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明細書 :生体内3次元運動測定装置及びその方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4551395号 (P4551395)
登録日 平成22年7月16日(2010.7.16)
発行日 平成22年9月29日(2010.9.29)
発明の名称または考案の名称 生体内3次元運動測定装置及びその方法
国際特許分類 A61B   5/11        (2006.01)
G01B   7/00        (2006.01)
A61C  19/045       (2006.01)
A61C  19/04        (2006.01)
FI A61B 5/10 310J
G01B 7/00 103M
A61C 19/04 H
A61C 19/04 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 30
出願番号 特願2006-511794 (P2006-511794)
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
国際出願番号 PCT/JP2005/006275
国際公開番号 WO2005/094677
国際公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
優先権出願番号 2004106789
優先日 平成16年3月31日(2004.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年10月5日(2006.10.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】荒井 賢一
【氏名】藪上 信
【氏名】金高 弘恭
個別代理人の代理人 【識別番号】100077665、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 剛宏
【識別番号】100116676、【弁理士】、【氏名又は名称】宮寺 利幸
【識別番号】100142066、【弁理士】、【氏名又は名称】鹿島 直樹
【識別番号】100126468、【弁理士】、【氏名又は名称】田久保 泰夫
審査官 【審査官】早川 貴之
参考文献・文献 特開2002-355264(JP,A)
特開平07-323023(JP,A)
特開昭60-119922(JP,A)
調査した分野 A61B 5/11
A61C 19/04
A61C 19/045
G01B 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
相対的に運動する生体内の少なくとも2つの物体(44、46)のうち、一方の物体に取り付けられる複数の磁気発生器(12)と、
前記各磁気発生器(12)の磁界をそれぞれ非接触で検出するために他方の物体に取り付けられる複数の磁界センサ(14)と、
前記各磁界センサ(14)により検出した磁界から前記各磁気発生器(12)と前記各磁界センサ(14)との間の相対的な位置及び方向を算出する信号処理手段(26)と、
非接触の複数の校正用コイル(50)と、
を備え、
前記各磁気発生器(12及び前記各磁界センサ(14と、前記各校正用コイル(50)との組み合わせは少なくとも5通りであり、
前記各磁気発生器(12前記各磁界センサ(14)が取り付けられる相対的に運動する前記2つの物体(44、46)は、上顎(22)と一体的に運動する部分(46)、下顎(24)と一体的に運動する部分(44)、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせであり、
前記各校正用コイル(50)から発生する校正用磁界を、前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)で検出することにより、前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)の初期位置及び初期方向を計測する
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)は平面型であり、
前記各磁気発生器(12)は1軸成分の磁界を発生し、前記各磁界センサ(14)は前記1軸成分の磁界を検出する
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)は、前記1軸成分の磁界の発生と検出とを行う平面状コイル(30)である
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各磁気発生器(12)から発生する計測用磁界は、交流磁界である
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各磁気発生器(12)は、前記平面状コイル(30)と、前記平面状コイル(30)に並列又は直列に接続されるコンデンサ(37)とを有し、
前記各磁気発生器(12)から発生する前記計測用磁界は、前記平面状コイル(30)と前記コンデンサ(37)との共振周波数を有する交流磁界である
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項6】
請求項1記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各校正用コイル(50)は、1軸、2軸又は3軸のコイル(58)である
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項7】
請求項1又は6記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記生体内3次元運動測定装置(10)は、
前記各磁気発生器(12)と前記各磁界センサ(14)との間の電磁結合の組み合わせを切り換えると共に、前記各校正用コイル(50)と前記各磁気発生器(12)又は前記各磁界センサ(14)との間の電磁結合の組み合わせを切り換える電磁結合切換手段(18)と、
前記電磁結合切換手段(18)に対して、前記各磁気発生器(12)と前記各磁界センサ(14)と前記各校正用コイル(50)とを電気的に接続する同軸ケーブル(38)と、
をさらに有する
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項8】
請求項1記載の生体内3次元運動測定装置において、
前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)は、共に被測定者(16)の口腔内に配置されている
ことを特徴とする生体内3次元運動測定装置。
【請求項9】
生体内の少なくとも2つの物体(44、46)の相対的な運動を計測する生体内3次元運動測定方法において、
前記2つの物体(44、46)のうち、一方の物体に複数の磁気発生器(12)を取り付け、他方の物体に複数の磁界センサ(14)を取り付けて、前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)の一対の組み合わせの個数の合計を少なくとも5つとする取付過程と、
前記各磁気発生器(12及び前記各磁界センサ(14)に対して非接触状態で複数の校正用コイル(50)を前記各磁気発生器(12)と前記各磁界センサ(14)との近傍に配置し、前記各校正用コイル(50)から発生する校正用磁界を、前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)で検出して、前記2つの物体(44、46)が相対的な運動を行っていないときの前記各磁気発生器(12)及び前記各磁界センサ(14)の初期位置及び初期方向を計測する校正過程と、
前記各校正用コイル(50)を取り除いた後に、電磁結合切換手段(18)を用いて、前記各磁気発生器(12)と前記各磁界センサ(14)との間の電磁結合の組み合わせを切り換えながら、前記各磁気発生器(12)の1つの磁気発生器から発生する計測用磁界を、前記各磁界センサ(14)の1つの磁界センサで検出する検出過程と、
前記各磁界センサ(14)により検出した磁界から、前記各磁界センサ(14)に対する前記各磁気発生器(12)の相対的な位置及び方向を求め、前記2つの物体(44、46)の相対的な運動を算出する信号処理過程と、
を有し、
前記2つの物体(44、46)は、上顎(22)と一体的に運動する部分(46)、下顎(24)と一体的に運動する部分(44)、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせである
ことを特徴とする生体内3次元運動測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、相対的な運動を行う生体内の少なくとも2つの物体(上顎と一体的に運動する部分、下顎と一体的に運動する部分、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせ)に磁気発生器と磁界センサとを取り付けて、一方の物体を基準とした他方の物体の相対的な3次元運動を計測する生体内3次元運動測定装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体内の3次元運動を測定しようとする装置が市場に提供されている。例えば、人体の頭部と一体に構成されている上顎に対する下顎の相対的な運動を測定するために、光学式の顎運動測定装置が用いられている。この光学式の顎運動測定装置では、被測定者の上顎の運動を測定するために、被測定者の頭部もしくは上顎歯列を固定源として一方の光源装置が取り付けられると共に、下顎の運動を測定するために、下顎歯列を固定源として他方の光源装置が取り付けられる。
【0003】
しかしながら、この光学式の顎運動測定装置においては、被測定者の頭部もしくは上顎歯列及び下顎歯列にそれぞれ光源装置が取り付けられるので、顎運動測定の際に、被測定者の不自由度が大きいという問題があり、さらに、光学式のため、口腔内などの遮蔽された空間内での測定が不可能であるという欠点がある。
【0004】
また、他の顎運動測定装置としては、磁気式の顎運動測定装置がある。この装置は、磁気発生器から発生した直流磁界を磁界センサで検出することにより、3次元顎運動を計測する直流磁界方式の測定装置と、磁気発生器から発生した交流磁界を磁界センサで検出することにより、3次元顎運動を計測する交流磁界方式の測定装置とに分類される。このうち、直流磁界方式の測定装置では、外部から地磁気の時間変動分や磁性体の移動等の低周波ノイズにより測定装置の測定精度及び位置精度が低下するおそれがある。
