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明細書 :ロボットハンド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5122134号 (P5122134)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
発行日 平成25年1月16日(2013.1.16)
発明の名称または考案の名称 ロボットハンド
国際特許分類 B25J  15/08        (2006.01)
FI B25J 15/08 J
B25J 15/08 K
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願2006-511834 (P2006-511834)
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
国際出願番号 PCT/JP2005/006403
国際公開番号 WO2005/095066
国際公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
優先権出願番号 2004107754
優先日 平成16年3月31日(2004.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年2月7日(2008.2.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】501401113
【氏名又は名称】川渕 一郎
発明者または考案者 【氏名】川渕 一郎
【氏名】星野 聖
個別代理人の代理人 【識別番号】100091443、【弁理士】、【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
審査官 【審査官】金丸 治之
参考文献・文献 特開平02-279291(JP,A)
特開昭60-090685(JP,A)
調査した分野 B25J 15/08
特許請求の範囲 【請求項1】
複数本の指に相当する複数本の指機構を備え、
前記複数本の指機構が、それぞれ複数の骨部によって構成されているロボットハンドであって、
前記複数の骨部は、指先から順に末節骨部、該末節骨部に隣接する中節骨部、該中節骨部に隣接する基節骨部及び該基節骨部に隣接する中手骨部からなり、
前記中節骨部に対して前記末節骨部が真っ直ぐに伸びた状態から前記末節骨部を内側方向と外側方向の二方向に所定の角度範囲内で独立して回動させる指先回転機構を備え、
前記指先回転機構は、前記末節骨部と前記中節骨部との間の接続部に屈伸を行うための1自由度のジョイントを有し、さらに前記ジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる駆動機構を有し、
前記ジョイント及び前記駆動機構が、前記中節骨部に対して前記末節骨部が真っ直ぐに伸びた状態から前記末節骨部を内側方向と外側方向の二方向に所定の角度範囲内で回動させることができるように構成されており、
前記駆動機構は、前記中節骨部に内蔵されて前記ジョイントを回転させる駆動力を発生するジョイント駆動用のモータと、前記モータの回転力を減速して前記ジョイントに伝達する減速機とから構成され、
前記複数本の指機構のうち人間の親指に相当する第1の指機構を、該第1の指機構を構成する前記複数の骨部が並ぶ方向に延びる中心線を中心にして所定の角度回転させる回転駆動機構を備え、前記第1の指機構の指腹部分と他の指機構の指腹部分とが正対するように構成し、
前記第1の指機構の前記基節骨部は、前記基節骨部及び前記中手骨部が並ぶ方向に分割された第1の基節骨部半部と第2の基節骨部半部とから構成され、
前記第1の基節骨部半部が前記中手骨部側に位置し、前記第2の基節骨部半部が前記中節骨部側に位置し、
前記第1の基節骨部半部と前記第2の基節骨部半部との間には、前記第1の基節骨部半部の中心と前記第2の基節骨部半部の中心とを通る中心線を中心にして前記第1の基節骨部半部に対して前記第2の基節骨部半部を所定の角度範囲内で回転させることを可能にする1自由度の回転ジョイントを有し、
さらに前記回転ジョイントに前記所定の角度範囲内の回転運動を行わせる回転ジョイント駆動用の駆動機構を有し、
前記回転ジョイントと前記回転ジョイント駆動用の駆動機構とにより前記回転駆動機構が構成されていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記減速機は、前記モータの出力軸に固定された第1のピニオン歯車と、前記中節骨部に回転自在に支持された回転軸に固定されて前記第1のピニオン歯車と噛み合う第1の平歯車と、前記回転軸に固定された第2のピニオン歯車と、前記ジョイントの回転中心を回転中心とするように前記末節骨部に対して固定されて前記第2のピニオン歯車と噛み合う第2の平歯車とからなることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記末節骨部及び前記中節骨部は、それぞれ幅方向に対向する第1及び第2の側壁部を有し、
