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明細書 :不斉反応用触媒、及びそれを用いた光学活性化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4663629号 (P4663629)
登録日 平成23年1月14日(2011.1.14)
発行日 平成23年4月6日(2011.4.6)
発明の名称または考案の名称 不斉反応用触媒、及びそれを用いた光学活性化合物の製造方法
国際特許分類 B01J  31/22        (2006.01)
C07C 227/12        (2006.01)
C07C 227/32        (2006.01)
C07C 229/18        (2006.01)
C07C 213/04        (2006.01)
C07C 215/44        (2006.01)
C07C 327/06        (2006.01)
C07D 333/24        (2006.01)
C07D 307/54        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/22 Z
C07C 227/12
C07C 227/32
C07C 229/18
C07C 213/04
C07C 215/44
C07C 327/06
C07D 333/24
C07D 307/54
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 13
全頁数 22
出願番号 特願2006-510794 (P2006-510794)
出願日 平成17年3月9日(2005.3.9)
国際出願番号 PCT/JP2005/004077
国際公開番号 WO2005/084803
国際公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
優先権出願番号 2004064994
優先日 平成16年3月9日(2004.3.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年4月27日(2006.4.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】石谷 暖郎
【氏名】山下 恭弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 特開2003-299962(JP,A)
特開2002-275112(JP,A)
特開2001-031682(JP,A)
特開平04-091093(JP,A)
ISHITANI,H. et al.,Efficient Catalytic Enantioselective Mnannich-Type Reactions Using a Zirconium-Bis(binaphthol)methane Complex,Tetrahedron Letters,1999年,Vol.40,page.2161-2164
MARUOKA,K. et al.,Chiral Helical Lewis Acids for Asymmetric Diels-Alder Catalysts,J.Org.Chem,1993年,Vol.58,page.2938-2939
ANDRADE C K Z et al.,Niobium(V)chloride-mediated allylation of aldehydes. Scope and stereoselectivity,Tetrahedron Letters,2001年,Vol.42,page.6473-6476
MATSUNAGA,S. et al.,Catalytic Enantioselective meso-Epoxide Ring Opening Reaction with Phenolic Oxygen Nucleophile Promoted by Gallium Heterobimetallic Multifunctional Complexes,J.Am.Chem.Soc.,2000年,Vol.122,page.2252-2260
KOBAYASHI,S. et al.,A Novel Dinuclear Chiral Niobium Complex for Lewis Acid Catalyzed Enantioselective Reactions:Design of a Tridentate Ligand and Elucidation of the Catalyst Structure,Angew. Chem. Int. Ed.,2005年 1月21日,Vol.44,page.761-764
特許請求の範囲 【請求項1】
5価のニオブ化合物と、(R)-体又は(S)-体からなり光学活性なビナフトール構造を含むトリオール又はテトラオールとを混合してなる不斉反応用触媒であって、不斉マンニッヒ型反応、エポキシドの不斉開環反応、不斉アリル化反応、不斉シアノ化反応、又は不斉アルキル化反応に用いられる不斉反応用触媒
【請求項2】
前記ニオブ化合物が式
NbX
(式中、Xはアルコキシドまたはハロゲン原子を表す)で表される請求項1記載の不斉反応用触媒。
【請求項3】
前記トリオールは式I
【化1】
JP0004663629B2_000026t.gif
で表される(式中、Yは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す)請求項1又は2記載の不斉反応用触媒。
【請求項4】
前記トリオールは式II
【化2】
JP0004663629B2_000027t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表し、nは0~2の整数を表す)で表される請求項1又は2記載の不斉反応用触媒。
【請求項5】
前記テトラオールは式III
【化3】
JP0004663629B2_000028t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す)で表される請求項1又は2記載の不斉反応用触媒。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の不斉反応用触媒を用い、RC=N-Z(R、Rは水素原子、炭化水素基、アルコキシカルボニル基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、Zはアリール基又はアシルアミノ基を表す)で表される反応基質と求核剤とを求核付加反応させる光学活性化合物の製造方法。
【請求項7】
前記反応基質が式IV
【化4】
JP0004663629B2_000029t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、Rは水素原子またはトリフルオロメチル基を表す)で表されるイミンである請求項6記載の光学活性化合物の製造方法。
【請求項8】
前記反応基質が式V
【化5】
JP0004663629B2_000030t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、R14は水素原子又は電子吸引性の置換基である)で表されるベンゾイルヒドラゾンである請求項6記載の光学活性化合物の製造方法。
【請求項9】
前記求核剤が式VI
【化6】
JP0004663629B2_000031t.gif
(式中、R10、R11はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、及びシリルオキシ基の群から選ばれる1種を表し、R12は水素原子、脂肪族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、及びアルキルチオ基の群から選ばれる1種を表し、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい炭化水素基を表す)で表されるケイ素エノラートである請求項6乃至8のいずれかに記載の光学活性化合物の製造方法。
