TOP > 国内特許検索 > ジオール又はポリジオールの製法 > 明細書

明細書 :ジオール又はポリジオールの製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5000251号 (P5000251)
公開番号 特開2008-088082 (P2008-088082A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成20年4月17日(2008.4.17)
発明の名称または考案の名称 ジオール又はポリジオールの製法
国際特許分類 C07B  41/02        (2006.01)
C07C  33/26        (2006.01)
C07C  43/23        (2006.01)
C07C 205/19        (2006.01)
C07C  39/14        (2006.01)
C07C 255/53        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07B 41/02 B
C07C 33/26
C07C 43/23 D
C07C 205/19
C07C 39/14
C07C 255/53
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2006-268796 (P2006-268796)
出願日 平成18年9月29日(2006.9.29)
審査請求日 平成20年8月25日(2008.8.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】細野 秀雄
【氏名】ブッチャマガリ ハリタ
【氏名】戸田 喜丈
【氏名】平野 正浩
【氏名】小坂田 耕太郎
【氏名】竹内 大介
個別代理人の代理人 【識別番号】100108671、【弁理士】、【氏名又は名称】西 義之
審査官 【審査官】今井 周一郎
参考文献・文献 国際公開第2005/000741(WO,A1)
特開2002-265391(JP,A)
特開2002-332252(JP,A)
調査した分野 C07B 41/02
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ケージ内に、1019cm-3超、2.3×1021cm-3未満の電子含む12CaO・7A
23エレクトライドカルボニル化合物をカルボニル化合物に対する12CaO・7A
23エレクトライドの使用量(12CaO・7Al23/カルボニル化合物)を重量比
で2~20倍として、水、有機溶媒、又は水—有機混合溶媒中において混合して反応溶液
を形成し、該反応溶液中において該カルボニル化合物を還元的カップリングさせて、該反
応溶液から生成物を抽出することを特徴とするジオール又はポリジオールの製法。
【請求項2】
カルボニル化合物が、カルボニル基に結合した二つの置換基のうち、少なくとも一つはア
リール基であることを特徴とする請求項1記載のジオール又はポリジオールの製法。
【請求項3】
カルボニル化合物が、下記の一般式で示されることを特徴とする請求項1記載のジオール
又はポリジオールの製法。
【化1】
JP0005000251B2_000006t.gif
(ただし、R1は、水素原子、アルキル基及びアリール基から選ばれる官能基、R2、R3
、R4、R5およびR6は、それぞれ水素原子、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルキル
基、アリール基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコ
キシ基、ニトロ基、シアノ基及びイミノ基から選ばれるアリール基に結合した官能基。ま
た、R1とアリール基は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【請求項4】
還元的カップリングさせる反応雰囲気が空気中であることを特徴とする請求項1記載のジ
オール又はポリジオールの製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、12CaO・7Alエレクトライドを還元剤として用いたカルボニル
化合物の還元的カップリング反応によるジオール又はポリジオールの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボニル化合物の還元的カップリング反応によるジオールの合成については、マグネ
シウムアマルガム、アルミニウムアマルガムや、ヨウ化サマリウム、塩化バナジウムなど
の金属化合物又は金属塩が還元剤として機能することが知られている(非特許文献1)。
しかし、該金属化合物又は金属塩は、高価かつ有害であり、さらに、不活性ガス雰囲気下
での無水有機溶媒中で反応を行う必要がある。このため、該金属化合物又は金属塩を用い
た反応は、簡便かつ環境に優しい還元方法としては極めて不満足なものであった。また、
還元剤として金属カルシウムを用い有機溶媒中で反応を行う方法も知られている(特許文
)。