前記ジョイントは前記末節骨部の前記第1及び第2の側壁部と前記中節骨部の前記第1及び第2の側壁部とを回転可能に接続するように設けられ、
前記モータは前記幅方向に前記出力軸の軸線が延びるように前記中節骨部の前記第1及び第2の側壁部間に配置され、
前記第1の平歯車を支持する前記回転軸の軸線及び前記第2の平歯車の回転中心線が、ともに前記出力軸の軸線と平行になり、
前記第1の平歯車が前記モータの前記出力軸が突出する方向に位置する前記中節骨部の前記第1の側壁部に沿い、前記第2の平歯車が前記末節骨部の前記第1の側壁部に沿うようにそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記モータの前記出力軸は前記中節骨部の前記第1の側壁部に回転自在に支持され、前記モータのハウジングは前記中節骨部の前記第2の側壁部に支持され、
前記回転軸が前記中節骨部の前記第1の側壁部に支持され、
前記第2の平歯車が前記末節骨部の前記第1の側壁部に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記中節骨部の前記第2の側壁部には、前記末節骨部の回転位置を検出する回転位置検出センサが取り付けられている請求項に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記末節骨部の腹部の外表面には接触圧力分布を計測するための圧力センサが装着されている請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項7】
人間の第1指乃至第5指に相当する5本の指機構と、前記5本の指機構を支持する人間の掌に相当する掌部とを備え、
前記5本の指機構が、それぞれ複数の骨部によって構成されているロボットハンドであって、
前記5本の指機構が、それぞれ指先から順にそれぞれ末節骨部、中節骨部、基節骨部及び中手骨部を備え、少なくとも前記末節骨部と前記中節骨部との間の接続部に屈伸を行うための1自由度のジョイントを有し、さらに前記ジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる駆動機構を有し、
前記駆動機構は、前記中節骨部に内蔵されて前記ジョイントを回転させる駆動力を発生するジョイント駆動用のモータと、前記モータの回転力を減速して前記ジョイントに伝達する減速機とから構成され、
前記ジョイント及び前記駆動機構は、前記中節骨部に対して前記末節骨部が真っ直ぐに伸びた状態から前記末節骨部を内側方向と外側方向の二方向に所定の角度範囲内で独立して回動させることができるように構成され、
前記末節骨部を前記中節骨部に対して外側に反らせた状態で、前記末節骨部の指腹部分を、つまむ対象物の面に広く押し当てることができる構造とし、
前記5本の指機構のうち前記第1指に相当する第1の指機構を、該第1の指機構を構成する前記複数の骨部が並ぶ方向に延びる中心線を中心にして所定の角度回転させる回転駆動機構を備え、前記第1の指機構の指腹部分と他の指機構の指腹部分とが正対するように構成し、
前記第1の指機構の前記基節骨部は、前記基節骨部及び前記中手骨部が並ぶ方向に分割された第1の基節骨部半部と第2の基節骨部半部とから構成され、
前記第1の基節骨部半部が前記中手骨部側に位置し、前記第2の基節骨部半部が前記中節骨部側に位置し、
前記第1の基節骨部半部と前記第2の基節骨部半部との間には、前記第1の基節骨部半部の中心と前記第2の基節骨部半部の中心とを通る中心線を中心にして前記第1の基節骨部半部に対して前記第2の基節骨部半部を所定の角度範囲内で回転させることを可能にする1自由度の回転ジョイントを有し、
さらに前記回転ジョイントに前記所定の角度範囲内の回転運動を行わせる回転ジョイント駆動用の駆動機構を有し、
前記回転ジョイントと前記回転ジョイント駆動用の駆動機構とにより前記回転駆動機構が構成されていることを特徴とするロボットハンド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の指に相当する複数本の指機構を備えたロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003-117873号公報に示されたロボットハンドでは、各指機構の自由度を適切に選択することにより、人間の指に近い動作を実現している。その結果、小型軽量なロボットハンドでありながら、重いものでもしっかりと把持することが可能になった。

