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明細書 :光電変換素子及びそれを用いた太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5178007号 (P5178007)
登録日 平成25年1月18日(2013.1.18)
発行日 平成25年4月10日(2013.4.10)
発明の名称または考案の名称 光電変換素子及びそれを用いた太陽電池
国際特許分類 H01L  51/42        (2006.01)
C07C  15/20        (2006.01)
C07C  15/38        (2006.01)
C07C  69/76        (2006.01)
C07C 255/52        (2006.01)
C07D 209/58        (2006.01)
C07D 487/04        (2006.01)
FI H01L 31/04 D
C07C 15/20
C07C 15/38
C07C 69/76 A
C07C 255/52
C07D 209/58
C07D 487/04 137
請求項の数または発明の数 2
全頁数 25
出願番号 特願2006-514095 (P2006-514095)
出願日 平成17年5月31日(2005.5.31)
国際出願番号 PCT/JP2005/009933
国際公開番号 WO2005/119794
国際公開日 平成17年12月15日(2005.12.15)
優先権出願番号 2004163714
優先日 平成16年6月1日(2004.6.1)
優先権主張国 日本国(JP)
審判番号 不服 2012-006071(P2012-006071/J1)
審査請求日 平成20年4月14日(2008.4.14)
審判請求日 平成24年4月5日(2012.4.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】598051211
【氏名又は名称】高橋 保
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】武捨 清
個別代理人の代理人 【識別番号】100076532、【弁理士】、【氏名又は名称】羽鳥 修
参考文献・文献 国際公開第03/016599号(WO,A1)
国際公開第01/064611号(WO,A1)
「Efficient organic photovoltaic diodes based on doped pentacene」 Nature Vol.403(2000)p.408-410
調査した分野 H01L 31/04-31/078
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一方が透光性である2個の電極間に、有機半導体を含む層を配置してなる光電変換素子であって、有機半導体を含む層に、下記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料の一種以上を含有し、前記光電変換素子が、p型有機半導体を含む層とn型有機半導体を含む層とを接合させたpn接合型光電変換素子であり、n型有機半導体を含む層が、前記一般式(I)中のA1 、A2 、A3 及びA4 のいずれかに電子吸引基を有するポリアセン誘導体からなるn型有機半導体化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【化1】
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[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40の炭化水素基;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~40のアリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;又は置換基を有していてもよいシリル基であり、
1 、A2 、A3 及びA4 は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素原子数2~40のアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数7~40のアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、又は、A1 及びA2 、A3 及びA4 は、互いに架橋して、式-C(=O)-B-C(=O)-で示される環を形成してもよく(式中、Bは酸素原子又は式-N(B1 )-で示される基であり、B1 は、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)、
nは、1以上の整数である。]
【請求項2】
請求項記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により起電力を発生する光電変換素子用材料及び該材料を使用した光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料による地球温暖化や人口の増加に伴うエネルギー需要の増大は、人類の存亡に関わる大きな問題と成っている。太陽光は言うまでもなく、太古以来現在まで、地球の環境を育み、人類を含む全ての生物のエネルギー源となってきた。そこで、最近では、無限でかつ有害物質を発生しないクリーンなエネルギー源として太陽光を利用することが検討されている。なかでも、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子、所謂太陽電池が有力な技術手段として注目されている。
【0003】
太陽電池の起電力材料としては、単結晶、多結晶、アモルファスのシリコンやCuInSe、GaAs、CdSなどの化合物からなる無機半導体が使用されている。これらの無機半導体を用いた太陽電池は10%から20%と比較的高いエネルギー変換効率を示すため、遠隔地用の電源や携帯用小型電子機器の補助的な電源として広く用いられている。しかし、冒頭で述べたように、化石燃料の消費を抑えて地球環境の悪化を防止するという目的に照らすと、現時点では無機半導体を用いた太陽電池は十分な効果を上げているとは言い難い。即ち、これらの無機半導体を用いた太陽電池は、プラズマCVD法や高温結晶成長プロセスにより製造されており、素子の作製に多くのエネルギーを必要とするためである。また、Cd、As、Seなどの環境に有害な影響を及ぼしかねない成分を含んでおり、素子の廃棄による環境破壊の懸念もある。
【0004】
この点を改善しえる光起電力材料として、有機半導体を用いた有機太陽電池が提案されている。有機半導体は、多様性があること、毒性が低いこと、加工性・生産性がよくコストダウンが可能であること、可撓性を有するためフレキシブル化が容易であること、等の優れた特長を有する。これにより、実用化に向けた有機太陽電池の研究が盛んである。
有機太陽電池は半導体型と色素増感型に大別でき、半導体型は、光生成した電荷ペアを解離させる機構の違いによってショットキー型とpn接合型の2種類に分けられる。ショットキー型は、有機半導体と金属との接合面に誘起されるショットキー障壁による内部電界を利用する(非特許文献1参照) 。かかるショットキー型太陽電池は、比較的大きな開放電圧(Voc) を得られるという特長を有する反面、照射光量が増加すると光電変換効率が低下しやすいという課題を有している。また、一般にショットキー型太陽電池は、薄膜を各種蒸着法により形成する必要があるため、製造が容易であるとはいえない。
【0005】
pn接合型太陽電池は、p型半導体とn型半導体の接合面に発生する内部電界を利用するもので、両半導体に有機物を用いる有機/有機pn接合型と、どちらかの半導体に無機物を用いる有機/無機pn接合型等がある。かかるpn接合型太陽電池は、比較的高い変換効率が得られているが十分ではなく(非特許文献2参照)、ショットキー型太陽電池と同様に、蒸着法により成膜する必要のある場合が多く、製造性向上の妨げとなっている。
【0006】