【請求項10】
反応系にイミダゾール誘導体を添加して行う、請求項6~9のいずれかに記載の光学活性化合物の製造方法。
【請求項11】
反応系に合成結晶性ゼオライトを添加して行う、請求項6~10のいずれかに記載の光学活性化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至5のいずれかに記載の不斉反応用触媒を用い、反応基質と求核剤とを求核付加反応させる光学活性化合物の製造方法。
【請求項13】
前記反応基質がエポキシドで、前記求核剤が窒素化合物であり、光学活性化合物が含窒素化合物である請求項12に記載の光学活性化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉反応用触媒、及び光学活性化合物の製造方法に関し、より詳細には求核付加に用いる不斉反応用触媒、及び光学活性化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルイス酸触媒存在下、C=O結合やC=N結合(例えば、イミン(C=N)やヒドラゾン(C=N-N)化合物)の不飽和炭素への不斉求核付加反応は、新たな炭素—炭素結合を形成し、種々の光学活性化合物の合成に利用できることから、数多く検討されている。そして、上記触媒としては、選択性や安定性の観点から、種々の金属や配位子が用いられている。
一方、本発明者らは、既にジルコニウムアルコキシドとビナフトール誘導体から調製される不斉触媒を開発し、不斉ディールス・アルダー反応(例えば、特許文献1参照)、アルドール反応(例えば、特許文献2および非特許文献1参照)、イミノアルドール反応(例えば、特許文献3参照)を高い収率と立体選択性で行えることを報告している。
又、ニオブは高いルイス酸性を有すると期待されており(例えば、非特許文献2参照)、ニオブを触媒に用いて不斉ディールス・アルダー反応を行った例が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】

【特許文献1】特開2002-356454号公報
【特許文献2】特願2000-067833号公報
【特許文献3】特開平11-33407号公報
【非特許文献1】山下、他、J.Am.Chem.Soc.,2002年、第124巻、p3292
【非特許文献2】シー・アンドレード(C. Andrade)、「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett)」、2001年、第42巻、p.6473
【非特許文献3】ジェー・ホワース(J. Howarth)、ケー・ギレスピー(K. Gillespie)、「モレキュールズ(Molecules)」、2000年、第5巻、p.993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より効率的な反応、即ち、100%に近い化学収率、100%に近い立体選択性の反応の開発を目的として、有効な触媒系が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、収率及び立体選択性に優れ、取扱いも容易な不斉反応用触媒、及びそれを用いた光学活性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ニオブ化合物と光学活性なビナフトール構造を含むトリオール又はテトラオールとを混合することで、ニオブを活性中心金属とする不斉触媒が得られることを見出した。そして、この触媒は、不斉求核付加反応に適することも見出した。
【0006】
すなわち、本発明の不斉反応用触媒は、5価のニオブ化合物と、(R)-体又は(S)-体からなり光学活性なビナフトール誘導体を含むトリオールとを混合してなり、不斉マンニッヒ型反応、エポキシドの不斉開環反応、不斉アリル化反応、不斉シアノ化反応、又は不斉アルキル化反応に用いられる。前記ニオブ化合物が式NbX(式中、Xはアルコキシドまたはハロゲン原子を表す)で表されることが好ましい。



【0007】
前記トリオールは式I
【化1】
JP0004663629B2_000002t.gif
で表され(式中、Yは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す)、又は、式II
【化2】
JP0004663629B2_000003t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表し、nは0~2の整数を表す)で表されることが好ましい。
【0008】
前記テトラオールは式III
【化3】
JP0004663629B2_000004t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す)で表されることが好ましい。
【0009】
本発明の光学活性化合物の製造方法は,前記不斉反応用触媒を用い、RC=N-Z(R、Rは水素原子、炭化水素基、アルコキシカルボニル基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、Zはアリール基又はアシルアミノ基を表す)で表される反応基質と求核剤とを求核付加反応させる。
【0010】
前記反応基質が式IV
【化4】
JP0004663629B2_000005t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、Rは水素原子またはトリフルオロメチル基を表す)で表されるイミンであること、又は、前記反応基質が式V
【化5】
JP0004663629B2_000006t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、R14は水素原子又は電子吸引性の置換基である)で表されるベンゾイルヒドラゾンであることが好ましい。
前記求核剤が式VI
【化6】
JP0004663629B2_000007t.gif
(式中、R10、R11はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、及びシリルオキシ基の群から選ばれる1種を表し、R12は水素原子、脂肪族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルキルチオ基の群から選ばれる1種を表し、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい炭化水素基を表す)で表されるケイ素エノラートであることが好ましい。
【0011】
前記光学活性化合物の製造方法において、反応系にイミダゾール誘導体及び/又は合成結晶性ゼオライトを添加して行うことが好ましい。
【0012】
本発明の光学活性化合物の製造方法は、前記不斉反応用触媒を用い、反応基質と求核剤とを求核付加反応させるものである。
前記反応基質がエポキシドで、前記求核剤が窒素化合物であり、光学活性化合物が含窒素化合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収率及び立体選択性に優れ、取扱いも容易な不斉反応用触媒が得られる。又、この触媒を用いると、不斉求核付加反応により光学活性化合物を効率よく製造できる。また反応が温和であるため、副反応をおこさずに選択的な反応が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施形態について説明する。
<ニオブ化合物>
本発明で用いる5価のニオブ化合物としては、特に制限されないが、例えばNbX(式中、Xはアルコキシドまたはハロゲン原子を表す)で表されるものが挙げられる。このうち、取扱いの容易なことから、Nbアルコキシド(特にNbメトキシド又はNbエトキシド)が好ましい。
【0015】
<ビナフトール構造を含むトリオール>
本発明で用いられるビナフトール構造を有するトリオールは、(R)-体または(S)-体の光学活性ビナフトール骨格を含む。このものを上記ニオブ化合物と混合することにより、中心金属であるニオブ原子に光学活性トリオールが酸素原子を介して結合した構造を有する不斉ニオブ触媒が形成される。ここで、ビナフトール環とフェノールとの距離およびフェノール上の置換基を微調整することにで、様々な求核付加反応に対する最適な触媒構造を構築できる。
