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明細書 :空間光通信を用いた情報処理システム及び空間光通信システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4803385号 (P4803385)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
発明の名称または考案の名称 空間光通信を用いた情報処理システム及び空間光通信システム
国際特許分類 H04B  10/10        (2006.01)
H04B  10/105       (2006.01)
H04B  10/22        (2006.01)
FI H04B 9/00 R
請求項の数または発明の数 11
全頁数 22
出願番号 特願2006-531407 (P2006-531407)
出願日 平成17年7月27日(2005.7.27)
国際出願番号 PCT/JP2005/013689
国際公開番号 WO2006/013755
国際公開日 平成18年2月9日(2006.2.9)
優先権出願番号 2004229948
優先日 平成16年8月5日(2004.8.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年5月28日(2008.5.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】香川 景一郎
【氏名】前田 勇希
【氏名】太田 淳
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
【識別番号】100095670、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 良平
審査官 【審査官】角田 慎治
参考文献・文献 国際公開第03/036829(WO,A1)
特開2003-179556(JP,A)
特開2001-245253(JP,A)
特開2005-252399(JP,A)
特開2006-287383(JP,A)
調査した分野 H04B 10/00-10/28
H04J 14/00-14/08
G01B 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
情報収集装置と1乃至複数の通信ノードとを含み、空間光通信を利用して、離れた位置に在る前記通信ノードが持つ所定情報を前記情報収集装置が収集する情報処理システムにおいて、
前記1乃至複数の通信ノードはそれぞれ、
所定周波数のパイロット信号と、該パイロット信号よりも高い周波数帯域に属し前記所定情報を含む識別信号とを重畳した信号を生成する信号生成手段と、
該信号生成手段により生成された信号を情報として含む光を出射する送光手段と、
を備え、
前記情報収集装置は、
多数の微小受光素子が二次元状に配置され且つ該多数の微小受光素子の中の任意の位置にある微小受光素子による検出信号を読み出し可能である撮像素子を含む撮像手段と、
該撮像手段による二次元の撮像範囲に含まれる通信ノードから到来する光信号に基づいて前記パイロット信号を認知することにより、その画像内での各通信ノードの位置を認識する位置認識手段と、
前記撮像素子において前記位置認識手段により認識された各通信ノードの位置及びその近傍に配置された微小受光素子で得られる検出信号を選択的に且つ二次元画像の撮像のレートよりも高速で読み出し、その読み出された信号に基づいて撮像範囲内の各通信ノードの前記所定情報を取得するものであって、前記位置認識手段により認識された画像上の位置及びその近傍位置の微小受光素子で得られる画素信号を前記撮像素子から選択的に読み出し、その読み出し範囲を段階的に絞ることによって読み出し速度を上げながら最終的に各通信ノードの識別情報が得られる一乃至複数の画素を特定し、該特定した画素を中心とする所定の範囲を設定し、その領域に含まれる画素による検出信号を読み出してそれら画素の全信号を平滑化処理し、その処理結果に基づいて前記位置認識手段による通信ノードの誤認識を検知しつつ正規の通信ノードについての前記所定情報を取得する識別情報取得手段と、
を備えることを特徴とする、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項2】
前記情報収集装置は操作者の手元にある情報端末であって、前記各通信ノードが備える前記信号生成手段により重畳される前記識別信号は、少なくともその通信ノード自体を特定可能な識別情報を前記所定情報として含む識別信号であることを特徴とする請求項1に記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項3】
前記識別情報取得手段は、各通信ノードの識別情報が得られる一乃至複数の画素を特定して信号を取得する際に、前記識別信号の検出状態が最も良好である画素の周囲に所定範囲で補助的に複数の画素を設定し、該複数の画素からの読み出し信号を利用して手振れの影響を軽減又は補正する処理を実行することを特徴とする請求項に記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項4】
前記情報端末は、
前記撮像手段による撮像範囲から通信ノードが外れた場合でも、少なくとも所定時間だけ該通信ノードの識別情報と、必要に応じて該識別情報に対応付けられた付帯情報とを記憶しておく記憶手段と、
一旦撮像範囲から外れた通信ノードが再び撮像範囲に現れたときに、前記記憶手段に格納されている情報に基づいて該通信ノードが撮像範囲を外れる直前の状態に復帰させる復帰処理手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項5】
前記情報端末は、
前記撮像手段により取得した二次元画像中から通信ノードの形状に対応した又は該通信ノードの少なくとも一部を含む所定形状の範囲に含まれる部分的な画像情報を抽出する部分画像抽出手段と、
該部分画像抽出手段により抽出された部分的な画像情報を当該情報端末上でアイコン又はそれに相当するシンボル情報に変換する情報変換手段と、
を備え、前記情報変換手段により変換されたシンボル情報と該情報の基となった通信ノードの識別情報とを関連付けることを特徴とする請求項2~のいずれかに記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項6】
前記情報端末は、
前記撮像手段による撮像画像を表示する表示手段と、
前記識別情報取得手段により取得された識別情報に基づいて確認された各通信ノードについて、その位置を示す表示情報を前記撮像画像上に重畳して表示する位置情報表示手段と、
所望の1つの通信ノードを選択するために、前記表示手段の画面上に表示された画像上で通信ノードの位置を示す表示情報のいずれかを操作者が選択するための選択手段と、
を備えることを特徴とする請求項2~のいずれかに記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項7】
前記情報端末と各通信ノードとは光又は電波により双方向通信が可能であって、前記情報端末における前記選択手段により複数の通信ノードの中の1つが選択された後に、その選択された通信ノードと前記情報端末との間で双方向通信を試みることにより、その両者の間での一方向又は双方向の一対一の通信経路を確立させることを特徴とする請求項に記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項8】
選択された通信ノードと情報端末との間の一対一の通信経路が確立された後に、光又は電波により、前記識別信号よりも高いビットレートでのデータ通信を実行することを特徴とする請求項に記載の、空間光通信を用いた情報処理システム。
【請求項9】
請求項に記載の情報処理システムを用いた空間光通信システムであって、選択された通信ノードと情報端末との間の一対一の通信経路が確立された後に、前記識別信号を情報として含む光よりも高い指向性を有する光を用いて、一方向又は双方向のデータ通信を実行することを特徴とする空間光通信システム。
【請求項10】
前記データ通信のための信号の周波数帯域は前記識別信号の周波数帯域よりも高い領域に設定されることを特徴とする請求項に記載の空間光通信システム。