一方、1991年にスイスのグレーツエル(Gratzel) らが、表面積の大きい多孔質二酸化チタン薄膜の表面にルテニウムビピリジンカルボン酸色素を吸収させた電極を用いた色素増感型太陽電池を報告し、大きな注目を浴びた(非特許文献3参照)。しかし、電解液及びヨウ素を使用することの問題点が指摘され、実用化はなかなか進んでいない。この電解液部分を固体化できれば、実用化に向けて大きく前進することは明らかである。固体化には種々の方法が試みられているが、電解液を用いる湿式系に比べて低い光電変換効率に止まっている。例えば、導電性高分子であるポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等について検討がなされているが、いずれも変換効率は低い(非特許文献4参照)。このように、電解液部分を正孔輸送層として作用するp型半導体層で置き換えることにより固体化することは、n型半導体電極が多孔体であること、有機色素層があることを除けば、pn接合型太陽電池に似ている構造と考えられる。
【0007】
更に、太陽電池に有用とされる有機半導体化合物は、結晶形によって異なる特性、例えば光電特性(起電力特性) を有し、特定の結晶形においてのみ優れた光電特性を示すことが知られている。蒸着法による成膜工程で結晶形を選択する方法として、基板温度制御により改善が試みられているが、高い光電特性を有する所望の結晶形からなる半導体層を得るのは難しい。
【0008】

【非特許文献1】R. O. Loutfy et al., J. Chem. Phys. (1979), Vol. 71, p1211
【非特許文献2】C. W. Tang, Appl. Phys. Lett. 48(2), 13 January 1986, p183
【非特許文献3】B. Oregan, M. Gratzel, Nature, 737 (1991)
【非特許文献4】K. Murakoshi, R. Kogure, Y. Wada, and S. Yanagida, ChemistryLetters 1997, p471
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、加工性・生産性がよく、毒性が低く、フレキシブル化が容易で、光電変換効率が良好な光電変換素子用材料、及び該材料を使用した光電変換素子を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、光電変換素子に関して鋭意検討を重ねた結果、ポリアセン誘導体を光電変換素子に使用することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料を提供するものである。
【0011】
【化2】
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【0012】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40の炭化水素基;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~40のアリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;又は置換基を有していてもよいシリル基であり、
1 、A2 、A3 及びA4 は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40の炭化水素基;置換基を有していてもよい炭素原子数1~40のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~40のアリールオキシ基;置換基を有していてもよい炭素原子数7~40のアルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~40のアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数7~40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2 );ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、又は、A1 及びA2 、A3 及びA4 は、互いに架橋して、式-C(=O)-B-C(=O)-で示される環を形成してもよく(式中、Bは、酸素原子又は式-N(B1)-で示される基であり、B1 は、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)、また、A3 及びA4 は、互いに架橋して炭素原子数4~40の飽和又は不飽和環を形成してもよく、前記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく;
nは、1以上の整数である。]
【0013】
また本発明は、特に好ましい光電変換素子用材料として、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体が、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 及びA4 の少なくとも一つは水素原子ではないポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料を提供するものである。
【0014】
また本発明は、少なくとも一方が透光性である2個の電極間に、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料の一種以上を含有する層を有することを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
【0015】
また本発明は、少なくとも一方が透光性である2個の電極間に、有機半導体を含む層を配置してなる光電変換素子であって、有機半導体を含む層に、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料の一種以上を含有することを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
【0016】
また本発明は、少なくとも一方が透光性である2個の電極間に、色素を吸着した半導体微粒子含有層と、正孔輸送層として作用するp型有機半導体を配置して、光電エネルギー変換を行う光電変換素子であって、正孔輸送層が、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料の一種以上を含有することを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
【0017】
また本発明は、少なくとも一方が透光性である2個の電極間に、半導体層を配置してなり、有機半導体/金属接合、有機半導体/無機半導体接合、有機半導体/有機半導体接合によって、光電エネルギー変換を行う光電変換素子であって、有機半導体層が、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体からなる光電変換素子用材料の一種以上を含有することを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の光電変換素子用材料及び光電変換素子に関して詳細に説明する。
本発明の光電変換素子用材料は、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体である。
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示されるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される炭素原子数1~40の炭化水素基(以下、C1 ~C40炭化水素基と表記する。他の基についても同様に表記する。)は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよく、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。上記C1 ~C40炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよく、枝分かれでもよい。上記C1 ~C40炭化水素基には、C1 ~C40アルキル基、C2 ~C40アルケニル基、C2 ~C40アルキニル基、C3 ~C40アリル基、C4 ~C40アルキルジエニル基、C4 ~C40ポリエニル基、C6 ~C18アリール基、C6 ~C40アルキルアリール基、C6 ~C40アリールアルキル基、C4 ~C40シクロアルキル基、C4 ~C40シクロアルケニル基等が含まれる。