【0016】
前記トリオールとしては、例えば式I
【化1】
JP0004663629B2_000008t.gif
で表される(式中、Yは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す)化合物や、式II
【化2】
JP0004663629B2_000009t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表し、nは0~2の整数を表す)で表される化合物を好適に用いることができる。具体的には、Rは水素、メチル基、t-ブチル、イソプロピル基の群から選ばれる1種、n=0または1のものが例示できる。
【0017】
<ビナフトール構造を含むテトラオール>
本発明で用いられるビナフトール構造を有するテトラオールは、(R)-体または(S)-体の光学活性ビナフトール骨格を含む。このものを上記ニオブ化合物と混合することにより、中心金属であるニオブ原子に光学活性テトラオールが酸素原子を介して結合した構造を有する不斉触媒が形成される。ここで、ビナフトール環とフェノールとの距離およびフェノール上の置換基を微調整することにで、様々な求核付加反応に対する最適な触媒構造を構築できる。
【0018】
前記テトラオールとしては、例えば式III
【化3】
JP0004663629B2_000010t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、又は炭素数4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、Rは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す)で表される化合物を好適に用いることができる。Rとしては、例えば水素、メチル基、ヨウ素が挙げられ、Rとしては、例えば水素、メチル基、t-ブチル、イソプロピル基が挙げられる。
【0019】
前記トリオール又はテトラオールにおけるナフタレン環が有する置換基(上記したR及びR)としては、水素原子、ハロゲン、アルキル基、パーフルオロアルキル基を例示することができる。このような置換基を有するビナフトール構造としては、具体的には、例えば3,3'-ジブロモ-、6,6'-ジブロモ-、3,3'-ジブロモ-6,6'-ジヨード-、3,3'-メチル-、6,6'-ジメチル-、3,3',6,6'-テトラヨード-1,1'-ビ-2-ナフトールを挙げることができる。
ナフタレン環上の置換基の役割は主に電子的な効果と考えられるが、単に配位のし易さに対する影響だけではない。
【0020】
<触媒の調製>
上記ニオブ化合物とトリオール又はテトラオールとの混合割合は、(ニオブ化合物)/(トリオール又はテトラオール)の値で1/1~1/2が好ましく、1/1~1/1.3がより好ましい。
上記ニオブ化合物とトリオール又はテトラオールとの混合方法は特に限定されないが、通常、有機溶媒中で上記各成分を混合し、適宜攪拌すればよい。有機溶媒としては、炭化水素やハロゲン化炭化水素などを好適に用いることができ、特に、塩化メチレン、トルエン、又はそれらの混合溶媒が好適である。混合温度に特に制約はないが、室温付近で混合するのが簡便であり、その後、室温からトルエンの沸点の間の温度(好ましくは60℃付近)で熟成するのが好適である。触媒の熟成時間は、通常30分から24時間、好ましくは1~3時間の範囲である。
【0021】
<その他の成分>
上記ニオブ化合物とトリオール又はテトラオールからなる不斉触媒系に、さらに含窒素化合物を含有させると、触媒特性が良好となる。含窒素化合物としては、ピリジン類(例えばピリジン、2,6-Lutidine, 2,4,6-Collidine等)、キノリン類(例えば、キノリン、イソキノリン)、iPr2NEt,又はイミダゾール類(例えばN-メチルイミダゾール)が好ましい。これらの含窒素化合物の含有量は、上記ニオブ化合物と等モル程度とするのが好ましい。これらの含窒素化合物を反応系に加えるタイミングに特に制約はないが、通常、ニオブ化合物を添加する前にトリオール又はテトラオールと混合しておくか、トリオール又はテトラオールとニオブ化合物を混合してから求核剤を加えるまでの間に含窒素化合物を添加するのが好ましい。
又、上記ニオブ化合物とトリオール又はテトラオールからなる不斉触媒系に、さらにモレキュラーシーブ(Molecular Sieves)などの合成結晶性ゼオライトを添加すると触媒特性が向上する。通常、モレキュラーシーブとしては3Aまたは4Aが好適である。
【0022】
<反応基質>
以上のようにして調製された本発明の触媒は、種々の不斉反応に対しても触媒作用を有する。例えば、不斉マンニッヒ型反応、エポキシドの不斉開環反応、不斉アリル化反応、不斉マイケル反応、不斉シアノ化反応、不斉アルキル化反応を例示することができる。特に不斉マンニッヒ型反応、エポキシドの不斉開環反応に本発明の触媒を用いると、高収率、高立体選択的に目的物を得ることができる。
【0023】
<マンニッヒ型反応>
本発明の触媒は、イミンまたはアシルヒドラゾンを求電子剤(反応基質)とし、ケイ素エノラートを求核剤とするマンニッヒ型反応反応
【化7】
JP0004663629B2_000011t.gif
において特に有効である。この不斉反応によって、光学活性な含窒素化合物が生成する。
【0024】
(反応基質)
反応基質としては、RC=N-Z(R、R、Zは前記と同義であり、R≠Rである)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物は、イミン及びアシルヒドラゾンで総称される。
これらの化合物を用いる場合、上記式中の置換基R、Rは、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアルコキシカルボニル基の群からそれぞれ選ばれる1種であり、これらの置換基には、付加反応を阻害することがないヘテロ原子や官能基を有していても良い。各種イミン化合物は、対応するカルボニル化合物とアミンから既知の方法に従って容易に合成することができる。同様に、各種アシルヒドラゾン化合物は、対応するカルボニル化合物とアシルヒドラジンから既知の方法に従って容易に合成することができる。
【0025】
(求核剤)
求核剤としては、ケイ素エノラートを好適に使用することができる。上記化合物(RC=N-Z)を反応基質とした場合、ケイ素エノラートを求核剤に用いると、光学活性なβ—アミノカルボニル化合物や、光学活性なβ—アミノ酸誘導体が得られる。
【0026】
(イミン)
ここで用いられるイミンは、アルデヒドまたはケトンと1級アミンとから脱水反応により得られるが、例えば式IV
【化4】
JP0004663629B2_000012t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、Rは水素原子またはトリフルオロメチル基を表す)で表されるイミンを好適に用いることができる。R、Rの何れか1方が水素原子であるイミンが特に好適である。
【0027】
(ケイ素エノラート)
ケイ素エノラートとしては、式VI
【化6】
JP0004663629B2_000013t.gif
(式中、R10、R11はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、及びシリルオキシ基の群から選ばれる1種を表し、R12は水素原子、脂肪族炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルキルチオ基の群から選ばれる1種を表し、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい炭化水素基を表す)で表されるものが例示される。
特に、R13として、それぞれ同じでも異なっていてもよいメチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、及び第3ブチル基の群から選ばれる1種以上を用いたケイ素エノラートが好ましい。
