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明細書 :生体活性骨セメント組成物及びその製造方法、並びにそれを製造するためのキット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4555804号 (P4555804)
公開番号 特開2007-054619 (P2007-054619A)
登録日 平成22年7月23日(2010.7.23)
発行日 平成22年10月6日(2010.10.6)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
発明の名称または考案の名称 生体活性骨セメント組成物及びその製造方法、並びにそれを製造するためのキット
国際特許分類 A61L  24/00        (2006.01)
A61L  27/00        (2006.01)
FI A61L 25/00 A
A61L 27/00 F
請求項の数または発明の数 16
全頁数 11
出願番号 特願2006-205961 (P2006-205961)
出願日 平成18年7月28日(2006.7.28)
優先権出願番号 2005221230
優先日 平成17年7月29日(2005.7.29)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年7月28日(2006.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】505119597
【氏名又は名称】渋谷 武宏
【識別番号】000173522
【氏名又は名称】財団法人ファインセラミックスセンター
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
発明者または考案者 【氏名】渋谷 武宏
【氏名】橋本 雅美
【氏名】高玉 博朗
【氏名】石灰 洋一
【氏名】山口 壽信
個別代理人の代理人 【識別番号】100066692、【弁理士】、【氏名又は名称】浅村 皓
【識別番号】100072040、【弁理士】、【氏名又は名称】浅村 肇
【識別番号】100097870、【弁理士】、【氏名又は名称】梶原 斎子
【識別番号】100102897、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 幸弘
審査官 【審査官】清野 千秋
参考文献・文献 特開2004-201869(JP,A)
特表2004-531305(JP,A)
特表2005-508665(JP,A)
特開2001-340445(JP,A)
特開2003-190272(JP,A)
特開2004-183017(JP,A)
特開2005-095584(JP,A)
調査した分野 A61L 24/00
A61L 27/00
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
アパタイト形成能を有するルチル型二酸化チタン粒子及びポリメタクリレート系ポリマーを含み、ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対してルチル型二酸化チタン粒子を少なくとも15重量%含むことを特徴とする生体活性骨セメント組成物。
【請求項2】
ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対してルチル型二酸化チタン粒子を15~80重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物。
【請求項3】
ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対してルチル型二酸化チタン粒子を20~80重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物。
【請求項4】
ペースト状であることを特徴とする請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物。
【請求項5】
成形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物。
【請求項6】
ルチル型二酸化チタン粒子及び重合開始剤の存在下で、メタクリレート系モノマーを重合させてポリメタクリレート系ポリマーとすることを特徴とする請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物の製造方法。
【請求項7】
さらにポリメタクリレート系ポリマー及び/又は重合促進剤の存在下で、メタクリレート系モノマーを重合させてポリメタクリレート系ポリマーにすることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
重量平均分子量が少なくとも10,000であるポリメタクリレート系ポリマー及び/又は重合促進剤の存在下でメタクリレート系モノマーを重合することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
重合開始剤が過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
