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明細書 :超伝導化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5196339号 (P5196339)
公開番号 特開2007-320829 (P2007-320829A)
登録日 平成25年2月15日(2013.2.15)
発行日 平成25年5月15日(2013.5.15)
公開日 平成19年12月13日(2007.12.13)
発明の名称または考案の名称 超伝導化合物及びその製造方法
国際特許分類 C01G   1/00        (2006.01)
H01L  39/24        (2006.01)
C01B  25/08        (2006.01)
C01G  49/00        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
H01B  12/06        (2006.01)
FI C01G 1/00 ZAAS
H01L 39/24 C
C01B 25/08 G
C01G 49/00 A
H01B 13/00 565Z
H01B 12/06
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2006-155255 (P2006-155255)
出願日 平成18年6月2日(2006.6.2)
審査請求日 平成20年8月29日(2008.8.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】細野 秀雄
【氏名】神原 陽一
【氏名】平野 正浩
【氏名】神谷 利夫
【氏名】菅沼 健太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100108671、【弁理士】、【氏名又は名称】西 義之
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開平01-119518(JP,A)
特開平01-290525(JP,A)
特開平01-119514(JP,A)
P.QUEBE et al.,Quaternary rare earth transition metal arsenide oxides RTAsO(T=Fe, Ru, Co) with ZrCuSiAs type structure,Journal of Alloys and Compounds,2000年 4月28日,Vol.302 No.1-2,Pages70-74
B.I.ZIMMER et al.,The rare earth transition metal phosphide oxides LnFePO, LnRuPO and LnCoPO with ZrCuSiAs type structure,Journal of Alloys and Compounds,1995年11月 1日,Vol.229 No.2,Pages238-242
Y.KAMIHARA et al.,Iron-Based Layered Superconductor: LaOFeP,J.Am.Chem.Soc.,米国,2006年 8月 9日,Vol.128 No.31,Pages10012-10013
調査した分野 C01G 1/00 - 23/08
C01B 25/00 - 25/46
C01G 49/00 - 49/08
H01L 39/24
H01B 12/06
H01B 13/00
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
化学式LaFeOPh(Phは、P、As及びSbのうちの少なくとも1種)で示され、
ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有することを特徴とする超伝導
化合物。
【請求項2】
フッ素をドープした化学式LaFeOPh:F(Phは、P、As及びSbのうちの少な
くとも1種)で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する
ことを特徴とする超伝導化合物。
【請求項3】
焼結体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の超伝導化合物。
【請求項4】
薄膜からなることを特徴とする請求項1又は2記載の超伝導化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Feイオンを骨格構造に有する層状超伝導化合物及びその製造方法に関する

【背景技術】
【0002】
1911年に水銀において超伝導現象が見出されて以来、数多くの化合物において超伝
導が見出され、超伝導磁石及び磁気センサ(SQUID)などとして実用化されている。また
、高温超電導体(ペロブスカイト型銅酸化物)が発見されて以来、室温超伝導体を目指し
た材料の研究開発が活発に行われ、超伝導転移温度(Tc)が100Kを超える超伝導化合
物が見出された。
【0003】
ペロブスカイト型銅酸化物の超伝導発現機構についても理解が進んでいる(例えば、非
特許文献1、2)。また、銅以外の遷移金属イオンを含む化合物、あるいは新規化合物と
して、SrRuO(Tc=0.93K)(非特許文献3)、二ホウ化マグネシウム(
Tc=39K)(非特許文献4、特許文献1)、Na0.3CoO・1.3HO(T
c=5K)(非特許文献5、特許文献2,3)などが新たに見出された。
【0004】
伝導帯バンド幅に比べて、伝導電子間の相互作用が大きな強相関電子系化合物は、d電
子の数が特定の値の場合に、高い超伝導転移温度を有する超伝導体となる可能性が高いこ
とが知られている。強相関電子系は、遷移金属イオンを骨格構造に有する層状化合物で実
現されている。こうした層状化合物の多くは、モット絶縁体で、室温で反強磁 性体であ
る。
【0005】
しかし、例えば、ペロブスカイト型銅酸化物であるLaCuOでは、La3+イオ
ンサイトにSr2+イオンを添加したLa2-xSrCuOにおいて、xの値が0.