【0028】
上記イミン及びケイ素エノラートを用い、本発明の不斉ニオブ触媒を用いることにより、例えば以下の構造
【化9】
JP0004663629B2_000014t.gif
を有するβ—アミノカルボニル化合物が得られる。なお、この生成物は、R12が炭化水素基の場合はβ-アミノエステルであり、R12がチオアルコキシ基の場合はβ-アミノチオエステルとなる。また、生成物中の2-ヒドロキシフェニルアミノ基は、CAN(硝酸セリウムアンモニウム)を用いた定法によりアリール基を除去して1級のアミノ基に変換できる。
【0029】
(ヒドラゾン)
上記イミンの代わりに、式V
【化5】
JP0004663629B2_000015t.gif
(式中、R、Rは水素原子、炭化水素基、及び官能基を有する炭化水素基の群から選ばれ、RとRは同一でなく、R14は水素原子又は電子吸引性の置換基である)で表されるベンゾイルヒドラゾンを反応基質に用いてもよい。この場合、R、Rの何れかが水素原子であることが好ましい。また、R14に用いる電子吸引性の置換基として、例えばハロゲン、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、ニトロ基が挙げられる。
【0030】
上記ベンゾイルヒドラゾン及びケイ素エノラートを用い、本発明の不斉ニオブ触媒を用いることにより、例えば以下の構造
【化11】
JP0004663629B2_000016t.gif
を有するβ-ヒドラジノカルボニル化合物が得られる。この生成は、ヨウ化サマリウムやラネーニッケルを用いてN-N結合を切断することにより1級のアミノ基に変換できる。
【0031】
<求核剤によるエポキシドの開環反応>
本発明の触媒は、エポキシドを求電子剤とした求核剤によるエポキシドの開環反応にも適用できる。エポキシドの構造に特に制限はなく、例えば、式VII
【化12】
JP0004663629B2_000017t.gif
(R15、R16は水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び置換基を有する炭化水素基の群から選ばれ、何れか一方は水素原子ではなく、R15とR16とが5員環以上の環状構造を形成していてもよい)で表される化合物が挙げられる。
また、求核剤としては、アジド、1級アミン、2級アミン、チオール、シアン化合物、ハロゲン化物などが挙げられるが、中でも含窒素化合物が好ましく、特に1級又は2級のアミンが好ましい。
【0032】
<その他の求核付加反応>
また本発明の不斉反応用触媒は、上記イミンや上記アシルヒドラゾンに対し、ケイ素エノラート以外の求核剤による不斉求核付加反応も可能である。例えば、アリルトリクロロシランなどのアリル化剤による不斉アリル化反応、トリアルキルスズシアニドなどによる不斉シアノ化反応が実施可能である。
【0033】
<反応方法>
上記触媒に反応基質を添加する方法は特に制限はないが、一般的には、溶媒に溶かしたイミン類等を上記触媒を含む溶液に滴下し、続いて求核剤を含む溶液を滴下すればよい。反応温度は反応基質の種類によって適宜選択できるが、通常は-78℃~室温、好ましくは-40℃~0℃とすることができる。反応時間は通常1~72時間で終了する。上記した触媒や溶媒を含む反応系における反応基質の濃度は好ましくは0.05~1.0mol/l、より好ましくは0.1~0.5mol/l程度である。
例えば、上記触媒を含む溶液に対し、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素に溶解したイミン化合物等を滴下し、続いて求核剤を滴下すればよい。
【0034】
上記反応基質に上記求核剤を求核付加させる不斉反応に本発明の触媒を用いると、非常に高いエナンチオ選択性を示し、様々なアミン化合物を高い光学純度で得ることが可能である。例えばマンニッヒ型反応では、多くの場合、化学収率70%以上、光学収率90%以上でβ-アミノケトン類(上式の右式VI)を得ることができる。なお、上式の左辺の化合物III,Vは、それぞれ既に化学式で示したイミン化合物及びケイ素エノラートであり、R等の記号の示す内容も既に述べたとおりである。
【0035】
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
NMRスペクトル(H-NMR、13C-NMR)は、JEOL-LA300、JEOL-LA400またはJEOL-LA500(日本電子社製のNMR(核磁気共鳴)装置)で測定した。旋光度は、JASCO P-1010(日本分光社製の旋光度計)で測定した。IRスペクトルは、JASCO FT/IR-610(日本分光社製のフーリエ変換IR装置)で測定した。
1.実験例1
【実施例1】
【0036】
<ビナフトール構造を含むトリオールの調製>
図1に示す反応式に従って、トリオールを調製した。
まず、水素化ナトリウム(275mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(120ml)に懸濁させ、そこにTHF(30ml)に溶解した2-イソプロピルフェノール(111mmol、図1の記号A1)を0℃で滴下した。30分後、この溶液にクロロメチルメチルエーテル(221mmol)を加え、室温まで加温した後、メタノールと水を続けて加え反応を停止した。水相をエーテルで抽出し、有機相を併せて水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより1-イソプロピル-2-メトキシメトキシベンゼン(17.5g、収率87%、図1の記号A2)を得た。
【0037】
上記化合物A2を15.0g(83mmol)と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)15ml(100mmol)とを含むTHF(200ml)溶液に、-78℃でn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(100mmol/64ml)を滴下した。30分後、溶液を0℃に昇温して1時間攪拌後、再び-78℃に冷却し、ジメチルホルムアミド(DMF)(15.9ml)をゆっくりと滴下した。反応溶液をゆっくりと室温まで昇温した後、塩化アンモニウムの飽和水溶液に注いだ。水相をエーテルで抽出し、有機相を併せて水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、3-イソプロピル-2-メトキシメトキシベンズアルデヒド(12.9g、収率74%、図1の記号A3)を得た。
H-NMR δ(ppm):1.25 (d, 6H, J = 7.1 Hz), 3.40 (sept, 1H, J = 7.1 Hz), 3.60 (s, 3H), 5.06 (s, 1H), 7.25 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.55 (dd, J = 1.7, 7.6 Hz), 7.70 (dd, 2H, J = 1.7, 7.6 Hz), 10.3 (s, 1H)
【0038】
次に、(R)-2,2'-ビス(メトキシメトキシ)-[1,1']ビナフタレン(37.9mmol、図1の記号A4)とTMEDA(45.1mmol)とを含むエーテル(450ml)溶液に、室温下でn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(45.4mmol/28.9ml)を滴下した後、1.5時間攪拌した。混合溶液を-78℃に冷却後、上記生成物A3(22.9mmol)のエーテル(50ml)溶液を滴下した。反応溶液をゆっくりと室温まで昇温した後、塩化アンモニウムの飽和水溶液に注いだ。水相をエーテルで抽出し、有機相を併せて水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、ほぼ1:1のジアステレオマー比で、(R)-(2,2'-ジメトキシメトキシ-[1,1']ビナフチル-3-イル)-(3-イソプロピル-2-メトキシメトキシフェニル)メタノール(12.2g、収率92%、図1の記号A5)を得た。