重合促進剤がN,N-ジメチル-p-トルイジンであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
メタクリレート系モノマーと、予め存在するポリメタクリレート系ポリマーとの配合割合が重量比で5:1~1:5の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
重合させた後、成形する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項13】
生体内で重合することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項14】
少なくともルチル型二酸化チタン粒子、メタクリレート系モノマー及び重合開始剤を含んだ請求項1に記載の生体活性骨セメント組成物を製造するためのキット。
【請求項15】
少なくともメタクリレート系モノマーと重合開始剤とを別々に包装してなることを特徴とする請求項14に記載のキット。
【請求項16】
さらにポリメタクリレート系ポリマー及び/又は重合促進剤を含むことを特徴とする請求項15に記載のキット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は体液環境下でアパタイト形成能を有する生体活性骨セメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨の欠損部の補填剤、或いは人工股関節などの金属製の人工関節を周囲の骨と固定する接着剤として骨セメントは世界中で広く使用されている。その中で、PMMA系骨セメントは、それ自身に生体活性を持たないためガラスセラミックスのように生体内でアパタイトを形成しない。その結果、線維性被膜に覆われ周囲骨から隔離されるため、長期間の間に人工関節と骨との間に緩みを生じるという問題があった。これまでに、セメントに骨結合性を付与する試みとして、PMMA系骨セメントにカルシウムを含有するガラス又は結晶化ガラス粉末を混和したものが提案されている(特許文献1参照)が、同セメントはアパタイト形成能を示すものの、ガラス又は結晶化ガラス粉末からCa2+イオンが溶出されるため、生体埋入後、長期の間にはセメントの強度が低下する恐れがある。一方、長期間の使用によるセメント強度の劣化を抑制する技術として、アナターゼ型二酸化チタンを含有する骨セメントが提案されている(特許文献2参照)。さらに、強度増強のためルチル型酸化チタンを追加の無機充填剤として、好ましくは0.1~10重量%の範囲の量で含有する骨セメントが提案されている(特許文献3参照)。
【0003】

【特許文献1】特開平11-164879号公報
【特許文献2】特開2004-201869号公報
【特許文献3】国際公開第2002/102427号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2に記載の当該骨セメントは、(1)結晶化ガラス含有骨セメントを用いた場合に問題となるガラス由来のイオンの溶出と、それに起因する強度低下がない点、(2)人工骨としての機械的強度の増強が確保できた点において、機能向上が図られているが、より一層アパタイト形成能に優れた骨セメントが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、骨セメント材料にルチル型二酸化チタンを少なくとも15重量%混和するとアパタイト形成能を有すること、しかも、その形成能は同量のアナターゼ型二酸化チタンを用いた場合よりも優れたものであるとの知見を得、本発明を完成した。即ち、本発明はルチル型二酸化チタン粒子及びポリメタクリレート系ポリマーを含み、ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対してルチル型二酸化チタン粒子を少なくとも15重量%含むことを特徴とする生体活性骨セメント組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の生体活性骨セメント組成物は、二酸化チタン粒子としてルチル型のものを少なくとも15重量%配合しているため、擬似体液中でのアパタイト形成能に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は生体活性骨セメント組成物であって、ルチル型二酸化チタン粒子及びポリメタクリレート系ポリマーを含み、ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対してルチル型二酸化チタン粒子を少なくとも15重量%含む生体内で用いるものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の生体活性骨セメント組成物に配合する二酸化チタン粒子は、その結晶系がルチル型のものであれば特に制限なく使用することができる。なお、本発明の効果を損なわない範囲でアナターゼ型酸化チタンが混入していたり、またアナターゼ型とルチル型の混相になっていても構わない。粒子形状は、硫酸法、塩素法、気相加水分解法等の通常の工業的製法で得られる粒状若しくは不定形の他、板状、薄片状、針状、棒状、繊維状、柱状など公知な種々の形状のものを使用することもできる。