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明細書 :有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4840584号 (P4840584)
公開番号 特開2007-260659 (P2007-260659A)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
発明の名称または考案の名称 有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒
国際特許分類 B01J  31/06        (2006.01)
B01J  37/03        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07C  67/303       (2006.01)
C07C  69/612       (2006.01)
C07C   2/76        (2006.01)
C07C  15/54        (2006.01)
C07C  45/68        (2006.01)
C07C  49/784       (2006.01)
C07C   5/08        (2006.01)
C07C  15/18        (2006.01)
C07C   5/03        (2006.01)
C07C  15/16        (2006.01)
C07C  67/333       (2006.01)
C07F   7/18        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/06 Z
B01J 37/03 Z
B01J 37/08
B01J 37/34
C07F 7/08 W
C07C 67/303
C07C 69/612
C07C 2/76
C07C 15/54
C07C 45/68
C07C 49/784
C07C 5/08
C07C 15/18
C07C 5/03
C07C 15/16
C07C 67/333
C07F 7/18 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 28
出願番号 特願2006-237266 (P2006-237266)
出願日 平成18年9月1日(2006.9.1)
優先権出願番号 2006056393
優先日 平成18年3月2日(2006.3.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年2月8日(2008.2.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】596122630
【氏名又は名称】有限会社創造科学研究所
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】小山田 秀和
【氏名】秋山 良
【氏名】内藤 武詩
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100102130、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 尚人
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】安齋 美佐子
参考文献・文献 特開平02-009448(JP,A)
特開2002-134123(JP,A)
特開平11-306855(JP,A)
特開平02-014244(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00-37/36
C07C 2/76,5/03,5/08,15/12-15/18
C07C 15/54,67/303,67/333
C07C 69/618,201/14,205/19
C07F 7/08,7/18
C07B 61/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ポリシラン化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られる、架橋された有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒。
【請求項2】
ポリシラン化合物及び無機化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られ、該無機化合物が、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩である、架橋された有機合成反応用のポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒。
【請求項3】
前記無機化合物が、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム又はジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1種の金属酸化物である請求項に記載の触媒。
【請求項4】
有機合成反応のための請求項1~のいずれか一項に記載の触媒の使用方法であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である使用方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、高い触媒活性を有し、大量製造及び取り扱いが容易で、回収・再使用又は長期間の連続使用が可能なポリシラン担持遷移金属触媒及びその触媒を用いる反応に関する。
【背景技術】
【0002】
遷移金属は様々な化学反応の触媒として重要な役割を担っているが、そこで用いられる金属や配位子には高価なものが多い。また、遷移金属のナノサイズクラスター(大きさがサブナノメートルから数十ナノメートルのクラスターを指す)は量子効果によりバルクとは異なる特異な性質を示すことから、近年、エレクトロニクス、環境、エネルギー、医療、化学工業などの分野で重要な役割を担う材料として注目されている。一般に金属クラスターはサイズが小さいほど機能や活性は高いが、不安定で凝集しやすい。さらに材料として利用する場合は、ナノサイズクラスターとしての機能を損なわない形でのコンポジット化も必要である。
一方、近年化学工業に求められている環境負荷の低減、資源・エネルギーの有効利用の観点からも、高活性で、回収・再使用又は長期間の連続使用が可能な触媒が求められている。さらに生成物や廃棄物への金属の混入防止、連続合成のためのカラムを用いたフローシステム、コンビナトリアル合成などの目的のためにも、無機物又は架橋高分子などの不溶性担体に固定された遷移金属触媒の開発が活発に検討されている。
【0003】
しかし従来の固定化遷移金属触媒は、強い結合で担持すると活性の低下を伴い、吸着やイオン結合などの弱い相互作用により担持した場合は、金属の漏出を完全に防止することは困難であった。また、遷移金属錯体を窒素原子やリン原子を有する配位子を介して無機担体や有機高分子への固定する手法では、配位子を含む担体の合成が煩雑で高コストかつ大量合成が困難、反応速度の低下、配位子による被毒、反応の種類に制約が大きいなどの問題点を有している。
従来の金属微粒子製造方法を固相法、液相法、気相法に分類すると、固相法は安価で大量調整も可能だが、ナノサイズまでの微粒子化は困難である。化学気相析出法(CVD)に代表される気相法は、高純度・高結晶性ナノ粒子の製造に適しているが、高コスト、粒子の凝集が起こりやすい、大量合成や多成分系粒子の製造が困難などの問題点を残している。一方、液相法は、大量調整が比較的容易で、目的に応じた粒子サイズや形状のデザインが可能といった利点を有する。
【0004】
化学液相法における遷移金属ナノサイズクラスターの担体としては、アルミナ、ゼオライト、シリカ、ヒドロキシアパタイト、カーボンナノチューブ、有機高分子など様々な素材が検討されている。 例えば、白金やロジウムのシリカへの固定(非特許文献1)では、金属塩を原料として熱分解や種々の還元剤により0価の金属に還元し、クラスターとして固定する方法が多く用いられる。還元剤としては水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物、トリクロロシラン、トリアルキルシラン、トリアルコキシシランなどの水素-ケイ素結合を有するシラン化合物(非特許文献2)、ジシランなどのケイ素-ケイ素結合を有する化合物、ヒドラジンなどが用いられることが多い。しかしながら、無機材料に触媒を固定した場合、熱や溶剤に対する安定性は比較的高いが、金属の漏出を完全に防ぐことは難しい。
有機高分子に遷移金属クラスターを固定する場合は、通常、窒素、酸素、リンなど配位性の原子や官能基を介するか、又は物理的な封入による方法が行われる。これまでに、2座型リン配位子を持つ有機高分子、ポリアミドやポリウレアなの有機高分子に担持したパラジウム(0)クラスターが数多く報告されているが、反応速度の低下、クラスターの凝集や漏出が課題として残されている。しかしながら、溶媒に膨潤する高分子に微小クラスターを担持した場合は、無機担体の場合と異なり担体表面積の制約を受けにくい利点を有する。
【0005】
一方、単一金属種の固定とは別に、複数の遷移金属種を同一の担体に担持することにより相乗効果や新機能発現が期待できる。例えば、銅-パラジウム混合ナノクラスターを用いた鈴木カップリング反応等が報告されているほか、燃料電池用の白金触媒ではルテニウムと合金化することで一酸化炭素に対する耐被毒性が高まることが知られている。しかしながら、複数種の金属微粒子を任意の比率で担体に固定する技術は確立されていない。
最近、マイクロカプセル化法を用いる遷移金属ナノサイズクラスターの有機高分子への固定方法が開発された。この手法によると遷移金属は、スチレン系高分子のベンゼン環との弱い配位によってサブナノメートルサイズのクラスターとして固定され、非常に高い触媒活性を示す。その後、マイクロカプセル化法と、架橋やミセル化の手法を組み合わせることで、高活性を保持しつつ安定性が向上した高分子担持遷移金属触媒が得られている(特許文献1)。
このマイクロカプセル化法による遷移金属クラスターの芳香族高分子への固定では、パラジウムの場合、(1)テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4)など0価のパラジウムを原料とした配位子交換による方法(非特許文献3)、(2)酢酸パラジウム(II)を原料とし、加熱による還元を利用する方法などがある。また、パラジウム以外の金属では、テトラキストリフェニルホスフィン白金(Pt(PPh3)4)を原料とした白金の固定(非特許文献4)、ジクロロトリストリフェニルホスフィンルテニウム(RuCl2(PPh3)3)を原料としたルテニウムの固定、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf)3)を原料としたスカンジウムの固定、四酸化オスミウム(OsO4)を原料としたオスミウムの固定などが報告されている。
【0006】
ポリシランはケイ素の持つ金属的性質や非局在化したシグマ結合をもち、導電材料や光学材料として近年注目され、またセラミックス原料として大量合成方法も確立されている。また、架橋ポリシランの製造方法としては、ケイ素-水素結合を有するポリシランとビニル基を有する架橋剤との白金又はロジウム触媒によるヒドロシリル化(特許文献2)、酸素酸化によるシロキサン結合の形成、ビニル基を有するポリシランの熱架橋、光架橋などが知られている(非特許文献5)。遷移金属クラスターの固定にポリシランを利用した例としては、ポリシランとポリ(メタクリル酸)のブロックポリマーからポリマーミセルを作り、外層のメタクリル酸を架橋して殻とした後、内層のポリシラン部分に金又はパラジウムのナノサイズクラスターを固定する手法が報告されている(非特許文献6、特許文献3)。この例では、ポリシランがクラスターの担体としてではなく、金属塩の還元剤として用いられている。また、表面をポリシランで被覆した粉体を金属塩水溶液で処理することにより、ポリシラン上に金属コロイドを析出させる、所謂無電解メッキの手法も知られているが(特許文献4)、この場合もポリシランは還元剤として用いられている。
【0007】

【非特許文献1】J.Mol.Catl.A:Chem. 149,83-94(1999).
【非特許文献2】Chem.Mater. 1,106-114(1989).
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc. 127,2125-2135(2005).
【非特許文献4】Synlett 2005,813-816.
【非特許文献5】J.Organomet.Chem. 300,327-346(1986).
【非特許文献6】Chem. Lett. 32,980-981(2003).
