TOP > 国内特許検索 > アプタマー生成装置、アプタマー生成方法 > 明細書

明細書 :アプタマー生成装置、アプタマー生成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5156905号 (P5156905)
公開番号 特開2008-263856 (P2008-263856A)
登録日 平成24年12月21日(2012.12.21)
発行日 平成25年3月6日(2013.3.6)
公開日 平成20年11月6日(2008.11.6)
発明の名称または考案の名称 アプタマー生成装置、アプタマー生成方法
国際特許分類 C12N  15/115       (2010.01)
C12M   1/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 H
C12M 1/00 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願2007-111240 (P2007-111240)
出願日 平成19年4月20日(2007.4.20)
審査請求日 平成22年3月10日(2010.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】300090846
【氏名又は名称】株式会社ライフテック
発明者または考案者 【氏名】武居 修
【氏名】澁谷 昌樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100112689、【弁理士】、【氏名又は名称】佐原 雅史
【識別番号】100128934、【弁理士】、【氏名又は名称】横田 一樹
審査官 【審査官】白井 美香保
参考文献・文献 特表2002-534985(JP,A)
特開平11-326276(JP,A)
国際公開第2004/097014(WO,A1)
特開昭63-296685(JP,A)
特開平09-098797(JP,A)
Biotechnol. Prog.,1998年,vol.14,pp.845-850
Nucleic Acids Research,2005年,vol.33 no.4 e45,pp.1-10
BIO INDUSTRY,2003年,vol.20 no.7,pp.68-76
METHODS,2005年,vol.37,pp.4-15
調査した分野 IPC
C12N 15/00-15/90

DB名
CA/BIOSIS/MEDLINE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
PubMed
CiNii
WPI

特許請求の範囲 【請求項1】
反応容器としての複数連のチューブにおいて、処理洗浄で淘汰を行うアプタマー生成装置であって、
汰回数を、分注機に把持されるチップによる洗浄液供給回数によって前記複数連のチューブ毎に変えられるようにすると共に、前記複数連のチューブが個別に必要とする淘汰回数に対応させて、洗浄液入りの複数のチップをチップホルダの複数の孔部空孔を含む状態で予め装填しておき、
前記分注機が、前記チップホルダにおける前記チップの有無の状態を許容しながら、複数の前記チップをまとめて把持することを特徴とするアプタマー生成装置。
【請求項2】
反応容器としての複数連のチューブにおいて、処理洗浄で淘汰を行うアプタマー生成方法であって、
淘汰回数を、分注機に把持されるチップによる洗浄液の供給回数によって前記複数連のチューブ毎に変えられるようにすると共に、前記複数連のチューブが個別に必要とする淘汰回数に対応させて、洗浄液入りの複数のチップを、チップホルダの複数の孔部に空孔を含む状態で予め装填しておき、
前記分注機が、前記チップホルダにおける前記チップの有無の状態を許容しながら、複数の前記チップをまとめて把持することを特徴とするアプタマー生成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、一本鎖DNAのライブラリからSELEX(Systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法による淘汰(洗浄)と、PCR(Polymerase chain reaction)法による増幅を繰り返してターゲットと結合するDNAアプタマー(aptamer)を取得する生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプタマー生成方法においては、固定化用の磁気ビーズを用いて、磁気ビーズを好むDNAを予め排除する前処理洗浄を行った後に、後処理洗浄をSELEX法により、複数の淘汰(洗浄)を行ない、淘汰圧が高い条件下で生成したアプタマーを得るようにしている(以下「従来技術」という)。