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明細書 :ペルチェモジュール

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5403807号 (P5403807)
登録日 平成25年11月8日(2013.11.8)
発行日 平成26年1月29日(2014.1.29)
発明の名称または考案の名称 ペルチェモジュール
国際特許分類 H01L  35/32        (2006.01)
H01L  35/28        (2006.01)
FI H01L 35/32 A
H01L 35/28 C
請求項の数または発明の数 8
全頁数 21
出願番号 特願2009-256289 (P2009-256289)
出願日 平成21年11月9日(2009.11.9)
審査請求日 平成24年10月9日(2012.10.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】山口 栄雄
【氏名】本間 秀幸
個別代理人の代理人 【識別番号】110000545、【弁理士】、【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の熱電半導体と、
第2の熱電半導体と、
これら第1の熱電半導体及び第2の熱電半導体を結合する接合用金属電極と、
前記第1の熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられた第1の金属電極と、
前記第2の熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられた第2の金属電極と、
前記接合用金属電極と前記第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、前記接合用金属電極と前記第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する通電手段とを具備することを特徴とするペルチェモジュール。
【請求項2】
前記通電手段は、前記接合用金属電極と前記第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、前記接合用金属電極と前記第2の金属電極とを接続して構成される閉回路の通電量を調整可能することを特徴とする請求項1記載のペルチェモジュール。
【請求項3】
前記第1の熱電半導体と前記第2の熱電半導体は、いずれも同じ導電型の熱電半導体であることを特徴とする請求項1記載のペルチェモジュール。
【請求項4】
前記第1の熱電半導体と前記第2の熱電半導体は、異なる導電型の熱電半導体であることを特徴とする請求項1記載のペルチェモジュール。
【請求項5】
前記通電手段は、前記接合用金属電極と前記第1の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する第1の電源と、前記接合用金属電極と前記第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する第2の電源とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のペルチェモジュール。
【請求項6】
前記通電手段は、前記接合用金属電極と前記第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、前記接合用金属電極と前記第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する共通の電源であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のペルチェモジュール。
【請求項7】
n個の熱電半導体と、
前記n個の熱電半導体を結合する結合用金属電極と、
それぞれの熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられたn個の金属電極と
隣り合う熱電半導体の金属電極同士を接続して形成される各閉回路に通電する通電手段とを具備することを特徴とするペルチェモジュール。
【請求項8】
前記熱電半導体は、いずれも同じ導電型の熱電半導体であり、隣り合う前記閉回路は、前記通電手段による電流の向きが逆であることを特徴とする請求項7記載のペルチェモジュール。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、導電型に拘わらず対をなす熱電半導体を接合用金属導体を介してΠ型に結合して構成されるペルチェモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な熱電モジュールは、図15に示すように、N型熱電半導体100とP型熱電半導体200とを接合用金属電極4でギリシャ文字のΠ(パイ)型に直列結合し、N型熱電半導体100の前記接合用金属電極4と反対側に第1の金属電極5を接続し、P型熱電半導体200の接合用金属電極4とは反対側に第2の金属電極6を接続して構成されているもので、直流電源300から直流電圧を印加すると、N型熱電半導体100とP型熱電半導体200とからなる直列回路に電流が流れ、ペルチェ効果により、各半導体の接合部の一方の面において発熱し、他方の面において吸熱する特性を有している。即ち、直流電圧の印加により、熱流が発生し、これにより熱電モジュールの一面側から他面側への熱移動が行われる(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
