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明細書 :アンカーボルト施工方法、アンカーボルト埋設穴掘削方法、及び掘削装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4734235号 (P4734235)
登録日 平成23年4月28日(2011.4.28)
発行日 平成23年7月27日(2011.7.27)
発明の名称または考案の名称 アンカーボルト施工方法、アンカーボルト埋設穴掘削方法、及び掘削装置
国際特許分類 E04B   1/41        (2006.01)
E04G  23/02        (2006.01)
FI E04B 1/41 503Z
E04G 23/02 D
請求項の数または発明の数 22
全頁数 35
出願番号 特願2006-511768 (P2006-511768)
出願日 平成17年3月30日(2005.3.30)
国際出願番号 PCT/JP2005/006166
国際公開番号 WO2005/095733
国際公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
優先権出願番号 2004107733
優先日 平成16年3月31日(2004.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年5月29日(2007.5.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】甲木 昭雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100114661、【弁理士】、【氏名又は名称】内野 美洋
審査官 【審査官】星野 聡志
参考文献・文献 特公平07-058012(JP,B2)
実公平08-005202(JP,Y2)
実用新案登録第2568332(JP,Y2)
特許第3090642(JP,B1)
特開2002-356859(JP,A)
調査した分野 E04B 1/41
E04G 23/02
E02D 5/80
E04G 21/12
特許請求の範囲 【請求項1】
施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するアンカーボルト施工方法において、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削し、その後、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で屈曲自在のアンカーボルトを埋設することを特徴とするアンカーボルト施工方法。
【請求項2】
施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するアンカーボルト施工方法において、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に複数の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削し、その後、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で複数本に分岐するアンカーボルトを埋設することを特徴とするアンカーボルト施工方法。
【請求項3】
前記第1の埋設穴の先端に第1の埋設穴よりも小径の下穴を掘削し、この下穴に沿って第1の埋設穴と同径の前記第2の埋設穴を既設の配筋を避けて掘削することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項4】
第1の掘削工具の先端に着脱自在に取付けた第1の掘削ビットで前記第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の掘削工具の先端を第1の掘削ビットからガイドブシュに交換し、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に第2の掘削工具を挿通させ、この第2の掘削工具の先端に設けた第2の掘削ビットで前記第2の埋設穴を掘削することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項5】
内部の配筋に突き当たるまで円管状の埋設穴を掘削した後に、中央部に残る円柱状の棒体を途中で切断して取り除くことによって第1の埋設穴を形成し、その後、円管状の埋設穴から目視又はファイバースコープを用いて前記配筋の正確な位置を知り、傾斜方向や傾斜角度を正確に設定して第2の埋設穴を掘削することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項6】
前記複数の第2の埋設穴のうちの少なくとも1個は、施工面の内部に既設された配筋に貫通させて掘削することを特徴とする請求項2に記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項7】
前記アンカーボルトは、複数本の先端部に分岐した形状記憶合金からなり、温度変化に応じて先端部が開閉するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項8】
前記アンカーボルトは、中途部を屈曲自在に形成したことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載のアンカーボルト施工方法。
【請求項9】