05から0.28の範囲では、金属伝導を示すスピングラス状態となり、低温で超伝導体
状態が観測され、x=0.15で最高のTc=40Kが得られている(非特許文献6)。
【0006】
すなわち、強電子相関系では、d電子の数が特定の値のとき、金属伝導を示すスピング
ラス状態となり、温度を低温にすると、ある特定温度(超伝導転移温度)以下で、超伝導
状態へ転移する。さらに、この超伝導体の転移温度は伝導キャリアの数によって5Kから
40Kまで変化する。また、酸素同位体置換により、転移温度が変化することから、格子
振動及び電子間相互作用が複合的に超伝導発生機構に関与していることが知られている。
【0007】

【非特許文献1】津田惟雄、那須奎一郎、藤森敦、白鳥紀一 改訂版「電気伝導性酸化物」,pp.350~452,裳華房,(1993)
【非特許文献2】前川禎通,応用物理,Vol..75,No.1,pp.17-25,(2006)
【非特許文献3】Y.Maeno、H.Hashimoto, K.Yoshida S.Nishizaki T.Fujita J.G.Bednorz F.Lichtenberg,Nature,372,pp.532-534(1994)
【非特許文献4】J. Nagamatsu、N. Nakagawa, T. Muranaka Y.Zenitani and J.Akimitsu,Nature,410,pp.63-64,(2001)
【非特許文献5】K.Takada H.Sakurai E.Takayama-Muromachi F.Izumi R.A.Dilanian T.Sasaki,Nature,422,pp.53-55,(2003)
【非特許文献6】J.B.Torrance et al.,Phys.Rev.,B40,pp.8872-8877,(1989)
【特許文献1】特開2002-211916号公報
【特許文献2】特開2004-262675号公報
【特許文献3】特開2005-350331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
超伝導の応用を飛躍的に広げるために、室温超伝導体の発見が強く望まれている。層状
ペロブスカイト型銅酸化物において、100Kを超える高温超電導体が見出されているが
、まだ、室温超伝導体は見出されていない。室温超伝導体を開発するための一つの方策は
、ペロブスカイト型銅酸化物に代わる遷移金属イオンを骨格構造に有する新しい層状化合
物群を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高温超電導体を探索する一つの有力な指針は、伝導キャリア数を大幅に変化させること
ができる遷移金属イオンを骨格構造に有する層状化合物群を見出し、該化合物群で、遷移
金属の種類を変化させること、及び/又は、遷移金属の種類を一定にして、不純物添加な
どにより、電子又はホールをドープして、超伝導転移温度が最高になるように、伝導キャ
リア数を最適化することである。
【0010】
また、超伝導発生機構には、遷移金属のd電子間の相互作用が主要な役割を果たしてい
るために、該相互作用を制御することも必要である。そのための一つの方策は、酸素イオ
ンに代わる陰イオンを見出すことである。例えば、燐イオンは、p電子のエネルギー準位
がd電子のそれに近いため、p-d軌道混成が大きくなり、キャリア・電子間相互作用が
大きくなる。また、燐イオンは、Oイオンより原子量が大きいので、格子振動エネルギー
が小さくなり、電子・格子相互作用を低下させるように作用する。
【0011】
こうした材料探索方針に基づき、遷移金属イオンを骨格構造に有する多くの層状構造化
合物を精力的に研究した結果、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を
有するLaFeOPh(Phは、P、As及びSbのうちの少なくとも1種)が、5K付
近に超伝導転移温度を有する超伝導体であることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、(1)化学式LaFeOP(Phは、P、As及びSbのうちの
少なくとも1種)で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有
することを特徴とする超伝導化合物、である。
【0013】
また、本発明は、(2)フッ素をドープした化学式LaFeOPh:F(Phは、P、
As及びSbのうちの少なくとも1種)で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/n
mm)の結晶構造を有することを特徴とする超伝導化合物、である。
【0014】
また、本発明は、(3)焼結体からなることを特徴とする上記(1)又は(2)の超伝
導化合物、である。
また、本発明は、(4)薄膜からなることを特徴とする上記(1)又は(2)の超伝導
化合物、である。
【0015】
また、本発明は、(5)La、LaPh,FePh、及びFePh(Phは、
P、As及びSbのうちの少なくとも1種)の各粉末を1:1.02:1.02:1のモ
ル比率で混合し、不活性ガス雰囲気中で、1100℃~1250℃に加熱保持することに
より焼結体を製造することを特徴とする上記(3)の超伝導化合物の製造方法、である。
【0016】
また、本発明は、(6)La、LaPh,FePh、及びFePh(Phは、
P、As及びSbのうちの少なくとも1種)の各粉末を1:1.02:1.02:1のモ
ル比率で混合した混合体に、LaFをLaに対するモル比率で、0.01超0.