この淘汰に用いられるチップホルダAは、図14に示すように、横に8本、縦に12本のチップBが直立状態に装填されている。淘汰を行う場合には、チップホルダAからチップ把持部Cにより一回分の淘汰に必要な横8本のチップBを同時に取り上げて把持し、試薬槽に移動してチップBによって洗浄液を吸引した後、8本のチューブDの上方に移動して全チップBから洗浄液を同時に注入する方法で行っている。例えば、淘汰を4回行う場合には、順次淘汰回数を重ねる毎に横8本のチップBを同時に取り上げてチューブDに注入していくことで行われるようにしている。なお、図14において、黒丸はチップがチップホルダAに装填されている状態を示し、白丸はチップBが取り上げられて空になった状態を示す。
【0003】
淘汰を行う他の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1に記載の技術は、アフィニティーカラム装置(磁気ビーズに対応する)、PCRサーマルサイクラー装置、アプタマー分離精製装置、および各装置を順次に連結して各装置からの回収物を次工程に送る移動装置を有し、オリゴヌクレオチド混合物からアフィニティーカラム装置を介して特定したアプタマー候補分子をPCRサーマルサイクラー装置中で増幅し、このPCR生成物からアプタマー分離精製装置によって目的のアプタマーを選別し、回収する構成を有する。これにより、オリゴヌクレオチドの混合物をアフィニティー選別し、得られた目的アプタマーをPCR装置にて増幅した後、分離精製機に通して精製する一連の工程を繰り返すことにより、高純度のアプタマーが得られるようにしている。

【特許文献1】特開2001-61475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、4回の淘汰(洗浄)を行うチューブが仮に1本必要である場合に、他の7本のチューブDは無駄となり、その結果、チップBを不必要に消費する。また、通常は淘汰回数と必要本数とが異なるアプタマーを生成する場合には、チップの不必要となる消費が増大するだけでなく、チップ把持部CによるチップBの取り上げ工程もそれに応じて増加し、ひいてはアプタマー生成に要する作業時間が厖大になるという問題がある。
【0005】
例えば、4回の淘汰を行ったチューブと、5回の淘汰を行ったチューブと、6回の淘汰を行ったチューブを用意するためには、全体として3回のアプタマー生成工程を必要とし、淘汰作業だけでも合計15回も必要となるという問題がある。
【0006】
また、上記の特許文献1に記載の技術は、高速液体クロマトグラフ等の分離精製装置を設けることで、サーマルサイクラーで増幅されたアプタマー候補分子を含む混合液を精製するようにしているため、装置全体が複雑で、大がかりなものとなり、また、煩瑣な操作を要し、コストが嵩張るといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記技術的課題に着目してなされたものであり、複雑で煩瑣な操作を要することがなく、莫大な労力を低減し、コスト安価でアプタマー生成の時間を大幅に低減可能なアプタマー生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、反応容器としての複数連のチューブにおいて、処理洗浄で淘汰を行うアプタマー生成装置であって、淘汰回数を、分注機に把持されるチップによる洗浄液供給回数によって前記複数連のチューブ毎に変えられるようにすると共に、前記複数連のチューブが個別に必要とする淘汰回数に対応させて、洗浄液入りの複数のチップをチップホルダの複数の孔部空孔を含む状態で予め装填しておき、前記分注機が、前記チップホルダにおける前記チップの有無の状態を許容しながら、複数の前記チップをまとめて把持することを特徴とする。
(2)また、本発明は、反応容器としての複数連のチューブにおいて、処理洗浄で淘汰を行うアプタマー生成方法であって、淘汰回数を、分注機に把持されるチップによる洗浄液の供給回数によって前記複数連のチューブ毎に変えられるようにすると共に、前記複数連のチューブが個別に必要とする淘汰回数に対応させて、洗浄液入りの複数のチップを、チップホルダの複数の孔部に空孔を含む状態で予め装填しておき、前記分注機が、前記チップホルダにおける前記チップの有無の状態を許容しながら、複数の前記チップをまとめて把持することを特徴とする。
