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明細書 :穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法及び調製装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5300021号 (P5300021)
公開番号 特開2011-115048 (P2011-115048A)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
発行日 平成25年9月25日(2013.9.25)
公開日 平成23年6月16日(2011.6.16)
発明の名称または考案の名称 穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法及び調製装置
国際特許分類 A23K   1/00        (2006.01)
A01K   5/02        (2006.01)
A23N  17/00        (2006.01)
FI A23K 1/00 101
A01K 5/02
A23N 17/00 E
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2009-272663 (P2009-272663)
出願日 平成21年11月30日(2009.11.30)
審査請求日 平成24年10月30日(2012.10.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】石田 三佳
【氏名】川島 知之
【氏名】田島 清
【氏名】大森 英之
個別代理人の代理人 【識別番号】110000626、【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
【識別番号】100118898、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 立昌
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開2007-6751(JP,A)
特開2007-6753(JP,A)
特開2008-284462(JP,A)
特開2009-95329(JP,A)
特開2005-329347(JP,A)
特開2006-121942(JP,A)
調査した分野 A23K 1/00 - 3/04
A01K 5/02
A23N 1/00 - 17/02
特許請求の範囲 【請求項1】
原料となる穀物類を容器内に入れて加水する加水工程と、この加水によって流動性が付与された前記原料を前記容器から引き出して前記容器に戻す循環過程で破砕する循環破砕工程と、破砕された前記原料をベース発酵リキッド飼料に混合する混合工程とを有することを特徴とする穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法。
【請求項2】
ベース発酵リキッド飼料に前記原料を適量混合することで、ベース発酵リキッド飼料のpHを調製することを特徴とする請求項1に記載された穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法。
【請求項3】
前記加水工程に先立って、前記原料を加熱殺菌する加熱殺菌工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載された穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法。
【請求項4】
原料となる穀物類と水が混入される容器と、
前記容器から引き出された前記原料を前記容器に戻す循環流路と、
前記循環流路の途中に設けられ、前記容器から前記原料を引き出して破砕する破砕ポンプと、
ベース発酵リキッド飼料と破砕された前記原料が混合される混合容器と、
前記循環流路の放出先を前記容器から前記混合容器に切り替える流路切り換え手段とを備えることを特徴とする穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、籾米やソフトグレインなどの穀物類を用いて発酵リキッド飼料を調製する調製方法及び調製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家畜、特に豚への給餌方法として知られるリキッドフィーディングは、飼料と水を混合して液状化したものをパイプラインで給餌する技術であるが、食料品の売れ残り残さや食料品製造の過程において廃棄される製造副産物などを原料とすることで、資源の有効活用や飼料コストの削減が可能になることから近年注目されている。また、リキッドフィーディングでは、原料を乳酸菌や乳酸発酵飼料の添加で発酵させた発酵リキッド飼料が使用されており、前述した目的に加えて、プロバイオティック効果によって家畜の健康改善効果も期待されている。
【0003】
また、液状飼料を用いるリキッドフィーディングは、パイプラインを用いた自動給餌システムを構築しやすい利点がある。下記特許文献1には、穀物飼料から穀物溶液を作る工程、穀物溶液を発酵させて発酵飼料を造る工程、発酵飼料を計量して自動給餌する工程を自動化するシステムが記載されており、この従来技術では、飼料供給を行うパイプラインのバルブを自動制御して自動給餌を行い、バルブが故障した場合に飼料移送用のポンプの作動を制限してシステム全体が故障することを回避することなどが示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-6753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食料自給率の向上を進める上で、家畜飼料の自給率を向上させることは重要な改善項目の一つである。昨今の輸入配合飼料価格の高騰によって、国内の家畜農家の経営状況は危機的状況に追い込まれており、輸入配合飼料に頼らないリキッドフィーディングの利用推進に拍車がかかっている。これに対して、リキッド飼料として利用し易い食品残さの量は限られており、リキッド飼料の原料となる資源への競合が高まっている。
【0006】
このような状況の中で、リキッド飼料の原料にはなり得るが利用し難い原料資源から如何に発酵リキッド飼料を得るかが問題になっている。このような原料資源の一つとしては、食料米の生産調整で作付けされる藁専用イネの穀実、飼料米、籾を乾燥しないで有機酸などの添加により調製したソフトグレインなどの穀物類がある。このような穀物類は、穀粒のままでは発酵が進みにくく、発酵リキッド飼料に混合することや、それ自身を発酵リキッド飼料にすることが困難なものである。
【0007】
また、食料品の売れ残り残さや食料品製造の過程において廃棄される製造副産物などを原料とする発酵リキッド飼料は、原料成分に偏りが起こりやすく、前述した穀物類を用いて所望の成分やpHが得られるように調製を行うことができればリキッド飼料の品質向上を図ることができる。しかしながら、生成された発酵リキッド飼料(以下、ベース発酵リキッド飼料)に穀物類を直接混合させても、混合した穀物類が発酵して発酵リキッド飼料全体のpHが十分低下するには時間がかかり、効果的な調製を行うことができない問題がある。
【0008】
また、穀物類を発酵させた場合にはアルコール発酵を起こすことがあり、このアルコール発酵した原料を発酵リキッド飼料に混合することや、それ自身を発酵リキッド飼料にすると、アルコール濃度の高いリキッド飼料になって家畜の成育への悪影響が懸念されるとともに、アルコール発酵によってエネルギが損失する問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、穀物類から円滑に発酵リキッド飼料を得ることができること、成分やpHなどが適正に調製された発酵リキッド飼料を速やかに得ることができること、不要なアルコール発酵を抑制して品質の高い発酵リキッド飼料を得ることができること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明による穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法及び調製装置は、以下の特徴を少なくとも具備するものである。
【0011】
原料となる穀物類を容器内に入れて加水する加水工程と、この加水によって流動性が付与された前記原料を前記容器から引き出して前記容器に戻す循環過程で破砕する循環破砕工程と、破砕された前記原料をベース発酵リキッド飼料に混合する混合工程とを有することを特徴とする穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製方法。
【0012】
原料となる穀物類と水が混入される容器と、前記容器から引き出された前記原料を前記容器に戻す循環流路と、前記循環流路の途中に設けられ、前記容器から前記原料を引き出して破砕する破砕ポンプと、ベース発酵リキッド飼料と破砕された前記原料が混合される混合容器と、前記循環流路の放出先を前記容器から前記混合容器に切り替える流路切り換え手段とを備えることを特徴とする穀物類を用いた発酵リキッド飼料の調製装置。
【発明の効果】
【0013】
このような特徴を有する本発明によると、原料となる穀物類から円滑に発酵リキッド飼料を得ることができる。成分やpHなどが適正に調製された発酵リキッド飼料を速やかに得ることができる。不要なアルコール発酵を抑制して品質の高い発酵リキッド飼料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る発酵リキッド飼料の調製方法を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発酵リキッド飼料の調製装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る発酵リキッド飼料の調製方法を説明する説明図である。本発明の方法は、加水工程S1,循環破砕工程S2,混合工程S3を基本工程としており、必要に応じて加水工程S1に先立って加熱殺菌工程S0を行う。