例えば、図15(a)に示すように、N型熱電半導体100からP型熱電半導体200へ電流を流すことにより、ペルチェ効果によって、電子が一定方向に流れ、図面の上部では、吸熱がなされて温度が低下し(冷却され)、また、反対側の下部では、放熱がなされて温度が上昇する(加熱される)。また、図15(b)に示すように、P型熱電半導体200からN型熱電半導体100へ電流を流すことにより、図面の上部では、放熱がなされて温度が上昇し(加熱され)、また、反対側の下部では、吸熱がなされて温度が低下する(冷却される)。
【0004】
このような熱電モジュールは、P型熱電半導体とN型熱電半導体とを併用すると、P型の熱電能は正の符号を持ち、また、N型の熱電能は負の符号を持つため、相対熱電能が非常に大きくなり、大きな熱電効果が得られる。このため、通常においては、P型熱電半導体とN型熱電半導体とを対にして用いるようにしている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平05-187813号公報
【特許文献2】特開2006-294035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体を構成する物質によっては、N型熱電半導体のみしか存在しないものも多い。また、まれではあるが、P型熱電半導体しか存在しない物質もある。したがって、N型とP型のいずれかの導電型の半導体を用いてΠ型のペルチェモジュールを形成することができれば、様々な物質をペルチェモジュールに採用することが可能となる。また、Π型の単体のペルチェモジュールにおいて、温度勾配を持たせることができれば、実用面において幅広い応用が期待できる。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、導電型に拘わらずΠ型のペルチェモジュールの形成を可能とし、また、同一モジュール内で温度勾配を形成することが可能なペルチェモジュールを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係るペルチェモジュールは、第1の熱電半導体と、 第2の熱電半導体と、これら第1の熱電半導体及び第2の熱電半導体を結合する接合用金属電極と、前記第1の熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられた第1の金属電極と、前記第2の熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられた第2の金属電極と、前記接合用金属電極と前記第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、前記接合用金属電極と前記第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する通電手段とを具備することを特徴としている。
ここで、第1の熱電半導体と第2の熱電半導体は、いずれも同じ導電型(N型又はP型)の熱電半導体であっても、異なる導電型の熱電半導体(第1の熱電半導体をN型熱電半導体とし、第2の熱電半導体をP型熱電半導体)としてもよい。
【0009】
したがって、このような構成によれば、N型またはP型のいずれか一方の半導体を用いてΠ型のペルチェモジュールを形成した場合においても、各閉回路に流れる電流の向きに応じて、第1の熱電半導体と接合用金属電極との接合部において、また、第2の熱電半導体と接合用金属電極との接合部において吸熱又は放熱させることが可能となる。
【0010】
ここで、通電手段は、接合用金属電極と第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極と第2の金属電極とを接続して構成される閉回路の通電量を一定にするものであっても、それぞれの通電量を調整可能とすることで、吸熱量および放熱量を制御するものであってもよい。
【0011】