【特許文献1】特開2002-66330
【特許文献2】特開平6-49215
【特許文献3】特開2003-147418
【特許文献4】特開2002-4057
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
即ち本発明は、高い触媒活性を有し、大量調整・取り扱い・回収・再使用が容易な高分子担持遷移金属とその製造方法、及び該高分子担持遷移金属を用いた触媒反応方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、既にスチレン系高分子が遷移金属クラスターの固定に有用であることを見出していたが(特許文献2等)、より高い触媒活性を有し、種々の遷移金属の固定に有効で、大量調整及び取り扱いが容易な遷移金属の担体とその担持方法を鋭意検討した。その結果、ポリシランと遷移金属化合物とをポリシランの良溶媒中に溶解又は懸濁し、還元剤の存在下又は非存在下で混合した後、ポリシランに対する貧溶媒を徐々に加えて相分離させる方法が、高い触媒活性を有し、取り扱い・回収・再使用が容易なポリシラン担持遷移金属の製造に適していることを見出した。さらに、本手法が種々の遷移金属に適用可能で、大量調整も容易であることを見出し本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、ポリシラン化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られる、架橋された有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒である。
また、本発明は、ポリシラン化合物及び無機化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られ、該無機化合物が、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩である、架橋された有機合成反応用のポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒である。



【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリシラン担持遷移金属触媒は、ポリシラン化合物に遷移金属を担持させて成る。
このポリシラン化合物は、主鎖が主としてSi-Si結合で繋がった高分子である。このポリシラン化合物はシリレン単位が単一のホモポリマーでも、異種のシリレン単位がランダム又は規則的に配置されたコポリマーでも、異種のホモポリマー同士が繋がったブロックポリマーであってもよい。また、主鎖のSi-Si結合の一部がシロキサン結合(Si-O-Si)やカルボシラン構造(Si-CH-Si)置換されていてもよい。これらは、不可避的に不純物として混入したもの又は製造後に周囲との反応等により混入したものであり、Si-Si結合全体の多くとも約20%である。
【0011】
このポリシラン化合物の重量平均分子量は2,000~500,000、好ましくは5,000~300,000で、分子量が低いと触媒の回収や架橋が困難になり、分子量が大きいとポリマー合成の収率や、遷移金属を担持する際の良溶媒に対する溶解性が低下する。
【0012】
また、このポリシラン化合物の主鎖が側鎖としてアリール基を有することが好ましく、ポリシラン化合物の主鎖を構成するシリレン基のうち少なくとも50%がアリール基を有することがより好ましく、主鎖を構成する全てのシリレン基にアリール基が結合していることがより好ましい。このようなシリレン基は1個又は2個のアリール基のいずれを有してもよい。
このアリール基はポリマー及び触媒の安定性を向上させ、遷移金属の漏出も抑制する。アリール基の割合が少ない場合は、ポリシランを遷移金属塩と混合した際、遷移金属の担持率の低下、ケイ素-ケイ素結合の酸化的切断、触媒反応中や後処理時における遷移金属の漏出等を伴うことがある。例えば、担体としてポリ(メチルフェニルシラン)を、遷移金属化合物としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を用いると効率よくパラジウムが担持できる条件下でも、担体としてポリ(ジフェニルシラン-co-ジメチルシラン)を用いた場合にはパラジウムの担持率は減少し(実施例4)、ポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)を用いた場合には、反応後の触媒回収量が低下する(実施例7)。また、遷移金属化合物として遷移金属塩、例えばヘキサクロロ白金(IV)酸を、担体としてポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)を用いた場合は、両者を混合すると非常に速やかに白金塩が還元されることから、同時にポリマーの酸化を伴うと推定される。
【0013】
このアリール基は置換基を有していてもよい。ポリシランの製造段階では、製造方法による置換基の制約(例えば、Kipping法を用いる場合にはハロゲン化アリールは適さない)があるが、ポリシランのフェニル基に種々の置換基を導入することは可能である。
このアリール基の炭素数は好ましくは6~12であり、アリール基としては、具体的にはフェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、これらが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、シリルオキシ基等が挙げられる。
【0014】
このポリシラン化合物の主鎖を構成するシリレン基は、更に、側鎖置換基としてアルコシキシ基、シリル基、シリルオキシ基、又は複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基を有してもよい。
アルコキシ基としては低級アルコキシ基を、シリル基としてはトリアルキルシリル基等を例示できる。
炭化水素基としては、炭素数が1~16のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基等、好ましくはアルキル基、アリール基、アルケニル基であり、より好ましくはメチル基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
複素環基としては、ピリジル基等が挙げられる。
ポリシラン主鎖の両末端は水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、炭化水素基などの構造を有しても、又は主鎖の他端と環状構造を形成してもよいが、ポリシランの分子量が大きい場合にはその構造を確認することは通常困難である。
【0015】
更に、このポリシラン化合物の主鎖を構成するシリレン単位の約50%以上がジフェニルシリレン又はメチルフェニルシリレンであることが好ましく、更に、このポリシラン化合物がポリ(メチルフェニルシラン)であることがより好ましい。
これらのポリシランは購入することも公知の方法で合成することもできる。さらに、通常ポリシランは疎水性であるが、公知の化学変換により親水性基を導入することも可能である。
【0016】
一方、本発明で用いる遷移金属は3族から12族の遷移金属である。この遷移金属の大部分は、0価のクラスター、酸化物又はホウ化物の形態で上記ポリシラン化合物に担持される。
ポリシラン化合物に担持された遷移金属は、0価のクラスターとして担持される場合が多い(Pd,Pt,Auなど)が、例えばヨウ化サマリウム(II)、塩化銅(I)又は酢酸銅(II)を水素化ホウ素ナトリウムで還元した場合は、ICPの分析結果から、サマリウムや銅がホウ素との複合体を形成して担持されている可能性が高い。また、還元直後は0価であっても、その後のマイクロカプセル化、単離、乾燥操作中に酸化される場合もある。ポリシラン化合物に対する遷移金属の量が多すぎると、担持率の低下、クラスターサイズの肥大化、使用中における金属の漏出などが発生する。また一般に、担体に対する遷移金属の担持量が少ないほど小さなクラスターが得られる。
【0017】
ポリシラン化合物に担持される遷移金属原子又は遷移金属化合物の量は、ポリシラン担持遷移金属1グラム当たり遷移金属原子に換算して0.01~0.5ミリモル、好ましくは0.02~0.4である。また、ポリシラン/無機化合物担持遷移金属1グラム当たり、遷移金属原子に換算して0.002~0.5ミリモル、好ましくは0.005~0.4ミリモルである。
担持可能な量に下限はないが、担持量が低すぎると触媒反応時に単位重量当たりの触媒活性が低下する。また、後に述べるパラジウムや白金を担持したポリシラン化合物の架橋の際に、担持量が少ないと架橋効率が低下する場合がある。これらの金属を担持したポリシラン化合物を加熱、紫外線などにより架橋させる場合は、ポリシラン1gに対して0.02モル以上の遷移金属を担持することが好ましい。

【0018】
担持された遷移金属は、0価の金属として担持されていても、原料の遷移金属化合物のまま担持されていても、又は一度0価に還元された後に酸化反応等を受けて様々な形態に変化して担持されていてもよい。これらは、遷移金属の種類や製造法によっても影響を受ける。例えば、希土類金属や第4周期の遷移金属の多くは、ホウ素化物、水素化物或いはハロゲン原子や酸素化合物との複合体等を形成した遷移金属化合物として担持されていると推定されている。また、金、白金、パラジウムなどは0価の微小金属クラスターとして担持されていると考えられる。
【0019】
ポリシラン化合物に遷移金属を固定する方法には特に制限は無いが、その好ましい方法の一例を以下に示す。
まずポリシラン化合物に対する良溶媒に、ポリシラン化合物及び遷移金属化合物、並びに必要な場合は還元剤を混合する。ここで、ポリシラン化合物、遷移金属化合物、還元剤を加える順番に厳密な制約はないが、遷移金属化合物が還元される際に、反応系中にポリシラン化合物が存在することで遷移金属の微小クラスターが安定化されるため、遷移金属の還元が開始する時点でポリシラン化合物は溶解していることが好ましい。良溶媒はポリシラン化合物の構造にもよるが、代表的なポリシラン化合物であるポリ(メチルフェニルシラン)など多くのポリシラン化合物は、テトラヒドロフラン、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素に溶解する。ここで芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどが、ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどが好適であり、これらの混合溶媒を用いることもできる。ポリシラン化合物に対する良溶媒の量は、ポリシラン化合物の分子量や溶解性にもよるが、ポリシラン化合物1gに対して、通常3~50ml、好ましくは5~20mlである。
【0020】
ポリシラン化合物と混合する際の遷移金属化合物の構造としては、金属の価数、配位子の種類に特に制限はない。この遷移金属化合物は2種以上の遷移金属化合物からなっていてもよい。配位子は陰イオンでも中性配位子でもよく、陰イオンとしては、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン化物イオン、アセテート、トリフラート、メシラート、アルコキシド、アセチルアセトネート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、シアノ、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、水酸化物、ニトレート、スルホネート、又はこれらの複合塩や水和物などを用いることができる。また、中性配位子としてはトリフェニルホスフィンなど種々のホスフィン配位子、カルボニル、アルケン、アルキン、π-アリル、シクロペンタジエニル、ベンゼン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン等が挙げられる。