【0020】
上記のC1 ~C40アルキル基、C2 ~C40アルケニル基、C2 ~C40アルキニル基、C3 ~C40アリル基、C4 ~C40アルキルジエニル基、及び、C4 ~C40ポリエニル基は、それぞれ、C1 ~C20アルキル基、C2 ~C20アルケニル基、C2 ~C20アルキニル基、C3 ~C20アリル基、C4 ~C20アルキルジエニル基、及び、C4 ~C20ポリエニル基であることが好ましく、C1 ~C10アルキル基、C2 ~C10アルケニル基、C2 ~C10アルキニル基、C3 ~C10アリル基、C4 ~C10アルキルジエニル基、及び、C4 ~C10ポリエニル基であることがさらに好ましい。
上記C1 ~C40炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
【0021】
上記の置換基を有していてもよいC1 ~C40炭化水素基の好ましい例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ-n-ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ベンジル、2-フェノキシエチル、フェニル、2-トリル、3-トリル、4-トリル、ナフチル、ビフェニル、4-フェノキシフェニル、4-フルオロフェニル、3-カルボメトキシフェニル、4-カルボメトキシフェニル等がある。
【0022】
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される置換基を有していてもよいC1 ~C40アルコキシ基の好ましい例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、t-ブトキシ等がある。
【0023】
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される置換基を有していてもよいC6 ~C40アリールオキシ基の好ましい例としては、制限するわけではないが、フェノキシ、ナフトキシ、フェニルフェノキシ、4-メチルフェノキシ等がある。
【0024】
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される置換基を有していてもよいアミノ基の好ましい例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0025】
前記一般式(I)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される置換基を有していてもよいシリル基としては、式-Si(R12)(R13)(R14)で示される基[式中、R12、R13及びR14は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1 ~C40アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC6 ~C40アリールアルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC1 ~C40アルコキシ基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC6 ~C40アリールアルキルオキシ基である。]を挙げることができる。
上記の置換基を有していてもよいシリル基の好ましい例としては、制限されるわけではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0026】
上記のC1 ~C40炭化水素基、C1 ~C40アルコキシ基、C6 ~C40アリールオキシ基、アミノ基及びシリル基に導入されていてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
該置換基のハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記のC1 ~C40炭化水素基、C1 ~C40アルコキシ基、C6 ~C40アリールオキシ基等の水素原子が、フッ素原子で置換されている場合には、ポリアセン誘導体の溶解度が増大するので好ましい。
【0027】
前記一般式(I)中、A1 、A2 、A3 及びA4 で示される「ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1 ~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1 ~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6 ~C40アリールオキシ基」としては、前記したR1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 で示される「ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1 ~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1 ~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6 ~C40アリールオキシ基」と同様のものが挙げられる。
【0028】
前記一般式(I)中、A1 、A2 、A3 及びA4 で示される置換基を有していてもよいC7 ~C40アルキルアリールオキシ基の好ましい例としては、制限されるわけではないが、4-メチルフェノキシ、4-オクチルフェノキシ、4-ドデシルフェノキシ、4-オクタデシルフェノキシ等がある。
【0029】
前記一般式(I)中、A1 、A2 、A3 及びA4 で示される置換基を有していてもよいC2 ~C40アルコキシカルボニル基の好ましい例としては、制限されるわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等がある。
【0030】
前記一般式(I)中、A1 、A2 、A3 及びA4 で示される置換基を有していてもよいC7 ~C40アリールオキシカルボニル基の好ましい例としては、制限されるわけではないが、フェノキシカルボニル、4-メチルフェノキシカルボニル等がある。
【0031】
前記一般式(I)中、A1 、A2 、A3 及びA4 で示されるシアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2 );ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H)、イソシアノ基、イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基は、例えば、アルコキシカルボニル基から通常の有機化学の手法により変換することができる。また、カルバモイル基(-C(=O)NH2 )、ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)、ホルミル基(-C(=O)-H)等は、通常の有機化学の手法によりシアノ基、アルコキシカルボニル基と互いに変換することができる。
【0032】
前記一般式(I)中のA1 及びA2 、A3 及びA4 は、互いに架橋して、式-C(=O)-B-C(=O)-で示される環を形成してもよい(式中、Bは、酸素原子又は式-N(B1 )-で示される基であり、B1 は、水素原子、C1 ~C40炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)。
例えば、前記一般式(I)中のA1 、A2 、A3 及びA4 が、アルコキシカルボニル基である場合には、通常の有機化学の手法により、カルボキシル基に変換することができる。そして、隣接するカルボキシル基は、脱水することにより、無水カルボン酸、即ち、式-C(=O)-O-C(=O)-で示される環に変換することができる。同様にして、無水カルボン酸は、通常の有機化学の手法により、イミド、式-C(=O)-N(B1 )-C(=O)-で示される環(B1 は上記の意味を有する。)に変換することができる。
【0033】