【0005】
一方、交流磁界方式の測定装置は、3軸コイルからなる磁界センサを口腔内に挿入し、前記磁界センサで検出した磁界をケーブルを介して信号処理装置等に導いている。この場合、前記3軸コイルと前記ケーブルとを口腔内で確実に取り付けることが困難であるので、被測定者が顎運動を行うと、磁界センサが動揺して測定誤差が大きくなり、磁界センサの位置精度が低下する。これにより、正確な顎運動を再現することができないという問題がある。さらに、口腔内に装着される装置が大きいことから、顎運動測定の際に、被測定者の不自由度が大きいという問題もある。
【0006】
そこで、上述した問題に鑑み、図17に示す磁気式の顎運動測定装置200が提案されている(特許文献1参照)。この顎運動測定装置200は、球面シェル202と、球面シェル202の内側で円形に巻かれた6つの界磁コイル204と、球面シェル202内の被測定者206の下顎208に剛体結合された取付部材210と、取付部材210に連結された3つのチョークコイルから構成されるセンサコイル212とを有している。
【0007】
この場合、6つの界磁コイル204は、2つの界磁コイル204で1軸のコイルが構成されている。そのため、界磁コイル204に交流電流を流して、磁界を発生させた状態で、被測定者206が上顎214に対する下顎208の顎運動を行うと、取付部材210を介してセンサコイル212が傾斜して、センサコイル212に誘導される交流信号の振幅が変化する。この振幅を検出することにより、下顎208の3次元の顎運動が測定される。

【特許文献1】特開2000-193409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の顎運動測定装置200では、界磁コイル204やセンサコイル212が、被測定者206の外部に配置されているので、被測定者206に対する取付部材210及びセンサコイル212の位置ずれによって、センサコイル212の測定精度が大幅に低下し、その結果、下顎208の位置精度が大きく低下する。そのため、この顎運動測定装置200であっても、正確な顎運動を再現することができないという問題がある。
【0009】
また、界磁コイル204やセンサコイル212を被測定者206の外部に配置することにより、装置自体が大型化するので、例えば、歯科医院にこの装置を導入することが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は、生体内の少なくとも2つの物体の相対的な3次元運動の測定精度及び位置精度を向上させることができる生体内3次元運動測定装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生体内3次元運動測定装置は、生体内で相対的に運動する少なくとも2つの物体のうち、一方の物体に取り付けられる複数の磁気発生器と、前記各磁気発生器の磁界をそれぞれ非接触で検出するために他方の物体に取り付けられる複数の磁界センサと、前記各磁界センサにより検出した磁界から前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間の相対的な位置及び方向を算出する信号処理手段とを備え、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの1対の組み合わせの個数は、少なくとも5つであり、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサが取り付けられる、相対的に運動する生体内の前記2つの物体は、例えば、頭部のうち、上顎と一体的に運動する部分と、下顎と一体的に運動する部分とであることを特徴とする。
【0012】
前記一方の物体に前記各磁気発生器を取り付け、前記他方の物体に前記各磁界センサを取り付けた状態で、前記各磁気発生器のうち、1つの磁気発生器から計測用磁界を発生させる一方、前記各磁界センサのうち、1つの磁界センサで前記計測用磁界を検出できるようにすれば、前記計測用磁界を発生した際に、前記1つの磁気発生器と前記1つの磁界センサとの間で電磁結合が発生し、前記1つの磁界センサでは、電磁誘導作用で前記計測用磁界が電気信号(電圧)に変換される。
【0013】
そして、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間において、上述した電磁結合の組み合わせが少なくとも6通りであれば、検出される6つの前記計測用磁界あるいは前記電気信号より、前記各磁気発生器に関する6自由度運動のパラメータを求めることができ、これらのパラメータから前記2つの物体の生体内での相対的な運動を算出することができる。
【0014】
つまり、本発明の生体内3次元運動測定装置では、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの取付位置及び取付方向に関係なく、前記電磁結合の組み合わせを6通り以上にすることで、生体内の前記2つの物体の相対的な運動を測定することができる。従って、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの取り付けによって、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度や、前記各磁界センサの測定精度は低下しない。
【0015】
上述した6通り以上の電磁結合を実現するためには、前記各磁気発生器の個数が少なくとも2つである場合、前記各磁界センサの個数は少なくとも3つとすることが好ましい。また、前記各磁気発生器の個数が少なくとも3つである場合、前記各磁界センサの個数は少なくとも2つとすることが好ましい。
【0016】
さらに、前記一方の物体に前記各磁気発生器が取り付けられ、前記他方の物体に前記各磁界センサが取り付けられているので、従来の3次元顎運動測定装置と比較して、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間の距離は小さくなり、前記各磁界センサで検出される磁界の位置勾配が大きくなる。これにより、前記各磁界センサから出力される前記電気信号のレベルも大きくなり、前記各磁界センサの測定精度を向上させることができる。
【0017】
さらにまた、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとは、前記2つの物体に直接取り付けられているので、前記2つの物体が相対的な運動を行うと、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサは、前記2つの物体に一体となって移動する。
【0018】
そのため、前記2つの物体が相対的な運動を行っても、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの初期位置からの位置ずれは発生しない。従って、前記各磁界センサの測定精度と、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度とを共に向上させることができる。
【0019】
さらにまた、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとが前記2つの物体に直接取り付けられているので、生体内3次元運動測定装置の小型化を容易に図ることができる。
【0020】
なお、前記複数の磁気発生器及び前記複数の磁界センサの1対の組み合わせの個数を合計で6つ以上に増加させれば、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度をさらに向上させることができる。
【0021】
そして、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサは平面型であって、前記各磁気発生器は1軸成分の磁界を発生し、前記各磁界センサは前記1軸成分の磁界を検出することが好ましく、前記1軸成分の磁界の発生と検出とを行う平面状コイルとすることがより好ましい。これにより、前記2つの物体に対する取り付けが容易になると共に、前記2つの物体が相対的な運動を行っても、前記平面状コイルの初期位置からの位置ずれをより一層抑制することができる。さらに、前記平面状コイルは、印刷技術等で作製可能であるので、2軸コイルあるいは3軸コイルよりも高精度且つ低コストで作製することができる。
【0022】
また、前記各磁気発生器から発生する計測用磁界は、交流磁界であることが好ましい。この場合、前記各磁界センサから出力される前記電気信号は周波数に比例するので、交流磁界の周波数が高い程、レベルの大きな電気信号が前記各磁界センサから出力される。これにより、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置検出に関する位置分解能を向上させることができる。
【0023】
また、前記交流磁界の周波数を高くすることにより、例えば、商用周波数によるノイズ、地磁気の変動磁界によるノイズ、車両の移動によるノイズのような低周波ノイズを排除することができるので、前記低周波ノイズに対して強い生体内3次元運動測定装置を実現することができる。
【0024】
ここで、前記各磁気発生器は前記平面状コイルと、前記平面状コイルに並列又は直列に接続されるコンデンサとを有し、前記各磁気発生器から発生する前記計測用磁界は、前記平面状コイルと前記コンデンサとの共振周波数を有する交流磁界であることが好ましい。
【0025】
前記平面状コイルと前記コンデンサとの共振によって、前記各磁気発生器内部のリアクタンス分を除去することができ、前記各磁界センサから出力される前記電気信号のレベルをさらに増加させることができる。これにより、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置分解能をさらに向上させることが可能となる。
【0026】
また、生体内3次元運動測定装置においては、3次元運動の測定に先立って、前記2つの物体に取り付けられた前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの初期位置及び初期方向を測定する必要がある。そこで、前記生体内3次元運動測定装置は、非接触の複数の校正用コイルをさらに有し、前記複数の校正用コイルの成分の一対の組み合わせの個数は、合計で少なくとも5軸であり、前記各校正用コイルから発生する校正用磁界を、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサで検出することにより、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの初期位置及び初期方向を計測することが好ましい。