二酸化チタンの粒子サイズも特に制限はなく、通常0.01~100μmの範囲が使用できるが、骨セメントに配合するポリマーとの親和性の点で、粒状の場合で平均粒子径を0.01~10μmの範囲とするのが望ましい。また、板状、薄片状、棒状等の異方形状の二酸化チタンを用いる場合は、平均最長径が0.1~10μmの範囲とするとポリマーとの親和性にも優れているため望ましい。さらに用いる二酸化チタン粒子は、個々の一次粒子が分散したものであっても、また一次粒子が凝集して二次粒子となったものでもよい。さらに、本発明においては、不純物の少ない高純度のルチル型二酸化チタン粒子を用いることが望ましい。例えば、公知の塩素法、気相加水分解法等の気相合成法を用いると高純度のルチル型二酸化チタン粒子が得られやすく、望ましい。なお、二酸化チタン粒子とポリマーとの親和性をよくするために、二酸化チタン粒子として、その表面を、本発明の効果を損なわない範囲でシランカップリング剤等の公知の有機物、シリカ、アルミナ等の公知の無機物で少量被覆処理したものを用いてもよい。
【0009】
本発明の生体活性骨セメント組成物に配合されるポリメタクリレート系ポリマーは、メタクリレート系モノマーを重合してなるものであり、重合させたポリメタクリレート系ポリマーを予め生体活性骨セメント組成物中に配合させてもよい。メタクリレート系ポリマーとしては、メタクリル酸メチルモノマー(和光純薬工業株式会社)などのメチルメタクリレート(MMA)やエチルメタクリレート(EMA)を挙げることができる。ポリメタクリレート系ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)等のポリアルキルメタクリレート;メチルメタクリレートとスチレン、エチルメタクリレート及びメチルアクリレートから成る群から選択される少なくとも一種を組合わせた共重合体;2,2-ビス[4-(3メタクリロキシ-2-ハイドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis-GMA)、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis-MEPP)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)等のジメタクリレート系モノマーの重合体などが挙げられる。予め重合させたポリメタクリレート系ポリマーを配合する場合、重量平均分子量が少なくとも10,000であるポリマー粉末を用いるのが望ましく、例えば商品名テクポリマー(登録商標)MB-4C(重量平均分子量:1,200,000、積水化成品工業株式会社)をγ線照射により分解し、重量平均分子量を270,000としたポリメチルメタクリル系ポリマー粉末を用いることができる。
【0010】
ルチル型二酸化チタン粒子の配合量は、ルチル型二酸化チタン粒子とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対して少なくとも15重量%であり、望ましくは15重量%~80重量%であり、さらに望ましくは20重量%~80重量%である。本発明の骨セメント組成物は、この配合重量比で生体内に埋め込むと、機械的強度並びにアパタイト形成能の点で望ましい。ルチル型二酸化チタン粒子の配合量が上記範囲より少ないとアパタイト形成能が十分ではなく、また、上記範囲より多くしても配合量に見合ったアパタイト形成能が期待できないばかりか、むしろ強度の低下を来たしやすくなる。
【0011】
本発明の骨セメント組成物は、その使用形態に応じてペースト状にしたり、成形した状態所謂人工骨として使用することができる。ペースト状の本発明の骨セメント組成物は、例えば生体内で骨の欠損部に塗布し、硬化させて骨欠損部の充填に用いることができる。前記ペースト状の組成物は、体内で短時間のうちに硬化体となり、骨或いは人工関節との強固な結合を生成できる。硬化体となった本発明の骨セメント組成物は、生体内でアパタイト層を形成し、それを介して骨と結合する生体活性を示す。また、生体結合性が無い或いは弱い人工骨を骨の欠損部に埋めこんだ場合、生体はこれを繊維性の被膜で取り囲み周囲の骨から隔離するため、人工骨を周囲の天然の骨と結合させる必要があり、両者を結合するために本発明のペースト状の生体活性骨セメント組成物が用いられる。また、本発明のペースト状の骨セメント組成物は人工関節の固定にも用いることができる。
【0012】
さらに、本発明の成形された骨セメント組成物は、予め生体外でペースト状の組成物を所望の離型性のよい型枠を用いて硬化・成形したものであって、骨欠損部に埋め込んで用いることができる。
【0013】
次の本発明は、上記生体活性骨セメント組成物の製造方法であって、ルチル型二酸化チタン粒子及び重合開始剤の存在下で、前記のメタクリレート系モノマーを重合させることを特徴とする。重合開始剤がメタクリレート系モノマーと接触することにより重合反応が進み、骨欠損部に充填或いは人工関節を周りの骨と結合させるのに有効な粘度のペースト状の組成物になる。ペースト状の組成物は、時間の経過と共に硬化する。重合反応は生体外で行ってもよく、若しくは生体内の人工骨を必要とする部位に上記の各成分を導入して、その場で重合してもよい。生体外で、予め本発明のペースト状の生体活性骨セメント組成物を製造した後、硬化する前に所望の形状を有する離型性のよい容器に挿入して、固化させることで成形された生体活性骨セメント組成物とすることもできる。
