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明細書 :形状測定装置及びその方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4565348号 (P4565348)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発行日 平成22年10月20日(2010.10.20)
発明の名称または考案の名称 形状測定装置及びその方法
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
G01S  17/87        (2006.01)
G01S  17/89        (2006.01)
G01C  15/00        (2006.01)
FI G01B 11/24 A
G01S 17/87
G01S 17/89
G01C 15/00 104Z
請求項の数または発明の数 12
全頁数 22
出願番号 特願2006-510154 (P2006-510154)
出願日 平成16年9月15日(2004.9.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 日本ロボット学会第21会学術講演会講演概要集(2003年9月20日)社団法人日本ロボット学会発行 2K24
国際出願番号 PCT/JP2004/013419
国際公開番号 WO2005/080914
国際公開日 平成17年9月1日(2005.9.1)
優先権出願番号 2004050029
優先日 平成16年2月25日(2004.2.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年12月19日(2006.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】池内 克史
【氏名】長谷川 一英
【氏名】増田 智仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100109726、【弁理士】、【氏名又は名称】園田 吉隆
【識別番号】100101199、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 義教
審査官 【審査官】▲うし▼田 真悟
参考文献・文献 特開平09-184702(JP,A)
特開2000-075032(JP,A)
特開2002-090456(JP,A)
調査した分野 G01B 11/24
G01S 17/87
G01S 17/89
G01C 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
対象の3次元形状を特定するためのシステムであって、
固定された第1の観測点から対象上の第1群の測定点までの第1の距離と方位を計測する第1の計測手段と、
移動可能な第2の観測点から前記対象上の第2群の測定点までの第2の距離と方位を計測する第2の計測手段とを有し、
当該第2群の測定点のうちの少なくとも2つは前記第1群の測定点の内の少なくとも2つと同一の測定点であり、当該第2群の測定点は前記第1群の測定点に含まれない測定点を少なくとも1つ含み、
さらに、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果から第2の観測点の移動速度ベクトルを算出し、当該移動速度ベクトルに基づいて前記第2の計測結果を補正し、第1群と第2群の測定点の3次元座標を算出する演算手段と、
前記3次元座標に基づいて対象の画像を表示する表示手段を具備するシステム。
【請求項2】
前記第2の計測手段は、各点の測距を行うためのレーザレーダユニットと、水平スキャンを行うための4面ポリゴンミラーと、垂直スキャンを行うための平面スイングミラーとから構成されるスキャナユニットを具備することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の計測手段は、レーダユニット制御部と、2つのミラーの制御部と、計測結果を計測用コンピュータに伝送するインターフェース部とを内蔵するコントローラユニットを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の計測手段は、記録媒体を具備し該記録媒体に計測結果を保存することが可能で、且つ、前記スキャナユニット及びコントロールユニットを制御可能なコンピュータを具備することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の観測点の移動速度ベクトルは時間に依存しないと仮定した上で、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果を用いて、共役勾配法により3次元座標誤差が最小となる速度ベクトルを求め、
当該速度ベクトルを用いて第2の観測点からの計測結果を補正する請求項1ないし4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
式(1)におけるZij(p)の勾配が式(2)の関係を有することを前提に、共役勾配法により式(1)のE(p)を最小化する移動速度ベクトルを求めることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【数1】
JP0004565348B2_000010t.gif
E(p)はローレンツ関数を用いたM推定法で重み付けたρ(zij(p))の平均で定義している誤差関数
ij(p)=||R(q)g(k)+m-yij|| は、第1及び第2計測手段の計測結果の対応点間の距離
