquids as Lewis Acid Catalysts for the Alkylation of Aromatic Compounds with Dodecene,Journal of Catalysis,2000年,vol.196,p.86-94
Hisahiro HAGIWARA,et al,Sustainable Mizoroki-Heck reaction in water:remarkably high activity of Pd(OAc)2 immobilized on reversed phase silica gel with the aid of an ionic liquid,Chem. Commun.,2005年,p.2942-2944
調査した分野 B01J 21/00-38/74
C07C 29/40
C07C 33/30
C07C 221/00
C07C 225/18
C07C 327/22
C07B 61/00
B01J 31/12
C07C 29/40
C07C 33/30
C07C 221/00
C07C 225/18
C07C 327/22
C07B 61/00
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒であり、
前記ルイス酸が次の一般式
MXn
(式中、Mは希土類金属又はビスマスを示し、XはR-COO、R-SO、R-OSO、R-OPO2-、R-(フェニル)Oを示し、Rは1個又はそれ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基を示し、nはMの原子価に対応する整数を示す。)
で表わされるルイス酸であり、
ルイス酸をその表面に担持する固体が金属酸化物、活性炭、合成有機高分子又はガラスであり、
前記化学結合がイオン結合である、
固定化ルイス酸触媒。
【請求項2】
イオン性液体が疎水性のイオン性液体である請求項1に記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項3】
イオン性液体が、陽イオンとしてイミダゾリウム、ピリジニウム、4級アンモニウム又は4級ホスホニウムのいずれかを含むイオン性液体である請求項1又は2に記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項4】
イオン性液体が、陰イオンとしてハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスホネート又はビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)イオンのいずれかを含むイオン性液体である請求項1~3のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項5】
イオン性液体が、イミダゾリウム塩である請求項1~4のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項6】
イオン性液体が、イミダゾリウム塩であり、該イミダゾリウム塩のイミダゾール環にある2つの窒素原子の少なくとも1つに炭素数が6以上の炭化水素基が結合してなるイオン性液体である請求項1~5のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項7】
ルイス酸が、希土類金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はビスマスのトリフルオロメタンスルホン酸塩である請求項1~6のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項8】
希土類金属が、スカンジウム、イットリウム又はイッテルビウムのいずれかである請求項7に記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項9】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲル、架橋ポリスチレン、架橋ポリエチレン又は架橋パーフルオロポリエチレンのいずれかである請求項1~8のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項10】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルである請求項1~9のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項11】
ルイス酸が、固体の表面上に直接あるいは低分子有機化合物を介して結合したスルホン酸基又はスルホンアミド基と化学結合した、請求項1~10のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項12】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルであり、該シリカゲルが低分子有機化合物とシロキサン結合(Si-O-Si)を介して結合し、該低分子有機化合物がさらにスルホン酸基を有し、ルイス酸が該スルホン酸基と化学結合した請求項1~11のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【請求項13】
固体の表面上に化学結合でルイス酸が担持固定化された固定化ルイス酸を、有機溶媒に溶解した疎水性のイオン性液体の溶液に混合し、次いで有機溶媒を除去することからなる請求項1~12のいずれかに記載のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸を製造する方法。
【請求項14】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、請求項1~12のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の使用。
【請求項15】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である請求項14に記載の使用。