【0021】
より具体的には、ビス(2,4-ペンタンジオネート)チタニウム(IV)オキシド、ジクロロチタニウムジイソプロポキシド、テトラ-n-ブチルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、塩化チタン(III)、塩化チタン(IV)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)バナジウム(IV)オキシド、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、酢酸クロム(III)、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、硝酸クロム(III)、ピリジニウムクロロクロメート、ピリジニウムジクロメート、トリス(2,4-ペンタンジオネート)クロム(III)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、塩化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)マンガン(II)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)マンガン(II)、トリス(2,4-ペンタンジオネート)マンガン(III)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、フェロセン(II)、n-ブチルフェロセン(II)、トリス(2,4-ペンタンジオネート)鉄(III)、酢酸コバルト(II)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)コバルト(II)、トリス(2,4-ペンタンジオネート)コバルト(III)、塩化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、酢酸ニッケル(II)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)銅(II)、テトラクロロ銅(II)酸カリウム、酢酸亜鉛(II)、ビス(2,4-ペンタジオネート)亜鉛(II)、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、テトラキス(2,4-ペンタンジオネート)ジルコニウム(IV)、ジルコノセンジクロリド(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)プロポキシド、硝酸ジルコニウム(IV)、塩化ニオブ(V)、ニオブ(V)エトキシド、酢酸モリブデン(II)、塩化モリブデン(III)、塩化モリブデン(IV)、塩化モリブデン(V)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)モリブデン(IV)ジオキシド、塩化ルテニウム(III)、酢酸ロジウム(II)、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)-μ,μ'-ジクロロロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、ビス(2,4-ペンタンジオネート)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、酢酸銀(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)、塩化銀(I)、硝酸銀(I)、硫酸銀(I)、p-トルエンスルホン酸銀(I)、酢酸カドミウム(II)、塩化カドミウム(II)、硝酸カドミウム(II)、硫酸カドミウム(II)、アセチルアセトナトハフニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、ハフニウム(IV)エトキシド、ハフニウム(IV)イソプロポキシド、ハフノセンジクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)、塩化タンタル(V)、タンタル(V)エトキシド、塩化タングステン(IV)、タングステン(IV)エトキシド、ヘキサカルボニルタングステン、タングステン酸、塩化レニウム(III)、塩化レニウム(IV)、塩化レニウム(V)、レニウムペンタカルボニルクロリド、塩化オスミウム(III)、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、塩化金(I)、塩化金(III)、臭化金(III)、テトラシアノ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸、塩化(トリフェニルホスフィン)金(I)、酢酸水銀(I)、酢酸水銀(II)、塩化水銀(I)、塩化水銀(II)、硝酸水銀(I)、硝酸水銀(II)、硫酸水銀(I)、硫酸水銀(II)等を用いることができる。
【0022】
0価の遷移金属化合物を用いた場合は、配位子交換によりポリシラン化合物に遷移金属を担持することができる(Pd(PPh3)4,Ni(PPh3)4など)。例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムをポリ(メチルフェニルシラン)に担持する場合は、テトラヒドロフラン中、室温で数分から数十分攪拌すると反応液が黒変し配位子交換したことが判る。また、オレフィンを配位子としてを有する遷移金属化合物が配位子交換を起こしにくい場合は、単に加熱するか、水素ガスなどで不飽和結合を還元することにより配位子交換を促進することができる。
【0023】
遷移金属塩を用いた場合、通常熱分解又は還元処理によりポリシラン化合物に担持できるが、金属塩によっては加熱や還元剤を用いる還元処理を行わなくても担持可能である。
熱分解のための条件はポリシラン化合物の構造や良溶媒、金属塩の種類にもより異なるが、例えばパラジウムアセテートをポリ(メチルフェニルシラン)にテトラヒドロフラン中で担持する場合は0℃~室温下、1~2時間攪拌することで担持できる。パラジウムアセテートの熱分解は通常67℃で行われることから、この場合はポリシラン化合物が還元を促進していると推測されるが、ポリシラン化合物の役割は明確ではない。他の遷移金属塩とポリシラン化合物の組み合わせでは、温度は室温から良溶媒の沸点の範囲で、反応時間は数分間から数十時間の範囲で適宜調整する。
【0024】
還元剤を用いる場合もその構造と反応条件は金属塩、ポリシラン化合物、良溶媒の性質などによって適宜選択する必要がある。
還元剤の種類に制約はないが、例えば金属水素化物、金属水素錯化合物、ボラン誘導体、ヒドラジン誘導体、水素ガスなどが使用できる。金属水素化物としてはヒドロシラン類が簡便であり、例えばトリクロロシラン、トリメチルシランやトリエチルシランなどのトリアルキルシラン、トリメトキシシランやトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、ジアルキルアルコキシシランなどを例示できる。また、水素化トリフェニルスズや水素化トリ-n-ブチルスズなどの有機スズ水素化物、水素化ジイソブチルアルミニウム等も使用できる。金属水素錯化物としては水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、及びこれらの水素の一部をアルコキシ基や炭化水素基に置換した誘導体や他の金属塩などが例示できる。ボラン誘導体としてはジボラン、アミンボラン錯体、モノ又はジアルキルボランなどが例示できる。これらの中でもコストや安全性などを考慮すると、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロシラン化合物、水素ガスなどが好適である。還元における反応温度は反応液が固化する温度以上且つ沸点以下であればよいが、温度が高すぎると還元が急速に進行してクラスターサイズが大きく不揃いになりやすく、温度が低すぎると反応時間が長くなる。通常は数分間から30時間程で反応が完結する条件を選択する。また、還元反応の終了後、長時間放置するとクラスターサイズが大きくなる場合がある。多くの場合、還元の進行とともに反応液に着色が認められる。還元剤を使用することにより、ほとんどの遷移金属塩からポリシラン担持遷移金属を製造することが可能である。
【0025】
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いた場合、後に述べるICPによる分析結果から、銅、ニッケル、サマリウムなどの金属に於いては、ホウ化物を形成してポリシランに担持されていると推定される。
【0026】
配位子交換、熱分解、又は還元が終了した後、効率よく攪拌しながら貧溶媒を加えることで遷移金属をポリシラン化合物に担持できる(マイクロカプセル(MC)化)。貧溶媒の種類はポリシラン化合物の構造により異なるが、ポリ(メチルフェニルシラン)など多くのポリシラン化合物の場合は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素が好適である。良溶媒の種類によっては水、アセトン、エーテル、アセトニトリルなどが使用できる場合がある。さらにこれらの混合溶媒が好適な場合もある。特に、無機塩が生成する還元剤を使用した場合には、水を含む貧溶媒を用いることで無機塩を容易に除去できる。
【0027】
貧溶媒の量は良溶媒に対して0.5~20(体積比)倍、好ましくは1~10倍であり、加える際の温度は反応液が固化する温度以上、沸点以下であればよいが、通常は0℃~室温が好適である。貧溶媒の添加時間は加える貧溶媒の体積にもよるが、添加速度が速すぎると触媒金属がポリシラン上に不均一に担持され易いため、通常、数分間から24時間、より好ましくは10分間から6時間である。貧溶媒の滴下により遷移金属を担持したポリシラン化合物が析出し、十分な貧溶媒を加え終わった後、濾過又は遠心分離などにより沈殿物を回収する。回収した沈殿物はポリマーを溶解しない溶媒で数回洗浄するが、マイクロカプセル化に使用する貧溶媒と洗浄溶媒が同一である必要はない。例えば、貧溶媒としてヘキサンを使用して得られたポリシラン担持遷移金属が、還元剤や遷移金属塩由来の無機塩を含む場合は、含水アルコールで洗浄することにより前記不純物を除去できる。回収率よく遷移金属がポリシラン化合物に担持されると、沈殿物回収後の濾液はほとんど無色であるが、回収率が悪い場合には濾液が着色する場合が多い。
【0028】
上記の方法を用いると異種金属が容易に担持可能である。通常、遷移金属クラスターを調整する場合、遷移金属塩や遷移金属錯体の種類によって還元剤や処理温度などの担持条件が大きく異なるため、異種金属の担持は困難な場合が多い。本発明で用いられるポリシラン化合物は種々の遷移金属を比較的類似の条件で担持できることから、異種金属の担持条件の設定が容易である。例えば、数種類の遷移金属ハロゲン化物をポリ(メチルフェニルシラン)に担持する場合、テトラヒドロフラン中、水素化ホウ素ナトリウムと室温~還流条件下で数時間攪拌後、ヘキサン又はイソプロピルアルコール等の貧溶媒を滴下し、生成した沈殿物を濾過、含水アルコールで洗浄することにより、多くの金属が収率良く担持できる。