また、前記一般式(I)中のA3 及びA4 は、互いに架橋して、C4 ~C40飽和又は不飽和環を形成してもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。A3 及びA4 が互いに架橋して形成する環は、4~16員環であることが好ましく、4~12員環であることが更に好ましい。この環は、芳香族環あってもよく、脂肪族環であってもよい。この環には、C1 ~C20炭化水素基、C1 ~C20アルコキシ基、C6 ~C20アリールオキシ基、アミノ基、水酸基又はシリル基等の置換基が導入されていてもよい。
上記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中、R11は水素原子又は炭化水素基である。)で中断されていてもよい。R11は、水素原子又はC1 ~C6 アルキル基であることが好ましく、水素原子又はC1 ~C4 アルキル基であることが更に好ましい。
【0034】
前記一般式(I)中のnは、1以上の整数であり、特に化合物の安定性と光電変換素子の寿命の点から、1又は2が好ましい。nが1及び2の場合には、それぞれ、4環式及び5環式、即ちナフタセン誘導体及びペンタセン誘導体となる。
また従来、縮合多環芳香族化合物は、該化合物中の芳香族環の数が増大するにつれて、溶解度が減少する傾向にあった。しかし、後述する製造方法によれば、縮合多環芳香族化合物中の芳香族環の数が増大しても、適切な様々な置換基を導入することにより、溶解度を維持することができる。従って、nは1~2に限られることなく、3以上の整数であってもよく、4以上の整数であってもよく、5以上の整数であってもよい。例えば、ベンゼン環が7つ縮合したポリアセン誘導体(nが4に相当する。)を容易に得ることができる。
【0035】
現在、無置換ペンタセンは、有機化合物の中でキャリア移動度が最も高いことが知られており、盛んに研究がなされているが、溶媒には不溶のため、薄膜作製は真空蒸着法が一般的で、スピンコート等の湿式法は不可能である。本発明の前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体のうち「R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 及びA4 の少なくとも一つは水素原子でないもの」は、溶媒に可溶な分子設計が容易であり、スピンコート等による薄膜作製が可能なため、真空蒸着法に比べて加工性・生産性が格段に向上する。また、薄膜中の結晶性は、化合物自身や分子間の相互作用、溶媒の種類等を選択することにより、自己組織化的に、制御することも可能となる。
【0036】
本発明の光電変換素子材料である前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法としては、例えば、下記式(II)で示される炭化水素縮合環が脱水素試薬の存在下、芳香族化することにより、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体を得る方法を挙げることができる。
【0037】
【化3】
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【0038】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 、A4 及びnは上記の意味を有する。下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。]
【0039】
【化4】
JP0005178007B2_000004t.gif

【0040】
上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、例えば、結合の種類によって、下記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で示される炭化水素縮合環が含まれる。
【0041】
【化5】
JP0005178007B2_000005t.gif

【0042】
【化6】
JP0005178007B2_000006t.gif

【0043】
【化7】
JP0005178007B2_000007t.gif

【0044】
[上記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 、A4 及びnは上記の意味を有する。R5a及びR5bはそれぞれR5 と同じ意味を有し、R6a及びR6bはそれぞれR6 と同じ意味を有する。]
上記式(II)で示される炭化水素縮合環が、nが奇数であり、上記式(IIb)で示される炭化水素縮合環である場合、上記式(IIb)中のkは、(n+1)/2で示される整数である。上記式(II)で示される炭化水素縮合環が、nが偶数であり、上記式(IIc)で示される炭化水素縮合環である場合、上記式(IIc)中のmは、n/2で示される整数である。
【0045】
上記式(IIa)で示される炭化水素縮合環の場合には、一つの環が芳香族化されることになる。一方、上記式(IIb)及び上記式(IIc)で示される炭化水素縮合環の場合には、2以上の環が芳香族化されることになる。
もっとも、上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、繰り返し単位中の環が、芳香族環である場合と、芳香族環でない場合がランダムに繰り返される場合も含まれる。
【0046】
前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法において、脱水素試薬がリチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せであり、まず、前記炭化水素縮合環にリチウム化剤を添加し、次いで、脱リチウム試薬を添加することが好ましい。
このスキームについて、上記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で示される炭化水素縮合環の場合を以下に例示する。
【0047】
【化8】
JP0005178007B2_000008t.gif

【0048】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 、A4 及びnは上記の意味を有する。D1 はC1 ~C6 アルキル基等の求核基を意味する。D2 はC1 ~C6 アルキル基等のC1 ~C20炭化水素基を意味する。Z1 はハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、上記式(IIa)中のR3 及びR8 は、水素原子であることが好ましい。
【0049】
【化9】
JP0005178007B2_000009t.gif

【0050】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 、A4 及びkは上記の意味を有する。D1 はC1 ~C6 アルキル基等の求核基を意味する。D2 はC1 ~C6 アルキル基等のC1 ~C20炭化水素基を意味する。Z1 はハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、上記式(IIb)中のR3 、R5 、R6 及びR8 は、水素原子であることが好ましい。
【0051】
【化10】
JP0005178007B2_000010t.gif

【0052】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5a、R5b、R6a、R6b、R7 、R8 、A1 、A2 、A3 、A4 及びmは上記の意味を有する。D1 はC1 ~C6 アルキル基等の求核基を意味する。D2 はC1 ~C6 アルキル基等のC1 ~C20炭化水素基を意味する。Z1 はハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、上記式(IIc)中のR3 、R5a、R6a及びR8 は、水素原子であることが好ましい。
【0053】
上記スキームでは、Li-D1 で示されるリチウム化剤(IV)が作用する炭素原子を明確にするという説明の便宜上、式(IIa)、式(IIb)又は式(IIc)で示される炭化水素縮合環が用いられている。脱水素試薬としてリチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せが、上記式(II)で示される炭化水素縮合環に広く適用することができることはいうまでもない。