通電手段は、接合用金属電極と第1の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する第1の電源と、接合用金属電極と第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する第2の電源とを有するものであっても、接合用金属電極と第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極と第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する共通の電源であってもよい。尚、共通の電源を設ける場合においては、接合用金属電極と第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極と第2の金属電極とを接続して構成される閉回路のそれぞれの通電量を調節する可変抵抗を設けるようにしてもよい。
【0012】
上述した構成においては、2つの熱電半導体を用いてペルチェモジュールを構成した場合であるが、n個の熱電半導体を用いて構成する場合には、n個の熱電半導体と、前記n個の熱電半導体を結合する結合用金属電極と、それぞれの熱電半導体に接続されると共に前記接合用金属電極から離して設けられたn個の金属電極と、隣り合う熱電半導体の金属電極同士を接続して形成される各閉回路に通電する通電手段とを具備して構成してもよい。
特に、このような構成において、n個の熱電半導体を同じ導電型の熱電半導体で構成する場合においては、隣り合う閉回路で通電手段による電流の向きを逆にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明によれば、第1の熱電半導体と第2の熱電半導体とを接合用金属電極で結合し、接合用金属電極と第1の熱電半導体に接続される第1の金属電極とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極と第2の熱電半導体に接続される第2の金属電極とを接続して構成される閉回路のそれぞれに通電手段により通電するようにしたので、N型又はP型のいずれか一方の半導体を用いてΠ型のペルチェモジュールを形成した場合においても、第1の熱電半導体と接合用金属電極との接合部と、第2の熱電半導体と接合用金属電極との接合部で電流の向きに応じて吸熱又は放熱させることが可能となり、同一のペルチェモジュール内で温度勾配を形成することが可能となる。
【0014】
また、通電手段により、接合用金属電極と第1の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する通電量と、接合用金属電極と第2の金属電極とを接続して構成される閉回路に通電する通電量とを別々に調節するようにすれば、接合用金属電極に任意の温度勾配を調節することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明によれば、n個の熱電半導体を結合用金属電極で結合し、隣り合う熱電半導体に設けられた金属電極同士を接続して構成される各閉回路に通電手段により通電するようにしたので、N型又はP型のいずれか一方の導電型の半導体を用いてΠ型のペルチェモジュールを連続的に形成する場合においても、電流の向きに応じて、各熱電半導体と接合用金属電極との接合部で吸熱又は放熱させることが可能となり、各閉回路の通電量を調整することにより、温度勾配を容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係るペルチェモジュールの第1の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電圧源を有し、電流の向きを異ならせた例を示す。
【図2】図2は、本発明に係るペルチェモジュールの第2の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に通電する共通の1つの直流電圧源を設けた例を示す。
【図3】図3は、本発明に係るペルチェモジュールの第3の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電圧源を有し、電流の向きを同じにした例を示す。
【図4】図4は、本発明に係るペルチェモジュールの第4の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電流源を有し、一方の直流電流源から供給される電流が、他方の直流電流源から供給される電流より小さく設定され、電流の向きを互いに同じにした例を示す。
【図5】図5は、本発明に係るペルチェモジュールの第5の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電流源を有し、一方の直流電流源から供給される電流が、他方の直流電流源から供給される電流より小さく設定され、電流の向きが互いに異なる例を示す。
【図6】図6は、本発明に係るペルチェモジュールの第6の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に通電する共通の1つの直流電圧源を有すると共にそれぞれの熱電半導体への通電量を調節する2つの可変抵抗を有する例を示す。
【図7】図7は、本発明に係るペルチェモジュールの第7の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体とを用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電圧源を有し、電流の向きを異ならせた例を示す。