【0016】
加水工程S1は、原料となる穀物類を容器(タンク)内に入れて水を加える工程である。原料の穀物類に水を加えることで流動性の有る状態にする。原料となる穀物類としては、前述したように、食料米の生産調整で作付けされる藁専用イネの穀実、飼料米、籾を乾燥しないで有機酸などの添加により調製したソフトグレインなどの穀物類が用いられる。

【0017】
循環破砕工程S2は、加水工程S1によって流動性が付与された原料を容器から引き出して再び容器に戻す循環過程で原料に破砕処理を施す工程である。流動化した原料の循環と破砕処理には、後述する湿式の破砕ポンプが用いられる。循環を繰り返す過程で原料の穀物類は細かく粉砕された状態になる。

【0018】
混合工程S3は、破砕された原料をベース発酵リキッド飼料に混合する工程である。ベース発酵リキッド飼料とは、食料品の売れ残り残さや食料品製造の過程において廃棄される製造副産物などを原料として、別工程で生成された発酵リキッド飼料と、前述した循環破砕工程S2を経て得られる原料から生成された発酵リキッド飼料の一方又は両方を指している。何れの場合もベース発酵リキッド飼料に新たに循環破砕工程S2を経た各種原料を混合することで、所望の成分やpHが得られるように調製を行うことが可能になる。この混合工程S2では、ベース発酵リキッド飼料に対して、徐々に循環破砕工程S2を経た穀物類の原料を混合することで、混合された発酵リキッド飼料の成分やpHの変化を確認しながら所望の状態に調製された発酵リキッド飼料を簡易且つ速やかに得ることができる。