【0014】
重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化tert-ブチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。なかでも、過酸化ベンゾイルを重合開始剤として用いると、重合反応が速やかに開始し、しかも反応が持続しやすいため望ましい。
【0015】
本発明においては、さらにポリメタクリレート系ポリマー及び/又は重合促進剤の存在下で、すなわち、ルチル型二酸化チタン粒子、重合開始剤、さらにポリマー及び/又は重合促進剤の存在下で、重合性モノマーを重合させると、重合反応がより一層速やかに進行し、生体活性骨セメント組成物が得られるため望ましい。
【0016】
ポリメタクリレート系ポリマーを予め存在させることにより、メタクリレート系モノマーの使用量を低減させることができ、重合反応時間を短縮することができる。メタクリレート系モノマーとポリメタクリレート系ポリマーとの配合割合の望ましい範囲は重量比で5:1~1:5の範囲である。また、重合促進剤を存在させることにより、重合反応が、より一層速やかに進行する。重合促進剤としては、N,N-ジメチル-p-トルイジン、トリ-ジメチルアミノメチルフェノールなどが挙げられる。なかでも、N,N-ジメチル-p-トルイジンを重合促進剤として用いると、重合反応が速やかに進行するため望ましい。
【0017】
重合開始剤及び重合促進剤の配合量は、共にメタクリレート系モノマー100重量部に対して0.1~10重量部、望ましくは1~5重量部である。配合量が上記範囲より少ないと、重合反応が進みにくく、また、多くしても重合開始剤及び重合促進剤が、最終物である生体活性骨セメント組成物に残留しやすくなり、望ましくない。
【0018】
さらに、本発明には、ルチル型二酸化チタン粒子、メタクリレート系モノマー及び重合開始剤を含んだ上記生体活性骨セメント組成物を製造するためのキットが含まれる。このキットの中でも、ルチル型二酸化チタン粒子、メタクリレート系モノマー及び重合開始剤を含み、少なくともメタクリレート系モノマーと重合開始剤とを別々に包装してなることを特徴とするものが望ましい。上記の各成分において、少なくとも相互に接触することにより反応するメタクリレート系モノマーと重合開始剤とを別々に包装して保管しておき、必要な時に、必要な場所でそれらを混合して本発明の生体活性骨セメント組成物を得ることができる。ポリメタクリレート系ポリマー及び/又は重合促進剤をさらに含む場合は、それらの追加成分をさらに別装してもよいが、通常は各々の成分が接触により反応しないもの同士は、同包して保管・運搬する形態をとると便利である。たとえば、ルチル型二酸化チタン粒子、ポリメタクリレート系ポリマー及び重合開始剤は通常固体状態であり、相互には反応しないので、これらをまとめて一つの容器に保管し、一方、メタクリレート系モノマー及び重合促進剤は通常液体状態にあり、相互には反応しないので、これらをさらに別の容器にまとめて2包として保管しておくと、持ち運びも便利であり、また反応操作も簡単となるため、必要な場面に素早く本発明の生体活性骨セメントを製造することができる。
【0019】
本発明の生体活性骨セメントは、生体内でアパタイトを形成し、アパタイトを介して骨と結合することができる。なお、アパタイト形成能は、通常、擬似体液に浸漬させることにより評価できる。擬似体液としては、T.Kokubo,H.Kushitani,S.Sakka,T.Kitsugi and T.Yamamuro,“Solutions able to reproduce in vivo surface-structure changes in bioactive glass-ceramic A-W”,J.Biomed.Mater.Res.24,721-734(1990)に記載の擬似体液(SBF:Simulated Body Fluid)等が挙げられる。なお、擬似体液は、ヒトの血漿とほぼ等しい無機イオン濃度を有する水溶液を指し、その組成は第1表に示した通りである。
【0020】
【表1】
JP0004555804B2_000002t.gif

【実施例】
【0021】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定される訳ではない。
【0022】
実施例1
ルチル型二酸化チタン微粒子(商品名CR-EL;石原産業株式会社、平均粒子径0.25μm)3g、ポリメタクリレート系ポリマーとしてPMMA粉末(平均分子量:270000,テクポリマー(登録商標)MB-4C(積水化成品工業株式会社)のCoγ線照射物)1.2g及び重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.072gを混合し、その混合粉末にメタクリレート系モノマーとしてMMA1.8gと重合促進剤として N,N-ジメチル-p-トルイジン0.036gを加えた後、テフロン(登録商標)製治具に入れ硬化させた。その硬化物から15×10×2mmの試料片を切り出し、本発明の生体活性骨セメント組成物(試料A)を得た。試料Aのルチル型二酸化チタン粒子の含有量(ルチル型二酸化チタン粒子とPMMAの合量に対するルチル型二酸化チタン粒子の配合量)は50重量%である。