【図8】図8は、本発明に係るペルチェモジュールの第8の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体とを用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電流源を有し、一方の直流電流源から供給される電流が、他方の直流電流源から供給される電流より小さく設定され、電流の向きを異ならせた例を示す。
【図9】図9は、本発明に係るペルチェモジュールの第9の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体とを用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの直流電流源を有し、一方の直流電流源から供給される電流が他方の直流電流源から供給される電流より小さく設定され、電流の向きを同じにした例を示す。
【図10】図10は、本発明に係るペルチェモジュールの第10の構成例を示す図であり、対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体とを用いて構成され、それぞれの熱電半導体に通電する共通の1つの直流電圧源を有すると共にそれぞれの熱電半導体への通電量を調節する2つの可変抵抗を有する例を示す。
【図11】図11(a)は、本発明に係るペルチェモジュールにおいて、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に通電する共通の1つの可変電流源を設けた構成図であり、図11(b)は、(a)の構成において、可変電流源の電流を0~36Aまで変化させた場合の冷却温度(S1による測定温度)と、冷却温度と加熱温度との差(S2による測定温度とS1による測定温度との差)を測定した結果を示すグラフである。
【図12】図12(a)は、本発明に係るペルチェモジュールにおいて、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの可変電流源を設けた構成図であり、図12(b)は、(a)の構成において、加熱側の電流を一定とし、冷却側の電流を0~24Aまで変化させた場合の加熱側温度(S1による測定温度)、冷却側温度(S2による測定温度)、加熱側温度と冷却側温度との差(S1による測定温度とS2による測定温度との差)を測定した結果を示すグラフである。
【図13】図13(a)は、本発明に係るペルチェモジュールにおいて、対をなすN型熱電半導体を用いて構成され、それぞれの熱電半導体に個別に通電するための2つの可変電流源を設けた構成図であり、図13(b)は、(a)の構成において、冷却側の電流を一定とし、加熱側の電流を0~24Aまで変化させた場合の加熱側温度(S1による測定温度)、冷却側温度(S2による測定温度)、加熱側温度と冷却側温度との差(S1による測定温度とS2による測定温度との差)を測定した結果を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明に係るペルチェモジュールの第11の構成例を示す図であり、N型熱電半導体を3つ以上並設し、隣り合う熱電半導体に設けられた金属電極同士を接続して構成される各閉回路に通電手段により通電する構成例を示す図であり、(a)はN型熱電半導体を3つ並設した構成例、(b)はN型熱電半導体を4つ並設した構成例を示す。
【図15】図15は、従来のペルチェモジュールの構成を示す図であり、(a)は対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体を備えたペルチェモジュールに、N型熱電半導体からP型熱電半導体へ電流を流した状態を示す図であり、(b)は対をなすN型熱電半導体とP型熱電半導体を備えたペルチェモジュールに、P型熱電半導体からN型熱電半導体へ電流を流した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0018】
まず、熱電半導体として同じ導電型(N型)の熱電半導体のみを用いたΠ型のペルチェモジュールについて説明する。
【実施例】
【0019】
この例において、ペルチェモジュール1は、図1に示されるように、第1のN型熱電半導体2と、第2のN型熱電半導体3と、これら第1のN型熱電半導体2及び第2のN型熱電半導体3を結合する接合用金属電極4と、第1のN型熱電半導体2に接続されると共に接合用金属電極4から離して設けられた第1の金属電極5と、第2のN型熱電半導体3に接続されると共に接合用金属電極4から離して設けられた第2の金属電極6とを備え、接合用金属電極4と第1の金属電極5とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極4と第2の金属電極6とを接続して構成される閉回路に通電手段により通電するようにしている。