【特許文献1】特開2003-117873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のロボットハンドは、重いものをしっかりと把持する機能を発揮することはできても、小さい物、薄い物、および壊れ易い物を優しく(柔らかく)安定につまむ機能までは発揮することができない。なぜなら、ロボットハンドの駆動用のアクチュエータが現在のところ電動モータのみであるため、ロボットハンドを人間に近い寸法と形状にしようとすると、どうしてもロボットハンド内に内蔵可能なモータおよび減速機の数が限られるため、薄い物等を優しくつまむためにロボットハンドに期待される運動の自由度が実現困難であるからである。また、各指機構の運動の自由度を増やすことによりロボットハンドが薄いもの等を優しく安定につまむことができるようにするためには、理論的にロボットハンドに搭載するモータを小さくしてできるだけ多くのモータを搭載すればよい。しかしながら小さなモータから大きなトルクを引き出すためには減速機の減速比を大きくしなければならないから、駆動機構のガタや摩擦損失が大きくなって、ロボットハンドの力制御性が悪くなる。
【0004】
本発明の目的は、小さい物、薄い物、壊れ易い物等を優しく安定につまむことができるロボットハンドを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、各指機構の運動の自由度が少なくかつ搭載されるモータ及び減速機の数が少なくても、薄い物等を優しく安定につまむことができるロボットハンドを提供することにある。
【0006】
本発明の更に他の目的は、簡単な構造の減速機を用いて上記目的を達成できるロボットハンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が改良の対象とするロボットハンドは、複数本の指に相当する複数本の指機構を備え、この複数本の指機構が、それぞれ末節骨部(distal phalange section)及び該末節骨部に隣接する中節骨部(middle phalange section)を含む複数の骨部によって構成されているロボットハンドである。本発明のロボットハンドは、中節骨部に対して末節骨部が真っ直ぐに伸びた状態から末節骨部を内側方向と外側方向の二方向に所定の角度範囲内で回動させる指先回転機構を備えている。このような構成にすると、末節骨部を中節骨部に対して外側に反らせながら物をつまむことが可能になるため、末節骨部の指腹部分をつまむ対象物の面に広く押し当てて、その物を安定につまむことが可能なる。
【0008】
指先回転機構は、末節骨部と中節骨部との間の接続部に屈伸を行わせるための1自由度のジョイントを有し、さらにジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる駆動機構を有している。そしてこれらジョイント及び駆動機構が、中節骨部に対して末節骨部が真っ直ぐに伸びた状態から末節骨部を内側方向と外側方向の二方向に所定の角度範囲内で回動させることができるように構成されている。このような構成にすると、末節骨部を反らせる量を調節することができるため、物をつまむ際に、末節骨部の指腹部分と中節骨部の指腹部分の両方を物に接触させた状態で物に加える力を分散させて物をつまむことができる。その結果、つまむ物に加える力を従来よりも小さくしたり、分散させることが可能になり、従来ではつまむことができなかった小さい物、薄い物、壊れ易い物を安定してつまむことができる。
【0009】
また前述の駆動機構は、中節骨部に内蔵されてジョイントを回転させる駆動力を発生するジョイント駆動用のモータと、モータの回転力を減速してジョイントに伝達する減速機とから構成することができる。末節骨部に求められる回転力は小さく、このような回転力は、モータと減速機からなる駆動機構により得ることができる。またこの駆動機構は小形に構成することができるので、駆動機構の中節骨部への内蔵が容易である。またこの駆動機構は、指先に微小な力を与える力制御を簡単に行える。
【0010】
特に本発明のロボットハンドを、人間の第1指乃至第5指に相当する5本の指機構と、その5本の指機構を支持する人間の掌に相当する掌部とを備え、第1指乃至第5指に相当する5本の指機構が、指先から順にそれぞれ末節骨部(distal phalange section)、中節骨部(middle phalange section)、基節骨部(proximal phalange section)を備え、少なくとも末節骨部と中節骨部との間の接続部に屈伸を行わせるための1自由度のジョイントを有し、このジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる駆動機構を有するように構成してもよい。このような構成にすると、対象を人型のロボットハンドとした場合でも、末節骨部を中節骨部に対して外側に反らせながら物をつまむことが可能になるため、つまむ対象物の面に末節骨部の指腹部分を広く押し当てて、それを安定につまむことが可能な人型のロボットハンドを実現することができる。