【0029】
得られたポリシラン担持遷移金属化合物は乾燥後、吸光光度法、ICP、蛍光X線などを用いて金属の担持量を決定できる。この際、前処理操作によりケイ素成分を除去し、且つ金属を酸化することで高い分析精度が得られる。例えばポリ(メチルフェニルシラン)に担持されたパラジウムの分析においては、パラジウム担持ポリシラン化合物を王水中で加熱し、その後抽出操作によりケイ素成分とパラジウムイオンを分離して水相をICPや原子吸光分析することで定量できる。
【0030】
このようにして得られたポリシラン担持遷移金属化合物は、加熱、光照射、マイクロウェーブ照射、架橋剤を用いる化学反応等によりポリシランの主鎖同士が架橋し、種々の溶剤に不溶性となる。
加熱による架橋の場合、ポリシラン担持遷移金属化合物を無溶媒下、大気中又は酸素雰囲気のもとで加熱する。架橋条件は担持金属の種類やポリシラン化合物の構造により異なるが、白金やパラジウムを担持したポリ(フェニルメチルシラン)の場合、反応温度は80℃~250℃、好ましくは100℃~160℃、反応時間は1時間~24時間、好ましくは2時間~8時間加熱処理することによりテトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルムに不溶性となる。加熱後、良溶媒で洗浄して非架橋ポリマー及び低分子化したシランオリゴマーを除去するが、加熱が十分であればこの処理で遷移金属は漏出しない。加熱架橋によるゲル分率((加熱後良溶媒で洗浄、乾燥後の重量)÷(架橋反応前の重量))は適切な条件下では通常60~100%であり、ゲル分率が60%以上であれば、洗浄によって遷移金属はほとんど漏出しない。従って、このよう場合はポリマーの単位重量に対する遷移金属の担持量が架橋前に比べて増加する。
【0031】
前記のパラジウムや白金を担持したポリシラン化合物の熱架橋条件では、遷移金属を担持していない原料ポリシラン化合物は全く不溶化しないことから、この架橋反応においては、担持された遷移金属が関与していることが明らかである。また、無酸素下では熱架橋が阻害されること、熱架橋の前後のポリシラン化合物のIRスペクトルではシロキサン(Si-O-Si)由来の吸収が増加していることから、少なくとも架橋の一部にはシロキサン結合が関与していると推定される。
ポリシラン化合物は光照射によっても架橋する。架橋条件は、ポリシラン化合物の構造や遷移金属の種類及び担持量により異なるが、通常、ポリシラン担持遷移金属化合物の粉末に無溶媒下、又はポリシランの貧溶媒であるデカンなどの脂肪族炭化水素中に懸濁させながら紫外線を照射することによりなされる。光源としては、ハロゲンランプのような連続スペクトル光源、各種レーザー、水銀灯などの不連続スペクトル光源のいずれも使用可能である。さらに、本発明のポリシラン担持遷移金属化合物はマイクロウェーブによっても架橋できる
【0032】
一方、ポリシラン化合物の主鎖に、側鎖として架橋性置換基を結合させることにより、架橋性置換基に応じた公知の手法による架橋方法が可能である。架橋性置換基としては、ビニル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基等を用いることができる。
例えば、Kipping法によるポリシラン化合物の合成の際にモノマー成分としてメチルビニルジクロロシランなどビニル基を有するジクロロシランを共存させ、ビニル基を有するポリシランコポリマーが製造できる。このようなビニル基含有ポリシラン化合物は、ヘキサクロロ白金酸及びトリエトキシシランと混合することによりヒドロシリル化反応を起こし、続いて、前記のマイクロカプセル化により、トリアルコキシ基を有するポリシラン担持白金化合物を与える。この化合物は温和な熱処理により架橋するばかりでなく、ガラスやシリカなどSi-OH基を有する材料と供に加熱処理することで、これらの材料表面に白金担持ポリシラン化合物を固定することができる。
【0033】
また、芳香環-ケイ素結合を有するポリシラン化合物を塩化アルミニウムなどのルイス酸存在下、塩化水素ガスと処理することによりクロロシラン(Si-Cl)構造を有するポリシラン化合物が得られることが知られている。このSi-Cl結合は種々の求電子剤と置換反応することから、これを利用して架橋や、高機能化が可能である。例えば、水と処理することによりSi-OH結合が形成し、このものは温和な加熱により脱水架橋する。また、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの親水性の官能基を有する求核剤と処理することにより、ポリシラン化合物に親水性を付与できる。親水性ポリシラン化合物から調整されたポリシラン担持遷移金属化合物は、水系溶媒中での触媒反応に有用である。
【0034】
主鎖のケイ素に架橋性置換基を導入するばかりでなく、側鎖置換基も公知の手法により種々の誘導化が可能である(特開2001-253721)。側鎖フェニル基はクロロメチルメチルエーテル-四塩化スズでクロロメチル化できる。このクロロメチル基を利用することにより架橋性ポリシラン化合物や親水性ポリシラン化合物が製造できる。
【0035】
このようにして得られたポリシラン担持遷移金属触媒は、遷移金属がポリシラン化合物中の芳香環及びケイ素-ケイ素間の共役したシグマ結合との相互作用により安定化された超微粒子として担持されていると考えられ、各種の反応に対して高い触媒活性を示す。
【0036】
さらに、遷移金属触媒は、ポリシラン化合物及び無機化合物に担持することも可能である。ポリシラン化合物に加えて、更に無機担体に固定することにより、多くの場合、濾過性及び安定性の向上が認められる。また、表面積の増加やクラスターサイズの微小化により触媒活性が向上する場合も多い。ここでの無機担体としては、種々の金属酸化物、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム塩などの硫酸塩、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸塩などを用いることが可能である。この無機化合物(無機担体)としては、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム又はジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1種の金属酸化物が好適であり、これらはアルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカなど単独の金属酸化物として、又はゼオライトやシリカ-アルミナなどの複合金属酸化物としても用いることができる。
【0037】
前記のポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒の製造方法としては、既に述べたマイクロカプセル化法が好適である。即ち、遷移金属化合物を、還元剤の共存下又は非共存下で、ポリシランの溶液と混合し、その後ポリシランに対する貧溶媒を加えて遷移金属を含むポリシランを相分離させる手法であるが、その際、貧溶媒を加えるまでの操作の間に無機化合物を添加しておくことにより、ポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒を製造できる。ここで無機化合物を加えるタイミングは、貧溶媒を加えるまでの間であればいつでもよいが、遷移金属化合物とポリシランが混合された後、好ましくは貧溶媒を加える5分間以上前、より好ましくは30分間以上前である。用いる無機化合物の量は、遷移金属の種類やポリシランの構造により最適値が異なるが、通常はポリシランに対して0.1~20(w/w)、好ましくは1~10(w/w)である。
【0038】
このようにして得られたポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒は前記ポリシラン担持遷移金属触媒と同様に、遷移金属がポリシラン化合物中の芳香環及びケイ素-ケイ素間の共役したシグマ結合との相互作用により安定化された超微粒子として担持されていると考えられるが、遷移金属の一部は無機化合物に担持されポリシランで安定化されている可能性もある。本触媒も各種の反応に対して高い触媒活性を示す。
【0039】
このポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒はポリシラン化合物は無機化合物と物理的吸着により担持されていると推定され、前記ポリシラン化合物担持遷移金属触媒の場合と同様、ポリシラン化合物の良溶媒や配位性の化合物によりポリシラン化合物の溶解や遷移金属の漏出が起こりやすい。しかしながらこのポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒の場合も加熱することで、ポリシラン化合物同士の架橋や、ポリシラン化合物と無機化合物との間の結合を形成しポリシラン化合物の溶解や遷移金属の漏出を抑制できる。加熱条件は前記ポリシラン化合物担持遷移金属触媒の場合と同様の条件も使用できるが、ポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒の場合は、無酸素条件(例えば減圧下やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下)、或いはポリシラン化合物の貧溶媒中に懸濁させた状態でも架橋が円滑に進行する。この場合の貧溶媒としては沸点が100℃以上でポリシラン化合物の溶解度が低いものであれば使用でき、炭素数が8~18の鎖状炭化水素が好ましい。

【0040】
本発明のポリシラン担持遷移金属触媒及びポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒は、液相の種々の還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応に有効に使用することができる。
例えば、パラジウム担持ポリシラン化合物は水素化反応、水素化分解、Heck反応、鈴木-宮浦カップリング反応、薗頭反応、カルボニル化反応などを触媒する。さらにこれらの反応中、通常ホスフィン配位子などの添加剤が必要な反応において、本ポリシラン担持パラジウム触媒は配位子の添加なしでも高活性を示す場合があることから、簡便性、経済性、環境適合性などにおいて有用である(実施例9B)。
白金担持ポリシラン化合物はオレフィンのヒドロシリル化反応、ホウ素化反応などの触媒として高活性を示す。
銅担持ポリシラン化合物はニトロアルドール反応などの触媒として高活性を示し、回収・再使用が可能である(実施例18)。

【0041】
これらの反応おいて、このポリシラン担持遷移金属触媒は、バッチ法では回収・再使用が容易であり、フロー系反応では長時間の連続使用が可能である。また、触媒からの金属の漏出や金属の凝集がほとんど発生しないことから、目的物の単離が容易、高純度の製品が得やすい、優れた経済性、低い環境負荷、資源・エネルギーの有効利用、高い安全性、等の利点を有する。
さらに、このポリシラン担持遷移金属触媒は、異種金属のブレンドが容易であること、比較的耐熱性が高いことなどから、酸化分解触媒、脱塩素触媒、脱硫触媒などとして、排ガス処理、PCB処理、軽油の改質、水処理などへの利用も期待される。
【実施例】
【0042】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