【0039】
上記生成物A5(21mmol)のジクロロメタン(35ml)溶液に、氷冷下にて塩化水素飽和メタノール(35ml)を加え、2時間攪拌した。この混合溶液に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加えて中和し、有機相を分離した。水相を塩化メチレンで抽出し、上記有機相を併せて、水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧留去した。得られた粗アルコール(図1のA6)の塩化メチレン(100ml)溶液に、トリエチルシラン(67.2mmol)を0℃で加え、続いて、三フッ化ホウ素-エーテル錯体(65.1mmol)を滴下した。反応溶液を一晩攪拌した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加えて中和し、有機相を分離した。残った水相を塩化メチレンで抽出し、上記有機相を併せて、水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、最終生成物である[(R)-3-(2-ヒドロキシ-3-イソプロピルベンジル)-[1,1']ビナフタレン2,2'-ジオール](6.2g、収率68%、2段階、図1の記号A7)を得た。
H-NMR δ(ppm):1.20 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 1.21 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 3.25 (sept, 1H, J = 6.8 Hz), 4.17 (d, 1H, J = 14.9 Hz), 4.23 (d, 1H, J = 14.9 Hz), 4.99 (s, 1H), 5.63 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.90 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.5, 7.5 Hz), 7.08-7.11 (m, 3H), 7.22-7.39 (m, 6H), 7.82 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 7.88 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.93 (s, 1H), 7.97 (d, 1H, J = 9.0 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 22.5, 22.8, 27.1, 31.5, 108.9, 110.6, 111.5, 117.8, 120.6, 124.1, 124.2, 124.5, 124.9, 125.9, 127.1, 127.6, 128.0, 128.1, 128.5, 128.8, 129.5, 129.9, 131.2, 131.7, 132.2, 133.2, 135.8, 149.8, 151.1, 152.8.
【0040】
[α]D30 :+63.6 (c 1.03, THF)
Mp :205-206℃.
IR (KBr) :3505, 3425, 1592, 1463, 820, 751 cm-1
【0041】
<不斉反応触媒によるアルジミンへのケテンシリルアセタールの不斉求核付加反応>
1.反応基質及び求核剤の調製
反応基質であるイミン(アルジミン)は、ジクロロメタンとDMF中、モレキュラーシーブの共存下で、対応するアルデヒドとフェノール誘導体から調製したものを再結晶して使用した。シリルエノラート(シリルエノールエーテル)は、文献(S. Kobayashi)ら、「シリルエノールエーテル・イン・サイエンス・オブ・シンセシス、ホーベンーウェイル・メソード・オブ・モレキュラー・トランスフォーメーションズ("Silyl Enol Ethers" , in Science of Synthesis, Houben-Weyl Methods of Molecular Transformations)、ゲオルグ・シーメ・フェルラグ シュツッツガルト(George Thieme Verlag: Stuttgart)、2002年、4巻、p.317」記載の方法により合成した。反応に用いた他の試薬はすべて市販品を購入し、必要に応じて精製して使用した。反応はすべてアルゴン雰囲気下で実施した。
【0042】
2.触媒の調製
上記生成物A6(72μmol)をトルエン(0.3ml)に溶解し、この溶液にN-メチルイミダゾール(NMI)(60μmol)のトルエン(0.6ml)溶液を室温で加え、攪拌した。この混合溶液を10分攪拌後、Nb(OMe)(60μmol)のトルエン(0.6ml)溶液を加え、全体を60℃に加温し3時間攪拌した後、室温に戻した。モレキュラーシーブ3A(100mg)入りのフラスコに、この混合溶液を移し、塩化メチレン(0.5ml)で洗浄後、30分間攪拌した。
【0043】
3.不斉反応
上記溶液を-20℃に冷却し、式IV
【化4】
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で表されるイミン(0.6mmol、但し、R=Ph、R=H、R=H)の塩化メチレン(0.7ml)溶液と、これに続けて式VI
【化6】
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で表されるシリルエノールエーテル(0.72mmol、但し、R10=R11=R13=Me、R12=OMe)の塩化メチレン(0.3ml)溶液を加えた。48時間攪拌後、反応溶液に炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を注いで反応を停止し、水相を塩化メチレンで抽出した。上記水相と有機相を併せて、水、飽和食塩水の順に続けて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧留去した。得られた粗成生物は、調製用薄層クロマトグラフィー(ベンゼン/酢酸エチル=9/1)を用いて精製し、
【化9】
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で表されるアミノケトン誘導体(生成物)を得た(収率86%、但し、R~R12=は上記式IV, VIにおけるのと同一、化9においてベンゼン環に結合しているのはメトキシ基でなく水酸基)。生成物の不斉収率(99%ee)は、キラルカラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で決定した。
【0044】
生成物の各種物性
名称: (S)-メチル 2,2'-ジメチル-3-(2-ヒドロキシフェニル)アミノ-3-フェニルプロピオネート
IR (KBr) :3401, 1709, 1611, 1514, 1453, 1391 cm-1.
1H NMR (CDCl3): δ(ppm): 1.21 (s, 3H), 1.24 (s, 3H) 3.68 (s, 3H), 4.57 (s, 1H), 6.36-6.76 (m, 4H), 7.21-7.28 (m, 5H).
13C NMR (CDCl3): δ 19.9, 24.2, 47.3, 52.1, 64.3, 113.2, 114.1, 117.6, 120.8, 127.3, 127.9, 128.3, 135.6, 138.9, 144.0, 178.0.
HPLC(Daicel Chiralpak=AD, ヘキサン /iPrOH = 9/1,flow rate =1.0 ml/min, tR=9.3 min (3R), tR=16.0 min (3S). Anal. Calcd for C18H21NO3: C, 72.22; H, 7.07; N, 4.68. found: C, 72.28; H, 7.20; N, 4.62.