【0027】
この場合、前記各校正用コイルの配置箇所は、前記生体内の2つの物体のうち、いずれかの物体に直接取り付けてもよいし、前記2つの物体から離れた箇所に配置してもよい。いずれにしても、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの近傍に配置することが好ましい。特に、前記各校正用コイルを前記2つの物体に直接取り付けると、前記各校正用コイルが前記2つの物体によって固定されるので、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度をより一層向上させることができる。
【0028】
ここで、前記各校正用コイルは、1軸、2軸又は3軸のコイルとすることが好ましい。特に前記1軸のコイルであれば、前記各校正用コイルを前記2つの物体に直接取り付ける際に、前記各校正用コイルはより確実に固定され、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度をさらに向上させることができる。さらに、前記1軸コイルは自然な運動を妨げないように配置することも可能である。
【0029】
さらに、前記生体内3次元運動測定装置は、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間の電磁結合の組み合わせを切り換えると共に、前記各校正用コイルと前記各磁気発生器又は前記各磁界センサとの間の電磁結合の組み合わせを切り換える電磁結合切換手段と、前記電磁結合切換手段に対して、前記各磁気発生器と前記各磁界センサと前記各校正用コイルとを電気的に接続する同軸ケーブルと、をさらに有することが好ましい。
【0030】
前記電磁結合切換手段によって、前記各校正用コイルのうち、1つの校正用コイルを選択し、前記各磁気発生器又は前記各磁界センサのうち、1つの磁気発生器又は磁界センサを選択する。次いで、前記電磁結合切換手段を介して、校正用の交流電源から前記1つの校正用コイルに校正用入力信号を供給する。これにより、前記1つの校正用コイルから校正用磁界が発生し、前記1つの校正用コイルと、選択された前記1つの磁気発生器又は磁界センサとの間で電磁結合が発生する。前記1つの磁気発生器又は磁界センサでは、電磁誘導作用によって前記電気信号が出力される。前記電気信号は、前記同軸ケーブルを介して前記電磁結合切換手段に伝送し、さらに前記電磁結合切換手段から前記信号処理手段に伝送される。
【0031】
ここで、前記信号処理手段として、例えば、ネットワークアナライザを使用し、前記ネットワークアナライザにおいて前記校正用入力信号と前記電気信号とを計測することによって、生体内3次元運動測定装置のゲイン(前記校正用入力信号と前記電気信号との比)や位相を計測することも可能である。この場合には、前記ゲインの計測結果より、生体内の前記2つの物体が相対的な運動を行う際における、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置に関する測定分解能を評価することができる。
【0032】
また、前記電磁結合切換手段を用いることによって、前記電磁結合の組み合わせを電気的に制御することが可能である。この場合、前記切換手段は、同軸リレー、半導体スイッチ等により構成し、前記同軸ケーブルと前記電磁結合切換手段とを略同一の特性インピーダンス(例えば、50[Ω])で整合する。これにより、高い周波数まで動作可能な生体内3次元運動測定装置を実現することができると共に、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度をさらに向上させることができる。
【0033】
また、前記同軸ケーブルについても、前記2つの物体の相対的な運動の妨げとならないように、できるだけ直径の小さな同軸ケーブルを用いることが好ましい。
【0034】
上述したように、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサが取り付けられる、生体内で相対的に運動する前記2つの物体は、上顎と一体的に運動する部分、下顎と一体的に運動する部分、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせであり、磁気式のため、被測定者の口腔内等の狭く光学的に隠蔽された箇所にも、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサを取り付けることが可能である。そして、運動の妨げとならないように、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサを平面状コイルにすると共に、同軸ケーブルについても直径の小さな同軸ケーブルにする。その際、前記各磁気発生器はマーカコイルとして機能するので、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置及び方向を、生体内3次元運動測定装置で計測することができる。これにより、100[μm]以下の位置精度で6自由度の顎運動計測が可能となるため、例えば、歯科において顎運動の精密計測が必要な顎関節症患者等に対してこの生体内3次元運動測定装置を用いることにより、より正確で信頼性の高い測定を行うことが可能となる。
【0035】
また、被測定者の口腔内には、前記各磁気発生器及び前記同軸ケーブルが挿入されるのみなので、前記被測定者の負担が軽減される。特に、小児や高齢者に対する負担は大きく減少する。
【0036】
さらに、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサは共に口腔内に挿入されているので、生体内3次元運動測定装置の小型化と低コスト化とを図ることができる。そのため、この生体内3次元運動測定装置を、例えば、歯科医院に導入することが容易となり、歯科医療全体のレベル向上を図ることができる。
【0037】
また、前記各磁気発生器及び前記同軸ケーブルを各患者の顎運動測定ごとに交換するようにすれば、より衛生的な生体内3次元運動測定装置となる。
【0038】
また、本発明の生体内3次元運動測定方法は、生体内の少なくとも2つの物体の相対的な運動を計測する生体内3次元運動測定方法において、前記2つの物体のうち、一方の物体に複数の磁気発生器を取り付け、他方の物体に複数の磁界センサを取り付けて、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの一対の組み合わせの個数の合計を少なくとも5つとする取付過程と、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとに対して非接触状態で複数の校正用コイルを前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの近傍に配置し、前記各校正用コイルから発生する校正用磁界を、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサで検出して、前記2つの物体が相対的な運動を行っていないときの前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの初期位置及び初期方向を計測する校正過程と、前記各校正用コイルを取り除いた後に、電磁結合切換手段を用いて、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間の電磁結合の組み合わせを切り換えながら、前記各磁気発生器の1つの磁気発生器から発生する計測用磁界を、前記各磁界センサの1つの磁界センサで検出する検出過程と、前記各磁界センサにより検出した磁界から、前記各磁界センサに対する前記各磁気発生器の相対的な位置及び方向を求め、前記2つの物体の相対的な運動を算出する信号処理過程とを有し、前記2つの物体は、上顎と一体的に運動する部分、下顎と一体的に運動する部分、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本実施の形態の3次元顎運動測定装置の模式的な構成図である。
【図2】図2は、図1の平面状コイルを示す斜視図である。
【図3】図3は、図1の磁気発生器及び磁界センサを示す拡大斜視図である。
【図4】図4は、図3の磁気発生器と磁界センサとの間の電磁結合を示す説明図である。
【図5】図5は、図1に示す3次元顎運動測定装置において、被測定者の近傍に校正用コイル装置を配置したことを示す模式的な構成図である。
【図6】図6は、図5の校正用コイル装置を示す拡大斜視図である。
【図7】図7は、図1の3次元顎運動測定装置での顎運動測定を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、校正用コイル装置と磁気発生器と磁界センサとの位置及び方向を示す説明図である。
【図9】図9は、図8の校正用コイル装置の座標系(絶対座標系)及び回転角を示す説明図である。
【図10】図10は、校正用コイル装置の平面状コイルと磁界センサとの位置及び方向を示す説明図である。
【図11】図11は、図10の磁界センサの座標系(上顎座標系)を示す説明図である。
【図12】図12は、校正用コイル装置の平面状コイルと磁気発生器との位置及び方向を示す説明図である。
【図13】図13は、図12の磁気発生器の座標系(下顎座標系)を示す説明図である。
【図14】図14は、図5の3次元顎運動測定装置において、ゲインの周波数特性を示す特性図である。
【図15】図15は、上顎に対して下顎を開いた際におけるゲインの変化を示す特性図である。
【図16】図16は、図15の測定結果より得られた磁界センサの位置分解能を示す特性図である。
【図17】図17は、従来技術の顎運動測定装置を示す構成図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、この発明の一実施の形態の3次元顎運動測定装置10の構成を概略的に示している。
【0041】
図2は、図1の3次元顎運動測定装置10を構成する磁気発生器12及び磁界センサ14を示す斜視図であり、図3は、図2の磁気発生器12及び磁界センサ14を被測定者16の所定位置に貼り付けた状況を示す斜視図であり、図4は、図2の磁気発生器12i及び磁界センサ14jの等価回路図である。