ポリマーの分子量は(株)島津製作所製ゲルパーミッショングロマトグラフィー(GPC)システム(SCL-10A,LC-10AD,RID-10A,CTO-10A,DGU-12A,カラム:shim-packgPC-803,804,8025)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフランを用いポリスチレンを検量線用スタンダードとして決定した。赤外吸収スペクトル(IR)は日本分光(株)製JASCO FT/IR-610型を用い、KBr錠剤法により測定した。H-NMR及び13C-NMRは日本電子(株)製JEOL JNM-EX-LA400 又はJEOL JNM-EX-LA300を用い、重クロロホルムを溶媒として測定した。ポリマー中の金属含量は、蛍光X線((株)島津製作所製EDX-800)又は高周波プラズマ発光分析装置(ICP)((株)島津製作所製ICPS-7510)を用いて決定した。ガスクロマトグラフィー(GC)は(株)島津製作所製GC-17Aを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は(株)島津製作所製SPD-10A、LC-10AT、C-R6Aを用いた。透過型電子顕微鏡(TEM)は日本電子(株)製JEOL JEM-1200EXIIを用いて測定した。
【0043】
製造例1A:ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
還流したテトラヒドロフラン(1000ml)中に金属ナトリウム(97g,4.2mol)を加えた後、ジクロロメチルフェニルシラン(2.0mol)を30分間で滴下した。3時間還流下で激しく攪拌した後、室温まで放冷し、さらに氷浴で冷却した。トルエン(500ml)を加えた後、3M塩酸(500ml)をゆっくり滴下し過剰のナトリウムを分解した。上層と下層を分離し、上層(有機相)は水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。下層(水相)は、水を加えて析出した食塩を溶解し、トルエンで抽出、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。それぞれの乾燥剤を濾別し、併せて減圧濃縮した。得られた油状物にメタノールを加え、析出した沈殿を遠心分離により回収した。得られた白色固体をトルエンに溶解し、このものにイソプロピルアルコールを滴下して再沈殿させた。生じた沈殿物を遠心分離により集め、イソプロピルアルコールで次洗浄後、55℃で減圧乾燥することによりポリ(メチルフェニルシラン)を白色粉末として得た。収量135g(収率56%)。
生成物はポリシラン(96%、Mw=32,000、Mn/Mw=2.87)とオリゴシラン(4%、Mw=1,700、Mn/Mw=1.03)の混合物であった。
【0045】
製造例1C:ポリ(メチルフェニルシラン-co-ジフェニルシラン)の製造
還流したテトラヒドロフラン(1000ml)中に金属ナトリウム(97g,4.2mol)を加えた後、ジクロロメチルフェニルシラン(1.0mmol)とジクロロジフェニルシラン(1.0mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を40分間で滴下した。3時間還流下で激しく攪拌した後、室温まで放冷し、さらに氷浴で冷却した。トルエン(500ml)を加えた後、3M塩酸(500ml)をゆっくり滴下し過剰のナトリウムを分解した。上層と下層を分離し、上層(有機相)は水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。下層(水相)は、水を加えて析出した食塩を溶解し、トルエンで抽出、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。それぞれの乾燥剤を濾別し、併せて減圧濃縮した。得られた油状物にメタノールを加え、析出した沈殿を遠心分離により回収した。得られた白色固体をトルエンに溶解し、このものをイソプロピルアルコールに滴下して再沈殿させた。生じた沈殿物を遠心分離により集め、イソプロピルアルコールで次洗浄後、40度で減圧乾燥することによりポリ(メチルフェニルシラン-co-ジフェニルシラン)を白色粉末として得た。収量149g。
生成物は、ポリシラン(70%、Mw=5,400)とオリゴシラン(25%、Mw=1,900及び5%、Mw=500)の混合物であった。
【0046】
製造例1D:ポリ(ジメチルシラン-co-ジフェニルシラン)の製造
還流したテトラヒドロフラン(1800ml)中に金属ナトリウム(71g,3.1mol)を加えた後、ジクロロジフェニルシラン(0.76mol)とジクロロジメチルシラン(0.76mol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を1時間で滴下した。5時間還流下で激しく攪拌した後、室温まで放冷し、さらに氷浴で冷却した。トルエン(500ml)を加えた後、3M塩酸(500ml)をゆっくり滴下し過剰のナトリウムを分解した。上層と下層を分離し、上層(有機相)は水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。下層(水相)は、水を加えて析出した食塩を溶解し、トルエンで抽出、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。それぞれの乾燥剤を濾別し、併せて減圧濃縮した。得られた油状物にメタノールを加え、析出した沈殿を遠心分離により回収した。得られた白色固体をトルエンに溶解し、このものをイソプロピルアルコールに滴下して再沈殿させた。生じた沈殿物を遠心分離により集め、イソプロピルアルコールで次洗浄後、55℃で減圧乾燥することによりポリ(ジメチルシラン-co-ジフェニルシラン)を白色粉末として得た。収量85g。
生成物は、ポリシラン(66%、Mw=21,000、Mw/Mn=2.13)とオリゴシラン(34%、Mw=1,900、Mw/Mn=1.04)の混合物であった。
【0047】
製造例1E:ポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)の製造
還流したテトラヒドロフラン(100ml)中に金属ナトリウム(9.7g,0.42mol)を加えた後、ジクロロシクロヘキシル(メチル)シラン(0.20mol)を30分間で滴下した。4時間還流下で激しく攪拌した後、室温まで放冷し、さらに氷浴で冷却した。トルエン(50ml)を加えた後、3M塩酸(50ml)をゆっくり滴下し過剰のナトリウムを分解した。上層と下層を分離し、上層(有機相)は水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。下層(水相)は、水を加えて析出した食塩を溶解し、トルエンで抽出、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。それぞれの乾燥剤を濾別し、併せて減圧濃縮した。得られた油状物にメタノールを加え、析出した沈殿を遠心分離により回収した。得られた白色固体をトルエンに溶解し、このものにイソプロピルアルコールを滴下して再沈殿させた。生じた沈殿物を遠心分離により集め、イソプロピルアルコールで次洗浄後、55℃で減圧乾燥することによりポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)を白色粉末として得た。収量8.0g(収率30%)。
得られたポリシランはGPCによる分析の結果、Mw=21,000、Mn/Mw=1.98であった。
【0048】
遷移金属及びホウ素の定量分析方法
ポリシラン担持遷移金属(100mg)を試験管に入れ、クロロホルム(2ml)を加え、超音波洗浄機にて3分間超音波処理した。これを徐々に100℃まで加熱しクロロホルムを留去した後、室温に戻した。硫酸(1ml)を加えた後、アルミブロック恒温槽中で150℃、2時間加熱した。続いて、硝酸(2ml)を少々に分けて2時間で加えた。室温に戻し水で希釈した後、不溶物をメンブランフィルターで濾別し、濾液を規定量(25ml)に希釈した後、ICPにより定量した。遷移金属をポリシランに担持した際の濾液など、ポリシランを含む溶媒中の遷移金属は、溶媒を減圧留去した後、同様の方法で定量した。触媒反応後の反応液などポリシランを含まない溶液中の遷移金属は、反応液をそのまま、又は必要に応じて濃縮した後に蛍光X線を用いて定量した。
還元剤を用いてポリシランに担持した白金担持ポリシランは、白金担持ポリシラン(100mg)を試験管に入れ、水(2ml)と硝酸(1ml)を加え、アルミブロック恒温槽中で200℃、2時間加熱した。室温に戻し、硝酸(1ml)とふっ酸(1ml)を加え再度200℃で加熱した。液が透明になるまで、硝酸-ふっ酸処理を繰り返し、透明になった後、内容物を乾固させた。室温に戻し、王水(1ml)と水(1ml)を加えた、再びアルミブロック恒温槽中で加熱して蒸発乾固させた。水で規定量(25ml)に希釈した後、ICPにより定量した。検量線は遷移金属塩化物の標準液を希硫酸又は希塩酸で希釈して作成した。
ホウ素を含む還元剤を使用して調製したポリシラン担持遷移金属の一部に関しては、遷移金属と同時にホウ素の定量も実施した。その結果、銅、サマリウムからホウ素が検出された。
【0049】
実施例1A1:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(10g)をテトラヒドロフラン(80ml)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、1.0mmol)を加えた。室温で攪拌を続けると約10分間で溶液が黄色から黒色に変化した。16時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(320ml)を2時間で滴下した。生成した沈殿(マイクロカプセル化パラジウム)を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム担持ポリシランを得た。収量7.8g、パラジウム含量0.13mmol/g(回収率100%)。
このものはクロロホルム及びテトラヒドロフランに易溶、メタノール及びヘキサンには不溶であった。TEMによる観察の結果、1nm以上のクラスターは観察されなかったことから、パラジウムはサブナノサイズのクラスターとして担持されていると推定される。
ポリシランに対するテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの量を変えて同様の反応を行い、導入量の異なるパラジウム含有ポリ(メチルフェニルシラン)を得た(実施例1A2~A4)。また、良溶媒と貧溶媒を換えて収量とPdの導入量を比較した(実施例1A5-1A7)。さらに、マイクロカプセル化の反応時間と温度を変えて検討した(実施例1A8-1A14)。(表1)
【0050】
実施例1B:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8.0ml)に溶解し、氷冷下で酢酸パラジウム(Pd(OAc)、0.10mmol)を加えた。直ちに僅かに発熱を伴いながら溶液が黒色に変化した。8時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿(マイクロカプセル化パラジウム)を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム担持ポリシランを得た。収量0.85g、パラジウム含量0.11mmol/g(Pd回収率94%)。TEMによる観察の結果、1nm以上のクラスターは観察されなかったことから、パラジウムはサブナノサイズのクラスターとして担持されていると推定される。