1未満添加し、不活性ガス雰囲気中で、1100℃~1250℃に加熱保持することによ
り焼結体を製造することを特徴とする上記(3)の超伝導化合物焼結体の製造方法、であ
る。
【0017】
また、本発明は、(7)上記(5)又は(6)の方法により作成したLaFeOPh又
はLaFeOPh:F焼結体(Phは、P、As及びSbのうちの少なくとも1種)をタ
ーゲットとして用い、気相成長法により製膜することを特徴とする上記(4)の超伝導化
合物薄膜の製造方法、である。
【0018】
該遷移金属イオンを骨格構造に有する層状構造化合物群では、
1)二価の鉄イオン(Fe2+イオン)の一部又は全部を、二価の遷移金属イオンM2+
M=Ti,V,Mn,Co,Ni,Cu)で置換する方法、
2)三価のランタンイオン(La3+イオン)の一部又は全部を、三価の希土類イオン(
Ln=Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、Yb,L
u)又はY3+イオンで置換する方法、
3)La3+イオンを、価数の異なる金属イオンで置換する方法、
4)O2+イオン及び/又はP3+イオンを価数の異なる陰イオンで置換する方法、
5)O2+及び/又はP3+の化学組成を化学量論組成からずらす方法、
により、LaFeOP中のキャリア濃度を1020から1021まで、大幅に変化させる
ことができる。
【0019】
この結果、超伝導をもたらすd電子間の相互作用が最大になるように伝導キャリア数を
最適化することができるので、超伝導転移温度をLaFeOPの5Kから、変化させるこ
とが出来る。一例として、LaFeOP又はLaFeOAs中の陰イオンであるO及びP
又はO及びAsをフッ素イオンで置換したLaFeOP:F又はLaFeOAs:Fでは
、超伝導転移温度を10K程度にまで上昇させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の超伝導化合物は、公知の超伝導化合物と異なり、遷移金属で最も地球上に多量
に存在する鉄を含むオキシプニクタイド化合物であり、安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の超伝導化合物は、化学式LaFeOP(Phは、P、As及びSbのうちの少
なくとも1種)で示される。この化合物は、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)
の結晶構造を有する。また、この化合物にフッ素をドープした化学式LaFeOPh:F
(Phは、P、As及びSbのうちの少なくとも1種)で示される化合物も、ZrCuS
iAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する超伝導化合物である。
【0022】
LaFeOPhは、一般化学式LnMOPn(Mは遷移金属)で示される遷移金属イオ
ンを骨格構造に有する層状構造化合物群の一員である。ここで、Lnは、Y及び希土類金
属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、
Yb,Lu)の少なくとも一種であり、Mは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os)の少な
くとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種
である。
【0023】
LaFeOPは、Feイオンを二価の遷移金属イオンで置換しても、Laイオンを三価
の希土類イオン又はYイオンで置換しても、結晶構造は変化しない。希土類イオンの4f
電子の一部は、3d軌道に移動する。したがって、これらの置換により、結晶構造を変え
ることなく、LaFeOP中のd電子数を制御することができ、その結果、超伝導転移温
度を変化させることが出来る。
【0024】
すなわち、二価の鉄イオン(Fe2+イオン)の一部又は全部を、二価の遷移金属イオン
2+(M=Ti,V,Mn,Co,Ni,Cu)で置換し、及び/又は三価のランタン
イオン(La3+イオン)の一部又は全部を、三価の希土類イオン(Ln=Ce,Pr,
Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、Yb,Lu)又はY3+イオ
ンで置換し、置換する金属イオンの種類及び/又は添加量により、伝導電子数を制御する
ことができる。
【0025】
また、LaFeOPでは、La3+イオンを、価数の異なる陽イオンで置換しても、キ
ャリア濃度を変化させることが出来る。該置換の場合は、LaO層に電子が生成するが、
該電子は直ぐに、FeP層に移動して、伝導キャリアとなる。したがって、d電子間の相
互作用の大きさをほとんど変化させず、伝導キャリア数のみを制御できる。
【0026】
すなわち、La3+イオンを、価数の異なる金属イオンで置換し、置換する金属イオン
の種類及び/又は添加量により伝導キャリア数を制御することができる。
【0027】
また、燐イオンの一部又は全部を、プニクタイドイオンPh(Ph=N,As,Sb)
で置換し、置換するプニクタイドイオンの種類及び/又は添加量により、結晶格子定数及
び/又は格子振動数を制御し、超伝導転移温度を変化させることができる。
【0028】
また、O2+イオン及び/又はP3+イオンを、価数の異なる陰イオンで置換し、及び
又は、O2+及び/又はP3+の化学組成を化学量論組成からずらすことにより、伝導キ
ャリア数を制御し、超伝導転移温度を変化させることができる。
【0029】
また、上記の超伝導転移温度を変化させる方法のうち、少なくとも二つを組み合わせて
超伝導転移温度を変化させることができる。
【0030】
LaFeOPを例に、本発明の超伝導化合物の製造方法を説明する。La、La
P,FeP、及びFePの各粉末を1:1.02:1.02:1のモル比率で混合した
混合体を石英管中に入れ、真空に排気した後、室温で不活性ガスを導入する。不活性ガス
は、Arガスが適しているが、これに限られるものでない。また、不活性ガスの圧力は、
1気圧未満であればよい。不活性ガスを封入することにより、焼結中の石英ガラス管の収
縮破裂を防ぐことができる。また、蒸気圧の高い前記燐化物の蒸発を抑え、焼結体の化学
量論組成からの組成ずれを防ぐ効果がある。LaFeOPにフッ素をドーピングする場合
は、前記混合体に、LaFをLaに対するモル比率で、0.01超0.1未満程
度を添加すればよい。
【0031】
焼結は不活性ガス雰囲気中で、1100℃~1250℃に加熱保持することにより行な
う。好ましくは、該混合体を封入した石英管を約1200~1250℃に昇温し、40時
間程度保持する。前記燐化物のPが昇華しやすいことを考慮し、混合粉末には、Pを約2
モル%過剰に加えることにより化学当量組成の化合物を得ることができる。次に、石英管
を約1100~1050℃に冷却し、10時間程度保持した後、250℃/時間程度の速
度で、室温まで冷却する。約1200~1250℃にまで昇温するのは、化学反応速度を
大きくし、LaFeOPの単一相を得るためであり、その後約1100~1050℃に長
時間保持するのは、焼成度を上げるためである。約1200~1250℃に長時間保持す
ると、燐が揮発し、異相が生じてしまう。
【0032】
図1に、実施例1で得られた焼結体のX線回折パターンを示している。この図1から、
該焼結体の結晶構造は、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)であり、さらに、そ
の単一相から構成されていることが分かる。
【0033】
該焼結体をターゲットにして、パルスレーザー堆積法により、900℃から550℃、
より好ましくは、600℃から700℃に昇温したMgO基板上にLaFeOP薄膜を成
膜することができる。基板としては、MgOが適しているが、900℃の温度に耐えられ
るシリカガラス、アルミナ、イットリウム安定化ジルコニアなどの基板を使用することが
できる。また、室温の基板上に堆積し、シリカガラス中に不活性ガスと共に封入し、90
0℃から1100℃、10時間未満加熱してアニールしてもよい。LaFeOP膜の堆積
法は、パルスレーザー堆積法が簡便であるが、スパッター法、蒸着法などの他の気相法を