【0042】
図1~図4に示すように、3次元顎運動測定装置10は、基本的には、図示しない接着剤等により被測定者16の所定位置に取り付けられる複数の磁気発生器12i(図1では、i=1、2)と、図示しない接着剤等により被測定者16の所定位置に取り付けられる複数の磁界センサ14j(図1では、j=1~3)と、電磁結合切換部18と、この電磁結合切換部18に接続されるネットワークアナライザ20と、このネットワークアナライザ20に接続される信号処理手段としてのパーソナルコンピュータ(PC)本体26とを有する。
【0043】
磁気発生器12iと、この磁気発生器12iから発生する磁界(磁束)を検出する磁界センサ14jとは、図2に示すように、エポキシ等の絶縁材料からなる基板28上に、例えば、スクリーン印刷技術によってパターン印刷されたスパイラル形状の平面状コイル30と、この平面状コイル30の外周端部に設けられた電極パッド32a及び平面状コイル30からのリード35に接続される電極パッド32a間に配置されたコンデンサ37とを有する。
【0044】
ここで、コンデンサ37は、図2及び図4に示すように、平面状コイル30に対して並列に接続されているが、この平面状コイル30に対して直列に接続されていても構わない(図示せず)。
【0045】
そして、図2の電極パッド32aはリード40を介して同軸ケーブル38の心線38aに接続される一方、電極パッド32bはリード42を介して同軸ケーブル38のシールド線38bに接続されている。
【0046】
そして、磁気発生器12iは、図3に示すように、平面状コイル30が形成されていない基板28表面(図2では基板28底面)に図示しない接着剤を塗布して、前記接着剤を介して下顎24の下顎歯44に固定保持される。
【0047】
本実施の形態では、磁気発生器12iは、被測定者16の口腔内に配置することを考慮して、平面状コイル30の直径を10[mm]程度、巻き数を20ターン程度、平面状コイル30の巻線の幅を0.1[mm]程度及び前記巻線の配置間隔を0.1[mm]程度としている。
【0048】
ここで、各同軸ケーブル38は、予備実験の結果より、略同一の長さに設定し、且つ電磁結合切換部18のインピーダンスと略同一のインピーダンスとすればよいことが確認されている。また、各同軸ケーブル38は、通過する電気信号が10MHzまでであれば、電磁結合切換部18において反射が発生しないことが確認されている。さらに、各シールド線38bについても、アースを共通にすればコモンモードノイズを除去可能であることも確認されている。さらにまた、各シールド線38bによる磁気発生器12iからの磁界の変動を抑制するために、直径1.2[mm]程度の極細の同軸ケーブルを同軸ケーブル38として用い、シールド線38bの表面積をできる限り小さくすることが望ましいことも確認されている。
【0049】
また、磁界センサ14jは、上述した磁気発生器12iと同様の構成を有しており、平面状コイル30が形成されていない基板28表面に図示しない接着剤を塗布して、前記接着剤を介して上顎22の上顎歯46に固定保持される。この場合、同軸ケーブル38は、図1に示す電磁結合切換部18に接続する。
【0050】
ここで、磁束を発生させる磁気発生器12iと、前記磁束を検出する磁界センサ14jとの組み合わせを予め電磁結合切換部18に選択した状態で、ネットワークアナライザ20から計測用電気信号(入力電流)を電磁結合切換部18及び同軸ケーブル38を介して選択された磁気発生器12iに供給すると、図3及び図4に示すように、この磁気発生器12iの平面状コイル30から磁束(図3及び図4に示す矢印付きの実線)が発生し、選択された磁界センサ14jの平面状コイル30に鎖交する。
【0051】
この場合、磁界センサ14jの平面状コイル30には、電磁誘導によって検出用電気信号(出力電流)が生成され、前記出力電流は、同軸ケーブル38及び電磁結合切換部18を介してネットワークアナライザ20に出力される。
【0052】
なお、上述したように、磁気発生器12iと磁界センサ14jとは同様の構成を有しているので、上顎歯46に固定保持されている磁界センサ14jを磁気発生器として使用し、下顎歯44に固定保持されている磁気発生器12iを磁界センサとして使用できることは勿論である。
【0053】
電磁結合切換部18は、磁束を発生させる磁気発生器12iと、前記磁束を検出する磁界センサ14jとの組み合わせを選択するスイッチであり、同軸リレー、半導体スイッチ等のスイッチング装置により構成することが好ましく、反射を考慮して同軸ケーブル38と略同一の特性インピーダンス(例えば、50[Ω])で整合することが好ましい。
【0054】
ネットワークアナライザ20は、計測用電気信号(入力電流)を磁気発生器12iに供給し、磁界センサ14jから検出用電気信号(出力電流)を受信する装置であり、前記入力電流と前記出力電流とから、磁気発生器12iと磁界センサ14との電磁結合に基づくゲインや位相を計測することができる。
【0055】
図1に示すように、PC本体26は、前記入力電流及び前記出力電流に基づいて磁界センサ14jに対する各磁気発生器12iの位置及び方向を求め、求めた各磁気発生器12iの位置及び方向と、剛体である下顎(下顎骨)24の形状に基づき、上顎22に対する下顎24の3次元運動をリアルタイムに算出する信号処理手段である。
【0056】
ここで、PC本体26は、キーボードやマウス等の入力装置32と、CRTディスプレイ等のモニタディスプレイ34と、プリンタ36とにそれぞれ接続され、ネットワークアナライザ20の測定結果に基づいて、上顎22と下顎24との相対的な運動を算出して、上顎22に対する下顎24の任意の位置や方向を求める装置である。
【0057】
3次元顎運動測定装置10は、図5に示すように、上顎22及び下顎24の相対的な運動を行う前における磁気発生器12i及び磁界センサ14jの初期位置を測定するための校正用コイル装置50をさらに有する。
【0058】
校正用コイル装置50では、図5及び図6に示すように、エポキシ等の絶縁材料からなる基板52表面の略全面に形成された電極パターン54の一部を剥離して複数の絶縁領域56を確保し、各絶縁領域56に、例えば、スクリーン印刷技術によってパターン印刷されたスパイラル形状の平面状コイル58k(図5ではk=1~6)が形成されている。この平面状コイル58kの外周端部と電極パターン54との間にはコンデンサ60が接続され、平面状コイル58kはリード64を介して同軸ケーブル62の心線62aに接続される一方、電極パターン54はリード66を介して同軸ケーブル62のシールド線62bに接続されている。
【0059】
ここで、コンデンサ60は、図6に示すように、平面状コイル58kに対して並列に接続されているが、この平面状コイル58kに対して直列に接続されていても構わない(図示せず)。
【0060】
そして、校正用コイル装置50は、図5に示すように、磁気発生器12i及び磁界センサ14jと非接触の状態で磁気発生器12i及び磁界センサ14jの近傍位置に配置され、各平面状コイル58kは同軸ケーブル62を介して電磁結合切換部18に接続される。
【0061】
本実施の形態では、各平面状コイル58kの直径を10[mm]程度、巻き数を10ターン程度、平面状コイル58kの巻線の幅を0.2[mm]程度及び前記巻線の配置間隔を0.2[mm]程度に設定し、さらに各平面状コイル58kを20[mm]間隔で互い違いに基板52表面に形成している。また、同軸ケーブル62は、同軸ケーブル38と同様の構成を有する一方、各シールド線62bに接続された電極パターン54は、各平面状コイル58kに対する共通のアース電極として機能する。
【0062】
ここで、校正用磁束を発生させる平面状コイル58kと、前記校正用磁束を検出する磁気発生器12i又は磁界センサ14jとの組み合わせを予め電磁結合切換部18に選択した状態で、ネットワークアナライザ20から校正用電気信号(校正用入力電流)を電磁結合切換部18及び同軸ケーブル62を介して選択された磁気発生器12i又は磁界センサ14jに供給すると、この平面状コイル58kから校正用磁束(図5に示す矢印付きの実線)が発生し、選択された磁気発生器12i又は磁界センサ14jの平面状コイル30(図2参照)に鎖交する。
【0063】
この場合、磁気発生器12i又は磁界センサ14jの平面状コイル30には、電磁誘導によって検出用電気信号(校正用出力電流)が生成され、前記校正用出力電流は、同軸ケーブル38及び電磁結合切換部18を介してネットワークアナライザ20に出力される。
【0064】
また、図1に示すように、3次元顎運動測定装置10は、図示しない測定者等が手に持って任意に移動させることの自由な、内部に磁気マーカ72を有するポインタ70を有している。
【0065】
このポインタ70は、磁石あるいは磁気発生器である磁気マーカ72が内蔵されると共に、略円錐状の尖った先端部74を有する鉛筆状の棒体である。ポインタ70に内蔵される磁気マーカ72以外の部分の材質は、樹脂等の非磁性体且つ非導電体とされている。
【0066】
PC本体26は、ネットワークアナライザ20から出力される各信号を処理する信号処理手段として機能し、この信号処理手段は、予め記録されているアプリケーションプログラムに基づき、後述するように、最尤度法等の繰り返し計算を利用して、磁気発生器12i及び磁界センサ14jの位置をリアルタイムに算出すると共に、さらには、必要なときに、内部に磁気マーカ72を有する移動自由なポインタ70の先端の接触部位の位置を算出する。また、前記信号処理手段は、ポインタ70の先端の接触部位の位置を、磁気発生器12i又は磁界センサ14jを基準とする相対位置として記憶し登録し(上顎22及び下顎24の特徴点のマーキング処理)、必要なときに読み出す処理も行うことができる。
【0067】
このようにして、磁気発生器12i等の3次元位置が測定された場合、PC本体26は、測定した磁気発生器12i等の位置を図示しないRAM及びハードディスクに記憶すると共に、これらの位置に基づき、モニタディスプレイ34上に、被測定者16に対応する人物の顎運動画像を動画としてリアルタイムに表示する。
【0068】
本実施の形態の3次元顎運動測定装置10は、基本的には以上のように構成され、且つ動作するものであり、次に、図7~図16を参照しながらその動作をさらに詳細に説明する。
【0069】
先ず、ステップS1において、磁気発生器12i(i=1、2)(図1及び図5参照)と磁界センサ14j(j=1~3)とを、被測定者16の口腔内の所定位置に配置する一方、校正用コイル装置50を磁気発生器12i及び磁界センサ14jの近傍に配置する。