mは、並進移動ベクトル
ijはj番目の計測画像中の対応する点
pは、並進移動ベクトルmと回転を表すクォータニオンqで構成されるパラメータ群
R(q)は、回転を表すクォータニオンqの関数
kは、形状パラメータ群
g(k)は、位置合わせを行う理想データのi番目の点
JP0004565348B2_000011t.gifは、位置合わせを行う画像中のi番目の点
d(v)は、形状パラメータの項g(k)について置換される、速度ベクトルvをパラメータとした歪みの補正項
は、スキャンからの経過時間
【請求項7】
対象の3次元形状を特定する方法であって、
固定された第1の観測点から対象上の第1群の測定点までの第1の距離と方位を計測する過程と、
移動可能な第2の観測点から前記対象上の第2群の測定点までの第2の距離と方位を計測する過程とを有し、
当該第2群の測定点のうちの少なくとも2つは前記第1群の測定点の内の少なくとも2つと同一の測定点であり、当該第2群の測定点は前記第1群の測定点に含まれない測定点を少なくとも1つ含み、
さらに、前記同一測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果から第2の観測点の移動速度ベクトルを算出する過程と、
当該移動速度ベクトルに基づいて前記第2の計測結果を補正して、第1群と第2群の測定点の3次元座標を算出する過程を有する方法。
【請求項8】
前記第2の距離と方位を計測する過程は、各点の測距を行うためのレーザレーダユニットと、水平スキャンを行うための4面ポリゴンミラーと、垂直スキャンを行うための平面スイングミラーとから構成されるスキャナユニットによって実行する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の距離と方位を計測する過程は、インターフェースを介して計測結果を、記録媒体を具備する計測用コンピュータに伝送する過程を含む請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の距離と方位を計測する過程は、記録媒体に計測結果を保存する過程と、スキャナユニット及びコントロールユニットをコンピュータによって制御する過程とを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の観測点の移動速度ベクトルは時間に依存しないと仮定した上で、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果を用いて、共役勾配法により3次元座標誤差が最小となる速度ベクトルを求め、
当該速度ベクトルを用いて第2の観測点からの計測結果を補正する過程を含む請求項7ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
式(1)におけるZij(p)の勾配が式(2)の関係を有することを前提に、共役勾配法により式(1)のE(p)を最小化する移動速度ベクトルを求めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【数2】
JP0004565348B2_000012t.gif
E(p)はローレンツ関数を用いたM推定法で重み付けたρ(zij(p))の平均で定義している誤差関数
ij(p)=||R(q)g(k)+m-yij||は、第1及び第2計測手段の計測結果の対応点間の距離
mは、並進移動ベクトル
ijはj番目の計測画像中の対応する点
pは、並進移動ベクトルmと回転を表すクォータニオンqで構成されるパラメータ群
R(q)は、回転を表すクォータニオンqの関数
kは、形状パラメータ群
g(k)は、位置合わせを行う理想データのi番目の点
JP0004565348B2_000013t.gifは、位置合わせを行う画像中のi番目の点
d(v)は、形状パラメータの項g(k)について置換される、速度ベクトルvをパラメータとした歪みの補正項
は、スキャンからの経過時間
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の形状計測のためのシステム及び方法に関し、具体的には、例えば、対象物を地上から計測するとともに、フライングレンジセンサによって上空からの計測を行い、これらの計測結果をマッチングさせることによって対象物の3次元形状を特定するシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高精度なレーザレンジセンサから取得された3次元の計測データ(距離画像)を用いて、計測対象物を画像としてコンピュータグラフィック技術を利用して再構築する研究が進んでいる。
【0003】
通常の3次元形状の計測は、レーザレンジセンサを地上に設置し、対象物体を余すことなく測定できるよう複数の方向からスキャンを行う。しかし、計測する対象物とそれを取り巻く環境、例えば、大規模な建造物などの場合、レーザレンジセンサの計測範囲は、センサから観察できる表面領域に限られるため、センサで計測できる範囲を越える箇所やオクルージョンになる箇所が存在し、例えば、図1の斜線で示された未計測領域15等がそれに相当し、地上からの計測だけでは不十分である。
【0004】
この問題を克服するために、一般的な従来技術では、遮蔽されて観察できない部分より高く足場を組み、足場の上にレーザレンジセンサを設置して計測を行っている。これにより図1の前記未計測領域15の計測を行うことが可能となるが、当該手法は、足場を組む地面の状態に問題がなく、安全に足場を構築できることが前提となっている。さらに、観察対象の形状が複雑化してくると、様々な視点からの計測が必要となり、その都度足場を組み直してレンジセンサを設置することは多大な労力と費用を要する。
【0005】