【0051】
実施例1C:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(3)
酢酸パラジウム(0.1mmol)を加えた後、水素化ホウ素ナトリウム(0.50mmol)を加え、貧溶媒として5%含水メタノールを使用した以外は実施例1Bと同様の操作でパラジウム担持ポリシランを得た。
収量0.79g、パラジウム含量0.12mmol/g(Pd回収率95%)。
【0052】
実施例1D: パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(4)
酢酸パラジウムを加えた後、トリエチルシラン(0.50mmol)を加えた以外は実施例1Bと同様の操作でパラジウム担持ポリシランを得た。収量0.84g、パラジウム含量0.11mmol/g(回収率92%)。
【0053】
実施例1E:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(5)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8.0ml)に溶解し、氷冷下で硝酸パラジウム(Pd(NO、0.10mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(0.50mmol)を加えた。4時間攪拌を続けたのち、貧溶媒として5%含水メタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿(マイクロカプセル化パラジウム)を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム担持ポリシランを得た。
収量0.88g、パラジウム含量0.095mmol/g(Pd回収率84%)。
【0054】
実施例1F:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(6)
水素化ホウ素ナトリウムの代わりにトリエチルシラン(0.50mmol)を用い、貧溶媒としてメタノールを使用した以外は実施例1Eと同様の操作でパラジウム担持ポリシランを得た。収量0.90g、パラジウム含量0.091mmol/g(Pd回収率82%)。
【0055】
実施例1G:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(7)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8.0ml)に溶解し、氷冷下で硝酸パラジウム(Pd(NO、0.10mmol)を加えた。水素雰囲気下で4時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿(マイクロカプセル化パラジウム)を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム担持ポリシランを得た。収量0.89g、パラジウム含量0.11mmol/g(Pd回収率98%)。
【0056】
実施例1H:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(8)
実施例1Eの硝酸パラジウムの代わりに塩化パラジウム(PdCl,0.10mmol)を用いて同様の反応、後処理を行い、パラジウム担持ポリシランを得た。
収量0.82g、パラジウム含量0.10mmol/g(Pd回収率82%)。
【0057】
実施例1I:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(9)
水素化ホウ素ナトリウムに換えて トリエチルシラン(0.50mmol)を用い、貧溶媒としてメタノールを使用する以外は実施例1Hと同様の操作でパラジウム担持ポリシランを得た。収量0.91g、パラジウム含量0.10mmol/g(Pd回収率91%)。
【0058】
実施例1J:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(10)
実施例1Gの硝酸パラジウムの代わりに塩化パラジウム(PdCl,0.10mmol)を用いて同様の反応、後処理を行い、パラジウム担持ポリシランを得た。
収量0.84g、パラジウム含量0.09mmol/g(Pd回収率76%)。
【0060】
実施例3:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン-co-ジフェニルシラン)の製造
ポリ(メチルフェニルシラン)の代わりに、製造例1Cで合成したポリ(メチルフェニルシラン-co-ジフェニルシラン)(2.0g)を用い、実施例1Aと同様の方法でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh,0.20mmol)と処理することにより、パラジウム担持ポリシランを得た。収量1.57g、含量0.12mmol/g(Pd回収率94%)。
【0061】
実施例4:パラジウム担持ポリ(ジメチルシラン-co-ジフェニルシラン)の製造
ポリ(メチルフェニルシラン)の代わりに、製造例1Dで合成したポリ(ジメチルシラン-co-ジフェニルシラン)(2.0g)を用い、実施例1Aと同様の方法でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、0.20mmol)と処理することにより、パラジウム担持ポリシランを得た。収量0.98g、パラジウム含量0.11mmol/g(Pd回収率54%)。
【0062】
実施例5:パラジウム担持ポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)の製造
ポリ(メチルフェニルシラン)の代わりに、製造例1Eで合成したポリ(シクロヘキシル(メチル)シラン)(1.0g)を用い、実施例1Aと同様の方法でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、0.10mmol)と処理することにより、パラジウム担持ポリシランを得た。実施例1では目的物を回収した際の濾液は無色であったが、本実施例では濾液は茶色に着色した。収量0.78g、パラジウム含量0.10mmol/g(Pd回収率78%)。
【0063】
実施例6:不溶性パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
実施例1Aで合成したパラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)(0.50g)を大気中、無溶媒下、140℃で6時間加熱処理した。室温まで冷却し、テトラヒドロフラン(5ml)を加え、55℃で1時間攪拌したのち濾過し、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メタノールで洗浄した。得られた不溶物を55℃で減圧乾燥し、不溶性パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を黒茶色の粉末として得た。収量0.34g、パラジウム含量0.18mmol/g(Pd回収率94%)。
なお、パラジウムを含まないポリ(メチルフェニルシラン)(製造例1A)は、上記と同様の加熱処理をしてもテトラヒドロフランに容易に溶解した。
【0064】
実施例7:パラジウム担持ポリシラン触媒を用いたケイ皮酸エチルの水素化反応
ケイ皮酸エチル(1.0mmol)をヘキサン(2.0ml)に溶解し、実施例1~5で得られたパラジウム担持ポリシラン(Pd換算で5μmol)を加えて水素雰囲気下で攪拌し、0.5時間及び2時間後の3-フェニルプロピオン酸エチルの生成量をガスクロマトグラフィーで定量した。結果を表1に示す。
【化1】
JP0004840584B2_000002t.gif
分析条件
Column:J & W Scientific,DB-1(100% Dimethylpolysiloxane),I.D. 0.25μm,60m
Carrier : He at 20.1 cm/sec,Injector : 200℃,Detector : 250℃,
Conditions : 100-250℃ at 10℃/min,250℃ for 10min
Internal Standard : Naphthalene
また、実施例1Bで製造した触媒を用いて本反応における触媒の回収・再使用を検討した結果(反応時間2時間)、5回までの使用で水添反応は定量的に進行し、触媒の回収率は平均97%、パラジウムの漏出は最大で0.06%(平均0.03%)であった。
なお、実施例7で実施した水素化反応に於いて、大部分の触媒は定量的に回収されたが、実施例5で調製した触媒を用いた場合の回収率は20%であった。このことから、触媒の安定性に側鎖フェニル基が有効であると推定される。
【0065】
実施例8:パラジウム担持ポリシラン触媒を用いた薗頭カップリング反応
ヨードベンゼン(0.40mmol)とフェニルアセチレン(0.40mmol)をエタノール(2ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.80mmol)と実施例1A1で得られたパラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)(Pd換算で0.02mmol)を加え、80℃で12時間攪拌した。室温にて触媒を濾別し、エタノールと水で洗浄した。濾液を濃縮後、酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、ジフェニルアセチレンが収率66%で得られた。反応後の濾液からはパラジウムが検出されず(蛍光X線)、触媒は定量的に回収された。
Diphenylacetylene : 1H-NMR(CDCl3)δ = 7.32-7.37(m,6H),7.52-7.55(m,4H); 13C-NMR(CDCl3)δ = 89.4,123.3,128.3,128.4,131.6.
【0066】
実施例9:パラジウム担持ポリシラン触媒を用いた鈴木-宮浦カップリング反応
4-ブロモアセトフェノン(0.40mmol)とフェニルホウ酸(0.40mmol)をエタノール(2ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.80mmol)、実施例1A1で得られたパラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)(Pd換算で0.02mmol)、トリス(o-トリルホスフィン)(0.02mmol)とを加え、80℃で2時間攪拌した。室温にて触媒を濾別し、エタノールと水で洗浄した。濾液を濃縮後、酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで生成したところ、4-アセチルビフェニルが収率94%で得られた。反応後の濾液からはパラジウムが検出されず(蛍光X線)、触媒は定量的に回収された。回収した触媒を用いて同じ反応を繰り返したところ、目的物が定量的に得られ、この際もパラジウムの漏出は認められなかった。
4-Acetylbiphenyl : 1H-NMR(CDCl3)δ = 2.60(s,3H),7.35-7.46(m,3H),7.58-7.66(m,4H),8.00(d,2H,J = 8.6 Hz); 13C-NMR(CDCl3)δ = 26.5,127.1,127.1,128.1,128.8,128.8,135.7,139.7,145.6,197.6.
