TOP > 国内特許検索 > アミドカルボニル化反応方法 > 明細書

明細書 :アミドカルボニル化反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4643567号 (P4643567)
登録日 平成22年12月10日(2010.12.10)
発行日 平成23年3月2日(2011.3.2)
発明の名称または考案の名称 アミドカルボニル化反応方法
国際特許分類 C07C 231/08        (2006.01)
C07C 233/47        (2006.01)
C07C 233/84        (2006.01)
C07C 273/18        (2006.01)
C07C 275/18        (2006.01)
B01J  31/06        (2006.01)
FI C07C 231/08
C07C 233/47
C07C 233/84
C07C 273/18
C07C 275/18
B01J 31/06 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 13
出願番号 特願2006-510832 (P2006-510832)
出願日 平成17年3月10日(2005.3.10)
国際出願番号 PCT/JP2005/004715
国際公開番号 WO2005/085180
国際公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
優先権出願番号 2004068206
優先日 平成16年3月10日(2004.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年12月8日(2006.12.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】秋山 良
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】爾見 武志
参考文献・文献 特開2004-277338(JP,A)
J. AM. CHEM. SOC.,(2003), VOL.125, NO.12,p.3412-3413
社団法人日本化学会編,「日本化学会第84春季年会 -講演予稿集 II」,(平成16年3月11日),p.1268
Journal of Organometallic Chemistry,(November 2004), Vol.689,p.3806-3809
調査した分野 C07C 231/08
C07C 231/12
C07C 233/47
C07C 233/84
C07C 273/18
C07C 275/18
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(1)(2)(3)
JP0004643567B2_000015t.gif(式中のRおよびRは、水素原子または式1aに示す置換基であって、少なくとも一方が水素原子であり、nは0~6の整数を、mは1~6の整数を、lは0~10の整数を示し、Raは、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、さらに、RaとRbは互いに結合してラクタム環を形成してもよい)で表わされるスチレン化合物を含有するモノマーのコポリマーにパラジウムを固定化したものの存在下に、次式
JP0004643567B2_000016t.gif(式中R1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアルデヒド化合物を、一酸化炭素ならびに次式
JP0004643567B2_000017t.gif(式中R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアミド化合物と反応させて、次式
JP0004643567B2_000018t.gif(式中R1およびR2は前記のものを示す)
で表わされるアミノ酸化合物を合成することを特徴とするアミドカルボニル化反応方法。
【請求項2】
前記コポリマーが、次式
JP0004643567B2_000019t.gif(式中、v/w/x/y/z=0~90/3~80/0~20/3~20/0~20であって、x=z=0でないことを示す)
で表わされることを特徴とする請求項1に記載のアミドカルボニル化反応方法。
発明の詳細な説明
【0001】