【非特許文献1】K. Nishino and K. Ikeuchi: Robust simultaneous registration of multiple range images. Proceedings of the 5th Asian Conference on Computer Vision, Vol.2, pp.455-461, (2002)
【非特許文献2】T.Masuda: 3d shape restoration and comparison through simultaneous registration. Master’s thesis, Graduate School of Information Science and Technology, University of Tokyo, (2003)
【非特許文献3】Mark D. Wheeler: Automatic Modeling and Localization for Object Recognition. PhD thesis, School of Computer Science, Carnegie Mellon University, (1996)
【非特許文献4】E. Polak: Computational Methods in Optimization. New York: Academic Press, (1971)
【非特許文献5】David A.H.Jacobs: The States of the Art in Numerical Analysis. London; Academic Press, (1977)
【非特許文献6】J.Stoer and R.Bulirsch: Introduction to Numerical Analysis. New York; Springer-Verlag, (1980)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上から全ての部分を観察することができない大規模建造物の形状を計測するには、高所からの計測が不可欠である。足場を組んで計測作業を行うには多くの時間と労力が必要になることは前述のとおりである。さらに、足場を組むことができない場合は、未計測領域に人が登って別途計測するなどの作業が必要になるが、この方法は人手と時間を要する。さらに、対象物によっては人が登ること自体が不適当である。また、人手による計測ではレンジレーザセンサと同等の精度で計測を行うことはできない。
このような問題を解決するために、本発明は、足場が不要で、自在に視点位置を変えながら高所からの計測が可能で、簡易に且つ高速に大規模建造物等の形状計測を行うことができるシステム及び方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシステム及び方法によれば、地上に設けた固定点からの計測と併せて、上空に設けた観測点から対象物の計測を行い、これらの計測結果から対象物全体の座標を算出する。本発明では特に、上空の観測点は固定点である必要は無く、例えば気球に取り付けられたレーザレンジセンサであっても良い。センサを気球に取り付けた場合、風の影響によってセンサの位置が変動し画像が歪むといった問題点が生じる。よって、本発明では、空中計測装置によって取得される歪みを含む距離画像と、地上の定点から得られる歪みのない距離画像とを位置合わせする際に、パラメータ表現された形状の歪みを同時に考慮し、これを補正する手法を用いる。上空の観測点の座標と移動速度は、計測結果から算出することができるので、予め知られている必要は無い。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に基づく、対象の3次元形状を特定するためのシステムは、固定された第1の観測点から対象上の第1群の測定点までの第1の距離と方位を計測する第1の計測手段と、
移動可能な第2の観測点から前記対象上の第2群の測定点までの第2の距離と方位を計測する第2の計測手段とを有し、
当該第2群の測定点のうちの少なくとも1つは前記第1群の測定点の内の少なくとも1つと同一の測定点であり、当該第2群の測定点は前記第1群の測定点に含まれない測定点を少なくとも1つ含み、
さらに、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果から第2の観測点の移動速度ベクトルを算出し、当該移動速度ベクトルに基づいて前記第2の計測結果を補正し、第1群と第2群の測定点の3次元座標を算出する演算手段と、
前記3次元座標に基づいて対象の画像を表示する表示手段を具備する。
【0009】
例えば、大規模な建造物等の文化遺産の形状を、レーザレンジセンサを利用して3次元画像で復元する際、地上の視点から文化遺産の形状表面までの距離を計測すると、測定スキャンの死角となる領域が発生する場合がある。そのような場合、別の視点から前記死角領域を含む文化遺産の形状を計測する必要があり、特に文化遺産の上空の様々な角度から計測できることが望ましい。この条件を満たすためには、例えば、レーザレンジセンサを気球に固定して文化遺産をあらゆる角度から広範囲に計測すれば、文化遺産周囲の大地の状況に無関係に測定が可能で、レーザレンジセンサを設置する労力を軽減することができる。
【0010】
本発明に基づくシステムによれば、固定された第1の観測点と移動可能な第2の観測点からの同一の計測点を計測するので、まず、この測定結果に基づいて移動可能な第2の観測点の移動速度を算出することができる。次に、この算出された移動速度を用いて第2の観測点の計測結果を補正することで対象の全体像を把握することが可能になる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の計測手段は、各点の測距を行うためのレーザレーダユニットと、水平スキャンを行うための4面ポリゴンミラーと、垂直スキャンを行うための平面スイングミラーとから構成されるスキャナユニットを具備する。
【0012】
本発明の第2計測手段における、フライングレーザレンジセンサに求められる要求の1つとして、気球の動きによる影響が少なくなるように、計測が高速に行えることが挙げられる。通常のレンジレーザセンサの計測時間は速いもので2分程度であり、気球の動きを考慮した場合、気球に吊るすことによる測定は現実的ではない。そこで、ポリゴンミラーの高速スキャンを利用し、直角方向の測定密度を若干低くすることで、高速な計測が可能となる。低くした測定密度は、同視点から複数回計測を行うことにより補うことが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の計測手段は、レーダユニット制御部と、2つのミラーの制御部と、計測結果を計測用コンピュータに伝送するインターフェース部とを内蔵するコントローラユニットを具備する。
【0014】
第2計測手段は、前記スキャナユニットを制御するために、3次元画像を取得するためのスキャナと、前記4面ポリゴンミラーと前記平面スイングミラーとを制御する制御部と、計測データを処理するコンピュータとのインターフェース部とを内蔵するコントローラユニットを具備することにより、制御指令により指定された測定範囲を対象としてレーザレンジセンサの方向付けを行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の計測手段は、記録媒体を具備し該記録媒体に計測結果を保存することが可能で、且つ、前記スキャナユニット及びコントロールユニットを制御可能なコンピュータを具備する。
【0016】
本発明のシステムに、コンピュータを具備すれば、前記スキャナユニット、前記コントローラユニットを制御して計測データを収集し、該収集データを内蔵又は外付けされた記憶媒体内に前記インターフェース部を介して取得されたデータを記録及び記憶させることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の観測点の移動速度ベクトルは時間に依存しないと仮定した上で、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果を用いて、共役勾配法により3次元座標誤差が最小となる速度ベクトルを求め、
当該速度ベクトルを用いて第2の観測点からの計測結果を補正する。例えば、