【0054】
上記の式(IIa)、式(IIb)及び式(IIc)で示される炭化水素縮合環にリチウム化剤(IV)を反応させ、それぞれ、式(Va)、(Vb)及び(Vc)で示されるリチウム化された炭化水素縮合環が得られる。リチウム化剤(IV)としては、アルキルリチウム、アリールリチウムのようなC1 ~C20炭化水素リチウムが好ましい。例えば、ブチルリチウム等のC1 ~C6 アルキルリチウム、フェニルリチウムのようなC6 ~C20アリールリチウムが好適に用いられる。
【0055】
リチウム化剤(IV)とともに、リチウム化剤の活性化剤を共存させることが好ましい。活性化剤としては、3級アミンが好ましく、例えば、N,N,N' 、N' -テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のようなN,N,N' 、N' -テトラアルキルアルキレンジアミンが用いられる。アルキルリチウムは、溶液中では、四量体のようなオリゴマーとして存在していると思われる。そして、3級アミンが共存するときには、アミンの窒素原子がアルキルリチウムのリチウム原子に配位し、オリゴマー構造を壊すと思われる。これにより、アルキルリチウムのリチウム原子が溶液中に晒され、反応性が向上すると思われる。
【0056】
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に、無極性有機溶媒が好ましく用いられる。例えば、ヘキサン等のアルカン、ベンゼン等の芳香族化合物が好ましい。
反応温度としては、0~200℃が好ましく、20~100℃がより好ましく、30~80℃が更に好ましい。
【0057】
次いで、得られた上記の式(Va)、(Vb)及び(Vc)で示される炭化水素縮合環に脱リチウム試薬(VI)を反応させ、これにより、それぞれ、式(VIIa)、(VIIb)及び(VIIc)で示される中間体が生成すると推定され、これらの中間体が分解し、それぞれ、式(I)、(Ib)又は(Ic)で示されるポリアセン誘導体が得られる。
脱リチウム試薬(VI)としては、例えば、ハロゲン化アルキルを好適に用いることができる。ハロゲン化アルキルとしては、例えば、ヨウ化メチル、臭化エチル等の炭素原子が6個以下のハロゲン化アルキルが好ましい。
【0058】
この反応では、リチウム化剤(IV)及び脱リチウム試薬(VI)として、炭素原子数の少ないものを用いた場合には、例えば、リチウム化剤(IV)及び脱リチウム試薬(VI)として、ブチルリチウム及びヨウ化メチルを用いた場合には、ヨウ化リチウム及びヘキサンが脱離することになる。ヘキサンは溶媒を除去するときに同時に除去できる。ヨウ化リチウムについては、得られた反応混合物を水で洗浄することにより、除去できる。従って、リチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せは、反応混合物の精製がきわめて容易であり、好ましい。
【0059】
また、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、下記式(III)で示される化合物であることが好ましい。
【0060】
【化11】
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【0061】
[式中、X1 、X2 、X3 及びX4 は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
上記式(III)で示される化合物は、上記式(II)で示される炭化水素縮合環と反応して、1,4-ジヒドロキシ-シクロヘキサン誘導体に変換する。
上記式(III)中のX1 、X2 、X3 及びX4 で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子がより好ましく、塩素原子が更に好ましい。
例えば、X1 、X2 、X3 及びX4 は全て塩素原子であってもよい。即ち、クロラニルであってもよい。あるいは、X1 及びX2 がシアノ基であり、X3 及びX4 が塩素原子であってもよい。即ち、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノキノンであってもよい。X1 、X2 、X3 及びX4 が全てシアノ基であってもよい。即ち、2,3,5,6-テトラシアノキノンであってもよい。
【0062】
上記式(III)で示される化合物を用いた場合には、上記式(III)で示される化合物が更に生成物のポリアセン誘導体とDiels-Alder 反応をして、副生成物を生じる場合がある。該副生成物は、所望により、カラムクロマトグラフィー等により除去する。
上記式(III)で示される化合物は、このような副生成物の生成を防止するために、上記式(II)で示される化合物の0.9~1.2当量用いることが好ましく、0.9~1.15当量用いることがより好ましく、0.95~1.05当量用いることが更に好ましい。
【0063】
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に、ベンゼン等の芳香族化合物が好ましい。
反応温度としては、-80~200℃が好ましく、0~100℃がより好ましく、10~80℃が更に好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
【0064】
また、前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、パラジウムを含むことが好ましい。例えば、活性炭のような炭素に担持されたパラジウム、いわゆるパラジウムカーボン(Pd/C)として市販されているものを好適に用いることができる。Pd/Cは、脱水素化に広く用いられている触媒であり、本発明においても従来と同様に用いることができる。Pd/Cを用いる場合の反応温度は、例えば、200~500℃である。もっとも、該反応温度は、出発物質等の様々な条件に依存して、適宜、設定すればよい。
【0065】
上記式(II)で示される炭化水素縮合環は、例えば、下記のようなスキームで得ることができる。
【0066】
【化12】
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【0067】
[式中、R1 、R2 、R4 、R5 、R6 、R7 、A3 、A4 及びnは、上記の意味を有する。A1a及びA2aは、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC6 ~C40アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC6 ~C40アリールオキシカルボニル基である。Xはハロゲン原子等の脱離基である。下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。
【0068】
【化13】
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【0069】
Mは、周期表の第3~5族又はランタニド系列の金属を示し;
1 及びL2 は、互いに独立し、同一又は異なって、アニオン性配位子を示し、ただし、L1 及びL2 は、架橋されていてもよく;
1 及びY2 は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、脱離基である。]
【0070】
次に、本発明の光電変換素子について説明する。本発明の光電変換素子の構成としては、特に限定するものではなく、例えば、pn接合型では、支持体、電極A、光電変換層、電極B、被覆層とが順次積層された構造を有する。本実施形態においては、仕事関数の大きい電極として電極A、仕事関数の小さい電極として電極Bをそれぞれ使用する。また、光電変換素子は電極A又はBの少なくとも一方から光電変換層へ光を到達させる必要があり、支持体及び電極Aから光電変換層へ照射光を到達させるためには、支持体及び電極Aは光透過性の材料で形成する。同様に、被覆層及び電極Bから光電変換層へ照射光を到達させるためには、被覆層及び電極Bは光透過性の材料で形成する。更に、両側から光電変換層へ光を到達させるためには、支持体、電極A、電極B及び被覆層は光透過性の材料で形成する。
【0071】