施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削するアンカーボルト埋設穴掘削方法において、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削することを特徴とするアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項10】
施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削するアンカーボルト埋設穴掘削方法において、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に複数の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削することを特徴とするアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項11】
前記第1の埋設穴の先端に第1の埋設穴よりも小径の下穴を掘削し、この下穴に沿って第1の埋設穴と同径の前記第2の埋設穴を掘削することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項12】
第1の掘削工具の先端に着脱自在に取付けた第1の掘削ビットで前記第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の掘削工具の先端を第1の掘削ビットからガイドブシュに交換し、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に第2の掘削工具を挿通させ、この第2の掘削工具の先端に設けた第2の掘削ビットで前記第2の埋設穴を掘削することを特徴とする請求項9~請求項11のいずれかに記載のアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項13】
前記第1の埋設穴は、内部の配筋に突き当たるまで円管状の埋設穴を掘削した後に、中央部に残る円柱状の棒体を途中で切断して取り除くことによって第1の埋設穴を形成し、その後、円管状の埋設穴から目視又はファイバースコープを用いて前記配筋の正確な位置を知り、傾斜方向や傾斜角度を正確に設定して第2の埋設穴を掘削することを特徴とする請求項9~請求項12のいずれかに記載のアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項14】
前記複数の第2の埋設穴のうちの少なくとも1個は、施工面の内部に既設された配筋に貫通させて掘削することを特徴とする請求項10に記載のアンカーボルト埋設穴掘削方法。
【請求項15】
施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削する掘削装置において、
第1の掘削工具と、この第1の掘削工具の先端に交換可能に取付けるとともに第1の埋設穴を掘削するための第1の掘削ビット及びガイドブシュと、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に挿通させる第2の掘削工具と、この第2の掘削工具の先端に取付けるとともに第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削するための第2の掘削ビットとを有することを特徴とする掘削装置。
【請求項16】
前記第2の掘削ビットは、可撓性を有するボーリングバーの先端部に取付けた本体の外周部に砥石を取付けるとともに、本体の先端中央部に先鋭状のガイド凸部を形成したことを特徴とする請求項15に記載の掘削装置。
【請求項17】
前記ボーリングバーは、中途部に超弾性合金で形成した屈曲部を形成したことを特徴とする請求項16に記載の掘削装置。
【請求項18】
前記第2の掘削ビットは、外周面に砥石と同じ高さの案内部を形成したことを特徴とする請求項15~請求項17のいずれかに記載の掘削装置。
【請求項19】
前記第2の掘削ビットを側方へ向けて押すための治具を有することを特徴とする請求項15~請求項18のいずれかに記載の掘削装置。
【請求項20】
施工面に既設の配筋を避けて掘削した埋設穴に埋設するアンカーボルトにおいて、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴と、この第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削した第2の埋設穴とに埋設するために中途部を屈曲自在に形成したことを特徴とするアンカーボルト。
【請求項21】
施工面に既設の配筋を避けて掘削した埋設穴に埋設するアンカーボルトにおいて、
施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴と、この第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削した複数の第2の埋設穴とに埋設するために複数本の先端部に分岐したことを特徴とするアンカーボルト。
【請求項22】
前記先端部は、形状記憶合金からなり、温度変化に応じて先端部が開閉するように構成したことを特徴とする請求項21に記載のアンカーボルト。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルト施工方法、アンカーボルト埋設穴掘削方法、及び掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、既存の構造物に補強や増設のためにアンカーボルトを設置する場合には、掘削装置を用いて施工面にアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削し、この埋設穴にアンカーボルトを挿入していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