この出願の発明は、触媒の回収、再利用が可能とされ、効率的に、かつクリーンな反応系により、生理活性等の各種の機能を有するものとして重要なアミノ酸化合物を合成することのできる新しいアミドカルボニル化反応方法とそのための触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルデヒド化合物とアンモニア、シアン化水素からα-アミノニトリルを得る、いわゆるStrecker反応は、生成物のα-アミノニトリルを加水分解することによって容易にα-アミノ酸を得ることができることから、α-アミノ酸の合成プロセスにおいて古くから用いられてきた。しかし、原料のシアン化合物の高い毒性や、α-アミノニトリルの加水分解によって発生するアンモニウム塩を処理しなければならないという課題があった。一方、アルデヒド化合物とアミド、一酸化炭素とから、カルボニル化反応によってN-アシル-α-アミノ酸を合成する、いわゆるアミドカルボニル化反応はシアン化水素よりも毒性の低い一酸化炭素を用いる点や、すべての原料が生成物(N-アシル-α-アミノ酸)に取り込まれるというアトムエコノミーの高い効率的な反応である点、さらには加水分解によって窒素上のアシル基を除去しα-アミノ酸に変換できるだけでなく、アシル基はカルボン酸として回収し、対応するアミドへ変換することで原料として再利用できる点など、Strecker反応に比べて多くの利点を有している。このように優れた特徴のあるアミドカルボニル化反応を、1971年、若松らは遷移金属触媒であるコバルトカルボニルを用い、一酸化炭素/水素の加圧下で実施する方法を見出している(非特許文献1,特許文献1)。
【0003】
この若松らの方法においては一般に高温高圧の条件を必要としているが、これに対し、1997年にBellerらは、パラジウム触媒/臭化リチウム-硫酸助触媒を用いるアミドカルボニル化反応を報告している(非特許文献2、特許文献2)。この方法は水素を必要とせず、より低い触媒量、一酸化炭素圧、温度で進行する効率的な反応である。また、Bellerらは、後に類似条件でのロジウム、イリジウム、ルテニウム錯体の触媒活性についても報告している(特許文献3)。さらにごく最近、この出願の発明者らは、白金触媒を用いるアミドカルボニル化反応を見出している(非特許文献3)。
【0004】
一方、有機合成化学上最も有用な触媒の一つがパラジウム触媒である。その高分子固定化に関しても比較的古くから検討がなされ、多くの固定化パラジウム触媒が開発されてきた。しかしながら、これまでに開発されてきた高分子固定化触媒の多くは、高分子と活性中心である金属部分とを配位子によって繋げていたため、安定性に優れる反面、触媒自体の活性に大きく影響を与え、多くの場合対応する均一系触媒よりも触媒活性が低下することが問題となってきた。このような状況において、この出願の発明者らは、新しい高分子固定化触媒としてマイクロカプセル化触媒を開発してきた。このマイクロカプセル化触媒は、金属を物理的、あるいは静電的相互作用を利用して高分子上に固定化する手法であるため、均一系触媒に匹敵する、あるいは上回るような活性が期待できる。
【0005】
実際、すでに、発明者らは、マイクロカプセル化ルイス酸触媒、マイクロカプセル化オスミウム触媒およびマイクロカプセル化遷移金属触媒(パラジウム、ルテニウム)を開発し、これらが様々な有機合成反応において有効に機能することを報告している(非特許文献4)。しかしながら、これまで高分子担体として用いてきたポリスチレンは、反応溶媒によっては溶解する場合があり、その使用に制限があるという課題があった。そこで発明者らは、この問題を解決すべく検討を進め、“高分子Carcerand型(Polymer Incarcerated(PI))触媒と命名した新しい構成のパラジウム触媒を開発した(非特許文献5)。この触媒は、例えば次式のように側鎖にエポキシ基および水酸基を有する高分子(1)にパラジウムを固定化したものである。
JP0004643567B2_000002t.gif
【0006】
そしてより具体的には、次式のようにマイクロカプセル化法でまずパラジウムをポリマーに担持もしくは包含させた後に、無溶媒条件下、加熱することでポリマーを架橋し、通常の溶媒に不溶のパラジウム触媒とする。本触媒は、オレフィンの水素化反応やアリル位置換反応において有効に機能し、何れも高収率をもって対応する生成物を与えた。さらに何れの場合もパラジウムの流出は起きず、触媒の回収、再使用が可能であることが確認されている。
JP0004643567B2_000003t.gif
【0007】
そこで、この出願の発明者らは、上記のとおりの新しいパラジウム触媒の特長を利用して前記のとおりのアミドカルボニル化反応方法をより効率的に、かつクリーンな反応系において実現すべく検討を行ってきた。
【0008】
しかしながら、前記Bellerらの報告に従って、NMP(1-メチル-2-ピロリジノン)を溶媒とし、上記の新しいパラジウム触媒:PIPdを(2)用いて次式
JP0004643567B2_000004t.gif
【0009】
の反応を試みたが、N-アシル-α-アミノ酸の収率はわずか9%以下にとどまる結果しか得られなかった。ジオキサン溶媒の場合には、収率はわずか数%にすぎなかった。
【0010】
非特許文献1:J. Chem.Soc., Chem.Commun.,1971,1540.