HRMS: Calcd for C18H21NO3 (M+) 299.1522, found 299.1497.
生成物の (S)- 体の絶対配置(Absolute configuration ) :対応する樟脳酸エステルのX線結晶構造解析によって決定
【0045】
<実施例2~10>
上記式IV,VIの各化合物において、R~R13=を表1に示すものに変えたものを用いたこと以外は、実施例1とまったく同様にして反応を行った。得られた反応物の化学収率及び不斉収率を表1に示す。
【0046】
【表1】
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【0047】
表1から明らかなように、各実施例の場合、反応基質にイミンを用い、求核剤としてシリルエノラートを用いた不斉求核付加反応により、90%程度の高い不斉収率で、対応するβ-アミノケトン誘導体を得られた。これより、イミンに対する高エナンチオ選択的な求核付加反応が可能であることがわかった。
【0048】
なお、実施例2~10で得られた反応物(アミノケトン誘導体)の物性値を以下に示す。
【0049】
<実施例2>
(S)-メチル 3-(4-クロロフェニル)-2,2'-ジメチル -(2-ヒドロキシフェニル)アミノプロピオネート
IR (KBr) 3359, 1709, 1610, 1513, 1490, 1450, 738 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.19 (s, 3H), 1.24 (s, 3H) 3.67 (s, 3H), 4.55 (s, 1H), 6.31-6.90 (m, 4H), 7.22 (s, 2H), 7.35 (s, 2H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 20.2, 24.7, 47.3, 52.4, 64.0, 113.3, 114.3, 117.9, 121.1, 128.2, 128.3, 129.7, 133.2, 135.4, 137.7, 144.0, 177.5.
HPLC:測定条件は実施例1と同一、tR =8.3 min (3R), tR=16.7 min (3S). Anal. Calcd for C18H20NO3Cl: C, 64.77; H, 6.04; N, 4.20. found: C, 64.47; H, 6.18; N, 4.01.
HRMS: Calcd for C18H20NO3Cl (M+) 333.1133, found 333.1109.
【0050】
<実施例3>
メチル 2,2'-ジメチル -3-(2'-ヒドロキシフェニルアミノ)-3-(4'-メトキシフェニル)プロピオネート
IR (neat): 3420, 2979, 1715, 1612, 1510, 1252 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.20 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 3.68 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 4.50 (s, 1H), 6.39 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 6.35 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 6.62 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 6.68 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.19 (d, 1H, J = 8.5 Hz).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 20.1, 24.4, 47.5, 52.2, 55.2, 64.2, 113.4, 114.3, 115.3, 117.2, 118.1, 119.7, 121.1, 129.4, 131.0, 135.6, 144.4, 158.8, 177.8.
HPLC:測定条件は実施例1と同一、tR = 11.1 min (3R), tR = 28.0 min (3S).
HRMS: Calcd for C19H23NO4 (M+) 329.1627, found 329.1638.
【0051】
<実施例4>
(S)-メチル 2,2'-ジメチル -3-(2-ヒドロキシフェニル) アミノ 3-(1'-ナフチル)- プロピオネート
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.18 (s, 3H), 1.25 (s, 3H) 3.66 (s, 3H), 5.62 (s, 3H), 6.28-6.62 (m, 4H), 7.22-8.00 (m, 7H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 19.9, 25.1, 48.4, 52.4, 57.8, 113.4, 114.2, 117.9, 121.2, 122.1, 123.2, 125.2, 125.3, 125.4, 126.1, 128.1, 129.1, 133.6, 135.3, 144.1, 177.9.
HPLC: カラムにキラルセル(chiralcel)ADを用いた以外の測定条件は実施例1と同一、tR =14.6 min (3s), tR=10.6 min (3R.). Anal. Calcd for C22H23NO3: C, 75.62; H, 6.63; N, 4.01. found: C, 75.48; H, 6.49; N, 3.94.
HRMS: Calcd for C18H20NO3Cl (M+) 349.1678, found 349.1668.
【0052】
<実施例5>
メチル2,2'-ジメチル -3-(2'-ヒドロキシフェニル)アミノ-3-(2'-ナフチル) プロピオネート
IR (KBr) 3418, 1710, 1610, 1510, 1270, 736 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.26 (s, 3H), 1.29 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 4.71 (s, 1H), 6.40-6.70 (m, 4H) 7.41-7.46 (m, 3H), 7.75-7.81 (m, 4H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 20.2, 24.5, 47.6, 52.3, 64.8, 114.0, 114.3, 118.0, 121.1, 125.8, 126.2, 127.5, 127.6, 127.6, 127.9, 132.9, 133.0, 135.5, 136.7, 144.3, 177.7.
HPLC:フロー速度0.8 ml/minとした以外の測定条件は実施例1と同一、tR = 12.2 min (3R), tR = 26.0 min (3S).
HRMS: Calcd for C22H23NO3 (M+) 349.1678, found 349.1671.
【0053】
<実施例6>
(R)- メチル 3-(2-ヒドロキシフェニル) アミノ -2,2'-ジメチル-3-(3'-チエニル) プロピオネート
IR (neat) 3413, 2978, 1708, 1608, 1513, 1446, 1267, 1192, 1140, 741 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.25(s, 3H), 1.28(s, 3H), 3.69(s, 3H), 4.66(s, 1H), 6.46-6.71 (m, 4H), 6.98(d, 1H J = 5.6 Hz), 7.06(s, 1H), 7.21(s, 1H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 20.4, 24.1, 47.2, 52.2, 61.2, 114.5, 115.1, 118.9, 121.1, 122.9, 125.2, 127.3, 135.3, 140.7, 145.0, 177.7.
HPLC:測定条件は実施例1と同一、tR = 9.2 min (3S), tR = 14.3 min (3R).
【0054】
<実施例7>
(S)- メチル 3-(2-ヒドロキシ -5-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-2,2'-ジメチル -3-フェニルプロピオネート
IR (neat) 1707, 1612, 1531, 1442, 1336, 1277, 1115 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.22 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 4.54 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.75 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.23-7.32 (m, 5H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 20.2, 24.7, 47.3, 52.4, 64.5, 109.9, 113.6, 115.0, 123.2, 123.5, 127.8, 128.2, 135.7, 138.3, 137.0, 146.6, 177.9.