【0011】
駆動機構で使用可能な減速機としては、種々の構造の減速機を用いることができる。しかしながら特に減速機をモータの出力軸に固定された第1のピニオン歯車と、中節骨部に回転自在に支持された回転軸に固定されて第1のピニオン歯車と噛み合う第1の平歯車と、回転軸に固定された第2のピニオン歯車と、ジョイントの回転中心を回転中心とするように末節骨部に対して固定されて第2のピニオン歯車と噛み合う第2の平歯車とから構成するのが好ましい。このようにすると、減速機をコンパクトに構成することができできる。しかも、駆動機構内の摩擦損失が小さいから、末節骨部から物に加える力を従来よりも微小な範囲で調節することができる。また簡単な構造で高い減速比が得られるため、小さなモータでも高いトルクが得られる。その結果、指先に微小な力を正確に与える力制御が可能となる。
【0012】
末節骨部及び中節骨部の構造は任意である。例えば、末節骨部及び中節骨部が、それぞれ幅方向に対向する第1及び第2の側壁部を有し、ジョイントが末節骨部の第1及び第2の側壁部と中節骨部の第1及び第2の側壁部とを回転可能に接続するように設けられている場合には、駆動機構を次のように構成するのが好ましい。まずモータを幅方向に出力軸の軸線が延びるように中節骨部の第1及び第2の側壁部間に配置する。そして第1の平歯車を支持する回転軸の軸線及び第2の平歯車の回転中心線を、ともに出力軸の軸線と平行にする。その上で、第1の平歯車をモータの出力軸が突出する方向に位置する中節骨部の第1の側壁部に沿うように配置し、第2の平歯車を末節骨部の第1の側壁部に沿うように配置する。このように構成すると、モータをロボットハンド内にコンパクトに収納できるだけでなく、第1及び第2の平歯車をロボットハンドの外部に嵩張ることなく設けることが可能になり、ロボットハンド内部の空間を利用して駆動機構を収納することができて、ロボットハンドの小型化を図ることができる。
【0013】
またモータの出力軸を中節骨部の第1の側壁部に回転自在に支持し、モータのハウジングを中節骨部の第2の側壁部に支持し、回転軸を中節骨部の第1の側壁部に支持し、第2の平歯車を末節骨部の第1の側壁部に固定するようにしてもよい。このようにするとモータの固定に特別な部品を用意する必要がなくなり、しかも減速機が占めるスペースをより小さいものとすることができる。
【0014】
また中節骨部の第2の側壁部に、末節骨部の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばポテンショメータ)を取り付けてもよい。これにより、中節骨部に対する末節骨部の回転角度を測定することができ、対象物のつまみ加減の制御が容易になる。
【0015】
さらに末節骨部の腹部の外表面に接触圧力分布を計測するための圧力センサを装着してもよい。このようにするとロボットハンドが対象物をつまむ際の末節骨部から物に加わる圧力を測定することができるため、測定した圧力に応じて指先のつまみ加減を制御することが可能になる。
【0016】
本発明のロボットハンドにおいて、複数本の指機構のうち人間の親指に相当する第1の指機構を、該第1の指機構を構成する複数の骨部が並ぶ方向に延びる中心線を中心にして所定の角度回転させる回転駆動機構を備え、第1の指機構と他の指機構とが正対するように構成してもよい。このように構成すると、回転ジョイントを回転させて第1指の指機構の末節骨部または中節骨部の指腹部分を、他の指機構の末節骨部または中節骨部の指腹部分と正面から対向させることが可能になる。その結果、第1指の指機構と他の指機構とで物をつまむ際に、接触面積を増大させることができ、確実かつ安定に物をつまむことが可能になる。
【0017】
本発明のロボットハンドにおいて、前記第1の指機構は指先から順にそれぞれ末節骨部、中節骨部、基節骨部を備え、基節骨部を、基節骨部及び中手骨部が並ぶ方向に分割された第1の基節骨部半部と第2の基節骨部半部とから構成してもよい。第1の基節骨部半部は中手骨部側に位置し、第2の基節骨部半部が中節骨部側に位置するように構成する。この場合において、第1の基節骨部半部と第2の基節骨部半部との間に、第1の基節骨部半部の中心と第2の基節骨部半部の中心とを通る中心線を中心にし第1の基節骨部半部に対して第2の基節骨部半部を所定の角度範囲内で回転させることを可能にする1自由度の回転ジョイントを設ける。そして、この回転ジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる回転ジョイント駆動用の駆動機構を設ける。このような構成にすると、第1指の指機構と他の指機構とで物をつまむ際に、より接触面積を増大させることができ、より確実かつ安定に物をつまむことが可能になる。