特に、既存の構造物の施工面の内部に既設の配筋が存在する場合には、まず、過去の施工図面を参考にして配筋のない場所を探した後に、電磁波レーダー探査装置を用いて実際に配筋が存在していないかを確認し、その後、その場所に掘削装置を用いて埋設穴を掘削するようにしていた。
【0004】
ところが、従来のアンカーボルトの施工方法では、電磁波レーダー探査装置で確認できるのが100~150mm程度の深さであることから、構造物の過去の施工図面が残されていない場合や、実際の配筋が施工図面通りの位置に存在していない場合に、アンカーボルトの埋設穴を実際に掘削する作業中に、既設の配筋に衝突してしまうことがあった。
【0005】
その場合には、別の場所に埋設穴を掘削しなおしたり、浅い埋設穴に短いアンカーボルトを埋設したり、配筋を切断して深い埋設穴を掘削するようにしていた。
【0006】
しかしながら、別の場所に埋設穴を掘削しなおすと、施工面の強度が低減してまい、また、浅い埋設穴に短いアンカーボルトを埋設すると、アンカーボルトの強度が得られず、さらに、配筋を切断して深い埋設穴を掘削すると、施工面の強度が低減してしまうといった不具合が発生する。これらの不具合は、そのまま放置すれば社会問題にもなりうる重要な問題であった。
【0007】
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、既設の配筋が存在していても強度の低下を招くことなく十分な強度を持ったアンカーボルトを施工することができる本発明をなすに至った。

【特許文献1】特開平11-131999号公報
【発明の開示】
【0008】
すなわち、請求項1に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するアンカーボルト施工方法において、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削し、その後、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で屈曲自在のアンカーボルトを埋設することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するアンカーボルト施工方法において、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に複数の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削し、その後、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で複数本に分岐するアンカーボルトを埋設することにした。
また、請求項3に係る本発明では、前記第1の埋設穴の先端に第1の埋設穴よりも小径の下穴を掘削し、この下穴に沿って第1の埋設穴と同径の前記第2の埋設穴を既設の配筋を避けて掘削することにした。

【0010】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1~請求項3のいずれかに係る本発明において、第1の掘削工具の先端に着脱自在に取付けた第1の掘削ビットで前記第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の掘削工具の先端を第1の掘削ビットからガイドブシュに交換し、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に第2の掘削工具を挿通させ、この第2の掘削工具の先端に設けた第2の掘削ビットで前記第2の埋設穴を掘削することにした。
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1~請求項4のいずれかに係る本発明において、内部の配筋に突き当たるまで円管状の埋設穴を掘削した後に、中央部に残る円柱状の棒体を途中で切断して取り除くことによって第1の埋設穴を形成し、その後、円管状の埋設穴から目視又はファイバースコープを用いて前記配筋の正確な位置を知り、傾斜方向や傾斜角度を正確に設定して第2の埋設穴を掘削することにした。

【0011】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記複数の第2の埋設穴のうちの少なくとも1個は、施工面の内部に既設された配筋に貫通させて掘削することにした。

【0012】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記アンカーボルトは、複数本の先端部に分岐した形状記憶合金からなり、温度変化に応じて先端部が開閉するように構成することにした。
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項1~請求項7に係る本発明において、前記アンカーボルトは、中途部を屈曲自在に形成することにした。
また、請求項9に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削するアンカーボルト埋設穴掘削方法において、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削することにした。

【0013】
また、請求項10に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削するアンカーボルト埋設穴掘削方法において、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に複数の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削することにした。