【0070】
この場合、平面状コイル30(図2参照)の形成面とは反対側の表面に図示しない接着剤を塗布してから、前記接着剤を介して被測定者16の歯冠表面に各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jをそれぞれ貼り付ける。
【0071】
図1及び図5では、磁気発生器12iを下顎24の中切歯あるいは側切歯に貼り付け、磁界センサ14jを上顎22の中切歯あるいは側切歯に貼り付けた一例を示しているが、口腔内における磁気発生器12i及び磁界センサ14jの貼り付け箇所は、上述した一例に限定されるものではない。例えば、磁気発生器12iを上顎22に配置し、磁界センサ14jを下顎24に各々配置しても構わない。また、磁気発生器12i及び磁界センサ14jの取り付け箇所は、前述した上顎歯46及び下顎歯44ばかりでなく、上顎歯46、下顎歯44、舌及び口腔内に装着された義歯のうち少なくとも2つの組み合わせでよいことは勿論である。
【0072】
そして、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jを、同軸ケーブル38を介して電磁結合切換部18に各々接続する。
【0073】
一方、校正用コイル装置50は、磁気発生器12i及び磁界センサ14jと非接触に配置する。この場合、校正用コイル装置50は、被測定者16から離間して配置されているが、被測定者16の口腔外であれば、例えば、頭部、額部、頬部に配置しても構わない。
【0074】
次いで、上下顎の特徴点のマーキング処理を行う(ステップS2)。
【0075】
ここで、上下顎の特徴点のマーキング処理とは、上顎22あるいは下顎24の表面上の任意点、例えば、下顎24でいえば、下顎左右第一大臼歯中心窩の点や左右下顎頭近傍の点等の特徴点を、下顎24の所定位置に取り付けられた磁気発生器12iの平面状コイル30に対する相対座標として設定する処理である。
【0076】
さらに詳しく説明すると、上顎22及び下顎24の特徴点のマーキング処理とは、上顎22の所定位置に取り付けられた磁界センサ14jの平面状コイル30の位置に対する上顎22の任意点の相対位置(相対的3次元位置)と、下顎24の所定位置に取り付けられた磁気発生器12iの平面状コイル30の位置に対する下顎24の任意点の相対位置(相対的3次元位置)とを、PC本体26に認識させ、且つ登録(記憶)する処理である。
【0077】
上述した処理においては、例えば、下顎24の任意点(所望点、特徴点、あるいは代表点)を設定するために、測定者等は、図示しないポインタホルダからポインタ70(図1参照)を取り外し、ポインタ70の先端部74を、下顎歯列中の所定位置、例えば、第1大臼歯の咬合面中心窩に接触させる。
【0078】
これにより、磁気マーカ72によって発生する磁束が、磁気発生器12iの平面状コイル30に鎖交し、これらの平面状コイル30では電磁誘導によって電気信号(誘導電圧)が発生する。この電気信号は、同軸ケーブル38を介して電磁結合切換部18に出力され、電磁結合切換部18では、各平面状コイル30に接続される同軸ケーブル38を順次選択して、各電気信号をネットワークアナライザ20を介してPC本体26に出力する。
【0079】
そのため、PC本体26では、得られた各電気信号に基づいて、平面状コイル30の位置を基準とする第1大臼歯の咬合面中心窩に対する3次元座標位置及び方向を、平面状コイル30の出力により後述する最尤度法等により求めることができる。
【0080】
実際上、ポインタ70の先端部74を被測定者16の第1大臼歯の咬合面中心窩に接触させているとき、入力装置32により、モニタディスプレイ34上の表示に従い、所定の箇所、例えば、モニタディスプレイ34の画面における「磁気マーカ付きポインタの接触中」と表示されている箇所をクリックする。これにより、平面状コイル30で検出される磁束から、ポインタ70内部の磁気マーカ72の位置が求められ、さらにポインタ70の先端部74の位置が求められる。この場合、先端部74の位置が、第1大臼歯の咬合面中心窩の位置である。
【0081】
このようにして、左右の両第1大臼歯の咬合面中心窩の相対位置が求められ、これらの相対位置は、PC本体26のハードディスクに記憶且つ登録される。同様な手順で、下顎24のその他の特徴点、例えば、左右下顎頭近傍の点等の数点をマーキングし、平面状コイル30の位置に対する相対位置を記憶して登録しておくことにより、下顎24の運動に伴う磁気発生器12iの移動と同時に、マーキングした数点の運動も測定することができる。
【0082】
これにより、X線CTや光学的手段によらず、上顎22及び下顎24の任意点の位置を簡便に測定することができる。そのため、被測定者16にX線を照射させることなく測定を行うことができる上に、光学的手段による位置検出方法のような大きな機械的構造物を被測定者16の口腔内に挿入することを回避することができる。
【0083】
また、被測定者16が、下顎24の任意点(特徴点、例えば下顎左右第一大臼歯中心窩の点や左右下顎頭近傍の点)のマーキング中に、頭部や顎部を動かしても、動かした後の測定結果に基づいて前記任意点の相対的位置を求めることができるので、正確なマーキング処理を行うことが可能である。
【0084】
また、ポインタ70による下顎24の任意点のマーキング(相対位置把握)では、ポインタ70の先端部74を所望点に接触させることによりその任意点を所望点として座標位置を記憶して登録するため、被測定者16の表面に出ている点のみしか座標位置を登録することができない。
【0085】
しかし、実際には、被測定者16の内部の点の運動を計測する必要もあり、そのような場合には、その位置をPC本体26により算出した上で登録することも可能である。例えば、左右下顎頭の近傍の点(耳珠のやや前方)を皮膚の上からポインタ70で指し示し、ポインタ70で指示し記憶した左右の点を結んだ直線に対し、内側へそれぞれ、例えば20[mm]動かした点をPC本体26により算出することで、その点(左右顆頭点に対応する。)を登録することが可能である。
【0086】
下顎24形状の特徴点の相対位置の登録処理が終了した場合、測定者等はポインタ70を図示しないポインタホルダに返却する。
【0087】
次に、ステップS3では、校正用コイル装置50の平面状コイル58kから発生する磁束を磁気発生器12i及び磁界センサ14jの平面状コイル30で測定し、測定結果から磁気発生器12i及び磁界センサ14jの初期位置及び初期方向を算出する。ここで、磁気発生器12i及び磁界センサ14jの初期位置及び初期方向とは、上顎22に対して下顎24が相対的運動を行っておらず、図5に示すように、下顎24が上顎22に対して開いていない状態における磁気発生器12i及び磁界センサ14jの位置及び方向である。
【0088】
前記初期位置及び初期方向の算出方法の説明に先立ち、平面状コイル58kからの磁束を磁気発生器12i及び磁界センサ14jの平面状コイル30で測定する方法について説明する。
【0089】
先ず、電磁結合切換部18により、ネットワークアナライザ20からの校正用電気信号(入力電流)を流す平面状コイル58kと、平面状コイル58kによって発生する磁束を検出する平面状コイル30とを選択する。そして、ネットワークアナライザ20から電磁結合切換部18を介して選択された平面状コイル58kに交流電流を流す。
【0090】
ここで、前記交流電流は、同軸ケーブル38、62のインピーダンスを考慮して、10[MHz]までの周波数を有する交流電流であることが好ましく、ここでは1[MHz]~2[MHz]程度の高周波の交流電流を用いている。
【0091】
この場合、平面状コイル58kのうち、例えば、平面状コイル585に前述した交流電流を流すと、前記交流電流によって交流磁束である校正用磁束が発生し、前記校正用磁束は、被測定者16の口腔内に配置された磁気発生器12i及び磁界センサ14jの平面状コイル30に鎖交する。これらの平面状コイル30では、電磁誘導によって検出電気信号(誘導電圧)が発生し、これにより、誘導電流は、同軸ケーブル38を介して電磁結合切換部18に流れる。
【0092】
電磁結合切換部18では、予め選択した平面状コイル30からの検出電気信号(誘導電流)をネットワークアナライザ20に出力する。ネットワークアナライザ20では、前記校正用電気信号及び前記検出電気信号の振幅及び位相から、平面状コイル58kと平面状コイル30との間の電磁結合におけるゲインや位相を求め、得られたゲインや位相をPC本体26に出力する。
【0093】
電磁結合切換部18は、平面状コイル58k及び平面状コイル30の組み合わせを変更することにより、上述した電磁結合の組み合わせを切り換えることができる。
【0094】
図1及び図5では、校正用コイル装置50に5個の平面状コイル581~585が配置される一方、被測定者16の口腔内に合計5個の平面状コイル30が配置されている。そのため、平面状コイル581から発生する校正用磁束は、磁気発生器121、122及び磁界センサ141、142、143の合計5つの平面状コイル30に鎖交する。従って、1つの平面状コイル581に対する電磁結合の組み合わせは5通りとなる。なお、磁気発生器12iは、平面状コイル58kからの校正用磁束に対しては磁界センサとして機能するので、磁気発生器12iについても、後述する絶対座標系で初期位置及び方向を求めることが可能である。
【0095】
さらに、電磁結合切換部18によって平面状コイル581~585を切り換えて選択すると、合計で25通りの電磁結合の組み合わせを実現することができる。従って、25通りの電磁結合についての測定結果が、ネットワークアナライザ20からPC本体26に出力されることになる。
【0096】
そこで、PC本体26では、このようにして得られた測定結果より、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jについて、それらの初期位置及び初期方向の算出を絶対座標系を用いて行う。
【0097】
ここで、前記絶対座標系の原点は、どの位置でもよいが、図8では、簡単のために、校正用コイル装置50の平面状コイル583におけるスパイラル部分(図6参照)の中心点を絶対座標系X000の原点とした場合について示し、以下同様とする。ここで、絶対座標系X000のX0軸及びZ0軸は、平面状コイル583(図6参照)の表面に沿った座標軸であり、Y0軸は、平面状コイル583に直交する方向の座標軸である。
【0098】