【請求項16】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、請求項1~12のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の存在下で、水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応により化学物質を製造する方法。
【請求項17】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である請求項16に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒、並びにその使用及びそれを用いた化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業に於いて、コスト、安全性、環境負荷の低減などを目的とした反応溶媒の有機溶媒から水中への転換が盛んに検討されてきた。しかしながら、反応基質や触媒の溶解性、或いは安定性などの問題により、転換に成功した例は少ない。近年、本発明者らは水中でも安定なルイス酸触媒、次いで界面活性剤一体型ルイス酸触媒の開発に成功し(特許文献1参照)、水中での合成反応の可能性を大きく広げた(非特許文献1参照)。また、本発明者らは生成物からの触媒の単離や回収・再使用を容易にする目的で、触媒の不溶性担体への固定化を検討し、疎水性高分子担体に結合した水中で安定なルイス酸触媒が、水中に於いて、種々の反応を有機溶媒中よりも加速することも見出している(非特許文献2、特許文献2、及び特許文献3参照)。しかしながら、有機高分子に担持したルイス酸触媒は調製が比較的難しく高価であるという問題がある。
【0003】
一方、近年イオン性液体が新しい反応場として注目され(非特許文献3及び4参照)、最近では多孔質担体の表面にイオン性液体を担持し、イオン性液体相を固定化触媒とした、溶液や気体との2相系反応が開発されている(非特許文献5参照)。また、Pd/C触媒を用いたHeck反応をイオン性液体中で行う方法(特許文献4参照)や、プロリンを触媒としたアルドール反応をイオン性液体の存在下に行い、触媒や溶媒を回収して再使用する方法(特許文献5参照)、さらには、パラフィン系炭化水素を異性化や高オクタン価ガソリンの製造においてイオン性液体を触媒とする方法(特許文献6及び7参照)なども報告されている。このようにイオン性液体は反応の溶媒や触媒として広く利用されている。また、イオン性液体の陽イオンまたは陰イオンのどちらかを固定した固定化イオン性液体(特許文献8参照)、チタン、ニオブ、タンタル、錫またはアンチモンをベースにしたルイス酸からイオン性液体を製造する方法(特許文献9参照)などのようにイオン性液体自体についても多数の改良が加えられてきている。さらに、酵素をイオン性液体でコーティングし、これを酵素反応に使用する方法(特許文献10参照)や、イオン性液体を液体マトリックスとして均一相での有機反応に使用する方法(特許文献11参照)なども報告されている。
しかしながら、これまでにイオン性液体相を水溶液中における反応の疎水場として活用した例は知られていない。
【0004】

【特許文献1】特開平11-244705号公報
【特許文献2】特開2001-137710号公報
【特許文献3】特開2005-254115号公報
【特許文献4】特開2002-265394号公報
【特許文献5】特開2002-275118号公報
【特許文献6】特開2004-269846号公報
【特許文献7】特開2005-314500号公報
【特許文献8】特表2003-512926合公報
【特許文献9】特開2003-535054号公報
【特許文献10】特開2005-514033号公報
【特許文献11】特開2006-500418号公報
【非特許文献1】Kobayashi,S.,Eur. J. Org. Chem., 1999,15.
【非特許文献2】Iimura,S.; Manabe,K.; Kobayashi,S.,Tetrahedron,2004,60,7673.
【非特許文献3】Welton T.,et al.,Chem. Reviews,1999,99,2071-2083
【非特許文献4】Wasserscheid P,et al.,Angewadte Chemie International Edition,2000,39(21),3772-3787
【非特許文献5】Gruttadauria,M.; Riela,S.; Aprile,C.; Meo,P. L.; D’Anna,F. and Noto,R.,Adv. Synth. Catal.,2006,348,82.
【非特許文献6】Jones,C. W.; Tsuji,K; Davis,M. E.,Nature,1998,393,52.
【非特許文献7】Huddleston,J. G.; Visser,A. E.; Reichert,W. M.; Willauer,H. D.; Broker,G. A.; Rogers,R. D.,Green Chem. 2001,3,156.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水溶液中で高い触媒活性を有し、回収・再使用、或いは長期間の連続使用が可能な新規な固定化ルイス酸触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、水中でも安定なルイス酸触媒を開発し、水中での合成反応の可能性を大きく広げた(非特許文献1参照)。また、本発明者らは生成物からの触媒の単離や回収・再使用を容易にする目的で、触媒の不溶性担体への固定化を検討し、疎水性高分子担体に結合した水中で安定なルイス酸触媒が、水中に於いて、種々の反応を有機溶媒中よりも加速することも見出している(非特許文献2、特許文献2、及び特許文献3参照)。しかしながら、有機高分子に担持したルイス酸触媒は調製が比較的難しく高価であるという問題があり、検討を続けた結果、固定化ルイス酸触媒を疎水性のイオン性液体で被覆することにより、水中に於いて、触媒活性を損なうこと無く、しかも再使用可能なルイス酸触媒を得ることができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒、より詳細には、水中でも安定なルイス酸をシリカゲルや有機高分子などの固体表面上に化学結合で担持し、かつ当該固体表面及びルイス酸の周囲の全部又は一部を疎水性のイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒に関する。