HPLC:測定条件は実施例1と同一、tR = 5.4min (3R), tR = 7.3 min (3S).
Anal. Calcd for C19H20F3NO3: C, 62.12; H, 5.49; F, 15.11; N, 3.81; O, 13.07. found: C, H, N,
【0055】
<実施例8>
(S)-S-エチル 3-(2-ヒドロキシフェニル)アミノ-3-フェニルプロパンチオ酸
IR (KBr) 3396, 1647, 1608, 1520, 1449, 1362 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.67 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.83 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 2.97 (dd, 1H, J = 5.4, 14.9 Hz), 3.07 (dd, 1H, J = 8.1, 14.9 Hz), 4.81 (dd, 1H, J = 5.4, 8.1 Hz), 6.44-6.71 (m, 4H), 7.20-7.33 (m, 5H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 14.4, 23.6, 51.4, 56.1, 114.4, 114.6, 118.8, 121.1, 126.3, 127.4, 128.6, 134.9, 141.7, 144.7, 198.4.
HPLC:カラムにキラルパックASを用い、ヘキサン/iPrOH = 19/1とした以外の測定条件は実施例1と同一、tR=26.6 min (3S), tR=38.2 min (3R). Anal. Calcd for C17H19NO2S: C, 67.74; H, 6.35; N, 4.65. found: C, 68.00; H, 6.54; N, 4.54.
HRMS: Calcd for C17H19NO2S (M+) 301.1138, found 301.1102.
【0056】
<実施例9>
(S)-S-エチル 3-(4'-クロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル) アミノ-フェニルプロパンチオ酸
IR (neat) 3412, 1665, 1516, 1447, 742 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.21 (t, 2H J = 7.4 Hz), 2.83 (q, 2H J = 7.4 Hz), 2.96 (dd, 1H, J = 5.1, 14.9 Hz), 3.05 (dd, 1H, J = 8.3, 14.9 Hz), 4.78 (dd, 1H, J = 5.1, 8.3 Hz), 6.39-6.78 (m, 4H), 7.22-7.28 (m, 5H).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 14.5, 23.7, 51.2, 55.6, 114.5, 115.0, 119.3, 121.2, 127.8, 128.9, 133.2, 134.6, 140.3, 144.7, 197.8.
HPLC: 測定条件は実施例1と同一、tR=19.5 min (3S), tR=24.3 min (3R). Anal. Calcd for C17H18NO2ClS: C, 60.80; H, 5.40; N, 4.17. found: C, 60.85; H, 5.60; N, 3.99.
HRMS: Calcd for C17H18NO2ClS (M+) 335.0747, found 335.9758.
【0057】
<実施例10>
(S)-S-エチル 3-(2'-フリル)-3-(2-ヒドロキシフェニルl) アミノ-フェニルプロパンチオ酸
IR (neat) 3414, 1674, 1608, 1513, 1448, 1349, 740 cm-1.
1H- NMR (CDCl3): δ(ppm) 1.32 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.90 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 3.06 (dd, 1H, J = 5.4, 15.6 Hz), 3.19 (dd, 1H J = 8.3, 15.6 Hz), 4.81 (dd, 1H J = 5.4, 8.3 Hz), 6.11 (d, 1H J = 3.2 Hz), 6.26 (dd, 1H J = 2.0, 3.2 Hz), 6.60-6.81 (m, 4H), 7.35 (d, 1H J = 2.0 Hz).
13C- NMR (CDCl3): δ(ppm) 14.5, 23.6, 48.0, 50.8, 106.8, 110.2, 115.0, 118.0, 120.7, 121.5, 133.8, 142.0, 147.1, 153.8, 198.2.
HPLC:測定条件は実施例4と同一、tR=15.4 min (3S), tR=8.9 min (3R).
Anal. Calcd for C15H17NO3S: C, 61.83; H, 5.88; N, 4.81. found: C, 61.86; H, 5.72; N, 4.80.
HRMS: Calcd for C15H17NO3S (M+) 291.0932, found 291.0931.
【0058】
2.実験例2
<ニオブアルコキシドと光学活性四座型ビナフトール構造を用いるエポキシドのアミノリシス反応>
アルゴン雰囲気下、四座配位型ビナフトール構造(光学活性テトラオール)(0.044 mmol) のトルエン (0.40 mL) 溶液に対し、ニオブメトキシド (0.040 mmol) のトルエン (0.60 mL) 溶液を室温下投入し、その後60℃にて3時間攪拌した後、室温に戻してキラルニオブ錯体のトルエン溶液とした。
【0059】
(四座配位型ビナフトールの合成)
四座配位型ビナフトールの合成スキームを図2に示す。
(R)-3,3'-bis(2-Hydroxy-3-isopropylbenzyl)-[1,1']binaphthalene-2,2'-diol (8a) :
(R)-2,2'-Bis(methoxy-methyloxy)-1,1'-binaphthalene (5.33 g, 14.23 mmol) のTHF溶液 (90 mL) を-78 ℃に冷却し、sec-ブチルリチウムヘキサン溶液 (0.99 M, 28.4 mL, 28.1 mmol) を滴下し30分攪拌した後に0 ℃に昇温し、さらに1時間半攪拌し後に-78 ℃に冷却する。ここに3-isopropyl-2-methoxymethoxybenzaldehyde (11.85 g, 56.9 mmol) のTHF溶液 (30 mL) を滴下し、室温に昇温し終夜攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を停止し、ジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機相を水、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、