【0003】
1970年にH.B.Bartlらは、12CaO・7Al(以下、「C12A
7」と記す)結晶が2分子を含む単位胞にある66個の酸素イオンの内2個が、結晶中に
存在するケージ内空間に「フリー酸素」として包接されているという、特異な結晶構造を
持つことを示した(非特許文献2)。以降、このフリー酸素イオンが種々の陰イオンで置
換できることが明らかにされた。特に、強い還元雰囲気にC12A7を保持すると、すべ
てのフリー酸素を電子で置き換えることができる。フリー酸素を電子で置き換えたC12
A7:e-は、エレクトライドとみなすことができる。
【0004】
エレクトライド化合物は、J.L.Dyeがはじめて提案した概念であり(非特許文献
3)、クラウンエーテルを陽イオンとして、電子を陰イオンとした化合物などではじめて
実現した。エレクトライドは、陽イオンとして含まれる電子のホッピングにより電気伝導
性を示すことが知られている。その後いくつかの有機エレクトライドが見出されたが、こ
れらの化合物は、いずれも、マイナス100℃程度以下の低温でのみ安定であり、空気や
水と反応する著しく不安定な化合物である。
【0005】
本発明者らは、電気伝導性C12A7及び同型化合物とその製造法に関する発明を特許
出願した(特許文献2)。また、C12A7単結晶をアルカリ金属又はアルカリ土類金属
蒸気中で、高温でアニールすること、不活性イオンをイオン打ち込みすること、または、
還元雰囲気で、融液から直接固化することで、10S/cm未満の電気伝導度を有する
C12A7化合物が得られることを見出し、これらに関する発明を特許出願した(特許文
献3)。さらに、C12A7単結晶をチタン金属(Ti)蒸気中でアニールし、金属電気
伝導性を示すC12A7を得ることに成功し、その製法及び電子放出材料としてのその用
途に関する発明を特許出願した(特許文献4)。
【0006】
これらの良電気伝導性を示すC12A7化合物は、該化合物中のフリー酸素イオンがほ
とんど全て電子で置換されたものであり、実質的に[Ca24Al2864]4+(4e
)と記述され、無機エレクトライド化合物とみなすことができる(非特許文献4)。
【0007】
C12A7エレクトライドに包接される電子は、陽イオンと緩く結合しているために、
電場印加または化学的な手段により、外部に取り出すことができる。外部に取り出された
電子は、還元反応に用いることができると考えられるが、C12A7エレクトライドに包
接される電子を直接、還元反応に応用した例は知られていない。
【0008】

【非特許文献1】G.M.Robertson Comprehensive Organic Synthesis 3,563(1991)
【非特許文献2】H.B.Bartl,T,Scheller and N.Jarhrb Mineral Monatsh 1970,547
【非特許文献3】F.J.Tehan,B.L. Barret,J.L.Dye J.Am.Chem.Socity 124,1170(1974)
【非特許文献4】S.Matsuishi,Y.Toda,M.Miyakawa,K.Hayashi,T.Kamiya,M.Hirano,I.Tanaka and H.Hosono,Science 301 626-629(2003)
【特許文献1】特開2002-265391号公報
【特許文献2】WO2005/000741
【特許文献3】特開2004-26608号公報
【特許文献4】特願2005-339538
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、高価かつ有害な金属化合物又は金属塩を用いることなく、かつ、従来
法のように不活性ガス雰囲気下に制限されずに、カルボニル化合物を原料として、ジオー
ル又はポリジオールを合成する新規な還元的カップリング反応を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、電気伝導性を示すC12
A7エレクトライドを還元剤として用いると、空気下においても、水、有機溶媒、又は水
-有機混合溶媒中でカルボニル化合物の還元的カップリング反応が進行することを見出し
た。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)ケージ内に、1019cm-3超、2.3×1021cm-3未満
の電子含む12CaO・7Al23エレクトライドカルボニル化合物をカルボニル化
合物に対する12CaO・7Al23エレクトライドの使用量(12CaO・7Al23
/カルボニル化合物)を重量比で2~20倍として、水、有機溶媒、又は水—有機混合溶
媒中において混合して反応溶液を形成し、該反応溶液中において該カルボニル化合物を
元的カップリングさせて、該反応溶液から生成物を抽出することを特徴とするジオール又
はポリジオールの製法である。