また、本発明は、固体の表面上に化学結合でルイス酸が担持固定化された固定化ルイス酸を、有機溶媒に溶解したイオン性液体の溶液に混合し、次いで有機溶媒を除去することからなるイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸を製造する方法、より詳細には、疎水性の固体の表面上に化学結合で水中でも安定なルイス酸が担持固定化された固定化ルイス酸を、有機溶媒に溶解した疎水性のイオン性液体の溶液に混合し、次いで有機溶媒を除去することからなるイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、前記した本発明のイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒の使用、及びそれを用いた化学反応による化学品の製造方法に関する。
【0008】
本発明をより詳細にすれば、次のとおりとなる。
(1)ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒。
(2)イオン性液体が疎水性のイオン性液体である前記(1)に記載の固定化ルイス酸触媒。
(3)イオン性液体が、陽イオンとしてイミダゾリウム、ピリジニウム、4級アンモニウム又は4級ホスホニウムのいずれかを含むイオン性液体である前記(1)又は(2)に記載の固定化ルイス酸触媒。
(4)イオン性液体が、陰イオンとしてハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスホネート又はビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)イオンのいずれかを含むイオン性液体である前記(1)~(3)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(5)イオン性液体が、イミダゾリウム塩である前記(1)~(4)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(6)イオン性液体が、イミダゾリウム塩であり、該イミダゾリウム塩のイミダゾール環にある2つの窒素原子の少なくとも1つに炭素数が6以上の炭化水素基が結合してなるイオン性液体である前記(1)~(5)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(7)ルイス酸が、水中でも安定なルイス酸である前記(1)~(6)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(8)ルイス酸が、希土類金属塩又はビスマス塩である前記(1)~(7)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(9)ルイス酸が、希土類金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はビスマスのトリフルオロメタンスルホン酸塩である前記(1)~(8)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(10)希土類金属が、スカンジウム、イットリウム又はイッテルビウムのいずれかである前記(9)に記載の固定化ルイス酸触媒。
(11)ルイス酸をその表面に担持する固体が金属酸化物、活性炭、合成有機高分子又はガラスのいずれかである前記(1)~(10)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(12)ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲル、架橋ポリスチレン、架橋ポリエチレン又は架橋パーフルオロポリエチレンのいずれかである前記(1)~(11)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(13)ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルである前記(1)~(12)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(14)ルイス酸が、固体の表面上に直接あるいは低分子有機化合物を介して結合したスルホン酸基又はスルホンアミド基と化学結合した、前記(1)~(13)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
(15)ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルであり、該シリカゲルが低分子有機化合物とシロキサン結合(Si-O-Si)を介して結合し、該低分子有機化合物がさらにスルホン酸基を有し、ルイス酸が該スルホン酸基と化学結合した前記(1)~(14)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。
【0009】
(16)固体の表面上に化学結合で水中でも安定なルイス酸が担持固定化された固定化ルイス酸を、有機溶媒に溶解した疎水性のイオン性液体の溶液に混合し、次いで有機溶媒を除去することからなるイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸を製造する方法。
(17)ルイス酸が、希土類金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はビスマスのトリフルオロメタンスルホン酸塩である前記(16)に記載の方法。
(18)水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、前記(1)~(15)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の使用。
(19)水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である前記(18)に記載の使用。
(20)水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、前記(1)~(15)のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の存在下で、水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応により化学物質を製造する方法。