また、請求項11に係る本発明では、前記請求項9又は請求項10に係る本発明において、前記第1の埋設穴の先端に第1の埋設穴よりも小径の下穴を掘削し、この下穴に沿って第1の埋設穴と同径の前記第2の埋設穴を掘削することにした。

【0014】
また、請求項12に係る本発明では、前記請求項9~請求項11のいずれかに係る本発明において、第1の掘削工具の先端に着脱自在に取付けた第1の掘削ビットで前記第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の掘削工具の先端を第1の掘削ビットからガイドブシュに交換し、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に第2の掘削工具を挿通させ、この第2の掘削工具の先端に設けた第2の掘削ビットで前記第2の埋設穴を掘削することにした。
また、請求項13に係る本発明では、前記請求項9~請求項12のいずれかに係る本発明において、前記第1の埋設穴は、内部の配筋に突き当たるまで円管状の埋設穴を掘削した後に、中央部に残る円柱状の棒体を途中で切断して取り除くことによって第1の埋設穴を形成し、その後、円管状の埋設穴から目視又はファイバースコープを用いて前記配筋の正確な位置を知り、傾斜方向や傾斜角度を正確に設定して第2の埋設穴を掘削することにした。

【0015】
また、請求項14に係る本発明では、前記請求項10に係る本発明において、前記複数の第2の埋設穴のうちの少なくとも1個は、施工面の内部に既設された配筋に貫通させて掘削することにした。

【0016】
また、請求項15に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けてアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削する掘削装置において、第1の掘削工具と、この第1の掘削工具の先端に交換可能に取付けるとともに第1の埋設穴を掘削するための第1の掘削ビット及びガイドブシュと、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に挿通させる第2の掘削工具と、この第2の掘削工具の先端に取付けるとともに第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削するための第2の掘削ビットとを有することにした。
また、請求項16に係る本発明では、前記請求項15に係る本発明において、前記第2の掘削ビットは、可撓性を有するボーリングバーの先端部に取付けた本体の外周部に砥石を取付けるとともに、本体の先端中央部に先鋭状のガイド凸部を形成することにした。
また、請求項17に係る本発明では、前記請求項16に係る本発明において、前記ボーリングバーは、中途部に超弾性合金で形成した屈曲部を形成することにした。

【0017】
また、請求項18に係る本発明では、前記請求項15~請求項17のいずれかに係る本発明において、前記第2の掘削ビットは、外周面に砥石と同じ高さの案内部を形成することにした。
また、請求項19に係る本発明では、前記請求項15~請求項18のいずれかに係る本発明において、前記第2の掘削ビットを側方へ向けて押すための治具を有することにした。
また、請求項20に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けて掘削した埋設穴に埋設するアンカーボルトにおいて、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴と、この第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削した第2の埋設穴とに埋設するために中途部を屈曲自在に形成することにした。
また、請求項21に係る本発明では、施工面に既設の配筋を避けて掘削した埋設穴に埋設するアンカーボルトにおいて、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴と、この第1の埋設穴の先端から既設の配筋を避けて屈曲させて掘削した複数の第2の埋設穴とに埋設するために複数本の先端部に分岐することにした。
また、請求項22に係る本発明では、前記請求項21に係る本発明において、前記先端部は、形状記憶合金からなり、温度変化に応じて先端部が開閉するように構成することにした。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る掘削装置を示す側面断面図。
【図2】第1の掘削ビットを示す側面図(a)及び平面図(b)。
【図3】第2の掘削ビットを示す側面図(a)及び平面図(b)。
【図4】アンカーボルトを示す側面図。
【図5】アンカーボルトを示す側面図。
【図6】アンカーボルトを示す側面図。
【図7】アンカーボルトを示す側面図。
【図8】アンカーボルトを示す側面図。
【図9】アンカーボルトを示す側面図。
【図10】アンカーボルトを示す側面図。
【図11】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図12】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図13】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図14】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図15】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図16】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図17】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図18】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図19】第1及び第2の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。