【0067】
実施例10:外部配位子を添加しないパラジウム担持ポリシラン触媒を用いた鈴木-宮浦カップリング反応
実施例8Bの反応を、トリス(o-トリルホスフィン)を添加せずに実施したところ、4-アセチルビフェニルが収率81%で得られた。反応後の濾液からはパラジウムが検出されず(蛍光X線)、触媒は定量的に回収された。
【0068】
実施例11A:白金担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(10g)をテトラヒドロフラン(80ml)に溶解し、室温でヘキサクロロ白金酸・6水和物(HPtCl・6HO、1.0mmol)を加えた。室温でトリエトキシシラン(HSi(OEt)、10mmol)を加え24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてヘキサン(400ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた粉末を55℃で減圧乾燥して白金担持ポリシランを得た。収量8.76g、白金含量0.11mmol/g(Pt回収率96%)。
基質、還元剤及び反応条件を変えて実施した結果を表2に示す。
【0069】
実施例12:不溶性白金担持ポリシランの製造
実施例11Aで製造した白金担持ポリ(メチルフェニルシラン)(5.0g)を大気中、無溶媒下、140℃で2時間加熱処理した。室温まで冷却後、テトラヒドロフラン(50ml)を加え、55℃で1時間攪拌したのち濾過、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メタノールで洗浄した。得られた粉末を55℃で減圧乾燥して不溶性白金担持ポリ(メチルフェニルシラン)を灰色粉末として得た。
収量4.15g。白金含量0.12mmol/g(Pt回収率91%)。
なお、同じ量の原料を用い、加熱温度120℃、加熱時間6時間で架橋した場合の不溶性白金担持ポリシランの収量は4.25gであった。
【0070】
実施例13:白金担持ポリシラン触媒を用いたジフェニルアセチレンの水素化反応
実施例11Mで得られた白金担持ポリシラン(Pt換算で25μmol)に、ジフェニルアセチレン(0.25mmol)のヘキサン(3.0ml)溶液を加え、水素雰囲気下で1時間攪拌した。反応液に内部標準物質としてデュレンを加え、濾過後、減圧濃縮し、得られた残渣のH-NMRを測定した結果、1,2-ジフェニルエタンが定量的に生成していた。また、濾液の蛍光X線分析では、触媒から白金の漏出は認められなかった。
1,2-Diphenylethane : 1H-NMR(CDCl3)δ = 2.96(s,4H),7.16-7.20(m,6H),7.25-7.29(m,4H)
【0071】
実施例14:白金担持ポリシラン触媒を用いた4-メチル-2,4-ジフェニルペンテンの水素化反応
4-メチル-2,4-ジフェニルペンテン(1.0mmol)を実施例13と同様の方法で水添し、NMRで定量した結果、2-メチル-2,4-ジフェニルペンタンが92%で生成していた。濾液の蛍光X線分析から、触媒から白金の漏出は認められなかった。
2-Methyl-2,4-diphenylpentane : 1H-NMR(CDCl3)δ= 1.02(d,3H),1.14(s,3H),1.24(s,3H),1.49(dd,1H,J=5.0,14.0 Hz),2.05(dd,1H,J=7.2,14.0 Hz),2.53(m,1H),7.00-7.29(m,10H).12C-NMR(CDCl3)δ= 25.1,28.2,31.0,37.0,38.4,52.7,125.4,125.5,126.0,127.0,127.9,128.2,149.2,149.3.
【0072】
実施例15A:白金担持ポリシラン触媒を用いたヒドロシリル化反応(1)
4,4-ジフェニル-1-ブテン(化合物1,0.40mmol)とペンタメチルジシロキサン(0.6mmol)をヘキサン(2.0ml)に溶解し、実施例11Aで製造した白金担持ポリ(メチルフェニルシラン)(200mg,5.5mol%)を加え、20℃で2時間攪拌した。触媒を濾別後ヘキサンで洗浄し、濾液を濃縮後、ヘキサンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。(4,4-ジフェニルブチル)ペンタメチルジシロキサンを無色のオイルとして140mg(98%)、1,1-ジフェニルブタンを2mg(収率2%)得た。
(4,4-Diphenylbutyl)pentamethyldisiloxane : 1H-NMR(CDCl3)δ= 0.11-0.04(s x 2,15H),0.47-0.61(m,2H),1.20-1.39(m,2H),2.06(dt,J=7.7 Hz),3.90(t,1H,J=7.7 Hz),7.06-7.29(m,10 H)
【0073】
実施例15B:白金担持ポリシラン触媒を用いたヒドロシリル化反応(2)
ペンタメチルジシロキサンに代えてトリエトキシシラン(化合物2,0.6mmol)を用い、実施例15Aと同じ反応を行った。生成物は単離せず、デュレンを内部標準物質としてH-NMRを測定した結果、(4,4-ジフェニルブチル)トリエトキシシラン(化合物3)が85%、1,1-ジフェニルブタン(化合物4)が6%生成していた。
(4,4-Diphenylbutyl)triethoxysilane : 1H-NMR(CDCl3)δ= 0.62-0.73(m,2H),0.91(t,9H,J=7.0 Hz),1.33-1.49(m,2H),2.00(dt,2H,J=7.8 Hz),3.74(q,6H,J=7.0 Hz),3.91(t,1H,J=7.0 Hz),7.06-7.32(m,10H)
製造方法の異なる白金担持ポリシランを用いて同様の反応(下式)を行った結果を表2に示す。
【化2】
JP0004840584B2_000003t.gif

【0074】
実施例16:不溶性白金担持ポリシラン触媒を用いたヒドロシリル化反応
触媒として実施例12で製造した不溶性白金担持ポリ(メチルフェニルシラン)(67mg,2mol%)を用い、20℃で29時間攪拌した他は実施例15Bと同様の反応を行った。(4,4-ジフェニルブチル)トリエトキシシランが82%、1,1-ジフェニルブタンが1%生成していた。
【0075】
実施例17A:銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(2.0g)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶解し、塩化第一銅(CuCl、0.2mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,0.5mmol)を加えた。12時間攪拌を続けたのち、イソプロピルアルコール(40ml)を30分間で滴下し、続いて10%含水イソプロピルアルコール(40ml)を30分間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた灰緑色の粉末を55℃で減圧乾燥して銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量1.95g、銅含量0.10mmol/g(Cu回収率98%)、ホウ素含有量0.046mmol/g。
【0076】
実施例17B:銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
塩化第一銅に代えて酢酸銅水和物(Cu(OAc)・HO、0.2mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作により銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。
収量1.97g、銅含量0.098mmol/g(Cu回収率97%)、ホウ素含有量1.0mmol/g。
【0077】
実施例17C:銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(3)
水素化ホウ素ナトリウムに代えてトリエチルシラン(EtSiH,1.0mmol)を用い、実施例17Bと同様の操作により銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量1.82g、銅含量0.059mmol/g(Cu回収率54%)。
【0078】
実施例18:銅担持ポリシラン触媒を用いたニトロアルドール反応
p-ニトロベンズアルデヒド(0.4mmol)とニトロメタン(1.2mmol)のエタノール(2.0ml)溶液に、実施例17Bで合成した銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)(204mg,5mol%)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を濃縮後H-NMRにより分析したところ、2-ニトロ-1-(4-ニトロフェニル)エタノールが変換率95%で生成していた。
2-Nitro-1-(4-nitrophenyl)ethanol : 1H-NMR(CDCl3)δ= 3.10(s,1H),4.55-4.65(m,2H),5.62(dt,1H,J=8.0 Hz),7.63-7.65(m,2H),8.27-8.31(m,2H).
【0079】
実施例19A:ニッケル担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPh、0.1mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥してニッケル担持ポリシランを灰色の粉末として得た。収量0.94g、ニッケル含量0.073mmol/g(回収率68%)。
【0080】
実施例19B:ニッケル担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
塩化第一銅に代えて塩化ニッケル(NiCl、0.20mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作によりニッケル担持ポリ(メチルフェニルシラン)を白色粉末として得た。収量1.78g
【0081】
実施例20:コバルト担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
塩化第一銅に代えて塩化コバルト(CoCl、0.20mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作によりコバルト担持ポリ(メチルフェニルシラン)を灰色粉末として得た。収量1.65g。
【0082】
実施例21A:チタン担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(2.0g)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶解し、室温でチタンイソプロポキシド(Ti(OPr)、0.20mmol)を加えた。続いて、氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,1.0mmol)を加え、12時間攪拌した。5%含水メタノール(80ml)を1時間で滴下し、生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。55℃で減圧乾燥し、チタン担持ポリシランを黄色粉末として得た。収量2.00g、チタン含量0.080mmol/g(Ti回収率80%)、ホウ素含有量0.078mmol/g。
【0083】
実施例21B:チタン担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,1.0mmol)に代えてトリエチルシラン(EtSiH,2.0mmol)を用い、実施例22Aと同様の操作によりチタン担持ポリ(メチルフェニルシラン)を黄色粉末として得た。収量2.01g、チタン含量0.099mmol/g(Ti回収率99%)。
【0084】
実施例22:鉄担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
塩化第一銅に代えて塩化第二鉄・6水和物(FeCl・6HO,0.20mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作により鉄担持ポリシランを淡茶色粉末として得た。収量1.78g。
【0085】
実施例23:亜鉛担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
塩化第一銅に代えて塩化亜鉛(ZnCl,0.20mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作により亜鉛担持ポリシランを白色粉末として得た。収量1.81g。
【0086】
実施例24:ジルコニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(5.0g)をテトラヒドロフラン(80ml)に溶解し、ジルコニウムテトライソプロポキシド(Zr(OPr)、0.50mmol)のn-プロピルアルコール溶液(0.44ml)と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,2.0mmol)を加えた。24時間攪拌を続けたのち、メタノール(200ml)を2時間で滴下し、続いて10%含水メタノール(200ml)を2時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた白色の粉末を55℃で減圧乾燥してジルコニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量5.05g、ジルコニウム含量0.045mmol/g(Zr回収率46%)、ホウ素含有量0.036mmol/g。
【0087】
実施例25A:ルテニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(RuCl(PPh、0.1mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥してルテニウム担持ポリシランを灰色の粉末として得た。収量0.90g。
【0088】
実施例25B:ルテニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化ルテニウム水和物(RuCl・nHO、0.1mmol)とトリエトキシシラン(1.0mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてヘキサン(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥してルテニウム担持ポリシランを灰色の粉末として得た。収量0.70g。