(21)水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である前記(20)に記載の方法。
【0010】
本発明の、水中でも安定なルイス酸が固体の表面上に担持された固定化ルイス酸としては、固体の表面に直接またはスペーサーのような官能基を有する基を介してルイス酸が結合したものであればよい。
本発明のルイス酸としては、Al、B、Ti、Zr、Sn、Zn、Ga、Bi、Sb、Cd、V、Mo、W、Mn、Fe、Cu、Co、Pb、Ni、Hf、Ag、希土類金属等の塩などからなる金属ルイス酸のような通常のルイス酸でもよいが、水中での反応を意図する場合には水中でも安定なルイス酸が好ましい。このような水中でも安定なルイス酸としては、次の一般式、
MXn
(式中、Mは希土類金属又はビスマスを示し、Xは陰イオンを示し、nはMの原子価に対応する整数を示す。)
で表わされるルイス酸が挙げられる。希土類金属としては、例えば、Sc、Yb、Sm、Y、Nd等の元素からなる希土類元素の群から選択されたものが好ましく、特にScが好ましい。したがって、本発明におけるルイス酸の金属元素としては、Sc、Yb、Sm、Y、Nd、及びBiからなる群から選択された金属元素、特にSc又はBiが好ましい。陰イオンとしては、例えば、R-COO、R-SO、R-OSO、R-OPO2-、R-(フェニル)O(式中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)などの陰イオンが挙げられるが、なかでもR-SSOが好ましい。また、好ましいR基としては、1個又はそれ以上の水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数1~8、好ましくは1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、又はフェニル基などが挙げられる。本発明における好ましい陰イオンとしては、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオンが挙げられる。特に好ましい陰イオンとしてはトリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSSO(OTf))が挙げられる。
本発明における好ましいルイス酸の具体例としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、イッテルビウム、ビスマスなどのトリフルオロメタンスルホン酸塩などが挙げられる。特に好ましいルイス酸としては、スカンジウム又はビスマスのトリフルオロメタンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0011】
本発明におけるルイス酸を担持するための固体としては、水中で安定であり、水に不溶性で固体表面に化学結合可能な官能基を有するものであれば特に制限はなく、金属酸化物、活性炭、合成有機高分子、ガラスなどの各種の材料を使用することができる。本発明の好ましい固体としては、シリカゲル、架橋ポリスチレン、架橋ポリエチレン、架橋パーフルオロポリエチレンなどをあげることができる。
本発明における固体に前記したルイス酸を固定する方法としては、共有結合、イオン結合、配位結合などの化学結合による方法であれば特に制限はない。固体の表面に直接ルイス酸を結合させてもよいが、適当な低分子有機化合物からなるスペーサー基を介して結合させる方法が好ましい。適当な低分子有機化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。このような低分子有機化合物を固体の表面の官能基と反応させて化学結合を形成させることができる。例えば、固体としてポリスチレンや、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体のようなベンゼン環を有する固体を用いる場合には、フリーデル-クラフツ反応のような親電子置換反応により、これらの重合体のベンゼン環中に低分子有機化合物を結合させることができる。このような場合の具体的な例示としては、特許文献1及び2を参照されたい。ここで、特許文献1及び2の記載を参照して本明細書に取り込む。
また、固体として、シリカゲルを用いる場合には、シリカゲルの表面のシラノール基と化学結合を形成させることができる。例えば、アルキル又はアリールトリアルコキシシランのようなシリル化合物を用いることにより、シリカゲルの表面にSi-O-Si-アルキル又はアリール結合を形成させることができる。
また、このようなスペーサーとしての低分子有機化合物と本発明のルイス酸との結合は、低分子有機化合物が有している酸性基とのイオン結合として結合させることができる。例えば、低分子有機化合物が有している酸性基がスルホン酸基である場合には、これを塩基で中和した後、本発明のルイス酸と混合することにより、結合させることができる。
これらの方法は、適当な有機溶媒中で行うことができる。
固体に対するルイス酸の固定化量としては、特に制限はないが、通常は固体1gに対して、ルイス酸0.01mmol~1mmol、好ましくは0.05mmol~0.5mmolが挙げられる。
【0012】
本発明におけるイオン性液体としては、有機カチオン種とアニオン種とから構成される塩であり、通常の塩に比べて融点が低く、融点150℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは0℃で液体状態を保つ化合物が挙げられる。このようなイオン性液体としては、例えばアルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第三級スルホニウム塩等が挙げられ、本発明のイオン性液体としては、アルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩、第四級アンモニウム塩が好ましく、なかでもアルキル置換イミダゾリウム塩が好ましい。