【請求項11】
前記表示手段の画面上に通信ノードを選択するための指示体を重畳して表示し、該指示体により指示された対象物に対して当該情報端末から出射する通信用の光の光軸が向かうようにしたことを特徴とする請求項10に記載の空間光通信システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光通信を利用して、操作者の手元にある情報端末により、該情報端末から離れた位置に在る複数の通信ノードがそれぞれ持つ所定情報を収集する情報収集機能を有する情報処理システムと、該システムを利用して情報端末と1つの通信ノードとの間で光を利用して又は光と電波とを併用して通信を行う空間光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)、携帯型情報端末、パソコン周辺機器など、比較的近距離に配置された機器同士の間でのデータ通信を無線で行うために、従来より、IrDA(Infrared Data Association)と総称される赤外線データ通信の規格が知られている(例えば非特許文献1など参照)。IrDA規格は、比較的指向性の高い(±15°程度)近赤外光を用いることで一対一の機器の間での通信を行うものであり、基本的には、ユーザが両機器を互いに対向するようにその位置や姿勢を調整することによって通信を行う。通信速度としては4Mbpsが実用化されており、100Mbpsの通信速度を実現するIrBurst規格などの策定も進められている。
【0003】
近年、パソコンや携帯型情報端末以外にも、デジタル画像データやデジタル音声データなどを取り扱う機器が非常に増加しており、こうした機器同士でデータを転送する必要性が増している。上記のような赤外線データ通信は、データ転送のために一々配線を接続する必要がなく、通信相手が見通しできる状態であって或る程度距離が近いという条件の下では、手軽に且つ低コストで利用可能なシステムである。そのため、近年、急速に普及している携帯電話などにも赤外線データ通信機能が搭載されており、他の携帯電話との間で電話番号等のデータ交換が行えるようになっている。また、携帯電話にはデジタルカメラの機能のほか、デジタルオーディオプレーヤ、GPSなどの機能を有しているものもあり、画像データや音声データを取り扱うこともできるから、例えばパソコンに格納されている画像データや音声データを携帯電話に取り込んだり、逆に携帯電話のカメラで撮影した画像データをパソコンに転送したりするような用途も考えられる。
【0004】
しかしながら、上記のような従来の赤外線データ通信では、例えば携帯電話と他の機器との間でデータ通信を行おうとする際に、必ずしも良好な操作性が確保されているとは言い難い。即ち、上述したようにデータ通信のための光の指向性は比較的高いため、例えばユーザは手元の携帯電話から発した光が通信相手の機器(例えばパソコン)をカバーするように携帯電話の向きを合わせる必要があるが、通信相手の位置や通信相手が光通信可能な範囲内に入っているか否かを感覚的にしか確認することができないため、そうした位置合わせは必ずしも容易ではない。しかも、携帯電話のようにユーザが手に持って操作する機器では、手振れなどによる時間経過に伴った位置ずれが生じるため、安定した通信状態を継続的に確保することは困難である。また、光通信可能な範囲内に通信可能な機器が複数入ってしまっている場合に、その中から任意の1つの機器を選択して通信を行うことはできない。
【0005】
ところで、最近、ID情報等の各種情報を点滅光として発する光ビーコンと高速イメージセンサを搭載したカメラとを組み合わせたID認識カメラシステム(IDカムと呼ばれる場合もある)が提案されている。例えば特許文献1に記載のシステムでは、ID認識カメラで撮影した画像をシーン画像として出力するとともに、光ビーコンの点滅データを全画素でデコードしてID画像を作成することができるようになっている。また、こうしたID認識カメラシステムの具体的な用途として、音声案内システム(例えば特許文献2参照)や自動写真撮影システム(例えば特許文献3参照)などが提案されている。
【0006】
上記のようなID認識カメラシステムでは、カメラで撮影した撮影画像の表示上に、その撮影画像に含まれる複数の光ビーコンの識別情報を各光ビーコンの検出位置又はその近傍にオーバレイ表示し、ユーザが所望の光ビーコンを適宜取捨選択してその情報を利用できるようにしている。こうしたシステムを利用することにより、ユーザの手元の情報端末から離れた位置にある複数の通信ノードの1つを選択して、それを通信相手としてデータ通信を行うことが可能である。
【0007】

【特許文献1】特開2003-323239号公報
【特許文献2】特開2003-345376号公報
【特許文献3】特開2003-348390号公報
【非特許文献1】“アバウト・アイアールディーエー(About IrDA) スペシャル・インタレスト・グループス・オア・エスアイジーズ(Special Interest Groups or SIGs) ”、[Online]、インフラレッド・データ・アソシエイション(Infrared Data Association)、[平成16年7月2日検索]、インターネット〈URL: http://www.irda.org/displaycommom.cfm?an=1〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のようなシステムでは、光ビーコンから送られて来る情報を取得するために、通常の画像撮影に利用されるイメージセンサに比べて格段に高速のイメージセンサを必要とする。例えば駆動速度の速いCMOSイメージセンサなどを利用することにより上記のような高速動作は技術的には可能であるものの、そうした高速動作を行う場合にはイメージセンサの消費電力が非常に大きくなる。そのため、例えば携帯電話などの小型の情報端末機器にこうした機能を搭載しようとする場合には、実用性に乏しくなる。
【0009】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主な目的の1つは、空間光通信を利用して、ユーザの手元にある情報端末により、該情報端末から離れた位置に在る複数の通信ノードがそれぞれ持つ所定情報を収集する際に、その処理における消費電力を抑制することで、携帯型の情報端末に特に適合した情報処理システムを提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ユーザの手元にある情報端末等の機器とそこから離れた位置にある他の複数の機器の中の1つの機器との間で光通信を行う空間光通信システムにおいて、光通信の通信経路を確立するための位置合わせを容易に行うことができるとともに、手振れなどによる位置ずれを修正して安定した通信状態を確保することができる空間光通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明は、情報収集装置と1乃至複数の通信ノードとを含み、空間光通信を利用して、離れた位置に在る前記通信ノードが持つ所定情報を前記情報収集装置が収集する情報処理システムにおいて、
前記1乃至複数の通信ノードはそれぞれ、
所定周波数のパイロット信号と、該パイロット信号よりも高い周波数帯域に属し前記所定情報を含む識別信号とを重畳した信号を生成する信号生成手段と、
該信号生成手段により生成された信号を情報として含む光を出射する送光手段と、
を備え、
前記情報収集装置は、
多数の微小受光素子が二次元状に配置され且つ該多数の微小受光素子の中の任意の位置にある微小受光素子による検出信号を読み出し可能である撮像素子を含む撮像手段と、
該撮像手段による二次元の撮像範囲に含まれる通信ノードから到来する光信号に基づいて前記パイロット信号を認知することにより、その画像内での各通信ノードの位置を認識する位置認識手段と、