非特許文献2:Angew.Chem.Int.Ed.,1997,36,1494
非特許文献3:Chem.Lett.,2003,160
非特許文献4:(a)J.Am.Chem.Soc.,1998,120,2985.(b)J.Org.Chem.,1998,63,6094.(c)J.Am.Chem.Soc.,1999、121,11229.(d)Org.Lett.,2001、3,2649.(e)Angew.Chem.,Int.Ed.,2001,40,3469.(f)Angew.Chem.,Int.Ed.,2002,41,2602(g)Chem.Commun.,2003,449
非特許文献5:J.Am.Chem.Soc.,2003,125,3412.
特許文献1:DE-B 2115985 (1971)
特許文献2:DE-B 19627717 (1996)
特許文献3:DE 100 12251 A1(1999)
【発明の開示】
【0011】
この出願の発明は、以上のような背景から、発明者らが開発した上記PIパラジウム触媒の特長を生かし、これをさらに改善発展させることで、N-アシル-α-アミノ酸合成を可能とするアミドカルボニル化反応を、クリーンな反応系において、より効率的、選択的に行うことのできる、新しいアミドカルボニル化反応方法を提供することを課題としている。
【0012】
この出願は、上記の課題を解決するものとして以下の発明を提供する。
〔1〕次式(1)(2)(3)

JP0004643567B2_000005t.gif(式中のRおよびRは、水素原子または式1aに示す置換基であって、少なくとも一方が水素原子であり、nは0~6の整数を、mは1~6の整数を、lは0~10の整数を示し、Raは、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、さらに、RaとRbは互いに結合してラクタム環を形成してもよい)で表わされるスチレン化合物を含有するモノマーのコポリマーにパラジウムを固定化したものの存在下に、次式
【0013】
(式中のR1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアルデヒド化合物を、一酸化炭素ならびに次式
JP0004643567B2_000006t.gif
【0014】
(式中のR2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアミド化合物と反応させて、次式
JP0004643567B2_000007t.gif
【0015】
(式中R1およびR2は前記のものを示す)
で表わされるアミノ酸化合物を合成することを特徴とするアミドカルボニル化反応方法
【0016】
〔2〕前記コポリマーが、次式
JP0004643567B2_000008t.gif
【0017】
(式中、v/w/x/y/z=0~90/3~80/0~20/3~20/0~20であって、x=z=0でないことを示す)で表わされることを特徴とするアミドカルボニル化反応方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0019】
まず、N-アシル-α-アミノ酸を合成するアミドカルボニル化反応のための原料物質は、アルデヒド化合物、アミド化合物、そして一酸化炭素(CO)であるが、アルデヒド化合物については、前記式中の符号R1は、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、またアミド化合物の符号R2は、置換基を有していてもよい炭化水素基
である。
【0020】
ここで、炭化水素基としては、脂肪族、脂環式、または芳香族の炭化水素基の各種のものであってよく、飽和もしくは不飽和であってよい。また、炭化水素基は、異種原子(O、N、S等)を介して環を形成していてもよい。
【0021】
また、これらの炭化水素基の置換基は、アミドカルボニル化反応を阻害しない限り適宜であってよい。アルコキシ基、ニトロ基、複素環基等の各種のものが考慮されてよい。
【0022】
原料物質としてのアルデヒド化合物とアミド化合物との使用割合については特に限定的ではないが、通常は、モル比として0.1~10程度の範囲とすること、より好ましくは0.3~3の範囲とすることが考慮される。一酸化炭素(CO)については、特に限定的ではないが、反応系において、一般的には、10~80atm程度の加圧条件で導入することが考慮される。
【0023】
そして、アミドカルボニル化反応の反応系には、この出願の発明の高分子パラジウム触媒が存在するようにしている。この高分子パラジウム触媒は、長径が20nm以下のパラジウムクラスターを含むパラジウム担持架橋高分子組成物として特徴づけられる。
【0024】