本発明のイオン性液体の有機カチオン種としては、イミダゾール環の2つの窒素原子が同一又は相異なるアルキル基と結合したイミダゾリウムカチオン、ピリジン環上の窒素原子がアルキル基と結合したピリジニウムカチオン、同一または相異なる4つのアルキル基が窒素原子に結合したアンモニウムカチオン、同一または相異なる4つのアルキル基がリン原子に結合したホスホニウムカチオン、同一または相異なる3つのアルキル基がイオウ原子に結合したスルホニウムカチオンなどが挙げられる。本発明のイオン性液体として好ましいカチオン種としては、イミダゾール環の2つの窒素原子が、同一又は相異なるアルキル基と結合したイミダゾリウムカチオン、ピリジン環上の窒素原子がアルキル基と結合したピリジニウムカチオン、同一または相異なる4つのアルキル基が窒素原子に結合したアンモニウムカチオンなどが挙げられ、より好ましいカチオン種としては、イミダゾール環の2つの窒素原子が、同一又は相異なるアルキル基と結合したイミダゾリウムカチオンが挙げられる。
これらのカチオン種におけるアルキル基としては、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、好ましくは1~10の直鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-デシル基などが挙げられる。
【0013】
本発明のイオン性液体のアニオン種としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、アルカンスルホネートアニオン、パーフルオロアルカンスルホネートアニオンなどが挙げられる。
本発明のイオン性液体は、これらのアニオン種と前記したカチオン種を適宜組み合わせてなるものである。例えば、イミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、イミダゾリウムテトラフルオロボレート、塩化イミダゾリウム、臭化イミダゾリウム、ヨウ化イミダゾリウム、イミダゾリウムアルカンスルホネート;ピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、ピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ピリジニウムテトラフルオロボレート、塩化ピリジニウム、臭化ピリジニウム、ヨウ化ピリジニウム、ピリジニウムアルカンスルホネート;アンモニウムヘキサフルオロアンチモネート、アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、アンモニウムテトラフルオロボレート、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、アンモニウムアルカンスルホネート;ホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ホスホニウムテトラフルオロボレート、塩化ホスホニウム、臭化ホスホニウム、ヨウ化ホスホニウム、ホスホニウムアルカンスルホネートなどが挙げられる。
【0014】
本発明の前記してきたイオン性液体は、公知の方法により製造することもできるし、市販されているものを使用してもよい。また、非特許文献7に記載の方法に準じて製造することもできる。
本発明の被覆方法としては、イオン性液体を有機溶媒に溶解し、この溶液と前記してきた本発明の固定化ルイス酸触媒を混合し、次いで有機溶媒を除去することにより製造することができる。
この方法における有機溶媒としては、揮発性で、イオン性液体を溶解することができるものであれば特に制限は無く、例えば、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメトキシエタン、THFなどのエーテル系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
これらの有機溶媒にイオン性液体を溶解し、これに本発明の固定化ルイス酸触媒を添加して混合し、攪拌する。この操作は通常は室温で行われるが、適宜冷却してもよいし、また加熱してもよい。使用するイオン性液体の量としては、質量で本発明の固定化ルイス酸触媒に対して、10~200質量%、好ましくは10~100質量%、10~80質量%、30~100質量%、又は30~80質量%が挙げられる。これらを十分混合した後、有機溶媒を除去する。有機溶媒を除去する方法としては、常圧、又は減圧で留去して行われる。有機溶媒が完全に留去され後、乾固した本発明の固定化ルイス酸触媒が得られる。得られた本発明の固定化ルイス酸触媒は添加したイオン性液体で被覆されている。余分のイオン性液体、即ち、被覆に使用されていないイオン性液体が存在している場合には、過剰のイオン性液体をふるい落とすことにより、本発明の被覆された固定化ルイス酸触媒を得ることができる。
【0015】
本発明のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒は、不均一系反応においてルイス酸としての触媒活性を有しているだけでなく、触媒の回収率がよく、しかも再使用することができるものである。仮に固定化ルイス酸触媒が高価であったとしても繰り返しの使用が可能であり、実用的な触媒として使用することができる。
本発明のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒を使用する反応では、イオン性液体を溶解しないものであれば溶媒に特に制約はないが、水、又は含水有機溶媒が特に適している。
また、本発明は、本発明のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒の、各種の化学反応のルイス酸触媒としての使用を提供するものである。
このような化学反応としては、例えば、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、マイケル反応などが挙げられる。