【実施例】
【0020】
このような構成は、いろいろ考えられるが、同図に示されるように、接合用金属電極4と第1の金属電極5とを接続して構成される第1の閉回路と、接合用金属電極4と第2の金属電極6とを接続して構成される第2の閉回路とを並列に形成するために、接合用金属電極4に接続する共用線7を設け、この共用線7を第1の支線8を介して第1の金属電極5に接続し、また、共用線7を第2の支線9を介して第2の金属電極6に接続し、この例においては、それぞれの支線8,9に直流電圧源(支線8に第1の直流電圧源10、支線9に第2の直流電圧源11)を設けて各熱電半導体2,3に通電するようにしている。
【実施例】
【0021】
ここで、直流電圧源10,11による電流の流れは、N型熱電半導体2,3と接合用金属電極4との接合部が冷却されるように設定されており、2つの閉回路のそれぞれにおいて、同じ大きさの直流電流が供給されており、N型熱電半導体2,3と接合用金属電極4との接合部が同程度に冷却されるようになっている。また、各金属電極5,6には、内部に冷水が流通せれるようになっており、一定の温度(例えば、18度)となるように冷却されている。
【実施例】
【0022】
したがって、上述の構成例においては、第1のN型熱電半導体2、接合用金属電極4、及び、第2のN型熱電半導体3を直列接続して構成されたΠ型のユニポーラ型ペルチェモジュールにおいて、第1のN型熱電半導体2に通電する閉回路と第2のN型熱電半導体3に通電する閉回路とを設けるようにしたので、N型熱電半導体のみを用いてΠ型のペルチェモジュールを構成した場合においても、各熱電半導体との接合部分で、電流の向きに応じて冷却(吸熱)または加熱(放熱)が可能となる。
尚、上述の構成において、それぞれの直流電圧源10,11の向きを逆にするか、N型熱電半導体2,3をP型熱電半導体に置き換えれば、冷却と加熱を逆にすることが可能となる。
【実施例】
【0023】
また、上述の例では、共用線7から分岐するそれぞれの支線8,9に、それぞれのN型熱電半導体2,3に通電するための直流電圧源10,11を設けた例を示したが、図2に示されるように、1つの直流電圧源12を共用線7に設けて電源を共用するようにしてもよい。
【実施例】
【0024】
また、接合用金属電極4に温度勾配を持たせたい場合には、図3に示されるように、図1で示す構成に対して、一方の直流電圧源11を逆向きに接続し、それぞれの閉回路の電流の向きを同方向(図中、時計回り)としてもよい。このような構成においては、接合用金属電極4の一方の端部が加熱され、他方の端部が冷却されるので、大きな温度勾配を形成することが可能となる。尚、N型熱電半導体2,3をP型熱電半導体に変更した場合や、図1の構成において、直流電圧源10を逆向きに接続する場合には、冷却加熱の向きが逆になる。
【実施例】
【0025】
以上の例では、温度勾配を持たせるために直流電圧源を用いた例を示したが、図4に示されるように、図3の直流電圧源10,11に代えて、第1及び第2の直流電流源13,14(第1の直流電流源13の電流をI1、第2の直流電流源14の電流をI2)を用いて一方の閉回路に大きな電流を流し、他方の閉回路に小さな電流を流すことで(I1>I2)、接合用金属電極4の一方の端部を強く冷却し、他方の端部を弱く加熱するようにしてもよい。このような構成においては、温度勾配を調整するために有用であるが、より温度勾配を小さく(緩やかに)したい場合には、図5に示すように、直流電流源14の向きを逆にすることで、接合用金属電極4の一方の端部を強く冷却し、他方の端部を弱く冷却することも可能となる。以上の構成においては、主として定電流源を用いることを想定したが、それぞれの定電流源の代わりに可変電流源を用い、温度勾配の状態(温度勾配のレンジや勾配の大きさ等)を可変させるようにしてもよい。尚、N型熱電半導体2,3をP型熱電半導体に変更した場合には、冷却加熱の向きが逆になる。
【実施例】
【0026】
さらに、温度勾配を可変させる構成としては、図6に示されるように、図2の構成に対して、各支線8,9に可変抵抗15,16を設け、各熱電半導体2,3へ流す電流量を可変抵抗15,16で調節するようにしてもよい。このような構成においても、接合用金属電極4の温度勾配の状態(温度勾配のレンジや勾配の大きさ等)を可変させることが可能となるので、利用箇所や用途に応じて温度勾配が調節可能となる。
【実施例】
【0027】
次に、熱電半導体としてN型熱電半導体とP型熱電半導体とを対にしてΠ型に結合したペルチェモジュールについて説明する。
【実施例】
【0028】
この例において、ペルチェモジュールは、図7に示されるように、N型熱電半導体22と、P型熱電半導体23と、これらN型熱電半導体22及びP型熱電半導体23を結合する接合用金属電極4と、N型熱電半導体22に接続されると共に接合用金属電極4から離して設けられた第1の金属電極5と、P型熱電半導体23に接続されると共に接合用金属電極4から離して設けられた第2の金属電極6とを備え、接合用金属電極4と第1の金属電極5とを接続して構成される閉回路、及び、接合用金属電極4と第2の金属電極6とを接続して構成される閉回路に通電手段により通電するようにしている。