支持体は電極Aを表面に安定して保持することが可能であれば、材質や厚みには制限されない。そのため、支持体の形状は板状でもフィルム状でもよい。支持体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属や合金類、ポリカーボネート、ポリエステル等のプラスチック、木材、紙、布等が使用される。照射光を支持体側から入射させる場合は、支持体は光透過性の物質(材料) から構成される必要があり、透明性を有するガラス、透明プラスチック等が使用できる。ここで、透明性とは、光電変換素子において使用される所定波長領域、例えば可視光領域の光を高率で透過させる性質をいう。尚、本発明の光電変換素子は、支持体の表面に形成されることが望ましいが、電極A自体にある程度硬度があり、自立性を有する場合は、電極Aが支持体を兼ねる構成としてもよく、この場合、支持体は省略されてもよい。
【0072】
仕事関数の大きい電極Aは、光電変換層に含まれる有機p型半導体化合物とオーミックに近い接合を形成可能にするために、仕事関数が4.5V以上であることが好ましく、4.8V以上であることがより好ましい。これに対して、仕事関数の小さい電極Bは、n型半導体化合物とオーミックスに近い接合を可能にするため、仕事関数が4.5V以下であることが好ましい。尚、本発明において、対向配置される一対の電極の仕事関数は、相互に相対的に大小関係を有する(即ち互いに仕事関数の異なる) ものとすればよい。従って、本実施形態においても電極Aの仕事関数が電極Bよりも相対的に大きければよい。この場合、両電極間の仕事関数の差は0.5V以上であることが好ましい。
【0073】
電極Aとしては、金、白金等の金属類、及び酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫(NESA)、錫ドープ酸化インジウム(ITO) 、フッ素ドープ酸化錫(FTO) 等の金属酸化物を用いることができる。一方、電極Bに使用する電極物質としては、例えば、リチウム、リチウム-インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-カルシウム合金、アルミニウム-マグネシウム合金、グラファイト薄膜、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等を挙げることができる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。これらの電極物質を用い、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、等の方法により、電極を形成することができる。ゾルゲル法等により焼成して形成してもよい。また、陰極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。電極の厚みは、使用する電極物質の材料にもよるが、一般に、5~1000nm程度、より好ましくは、10~500nm程度に設定する。尚、少なくとも一方の電極が透明ないし半透明であることが必要であり、透過率が70%以上となるように電極の材料、厚みを設定することがより好ましい。
【0074】
光電変換層は、例えばpn接合型が挙げられ、電極界面ではn型半導体層は仕事関数のより小さい方の電極Bとオーミクスに近い接合を形成し、一方、p型有機半導体層ではより仕事関数の大きい電極Aとオーミクスに近い接合を形成する。よって、pn接合で生成した電子は電極Bに注入され、pn接合で生成した正孔は電極Aに注入されることにより、電極A、B間には電位差が発生し、外部に電流が取り出されるものと考えられる。
【0075】
本発明の光電変換素子において、本発明の前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体は、その構造によってp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物として作用することができる。一般に、n型有機半導体化合物はポリアセン骨格構造に置換基として電子吸引性の官能基を結合させることにより得られ、p型有機半導体化合物はそれ以外の官能基を結合させることにより得られる。また、公知の物質をドーピングすることによっても得られる。
電子吸引性の官能基としては、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、ホスホニル基、ハロゲン基等の公知の電子吸引基、もしくはこれらの電子吸引基が結合した官能基が挙げられ、特にn型有機半導体化合物として使用する場合は、前記一般式(I)中のA1 、A2 、A3 、A4 のいずれかに電子吸引基を有することが好ましい。
【0076】
また、本発明の前記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体は、色素増感型の光電変換素子の電荷移動層や正孔輸送層に、電荷移動材料、正孔輸送材料として使用することも好ましい。
【0077】
本発明の光電変換素子においては、本発明のポリアセン誘導体を光電変換層の少なくとも一層に使用することが必須であり、他の層には公知の半導体化合物を使用してもよい。また、本発明のポリアセン誘導体を使用した有機半導体層においては、本発明のポリアセン誘導体を単独で使用してもよく、あるいは複数併用しても、公知の半導体化合物と併用してもよい。
【0078】
本発明において使用可能な他のp型半導体化合物としては、フタロシアニン系顔料、インジゴ又はチオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。本発明において用いられる他の正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。トリアリールアミン誘導体としては、例えば、4,4-ビス〔N-フェニル-N-(4”-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4-ビス〔N-フェニル-N-(3”-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4-ビス〔N-フェニル-N-(3”-メトキシフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4-ビス〔N-フェニル-N-(1”-ナフチル)アミノ〕ビフェニル、3,3-ジメチル-4,4-ビス〔N-フェニル-N-(3”-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、1,1-ビス〔4-[ N,N-ジ(4”-メチルフェニル)アミノ] フェニル〕シクロヘキサン、9,10-ビス〔N-(4-メチルフェニル)-N-(4”-n-ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-6-フェニルフェナントリジン、4-メチル-N,N-ビス〔4”,4''' -ビス[ N,N-ジ(4-メチルフェニル)アミノ] ビフェニル-4-イル〕アニリン、N,N-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N-ジフェニル-1,3-ジアミノベンゼン、N,N-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N-ジフェニル-1,4-ジアミノベンゼン、5,5”-ビス〔4-(ビス[ 4-メチルフェニル] アミノ)フェニル〕-2,2:5,2”-ターチオフェン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4,4”-トリス(N-カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4,4”-トリス〔N-(3''' -メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4,4”-トリス〔N,N-ビス(4''' -tert-ブチルビフェニル-4''''-イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5-トリス〔N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ〕ベンゼン等が挙げられる。尚、正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0079】