このステップS3における磁気発生器12i及び磁界センサ14jの初期位置及び初期方向の算出は、先ず、図9に示すように、磁気発生器12i及び磁界センサ14jのうちの1つの平面状コイル30(図8では磁界センサ141の平面状コイル)から、各平面状コイル58kまでの位置ベクトルp1~p6を求める。
【0099】
ここで、平面状コイル30の位置及び方向角(姿勢角、回転角)に関するパラメータを、図9に示す5自由度情報(x,y,z,θ,φ)で表して、各ベクトルp1~p6をベクトルp1~p6(x,y,z,θ,φ)とする。
【0100】
この場合、平面状コイル30で検出される各平面状コイル58kからの測定磁束Bmkと、磁気モーメントが既知である各平面状コイル58kの各双極子による平面状コイル30からの磁束密度の計算値を計算磁束Bckとするとき、測定磁束Bmkと計算磁束Bckとから、次の(1)式により最尤度法等により、ベクトルp1(x,y,z,θ,φ)~p6(x,y,z,θ,φ)の各パラメータを求める。ただし、(1)式でkとは、平面状コイル58kの個数を示し、k=1~6である。なお、ここでは、簡単のために、ベクトルを示す表記(矢印の符号)を省略し、以下同様とする。
【0101】
Σ(Bmk-Bck2=0又は極小値 …(1)
この(1)式の最小自乗法による最尤度法で、各平面状コイル30の初期位置及び初期方向を求める計算を詳しく説明する。
【0102】
まず、上記(1)式を、以下の(2)式の評価関数S(p)と置く。
【0103】
S(p)=S(p1~p6)=Σ(Bmk-Bck2=0
又は最小値 …(2)
ただし、(2)式において、各値は以下の通りである。
【0104】
ck=(1/4πμ)×
[Σ{(-Mk/pk3)+(3(Mk・pk)pk/pk5)}]
…(3)
(Mk・rk)と(Mk・rk)における「・」はベクトルの内積
ベクトルpk:各平面状コイル58kと平面状コイル30との間の位置ベクトル
ベクトルMk:各平面状コイル58kにおける磁気モーメント(既知)
上記のように定義される(2)式において、評価関数S(p)が、ベクトルp=qにおいて極小値をとれば、mを後述するパラメータの数として下記(4)式が成立する。
【0105】
(∂S(p)/∂pi)|p=q=0(i=1,2…m) …(4)
上記(2)式を、この(4)式に代入して展開すれば、Σの範囲をn=1~mとして、次の(5)式が得られる。
【0106】
Σ(∂2S/∂pi∂pn)Δpn=-(∂2S/∂pi),(i=1,2,…m) …(5)
この(5)式は、m行n列の行列式による連立方程式であり、これを解いてベクトルΔpnを求め、ベクトルp(k+1)=ベクトルpk+ベクトルΔpnから最適解であるベクトルqを求めることができる。
【0107】
なお、磁界Bmk、Bckの距離による一階微分値を求め、この一階微分値と測定磁界Bmiのみに対して最尤度法を適用することで、磁界が距離の3乗に比例することを考慮すると、精度を向上させることができる。
【0108】
上述した初期位置及び初期方向の算出は、磁界センサ141の平面状コイル30についてであったが、他の平面状コイル30についても、測定磁界Bmkを用いることで、その初期位置及び初期方向を算出することができる。
【0109】
このようにしても、(1)式の演算が収束しなかった場合、あるいは収束した場合においても、パラメータの解が前後の軌跡から不自然な場合には、その点における解を除いて、演算を繰り返せばよい。
【0110】
次いで、ステップS4では、ステップS3で算出された絶対座標系X000(図8~図10参照)で表された各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの初期位置及び初期方向を、図8及び図10~図12に示す上顎22の座標系(上顎座標系)Xsssと、図8、図10、図12及び図13で示す下顎24の座標系(下顎座標系)Xbbbとで表現する。
【0111】
上顎座標系Xsssの原点は、上顎22のどの位置に設定してもよいが、図8では、簡単のために、上顎座標系Xsssが磁界センサ142の中心位置(図2の平面状コイル30を構成するスパイラル部分の中心点)を原点として設定されている場合を示す。ここで、上顎座標系XsssのXs軸及びZs軸は、平面状コイル30の表面に沿った座標軸であり、Ys軸は、平面状コイル30に直交する方向の座標軸である。
【0112】
また、下顎座標系Xbbbの原点は、下顎24のどの位置に設定してもよいが、図8では、下顎座標系Xbbbが磁気発生器121の中心位置(図2の平面状コイル30を構成するスパイラル部分の中心点)を原点として設定されている場合を示す。ここで、下顎座標系XbbbのXb軸及びZb軸は、平面状コイル30の表面に沿った座標軸であり、Yb軸は、平面状コイル30に直交する方向の座標軸である。
【0113】
ここで、上顎座標系Xsssにおける任意点の位置ベクトルPjs(j=1~3)について、絶対座標系X000では位置ベクトルPjs0として表現されていれば、この位置ベクトルPjsは、絶対座標系X000に対する上顎座標系Xsssの位置ベクトルPs0と、絶対座標系X000から上顎座標系Xsssへの座標変換行列(回転行列)Rsとにより、下記の(6)式で表される。
【0114】
js=Rs(Pjs0-Ps0) …(6)
なお、図10では、磁界センサ141の位置が、上顎座標系Xsssでは位置ベクトルP1sで表され、絶対座標系X000では位置ベクトルP1s0で表された場合について示す。
【0115】
ここで、回転行列Rsは、図9に示す軸X0軸、Y0軸及びZ0軸に対する回転角をα、β及びγとすれば、下記の(7)式で表される。
【0116】
【数1】
JP0004551395B2_000002t.gif

【0117】
また、図10に示すように、磁界センサ142に直交し且つ軸Ysに平行な単位ベクトルについて、絶対座標系X000ではds0で表されている場合、この単位ベクトルを上顎座標系Xsssの単位ベクトルds(図10及び図11参照)に変換すれば、下記の(8)式で表される。
【0118】
s=Rss0 …(8)
一方、下顎座標系Xbbbにおける任意点の位置ベクトルPib(i=1、2)について、図8及び図12に示す絶対座標系X000では位置ベクトルPib0として表現されていれば、この位置ベクトルPibは、絶対座標系X000に対する下顎座標系Xbbbの位置ベクトルPb0と、絶対座標系X000から下顎座標系Xbbbへの座標変換行列(回転行列)Rbとにより、下記の(9)式で表される。
【0119】
ib=Rb(Pib0-Pb0) …(9)
ここで、回転行列Rbは、上記の(7)式と同様に表される。
【0120】
また、図12及び図13に示すように、磁気発生器121に直交し且つ軸Ybに平行な単位ベクトルについて、絶対座標系X000ではdb0で表されている場合、この単位ベクトルを顎座標系Xbbbの単位ベクトルdbに変換すれば、下記の(10)式で表される。
【0121】
b=Rbb0 …(10)
ここで、回転行列Rsを求めるには、上顎座標系Xsssの単位ベクトルdjsがYs軸に平行であり、且つベクトルPjsを図示しないXss平面に投影した際に、投影したベクトルがベクトルPjsのXs方向成分と平行であるという条件の下で、ステップS3で算出された各平面状コイル30の初期位置及び初期方向を用いて、(6)式についての非線形の連立方程式を構築し、この連立方程式について、例えば、ニュートン法による反復計算を実行することにより求めることができる。
【0122】
回転行列Rbについても、下顎座標系Xbbbの単位ベクトルdbがYb軸に平行であり、且つベクトルPibを図示しないXbb平面に投影した際に、投影したベクトルがベクトルPibのXb方向成分と平行であるという条件の下で、ステップS3で算出された各平面状コイル30の初期位置及び初期方向を用いて、(6)式についての非線形の連立方程式を構築し、この連立方程式について、例えば、ニュートン法による反復計算を実行することにより求めることができる。
【0123】
次に、このようにして求められた回転行列Rs、Rbより、上顎座標系Xsssから下顎座標系Xbbbに座標変換を行うための座標変換行列(回転行列)Rbsを下記の(11)式により求める。
【0124】
bs=Rbs-1 …(11)
ここで、Rs-1は、回転行列Rsの逆行列である。
【0125】
これらの回転行列Rs、Rb、Rbsを用い、さらに(6)式及び(9)式から、校正用コイル装置50を用いて絶対座標系X000で測定された各平面状コイル30の初期位置及び初期方向を、上顎座標系Xsss又は下顎座標系Xbbbで表すことができる。
【0126】
次いで、ステップS5において、前記初期位置及び初期方向における磁気発生器12iと磁界センサ14jとの間の電磁結合に基づいて、各磁気発生器12iの磁気モーメントMiを求める。
【0127】
このステップS5では、電磁結合切換部18により交流電流を流す各磁気発生器12iと、磁束を検出する磁界センサ14jとを予め選択した状態で、ネットワークアナライザ20から電磁結合切換部18を介して磁気発生器12iの平面状コイル30に交流電流を流し、前記交流電流によって発生する磁束を、選択された磁界センサ14jの平面状コイル30で誘導電流として検出し、前記誘導電流を電磁結合切換部18を介してネットワークアナライザ20に出力する。
【0128】
図13は、代表的に、磁気発生器122からの磁束を磁界センサ143で検出する場合について示している。
【0129】
ここで、磁気発生器12iで発生する磁束に対して、磁界センサ14jで磁束密度Bij(図8では、i=1、2及びj=1~3)を検出した場合、磁気発生器12iと磁界センサ14jとの間のベクトルrijと、上顎座標系Xsssで表された磁界センサ14jにおける法線方向の単位ベクトルdjと、磁気発生器12iの磁気モーメントMiとから、磁束密度Bijは、下記の(12)式で表される。
【0130】
ij=(1/4πμ)×
{(-Mi/rij3)+(3(Mi・rij)・rij/rij5)}・dj
…(12)
ただし、磁気モーメントMiは、Mi=(磁気モーメントMiの大きさMij)・(磁気発生器12iの法線方向の単位ベクトルdi)である。
【0131】
なお、図8では、磁気発生器122から発生する磁束に対して、磁界センサ143で磁束密度B23を検出する場合について示している。
【0132】
(12)式より、磁気モーメントMiの大きさMijは、下記の(13)式で求められる。
【0133】
ij=Bij/[(1/4πμ)×
{(-di/rij3)+(3(di・rij)・rij/rij5)}・dj