前記撮像素子において前記位置認識手段により認識された各通信ノードの位置及びその近傍に配置された微小受光素子で得られる検出信号を選択的に且つ二次元画像の撮像のレートよりも高速で読み出し、その読み出された信号に基づいて撮像範囲内の各通信ノードの前記所定情報を取得するものであって、前記位置認識手段により認識された画像上の位置及びその近傍位置の微小受光素子で得られる画素信号を前記撮像素子から選択的に読み出し、その読み出し範囲を段階的に絞ることによって読み出し速度を上げながら最終的に各通信ノードの識別情報が得られる一乃至複数の画素を特定し、該特定した画素を中心とする所定の範囲を設定し、その領域に含まれる画素による検出信号を読み出してそれら画素の全信号を平滑化処理し、その処理結果に基づいて前記位置認識手段による通信ノードの誤認識を検知しつつ正規の通信ノードについての前記所定情報を取得する識別情報取得手段と、
を備えることを特徴としている。

【0012】
本発明の典型的な一態様として、前記情報収集装置は操作者の手元にある情報端末であって、前記各通信ノードが備える前記信号生成手段により重畳される前記識別信号は、少なくともその通信ノード自体を特定可能な識別情報を前記所定情報として含む識別信号である構成とすることができる。
【0013】
この構成においては、操作者(ユーザ)は手元の情報端末を所望の通信対象である通信ノードの方向に向けて撮像手段により二次元画像を撮像するが、通信ノードが近接して配置されている場合、その画像内に所望の通信ノード以外の他の1つ以上の通信ノードも入ってしまう。各通信ノードはパイロット信号と識別信号とを情報として含む光を広い角度範囲に出射しているため、情報端末はそれら光の範囲に入り、各通信ノードからの出射光を受光可能となる。この撮像手段による撮像範囲に含まれる通信ノードから到来する光信号に基づいて、位置認識手段は、撮像画像内でパイロット信号を認知する。パイロット信号は例えば30Hz以下の低周波信号であるため、通常の画像のフレームレート程度の信号読み出しでも検出が可能である。但し、パイロット信号は各通信ノードを特定するまでの情報は含まず、またパイロット信号と同程度の周波数で点滅しているような発光源が存在すると、その発光源も通信ノードの1つであると誤検出するおそれがある。
【0014】
そこで、パイロット信号に基づいて各通信ノード(及び類似の発光源)の位置を認識した後に、識別情報取得手段が各通信ノードの識別信号を取得する。このときには、先のパイロット信号の検出時とは異なり、撮像素子の全ての微小受光素子(画素)の検出信号を読み出すのではなく、パイロット信号により認知された通信ノードの存在位置及びその近傍の限られた範囲の少数の受光素子の検出信号のみを読み出す。全画素を読み出す場合に比べて読み出し画素数が大幅に減るため、同一画素を読み出すレートを上げることができ、それによってパイロット信号よりも高い周波数帯域の識別信号を捉えることができる。識別信号は例えば全ての通信ノードに割り当てられた固有の識別番号などを識別情報として含むため、パイロット信号に基づいて認知された位置に存在するものが本当に通信ノードであるのか否かを識別することができるほか、通信ノードを特定することができ、例えば後述するように所望の通信ノードの選択の際にこの情報を利用することができる。
【0015】
このように通常の撮像レートに比べて読み出しレートを上げる場合であっても、その読み出し対象画素を特定の範囲に限定しているため、全画素を同様のレートで読み出す場合に比べて、撮像手段における消費電力をかなり抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明に係る情報処理システムによれば、情報端末等の情報収集装置において特に撮像素子における消費電力を抑制しつつ、ユーザの眼前の実空間に散在する1乃至複数の通信ノードの識別情報を正確に取得することができる。そして、この情報を利用して所望の通信ノードを選択して該通信ノードと情報端末との間での通信経路を確立して、光や電波による通信を行うことができる。或いは、通信ノードの識別情報を利用し、該通信ノードに関連して情報端末内に保存されている又は該情報端末と通信可能な他のサーバ内などに保存されている情報を引き出すこともできる。
【0018】
また本発明に係る情報処理システムによれば、撮像素子の消費電力を抑制しながら、通信ノードから到来する光に基づく識別信号が最も良好に得られる画素を確実に且つ迅速に選択することができる。

【0019】
また上記構成において、好ましくは、前記識別情報取得手段は、各通信ノードの識別情報が得られる一乃至複数の画素を特定して信号を取得する際に、前記識別信号の検出状態が最も良好である中心画素の周囲に所定範囲で補助的に複数の画素を設定し、該複数の画素からの読み出し信号を利用して手振れの影響を軽減又は補正する処理を実行する構成とするとよい。
【0020】
具体的には、一乃至複数の中心画素とこの中心画素を取り囲むように所定範囲で補助的に設定した複数の画素で得られた検出信号を平滑化することによって、手振れによるその画素範囲内での光の最適受光位置の移動を許容するか、或いは、その画素範囲内での各画素信号をそれぞれ高速に読み出して最適受光位置の移動を追跡するようにするとよい。これによれば、情報端末が手振れによって移動したりずれたり場合でも、通信ノードから送られてくる光信号に含まれる識別情報を確実に取得することができる。
【0021】
また、本発明に係る情報処理システムの一実施態様として、前記情報端末は、
前記撮像手段による撮像範囲から通信ノードが外れた場合でも、少なくとも所定時間だけ該通信ノードの識別情報と、必要に応じて該識別情報に対応付けられた付帯情報とを記憶しておく記憶手段と、
一旦撮像範囲から外れた通信ノードが再び撮像範囲に現れたときに、前記記憶手段に格納されている情報に基づいて該通信ノードが撮像範囲を外れる直前の状態に復帰させる復帰処理手段と、
をさらに備える構成とするとよい。
【0022】
この構成によれば、一旦識別情報を取得した後に、情報端末の向きが変わってしまったり通信ノードが移動してしまったりした場合でも、比較的短時間の間に再び撮像範囲内にその通信ノードを捉えることができさえすれば、その通信ノードが先の通信ノードであると認識して処理を実行することができる。したがって、例えば、通信ノードから収集した識別情報に含まれる固有アドレスを参照して1乃至複数の通信ノードにそれぞれ一時アドレスを付与するような場合に、或る通信ノードが撮像範囲を外れる直前と再び撮像範囲に出現した直後とで同一の一時アドレスを使用することができ、処理の連続性を保持することができる。
【0023】
また、本発明に係る情報処理システムの別の実施態様として、記情報端末は、
前記撮像手段により取得した二次元画像中から通信ノードの形状に対応した又は該通信ノードの少なくとも一部を含む所定形状の範囲に含まれる部分的な画像情報を抽出する部分画像抽出手段と、
該部分画像抽出手段により抽出された部分的な画像情報を当該情報端末上でアイコン又はそれに相当するシンボル情報に変換する情報変換手段と、
を備え、前記情報変換手段により変換されたシンボル情報と該情報の基となった通信ノードの識別情報とを関連付ける構成としてもよい。
【0024】
この構成によれば、実空間内から取り込んだ情報(画像)を情報端末のGUI(Graphical User Interface)環境上で利用することができ、ユーザが操作する際に直感的に理解し易く、操作性の大幅な向上が期待できる。
【0025】
さらにまた本発明に係る情報処理システムの別の実施態様として、前記情報端末は、
前記撮像手段による撮像画像を表示する表示手段と、前記識別情報取得手段により取得された識別情報に基づいて確認された各通信ノードについて、その位置を示す表示情報を前記撮像画像上に重畳して表示する位置情報表示手段と、所望の1つの通信ノードを選択するために、前記表示手段の画面上に表示された画像上で通信ノードの位置を示す表示情報のいずれかを操作者が選択するための選択手段と、を備える構成とすることができる。
【0026】
この実施態様による情報処理システムでは、操作者の手元の情報端末の表示画面内に、その時点で選択可能(又は通信可能)な通信ノードが全て表示されるから、表示された画像から通信可能な相手を視覚的に容易に認識でき、選択手段によりそのうちの1つを例えば通信相手として的確に選択することができる。したがって、例えば複数の通信ノードとの通信が可能な状況である場合にでも、その中の1つの所望の通信ノードを確実に選択して一対一通信を行ったり、該通信ノードに関する所定の処理を実行したりすることができる。
【0027】