【0009】
これによれば、分注機はチップホルダに装填されたチップだけを引き上げて(取り上げて)把持するので、チップを把持した位置に対応するチューブにだけ洗浄液が注入され、それ以外のチップを把持しないチューブには洗浄液の注入が停止される。これにより、選択的な淘汰を実行できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チューブラックに保持された反応容器としての複数連のチューブが必要とする淘汰の目標回数に応じて、分注機から洗浄液を選択的に注入する。このため、淘汰圧(条件)を臨機応変に変化させることができ、淘汰圧にばらつきある淘汰作業であっても、より短時間で作業を達成でき、この結果、より多くのターゲットに対応したアプタマーを短時間で容易に創成することができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を参照して詳述する。図1は実施形態のアプタマー生成方法に適用されるアプタマー生成装置1の外観斜視図、図2は該アプタマー生成装置1の内部における平面図、図3は該アプタマー生成装置1のブロック図である。アプタマー生成装置1は、その前面上部にタッチパネル2が設けられ、後述するシーケンサ23を中心とする電子回路が組み込まれ、タッチパネル2から入力される制御信号がシーケンサ23やコンピュータ24へ出力するようになっている。アプタマー生成装置1はウィンドゥが嵌め込まれ、外部雰囲気から内部を遮断していて、外部天井面に設けたクリーンユニット3により内部環境を清浄な状態に維持する。また、アプタマー生成装置1内部の天井部には、分注手段の一部である分注機4、およびアプタマーや洗浄液の入ったチューブを把持するロボットハンド5が移動可能に懸垂される。分注機4には、後述するチップホルダ8の孔部に立てて差し込まれたチップ32を抜き取って保持する図示されないチップ把持部が設けられる。ロボットハンド5は一対のハンド部でなり、これらハンド部の間隔を狭めることで後述するチューブラック33などの両側縁を把持し、間隔を広げることで把持したチューブラック33などを離したりする。なお、チップラック33には、チップの有無を検出する図示されないチップ検出センサが設けられている。
【0020】
アプタマー生成装置1内部の作業台7には、淘汰圧を可変にしてアプタマーを自動的に創成するに必要となる機構要素として、チップを縦横にマトリックス状に立てて配列保持するチップラック(チップホルダ)8、DNAを洗浄する反応容器としてのチューブ(反応チューブ)9、該チューブ9を振動して攪拌するミキサユニット10,磁気手段を昇降させる磁気昇降ステージ11,チューブ9に被せたチューブ蓋を取り外す蓋取ステージ12,取り外した該チューブ蓋を置くためのチューブ蓋ラック置場13,PCR産物を4℃の温度条件下で保管するPCR産物保管槽14,PCR試薬を4℃の条件下で調整する調整ステージ15、試薬槽16,自動開閉扉付きのアンモニア槽17、チップ廃棄口18,廃液槽19,自動開閉扉と温度調節付きのPCR本体20、試薬槽置場21,および試薬槽22が設けられている。上記分注機4やロボットハンド5は、図2に示す天井部に設けた案内レール6に沿ってコンピュータによるシーケンス制御にしたがって3次元空間を自由に移動制御される。従って、このアプタマー生成装置1は、分注機4やロボットハンド5が、アプタマー生成処理プログラムにより、上記所定のステージや種々の機構要素へ移動して動作し、後述する所用の前処理洗浄や後処理洗浄が実行できるようになっている。なお、アプタマー生成装置1の内部には蛍光灯、および殺菌灯なども配備されている。
【0021】
アプタマー生成装置1の自動制御システムは、図3に示すブロック図で構成され、シーケンサ23を中心として上記アプタマー生成装置1における適宜の機構要素を制御する。シーケンサ23には、入力インターフェース、出力インターフェース、プログラム、データ格納部が設けられる。入力インターフェースには、上記タッチパネル2と演算部としてのコンピュータ24とが接続される。タッチパネル2は種々のスイッチやキーが設けられ、これらを操作することで種々の制御条件を入力したり、プログラムを変更したりできるようになっている。また、パネル2からはコンピュータ24へも制御条件が入力できるようになっていて、これによりシーケンサ23内部のデータ格納部のデータやプログラムを書き換え変更して設定できる。タッチパネル2から入力される制御条件に応じてプログラムが実行され、演算処理された結果が出力インターフェースから出力され、アプタマー生成処理の手順が実行される。