用いることもできる。
【0034】
図2に、実施例1で得られた焼結体の電気抵抗率の温度変化を示している。図2から、
得られた焼結体は約5Kで電気抵抗がゼロとなり、超伝導相へ転移したことが分かる。超
伝導相では、マイスナー効果により、帯磁率が完全反磁性を示すので、図3に示すこの焼
結体の磁化の温度変化から、該化合物が超伝導相に転移したことを確認できる。
以下に、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
<LaFeOPの合成>
La(信越化学 純度 99.9%)、P(レアメタリック 純度99.9999%)を1:1のモル比率で
混合し、石英管中に封管し、400℃に昇温し10時間保持した後、700℃に昇温し、
10時間保持した後、250℃/時間程度の速度で、室温まで冷却し、LaPを合成した
。また、Fe(高純度化学研究所 純度 99.9%)、P(レアメタリック 純度99.99
99%)を1:1のモル比率で混合し、石英管中に封管し、400℃に昇温し10時間保持
した後、700℃に昇温し10時間保持した後、250℃/時間程度の速度で、室温まで
冷却し、FePを合成した。さらに、Fe (高純度化学研究所 純度 99.9%)、P (レアメ
タリック 純度99.9999%)を2:1のモル比率で混合し、石英管中に封管し、400℃に昇
温し10時間保持した後、700℃に昇温し10時間保持した後、250℃/時間程度の
速度で、室温まで冷却し、FePを合成した。
【0036】
上記の条件で合成したLaP、FeP、及びFe2を用いて、La23(高純度化学
研究所 純度 99.99%)、LaP,FeP、及びFe2Pの各粉末を1:1.02:1.0
2:1のモル比率で混合し、石英管中にアルゴンガスと共に封管し、1250℃に昇温し
、40時間保持した。Pが昇華しやすいことを考慮し、混合粉末には、Pを約2モル%過
剰に加えた。さらに、約1100℃に降温し、10時間保持した。図1に、得られた焼結
体のX線回折パターンを示す。図1から、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の
結晶構造を有するLaFeOPであることがわかった。
<電気抵抗率の測定>

【0037】
電極に銀ペーストを用い、4端子法により、電気抵抗率を室温(300K)から2Kの範
囲で測定した。その結果を図2に示す。電気抵抗率は、温度の低下と共に減少し、7K付
近で、急激に減少し、4K付近でゼロになった。すなわち、LaFeOPは、超伝導転移
温度を5K付近に有する超伝導体であることが示された。
【0038】
図3に、超伝導転移温度付近での、磁場印加時における電気抵抗率の温度変化の拡大図
を示す。超伝導転移温度は5Kであることがわかった。ここで、超伝導転移前の電気抵抗
率の1/2の抵抗率値を示す温度を超伝導転移温度(Tc)と定義する。Tcは、磁場の印
加と共に低下した。
<磁化の測定>
【0039】
試料振動型磁力計を用いて、超伝導転移温度が5Kを示すLaFeOPの磁化を測定し
た。磁場無印加で試料を2Kまで冷却し(ゼロフィールドクーリング:ZFC)、測定時に
は、10Oeの磁場を印加した。図4に、Tc付近での磁化の温度変化を示す。4K付近
から磁化が減少し、より低温では、磁化はマイナスの値となった。
【0040】
これは、磁気フラックスが超伝導体内には入り込めないため、完全反磁性を示す(マイ
スナー効果)ためであり、LaFeOPが超伝導状態に転移したことを明確に示す証拠で
ある。なお、磁化の値から見積もられる超伝導状態体積は、2.5K付近以下では、10
0%となった。また、10Oeの磁場を印加しながら冷却した場合(フィールドクーリン
グ:FC)、4K以下での磁化の減少は見られない。すなわち、得られたLaFeOP焼
結体は、磁気フラックスが内部の欠陥などにトラップされるために、見かけ上マイスナー
効果が見られなくなる第2種超伝導体であることがわかった。
【実施例2】
【0041】
<LaFeO0.940.06Pの合成>実施例1に記載の条件で合成したLaP、FeP、及
びFe2Pを用いて、La23(高純度化学研究所 純度99.9%)、La(信越化学