さらにまた、本発明に係る情報処理システムの一実施態様として、前記情報端末と各通信ノードとは光又は電波により双方向通信が可能であって、前記情報端末における前記選択手段により複数の通信ノードの中の1つが選択された後に、その選択された通信ノードと前記情報端末との間で双方向通信を試みることにより、その両者の間での一方向又は双方向の一対一の通信経路を確立させる構成とすることができる。
【0028】
この構成では、各通信ノードと唯一の情報端末との間で上述したような光通信又は別の電波通信を利用して順番に交信しながら、通信ノードの指定や信号受け取りの確認などを実行し、最終的に一方向又は双方向の一対一の通信経路を確立することができる。それにより、確実に良好な通信状態での通信経路を確立することができる。
【0029】
さらにまた、上記のようにして、選択された通信ノードと情報端末との間の一対一の通信経路が確立された後に、光又は電波により、前記識別信号よりも高いビットレートでのデータ通信を実行する構成とすることもできる。
【0030】
こうしたデータ通信で送受されるデータ内容としては、静止画像データ、動画像データ、音声データなど、従来から知られている一般的な通信で取り扱われる各種のデータが考え得る。
【0031】
また、本発明に係る空間光通信システムは、上記のような情報処理システムを用いた空間光通信システムであって、選択された通信ノードと情報端末との間の一対一の通信経路が確立された後に、前記識別信号を情報として含む光よりも高い指向性を有する光を用いて、一方向又は双方向のデータ通信を実行することを特徴としている。このような高指向性の光を利用することにより、受信側での受光強度を相対的に高めてS/N比を改善することができる。また、識別信号を含む光との混信を防止するために、データ通信のための信号の周波数帯域は前記識別信号の周波数帯域よりも高い領域に設定するとよい。
【0032】
上述した光によるデータ通信は例えばIrDA規格に準拠したものとすることができる。こうした構成によれば、比較的広い角度範囲、つまり低い指向性の光を利用してパイロット信号及び識別信号を送受し、容易な操作によって所望の1つの通信ノードと情報端末との間の通信経路を確立した後に、高速のデータ通信が可能な光を利用して、画像データやデジタル音声データなどの比較的大量のデータを送信することが可能となる。それによって、情報端末と通信ノードとの間での空間光通信を利用したデータ送受を行う際の操作性が大幅に向上する。
【0033】
なお、空間光通信によるデータ通信を行う場合に、上述したように選択手段により所望の通信ノードを選択する際の一実施態様として、前記表示手段の画面上に通信ノードを選択するための指示体を重畳して表示し、該指示体により指示された対象物に対して当該情報端末から出射する通信用の光の光軸が向かうようにした構成とするとよい。
【0034】
この構成によれば、操作者による通信ノードの選択に伴って、情報端末からその通信ノードに向かう光の光軸合わせが行えるので、少なくとも情報端末側には光軸を機械的に調節するような機構が不要になり、構成が簡素化でき、システムを安価に構築することができる。また、操作者も直感的且つ視覚的に通信ノードの選択が可能となり、高い操作性を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る空間光通信システムの一実施例の使用形態を示す概略図。
【図2】本実施例の空間光通信システムにおけるデータ光とID光との指向性の相違を示す放射輝度分布図。
【図3】本実施例の空間光通信システムにおける通信端末の光通信を担う要部のブロック構成図。
【図4】本実施例の空間光通信システムにおいて通信経路確立処理の動作手順を示すフローチャート。
【図5】本実施例の空間光通信システムにおける通信ノード選択の方法を説明するための模式図。
【図6】本実施例の空間光通信システムにおける光軸合わせの方法を説明するための模式図。
【図7】本実施例の空間光通信システムにおけるIDデータ読み出し制御を説明するための模式図。
【図8】本実施例の空間光通信システムにおいて通信ノードから出射される光に含まれる各種信号の周波数帯域を示すグラフ。
【図9】本実施例の空間光通信システムにおける手振れ補正処理を説明するための模式図。
【図10】本発明に係る空間光通信システムにおけるIDデータと通信データとの別の重畳方法を説明するための図。
【図11】本発明に係る空間光通信システムにおけるIDデータと通信データとの別の重畳方法を説明するための図。
【図12】本発明の他の実施例による遠隔制御システムの一例の全体構成を示す概念図。
【図13】図12の遠隔制御システムにおける情報端末と各情報機器との間の通信形態を示す概念図。
【図14】図12の遠隔制御システムにおける起動処理シーケンスの説明図。
【図15】図12の遠隔制御システムにおいてユーザーが情報端末上の操作によって情報機器の遠隔制御を行う際の処理の一例の説明図。

【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る情報処理システムを用いた空間光通信システムの一実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
図1は本実施例の空間光通信システムの一使用形態を示す全体概略図である。この例において、操作者の手元には本発明における情報端末として、空間光通信機能を有する携帯電話1があり、この携帯電話1との間で双方向データ通信を行い得る通信ノードとして、パソコン2、デジタルカメラ3、携帯型音楽プレーヤ4が比較的近接して配置されている。携帯電話1、パソコン2、デジタルカメラ3及び音楽プレーヤ4、それぞれID信号を情報として含む光(以下、ID光という)を出射するとともに、画像データ、音声データ等のデータ信号を情報として含む光(以下、データ光)を出射する。
【0038】
図3は、携帯電話1に内蔵される、本実施例に特徴的な光通信を行うための要部のブロック構成図である。携帯電話1は、送光部として、LEDなどの光源300や狭い角度範囲に光を出射するレンズ301を含む高指向性出射光学系である第1送光部30と、LEDなどの光源310や広い角度範囲に拡散光を出射するレンズ311などを含む拡散出射光学系である第2送光部31とを備える。一方、受光部として、受光レンズ101と撮像素子であるイメージセンサ100とを含む撮像光学系である第1受光部10と、受光レンズ111と受光素子110を含むデータ通信光学系である第2受光部11とを備える。イメージセンサ100は微小受光素子が二次元状に配列された、例えばCMOSイメージセンサである。なお、第1送光部30の光源300と第2送光部31の光源310とは単一の素子に集約してもよく、同様に、第1受光部10のイメージセンサ100と第2受光部11の受光素子110とは単一の素子に集約してもよい。
【0039】
電気系回路としては、イメージセンサ100の各微小受光素子から読み出された信号(画素信号)を受けて二次元画像を作成する画像データ処理部13、同じくイメージセンサ100の微小受光素子から読み出された信号(画素信号)に基づいてデータ復調処理等を行ってID(識別)信号を取り出すIDデータ受信処理部12と、受光素子110による検出信号に基づいてデータ復調処理等を行って所望のデータを取り出す通信データ受信処理部14と、IDデータ受信処理部12で得た信号に基づいて当該情報端末と通信ノードとの間での一対一の通信を確立するための各種処理を実行する通信確立制御部15と、通信に係わる各種の制御及び処理を実行する主制御部20と、主制御部20に接続された操作部22及び表示部21と、主制御部20の制御の下に、所定のデータを変調して光源300を駆動する通信データ送信処理部32と、主制御部20及び通信確立制御部15の制御の下に所定のIDデータを変調して光源310を駆動するIDデータ送信処理部33とを備える。
【0040】
なお、各通信ノードも基本的には上記携帯電話と同様の構成の光学系や回路を備えるが、情報端末は通信の際のマスターであるとともに操作者に直接的に操作される機器であり、他方、通信ノードは通信の際のスレーブであるとともに操作者により直接的に操作されない機器であるという本質的な相違に応じて、処理機能が多少異なっている。その点については後述する。
【0041】