【0022】
また、入力インターフェースには、分注機7の図示されないチップ把持部に設置したチップセンサからの検出信号が入力される。これにより、チップセンサがチップホルダ8にチップが保持されているか、保持されない空状態であるかを検出し、チップの存在が検出されたチップは、分注機4のチップ把持部により把持されてチップホルダ8から取り出されるようになっている。
【0023】
なお、仮に検出結果と、予め設定された淘汰条件に不一致がある場合には、その場で動作を停止し、エラーを表示するようにすることも可能である。
【0024】
一方、出力インターフェースには、8連タイプの分注機7、ロボットハンド5,PCR20、磁気昇降ユニット25、蓋取りユニット26,冷却試薬槽16,25%アンモニア槽17、およびPCR産物保管槽14などが接続される。これにより、出力インターフェースから出力された制御信号により、これら制御対象が制御され、所定のアプタマー生成処理が行われる。
【0025】
図4は、淘汰圧を可変する方法を説明する図である。分注手段の一構成要素であるチップホルダ8は、12行8列のマトリックス状に配列されたチップ32を保持する孔部を有し、横一列に8個の孔部(以下、「8連の孔部」ともいう)が、また、縦方向に12列の孔部が並べられ、合計で96個の孔部が設けられている。黒丸で示した部分はチップ32を示し、白丸の部分はチップ32が存在しない空の孔部を示す。
【0026】
チップホルダ8の各行ごとにおける8連の孔部には、淘汰の目標回数に応じてスポイト状のチップ32が、空孔を含むような状態でセットされる。具体的に図4には、後述するチューブラック33に保持される8連のチューブ34の洗浄回数(淘汰回数)を左側から順に4,3,2,1,4,3,2,1回に設定する場合を示す。、図4(a)は、チップホルダ8の一ライン目のチップ32列を用いて淘汰を行う1回目の淘汰工程、同(b)は二ライン目のチップ32列を用いて淘汰を行う2回目の淘汰工程、同(c)は三ライン目のチップ32列を用いて淘汰を行う3回目の淘汰工程、同(d)は四ライン目のチップ32列を用いて淘汰を行う4回目の淘汰工程である。なお、淘汰における洗浄水の注入工程は上記のシーケンサ23により処理が実行されていく。淘汰圧(淘汰回数)可変の注入工程を可能にするために、チップラック8には、その最も左側の縦の列から右側の縦の列の順に、4本、3本、2本、1本、4本、3本、2本、1本のチップ32が先頭ライン位置から順番にセットされるようになっている。なお、淘汰回数(洗浄回数)は、装置が稼働する前にタッチパネル2で任意に入力して設定しておくことで、設定条件とチップ32の配置状態が一致しているか否かを検出できる。
【0027】
こうして、淘汰1回目では、第1行の孔部の全部に保持されたチップ32が分注機4のチップ把持部により把持されてチップホルダ8から取り出される。取り出されたチップ32は、分注機4によりチューブラック33の真上の位置まで移動し、次いで下降移動してチップ32の先端部がチューブ34に進入し、エア圧を作用させてチップ32内の洗浄水をチューブ34に注入するようになっている(注入工程)。図4において、洗浄水が注入されたチューブは、黒色で表示した。なお、洗浄水は食塩水などが好ましいが、これ以外のものであってもよい。また、食塩水濃度は適宜に変えてもよく、これにより種類を2種類以上に分けて使用することも可能である。
【0028】
淘汰2回目も、上記と同様にして第2行の孔部に立てて保持されているチップ32だけが分注機で持ち上げられて搬送され、図4(b)のように対応するチューブ34に洗浄水が注入される。同(c)では第3行の、(d)では第4行のチップ32がそれぞれ取り上げられ、注入工程を経て最終的に同(e)に示すように、それぞれ淘汰の目標回数に到達した8本のチューブ34が得られる。こうして、チップホルダ4に立てて保持されるチップ32のうち、第1行の孔部には、淘汰1回目の洗浄を行うチューブ34に対応させてチップ32が配置され、第2行には、淘汰2回目の洗浄を行うチューブ34に対応する孔部にチップ32が配置される。すなわち、淘汰2回目の洗浄を行わない孔部にはチップ32はセットしない。第3行には淘汰3回目の洗浄を行うチューブ34に対応する孔部にチップ32が配置され、第4行には淘汰4回目の洗浄を行うチューブ34に対応する孔部にチップ32が配置される。換言すると、チップホルダ8上のチップ32の配列を各列についてみると、各チューブ34の淘汰回数に応じた本数のチップ32を予め先頭行からセットしていくことで、同一の淘汰工程内で、チップ32の供給回数をチューブ34毎に個別に変化させながら、淘汰が実行されていくこととなる。