【図20】第2の掘削ビットを示す側面断面図(a)及び平面図(b)。
【図21】アンカーボルトを示す側面図。
【図22】第1の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図(a)及び平面図(b)。
【図23】第1の埋設穴の掘削方法を示す側面断面図。

【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明では、構造物の施工面にアンカーボルトを埋設するための埋設穴を掘削した後に、この埋設穴にアンカーボルトを挿入するようにしている。
【0020】
そして、本発明では、過去の施工図面を参考にして配筋のない場所を探した後に、電磁波レーダー探査装置を用いて実際に配筋が存在していないかを確認し、その後、その場所に掘削装置を用いて第1の埋設穴を掘削し、この第1の埋設穴の前方に既設の配筋が存在する場合には、この第1の埋設穴の先端に複数の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から屈曲させて掘削し、その後、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で屈曲させたアンカーボルトを埋設するようにしている。
【0021】
ここで、第2の埋設穴は、第1の埋設穴と同一径の埋設穴としてもよく、また、第1の埋設穴よりも小径の複数個の埋設穴としてもよい。
【0022】
第1の埋設穴及び第2の埋設穴の掘削は、まず、第1の掘削工具で第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の埋設穴の先端から第2の掘削工具で傾斜状に第2の埋設穴を掘削している。
【0023】
その際に、まず、第1の掘削工具の先端に着脱自在に取付けた第1の掘削ビットで第1の埋設穴を掘削し、その後、第1の掘削工具の先端を第1の掘削ビットからガイドブシュに交換し、このガイドブシュに傾斜状に形成したガイド孔に第2の掘削工具を挿通させ、この第2の掘削工具の先端に設けた第2の掘削ビットで第2の埋設穴を掘削するようにしてもよい。
【0024】
ここで、複数の第2の埋設穴のうちの少なくとも1個は、施工面の内部に既設された配筋に貫通させて掘削することもできる。
【0025】
また、第1及び第2の埋設穴に埋設するアンカーボルトとしては、中途から複数本の先端部に分岐した形状記憶合金からなるアンカーボルトであって、温度変化に応じて先端部が開閉するように構成したものを使用することができる。なお、アンカーボルトの材質は、形状記憶合金だけでなく,通常のアンカーボルト材も使用でき、特に、枝分かれするアンカーボルトの径が小さい場合には通常のアンカーボルト材を使用してもよい。
【0026】
このように、本発明では、施工面にアンカーボルトを埋設するための第1の埋設穴を掘削した後に、この第1の埋設穴の先端に第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から屈曲させて掘削しているために、施工面の内部に既設の配筋が存在していても、その配筋を避けて第2の埋設穴を掘削することができ、或いは、その配筋を貫通する第2の埋設穴を掘削することができる。
【0027】
そして、これらの第1及び第2の埋設穴に中途部で複数本に分岐させた概略蛸足状のアンカーボルトを埋設することができ、これにより、構造物やアンカーボルトの強度を確保することができる。
【0028】
以下に、本発明の具体例を図面を参酌しながら説明する。
【0029】
まず、本発明に係る掘削装置について説明すると、図1~図3に示すように、掘削装置1は、第1の埋設穴2を掘削するための第1の掘削工具3と、この第1の掘削工具3の先端に交換可能に取付ける第1の掘削ビット4及びガイドブシュ5と、このガイドブシュ5に傾斜状に形成したガイド孔6に挿通させる第1の掘削工具3よりも小径の第2の掘削工具7と、この第2の掘削工具7の先端に取付ける第2の掘削ビット8とで構成している。
【0030】
第1の掘削工具3は、回転駆動装置に連動連結した駆動軸9の先端にホルダー10を取付け、このホルダー10の下側に中空円筒状の外管11を取付け、この外管11の先端に第1の掘削ビット4とガイドブシュ5とを交換可能に螺着している。
【0031】
この第1の掘削工具3は、ホルダー10に貫通孔12を形成しており、この貫通孔12から冷却液を流入させることができるようにしている。
【0032】
第1の掘削ビット4は、図2に示すように、外管11の先端に螺着する円筒状のビット本体4aの先端外周部に環状のセグメント砥石4bを取付けている。
【0033】
ガイドブシュ5は、円柱状の本体に外管11の中心軸から外方へ向けて傾斜するガイド孔6を穿設している。
【0034】
また、第2の掘削工具7は、第1の掘削工具3の外管11よりも小径で可撓性を有する中空円筒状の内管16の先端に第2の掘削ビット8を着脱自在に螺着している。内管16は、回転駆動装置に連動連結されている。
【0035】