【0012】
また、本発明は、(2)カルボニル化合物が、カルボニル基に結合した二つの置換基の
うち、少なくとも一つはアリール基であることを特徴とする上記(1)のジオール又はポ
リジオールの製法である。
【0013】
また、本発明は、(3)カルボニル化合物が、下記の一般式で示されることを特徴とす
る上記(1)のジオール又はポリジオールの製法である。
【化1】
JP0005000251B2_000002t.gif
(ただし、Rは、水素原子、アルキル基及びアリール基から選ばれる官能基、R、R
、R、R及びRは、それぞれ水素原子、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルキ
ル基、アリール基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基、ニトロ基、シアノ基及びイミノ基から選ばれるアリール基に結合した官能基。
また、Rとアリール基は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【0015】
また、本発明は、還元的カップリングさせる反応雰囲気が空気中であることを特徴とす
る上記(1)のジオール又はポリジオールの製法である。
【0016】
[12CaO・7Al(C12A7)エレクトライドの定義]
C12A7の結晶構造には、2分子から構成される単位胞当たり、12個のケージが存
在し、そのうちの2個のケージに酸素イオン(O2-)が包接されている。該酸素イオン
は、電子で部分的又は完全に置換することができる。完全に置換した場合の電子濃度は、
2.3×1021cm-3である。本発明において、包接された酸素イオンを、電子で部
分的(1×1019個電子cm-3超2.3×1021個電子cm-3未満)又は完全(
2.3×1021個電子cm-3)に置換した化合物をC12A7エレクトライド(C1
2A7:e)と定義する。
【0017】
C12A7エレクトライドは、化学定量組成のC12A7を、Ca金属蒸気中で、70
0℃付近でアニールする、あるいは、Ti金属蒸気中で、1,100℃付近でアニールす
ることで、得ることができる。アニール時間により、C12A7中の電子濃度は多くなる
。Ti金属蒸気処理の場合は、24時間程度アニールすれば、3mm厚の単結晶C12A
7でも、理論的最大電子濃度(2.3×1021cm-3)を有するC12A7エレクトラ
イドを得ることができる。また、化学定量組成のC12A7融液を還元雰囲気中で固化し
ても良い。還元雰囲気中の固化で得られたC12A7エレクトライドの濃度は、1021
cm-3未満である。また、Arイオンを高濃度にイオン打ち込みすることによっても
作成できる。得られたC12A7エレクトライド中の電子濃度は、2.8eVにピークを
有する光吸収帯の強度から求めることができる。電子濃度が小さいときは、電子スピン共
鳴吸収帯の強度からも、電子濃度を求めることができる。
[カルボニル化合物の定義]
【0018】
本発明において、カルボニル化合物とは、カルボニル基に二つの置換基が結合した化合
物であり、二つの置換基は、それぞれアルキル基、アリール基及び水素のうちから選ばれ
た一つであると定義する。ただし、二つの置換基が同時に水素である化合物を含まない。
[ジオールの定義]
【0019】
本発明において、ジオールとは隣接する二つの炭素原子それぞれにヒドロキシ基が結合
した化合物と定義する。また、ポリジオールは、該ジオール構造を2以上含む化合物と定
義する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法により、高価かつ有害な金属化合物又は金属塩を用いることなく、かつ、
従来法のように不活性ガス雰囲気下に制限されずに、短時間かつ容易な操作でカルボニル
化合物を原料として、ジオール又はポリジオールを合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のカルボニル化合物の還元方法(以下、「本発明の方法」という)につい
て詳細に説明する。
本発明の方法は、ケージ内に、1019cm-3超、2.3×1021cm-3未満の電
子を含む12CaO・7Alエレクトライドを還元剤として用い、カルボニル化合
物を溶媒中において還元的カップリングさせる方法である。例えば、カルボニル化合物と
してベンズアルデヒドを用いた場合は、下記の式に示す還元カップリング反応により、1
,2-ジフェニル-1,2-エタンジオールを生成することができる。
【0022】
【化2】
JP0005000251B2_000003t.gif