【0018】
本発明の、回転ジョイント駆動用の駆動機構は、第1の基節骨部半部に取り付けられて回転ジョイントを回転させる駆動力を発生する回転ジョイント駆動用のモータと、モータの回転力を減速して回転ジョイントに伝達する減速機とから構成することができる。そして減速機を、モータの出力軸に固定された第1のピニオン歯車と、第1の基節骨部半部に回転自在に支持された回転軸に固定されて第1のピニオン歯車と噛み合う第1の平歯車と、回転軸に固定された第2のピニオン歯車と、回転ジョイントの回転中心を回転中心とするように第2の基節骨部半部に対して固定されて第2のピニオン歯車と噛み合う第2の平歯車とから構成することができる。このような構成にすると、少ない部品点数で、駆動機構を構成することができて、しかも小型のモータを用いて必要なトルクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本発明の実施の形態であるロボットハンドの外観を示す正面図であり、(B)は図1(A)の平面図であり、(C)は図1(A)の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるロボットハンドのジョイントの配置状態を示す斜視図である。
【図3】(A)は第2指の斜視図であり、(B)は図3(A)の内部機構を省略した分解図である。
【図4】(A)は第2指の末節骨部と中節骨部とを分解した斜視図であり、(B)は減速機を含む駆動機構による第2指の末節骨部の動きを示す図であり、(C)は駆動機構を破線で示した第2指の末節骨部と中節骨部の平面図であり、(D)は第2指の駆動機構と末節骨部との関係を示す図である。
【図5】第1指の構成を示す分解斜視図である。
【図6】(A)は第1指の斜視図であり、(B)は図6(A)の分解斜視図である。
【図7】第1指の側面の一部を断面図で示した第1指の側面図である。
【図8】(A)~(C)は本発明のロボットハンドが把持対象物を把持する状態を示す図である。
【図9】(A)~(C)は本発明のロボットハンドが把持対象物を把持する状態を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を人型のロボットハンドに適用した実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1(A)は実施の形態のロボットハンドの外観を示す正面図であり、図1(B)はその平面図であり、図1(C)はその側面図である。また図2は図1に示したロボットハンドの屈伸部に設ける全20個の回転ジョイントの配置、および呼び名を示す図である。なお以下の説明では、人間の第1指~第5指に相当する5本の指機構を説明の便宜上、第1指~第5指として説明する。図1に示すロボットハンド1は、第1指~第5指(3a~3e)を有しており、ロボットハンドの各指には図2に示すように第1指に対してジョイントJ1,0 ~J1,4、第2指に対してジョイントJ2,0 ~J2,3 、第3指に対してジョイントJ3,1~J3,3 、第4指に対してジョイントJ4,0 ~J4,3 、第5指に対してジョイントJ5,0 ~J5,3 が配置され、これらのジョイント部で各指が屈伸運動、把持対象物を優しく(柔らかく)安定につまむ運動(以下、つまみ運動という)(詳細は後述する)あるいは指の間の開閉運動(以下、アブダクション運動という)をすることが可能な構成となっている。なお、第3指(後述の基節骨部)のジョイント部は、左右方向に回転させる必要がないため、図2に示すようにアブダクション用のジョイントJ3,0 は省略されている。なお、上述の屈伸運動及びアブダクション運動については、特開2003-117873号公報に詳しく説明されているので説明を省略する。
【0021】
本発明の実施の形態について説明する前にそれを実現するための第2指~第5指の指機構について説明する。なお、第1指は他の4指と大きく異なる構造を持ち、第1指は他の4指と異なる運動をするので、その構造の説明は後述する。
【0022】