図2(a)は、第1送光部30から出射されるデータ光と第2送光部31から出射されるID光との指向性の相違を示す放射輝度分布図である。ID光は拡散光であって、図示するように広い角度範囲をカバーするが、その分だけ受信側での受光強度を高めることが難しく高速でデータを送るのには不適である。それに対し、データ光は高指向性光であってカバーし得る角度範囲は狭いが、受信側での受光強度を相対的に高めて通信速度を上げることが可能となる。なお、本実施例では、光源を別々に設けているため、両光源から発する光は図2(a)に示すように一部が重なるものとなるが、適宜の変形レンズを用いることにより指向性を調節し、図2(b)に示すように、高指向性光成分と拡散光成分とを両方備えるような光を1つの送光部から出射させるようにしてもよい。図2(a)、(b)のいずれにおいても、高指向性光と拡散光の光軸をできるだけ一致させておくほうがよい。
【0042】
次に、本実施例の空間光通信システムにおいて、情報端末である携帯電話1と複数の通信ノードのうちの1つとの間での光によるデータ通信を行うまでの通信経路の確立に関する制御動作を、図4のフローチャートに従って説明する。
【0043】
操作者は携帯電話1のカメラつまり第1受光部10を所望の通信ノードに向け、操作部22で所定の操作を行って表示部21にその通信ノードが含まれる領域の画像を表示させる(ステップMS1)。これは、従来のカメラ付き携帯電話で撮影しようとする被写体像を表示部21の画面に表示させる動作と同じである。携帯電話1に搭載されたカメラを上記通信ノードが配置された位置に向けて画像を取得したとき、その表示画面上には例えば図5(a)に示すような撮影画像が得られる。その状態で、携帯電話1にあって、主制御部20の制御の下に、IDデータ送信処理部33は起動信号光を第2送光部31から送出する(ステップMS2)。これによって起動信号光が表示部21の画面に表示されている広い範囲に向けて放射される。
【0044】
ここでは各通信ノードは起動信号光を常時受信可能なスリープ状態にあり、起動信号光を受けると各通信ノードはそれぞれ起動する(ステップSS1)。そして、起動した各通信ノードは、起動完了信号と各通信ノードに予め割り当てられた固有アドレスとをID光に乗せて送出する(ステップSS2)。各通信ノードから送出されるID光は拡散光であるため、ID光は携帯電話1の置かれた位置に到達する。固有アドレスは例えばIPv6に相当するような長いビット長のアドレスであり、同一のものが存在しないように全ての通信ノードに割り当てられている。なお、各通信ノードは必ずしも始めにスリープ状態となっている必要はなく、例えば電源が投入されている状態では常に起動状態であってもよい。この場合にはステップMS2及びSS1は省略することができる。また、携帯電話1のカメラで撮像する時点で既に通信ノードの位置が認識可能であるから、ステップMS1の処理内容は後述のステップMS3の処理内容に含めることができる。
【0045】
携帯電話1では、各通信ノードから送られて来るID光に含まれる情報に基づいて各通信ノードの位置を認識するわけであるが、その際の特徴的な動作について詳細に説明する。
【0046】
図8は、本システムにおいて通信ノードから出射される光(ID光+データ光)に含まれる各種信号の周波数帯域を示すグラフである。パイロット信号及びID信号はID光に乗せられる信号であり、データ信号はデータ光に乗せられる信号である。パイロット信号はイメージセンサの撮像のフレーム周波数である30Hz又は60Hzの1/2よりも低い周波数であるfpで点滅する(又は強弱する)信号であって、全ての通信ノードに共通の信号である。このパイロット信号の主たる目的は、通信ノードにとっての通信相手である情報端末(本例では携帯電話1)に自らの存在位置を認識してもらうことにある。
【0047】
ID信号はパイロット信号の周波数fpよりも高い1kHz程度の周波数fIDを中心とした周波数帯域を有し、上述したような固有アドレスや起動完了信号、そのほかの各種の情報を含む。但し、基本的には、このID信号には音声データや画像データなど、本来の伝送目的であるデータは含まず(データレートの点からもそうした大量のデータを送信するのは困難である)、データ通信を行うための通信経路を確立するまでに必要な情報のやり取りを行うことを主目的としている。これに対し、データ信号はさらに高い且つ広い周波数帯域を有する。即ち、パイロット信号、IDデータ、通信データは、それぞれ周波数帯域が完全に分離されており、これらが同時に存在したとしても、受信側ではそれぞれの信号を分離して取り出すことができる。
【0048】
上述したようにステップSS2において各通信ノードから一斉に起動完了信号及び固有アドレスを情報として含むID光が送出されるが、このID光には上記のパイロット信号も含まれる。携帯電話1の表示部21の画面には図7(a)に示すような画像が表示された状態にあるが、少なくともこの画像中に含まれるパソコン2、デジタルカメラ3、及び音楽プレーヤ4の発光部から出射したID光は携帯電話1の第1受光部10に入射してイメージセンサ100で捉えられる。画像データ処理部13はイメージセンサ100の全画素信号をフレーム周波数である30Hz毎に読み出すが、パイロット信号はこのフレーム周波数の1/2以下の周波数で点滅しているため、主制御部20は時間的に連続する画像の差分をとることにより又は各画素において周波数フィルタリングを行うことにより、パイロット信号を検出することができる。即ち、図7(a)中で点線で示す位置にパイロット信号が存在することが認識できる。但し、仮に同程度の周期で点滅する発光源が別に存在した場合には、その発光源もパイロット信号であるものと誤認識し得る。
【0049】
次に、今度はパイロット信号が存在すると認識された箇所に限定して画素信号の読み出し速度を上げることによってIDデータを取得する。ここでは階層的絞り込みと呼ぶ手法を用いる。即ち、通信確立制御部15は主制御部20よりパイロット信号が得られた画素の位置情報を取得し、その位置の周辺に所定サイズの読み出し範囲を設定する。そして、IDデータ受信処理部12はその範囲に含まれる画素の信号のみを撮像のフレームレートよりも速いレートで読み出す。その際に、例えば、まず図7(b)に示すように或る程度の大きなサイズの読み出し範囲を設定した状態で240Hz程度のフレームレートで画素信号を読み出し、その画素信号の中でID信号を受けている画素の範囲を絞る。そして、次に図7(c)に示すように読み出し範囲のサイズを縮小した状態で960Hz程度のより高いフレームレートで画素信号を読み出し、ID信号を受けている画素の範囲をさらに絞る。このように読み出す画素の範囲を段階的に絞りながら読み出し速度を上げてゆくことによって、最終的に、ID信号の検出状態が最も良好である少数の画素を特定し、その画素信号をデコードすることによってID信号を取得する。このように読み出し速度を上げたときに読み出し画素を減らすことによって、イメージセンサ100の消費電力の増加を抑制することができる。
【0050】
但し、実際には次のような手振れ補正処理を行うため、ID信号の検出状態が最も良好である1個の画素の検出信号を読み出すのではなく、その周囲の所定範囲の画素の検出信号も常に(又は所定間隔で)読み出すようにする。即ち、携帯電話1は操作者に把持されているため、完全に位置が固定されているわけではなく、無意識の手振れ等による微妙な位置ずれを考慮する必要がある。そこで、例えば図9に示すように、イメージセンサ100の受光面においてID信号の検出状態が最も良好である中心画素の周囲に、所定の範囲の平滑化領域を設定する。この平滑化領域が位置ずれの許容範囲である。この平滑化領域に含まれる画素(中心画素も含む)の信号を読み出した後にそれら画素の全信号を平滑化処理し、その処理結果を信号値としてデコードする。それによって、平滑化領域内でID信号の検出位置が移動しても、何ら問題なくID信号を取得し続けることができる。なお、イメージセンサ自体に、所定の範囲に含まれる複数の画素信号の処理結果を出力できるような機能を持たせてもよい。
【0051】
また、別の手法として、上記のように中心画素の周囲に設定された所定範囲内の画素の信号を読み出し、その信号を比較することによって、常にID信号の検出状態が最も良好である画素を選び直すことも考え得る。即ち、手振れに追従してデコード対象の画素を変更するようにしてもよい。
【0052】