【0029】
こうして、チップ32の存在しないチューブ34には、洗浄液の注入が停止され、チップが存在する位置のチューブ34にだけ淘汰が実施される。これにより、分注機4が、8連の全てのチップ32に注入用エアを同時に吹き込ませる構造であっても、チップ32の有無によって、各チューブ34に洗浄液が独立して注入することができ、淘汰圧を可変にしてアプタマーを生成できるようになっている。
【0030】
図5では、後処理洗浄に使用される8本のチューブ34と、これらチューブを保持するチューブラック33と、各チューブ34の蓋をするチューブ蓋35と、これらチューブ蓋を保持するチューブ蓋ラック36とが示されている。チューブラック33に配置される8連のチューブ34の間隔およびチューブ蓋ラック36に配置される8個のチューブ蓋35の間隔は、上記のチップホルダ8に形成した孔部の間隔とほぼ同じになるように設定される。図5(b)のように、チューブ蓋ラック36をチューブラック33に重ねることで、チューブ34がチューブ蓋35により蓋をされ、外部から不純物が混入したり、内部の液が飛び出したりしないようになっている。なお、37,38は位置決めピンであり、重ねたときに位置決めピン38がチューブラック33に形成した孔に係合することで、2つのラック33,36が位置ズレしないようになっている。これらのラック33、36は、ロボットハンド5で把持され、例えば、図2,図6に示すように、磁気昇降ステージ11の近傍に設けた一対の支持台38に搬送され、図7に示す状態でセットされる。なお、チューブラック33の位置決めピン37は、支持台38に設けた位置決め孔39に係合し、チューブラック33およびチューブ蓋ラック36が支持台38に位置決めされる。
【0031】
上記の磁気昇降ステージ11は、図示されない昇降機構により作業台7に対して上下に移動可能に形成されるとともに、磁石40を有する孔41がチューブ34の保持間隔と同じ間隔で設けられる。また、作業台7には、磁気昇降ステージ11を跨ぐ位置まで進行し、進行位置から後退する作用部材42が設けられる。作用部材42には、チューブラック33が上方へ浮き上がらないように押えつける第1押え部43と、第2押え部44が設けられる。第1押え部43はチューブ蓋35を取り外す場合に使用され、第2押え部44はチューブ蓋35を取り外した後のチューブラック33を真上から押える場合に使用されるように形成される。第2押え部44は、図6(b)に示すように、長孔部45の下方に伸びるスカート部で形成され、チューブラック33に着座したときに、チューブラック33から首を出すチューブ34に干渉することがなく、かつ、長孔部45の存在によりチップ把持部に保持されたチップ32の下降が許容されるようになっている。また、第1、第2両押え部43,44および長孔部45には、チューブ34に干渉しない円弧状の逃げ用凹部46,47が形成される。
【0032】
したがって、図7の状態にあるチューブ蓋ラック36を引き上げる場合には、作用部材42の第1押え部43をチューブラック33とチューブ蓋ラック36との間に側部から進入させてチューブラック33を押える。この状態において、ロボットハンド5でチューブ蓋ラック36を両側から挟持し、上方に引き上げることでチューブ蓋35が図5(a)のように取り外すことができる。この蓋取り外し処理は、磁気昇降ステージ11の支持台38で行ったが、磁気昇降ステージ近傍の作業台7に別の支持台を設け、この支持台でチューブ蓋を取り外すようにすることも勿論可能である。
【0033】
淘汰を行う場合には、その事前準備として作用部材42は磁気昇降ステージ11を跨ぐ位置まで移動させる。作用部材42を下降させ、第2押え部44でチューブラック33を上から押しつけ、この状態で淘汰が行われる。支持ステージ11近傍の上記別の支持台でチューブ蓋を取り外す形態の場合には、一旦、ロボットハンド5でチューブラック33を両側から把持し、それを磁気昇降ステージ11の支持台38へ移動させてから第2押え部44で押えるようにするとよい。
【0034】
かかる押しつけ状態や上記のチューブ蓋35の取り外しは、磁気昇降ステージ11の支持台38で行ったが、磁気昇降ステージ11に隣接した作業台7に別の支持台を設け、ここで行う前処理洗浄の処理でも行われるようにしてもよい。
【0035】