パラジウム担持架橋高分子組成物については、その調製に特に限定はないが、たとえばより好適には、パラジウムクラスターを含むマイクロカプセルを架橋反応させることにより得られたものが考慮される。この場合、マイクロカプセルについても各種の構成が考慮されてよいが、好適には、芳香族基からなる疎水性部と、エポキシ基およびエポキシ基と反応する親水性部を含むコポリマーからなるマイクロカプセルであることが例示される。
【0025】
より好ましい上記の高分子パラジウム組成物としては、前記のとおりの式(1)(2)(3)で表わされるスチレン、スチレン誘導体を含有するモノマーのコポリマーにパラジウムを固定化したものである。
【0026】
前記の式(1)においては、式中のRおよびRは、水素原子または式1aに示す置換基であって、少なくとも一方が水素原子を示す1種もしくは2種以上のものを示し、nは0~6の整数を示す。また式(2)(3)については、mは1~6の整数を、lは0~10の整数を示し、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、さらに、RとRbは互いに結合してラクタム環を形成してもよい。
【0027】
また、式(2)のアミド基においては、RおよびRbは窒素原子と結合して環を形成しているものが安定性や触媒能の点においてより好ましい。
【0028】
そして、さらに具体的には、好適な例を示すと、上記のコポリマーは、前記のように次式
JP0004643567B2_000009t.gif
【0029】
(式中、v/w/x/y/z=0~90/3~80/0~20/3~20/0~20であって、x=z=0でないことを示す)で表わされるものである。
【0030】
このものの、高分子の平均分子量としては、一般的には、重量平均分子量(Mw)として、5,000~150,000の範囲、より好ましくは15,000~100,000の範囲が考慮される。
【0031】
固定したパラジウムが流失することを抑え、通常の溶媒にも不溶とするためには、この出願の発明の高分子パラジウム触媒では、加熱処理して架橋を促すことが有効でもある。
【0032】
また、上記のようなユニット構成の単位係数w,x,y、およびz、さらには平均分子量についても、パラジウム固定化の安定性と触媒能の観点より定められる。
【0033】
たとえば以上のようなこの出願の発明の高分子パラジウム触媒は、たとえば発明者らがすでに提案している(非特許文献5)方法と同様にして調製することができる。たとえば次式のプロセスとして例示することができる。
JP0004643567B2_000010t.gif
【0034】
一般的には、例えばマイクロカプセル化の際の溶解は、
極性良溶媒:THF、ジオキサン、アセトン、DMF、NMPなど
非極性良溶媒:トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなど
極性貧溶媒:メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなど
非極性貧溶媒:へキサン、ヘプタン、オクタンなどを用いることが考慮される。
その際の条件としては次のことが考慮される。
良溶媒中の高分子の濃度:1~100g/リットル
良溶媒中のパラジウム触媒の濃度:1~100mmol/リットル
良溶媒に対する貧溶媒の濃度:0.1~10(v/v)、好ましくは0.5~5(v/v)
また、熱架橋の条件としては、
温度:80~160℃、好ましくは100~140℃
反応時間:30分~12時間、好ましくは1時間~4時間が考慮される。
【0035】
この出願の発明のアミドカルボニル化反応では、以上のようなパラジウム担持架橋高分子組成物を、反応原料物質に対するパラジウムのモル比として、通常は0.1~10モル%の割合で、より好ましくは0.5~5モル%の割合で使用することが考慮される。そして、パラジウム担持架橋高分子組成物とともに、反応系には、反応原料物質に対して10~50モル%のテトラアルキルアンモニウム・ブロミド等の第四級アンモニウム塩や、5~25モル%の硫酸を添加することも好適に考慮される。
【0036】
また、反応には、適宜な溶媒を使用することができる。なかでもジオキサンは好適なものの一つである。反応温度としては、一般的には80℃~200℃の範囲が考慮される。
【0037】
なお、この出願の発明のパラジウム担持架橋高分子組成物は、アミドカルボニル化反応において有効なだけでなく、オレフィンの水素添加反応等の各種の用途へも有効なものである。
【0038】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0039】
<1>次の反応式
JP0004643567B2_000011t.gif
【0040】
に従って、コポリマーを調製した。
【0041】