仮に、パイロット信号と同様に点滅する発光源が画像内に存在していた場合、上述したようにこれをパイロット信号であると誤認識する可能性があるが、当然のことながらそうした発光源から到来する光からはIDデータを得ることはできないため、誤認識であることが検知できる。そして、正規の通信ノード(この例では、パソコン2、デジタルカメラ3、携帯型音楽プレーヤ4)からのIDデータを受けて、それぞれの固有アドレスなどを確認する。主制御部20は、撮像画像上で各通信ノードの位置が確認されたならば、図5(a)に示すように、その位置を指し示す矢印記号21aと連番(この例では(1)、(2)、(3)の3箇所)とを撮像画面上に重畳して表示させる(ステップMS3)。なおID光の光源のサイズが大きかったり周囲の物体に映り込んだりしていてが撮影画像上で同一ID光が複数の領域に分散している場合にでも、同一IDを有する複数の通信ノードが存在しないことは分かっているので、それらの分散した領域を統合して同一IDであることを認識し、同一IDを有する通信ノードが表示部21の撮像画面上に複数表示されてしまうことを回避している。
【0053】
それから、所定の順番で、受け取った固有アドレスと各通信ノードに割り当てる一時アドレスをIDデータとして含む光を、IDデータ送信処理部33を介して第2送光部31から拡散光として出射する(ステップMS4)。これは上述したように固有アドレスはビット長が長く伝送に時間が掛かるため、より短いビット長(例えば8ビット、16ビット等)の一時アドレスを各通信ノードに割り当てることにより通信データ量を減らすためである。
【0054】
各通信ノードはそれぞれ、受光したID光に含まれるIDデータを解読して自らの固有アドレスであるか否かを識別することで自分宛のID光であるか否かをチェックする。そして、自分に宛てられたIDデータであると認識すると、その一時アドレスを取得して一時アドレスを受け取ったことを示す確認信号をID光として出射する(ステップSS3)。以降は、通信が終了するまで、各通信ノードを特定するために一時アドレスを使用する。但し、途中で一時アドレスの不整合などのエラーが発生した場合には、固有アドレスを利用して一時アドレスを再発行する処理を行うとよい。或いは、一定時間毎に固有アドレスを利用してエラーチェックを行うようにしてもよい。
【0055】
それから、各通信ノードは一時アドレスとともに位置通知信号をID光として出射する(ステップSS4)。位置通知信号は次のような機能を有する。即ち、データ通信では高指向性光を利用するため、携帯電話1の第1送光部30の光軸上又はその近傍に通信相手の通信ノードが存在している必要があるが、同様に、通信相手の通信ノードにおけるデータ通信用の送光部の光軸上又はその近傍に携帯電話1が位置している必要がある。前者の光軸合わせは操作者が手元の携帯電話1の向きや姿勢を変更すればよいが、後者の光軸合わせは、通信ノード側に自動的に光軸を調整する(つまり送光部の光の出射方向を変更する)機能が備えられていない場合には、携帯電話1を手にした操作者自身が相手側の光軸に合う位置まで移動する必要がある。但し、どの位置まで移動すれば良いのか操作者は正確には分からないから、その情報を与えるために位置通知信号が利用される。
【0056】
即ち、各通信ノードは、図6(a)に示すように、撮影した二次元画像41に対して光軸が合った位置を表す枠体41aが重畳して表示された擬似的な表示画面を有している。ここでいう「疑似的」とは、実際にこうした表示画面が存在するわけではなく、内部的にこうした画面に相当する認識機能を有しているという意味である。この表示画面上において通信相手である携帯電話1の位置を認識し、枠体41aに対する位置関係を認識し、携帯電話1が枠体41a内に入るための移動方向を求める。ここでの移動方向は実際の携帯電話1の移動方向に対応した情報に変換され、これが位置通知信号となる。
【0057】
携帯電話1にあって通信確立制御部15は、各通信ノードからの確認信号又は位置通知信号が戻って来たことを認識すると、図2(b)に示したように表示部21の画面の略中央にノード選択フレーム21bを重畳して表示させる。操作者は画面に表示された複数の通信ノードの中で、通信相手としたい通信ノードがノード選択フレーム21b内に入るように携帯電話1の向きや姿勢を変更する。例えば図2(b)はデジタルカメラ3を通信相手として選択しようとしている状態である。さらに、ノード選択フレーム21b内に入った通信ノードから得られた位置通知信号に基づいて、携帯電話(又は操作者)の移動方向を指示するための情報が画面に重畳して表示される(ステップMS5)。したがって、操作者はその指示に従って位置を移動する。それによって、図6(b)に示すように、通信ノード側から見たときのデータ光の光軸が合うようになる。
【0058】
そして、所望の通信ノードがノード選択フレーム21b内に収まっているときに、操作部22での所定のボタン操作により通信ノードの確定指示を行うと、通信ノードの選択が確定する(ステップMS6)。例えば図2(b)の状態で操作者が通信ノードの確定指示を実行すると、デジタルカメラ3が一対一の通信相手として確定する。ノード選択フレーム21b内に入った通信ノードに対しては第1送光部30の光軸が合っているから、上記のような操作によって携帯電話1と所望の通信ノードとの間のデータ光の光軸が互いに合致する。
【0059】
通信ノードが確定すると、携帯電話1はその通信ノードに対して、その一時アドレスと通信開始信号をID光として送る(ステップMS7)。このとき、他の通信ノードにもこのID光が入射するが、一時アドレスを解読することにより自分宛の信号でないことが直ちに判明するから、通信相手として選択された通信ノードのみが実質的に通信開始信号を受ける。この通信開始信号を受けると、その応答として通信開始受理信号を送信し(ステップSS5)、携帯電話1との間での高速のデータ通信が可能な状態に入る。一方、携帯電話1は通信開始受理信号を受けて、選択された通信ノードとの高速のデータ通信が可能な状態に入る(ステップMS8)。これによって、携帯電話1と選択された通信ノード(ここではデジタルカメラ3)との間のデータ通信の通信経路が確立され、所定の形式に則ったデータ通信が開始される。
【0060】
上記実施例は各種形態に変形することができる。例えば上記実施例ではIDデータと通信データとを周波数帯域を完全に分離することで重畳させていたが、別の方法により両データを重畳させるようにしてもよい。図10及び図11はこうした方法を説明するための図である。
【0061】
図10の例は、所定周波数のキャリア信号に周波数方向の変調(PWM、PFM等)を施すことで相対的に高周波のデータを乗せ、他方、そのキャリア信号に振幅変調を施すことで相対的に低周波のデータを乗せる。例えば、まず、周波数変調でIDデータを送るとともに振幅変調でパイロット信号を送り、データ通信の開始後は周波数変調で通信データを送るとともに振幅変調でIDデータを送るようにすることができる。図11の例では、通信データをパルス信号の位相の相違で0/1を区別するPSKとし、それを一定の時定数を持ったローパスフィルタ(又はバンドパスフィルタ)に通すか否かを切り換えることでパルス信号のパルス幅を変化させてIDデータを重畳する。また、これら以外の方法でもよい。
【0062】
また、上記実施例では、データ通信用の光の出射方向が固定されていたが、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスなどで駆動される超小型ミラーなどを利用して出射方向を高速で変化可能とし、自動的に光軸を調整する構成としてもよい。
【0063】