【数3】
JP0004565348B2_000002t.gif


を共役勾配法により最小化を行う。
ここで、
E(p)はローレンツ関数を用いたM推定法で重み付けたρ(zij(p))の平均で定義している誤差関数
ij(p)=||R(q)g(+m-yij||は、第1及び第2計測手段の計測結果の対応点間の距離
mは、並進移動ベクトル
ijはj番目の計測画像中の対応する点
pは、並進移動ベクトルmと回転を表すクォータニオンqで構成されるパラメータ群
kは形状パラメータ
R(q)は、回転を表すクォータニオンqの関数
g(は、位置合わせを行う理想データのi番目の点
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第1群の測定点に含まれていない前記第2群の測定点を、上記zij(p)を最小にするR(q)g(+mをm’と置いて当該m’を用いて補正する。
【0019】
例えば、コンピュータ上で動作するソフトウェアが、前記第2計測手段により取得された収集データから形状を特定した文化遺産の3次元画像(第2画像)と、前記第1計測手段により取得された3次元画像(第1画像)との位置合わせを自動的に行ったときに、第2計測手段を吊るした気球が風等の環境的な影響により計測結果に歪みが生じても、これを補正して最適化する処理を行うことができる。
【0020】
本発明では、基準画像となる第1計測手段から取得した画像データが、例えば、地上の視点から取得されると、大規模建造物等の文化遺産を復元するときにレーザレンジセンサが未到達な未計測領域が生じてくることが考えられる。また、上空から計測を行う第2計測手段は、前記未計測領域を含む文化遺産の全体的な形状を計測して画像データを取得する。第1及び第2計測手段からの2つの画像データにおいて、共に重複する領域での対応点間の距離が最小となるように繰り返し演算により位置合わせを行う。本発明では、前記対応点間の距離を、
ij(p)=||R(q)g(+m-yij||と定義し、共役勾配法により最小化する。第1計測手段により計測されなかった未計測領域の特定は、前記対応点間の最小距離に基づいて第2計測手段により計測された前記未計測領域を歪みのパラメータを同時に推定することにより行われる。このようにして、第1画像と第2画像の位置合わせが行われる。
【0021】
本発明の好ましい他の実施形態は、対象の3次元形状を特定する方法であって、
固定された第1の観測点から対象上の第1群の測定点までの第1の距離と方位を計測する過程と、
移動可能な第2の観測点から前記対象上の第2群の測定点までの第2の距離と方位を計測する過程とを有し、
当該第2群の測定点のうちの少なくとも1つは前記第1群の測定点の内の少なくとも1つと同一の測定点を有し、当該第2群の測定点は前記第1群の測定点に含まれない測定点を少なくとも1つ含み、
さらに、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果から第2の観測点の移動速度ベクトルを算出する過程と、
当該移動速度ベクトルに基づいて前記第2の計測結果を補正して、第1群と第2群の測定点の3次元座標を算出する過程を有する方法である。
【0022】
例えば、本発明では、大規模な物体の形状を特定するための方法として、レーザレンジセンサ等の第1計測手段が基準画像となる第1画像を作成するために対象物体表面との距離を測定し、第2計測手段が空中から第2画像を作成するために対象物体表面との距離を測定する。該2つの画像を位置合わせすることにより2つの画像を特定することができる。空中からの距離計測により、上述したような計測装置を設置するための足場を組む場合に生じる課題を克服している。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の距離と方位を計測する過程は、各点の測距を行うためのレーザレーダユニットと、水平スキャンを行うための4面ポリゴンミラーと、垂直スキャンを行うための平面スイングミラーとから構成されるスキャナユニットによって実行する。
【0024】
第2計測手段に具備されるスキャナユニットは、上空から大規模な文化遺産の表面にレーザにより距離画像データを取得する。該スキャナは、上記構成における水平方向のポリゴンミラーの高速スキャンと、垂直方向の測定密度の低下によって高速スキャンを行う方法を実現している。該測定密度の低下は同じ視点位置から複数回計測を行うことにより補うことができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の距離と方位を計測する過程は、インターフェースを介して計測結果を計測用コンピュータに伝送する過程を含む。
【0026】
第2計測手段に具備される方法として、例えば、大規模な文化遺産を計測したデータをレンジファインダ及び前記2つのミラーを制御して広い領域範囲で取得して、該取得したデータを格納するように、例えば、記録媒体を具備するコンピュータに伝送する方法を採用することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の距離と方位を計測する過程は、記録媒体に計測結果を保存する過程と、スキャナユニット及びコントロールユニットをコンピュータによって制御する過程を含む。
【0028】
前記第2計測手段に具備される方法として、例えば、スキャナユニット、コントローラユニットによって計測及び制御されたデータをコンピュータに具備された記録媒体に格納し、前記計測及び制御をコンピュータにより指令する方法を採用することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2の観測点の移動速度ベクトルは時間に依存しないと仮定した上で、前記同一の測定点に関する第1と第2の計測手段による計測結果を用いて、共役勾配法により3次元座標誤差が最小となる速度ベクトルを求め、
当該速度ベクトルを用いて第2の観測点からの計測結果を補正する過程を含む。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記補正する方法は、以下の式を共役勾配法により最小化する移動速度ベクトルを求める。
【数4】
JP0004565348B2_000003t.gif