…(13)
実際には、磁束Bijを複数回測定して、これらの測定結果に基づいて、磁気モーメントMiの平均値を算出する。
【0134】
次いで、ステップS6において、同軸ケーブル62を電磁結合切換部18から取り外し、校正用コイル装置50及び同軸ケーブル62を、磁気発生器12iから発生する磁束の影響を及ぼさない場所に移動する。
【0135】
次いで、ステップS7において、上顎22に対する下顎24の運動が行われた際の各磁気発生器12iと各磁界センサ14jとの電磁結合の変化に基づいて、上顎22に対する下顎24の相対的位置及び姿勢角を求める。
【0136】
先ず、電磁結合切換部18により、ネットワークアナライザ20からの測定用電気信号(入力電流)を流す磁気発生器12iの平面状コイル30と、この平面状コイル30によって発生する磁束を検出する磁界センサ14jの平面状コイル30とを選択する。そして、ネットワークアナライザ20から電磁結合切換部18を介して選択された磁気発生器12iの平面状コイル30に交流電流を流す。
【0137】
ここで、前記交流電流は、ステップS3における校正用電気信号の場合と同様に、同軸ケーブル38のインピーダンスを考慮して、10[MHz]までの周波数を有する交流電流であることが好ましく、一例として、1[MHz]~2[MHz]程度の高周波の交流電流を用いた。
【0138】
この場合、磁気発生器12iの平面状コイル30のうち、例えば、図3に示す1つの平面状コイル30に前述した交流電流を流すと、前記交流電流によって交流磁束である測定用磁束が発生し、前記測定用磁束は、被測定者16の口腔内に配置された磁界センサ14jの平面状コイル30に鎖交する。この平面状コイル30では、電磁誘導によって検出電気信号(出力電流)が発生し、この出力電流は、同軸ケーブル38を介して電磁結合切換部18に流れる。
【0139】
電磁結合切換部18では、予め選択した平面状コイル30からの出力電流をネットワークアナライザ20に出力する。ネットワークアナライザ20では、前記入力電流及び前記出力電流の振幅及び位相から、磁気発生器12iと磁界センサ14jとの間の電磁結合におけるゲインや位相を求め、得られたゲインや位相をPC本体26に出力する。
【0140】
ここで、電磁結合切換部18は、磁気発生器12iと磁界センサ14jとの組み合わせを変更することにより、上述した電磁結合の組み合わせを切り換えることができる。図1及び図5では、被測定者16の口腔内に2個の磁気発生器121、122と3個の磁界センサ141、142、143とが配置されているので、前記電磁結合の組み合わせは6通りとなる。従って、ステップS7では、6通りの電磁結合についての測定結果が、ネットワークアナライザ20からPC本体26に出力されることになる。
【0141】
先ず、磁束を発生する磁気発生器12iと、前記磁束の磁束密度Bijを検出する磁界センサ14jとの間の位置ベクトルがrij(図8参照)である場合、磁界センサ14jにおける法線方向の単位ベクトルdjと、磁気発生器12iの磁気モーメントMiとから、磁束密度Bijは、上述した(12)式で表される。ここで、位置ベクトルrijは、上顎座標系Xsssと下顎座標系Xbbbとの間の位置ベクトルPbsと、上顎座標系Xsssで表された任意点の位置ベクトルPisと、下顎座標系Xbbbで表された任意点の位置ベクトルPibと、回転行列Rbsとから、下記の(14)式で表される。
【0142】
ij=Pbs+Rbs-1ib-Pis …(14)
ここで、Rbs-1は回転行列Rbsの逆行列であり、この回転行列Rbsは、図11に示す上顎座標系XsssのXs軸、Ys軸及びZs軸に対する回転角αs、βs及びγsより、下記の(15)式で表される。
【0143】
【数2】
JP0004551395B2_000003t.gif

【0144】
また、下顎座標系Xbbbで表された磁気発生器121に直交し且つYb軸に平行な単位ベクトルdb(図13参照)についても、回転行列Rbsを用いて上顎座標系Xsssに座標変換を行えば、下記の(16)式で示す単位ベクトルdbsで表される。
【0145】
bs=Rbb …(16)
この(15)式の回転行列Rbsを求め、得られた結果を(14)式及び(16)式に代入して位置ベクトルPbs及び単位ベクトルdbsを求める。
【0146】
この場合、各磁界センサ14jの平面状コイル30で検出される各磁気発生器12iの平面状コイル30からの測定磁束Bijと、磁気モーメントが既知である磁気発生器12iの平面状コイル30の双極子による磁束密度の計算値を計算磁束Bciとするとき、測定磁束Bijと計算磁束Bciとから、次の(17)式により最尤度法等により、ベクトルrijの各パラメータを求める。
【0147】
Σ(Bij-Bci2=0又は極小値 …(17)
次に、上記(17)式を、以下の(18)式の評価関数S(p)と置く。
【0148】
S(p)=S(rij)=Σ(Bij-Bci2=0
又は最小値 …(18)
ただし、(18)式において、磁束密度Bijは、(12)式におけるBijであり、磁束密度Bciは下記の(19)式で表される。
【0149】
ci=(1/4πμ)×
[Σ{(-Mi/rij3)+(3(Mi・rij)rij/rij5)}]
…(19)
(Mi・rij)と(Mi・rij)における「・」はベクトルの内積
ベクトルMi:各磁気発生器12iの平面状コイル30における磁気モーメント(既知)。
【0150】
上記のように定義される(18)式において、評価関数S(rij)が、ベクトルrij=qにおいて極小値をとれば、mを後述するパラメータの数として下記(20)式が成立する。
【0151】
(∂S(rij)/∂(rij))|rij=q=0(i、j=1,2…m)
…(20)
上記(18)式を、この(20)式に代入して展開すれば、Σの範囲をn=1~mとして、次の(21)式が得られる。
【0152】
Σ(∂2S/∂pi∂pn)Δpn=-(∂2S/∂pi),(i=1,2,…m) …(21)
この(21)式は、m行m列の行列式による連立方程式であり、これを解いてベクトルΔpnを求め、ベクトルp(i+1)=ベクトルpi+ベクトルΔpnから最適解であるベクトルqを求めることができる。
【0153】
なお、磁界Bij、Bciの距離による一階微分値を求め、この一階微分値と測定磁界Bijのみに対して最尤度法を適用することで、磁界が距離の3乗に比例することを考慮すると、精度を向上させることができる。
【0154】
上述した初期位置及び初期方向の算出は、磁界センサ141の平面状コイル30についてであったが、他の平面状コイル30についても、測定磁界Bijを用いることで、その位置及び方向を算出することができる。
【0155】
このようにしても、(21)式の演算が収束しなかった場合、あるいは収束した場合においても、パラメータの解が前後の軌跡から不自然な場合には、その点における解を除いて、演算を繰り返せばよい。
【0156】
次いで、ステップS8では、ステップS7で得られた上顎22に対する下顎24の相対的運動を、下顎24の動きとしてモニタディスプレイ34上の画像に変換して表示させる。この場合、下顎24の動きは、ハードディスクあるいはデジタルビデオディスク等に記録することが可能であるので、何回でも再生することが可能となり、また、スロー再生、スチル再生、高速再生も可能となることから、さまざまな視点から顎運動を診断することが可能となる。
【0157】
ここで、いくつかの実験例を図14~図16を参照しながら説明する。
【0158】
図14は、上顎22の中切歯及び側切歯の歯冠表面に3つの磁気発生器12i(121~123)を各々配置する一方、下顎の24の中切歯及び側切歯の歯冠表面に3つの磁界センサ14j(141~143)を各々配置した状態で、被測定者16近傍に配置された校正用コイル装置50の平面状コイル58kから磁束を発生させた場合における、平面状コイル58kと、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの平面状コイル30との間のゲインの周波数特性を調べたものである。
【0159】
ここで、コイル1~3は、磁気発生器121~123の平面状コイル30の測定結果を示し、コイル4~6は、磁界センサ141~143の平面状コイル30の測定結果を示している。
【0160】
また、この実験例では、各平面状コイル58kに流れる1~2[MHz]の校正用電気信号(交流電流)と、各コイル1~6に検出される誘導電流(出力電流)との比を前記ゲインとして、ネットワークアナライザ20からPC本体26に出力したものである。
【0161】
この場合、各コイル1~6は、平面状コイル58kに流れる校正用電流の周波数が1.3[MHz]~1.5[MHz]であると、前記ゲインが最大となると共に、前記ゲインにノイズ成分が含まれていないことが分かる。これは、平面状コイル58k(図2参照)とコンデンサ60とによる共振周波数や、平面状コイル30とコンデンサ37とによる共振周波数を、1.3[MHz]~1.5[MHz]程度の値に設定しているためである。前記校正用電流の周波数が前記共振周波数であると、共振によって校正用コイル装置50や各コイル1~6に含まれるリアクタンス分が消滅してインピーダンスが低下し、ゲインが増加するためである。
【0162】
図15は、上顎22に対して下顎24が下方向に開いた際における、1つの磁気発生器122と1つの磁界センサ142との間のゲインを示すものであり、上顎22に対する下顎24の角度を1[°]ずつ開いたときのゲインをプロットしたものである。
【0163】
図15では、磁気発生器122の平面状コイル30に交流電流を流す一方、前記交流電流による磁束を磁界センサ142の平面状コイル30で検出したものである。ここで、下顎24の角度が同一の値である場合、磁気発生器122の平面状コイル30を流れる前記交流電流の周波数が高い程、ゲインが増加している。これにより、前記交流電流の周波数を高くする程、磁界センサ142の感度が増加することが分かる。
【0164】
図15の結果より、ネットワークアナライザ20の確度が、例えば、0.1[dB]であり、上顎22に対して下顎24を下方向に1[°]開いた際の磁界センサ142の移動距離が1.616[mm]であり、下顎24を下方向に1[°]開いた際のゲインの変化分をΔS[dB]とすれば、磁界センサ142の位置分解能は、下記の(22)式で表される。
【0165】
(位置分解能)=0.1×1.616/ΔS[mm] …(22)
図16は、図15に示すゲインを(22)式に代入して求めた磁界センサ142の位置分解能の算出結果の一例を示すものであり、磁気発生器122の平面状コイル30に流れる校正用交流電流の周波数が500[MHz]である場合を示す。