【0089】
実施例26A:ロジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化ロジウム3水和物(RhCl・3HO、0.1mmol)とトリエトキシシラン(1.0mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてヘキサン(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥してロジウム担持ポリシランを灰色の粉末として得た。収量0.75g、ロジウム含量0.058mmol/g(Rh回収率43%)。
【0090】
実施例26B:ロジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー([RhCl(COD)]、0.05mmol)を加えた。水素雰囲気下、室温で1時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥してロジウム担持ポリシランを灰色の粉末として得た。収量0.95g、ロジウム含量0.058mmol/g(Rh回収率55%)。
【0091】
実施例27:オスミウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化オスミウム(OsCl、0.1mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(1.0mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。常圧下、室温で乾燥してオスミウム担持ポリシランを黒色の粉末として得た。収量0.91g。
【0092】
実施例28:イリジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
塩化第一銅に代えて塩化イリジウム(IrCl,0.20mmol)を用い、実施例17Aと同様の操作によりイリジウム担持ポリシランを灰色粉末として得た。収量1.76g。
【0093】
実施例29A:金担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(1)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化金酸・4水和物(HAuCl・4HO、0.1mmol)とトリエチルシラン(1.0mmol)を加えた。室温で1時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥して金担持ポリシランを淡桃色の粉末として得た。収量0.87g、金含量0.107mmol/g(Au回収率93%)。
【0094】
実施例29B:金担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造(2)
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、塩化(トリフェニルホスフィン)金(AuClPPh、0.1mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(1.0mmol)を加えた。室温で24時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。55℃で減圧乾燥して金担持ポリシランを淡桃色の粉末として得た。収量0.91g、金含量0.065mmol/g(Au回収率57%)。
【0095】
実施例30:サマリウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、ヨウ化サマリウム(SmI、0.1mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,1.0mmol)を加えた。24時間攪拌を続けたのち、メタノール(40ml)を1時間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた灰緑色の粉末を55℃で減圧乾燥してサマリウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量0.94g、サマリウム含量0.057mmol/g(Sm回収率54%)、ホウ素含有量0.038mmol/g。
【0096】
実施例31:イッテルビウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(3.0g)をテトラヒドロフラン(24ml)に溶解し、塩化イッテルビウム(YbCl、0.30mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH,1.0mmol)を加えた。24時間攪拌を続けたのち、メタノール(60ml)を30分間で滴下し、続いて10%含水メタノール(60ml)を30分間で滴下した。生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた白色の粉末を55℃で減圧乾燥してイッテルビウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量2.97g、イッテルビウム含量0.094mmol/g(Yb回収率93%)、ホウ素含有量0.075mmol/g。
【0097】
実施例32:パラジウム/銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(4.0g)をテトラヒドロフラン(32ml)に溶解し、室温で塩化パラジウム(PdCl、0.20mmol)、塩化銅(CuCl、0.20mmol)と、水素化ホウ素ナトリウム(1.0mmol)を加え、12時間攪拌した。イソプロピルアルコール(80ml)を1時間で滴下、続いて10%含水イソプロピルアルコール(80ml)を1時間で滴下し、生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム/銅担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量3.87g、パラジウム含量0.043mmol/g(Pd回収率83%)、銅含量0.045mmol/g(Cu回収率88%)、ホウ素含量0.023mmol/g。
【0098】
実施例33:白金/ロジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造とヒドロシリル化反応
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(2.0g)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶解し、室温でヘキサクロロ白金酸・6水和物(HPtCl・6HO、0.10mmol)、塩化ロジウム・3水和物(RhCl・3HO、0.10mmol)と、トリエトキシシラン(2.0mmol)を加え、24時間攪拌した。メタノール(80ml)を1時間で滴下し、生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥して白金/ロジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量1.31g、白金含量0.12mmol/g(Pt回収率94%)、ロジウム含量0.095mmol/g(Rh回収率74%)。得られた白金/ロジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)(200mg)を用いて、実施例15Bと同じ反応を行った。その結果、(4,4-ジフェニルブチル)トリエトキシシラン(化合物3)が86%、1,1-ジフェニルブタン(化合物4)が12%生成していた。
【0099】
実施例34:パラジウム/ルテニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(4.0g)をテトラヒドロフラン(32ml)に溶解し、室温で塩化パラジウム(PdCl、0.36mmol)、塩化ルテニウム(RuCl、0.36mmol)と、水素化ホウ素ナトリウム(3.6mmol)を加え、12時間攪拌した。5%含水メタノール(160ml)を1時間で滴下し、生成した沈殿を濾過により集め、フィルター上でメタノール、水、メタノールにより順次洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥してパラジウム/ルテニウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)を得た。収量2.81g、パラジウム含量0.12mmol/g(Pd回収率94%)、ルテニウム含量0.095mmol/g(Ru回収率74%)、ホウ素含量0.068mmol/g。
【0100】
実施例35:パラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)のシリカゲルへの担持と水添活性
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(2g)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、0.2mmol)とシリカゲル(2.0g)を加えた。室温で2時間攪拌を続けたのち、貧溶媒としてメタノール(80ml)を2時間で滴下した。不溶物を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた茶色の粉末を55℃で減圧乾燥してシリカゲルに担持されたパラジウム担持ポリシランを得た。収量3.43g。
得られたシリカゲルに担持されたパラジウム担持ポリシラン(200mg)を無溶媒下、140℃で4時間加熱した後、テトラヒドロフラン(5ml)を加えて55℃で1時間加熱した。不溶物を濾集、メタノールで洗浄後、55℃で減圧乾燥したところ、シリカゲルに担持されたパラジウム担持架橋ポリシランが得られた。収量185mg。
ケイ皮酸エチル(1.0mmol)のヘキサン溶液に、上記で得られたシリカゲルに担持されたパラジウム担持架橋ポリシラン(9.3mg,オレフィンに対して0.5mol%)を加え、室温、水素雰囲気下で2時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3-フェニルプロピオン酸エチルが定量的に生成していた。蛍光X線分析の結果、濾液からはパラジウムが検出されなかった。
【0101】
実施例36A:(ポリシラン/アルミナ)担持パラジウム触媒の製造
製造例1Aで合成したポリ(メチルフェニルシラン)(1.0g)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、氷冷下にて酢酸パラジウム(Pd(OAc)、1.0mmol)を加え1時間攪拌した。このものにに活性アルミナ(和光純薬工業製、300メッシュ、10g)を加え室温下で1時間攪拌した。貧溶媒としてメタノール(40ml)を2時間で滴下した後、不溶物を濾過により集め、フィルター上でメタノールにより洗浄した。得られた灰色の粉末を55℃で減圧乾燥して非架橋の(ポリシラン/アルミナ)担持パラジウムを得た。収量10.6g、パラジウム含量0.0084mmol/g(回収率85%)。このものは、アルコールを溶媒に用いる水添反応などに使用可能であるが、加熱や塩基などを添加した反応に於いてはパラジウムが漏出し易いことから、次に加熱架橋を行った。即ち、非架橋の(ポリシラン/アルミナ)担持パラジウム(1.0g)を無溶媒下、空気中、140℃で2時間処理した。室温まで冷却後、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メタノールで順次洗浄し、55℃で減圧乾燥することにより、架橋(ポリシラン/アルミナ)担持パラジウムを得た(収量=0.96g、パラジウム含量=8.3μmol/g、パラジウム回収率=81%)。
【0102】
実施例36B1~36B33:架橋(ポリシラン/無機化合物)担持パラジウムの水素化活性
実施例36Aにおける無機化合物及び反応条件を変えて、種々の架橋(ポリシラン/無機化合物)担持パラジウムを製造し(化3)、その性能を実施例7と同様の水素化反応を行い30分後の目的物の生成率で比較した(表3)。空気に代えてアルゴンを用いた場合、無溶媒に代えてデカンを溶媒とした場合などに於いても良好なゲル分率で架橋体が得られ、これらは高い水素化活性、低いパラジウムの漏出率を示した。なお、反応時間を2時間に延長した場合はいずれの場合も目的物の生成率は定量的であった。
【化3】
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【0103】
実施例37A:架橋(ポリシラン/無機化合物)担持パラジウムを用いたHeck反応(化4)
ヨードベンゼン(1.0mmol)とアクリル酸エチル(2.0mmol)をN-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(2.5ml)に溶解し、炭酸カリウム(1.6mmol)と実施例36A又は実施例36B5~36B33で得られたパラジウム担持ポリ(メチルフェニルシラン)(Pd換算で0.002mmol)を加え、80℃で攪拌し、2時間後と4時間後の目的物の収量をガスクロマトグラフィーにより定量した。4時間後の反応液から触媒を濾別し、濾液を定法処理してICPにより濾液中のパラジウムを定量した。結果を表3に示す。
【化4】
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【0104】
実施例38:白金担持架橋ポリ(メチルフェニルシラン)を用いたフローシステムによるヒドロシリル化反応
実施例11Aで製造した白金担持架橋ポリシランをガラスカラム(内径5mm,長さ 50mm)に詰め、中圧クロマトグラフィー用ポンプに接続した。室温下でヘキサンを30分間(0.1ml/min)流した後、続いて4,4-ジフェニル-1-ブテン(0.1mol/l)とトリエトキシシラン(0.12mmol/l)のヘキサン溶液を流した(0.1ml/min)。30分間毎にカラムからの流出液を減圧濃縮し、成分をH-NMRで分析した結果、反応開始直後から4時間後まで、ヒドロシリル化体である(4,4-ジフェニルブチル)トリエトキシシランが変換率70%以上で生成していた。
【0105】
【表1】
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【0106】
【表2】
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【0107】
【表3】
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