また、上記実施例の構成のようなシステムでは、例えばID通信又はデータ通信の途中で携帯電話1の向きが一時的に変えられて、通信対象である通信ノードが撮像画面から外れてしまうことが有り得る。また、場合によっては、通信ノード自体が移動することによって撮像画面から外れてしまうことも考え得る。通信対象の通信ノードが撮像画面から外れている時間が或る程度長い場合には通信を打ち切ったと捉えることができるが、例えば数秒程度の短時間、通信対象のノードが撮像画面から外れて、その後に再び撮像画面内に出現したような場合には、先の通信を継続する意図があるものと判断できる。そこで、上記構成では、通信対象の通信ノードの発生するID光が撮像画面内から消えたときに、その通信ノードに対するIDデータを所定時間だけ記憶しておき、その時間内に再び同一の通信ノードが撮像画面内に出現したことを認識したならば、消える前の状態との同一性、連続性を維持できるように復帰処理を実行するとよい。具体的には、消える前と同一の一時アドレスを使用して途切れた時点又は少し遡った時点からの通信を継続するとよい。もちろん、必要に応じてIDデータを記憶しておくだけでなく、一時アドレスと固有アドレスとの対応関係や、それに付随する各種情報を記憶しておくようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施例では、IDデータを利用して通信経路を確立した後にデータ光による光通信で目的とするデータの送受信を行うようにしていたが、データ通信自体は光通信とは別の方法、具体的には無線LAN、Bluetooth(登録商標)などの電波を利用した通信で以て行い、そうした通信を行うための予備的な情報(例えば固有アドレスなど)を取得するために上述したような空間光通信システムを利用するようにしてもよい。
【0065】
即ち、こうした構成では、例えば図1において、情報端末である携帯電話1、通信ノードであるパソコン2、デジタルカメラ3、音楽プレーヤ4は、それぞれID信号を情報として含むID光を出射するとともに、画像データ、音声データ等のデータ信号を情報として含み、所定の形式(又は規格)に則った電波を放射する。そして、図4に示すフローチャートにおいて、通信経路が確立した後には光でなく電波によりデータ通信を実行する。勿論、データ通信を光で行わない場合には、無線通信の機能が必要になる代わりに、高指向性光を出射したり受光したりする構成要素は不要になる。
【0066】
さらにまた、こうした電波無線の機能を搭載している場合には、データ通信にのみ電波を利用するのではなく、IDデータの通信の一部にも電波無線を利用すると都合がよい。具体的には、図4のフローチャートにおいて、ステップSS2における各通信ノードから携帯電話への固有アドレスの送信は空間光通信を利用して行うが、それ以降、つまりステップSS4、SS3、SS4、MS7、SS5、MS8の送受信は全て電波無線により行うようにすることができる。即ち、情報端末である携帯電話が各通信ノードに割り当てられた固有アドレスという識別情報を収集する際には空間光通信を利用し、それ以降は、携帯電話の向きなどの影響を受けない電波無線を利用した通信に切り換えると操作性が高まる。
【0067】
上述したような本発明に係る情報処理システム及び空間光通信システムの一形態として、通信ノードからデータ光やID光を出射する光源として特別に光源を用意するのではなく、各種の家電製品や情報機器がもともと備える例えば電源のオン/オフを示す電源ランプ(LED)を光源として利用することができる。これによれば、内部的な回路の追加は必要であるものの、見かけ上は従来の機器と変わらなくなる。また、同一パッケージ内等で可視光LEDにIR-LEDを追加したLEDを利用してもよい。また、パイロット信号としては赤外光だけでなく可視光を利用してもよいが、その場合には、人間の目にとってちらつきの少ない周波数を利用するとよい。
【0068】
さらにまた、より操作性を高めるために、例えば図5(a)に示すように撮像した画像の中から、通信ノードの物体形状を抽出して切り出し、その切り出し画像を基に画素情報を減らしたり図形化したりしてアイコンを作成して携帯電話のGUI環境上でそのアイコンを利用した処理を行えるようにするとよい。こうした処理を行うためには、各通信ノードのアイコンを作成した後に、各アイコンと元の通信ノードの固有アドレスや一時アドレスとの対応関係を記憶しておけばよい。但し、通信ノードの物体形状を正確に捉えることは実際上困難であるので、例えば通信ノードのID光の位置を中心にした所定サイズの範囲で画像の切り出しを行ったり、ユーザ自身がその切り出し範囲を指定できるようにしたりする等の適宜の変形、簡略化が考え得る。或いは、画像の切り出しを補助したり切り出し範囲のヒントを与えるような情報、例えば通信ノードの形状を示す情報を通信ノードが提供するようなことも考え得る。このような処理を行うことにより、ユーザの眼前の実空間内から入力した情報を携帯電話等の仮想的な空間内で自由に利用することができる。
【0069】
さらにまた、本発明に係る空間光通信システムは必ずしも双方向にデータ通信を行うものだけでなく、一方向のみに光によるデータ通信を行うものにも適用が可能である。
【0070】
次に、本発明に係る情報提供システムの他の実施例として、携帯型の情報端末(携帯電話でもよい)を用いた家庭内の遠隔制御システムについて図12~図15を参照して説明する。図12はこの遠隔制御システムの一例の全体構成を示す概念図である。遠隔制御の中心となる情報端末51のほか、制御対象の情報機器として、DVDレコーダ52、パソコン53、デジタルカメラ54、携帯型音楽プレーヤ55、テレビ56などが家庭内のネットワーク(もちろん、外部のネットワークに接続されていてもよい)50に接続されており、さらにこのネットワーク50にはリソースセンター57も接続されている。但し、ここでいうネットワーク50はこれに接続されている各情報機器が相互にデータ通信可能であることを意味しており、サーバ等の特定の機器を介して接続が達成されるとは限らない。また、ネットワーク50と各情報機器との接続は無線でも有線でもよい。また、制御対象の情報機器も上記記載のものに限らない。
【0071】
リソースセンター57は各情報機器に関するリソースを保存するものである。ここで言うリソースとは、情報機器の個々の定義情報、各情報機器を簡易表示する際の画像、例えばアイコンデータ、情報端末51で各情報機器に対応したユーザーインタフェースを提供したり各情報機器と通信・制御を行ったりするための制御プログラム(典型的にはJAVA(登録商標)アプリ)又はそれに相当する動作記述(具体的にはプログラミング言語によるものでなくマークアップランゲージのようなものでもよい)など、である。リソースセンター57は例えばサーバの機能を有するコンピュータで構成することもできるが、単なるストレージメディア、例えばフラッシュメモリ(具体的にはフラッシュメモリを用いた各種メモリカード)などであってもよい。
【0072】
図12による本実施例のシステム構成を図1の構成と対照すれば、DVDレコーダ52、パソコン53、デジタルカメラ54、携帯型音楽プレーヤ55、テレビ56などの各機器は通信ノードに相当する。但し、これら各情報機器は最低限、それぞれの位置を示すパイロット信号とID信号とを光信号で送出する機能を有しているものの、それ以外のデータ通信などは光通信とは別の上述したネットワーク50を介して行われるようになっている。これら制御対象の情報機器は、パッシブ機器とアクティブ機器とに分けることができる。図中に情報機器Aとして示すパッシブ機器とは、制御信号の受け付けは可能であるが、データ信号の双方向通信はできないものである。これに対し、図中に情報機器Bとして示すアクティブ機器は制御信号の受け付けが可能であるとともに、データ信号の相互通信も可能な機器である(図13(b)参照)。情報端末に対しての光通信によるID信号の送信は、パッシブ機器とアクティブ機器とのいずれも可能である(図13(a)参照)
【0073】
この実施例の遠隔制御システムにおいても、上記実施例と同様に、情報端末51と複数の情報機器のうちの1つとの間でのデータ通信を行うまでに情報機器を起動して通信を確立を必要がある。その際のシーケンスは相手がパッシブ機器であるかアクティブ機器であるのかによって異なる。パッシブ機器に対する起動処理シーケンスについて図14(b)により説明する。
【0074】
まず情報端末51からデータ通信、つまりネットワーク50を介して各情報機器A(パッシブ機器)に対し起動信号を送る。各情報機器Aはこの起動信号を受けると、低周波のパイロット信号が重畳されたID信号を光信号として送出する。ここで、情報端末51は既に説明したような手法でID信号に重畳されているパイロット信号を検出し、それによって携帯電話41の撮像範囲に含まれる情報機器Aの位置を認識し、パイロット信号よりも高速なID信号を受信して復調する。上述のようにID信号には例えばそれぞれの情報機器のベンダー識別コード、製品種別識別コード、製造番号コードなどの固定ID(各機器に固有のID)が含まれるから、携帯電話41はこれによってその情報機器Aを特定する。そして、ネットワーク50を介してリソースセンター57にその特定した情報機器Aについての問い合わせを行い、該当するリソースをダウンロードして内部のメモリに保存する。これによって、情報端末51はその情報機器Aについてのリソースを入手することができる。