【0023】
本発明は、カルボニル化合物に適用可能であるが、前記[式1]で表される有機カルボ
ニル化合物としては、1-ナフトアルデヒド、2-ナフトアルデヒド、1-ブロモ-2-
ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、1-ヒドロキシ-2-ナフ
トアルデヒド、2-メトキシ-1-ナフトアルデヒド、1-メトキシ-2-ナフトアルデ
ヒド、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド、1-ニトロ-2-ナフトアルデヒド、2,
3-ジメトキシ-1-ナフトアルデヒド、4-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、2,
3-ナフタレンジアルデヒド、などが挙げられる。
【0024】
さらに、[式1]で表されるカルボニル化合物のうち、R1がHである化合物としては
、ベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、4—
ターシャルブチルベンズアルデヒド、4-クロロベンズアルデヒド、4-メトキシベンズ
アルデヒド、2-ニトロベンズアルデヒド、3-ニトロベンズアルデヒド、4-ヒドロキ
シベンズアルデヒド、4-シアノベンズアルデヒド、4-エトキシカルボニルベンズアル
デヒド、2,4-ジメトキシベンズアルデヒド、4-ブロモベンズアルデヒド、4-オク
チロキシベンズアルデヒド、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド、2-ヒドロキシベン
ズアルデヒド、などが挙げられる。
【0025】
還元剤として用いるC12A7エレクトライドは、粉末、固体焼結体、固体結晶など、
その形状はいずれでもよい。粉末は、化学当量組成のC12A7粉末をCa又はTi金属
蒸気中でアニールすればよい。また、固体焼結体は、化学当量組成のC12A7融液を還
元雰囲気中で固化すれば良い。また、固体単結晶は、C12A7単結晶をCa又はTi金
属蒸気中でアニールすればよい。反応速度を大きくするために、固体試料は粉末に加工す
ることが最適である。粉末加工は、乳鉢中での粉砕、ジェットミルによる粉砕などを用い
ることができる。
【0026】
溶媒には水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類やテトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホルムや塩化メチレ
ン、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの
有機溶媒や、これらの混合有機溶媒又は水-有機混合溶媒が用いられるが、環境面からは
、水のみ、又は水を含む有機混合溶媒が最も好ましい。有機溶媒の容量割合(有機溶媒/
水+有機溶媒)が増加すると反応速度が小さくなり、該割合は、0以上80未満が望まし
い。
【0027】
カルボニル化合物に対するC12A7エレクトライドの使用量(C12A7/カルボニ
ル化合物)は、重量比で2~20倍であることが好ましい。2倍未満では、反応速度が小
さくなり、また、20倍以上では、溶液の粘度が増加して、スムースな撹拌がしにくくな
る。
【0028】
反応の雰囲気は、1気圧の空気雰囲気下がよいが、不活性雰囲気でもよい。反応温度の
上昇と共に反応速度は速くなる。実用上は、室温が最も望ましいが、好ましくは0℃から
100℃の温度の範囲である。0℃以下では、水が凍ってしまうし、100℃では、気化
してしまい、反応が進まない。反応時間は、カルボニル化合物の種類及び反応温度に依存
するが、15時間から96時間で反応は完結する。
【0029】
上記のような条件で、カルボニル化合物とC12A7を溶媒中で攪拌混合する。次いで
、後処理として反応溶液から生成物を抽出する。抽出方法は、反応溶液からの抽出方法と
して採用される公知の方法でよい。すなわち、例えば、反応溶液に塩酸を加えた後、例え
ば、酢酸エチルを加えて、生成物を抽出する。該抽出プロセスを3回程度繰り返した後、
重曹水及び食塩水で生成物を洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて、乾燥させ、その後、硫
酸マグネシウムをろ別し、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精
製する。最終生成化合物は、化学的前処理とカラムクロマトグラフィーにより分離できる
。該化合物の同定及び原料からの変換率は、H1の核磁気共鳴スペクトルから求めることが
できる。
【0030】
以下に、実施例により、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1~14]
電子濃度が約2×1021cm-3のC12A7エレクトライドを準備した。このC1
2A7エレクトライドは以下の方法で製造した。チョコラルスキー法で作成したC12A
7単結晶インゴットから、10mm×10mm×3mmの板を切り出し、Ti金属と共に
、石英管中に真空封入した。該石英管を、電気炉に入れ、1,100℃に24時間保持し
た後空冷した。得られたC12A7エレクトライドの電子濃度は、該エレクトライドの光
反射スペクトルを光吸収スペクトルに変換し、2.8eVの吸収バンドの強度から求めた
。この単結晶C12A7エレクトライドを乳鉢で粉砕し、平均粒径約10μmの粉末を得
た。
【0031】
【表1】
JP0005000251B2_000004t.gif

【0032】
表1に記載したカルボニル化合物10mgと、C12A7エレクトライド、溶媒を表1
に示すそれぞれの量を容量10ミリリッタ(mL)のナスフラスコに入れ、大気中解放状
態で、表1に記載した反応時間、反応温度で撹拌しながら反応させて反応溶液を形成した

【0033】
次に、反応溶液を容量50ミリリッタ(mL)のナスフラスコに移し、塩酸(1N、7
mL)を加えた後、酢酸エチル(20mL)を加えて、生成物を抽出した。該抽出プロセ
スを3回繰り返した後、重曹水及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて、乾燥さ
せた。硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル)で精製し、純度98%超のジオール化合物を得た。化合物の同定は、Hの核磁気共
鳴スペクトルで行った。各実施例の生成物を表2に示す。転換率(出発原料のカルボニル
化合物の減少率)は表1に示すとおりであった。
【0034】
【表2】
JP0005000251B2_000005t.gif

[実施例15]
【0035】
電子濃度1×1019のC12A7エレクトライドを以下の方法で作成した。すなわち
、C12A7粉末を蓋つきのカーボンルツボに入れ、大気中で1600℃に加熱して、融
解し、約400℃/時間の降下速度で冷却して、多結晶のC12A7を得た。電子濃度は
、電子スピン共鳴スペクトルから求めた。該多結晶C12A7エレクトライドを乳鉢で粉
砕し、平均粒径約10μmの粉末を得た。
【0036】
このエレクトライドを用いた以外は実施例1と同様な方法で表1に示す条件で反応させ
た。ただし、ベンズアルデヒドの量は25mgとした。生成物は、1,2-ジフェニル-
1,2-エタンジオールであり、転換率は、95%超であった。この結果から、電子濃度
の少ないC12A7エレクトライドを用いても、カルボニル化合物の還元的カップリング
反応が生じることが示された。
【0037】
[比較例]
C12A7エレクトライドの代わりに、電子を含まない化学当量組成のC12A7粉末
を用いた以外は、表1に示す実施例1と同様の条件で反応させた。反応後もベンズアルデ
ヒドのみが検出され、還元的カップリング反応は生じなかった。