E(p)はローレンツ関数を用いたM推定法で重み付けたρ(zij(p))の平均で定義している誤差関数
ij(p)=||R(q)g(+m-yij||は、第1及び第2計測手段の計測結果の対応点間の距離
mは、並進移動ベクトル
ijはj番目の計測画像中の対応する点
pは、並進移動ベクトルmと回転を表すクォータニオンqで構成されるパラメータ群
kは形状パラメータ
R(q)は、回転を表すクォータニオンqの関数
g(は、位置合わせを行う理想データのi番目の点
【0031】
本発明の補正方法は、前記第1群の測定点に含まれていない前記第2群の測定点を、上記zij(p)を最小にするR(q)g(+mをm’と置いて当該m’を用いて補正する。
【0032】
本発明による対象物体形状を特定する方法における、第1画像と第2画像との位置合わせを考慮すると、例えば、第1画像が地上の視点から計測されたデータに基づいて作成された場合、測定対象が大規模であれば、その形状によっては未計測領域が発生する可能性がある。未計測領域は第1画像内では表示されないが、第2画像は、例えば、気球等に固定されて上空から計測されているため、前記未計測領域を含む文化遺産の全体的な形状を計測できる。しかし、気球が風等の自然現象に影響されて計測手段の計測位置が固定されないため、第2画像の実測データは歪みが発生する。よって、第1画像と第2画像との位置合わせには、歪みによる誤差が生じるので、これを補正して対応点を一致させる推定法が必要となる。
【0033】
本発明による該推定法は、従来の位置合わせ処理と同時に歪みパラメータを同時に推定するために、上述したように、前記対応点間の距離を、
ij(p)=||R(q)g(+m-yij||と定義し、共役勾配法により前記第1画像と第2画像の実測された領域の誤差を最小化する手法を採用する。未計測領域は、最小化されるm’を用いて、第2画像の実測データに基づいてyij-m’によって前記第1画像における未計測領域を特定することができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による移動可能に固定された観測点前記対象上の測定点までの距離と方位を計測する距離計測システムは、
一点の測距を行うためのレーザレーダユニットと、水平スキャンを行うための4面ポリゴンミラーと、垂直スキャンを行うための平面スイングミラーとから構成されるスキャナユニットと、
レーダ制御ユニット部と、2つのミラーの制御部と、計測結果を計測用コンピュータに伝送するインターフェース部とを内蔵するコントローラユニットと、
記録媒体を具備し該記録媒体に計測結果を保存することが可能で、且つ、前記スキャナユニット及びコントロールユニットを制御可能なコンピュータと、
を具備する。
【0035】
例えば、気球で固定されて空中で大規模な文化遺跡の形状をスキャンするためには、気球の浮力を考慮に入れて小型軽量なユニットを形成する必要があることと、風等の自然現象に影響されないようにするため、高速で計測可能であることとが求められる。本発明では、所望の一画面を1秒で高速計測可能な上記のような構成を有するスキャナユニットと、スキャナユニットを計測領域範囲に可動制御するコントローラユニットと、計測データの格納用、及びスキャナユニット及びコントロールユニットの制御用のコンピュータとを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明による対象物体形状の測定の様子を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明による画像位置合わせのフローチャートを示す。
【図3】図3は、実験による地上からの計測結果に基づき第1画像を取得した図を示す。
【図4】図4は、地上(高所)からの計測結果に基づき第1画像を取得した図を示す。
【図5】図5は、フライングレーザレンジセンサの結果を加えた第1画像を示した図である。
【図6】図6は、本発明によるスキャナユニットの内部構成図である。