(R)-(2,2'-Dimethoxy-methoxy-[1,1']binaphthyl-3-yl)-(3-isopropyl-2-methoxymethoxyphenyl)methanol as ca. 1:1 diastereomer mixture を得る (11.28 g) 。このアルコール (11.28 g) を塩化メチレン溶液 (120 mL) とし0 ℃にて攪拌し、飽和塩化水素メタノール溶液 (45 mL) を加える。30分攪拌した後に飽和重曹水を用いて反応溶液を中和し、塩化メチレンで抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、減圧下溶媒を留去する。残渣は精製せずに塩化メチレンに (70 mL) 溶解させ、0 ℃に冷却した後にトリエチルシラン (8.62 g, 74.1 mmol) の塩化メチレン溶液 (35 mL) 、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体(10.72 g, 75.5 mmol) の塩化メチレン溶液 (35 mL) を順次滴下し、0 ℃にて終夜攪拌する。飽和重曹水を用いて反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を水、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、(R)-3,3'-bis(2-Hydroxy-3-isopropylbenzyl)
-[1,1']binaphthalene-2,2'-diol (5.76 g, 9.89 mmol, 69 % yield in 3 steps)を得た。
【0060】
(R)-3,3'-bis(2-Hydroxy-3-isopropylbenzyl)-[1,1']binaphthalene-2,2'-diol (8a): [?]D20 +38.9 (c 1.01, CHCl3). Mp 115-117 °C. IR (KBr) 3445, 2959, 1626, 1451, 1208, 1088, 753 cm-1. 1H NMR (CDCl3): ? 1.22 (d,12H, J = 8.0 Hz), 3.25 (sept, 2H, J = 6.8 Hz), 4.19 (d, 4H, J = 15.1 Hz), 5.67(s, 2H), 6.46 (s, 2H), 6.91 (dd, 2H, J = 7.5, 7.5 Hz), 7.05 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.23 (m, 6H), 7.35 (dd, 2H, J = 8.0 Hz), 7.82 (d, 2H, J = 8.01 Hz), 7.93 (s, 2H). 13C NMR (CDCl3): ? 22.6, 22.7, 27.1, 31.5, 111.4, 120.7, 124.0, 124.6, 124.9, 125.8, 127.2, 128.1, 128.1, 128.9, 129.9, 131.3, 132.0, 135.8, 149.9, 151.1. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 1.0 mL/min: tR = 13.1 min (S), tR = 15.8 min (R). MS: Calcd for C40H38O4 (M+ + Na+) 605, found 605.
Anal. Calcd for C15H17NO3S: C, 61.83; H, 5.88; N, 4.81. found: C, 61.86; H, 5.72; N, 4.80.
【0061】
(反応)
図2に示した光学活性テトラオール8aを用いた。
別の反応容器に乾燥したモレキュラーシーブス 4A(100 mg) を量り取り、アルゴン雰囲気下にした後、上記調製したキラルニオブ錯体トルエン溶液をカニューレを用いてこの反応容器に移し、トルエン (0.50 mL) で洗い込んだ。これを室温下30分攪拌し、0℃に冷却した。ここにエポキシド(シクロヘキセンオキシド) (0.40 mmol) の塩化メチレン(0.50mL) 溶液と、アミン(アニリン )(0.48 mmol)の塩化メチレン(0.50mL) 溶液を順次加え、18時間攪拌した。
この溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (10 mL) を加え反応を停止し、水相を塩化メチレンで抽出した (10 mL x 3)。有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー (Hexane : AcOEt = 4:1) で精製し、対応するα-アミノアルコール( (1R,2R)-2-(フェニルアミノ)シクロヘキサノール)を得た。この生成物の光学純度を、光学異性体分離カラム (Daicel Chiralpak AD)を用いたHPLCにより決定した。
【化13】
JP0004663629B2_000022t.gif

【0062】
生成物であるα-アミノアルコールの化学収率は定量的であり、不斉収率(以下eeと記す)は70%であった。
【0063】
3.実験例3
<ビナフトール構造の種類によるエポキシドのアミノリシス反応>
アルゴン雰囲気下、以下のビナフトール構造1a~1c (0.044 mmol) のトルエン (0.40 mL) 溶液に対し、以下のニオブアルコキシド (0.040 mmol) の塩化メチレン(0.60 mL) 溶液(ただし、ビナフトール構造1cの場合はトルエン溶液)を室温下投入し、その後60℃にて3時間攪拌した後、室温に戻してキラルニオブ錯体のトルエン溶液とした。
【化14】
JP0004663629B2_000023t.gif
なお、上記化合物1cと、8aとは同一である。
【0064】
別の反応容器に所定の添加剤を投入し、アルゴン雰囲気下にした後、上記調製したキラルニオブ錯体塩化メチレン(トルエン)溶液をカニューレを用いてこの反応容器に移し、塩化メチレン(ただし、ビナフトール構造1cの場合はトルエン)(0.50 mL) で洗い込んだ。これを室温下30分攪拌し、0℃に冷却した。ここにエポキシド(シクロヘキセンオキシド) (0.40 mmol) の塩化メチレン(0.50mL) 溶液と、アミン(アニリン )(0.48 mmol)の塩化メチレン(0.50mL) 溶液を順次加え、18時間攪拌した。なお、ビナフトール構造1aの場合は添加剤を使用せず、ビナフトール構造1cの場合は、添加剤として乾燥したモレキュラーシーブス 4A(100 mg) を用いた。
この溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (10 mL) を加え反応を停止し、水相を塩化メチレンで抽出した (10 mL x 3)。有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー (Hexane : AcOEt = 4:1) で精製し、対応するα-アミノアルコール( (1R,2R)-2-(フェニルアミノ)シクロヘキサノール)を得た。この生成物の光学純度を、光学異性体分離カラム (Daicel Chiralpak AD)を用いたHPLCにより決定した。
【化15】
JP0004663629B2_000024t.gif

【0065】
得られた結果を表2に示す。表において、Rはニオブアルコキシドのアルキル基を示す。
【0066】
【表2】
JP0004663629B2_000025t.gif

【0067】
表2から明らかなように、ビナフトール構造としてテトラオールを用いた場合にエポキシドの不斉開環の化学収率及び立体選択性が最も高くなった。これより、エポキシドの不斉開環にテトラオールを用いるのが有効であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ビナフトール構造を含むトリオールを調製するための反応を示す図である。
【図2】ビナフトール構造を含むテトラオールを調製するための反応を示す図である
図面
【図1】
0
【図2】
1