この第2の掘削ビット8は、図3に示すように、内管16の先端に螺着する円筒状のビット本体8aの先端外周部にセグメント砥石8bを円周方向に間隔をあけて取付けるとともに、外周面にセグメント砥石8bと同じ高さの凸状の案内部8cを円周方向に所定間隔をあけて取付けている。この凸状の案内部8cは、第2の掘削ビット8がガイドブシュ5のガイド孔6を削ってしまい第2の掘削工具7の進行方向が正確に決められなくなるといった不具合の発生を未然に防止しているとともに、この案内部8cによって第2の掘削ビット8の直進性を向上させるようにしている。
【0036】
この第2の掘削工具7は、内管16の内側中途部に突起17を形成しており、この突起17で掘削した小径のコンクリートの芯などを折断できるようにしている。なお、第2の掘削工具7は、掘削する第2の埋設穴19の径が小さくなった場合には、第2の掘削ビット8として一枚刃BTA(Boring
and Trepanning Association)方式工具や複切れ刃BTA方式工具を用いて、コンクリートなどを削って排出しながら掘削できる工具を使用する。
【0037】
次に、上記構成の掘削装置1を用いた掘削方法について説明する。
【0038】
まず、第1の掘削工具3の先端に第1の掘削ビット4を取付け、この第1の掘削工具3を回転駆動することで第1の掘削ビット4で構造物の施工面18に第1の埋設穴2を掘削する。
【0039】
次に、第1の掘削工具3を第1の埋設穴2から一旦取り出し、第1の掘削工具3の先端から第1の掘削ビット4を取外し、その後、第1の掘削工具3の先端にガイドブシュ5を装着するとともに、このガイドブシュ5のガイド孔6に第2の掘削工具7の先端部の第2の掘削ビット8を挿入し、その状態で第1の埋設穴2に第1の掘削工具3を再度挿入する。
【0040】
次に、第2の掘削工具7を回転駆動することによって第2の掘削ビット8で第2の埋設穴19を掘削する。このとき、第2の掘削工具7がガイドブシュ5の傾斜状のガイド孔6に沿って進出するために、第1の埋設穴2に対して外方へ向けて傾斜状に第2の埋設穴19が形成される。
【0041】
次に、第2の掘削ビット8がガイドブシュ5のガイド孔6に収納される位置まで第2の掘削工具7を第2の埋設穴19から引き抜き、その状態で、第1の掘削工具3を第2の掘削工具7とともに180度回転させる。
【0042】
次に、第2の掘削工具7を回転駆動することによって第2の掘削ビット8で第2の埋設穴19'を掘削する。このときも、第2の掘削工具7がガイドブシュ5の傾斜状のガイド孔6に沿って進出するために、第1の埋設穴2に対して外方へ向けて傾斜状に第2の埋設穴19'が形成される。
【0043】
最後に、第2の掘削工具7を第2の埋設穴19から引き抜くとともに、第1の掘削工具3を第1の埋設穴2から引き抜く。
【0044】
このようにして、上記構成の掘削装置1を用いて構造物に中途部で分岐した穴を掘削することができる。
【0045】
そして、第1及び第2の埋設穴2,19には、図4に示すような中途部で二股状に分岐したアンカーボルト20,21,22を挿入する。
【0046】
図4(a)に示すアンカーボルト20は、形状記憶合金からなり、中実円柱状の本体部23の中途で中実円柱状の2本の先端部24,25に分岐しており、常温では2本の先端部24,25が密着しており、加熱することによって2本の先端部24,25がそれぞれ外方へ向けて分離するようになっている。したがって、常温でアンカーボルト20を第1の埋設穴2の先端まで挿入した後に、アンカーボルト20を加熱することによって、第2の埋設穴19に2本の先端部24,25をそれぞれ挿入することができる。
【0047】
このアンカーボルト20は、形状記憶合金からなるために引張強度が通常の約3倍となっているので、先端を2本に分岐してもアンカーボルト20としての強度は通常の1.5倍となる。
【0048】
図4(b)に示すアンカーボルト21は、鉄鋼などの剛体からなり、中実円柱状の本体部26の先端で中実円柱状の2本の先端部27,28にジョイント29,30を介して開閉自在に分岐している。
【0049】
図4(c)に示すアンカーボルト22は、カーボンファイバーなどの柔軟性や強度を有する素材からなり、中実円柱状の本体部31の中途で中実円柱状の2本の先端部32,33に開閉自在に分岐している。
【0050】
このように、第1及び第2の埋設穴2.19に挿入されるアンカーボルト20,21,22は、中途部で複数本に分岐するとともに中途部で屈曲しているために、埋設後の引き抜き強度を増大させることができる。
【0051】
アンカーボルトとしては、図4に示したアンカーボルト20,21,22に限られず、図5に示すアンカーボルト46,47でもよい。
【0052】
図5(a)に示すアンカーボルト46は、中実円柱状の本体部48の先端で中実半円柱状の2本の先端部49,50に開閉自在に分岐している。
【0053】
また、図5(b)に示すアンカーボルト47は、中空円筒状の本体部51の内部に2本の中実円柱状の先端部52,53を接着剤54を用いて接着又は機械的に結合している。
【0054】
また、図4や図5に示したアンカーボルト20,21,22,46,47では、先端を同一径で二股状に分岐させているが、これに限られるものではない。
【0055】
すなわち、図6に示すように、中途部から大径と小径の先端部34,35に二股状に分岐させたアンカーボルト36でもよい。この場合には、ガイドブシュ5に大小のガイド孔6を形成したものか或いは大径のガイド孔6を形成したものと小径のガイド孔6を形成したものの2種類のガイドブシュ5を用意しておき、径の異なる第2の掘削工具7で大小の第2の埋設穴19を掘削する。
また、図7に示すように、中空円筒状の本体部55の内部に径の異なる先端部56,57,58を接着剤59を用いて接着又は機械的に結合したアンカーボルト60でもよい。
【0056】