【図7】図7は、センサの移動速度を0-1m/secまで段階的に変化させてシミュレーション実験を行った際の各誤差関数の値である。
【図8】図8は、フライングレーザレンジセンサが変動していると仮定した際の従来の位置合わせ手法を行った結果である。
【図9】図9は、本発明の手法により歪み補正パラメータの推定を行い補正した結果である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、本発明による大規模な物体形状を復元するためのフライングレーザレンジセンサを用いた3次元計測システムの全体概略図である。地上に設置された計測装置10は、距離画像を生成するためのデータを取得する機能を有しており、複数の計測地点からデータ収集することにより計測対象物体13の形状を3次元的に復元した基準画像を生成するための第1測定系である。気球11に吊るされた計測装置12は、測距部と、測距方向を指定する測距領域制御部と、測距データを保存可能な媒体を具備したコンピュータとを具備し、距離画像を生成するためのデータを取得する機能を有しており、上空からの計測データに基づいて計測対象物体13の形状を3次元的に復元した画像を生成するための第2測定系である。
【0038】
図1を見て分かるように、第1測定系においては、計測対象物体形状に起因して測定されない未計測領域15が発生している。該未計測領域15は、コンピュータ処理により3次元画像として復元するときに未表示領域として認識されるが、そのまま該3次元画像を基準画像(第1画像)とする。
【0039】
第2測定系においては、上空から測定するため、計測装置12は、前記未計測領域15を含む計測対象物体13の全体的な測距データを取得することができる。次いで、コンピュータ処理によりこれらのデータを3次元画像(第2画像)として表示することができる。
【0040】
通常、対象物体13表面との測距データからコンピュータ処理により3次元画像を復元するには、基準画像(本発明では第1画像)と計測画像(本発明では第2画像)との位置合わせが行われる。しかし、本発明の場合、第2測定系において、気球が風等の環境的な影響を受けて、取得される画像に歪みが生じることが考えられるため、空中における気球の運動をパラメータで示し、気球から計測された計測データと地上から計測された歪みのないデータとの重なり部分で位置合わせする際に、歪みも同時に補正する手法を採用する。以上の内容を説明するために、本発明による第1画像と第2画像の位置合わせを行う手法のフローチャートを図2に図示する。
【0041】
第2測定系におけるフライングレンジセンサは、三角測量を計測原理とした(アクティブステレオ)レンジセンサの中には、0.3秒程度で計測を行うシステムも存在しているが、三角測量の性質上、
1.長距離の計測には基線長を延ばす必要があり、大規模計測には不向きである。
2.長距離で使用するにはレーザ出力をあげる必要があり危険である。
3.受光素子の制限として、明るい環境での計測には適さない。
といった問題があり、野外での大規模な計測にはレーザレーダ方式が実用的とされている。しかし、通常のレーザレンジセンサの計測時間は速いものでも2分程度であり、気球の動きを考慮した場合、気球に吊るして使用することは現実的でない。そこで、本発明では、ポリゴンミラーの高速スキャンを利用し、垂直方向の測定密度を若干低くすることで、計測時間1秒の高速計測を実現した。
【0042】
本発明における第2測定系では、気球に搭載する条件として、気球の浮力に応じて小型軽量であることと、気球の動きの影響が少なくなるように計測が高速で行われることとを考慮して、図6に示された内部構成を有するスキャナユニットを搭載する。詳細は、以下の実計測データの推定法における実験系諸元を参照されたい。また、動作原理については既知の測定器であるため省略する。
【0043】
位置合わせ手法について
非特許文献1では、通常の位置、姿勢合わせにおいて誤差関数E(p)を以下のように設定し、最急勾配法を用いてE(p)を最小化している。