すなわち、スチレン(1.75g,16.6mmol)、1-(4′-ビニルベンジル)ピロリジン-2-オン(500mg,2.38mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(452mg,2.38mmol)、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(738mg,2.38mmol)及びAlBN(28mg,0.17mmol)をクロロホルム(2.8mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で48時間、還流条件下で加熱攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、氷冷したメタノール(500mL)中に滴下してコポリマーを固化させた。デカンテーションにより上澄みを取り除いた後、少量のテトラヒドロフランによってコポリマーを溶解し、氷冷したメタノール(500mL)中に再度滴下した。沈殿したコポリマーをろ過、メタノール洗浄した後、室温下で減圧乾燥することにより、上記コポリマーを2.10g(収率61%)得た。
【0042】
得られたコポリマーの各モノマーの組成比(v/w/x/y)=71/13/10/6、数平均分子量(Mn)=32,911、重量平均分子量(Mw)=80,978、分散度(Mw/Mn)=2.461であった。
<2>次いで得られたコポリマーを用いて、次式
JP0004643567B2_000012t.gif
【0043】
のプロセスに従ってパラジウム担持架橋高分子組成物を調製した。
【0044】
すなわち、コポリマー(1.0g)、Pd(PPh3)4(1.0g)をジクロロメタン(20ml)に溶解し24時間攪拌した。これにメタノール(50ml)を徐々に加えてパラジウム含有コポリマーを凝集させた。上澄みをデカンテーションで取り除き、メタノールで数回洗浄後、減圧乾燥した。引き続き120℃で2時間加熱することによってコポリマー同士を架橋させた。THFで洗浄後乾燥して、パラジウム担持架橋高分子を得た(801mg)。パラジウム含量=0.82mmol/gであった。
<3>調製された上記<2>のパラジウム担持架橋高分子組成物を用いて、次式
JP0004643567B2_000013t.gif
【0045】
のアミドカルボニル化反応を行った。
【0046】
すなわち、パラジウム担持架橋高分子(12.2mg,0.01mmol)、アセトアミド(59.1mg,1.0mmol)、BnEtNBr(95.3mg,0.35mmol)及びシクロヘキサンカルボキサアルデヒド(168mg,1.5mmol)を0.05M硫酸-ジオキサン溶液(2mL,0.10mmol)中混合した。反応容器をオートクレーブに入れ、60atmの一酸化炭素雰囲気下、120℃にて15時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、一酸化炭素を排出し、メタノール(50mL)を加えた。触媒をろ過によって除去した後、ろ液に内部標準物質である2,6-キシレノールを加えてHPLCにて分析し、収率を決定した(収率96%)。また、触媒からのパラジウム(Pd)の漏出はろ液の蛍光X線分析(XRF)において全く観測されなかった。
【0047】
さらに、本反応は目的とするN-アシル-α-アミノ酸を単離することも可能である。すなわち、上記反応のろ液を減圧濃縮した後、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、クロロホルム及び酢酸エチルにて洗浄した。次に、水相にリン酸を加えてpH2とした後、酢酸エチルにて抽出し、有機相を合一し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶液を減圧濃縮し、目的とするN-アシル-α-アミノ酸を得た(単離収率100%)。
【0048】
一方、四級アンモニウム塩としてEtNBr(35mol%)を用いた場合の収率は72%、BuNBr(35mol%)を用いた場合の収率は98%であった。
【0049】
溶媒をアセトニトリルとした場合には、パラジウムの極微量の流失があったが、収率は定量的であった。
【0050】
同様にして、各種のアルデヒド化合物とアミド化合物とを反応させ、次表のとおりの結果でN-アシル-α-アミノ酸を合成することができた。
【0051】
【表1】
JP0004643567B2_000014t.gif【産業上の利用可能性】
【0052】
上記のとおりのこの出願の発明によれば、前記のとおりのStrecker反応に比べてはるかに多くの利点を有しているアミドカルボニル化反応によるN-アシル-α-アミノ酸の合成を、新しい高分子固定化パラジウム触媒によって、クリーンな反応系で、触媒の回収、再利用を可能とし、高効率、高選択的に実現することが可能とされる。