【実施例】
【0029】
このような構成は、いろいろ考えられるが、同図に示されるように、接合用金属電極4と第1の金属電極5とを接続して構成される第1の閉回路と、接合用金属電極4と第2の金属電極6とを接続して構成される第2の閉回路とを並列に形成するために、接合用金属電極4に接続する共用線7を設け、この共用線7を第1の支線8を介して第1の金属電極5に接続し、また、共用線7を第2の支線9を介して第2の金属電極6に接続し、この例においては、それぞれの支線8,9に直流電圧源10,11を設けて各熱電半導体22,23に通電するようにしている。
【実施例】
【0030】
ここで、直流電圧源10,11による電流の流れは、N型熱電半導体22と接合用金属電極4との接合部が冷却されるように設定され、また、P型熱電半導体23と接合用金属電極4との接合部が加熱されるように設定されており、2つの閉回路のそれぞれにおいて、同じ大きさの直流電流が供給されるようになっている。
【実施例】
【0031】
したがって、上述の構成においては、N型熱電半導体22、接合用金属電極4、及び、P型熱電半導体23を直列接続して構成されたΠ型のバイポーラ型ペルチェモジュールにおいて、N型熱電半導体22に通電する閉回路とP型熱電半導体23に通電する閉回路とをそれぞれ設けるようにしたので、N型熱電半導体22とP型熱電半導体23とを用いてΠ型のペルチェモジュールを構成した場合においても、それぞれの熱電半導体22,23との接合部分で、電流の向きに応じて冷却(吸熱)または加熱(放熱)が可能となり、また、接合用金属電極4に温度勾配を持たせることが可能となる。
【実施例】
【0032】
また、この例では、共用線7から分岐するそれぞれの支線8,9に、それぞれの熱電半導体22,23に通電するための直流電圧源10,11を設けた例を示したが、接合用金属電極4に温度勾配を持たせたい場合には、例えば、図8に示されるように、図7で示す直流電圧源10,11を第1及び第2の直流電流源13,14に置き換え、P型熱電半導体23に供給される電流(I2)をN型熱電半導体22に供給される電流(I1)よりも小さく設定してもよい。このような構成においては、N型熱電半導体22と接合用金属電極4との接合部は強冷却され、また、P型熱電半導体23と接合用金属電極4との接合部は弱加熱されることになるので、接合用金属電極4には、図7の構成と比べて、異なるレンジの温度勾配を形成することが可能となる。
【実施例】
【0033】
また、図9に示されるように、図8で示す構成の直流電流源14の電流の向きを逆にし、P型熱電半導体側に供給される電流(I2)をN型熱電半導体に供給される電流(I1)よりも小さく設定すれば、N型熱電半導体22と接合用金属電極4との接合部は強冷却され、また、P型熱電半導体23と接合用金属電極4との接合部は弱冷却されることになるので、接合用金属電極4には、図8で示す温度勾配よりも緩やかな温度勾配を形成させることが可能になる。
【実施例】
【0034】
さらに、図10に示されるように、1つの直流電圧源12を共用線7に設けた図6の構成に対して、各支線8,9に可変抵抗15,16を設け、各熱電半導体22,23へ流す電流量を可変抵抗15,16で調節するようにしてもよい。このような構成においては、例えば、同図に示されるように、N型熱電半導体側に供給される電流(I1)をP型熱電半導体に供給される電流(I2)よりも大きく設定すれば、N型熱電半導体22と接合用金属電極4との接合部は強冷却され、また、P型熱電半導体23と接合用金属電極4との接合部は弱加熱されることになるので、接合用金属電極4の温度勾配のレンジを、弱加熱の領域から強冷却の領域にかけて変更することが可能となる(異なるレンジの温度勾配を形成することが可能となる)。
【実施例】
【0035】
以上の構成において、図11に示されるように、共用線7に可変電流源17を設置し、また、第1及び第2の金属電極5,6を水冷して16℃に保ち、25℃の室温で可変電流源17による電流を0~36Aまで変化させてペルチェモジュール1の温度変化を測定した。より具体的には、接合用金属電極4にその表面の温度を検出する第1の熱電対S1を設置し、また、第1の金属電極5にその表面の温度を検出する第2の熱電対S2を設置し、可変電流源17の電流を変化させてそれぞれの熱電対で検出した温度から、接合用金属電極4の温度(S1により検出された冷却側温度(●))と、第1の金属電極5の温度(S2により検出された放熱側温度(■))と、これらS2で検出された放熱側温度とS1で検出された冷却側温度との差(S2-S1:◆)を測定した。その結果を、図11(b)に示す。
【実施例】
【0036】
この図からわかるように、電流が流れていないとき(0Aのとき)は、接合用金属電極4の温度と第1の金属電極5の温度はほぼ同じであり、電流を流していくと、電流が大きくなるほど冷却側温度は低く、また、放熱側温度は高くなり、温度差が大きくなる。このように、ユニポーラ型のペルチェモジュールにおいても温度制御が十分に可能であることが示された。