さらに、本発明は、本発明のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒を用いて各種の化学反応により化学物質を製造する方法を提供するものである。本発明のこの方法は、例えば、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、マイケル反応などに適用することができ、本発明はこれらの反応により製造され得る化学物質の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、製造が困難であり高価であった固定化ルイス酸触媒をイオン性液体で被覆することにより、使用後の回収が容易で、各種の化学反応において繰り返し使用することが可能な、実用的な固定化ルイス触媒を提供するものである。そして、本発明のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒は、ルイス酸触媒の存在下で進行する各種の化学反応に適用することができ、水に対して安定で、水又は含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒反応に有効であることから、環境にやさしい化学反応を行うことを可能にする。
【0017】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
これらの実施例では、シリカゲルはDavisilTM 643 を使用した。水は蒸留水を脱気して使用し、反応はアルゴン中で行った。ケイ素エノラートは文献に従い合成した(非特許文献6参照)。イオン性液体は既知の方法に従って合成した(非特許文献7参照)。その他の試薬に関しては市販品を購入し必要に応じて精製して使用した。
【0018】
製造例1:スカンジウムのシリカゲルへの固定
次に示す反応式にしたがってシリカゲルへスカンジウムを固定した。
【0019】
【化1】
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【0020】
(クロロスルホニルフェニル)エチルトリエトキシシラン(5g)をシリカゲル(6.2g)と共にトルエン(30ml)中で24時間還流した。不溶物を濾集しトルエンで洗浄後、溶媒を減圧留去し、続いて2M硫酸水溶液中で、80℃で12時間処理した。不溶物を濾集し、減圧乾燥したところスルホン酸基が結合したシリカゲルが6.2g得られた。このシリカゲル1gにはスルホン酸基が0.57ミリモル導入されていた。このもの(6.2g)を1Mの食塩水(200ml)に懸濁させ、0.1M水酸化ナトリウム溶液を滴下して中和した。反応物を濾過し、不溶物を水で洗浄した後、減圧乾燥した。得られたアリールスルホン酸ナトリウムを固定したシリカゲル(0.52g)及びスカンジウムトリフラート(68.5mg)をエタノール(6.2ml)に加え、20時間還流した。反応物を濾過し、不溶物をエタノールで洗浄後、減圧乾燥してアリールスルホン酸を介してビス(トリフルオロメタンスルホン酸)スカンジウムが結合したシリカゲルを得た。収量0.52g、スカンジウム導入量は0.28mmol/gであった。
【0021】
シリカゲル上のアリールスルホン酸ナトリウムに対するスカンジウムトリフラートの比率を次の表1に示されるように変えて、前記した製造例1と同様に処理した。この結果、スカンジウムトリフラートの導入率の異なったスカンジウム担持シリカゲルを製造した。
添加したスカンジウムトリフラートの比率(ナトリウム塩に対する比率)と、生成したスカンジウム担持シリカゲルにおけるスカンジウムの導入率を次の表1に示す。また、この結果をまとめてグラフした図を図1に示す。図1の横軸は添加したスカンジウムトリフラートの比率(ナトリウム塩に対する比率)を示し、縦軸はスカンジウム担持シリカゲルにおけるスカンジウムの導入率(比率)を示す。
【0022】
【表1】
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【0023】
製造例2:ビスマスのシリカゲルへの固定
製造例1におけるスカンジウムトリフラートに代えてビスマストリフラート(0.33mmol)と、アリールスルホン酸ナトリウムを固定したシリカゲルの使用量を0.58g)とした以外は、製造例1と同様の操作を行い、ビスマスが結合したシリカゲルを得た。収量0.58g、ビスマスの導入量は0.25mmol/gであった。
【実施例1】
【0024】
スカンジウム担持シリカゲル表面のイオン性液体による被覆
室温で、製造例1で調製したスカンジウム担持シリカゲル(50mg)と、1-ブチル-3-デシルイミダゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート(25mg)の酢酸エチル溶液(0.25ml)とを10分間混合した。酢酸エチルを減圧留去し、さらに20分間減圧乾燥したところ、イオン性液体で被覆されたシリカゲル担持スカンジウム触媒をさらさらの粉末として得た。収量65mg。スカンジウムの担持量は0.21mmol/gであった。
【実施例2】
【0025】
ビスマス担持シリカゲル表面のイオン性液体による被覆
実施例1のスカンジウム担持シリカゲルに代えて製造例2で調製したビスマス担持シリカゲルを用い、実施例1と同様の操作を行ったところ、イオン性液体で被覆されたシリカゲル担持ビスマス触媒を得た。収量75mg。ビスマスの担持量は、0.17mmol/gであった。
【実施例3】
【0026】
イオン性液体で被覆されたシリカゲル担持スカンジウム触媒を用いる次の反応式、
【0027】
【化2】
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【0028】
で表される向山アルドール反応
実施例1で製造したスカンジウム担持シリカゲル(65mg)に水(0.25ml)を加え、攪拌しながらベンズアルデヒド(0.25mmol)と1-エチルチオ-1-トリメチルシロキシ-2-メチル-1-プロペン(0.38mmol)を続けて加え、15℃で24時間攪拌した。ヘキサンによるデカンテーション法で4回抽出し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製して目的物である3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3-フェニルチオプロピオネートを無色油状として得た。収率97%。
H NMR (CDCl) δ ;
1.12 (3H,s),1.22 (3H,s),1.26 (3H,t,J = 7.4 Hz),
2.89 (2H,q,J = 7.4 Hz),2.96 (1H,brs),4.94 (1H,s),
7.27-7.35 (5H,m);
13C NMR (CDCl) δ ;
14.4,19.0,23.3,23.7,54.3,78.9,127.78,127.80,139.9,208.0.