【0023】
比較例1
ルチル型二酸化チタン微粒子に代えてアナターゼ型二酸化チタン微粒子(商品名ST-41;石原産業株式会社、平均粒子径0.15μm)を用いた以外は実施例1と同様に処理して比較試料の生体活性骨セメント組成物(試料B)を得た。
【0024】
実施例1及び比較例1で得られた試料A及び試料Bを前記第1表に示した組成を有する擬似体液中に所定期間浸漬した。浸漬3日後及び6日後の試料表面の走査型電子顕微鏡観察を行ない、両試料の電子顕微鏡写真を図1及び図2に示した。図1及び図2より、二酸化チタン粒子を50重量%配合した場合、アナターゼ型二酸化チタンを配合した試料Bに較べルチル型二酸化チタンを配合した試料Aはその表面に早くアパタイトが形成されるばかりでなく、密に形成されていることがわかった。
【0025】
実施例2
ルチル型二酸化チタン微粒子(商品名CR-EL;石原産業株式会社、平均粒子径0.25μm)5.4g、ポリメタクリレート系ポリマーとしてPMMA粉末(平均分子量:189000、積水化成品工業株式会社)15.6g及び重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.45gを混合し、その混合粉末にメタクリレート系モノマーとしてMMA9.52gと重合促進剤として N,N-ジメチル-p-トルイジン0.08gを加えた後、テフロン(登録商標)製治具に入れ硬化させた。その硬化物から15×10×4mmの試料片を切り出し、本発明の生体活性骨セメント組成物(試料C)を得た。試料Cのルチル型二酸化チタン粒子の含有量は17.7重量%である。
【0026】
比較例2
ルチル型二酸化チタン微粒子に代えてアナターゼ型二酸化チタン微粒子(商品名ST-41;石原産業株式会社、平均粒子径0.15μm)を用いた以外は実施例2と同様に処理して比較試料の生体活性骨セメント組成物(試料D)を得た。
【0027】
実施例2及び比較例2で得られた試料C及び試料Dを実施例1と同様に擬似体液中に浸漬した。浸漬3日後、7日後及び14日後の試料表面の走査型電子顕微鏡観察を行ない、図3、図4に示した。図3及び図4より、二酸化チタン粒子を17.7重量%配合した場合でも、アナターゼ型二酸化チタンを配合した試料D(比較例2)に較べルチル型二酸化チタンを配合した試料Cはその表面に早くアパタイトが形成されるばかりでなく、密に形成されていることがわかった。
【0028】
比較例3、実施例3及び4
ルチル型二酸化チタン配合量が10重量%、15重量%、20重量%になるように下表2の組成に従い、ルチル型二酸化チタン微粒子(商品名CR-EL;石原産業株式会社、平均粒子径0.25μm)、PMMA粉末(平均分子量:135000,積水化成)及び過酸化ベンゾイルを混合し、その混合粉末にMMAとN,N-ジメチル-p-トルイジンを加えた後、テフロン(登録商標)製治具に入れ硬化させた。その硬化物から15mmφ×4mmの試料片を切り出し、生体活性骨セメント組成物(試料E、F及びG)を得た。
【0029】
【表2】
JP0004555804B2_000003t.gif

【0030】
比較例3、実施例3及び4で得られた試料(E、F及びG)を実施例1と同様に擬似体液中に浸漬した。浸漬14日後の試料の走査型電子顕微鏡観察を行ない、各試料の電子顕微鏡写真を図5に示した。アパタイトの形成は二酸化チタンを15重量%以上配合した試料(F及びG)で確認され、10重量%配合した試料(E)では認められなかった。このことより、ルチル型二酸化チタンを配合した骨セメント組成物において、生体活性(アパタイト形成能)を発現するためには、その配合量として少なくとも15重量%は必要であることがわかった。また、ルチル型二酸化チタンを少なくとも20重量%配合した骨セメント組成物は、優れた生体活性を有することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】擬似体液浸漬3日後及び6日後の試料A(実施例1)表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図2】擬似体液浸漬3日後及び6日後の試料B(比較例1)表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図3】擬似体液浸漬3日後(SBF3d)、7日後(SBF7d)及び14日後(SBF14d)の試料C(実施例2)表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図4】擬似体液浸漬3日後(SBF3d)、7日後(SBF7d)及び14日後(SBF14d)の試料D(比較例2)表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図5】擬似体液浸漬14日後(SBF14d)の試料E(比較例3)、F(実施例3)、G(実施例4)表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4