本発明において使用可能な他のn型半導体化合物としては、有機物ではペリレン系顔料、ペリノン系顔料、多環キノン系顔料、アゾ系顔料、C60やC70フラーレン等が、無機物では酸化亜鉛、酸化チタン、硫化カドミウム等を用いることができる。また、有機金属錯体〔例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ベンゾ[h] キノリノラート)ベリリウム、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、オキサジアゾール誘導体〔例えば、1,3-ビス[ 5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル] ベンゼン〕、トリアゾール誘導体〔例えば、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4”-ビフェニル)-1,2,4-トリアゾール〕、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体等を用いることができる。
【0080】
光電変換層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法等)により薄膜を形成することにより作製することができる。真空蒸着法により各層を形成する場合、真空蒸着の条件は特に限定するものではないが、10-5 Torr 程度以下の真空下で、50~600℃程度のボート温度(蒸着源温度)、-50~300℃程度の基板温度で、0.005~50nm/sec 程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、真空下で、連続して形成することにより、諸特性に一層優れた光電変換素子を製造することができる。真空蒸着法により各層を、複数の化合物を用いて形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
【0081】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等を、適当な有機溶媒及び/又は水に溶解又は分散させて塗布液とする。使用しうるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。バインダー樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0082】
上記溶液塗布法で用いられる適当な有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒等が挙げられる。塗布液は、各種の塗布法によって薄膜を形成することができる。
尚、分散する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を用いて微粒子状に分散することができる。塗布液の濃度に関しては、特に限定するものではなく、実施する塗布法により、所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、一般には、0.1~50質量%程度、好ましくは、1~30質量%程度の溶液濃度である。尚、バインダー樹脂を使用する場合、その使用量に関しては、特に限定するものではないが、一般には、各層を形成する成分に対して(一層型の素子を形成する場合には、各成分の総量に対して)、5~99.9質量%程度、好ましくは、10~99質量%程度、より好ましくは、15~90質量%程度に設定する。
【0083】
本発明のポリアセン誘導体は、溶媒に可溶な分子設計が容易であり、スピンコート等の上記溶液塗布法による薄膜作製を好ましく行うことが可能であり、加工性・生産性が格段に向上する。
【0084】
光電変換層の厚み(膜厚)に関しては、特に限定するものではないが、一般に、5nm~5μm程度に設定することが好ましい。尚、作製した素子に対し、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また素子を、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油等の不活性物質中に封入して保護することができる。
【0085】
上記保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素化樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイヤモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属硫化物)、さらには光硬化性樹脂等を挙げることができ、保護層に使用する材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。保護層は、一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0086】
また、電極に保護膜として、例えば、金属酸化膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。また、電極の表面に、例えば、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体(例えば、銅フタロシアニン)、カーボンから成る界面層(中間層)を設けることもできる。さらに、電極はその表面を、例えば、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
【0087】
本発明の光電変換素子用材料及びそれを使用した光電変換素子は、太陽電池に好ましく用いられる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
合成例1〔本発明の化合物1の合成〕
下記式で示される本発明の化合物1を次のようにして合成した。
【0090】
【化14】
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【0091】
THF中に溶解したジルコノセンジクロリドに-78℃でn-ブチルリチウムを2当量加え1時間攪拌した。この液に下記化合物ジイン1を1当量加え室温で攪拌すると、下記化合物ジルコナシクロペンタジエン1が生成した。これにNiCl2(PPh3)2錯体を2当量加え、ジフェニルアセチレンを1当量加えて50℃で3時間攪拌すると、化合物1のジヒドロ体が得られた。この化合物を2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ)1当量と反応させると、化合物1が赤色結晶として得られた。ここで得られた化合物1を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0092】
【化15】
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【0093】
合成例2〔本発明の化合物2の合成〕
下記式で示される本発明の化合物2を次のようにして合成した。
【0094】
【化16】
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【0095】
THF中に溶解したジルコノセンジクロリドに-78℃でn-ブチルリチウムを2当量加え1時間攪拌した。この液に下記化合物ジイン2を1当量加え室温で攪拌すると、下記化合物ジルコナシクロペンタジエン2が生成した。これにCuClを2当量、N,N-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)を3当量、ジメチルアセチレンジカルボキシレート(DMAD)を1当量加えて50℃で3時間攪拌すると、化合物2のジヒドロ体が得られた。この化合物を2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ)1当量と反応させると、化合物2が得られた。ここで得られた化合物2を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0096】
【化17】
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【0097】
合成例3〔本発明の化合物3の合成〕
下記式で示される本発明の化合物3を次のようにして合成した。
【0098】
【化18】