回収したスカンジウム担持シリカゲルを用いて同様の反応を行い、同じ目的物を収率95%で得た。
【実施例4】
【0029】
イオン性液体で被覆されたシリカゲル担持ビスマス触媒を用いる向山アルドール反応
スカンジウム担持シリカゲルに代えて、実施例2で製造したビスマス担持シリカゲル(50mg)を用いて、実施例3と同様の操作を行い3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3-フェニルチオプロピオネートを得た。収率84%。
【実施例5】
【0030】
イオン性流体で被覆されたシリカゲル担持スカンジウム触媒を用いた次の反応式
【0031】
【化3】
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【0032】
で表される3成分マンニッヒ型反応
実施例1で製造したスカンジウム担持シリカゲル(75mg)に水(0.25ml)を加え、攪拌しながらベンズアルデヒド(0.125mmol)、o-アニシジン(0.125mmol)及び1-シクロヘキセニルオキシトリメチルシラン(0.25mmol)を続けて加え、室温で24時間攪拌した。酢酸エチル-ヘキサン(1:1)混合物によるデカンテーション法で4回抽出し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製して目的物である2-(フェニル-N-(2-メトキシフェニル)アミノメチル)シクロヘキサノンをシン/アンチ比53/47で得た。収率92%。
H NMR(CDCl) δ;
1.55-2.10 (m,6H), 2.24-2.44 (m,2H),2.76-2.81 (m,1H),3.84 (s,3H),
4.70 (minor,d,1H,J = 7.6 Hz),4.87 (d,major,1H,J = 4.4 Hz),
4.80-5.20 (brs,1H),6.38-6.79 (m,4H), 7.16-7.39 (m,5H);
13C NMR(CDCl) δ;
23.6,24.8,27.0,27.8,28.4,30.9,41.6,42.0,42.3,53.70,55.4,
55.5,56.4,57.0,57.3,57.5,109.3,109.4,110.4,110.9,111.4,
115.0,116.6,118.4,121.0,121.1,126.9,127.1,127.3,128.3,128.4,
128.9,137.0,137.3,141.7,142,0,147.1,210.7,212.2.
【実施例6】
【0033】
イオン性流体で被覆されたシリカゲル担持スカンジウム触媒を用いた次の反応式
【0034】
【化4】
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【0035】
で表されるアリル化反応
1-ブチル-3-デシルピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート(25mg)に代えて1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート(25mg)を用い、実施例1と同様の方法によりイオン性液体で被覆されたシリカゲル担持スカンジウム触媒を得た。収量75mg。スカンジウムの担持量は、0.23mmol/gであった。
このスカンジウム担持シリカゲル(75mg)に水(0.25ml)を加え、攪拌しながら4-フェニル-2-ブタノン(0.25mmol)とテトラアリルスズ(0.125mmol)を続けて加え、40℃ で24時間攪拌した。室温に戻した後、ヘキサンによるデカンテーション法で4回抽出し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製して目的物である1-フェニル-3-ブテン-1-オールを得た。収率98%。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、水中で安定で、回収率がよく、再使用可能なイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒を提供するものであり、ルイス酸としての活性を維持しているだけでなく、繰り返し使用が可能であり、実用的なルイス酸触媒を提供するものである。しかも、溶媒として水を使用する化学反応に使用することもできるので、廃液が不要な工業化が可能となり、各種の化学産業に有用である。
したがって、本発明は、化学産業、特に有機合成産業や医薬品産業、農薬産業などの有機化合物に関する各種の産業において産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明のイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒において、ルイス酸としてスカンジウムトリフラートを用いた場合の添加したスカンジウムトリフラートの比率(ナトリウム塩に対する比率)(横軸)と、スカンジウム担持シリカゲルにおけるスカンジウムの導入率(比率)(縦軸)とをグラフ化して示したものである。
図面
【図1】
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