【0075】
なお、情報端末51から最初に出される起動信号は必ずしも必須ではないが、その場合には、各パッシブ機器は常時ID信号を光信号として送出している必要がある。一般にこれは消費電力の無駄であるので、起動信号を受けた後に始めて光源を駆動して光信号を出し始めるほうが好ましい。
【0076】
次に、アクティブ機器に対する起動処理シーケンスについて図14(a)により説明する。まず、情報端末51からネットワーク50を介して各情報機器B(アクティブ機器)に対し探索信号を送る。この探索信号は上記起動信号に相当するものである。ここで、探索のためのユーザーの操作としては、情報端末51で起動しているWebブラウザから各情報機器B側で起動しているWebサーバ機能のCGIを利用することにより複数の情報機器Bを1つずつ順番に探すようにしてもよいし、UDP(User Datagram Protocol)を用いて一斉に複数の情報機器Bを探索できるようにしてもよい。
【0077】
各情報機器Bはこの探索信号を受けると、その情報機器Bが有しているプロパティ情報を含む応答信号をネットワーク50を介して情報端末51に送る。情報端末51はこの応答によって周囲(物理的に周囲である場合とネットワーク上で周囲である場合とがあり得る)に存在する制御可能な情報機器Bを認識するとともに、プロパティ情報を参照してリソースセンター57に問い合わせを行い、該当するリソース情報をダウンロードしてきて内部のメモリに一時的に格納する。さらに情報端末51は、応答して来た各情報機器Bにそれぞれ異なるIDを割り当て、その情報を送信する。これは上記実施例の図4中のステップMS4で各通信ノードに一時的に割り当てられる一時アドレスと同等のものである。したがって、このとき各情報機器Bに割り当てられるIDは固定したものでなく、例えば起動の度に変わる可能性のあるものである。
【0078】
次に一時的なIDの割り当てを受けた情報機器Bは、その情報機器Bが有する固定IDを含むID信号を光信号として送出する。送出される情報の内容はパッシブ機器と同じである。したがって、情報端末51は上述したような手法でID信号に重畳されているパイロット信号を検出し、それによって各情報機器Bの位置を認識してパイロット信号よりも高速なID信号を受信して復調する。このときまで、上記のように双方向のデータ通信を行っている情報機器Bがその情報端末51の撮像範囲内に存在するものであるか否かは不明であるが、光信号によるID信号の受信によって撮像範囲内つまり表示画面内に表示される情報機器Bであるか画面外の情報機器Bであるのかが識別できる。
【0079】
続いて、先にプロパティ情報を参照してメモリ内に取り込んだリソースが無効である場合には(例えばキャッシングしているデータ中のプロパティ情報に含まれるバージョンが取得した情報機器Bのプロパティ中のバージョンより古い場合など)、情報端末51からその情報機器Bに対してリソースの送信要求信号を送る。リソース送信要求を受けた情報機器Bは情報端末51に対して保有するリソースを送信する。通常、リソースはID信号等に比べて格段にデータ量が多いため、適宜の圧縮処理を行って送信するとよい。そして、こうして受けたリソースを先にメモリ内に保持してある無効なリソースに代えて記憶し、以降の処理で使用可能とする。なお、JAVAアプリ等の制御プログラムに関するリソースは、特にユーザー操作に関する制御プログラムはダウンロードじた時点ですぐに起動させていつでもそれを用いた操作が可能であるようにしておくと便利である。もちろん、必要に応じて制御プログラムを起動するようにしてもよい。
【0080】
なお、情報端末51の撮像画面内に存在しない情報機器Bからは光信号によるID信号は到来しないから、表示画面内に存在しないことを認識した上で、ネットワーク50を介してID信号を受け取って同様に処理を進めることができる。但し、この遠隔制御システムでは、実際上、ユーザーから見える範囲、つまり情報端末51による撮像範囲内に存在する情報機器を制御する可能性が高いから、撮像範囲内に存在するか否かによって各情報機器に優先順位を付け、優先順位の高い順にリソースの入手を行うことで見かけ上の高速化を図ることができる。
【0081】
上述したような起動処理により、情報端末51は各情報機器A、Bについてのリソースを入手することができる。次に、こうした入手したリソースを用いて、ユーザーが情報端末51上の操作によって情報機器の遠隔制御を行う際の処理について図15により説明する。
【0082】
図15において、情報端末51の表示画面51aの上側部分51bには、その撮像範囲内に存在する3つの情報機器がアイコンC1、C2、C3で以て表示されている。また、表示画面51aの下側部分41cにはこの撮像範囲内には存在しないもののネットワーク50上に存在することが確認されている情報機器がアイコンC4、C5で以て表示されている。これら各情報機器に対応したアイコンも先に入手したリソースに含まれる画像ファイル等のデータに基づくものである。いま、例えばアイコンC1で示される情報機器c1が携帯型音楽プレーヤであり、アイコンC2で示される情報機器c2がステレオオーディオシステムであり、携帯型音楽プレーヤに保存されている音楽ファイルをステレオオーディオシステムに取り込んで音楽再生を行う場合について考える。
【0083】
情報機器c1、c2についてのそれぞれのリソースはユーザーの手元の情報端末51内に保持されているから、アイコンC1について所定の操作を行うことにより、情報機器c1である携帯型音楽プレーヤに保持されている音楽ファイルの情報、例えばアーティスト名、アルバム名(曲名)などを表示させ、ユーザーはその中から所望のものを選択する。こうした操作は上述したようにその情報機器c1に対応したJAVAアプリ等の制御プログラムの上で可能となる。そして、表示画面51a上でアイコンC1を選択してアイコンC2の上まで移動させて重ねる、つまりドラッグ&ドロップに相当する操作を行う。これによって、情報端末51内の情報機器c1、c2のリソースに含まれる応答規定リソースの機能により操作に応じた制御信号が、ネットワーク50を介して各情報機器c1、c2に送られる。
【0084】
各情報機器c1、c2は上記制御信号を受け、それぞれの機器が内蔵するアプリケーション(制御ソフトウエア)の機能により、情報機器c1である携帯型音楽プレーヤに保持されている音楽ファイルが読み出されてネットワーク50を介して情報機器c2であるステレオオーディオシステムに送られ、ステレオオーディオシステムが内蔵するストレージメディアに格納される。さらにステレオオーディオシステムではストレージメディアに保存された音楽ファイルのデータを処理することで音楽を再生する。もちろん、音楽ファイルだけでなく画像ファイルやそのほかの如何なるデータをも送ることができるし、手元の携帯電話41へもこうしたデータを送ることが可能である。
【0085】
以上のように、この遠隔制御システムでは、ユーザーの手元にある情報端末51を非常に高度な且つ汎用性のあるリモートコントローラとして機能させ、周囲の各種情報機器の動作や機器間のデータの送受信などを自在に制御することができる。また、情報端末51の表示画面51aの下側部分51cには撮像範囲外の情報機器のアイコンも表示されており、これを指定して何らかの制御を行うことも可能である。
【0086】
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例にずぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加等を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。

図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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