【数5】
JP0004565348B2_000004t.gif


は位置合わせを行う画像中のi番目の点でyijはj番目の計測画像中のxに対応する点を示す。パラメータ群pは並進移動ベクトルと回転を表すクォータニオン(四元数)qで構成される。誤差関数は対応点(最近傍点)間距離の2乗zij(p)にローレンツ関数を用いたM推定法で重み付けたρ(zij(p))の平均で定義している。この誤差関数についてパラメータ群pについての勾配を求めると以下のようになる。

【数6】
JP0004565348B2_000005t.gif


ここで∂zij/∂pを単位クォータニオンで評価することにする(非特許文献2、3参照)と、パラメータ勾配はさらに以下のようになる。

【数7】
JP0004565348B2_000006t.gif


詳細は非特許文献1、2、3を参照されたい。
本発明では、上記zij(p)を、形状パラメータを考慮して以下のように再定義した。

ij(p)=||R(q)g(k)+m-yij||

ここで、kは形状パラメータ群、g(k)は位置合わせを行う理想データのi番目の点である。位置合わせする距離画像に並進と回転の移動に加えてパラメータによる変形g(k)を加えている。ij(p)を最小にするR(q)g(k)+m=m’を用いて第2測定系の測定誤差が補正される。この時のパラメータ勾配は以下のようになる。