上記の磁気昇降ステージ11は、該ステージが上昇することでチューブ34が孔41に包み込まれる。これにより、孔41に取付けた磁石40の磁場がチューブ外部から印加され、磁性を有する磁気ビーズが磁石40に引き寄せられる。かかる機能を利用して淘汰を効率的に実行できるように構成している。磁気ビーズの吸着が終わると磁気昇降ステージ11は、下降して作業台7の面とほぼ同じ高さの状態に復帰する。上記した種々の動作(手順)はシーケンサ23により実行される。
【0036】
次に、アプタマー生成方法の処理手順を図2,図8~図13を参照して説明する。図8は、SELEX法でタンパク結合DNA(アプタマー)が回収されるサイクルを示し、図9~図13はアプタマー生成のプロトコル図である。なお、図9~図13中における□枠内の数字は生成過程のステップを示すものとする。ステップ1からステップ5までは前処理洗浄工程であり、ステップ6以降のステップは後処理洗浄工程を示す。また、本実施形態における各処理工程における処理時間、分注容量、処理温度などの各条件の一例については、各図に記載した通りである。
【0037】
図9はライブラリ混合、ビーズ非特異排除工程を示し、スタート時において、事前に色々な配列構造を有する一本鎖のDNA(ssDNA)と、磁気ビーズを好むDNAを固定するための磁気ビーズを用意する。ssDNAをチューブ内でPCR装置20により増幅し(ステップ0-1~ステップ0-3)、ステップ1でこれに固定化用の磁気ビーズを分注した後、ミキサユニット10によりチューブを加振して内部を攪拌し(ステップ2)て磁気ビーズを好むDNAを磁気ビーズを磁石40に固定する。ステップ3において、磁気昇降ステージ11の磁石40(図7参照)を用いて、磁気ビーズを好むDNAと共にを磁気ビーズをチューブ34の内壁に固定した状態で、ステップ4において、チューブ34から溶液だけを吸引し、その溶液を別の容器(チューブ)に分注してPCR装置20で増幅させることで前処理洗浄(プレ洗浄)が行われる。これにより、非特異吸着による洗浄(すすぎ)が終わる(ステップ5)。これは図8のS1に相当する。
【0038】
後処理洗浄工程の最初のステップとなるステップ6において、癌細胞等のターゲット(タンパク)付きの固定化磁気ビーズを分注し(図8のS2に相当)、PCR装置により増幅させた後、ミキサーにて攪拌し(ステップ7)、磁気昇降ステージ11で磁気ビーズをチューブ34の内壁に固定した状態で(ステップ8)、内部の溶液を吸引して(ステップ8)、それを廃液槽19へ廃棄する(ステップ10)。これにより、淘汰一回目の洗浄が終わり(図8のS3に相当)、磁気ビーズ側に、目的のタンパク結合DNAを残留させることができる。
【0039】
図10はターゲット(タンパク)と混合、淘汰、PCR工程を示し、同図において、上記で得られたタンパク結合DNAにBinding bufferA(生理食塩水等)を分注してから(ステップ11)、攪拌し(ステップ12)、磁気昇降ステージ11にて磁気ビーズを吸着させ(ステップ13)、内部の溶液を廃液する(ステップ14~15)。こうして、淘汰2回目の洗浄によるタンパク結合DNAを回収できることとなる(ステップ15)。
【0040】
以下同様にして、例えば、淘汰8回目の洗浄を実施する場合には、再びステップ11に戻って行う。ステップ12~15は淘汰圧が可変であるので、これらステップを繰り返して実行することで淘汰8回目の洗浄によるタンパク結合DNAを得ることができる。本実施形態ではすすぎ回数(淘汰回数)を8回の場合で説明したが、勿論これに限定されるものでないことは言うまでもない。なお、この淘汰圧を可変にするのは、既に図4等で説明した手法による。
【0041】
ステップ16-1においてPCR試薬調整ステージ15でPCR溶液を分注した後、攪拌し(ステップ17-1)、PCR工程で増幅させる(ステップ18-1)。
【0042】
図11はPCR産物回収、保存、ビチオン固定工程を示し、同図においてステップ19で攪拌してPCR産物を得て、磁気昇降ステージ11にて磁気ビーズを吸着させてから(ステップ20)、内部の溶液を吸引し(ステップ21)、その溶液を別の容器に分注し(ステップ22)、新規チップを投入して吸引し(ステップ23)、できたPCR産物を保管槽14に分注して回収保存する。PCR産物に新規チップを投入してBinding BufferBを分注し(ステップ26)、攪拌(ステップ27)、磁気ビーズ吸着(ステップ28)、溶液の吸引(ステップ29)を経て溶液を廃液する(ステップ30)。こうして、ビチオンを固定できる。
【0043】