また、図8に示すように、中途部から複数本に蛸足状に先端部37を分岐させたアンカーボルト38でもよい。この場合には、ガイドブシュ5に複数個のガイド孔6を形成したものか或いは複数種類のガイドブシュ5を用意しておき、複数回にわたって第2の掘削工具7で複数個の第2の埋設穴19を掘削する。そして、途中に配筋39が存在している場合には、その配筋39を貫通する第2の埋設穴19を掘削し、配筋39に形成された貫通孔40にアンカーボルト38の先端部37を挿通する。
【0057】
また、図9に示すように、中途部で分岐した先端部41,42のうちで中央の先端部だけを中途で屈曲させずに直線状とし、他の先端部42だけを中途で外方へ屈曲させたアンカーボルト43でもよい。
【0058】
さらには、図10に示すように、第1の埋設穴2にアンカーボルト44の基端部を埋設するとともに、第1の埋設穴2の外周部と第2の埋設穴19に充填剤45を充填させたものでもよい。この場合にも、途中に配筋39が存在している場合には、その配筋39を貫通する第2の埋設穴19を掘削し、配筋39に形成された貫通孔40に充填剤45を充填する。
【0059】
次に、第1の埋設穴の先端に第1の埋設穴と同一径の第2の埋設穴を第1の埋設穴の先端から屈曲させて掘削し、この第1及び第2の埋設穴にアンカーボルトを埋設する施工方法について説明する。
【0060】
まず、図11に示すように、第1の掘削工具61の先端に取付けた第1の掘削ビット62を用いて施工面63に円筒状の第1の埋設穴64を掘削する。このときに、予め内部の配筋65の深さがわかっているときには、配筋65の深さよりも浅い第1の埋設穴64を掘削する。
【0061】
次に、図12に示すように、第1の掘削工具61を引き抜いて、第1の埋設穴64の中央部に残っている円柱状の棒体66を第1の埋設穴64の先端部で切断して取り除く。これにより、図13に示すように、施工面63に円柱状の第1の埋設穴64を形成する。
【0062】
次に、図14に示すように、第1の埋設穴64の先端部で掘削ビット67を上下左右に移動させることによって側壁凹部68を形成する。
【0063】
次に、図15に示すように、第1の埋設穴64の先端部に第1の掘削ビット62よりも小径の掘削ビットを用いて第1の埋設穴64の先端から屈曲させた下穴70を掘削する。
【0064】
次に、図16に示すように、第1の埋設穴64に第1の掘削ビット62と同一径の第2の掘削ビット71を挿入するとともに、棒状の本体86の先端に爪体87を回動自在に取付けた治具88を第1の埋設穴64に挿入し、この治具88の爪体87で第2の掘削ビット71を側方へ向けて押すことによって、第2の掘削ビット71のガイド凸部78を下穴70に挿入する。このように、治具88を用いることによって第2の掘削ビット71のガイド凸部78を下穴70へ容易に挿入することができる。
【0065】
次に、図17に示すように、第1の掘削ビット62と同一径の第2の掘削ビット71を下穴70に沿って移動させることによって第2の埋設穴72を掘削する。これにより、図18に示すように、第1の埋設穴64の先端部に同一径の第2の埋設穴72を第1の埋設穴64の先端から屈曲させた状態で形成する。
【0066】
最後に、図19に示すように、第1及び第2の埋設穴64,72に中途部で屈曲させたアンカーボルト73を埋設する。
【0067】
ここで、第2の掘削ビット71は、図20に示すように、可撓性を有する円管状のボーリングバー74の先端部に取付けられており、円柱上の本体75の先端外周部に砥石76を取付けるとともに、本体75の外周部に下穴70へ挿通させる案内部77を形成し、さらに、本体75の先端中央部に先鋭状のガイド凸部78を形成し、本体75にボーリングバー74へ通じる連通孔79を形成している。
【0068】
また、ボーリングバー74は、中途部に超弾性合金で形成した円管状の屈曲部80を形成し、この屈曲部80でボーリングバー74を様々な角度で屈曲することで永久歪を残すことなくボーリングバー74を何度でも円滑に屈曲できるようにしている。なお、ボーリングバー74は、通常の合金で形成したものを使用することもできる。
【0069】
また、アンカーボルト73は、図21(a)に示すように、中途部の屈曲部69に形状記憶合金を使用したものを用いているが、図21(b)に示すように、複数本の小径の円柱棒81を両端部で束ねたアンカーボルト82でもよく、また、図21(c)に示すように、複数個のジョイント83を屈曲自在に連結したアンカーボルト84でもよい。
【0070】
また、予め内部の配筋65の深さが不明の場合には、図22(a)(b)に示すように、内部の配筋65に突き当たるまで第1の掘削工具61で円管状の第1の埋設穴64を掘削し、その後、中央部に残っている円柱状の棒体66を途中で切断して取り除き、図23に示すように、残った棒体66の周囲にセメント又は補強剤85を充填して第1の埋設穴64を形成してもよい。
【0071】
このように、内部の配筋65に突き当たるまで第1の埋設穴64を掘削した場合には、図22(b)に示すように、目視又はファイバースコープを用いて配筋65の正確な位置を知ることができるので、第2の埋設穴72を掘削する際の傾斜方向や傾斜角度を正確に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明では、施工面の内部に既設の配筋が存在していても強度の低下を招くことなく十分な強度を持ったアンカーボルトを施工することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
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【図22】
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【図23】
22