【0019】
このような工程を行うに際して、原料がアルコール発酵などの不要な発酵を起こす可能性がある場合には、前述した加水工程S1に先だって加熱殺菌工程S0を行う。加熱殺菌工程S0では、加熱蒸気などを容器内に入れて容器内の温度を80℃程度に維持することで、容器内の原料を殺菌処理する。

【0020】
図2を参照しながら、このような発酵リキッド飼料の調製方法を実現するための調製装置を以下に説明する。この調製装置は、容器(貯留タンク)1、循環流路2、破砕ポンプ3、混合容器(ミキサ・給与タンク)4、流路切り換え手段(三方切り替え弁など)5を基本構成として備えている。また、前述した加熱殺菌工程S0を実行するための蒸気発生装置6を付加的に備えている。

【0021】
容器(貯留タンク)1は、原料となる穀物類と水が混入されて前述した加水工程S1を行うために装備される。容器1内に原料となる穀物類が投入され、更に水が加えられて、流動性のある原料が得られる。容器1には循環流路2が装備されている。循環流路2は、容器1の底部に接続される流出管路21と搬送管路22と帰還管路23とによって形成することができ、帰還管路23の放出先が容器1内に向けられている。このような循環流路2の途中には破砕ポンプ3が装備されている。破砕ポンプ3は、循環流路2内の流れを生じさせて、容器1から原料を引き出して破砕する機能を有する。循環流路2には流路切り換え手段(三方切り替え弁)5が設けられており、一方の切り替え状態では、矢印Aのような循環流路2の流れを形成するように選択された流路が開かれており、この切り替え状態で前述した循環破砕工程S2が実行される。流出管路21には必要に応じて開閉弁20が設けられている。

【0022】
流路切り換え手段5には、混合流路24が接続されており、この混合流路24の放出先が混合容器(ミキサ・給与タンク)4内に向けられている。循環破砕工程S2で容器1内の原料が十分に破砕された状態になると、流路切り換え手段5が切り替えられ、破砕ポンプ3から流出される原料の流れが破線の矢印Bのように切り替えられ、前述した混合工程S3が実行される。混合容器4内には予めベース発酵リキッド飼料が溜められており、その中に循環破砕工程S2を経た穀物類の原料が投入される。この混合容器4内でベース発酵リキッド飼料と穀物類の原料が混合され、所望のpHになるような調製が行われる。所望の調製がなされた後は、開閉弁40を開放して混合容器4から発酵リキッド飼料が給餌ラインに供給される。流路切り換え手段5については図示のような三方切り替え弁を用いる例以外に各種の手段が利用可能であって、例えば、循環流路2の放出先を機械的に容器1から混合容器4に切り替えるものであってもよい。

【0023】
蒸気発生装置6は、ボイラなどで形成され、ダクト60を介して蒸気を容器1内に流入させる。蒸気発生装置6は前述した加熱殺菌工程S0を行う場合に必要に応じて装備される。

【0024】
このような発酵リキッド飼料調製装置によると、比較的簡単な構成でベース発酵リキッド飼料に対して所望の成分やpHになるように調製された飼料を得ることができる。また、これまで使い道が限定されていた藁専用イネの穀実、飼料米、ソフトグレインなどの穀物類を有効に利用して発酵リキッド飼料の調製を行うことができる。

【0025】
本発明の実施形態に係る発酵リキッド飼料調製装置は、養豚家の現場で簡易に稼働させることができるので、工場などで生成された発酵リキッド飼料に対して養豚現場で成分やpHなどの調製をおこなうことができる。特に、稲作地域と養豚場が近接している場合などは、籾米を効率的に利用して発酵リキッド飼料の調製を行うことができるので、地域内流通を実現でき流通コストの削減や資源の有効利用の面で最適である。
【符号の説明】
【0026】
1:容器(貯留タンク),2:循環流路,3:破砕ポンプ,
4:混合容器(ミキサ・給与タンク),
5:流路切り換え手段,6:加熱殺菌工程,
S0:加熱殺菌工程,S1:加水工程,S2:循環破砕工程,
S3:混合工程
図面
【図1】
0
【図2】
1