第2指~第5指は、それぞれ四つの骨部により構成されており、各関節部で屈伸できる構成となっている。図3(A)は代表例として第2指の斜視図を示し、図3(B)はその内部機構を省略したその分解図を示している。この図に示すように、第2指は指先から順に、末節骨部7(distal phalange section)、中節骨部9(middle phalange section)、基節骨部11(proximal phalange section)、中手骨部13(metacarpal section)を備えている。なお、第2指~第5指においてそれぞれの中手骨部13の形状が若干異なるが、特に説明を大きく変えなければならない差異ではないので、以後は第2指を代表に取り上げてその機構を説明し、他の第3指~第5指の骨部機構については重複する部分の説明は省略する。
【0023】
末節骨部7と中節骨部9とを接続するジョイントJ2,3 における指関節の駆動機構を図3(A)、図3(B)、図4(A)及び図4(B)を参照して説明する。図4(A)は第2指の末節骨部と中節骨部とを分解した斜視図であり、図4(B)は減速機を含む駆動機構による末節骨部の動きを説明するために用いる図であり、図4(C)は駆動機構を破線で示した第2指の末節骨部と中節骨部の平面図であり、図4(D)は第2指の末節骨部の駆動機構を説明するために用いる図である。
【0024】
本実施の形態では、末節骨部7と中節骨部9との間の接続部に屈伸を行うための1自由度のジョイントJ2,3 を有しており、このジョイントに所定の角度範囲内の回転運動を行わせる駆動機構14を有している。この駆動機構14は中節骨部9に内蔵されてジョイントJ2,3を回転させる駆動力を発生するジョイント駆動用のモータ15と、モータ15の回転力を減速してジョイントJ2,3 に伝達する減速機17とから構成されている。モータ15としては、指先の微小な力制御を実現する十分な性能を得る為に、小形・軽量、正逆転可能かつトルク制御の容易なDCモータを採用している。
【0025】
ジョイントJ2,3 及び駆動機構14は、中節骨部9に対して末節骨部7が真っ直ぐに伸びた状態から末節骨部7を内側方向[(図4(B)に矢印で示したAの方向]と外側方向[図4(B)に矢印で示したBの方向]の二方向に所定の角度範囲内で回動させることができるように構成されている。なお、本実施の形態では、この状態で末節骨部7が外側に約40度回転し、内側に約90度回転するようになっている。このような構成にすると、末節骨部7と中節骨部9との間の接続部の回動を独立して制御することができ、指先に微小な力を与える力制御ができる。
【0026】
本実施の形態では、特に減速機17がモータ15の出力軸15aに固定された第1のピニオン歯車19と、中節骨部9に回転自在に支持された回転軸23に固定されて第1のピニオン歯車19と噛み合う第1の平歯車21と、回転軸23に固定された第2のピニオン歯車25と、ジョイントJ2,3の回転中心C1を回転中心とするように末節骨部7に対して固定されて第2のピニオン歯車25と噛み合う第2の平歯車27とから構成されている。第1のピニオン歯車19及び第2のピニオン歯車25は、第1の平歯車21及び第2の平歯車27よりも歯数が大幅に少ない極力小さな歯車となっている。これらの歯数の構成を採用することにより、減速比を高くすることができ、しかも効率よく減速することができる。そのため本実施の形態を採用すると、簡単な構造で高い減速比が得られるため、1台の小形のモータでも高いトルクが得られる。その結果、指先に微小な力を効率よく与える力制御ができるため、人間により近い指先の運動を実現することができる。
【0027】
本実施の形態においては、末節骨部7及び中節骨部9が、それぞれ幅方向に対向する第1及び第2の側壁部31及び35並びに33及び37を有し、ジョイントJ2,3は末節骨部7の第1及び第2の側壁部35及び37と中節骨部9の第1及び第2の側壁部31及び33とを回転可能に接続するように設けられている。モータ15は幅方向に出力軸15aの軸線が延びるように中節骨部9の第1及び第2の側壁部31及び33間に配置され、第1の平歯車21を支持する回転軸23の軸線及び第2の平歯車27の回転中心線CL1が、ともに出力軸15aの軸線と平行になるように、第1の平歯車21及び第2の平歯車27が配置されている。第1の平歯車21は、モータ15の出力軸15aが突出する方向に位置する中節骨部9の第1の側壁部31に沿って配置されている。また第2の平歯車27は末節骨部7の第1の側壁部35に沿うように配置されている。このように第1及び第2のピニオン歯車19及び27と第1及び第2の平歯車を第1及び第2の側壁部を沿うようにそれぞれ設けると、中節骨部9及び末節骨部7内のスペースが広くなるためモータ15を大きくすることができる。本実施の形態では、第2の平歯車27が第1の側壁部35の外側に配置されている。しかしながら中節骨部9及び末節骨部7の第1の側壁部31,35の外側に第1及び第2のピニオン歯車19及び25と第1及び第2の平歯車21及び27とをそれぞれ配置しているが、中節骨部9及び末節骨部7内にスペースが確保できるのであれば末節骨部7の第1の側壁部35の内側に第2の平歯車27を配置してもよいは勿論である。このような実施の形態を採用することにより、モータ15をロボットハンド内にコンパクトに収納できるだけでなく、ロボットハンドに対して減速機17を嵩張ることなく設けることができるため、ロボットハンド内部のモータをはじめセンサや配線のために利用可能な空間が確保できロボットハンドの小型化を図ることができる。