図12はビチオン固定、一本鎖DNA(single strand DNA)化工程を示し、ステップ31で新規チップを投入し、Binding BufferCを分注し、攪拌(ステップ32)、磁気ビーズ吸着(ステップ33)、溶液吸引(ステップ34)、溶液廃液(ステップ35)を経た後、ステップ36で新規チップを投入してBinding BufferCを分注する。その後、蓋取ステージ12にて攪拌し(ステップ37)、磁気昇降ステージ11にてビーズの吸着(ステップ38)、溶液の吸引(ステップ39)を経て溶液を廃液する(ステップ40)。DNAの一本鎖化が可能となる。
【0044】
図13はssDNA化、ライブラリ再調整工程を示し、蓋取ステージ12で新規チップを投入してからアンモニアを分注し(ステップ41)、攪拌処理を経て(ステップ42)、ステップ43で磁気ビーズを吸着させ、内部溶液を吸引して(ステップ44)、それを別の容器に分注して増幅し(ステップ45)、乾燥させる(ステップ46)。これにBinding BufferAを分注してPCR装置20で増幅させ(ステップ47)、攪拌し(ステップ48)てからステップ6に復帰し、ライブラリ再調整工程に戻される。このように一本鎖化したDNAを一本鎖DNAライブラリに戻すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、8連分注機におけるチップ有無を変えることにより、淘汰圧(条件)を変えることができる。チップホルダに装填されるチップを淘汰回数に見合うように有無を調整して装填することで、淘汰圧にばらつきある淘汰を複雑で煩雑な操作を要することなくシーケンス制御により短時間で自動化して実施できる。また、より多くのターゲットに対応したアプタマーを容易に創成することができる利点もある。
【0046】
以上、本発明を実施形態により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
【0047】
例えば、チップの間違いを発見した場合には、エラー表示をタッチパネル2の表示画面に表示させ、あるいはアプタマー生成装置そのものの稼働を自動停止するようにしてもよい。
【0048】
また、淘汰圧(条件)設定は、アプタマー生成装置が稼働する前に設定することで、洗浄回数を設定するようにしてもよく、また稼動中も設定できるようにすることが望ましい。
【0051】
更に上記実施形態では、DNAによるアプタマーを生成する場合に限って例示したが、本発明はそれに限定されず、RNAやペプチドのアプタマーを生成する場合にも用いることが可能である。
【0052】
また、上記では8連タイプのチューブの場合について説明したが、これに限定されないのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、各種素材によるアプタマーを製造する装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態におけるアプタマー生成方法に適用されるアプタマー生成装置1の外観斜視図である。
【図2】該アプタマー生成装置の内部における平面図である。
【図3】該アプタマー生成装置1のブロック図である。
【図4】アプタマー生成過程のおける淘汰圧可変の方法を示す作用説明図である。
【図5】チューブラックとチップラックの相関関係を示す正面拡大図である。
【図6】磁気昇降ステージと作用部材との相関関係を示す外観斜視図である。
【図7】チューブラックと、チップラックと、作用部材と、磁気昇降ステージとの相関関係を示す外観斜視図である。
【図8】SELEXサイクルにおける洗浄淘汰工程を説明する概念図である。
【図9】ライブラリ、磁気ビーズ非特異排除工程を説明するプロトコル図である。
【図10】淘汰及びPCR工程を説明するプロトコル図である。
【図11】PCR産物回収、保存、ビチオン固定工程を説明するプロトコル図である。
【図12】ビチオン固定、一本鎖DNA化工程を説明するプロトコル図である。
【図13】一本鎖DNA化、ライブラリ再調整工程を説明するプロトコル図である
【図14】従来技術における説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 アプタマー生成装置
2 タッチパネル
3 クリーンユニット
4 分注機
5 ロボットハンド
6 案内レール
7 作業台
8 チップホルダ
11 磁気昇降ステージ
20 PCR本体
32 チップ
33 チューブラック
34 チューブ
40 磁石
42 作用部材
43 第1押え部
44 第2押え部
50 ピペット
51 タンク
53 電磁弁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13