【実施例】
【0037】
また、図12で示されるように、第1のN型熱電半導体2と接合用金属電極4との接合部が加熱するように第1の直流電流源13を支線8に設け、また、第2のN型熱電半導体3と接合用金属電極4との接合部が冷却するように第2の直流電流源14を支線9に設け、第1のN型熱電半導体2に流れる電流を一定とし、第2のN型熱電半導体3に流れる電流を0~24Aまで変化させ、そのときの接合用金属電極4の第1のN型熱電半導体側の端部の温度を第1の熱電対S1で検出し、接合用金属電極4の第2のN型熱電半導体側の端部の温度を第2の熱電対S2で検出し、S1により検出される加熱側温度(●)と、S2により検出される冷却側温度(■)と、S1で検出された温度とS2で検出された温度との差(S1-S2:◆)をそれぞれ測定した。その結果を、図12(b)に示す。
【実施例】
【0038】
この結果から分かるように、冷却側の電流を大きくしていくと、冷却側温度は低下していき、これに引きずられて、加熱側温度も低下してくるが、電流が大きくなると、全体として、温度差(S1-S2)が徐々に大きくなり、温度勾配が少しずつ大きくなってくることが分かる。
【実施例】
【0039】
さらに、図13で示されるように、図12の構成において、第2のN型熱電半導体3に流れる電流を一定とし、第1のN型熱電半導体2に流れる電流を0~24Aまで変化させ、そのときの接合用金属電極4の第1のN型熱電半導体側の端部の温度を第1の温度センサS1で検出し、第2のN型熱電半導体側の端部の温度を第2の温度センサS2で検出し、S1により検出される加熱側温度(●)と、S2により検出される冷却側温度(■)と、S1により検出された温度とS2により検出された温度との差(S1-S2:◆)をそれぞれ測定した。その結果を、図13(b)に示す。
【実施例】
【0040】
この結果から分かるように、加熱側の電流を大きくしていくと、加熱側温度は上昇していき、これに引きずられて、冷却側温度も上昇していくが、電流が大きくなると、全体として、温度差(S1-S2)が徐々に大きくなり、温度勾配が少しずつ大きくなってくることが分かる。
【実施例】
【0041】
したがって、上述したペルチェモジュールを用いれば、1つのモジュール内に温度勾配を形成することが可能になるので、このようなペルチェモジュールを利用すれば、同一面上で温度条件を変えて多くの試験を一度に行うことが可能となり、また、温度勾配をつけることで、ガスや液体を輸送させる場合等にも利用可能となる。
【実施例】
【0042】
尚、上述の構成例においては、2つの熱電半導体を用いた例を示したが、図14(a)に示されるように、3つのN型熱電半導体(第1、第2、第3の熱電半導体31,32,33)を接合用金属電極4で結合し、第1の熱電半導体31に接合用金属電極4から離して第1の金属電極41を設け、第2の熱電半導体32に接合用金属電極4から離して第2の金属電極42を設け、第3の熱電半導体43に接合用金属電極4から離して第3の金属電極43を設け、第1の金属電極41と第2の金属電極42との間に第1の直流電流源51、また、第2の金属電極42と第3の金属電極43との間に第2の直流電流源52を設けて構成するようにしてもよい。
【実施例】
【0043】
このような構成においても、N型熱電半導体のみを用いてΠ型のペルチェ素子を連接した場合において、熱電半導体31,32,33との接合部分において、電流の向きに応じて冷却または加熱させることが可能となり、特に隣り合う閉回路で電流の向きを逆向きとすることで、温度勾配を大きく形成することが可能となり、この例では接合用金属電極4の中心ほど温度が高く、両端にいくほど温度が低くなる温度勾配を形成することが可能となる。この際、電流の大きさを変えることで、温度勾配の付け方を調整することが可能となる。
【実施例】
【0044】
上述の構成は、さらにn個の熱電半導体を並設する場合に発展させることが可能であり、例えば、図14(b)に示されるように、4個の熱電半導体31~34を並設して接合用金属電極4で結合し、隣り合う閉ループで電流の向きが逆になるように通電すれば、接合用金属電極の表面に冷却と加熱を交互に変化させる温度勾配を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 ペルチェモジュール
2 第1のN型熱電半導体
3 第2のN型熱電半導体
4 接合用金属電極
5 第1の金属電極
6 第2の金属電極
10,11,12 直流電圧源
13,14,51,52,53 直流電流源
15,16 可変抵抗
22 N型熱電半導体
23 P型熱電半導体
31 第1のN型熱電半導体
32 第3のN型熱電半導体
34 第4のN型熱電半導体
41 第1の金属電極
42 第2の金属電極
43 第3の金属電極
44 第4の金属電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
13
【図15】
14