【0028】
より具体的には、モータ15の出力軸15aが中節骨部9の第1の側壁部31に回転自在に支持されている。またモータ15のハウジングは中節骨部9の第2の側壁部33に支持されている。さらに回転軸23が中節骨部9の第1の側壁部31に支持され、第2の平歯車27が末節骨部7の第1の側壁部35に固定されている。
【0029】
また、本実施の形態では、図4(A)に示すように、中節骨部9の第2の側壁部33に、末節骨部7の回転位置を検出する回転位置検出センサ(ポテンショメータ)38が取り付けられている。回転位置検出センサ38は、中節骨部9に対する末節骨部7の回転角度を測定することができる。
【0030】
さらに、本実施の形態において、特に図示していないが、指先の部分にセンサ電装品等を内蔵するための格納空間が形成されている。そしてその部分に、末節骨部7の腹部の外表面における接触圧力分布を計測するための圧力センサの本体を装着してもよい。このようにすると、ロボットハンドが対象物をつまむ際の指先の圧力を測定することができるため、測定した圧力に応じて指先のつまみ加減を制御することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、ジョイントJ2,1 及びJ2,2 に伝達する駆動機構は、ジョイントJ2,3 の駆動機構と同じ機構になっているが、図示しないワイヤ・プーリからなる連動ワイヤ機構を用いることもできる。この連動ワイヤ機構については、特開2003-117873号公報に詳しく説明されているので省略する。
【0032】
次に第1指の指機構について図2、図5、図6(A)、図6(B)及び図7を参照して説明する。なおこれらの図においては図3及び図4に示した第2指の構成と同様の部分には、図3及び図4に示した符号に´を付した符号を付して詳細な説明を省略する。図5は第1指の骨部の構成を説明するために第1指を分解して示したロボットハンドの斜視図である。図6(A)は第1指のみの斜視図を示しており、図6(B)は図6(A)の分解斜視図である。図7は、第1指の基節骨部部分の駆動機構を説明するために第1指の基節骨部部分のみを断面図にした第1指の側面図である。第1指も第2指乃至第5指と同様に、図5に示すように四つの骨部により構成されている。指先から順に末節骨部7´、中節骨部9´、基節骨部11´(第1の基節骨部半部39,第2の基節骨部半部41)及び中手骨部13´から構成されている。第1指も第2指乃至第5指と同様に末節骨部と7´と中節骨部9´との間に末節骨部7´を独立に回転させるための駆動機構が配置されている。そして本実施の形態では、第1指の基節骨部11´が、基節骨部11´及び中手骨部13´が並ぶ方向に分割された第1の基節骨部半部39と第2の基節骨部半部41とから構成されている。第1の基節骨部半部39は中手骨部13´側に位置し、第2の基節骨部半部41が中節骨部9´側に位置している。第1の基節骨部半部39と第2の基節骨部半部41との間には、第1の基節骨部半部39の中心と第2の基節骨部半部41の中心とを通る回転中心線CL2を中心にして第1の基節骨部半部39に対して第2の基節骨部半部41を所定の角度範囲内で回転させることを可能にする1自由度の回転ジョイントJ1,4が設けられている。そして後述するモータ115と外装40の壁部40cとの間には、回転ジョイントJ1,4に所定の角度範囲内の回転運動を行わせる回転ジョイント駆動用の駆動機構114が設けられている。第1指を他の指(例えば第2指)と向かい合わせにする運動機能を実現するために人間の親指の根本が2自由度を有することと同様に、第1指の根元に二つのジョイントJ1,0 、J1,1 のそれぞれ独立の駆動機構を組み込む。即ち、第1指の中手骨部13´は、2自由度を実現するために中手骨部13´と掌部との接続部および中手骨部13´と基節骨部11´との接続部にそれぞれ独立の駆動機構を備えた第1ジョイントJ1,0、第2ジョイントJ1,1(図2)を備えている。そして本実施の形態では、ジョイントJ1,1、J1,2 の間に回転ジョイントJ1,4 が独立の駆動機構を備えて組み込まれている。この回転ジョイントJ1,4 は、ジョイントJ1,1、J1,2、J1,3 が直線上に並ぶ軸I(図2)または回転中心線CL2(図6,図7)を中心にして、第2の基節骨部半部41が第1の基節骨部半部39に対して回転可能に設けられている。このような構成を採用すると、第1指を第1と第2の基節骨部半部の間で回転させることにより、第1指の末節骨部の腹部とそれ以外の指の腹部とを正面から接触させることができるので、優しく安定に対象物をつまむことができる。