【数8】
JP0004565348B2_000007t.gif


一番下の行が新たに追加された形状パラメータの勾配を表している。
実際には最小化を効率的に行うためにFletcher-Reeves法、Polak-Ribiere法による共役勾配法(非特許文献4、5、6を参照)を用いている。勾配方向に対する移動量は、黄金分割による囲い込み手法によって決定される。
【0044】
歪み補正を考慮した位置合わせ手法
本発明の第2測定系における気球による画像の歪みには、以下の要素が影響する。
1.平行移動の初速度
2.平行移動の加速度
3.回転移動の角速度
4.回転移動の角加速度
【0045】
第2測定系における計測装置が1回スキャンするのに要する時間が1秒であることを考慮すると、計測時間内における加速度、角加速度は無視することができる。また、微小な回転移動は等速度の平行移動として近似することができるため、本明細書では計測時間内の気球の等速度運動のみを考慮することとする。
【0046】
この場合、各軸についての速度である3つのパラメータを最適化することになる。よって、(4)式における形状パラメータの項g(k)は速度ベクトルvをパラメータとした歪みの補正項d(v)で置換される。
【0047】
以上の仮定下においてパラメータ勾配∂zij/∂pは次のようになる。

【数9】
JP0004565348B2_000008t.gif


【0048】
ここで、tはスキャン開始からの経過時間であり、歪み補正項dは第2測定系で計測された画像中の点座標に測定開始からの相対変位tvを加えることで表される。
【0049】
実計測データによる推定実験
上述したような実験系を採用して実際にカンボジア・バイヨン寺院においてフライングレーザレンジセンサ(上記第2測定系)による計測を行った。バイヨン寺院はアンコールトムの中央に位置する、一辺が100mの巨大な寺院遺跡である。以下に本実験諸元を記す。
【0050】
【表1】
JP0004565348B2_000009t.gif

【0051】
図3は、地上からの計測結果を3次元画像化した復元図(観察位置からみた表示)の一部である。地上からは上記計測装置により約230枚計測している。地上から観測できない未計測領域が多く存在しているが、観測位置から視認可能な範囲の主な領域が計測されているのが確認できる。
【0052】
図4では、異なる視点位置(特に高所)から見た場合は、未計測領域が多く残っているのが確認できる。一方、上空からフライングレンジセンサを用いて計測を行い、上記のように、歪み補正パラメータの推定と同時に位置合わせを行った結果を図5に示す。図5より、地上からの計測だけでは取得できない未計測領域が、フライングレーザレンジセンサと歪み補正のパラメータ推定手法により、正確に埋められているのが確認できる。本発明のフライングレーザレンジセンサの視野角が狭いため、一回の計測で得られる領域は少ない。しかし、気球で吊るしているため、容易に視点位置を変えることが可能であり、1回の計測が1秒で完了するため広い範囲の未計測領域を埋めることが可能となる。
【0053】
本発明の歪み補正パラメータ推定手法のシミュレーション
空中計測による上記シミュレーション実験を以下に説明する。
前記第1測定系により実際に計測された形状データを2種類用意し、一方を人工的に歪ませて空中計測による歪みデータ(第2測定系によるデータ)とし、他方を第1測定系によるデータ(基準画像データ)として実験を行った。
【0054】
図8は、フライングレーザレンジセンサがそれぞれ、速度0.5m/sec(正面左図)と1.0m/sec(正面右図)で変動していると仮定し、従来の位置合わせ手法を行った結果である。該2つの図からセンサの計測位置の変動による歪みを考慮しない場合は、明らかに表面形状に差が生じているのが確認できる。
【0055】
一方、本発明の手法により歪み補正パラメータの推定を行い補正した結果、図9に示すように歪んだ形状が補正されているのが確認できる。なお、センサの移動速度1.0m/secは、センサを気球に吊るし静止させた状態での速度としては十分に大きい値である。また、移動速度0m/sec(この場合の形状は無変化)から1.0m/secまで段階的に増加させて、シミュレーション実験を行った際の誤差関数の値を図7に示す。この結果から、ほぼ全ての速度において速度0m/secと同等の値まで収束しているのが確認できる。なお、速度0m/secで形状を変化させていない場合でも、それぞれ元となっている形状データが異なるため、誤差関数は0に収束することはない。
【0056】
以上のように、本発明は、固定測定データと空中からの動的測定データとの2系統のレーザレンジセンサを利用して取得される3次元計測データを用いて従来よりも高精度で計測対象物体形状を復元することができる。また、本明細書では、第2測定系における空中浮遊手段を気球としているが、クレーン車を用いて吊したりしても本発明を適用できることは当業者には自明である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図8】
7
【図9】
8