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【0099】
THF中に溶解したジルコノセンジクロリドに-78℃でn-ブチルリチウムを2当量加え1時間攪拌した。この液に下記化合物テトライン3を1/2当量加え室温で攪拌すると、下記化合物ジルコナシクロペンタジエン3が生成した。これにNiCl2(PPh3)2錯体を4当量加え、5-デシンを2当量加えて50℃で3時間攪拌すると、化合物3のテトラヒドロ体が得られた。この化合物をクロラニル2当量と反応させると、化合物3が得られた。ここで得られた化合物3を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0100】
【化19】
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【0101】
合成例4〔本発明の化合物4の合成〕
下記式で示される本発明の化合物4を次のようにして合成した。
【0102】
【化20】
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【0103】
合成例2で得られた化合物2をメタノール中KOHを加えて100℃で6時間反応させた。生成物を塩酸処理し、ジカルボン酸を得た。この化合物に無水酢酸を加えて、還流下3時間反応させ酸無水物とし、これにメチルアミンを加え反応させると、化合物4が得られた。ここで得られた化合物4を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0104】
合成例5〔本発明の化合物5の合成〕
下記式で示される本発明の化合物5を次のようにして合成した。
【0105】
【化21】
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【0106】
ジルコナシクロペンタジエン3から得られる下記式に示すテトラエステルをメタノール中KOHを加えて100℃で6時間反応させた。生成物を塩酸処理し、テトラカルボン酸を得た。この化合物に無水酢酸を加えて、還流下3時間反応させ酸無水物とし、これにメチルアミンを加え反応させると、化合物5が得られた。ここで得られた化合物5を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0107】
【化22】
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【0108】
合成例6〔本発明の化合物6の合成〕
下記式で示される本発明の化合物6を次のようにして合成した。
【0109】
【化23】
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【0110】
ジルコナシクロペンタジエン3に塩化銅2当量及びN,N-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)3当量存在下、ジシアノエチレンを2当量反応させると、化合物6のテトラヒドロ体が得られた。これを2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ)2当量と反応させると、化合物6が得られた。ここで得られた化合物6を昇華精製して、下記光電変換素子の評価を行なった。
【0111】
また、下記式で示される化合物を本発明の化合物7として用いた。
【0112】
【化24】
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【0113】
〔比較化合物〕
また、以下の化合物をそれぞれ東京化成工業(株) から購入し、それぞれ昇華精製して、比較化合物として用いた。
【0114】
【化25】
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【0115】
【化26】
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【0116】
【化27】
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【0117】
【化28】
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【0118】
実施例1(ショットキー接合型光電変換素子の評価)
厚さ130nmのITO透明電極を有するガラス基板を、アセトン、基板洗浄剤、蒸留水、イソプロピルアルコールの順に超音波洗浄した。更に、UV/オゾン洗浄した後、真空蒸着装置のホルダーに固定した。蒸着槽は10-6 Torr 程度に減圧し、ITO透明電極上に、下記表1に示したp型有機半導体化合物を膜厚約500nm蒸着した。次いで、パターニングしたマスク(受光面積は2mm×2mm)を設置し、電極としてアルミニウムを膜厚約150nmに蒸着し、ショットキー接合型光電変換素子を作製した。この光電変換素子を、分光計器(株) 製光電変換素子評価装置を用い、白色光強度100mW/cm2 にて評価した。その結果を下記表1に示す。
【0119】
【表1】
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【0120】
実施例2(pn接合型光電変換素子の評価)
実施例1と同様に、ITO透明電極を洗浄後、ITO基板上に、下記表2に示したp型有機半導体化合物を膜厚約50nm蒸着した後、下記表2に示したn型有機半導体化合物を膜厚約50nm蒸着した。次いで、フッ化リチウムを膜厚約1nm、電極としてアルミニウムを膜厚約150nmに蒸着し、pn接合型光電変換素子を作製した。この光電変換素子を、実施例1と同様に評価した。その結果を下記表2に示す。
【0121】
【表2】
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【0122】
実施例3(pn接合型光電変換素子の評価)
実施例1と同様に、ITO透明電極を洗浄後、ITO基板上に、下記表3に示したp型有機半導体化合物を1,2-ジクロロエタンに溶解して塗布、乾燥し膜厚100nmの薄膜を作製した。次いで、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、以下実施例1と同様に、比較化合物2を膜厚約50nmに蒸着した。次いで、フッ化リチウムを膜厚約1nm、電極としてアルミニウムを膜厚約150nmに蒸着し、pn接合型光電変換素子を作製した。この光電変換素子を、実施例1と同様に評価した。その結果を下記表3に示す。
【0123】
【表3】
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【0124】
実施例4(色素増感型光電変換素子の評価)
チタンテトライソプロポキシド62.5mlを、2-プロパノール10mlとイオン交換水380mlと70%硝酸3mlとの混合物に溶解し、80℃において8時間加水分解させた後、蒸発濃縮し、安定な酸化チタンコロイド溶液を調製した。このコロイド溶液中の酸化チタンの粒径は約8nmであった。厚さ0.5μmのITOの基板の表面に、前記のコロイド溶液10gとTiO2 微粉末(日本エアロジル社製、商品名「P-25」) 2gとポリエチレングリコール2gとの混合物をスピンコートし、500℃で1時間焼成することにより、厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜を形成させた。次に、増感色素 [シス-ジ-(チオシアネート)-N,N-ビス(2、2-ビフィリジル-4,4-ジカルボン酸)-ルテニウム(II)] のエタノール溶液に浸漬し、1時間還流を行って色素を吸着させた。次いで、下記表4に示した化合物を膜厚500nmに蒸着し薄膜を作製した。この後、電極として白金を膜厚約100nmに蒸着し、色素増感型光電変換素子を作製した。この光電変換素子を、実施例1と同様に評価した。その結果を下記表4に示す。
【0125】
【表4】
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【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明によれば、加工性・生産性がよく、毒性が低く、フレキシブル化が容易で、光電変換効率が良好な光電変換素子用材料、及び該材料を使用した光電変換素子を提供することができる。