純度99.9%)、LaF3(森田化学工業 純度99%)、LaP、Fe2P及びFeP
の各粉末を0.94:0.06:0.06:1:1:1のモル比率で混合し、石英管中に
アルゴンガスと共に封管し、1200に昇温した後40時間保持した。その後、約250
/時間程度の速度で、室温まで冷却した。

【0042】
<電気抵抗率の測定>
電極に銀ペーストを用い、4端子法により、電気抵抗率を室温(300K)から2Kの範
囲で測定した。その結果を図5に示す。電気抵抗率は、温度の低下と共に減少し、10K
付近で、急激に減少し、5.5K付近でゼロになった。すなわち、フッ素をドープしたL
aFeO0.940.06Pは、超伝導転移温度を7K付近に有する超伝導体であることが示さ
れた。
【実施例3】
【0043】
<LaFeO0.940.06Asの合成>
La(信越化学 純度 99.9%)、As(高純度化学研究所 純度99.99%)を1:1
のモル比率で混合し、石英管中に封管し、400℃に昇温し10時間保持した後、600
℃に昇温し、10時間保持した後、250℃/時間程度の速度で、室温まで冷却し、La
Asを合成した。また、Fe(高純度化学研究所 純度 99.9%)、As(高純度化学研究
所 純度99.99%)を1:1のモル比率で混合し、石英管中に封管し、400℃に昇温し
10時間保持した後、600℃に昇温し10時間保持した後、250℃/時間程度の速度
で、室温まで冷却し、FeAsを合成した。さらに、Fe (高純度化学研究所 純度 99
.9%)、As(高純度化学研究所 純度99.99%)を2:1のモル比率で混合し、石英管
中に封管し、400℃に昇温し10時間保持した後、600℃に昇温し10時間保持した
後、250℃/時間程度の速度で、室温まで冷却し、FeAsを合成した。
【0044】
上記の条件で合成したLaAs、FeAs、及びFe2Asを用いて、La23(高純度
化学研究所 純度99.9%)、La(信越化学 純度99.9%、LaF3(森田化学工
業 純度99%)、LaAs、Fe2As及びFeAsの各粉末を0.94:0.06:0
.06:1:1:1のモル比率で混合し、石英管中にアルゴンガスと共に封管し、123
0に昇温した後40時間保持した。その後、約250/時間程度の速度で、室温まで冷却
した。
【0045】
<電気抵抗率の測定>
電極に銀ペーストを用い、4端子法により、電気抵抗率を室温(300K)から2Kの範
囲で測定した。その結果を図6に示す。電気抵抗率は、温度の低下と共に減少し、10K
付近で、急激に減少し、3K付近でゼロになった。すなわち、フッ素をドープしたLaF
eO0.940.06Asは、超伝導転移温度を7K付近に有する超伝導体であること
が示された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明では、新たに見出した超伝導材料を用いて伝導量子干渉素子(SQUID:Supercond
ucting Quantum Interference Device)及びジョセフソン素子を作成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1で得られた焼結体のX線回折パターンである。
【図2】実施例1で得られた焼結体の電気抵抗率の測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた焼結体の超伝導転移温度付近での、磁場印加時における電気抵抗率の温度変化を示す拡大図である。
【図4】実施例1で得られた焼結体の超伝導転移温度付近での磁化の温度変化を示すグラフである。
【図5】実施例2で得られた焼結体の超伝導転移温度付近での、電気抵抗率の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例3で得られた焼結体の電気抵抗率の測定結果を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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