【0033】
回転ジョイント駆動用の駆動機構114は、具体的には、第1の基節骨部半部39に取り付けられて回転ジョイントJ1,4 を回転させる駆動力を発生する回転ジョイント駆動用のモータ115と、モータ115の回転力を減速して回転ジョイントに伝達する減速機117とから構成される。モータ115は、正逆転可能なものであり、第1の基節骨部半部39の外装40に取り付けられている。外装40は、モータ115の出力軸115a側の半部を収納するカバー40aを備えている。このカバー40aはモータ115の本体の周囲を囲む周壁部40bと出力軸115aと対向する壁部40cとから構成されている。モータ115の出力軸115aはケース40aの壁部40cに回転自在に支持されている。減速機117は、モータ115の出力軸115aに固定された第1のピニオン歯車119と、第1の基節骨部半部39の壁部40cに回転自在に支持された回転軸123に固定されて第1のピニオン歯車119と噛み合う第1の平歯車121と、回転軸129に固定された第2のピニオン歯車125と、回転ジョイントJ1,4 の回転中心C2を回転中心とするように第2の基節骨部半部41に対して固定されて第2のピニオン歯車125と噛み合う第2の平歯車127とから構成されている。第2の平歯車127は、第2の基節骨部半部41の外装42の一部を構成している。すなわち外装42から突出するフランジ部43の円弧状の外周部に歯が刻設されて、第2の平歯車127が構成されている。モータ115は、回転軸115aを時計回り及び反時計回りに回転することができる。また第2の平歯車については、本実施の形態のように第2の基節骨部半部41の一部として設けても良いが、別部品として第2の基節骨部半部41に固定しても良い。
【0034】
なお、第1指のジョイントJ1,4以外のジョイントJ1,0 ~J1,3のうち、ジョイントJ1,3の駆動機構に対しては上述の第2指のジョイントJ2,3 の駆動機構を採用し、ジョイントJ1,0 ~J1,2 の駆動機構に対しては従来の第1指の駆動機構を採用している。このような本実施の形態を採用することにより、第1指(ジョイントJ1,0 ~J1,3の駆動機構に対応する部分)においても第2指乃至第5指と同様のつまみ機構を付与することができるので、より人間に近いつまみ運動を実現することができる。
【0035】
また、回転ジョイントJ1,4 を加えることにより基節骨部11´が長くなったり大きくなったりすることをさけるために、従来から基節骨部11´に内蔵されているジョイントJ1,2 を駆動するためのモータ116の円筒形ケースを回転軸として応用することができる[図6(B)]。この場合、中心線CL2とモータ116の円筒形ケースの軸線が一致する。
【0036】
以上、本実施の形態の構成を説明したが、図8及び図9には、本実施の形態のロボットハンドを用いて実際に対象物を把持する場合のハンドの形状と実際につまんだ状態を示している。図8の例では、箱状の対象物を第1指と第3指乃至第5指でつまんでいる。第1指と第3指乃至第5指は、それぞれ末節骨部7が中節骨部9に対してそれぞれ外側に所定の角度回転している。第1指においては、第1の基節骨部半部39に対して第2の基節骨部半部41が回転して、第1指の末節骨部7´の腹部が第3指乃至第5指の末節骨部7の腹部と正面から対向している。その結果、末節骨部7,7´の腹部全体と中節骨部9,9´の腹部の一部の両方で対象物を挟んでいる。またこの例では基節骨部11の腹部の一部も対象物の角部と接触している。このような状態は末節骨部7,7´が中節骨部に対して外側に回動し得てはじめて得られるものである。
【0037】
また図9の例では、厚みが薄い対象物を第1指と第3指とでつまんでいる。この状態でも第1指及び第3指の末節骨部7,7´はそれぞれ中節骨部9,9´に対して外側に所定の角度回動している。また第1指では、第3指の腹部と第1指の腹部とが正面から対象物を間に挟んで対向するように、第1の基節骨部半部39を中心にして第2の基節骨部半部41が回転している。その結果、この例では、第1指及び第3指の末節骨部の腹部全体で厚みの薄い対象物を優しく安定につまむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、従来はつまむことができなかった小さい物、薄い物、壊れ易い物を優しく安定につまむことができる利点が得られる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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