【0166】
この算出結果より、下顎24の開いた角度が0~30[°]の範囲内であれば、磁界センサ142の位置分解能の最高値が8[μm]であり、最低値が約100[μm]であり、3次元顎運動測定装置10が100[μm]以内の位置精度を達成できることが容易に諒解できる。
【0167】
このように、本実施の形態では、上顎22及び下顎24のうちの一方に複数の磁気発生器12iを配置し、他方に複数の磁界センサ14jを配置した状態で、1つの磁気発生器12iから計測用の磁界を発生させて、1つの磁界センサ14jで前記計測用の磁界による磁束密度を検出できるようにすれば、前記計測用の磁界を発生した際に、1つの磁気発生器12iと1つの磁界センサ14jとの間で電磁結合が発生し、この磁界センサ14jにおいて、電磁誘導作用で前記磁束密度が電気信号(出力電流)に変換される。
【0168】
ここで、各磁気発生器12iと各磁界センサ14jとの間で、上述した電磁結合の組み合わせが少なくとも6通りであれば、検出される6つの前記計測用の磁界あるいは前記電気信号より、各磁気発生器12iに関する6自由度運動のパラメータを求めることができ、これらのパラメータから上顎22と下顎24との相対的運動を算出することができる。
【0169】
つまり、本実施の形態では、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの取付位置及び取付方向に関係なく、前記電磁結合の組み合わせを6通り以上にすることで、上顎22と下顎24との相対的運動を測定することができる。従って、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの取付位置及び取付方向によって、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置精度や、各磁界センサ14jの測定精度が低下することはない。
【0170】
また、上顎22と下顎24との間で、各磁気発生器12iと各磁界センサ14jとが配置されているので、従来の顎運動測定装置200(図17参照)と比較して、各磁気発生器12iと各磁界センサ14jとの間の距離は小さくなり、各磁界センサ14jで検出される磁界の位置勾配が大きくなる。これにより、各磁界センサ14jから出力される前記電気信号のレベルも大きくなり、各磁界センサ14jの測定精度を向上させることができる。
【0171】
この場合、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jは、上顎22における上顎歯の歯冠表面と、下顎24における下顎歯の歯冠表面とに直接取り付けられているので、上顎22と下顎24とが相対的運動を行うと、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jは、上顎22及び下顎24に一体となって移動する。
【0172】
そのため、上顎22及び下顎24が相対的運動を行っても、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの初期位置からの位置ずれは発生しない。従って、各磁界センサ14jの測定精度と、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置精度とを共に向上させることができる。
【0173】
上述したように、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jが上顎22及び下顎24に直接配置されているので、3次元顎運動測定装置10の小型化を容易に図ることができる。
【0174】
なお、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jを合計で6つ以上に増加させれば、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置精度をさらに向上させることができる。
【0175】
また、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jのコイルを平面状コイル30としているので、上顎22及び下顎24に平面状コイル30の取付が容易になると共に、上顎22及び下顎24が相対的運動を行っても、平面状コイル30の初期位置からの位置ずれをより一層抑制することができる。この場合、平面状コイル30は、印刷技術等で作製可能であるので、2軸コイルあるいは3軸コイルと比較して、高精度且つ低コストで作製することが可能である。
【0176】
また、本実施の形態では、各磁気発生器12iに交流電流を流して、平面状コイル30から交流磁界を発生するようにしている。この場合、各磁界センサ14jから出力される電気信号は周波数に比例するので、前記交流磁界の周波数が高い程、レベルの大きな電気信号が各磁界センサ14jから出力される。これにより、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置検出に関する位置分解能を向上させることができる。
【0177】
また、前記交流磁界の周波数を高くすることにより、例えば、商用周波数によるノイズ、地磁気の変動磁界によるノイズ、車両の移動によるノイズのような低周波ノイズを排除することができるので、前記低周波ノイズに対して強い3次元顎運動測定装置10を実現することができる。
【0178】
ここで、平面状コイル30、58kに対してコンデンサ37、60を並列又は直列に接続し、且つ平面状コイル30、58kとコンデンサ37、60との共振周波数を有する交流磁界を平面状コイル30、58kから発生させると、平面状コイル30、58kとコンデンサ37、60との共振によって、校正用コイル装置50及び各磁気発生器12i内部のリアクタンス分を除去することができ、各磁界センサ14jから出力される電気信号のレベルをさらに増加させることができる。これにより、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置分解能をさらに向上させることが可能となる。
【0179】
また、各校正用コイル装置50のコイルを平面状コイル58kとすることにより、上顎22又は下顎24に直接取り付ける際に、各平面状コイル58kはより確実に上顎22又は下顎24に固定され、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置精度をさらに向上させることができる。さらに、平面状コイル58kは、自然な顎運動を妨げないように配置することも可能である。
【0180】
また、本実施の形態では、被測定者16の口腔内部等の狭く光学的に隠蔽された箇所に、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jが取り付けられ、各磁気発生器12i及び前記各磁界センサ14jのコイルが平面状コイル30であり、且つこれらの平面状コイル30に接続される同軸ケーブル38についても直径の小さな同軸ケーブルである。その際、各磁気発生器12iはマーカコイルとして機能するので、被測定者16の顎運動を行う際の各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jの位置及び方向を、3次元顎運動測定装置10で計測することができる。これにより、例えば、歯科において顎運動の精密計測が必要な顎関節症患者等に対してこの3次元顎運動測定装置10を用いることができ、より正確で信頼性の高い顎運動測定を行うことが可能となる。
【0181】
また、被測定者16の口腔内には、各磁気発生器12i、各磁界センサ14j及び同軸ケーブル38のみが挿入されているので、被測定者16の負担が軽減され、特に、小児や高齢者に対する負担が大きく減少する。これにより、例えば、100[μm]以下の位置精度で6自由度の顎運動を計測することが可能となる。
【0182】
さらに、各磁気発生器12i及び各磁界センサ14jは共に被測定者16の口腔内に挿入されているので、3次元顎運動測定装置10の小型化と低コスト化とを図ることもできる。そのため、この3次元顎運動測定装置10を、例えば、歯科医院に導入することが容易となり、歯科医療全体のレベル向上を図ることができる。
【0183】
また、各磁気発生器12i、磁界センサ14j及び同軸ケーブル38を、各患者の顎運動を測定する度に交換するようにすれば、より衛生的な3次元顎運動測定装置10を実現することができる。
【0184】
なお、本発明の生体内3次元運動測定装置及びその方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明の生体内3次元運動測定装置及びその方法では、各磁気発生器と各磁界センサとの電磁結合の組み合わせが6通り以上となるので、検出される6つの計測用磁界あるいは電気信号より、前記各磁気発生器に関する6自由度運動のパラメータを求めることができ、これらのパラメータから生体内の少なくとも2つの物体の相対的な運動を算出することができる。そのため、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの取付位置及び取付方向に関係なく、前記2つの物体の相対的な運動を測定することができる。従って、前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの取り付けによる前記各磁気発生器及び前記各磁界センサの位置精度の低下や、前記各磁界センサの測定精度の低下を抑制することができる。
【0186】
また、前記一方の物体に前記各磁気発生器が取り付けられ、前記他方の物体に前記各磁界センサが取り付けられているので、従来の3次元顎運動測定装置と比較して、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとの間の距離は小さくなり、前記各磁界センサで検出される磁界の位置勾配が大きくなる。これにより、前記各磁界センサから出力される前記電気信号のレベルも大きくなり、前記各磁界センサの測定精度を向上させることができる。
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さらに、前記各磁気発生器と前記各磁界センサとが前記2つの物体に直接取り付けられているので、生体内3次元運動測定装置の小型化を容易に図ることができる。
図面
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