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明細書 :Ni基金属ガラス合金

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5321999号 (P5321999)
公開番号 特開2009-079268 (P2009-079268A)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
発行日 平成25年10月23日(2013.10.23)
公開日 平成21年4月16日(2009.4.16)
発明の名称または考案の名称 Ni基金属ガラス合金
国際特許分類 C22C  45/04        (2006.01)
FI C22C 45/04 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2007-250255 (P2007-250255)
出願日 平成19年9月26日(2007.9.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年3月27日 社団法人 日本金属学会発行の「日本金属学会講演概要」に発表
審査請求日 平成22年6月17日(2010.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】井上 明久
【氏名】張 偉
【氏名】羌 建兵
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
【識別番号】100148127、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 耕太
審査官 【審査官】岸 智之
参考文献・文献 特開2007-005120(JP,A)
J.H.Na , W.T.Kim , D.H.Kim , S.Yi,Bulk metallic glass formation in Ni-Zr-Nb-Al alloy systems,Materials Letters,Elsevier,2004年,Vol.58,p.779-p.782
調査した分野 C22C 45/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
Ni100-a-b-cZrAlNb(a、b、cはそれぞれZr、Al、Nbの原子%で、10≦a≦35、2.5≦b≦15、5≦c≦25、30≦a+b+c≦5
5を満たす値である。)で示される組成に、さらに、Hf、Ta、Co、Cu及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が25原子%以下含有されていて、
過冷却液体領域における結晶化開始温度とガラス遷移温度との温度間隔ΔTxが40K以上であり、
液相線温度に対するガラス遷移温度の比で定義される換算ガラス化温度が0.57以上であることを特徴とする、Ni基金属ガラス合金。
【請求項2】
ガラス遷移温度と液相線温度との和に対する結晶化開始温度の比が、0.385以上であることを特徴とする、請求項1に記載のNi基金属ガラス合金。
【請求項3】
希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を5原子%以下含有することを特徴とする、請求項1に記載のNi基金属ガラス合金。
【請求項4】
Cr、V、Mo及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を5原子%以下含有することを特徴とする、請求項1に記載のNi基金属ガラス合金。
【請求項5】
請求項1~の何れかに記載のNi基金属ガラス合金からなり、直径が1mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の棒状でなることを特徴とする、金属ガラス合金。
【請求項6】
請求項1~の何れかに記載のNi基金属ガラス合金からなり、厚さが0.1mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の板状でなることを特徴とする、金属ガラス合金。
【請求項7】
2700MPa以上の圧縮破断強度を有し、700以上のビッカース硬度を有することを特徴とする、請求項に記載の金属ガラス合金。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はNi基金属ガラス合金に関する。さらに、詳しくは、大きなガラス形成能を有し加工性及び機械的な性質に優れたNi基金属ガラス合金に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融状態の合金を急冷することにより薄帯状、フィラメント状、粉粒体状など種々の形状を有する非晶質固体が得られることがよく知られている。非晶質合金薄帯は、大きな急冷速度の得られる単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で作製することができるので、これまでにもFe系、Ti系、Co系、Zr系、Cu系、Pd系又はNi系について多くの非晶質合金が得られ、優れた機械的性質、高い耐腐食性等の非晶質合金特有の性質が明らかにされてきた。
【0003】
例えば、Ni基非晶質合金では、Ni-Pd-Si-B-Al合金(特許文献1参照)、Ni-P-B合金(特許文献2参照)、RNi系高硬度合金(RはTa、Nb又はWの1種以上、TはTi又はZrの1種以上であり、rは35~65原子%、sは25~65原子%、tは15原子%以下であり、r、s、tの総和は100である。特許文献3参照)、Ta-Ni,Ta-(Ti,Nb,W)-Ni系高耐食性合金(特許文献4)などが知られている。このようなNi基非晶質合金は他の非晶質合金と比べて高い結晶化温度を有するため、高耐熱性を有する新しいタイプの非晶質として構造材料や化学材料などの分野への応用が期待されている(特許文献5)。
【0004】
しかしながら、これらのNi基非晶質合金は液体急冷法を用いて薄帯状、粉末状、細線状などのものしか得られておらず、高い熱的安定性を有しないことから最終製品形状へ加工することも困難であり、工業的にも用途が限定されていた。
【0005】
このような状況下において、非晶質合金をバルク状で作るという夢を実現したのが「金属ガラス」である。すなわち、ガラス形成能が非常に高い合金が1980年代にPd-Si-Cu合金で見出された。その後1990年になってから、実用的な合金組成でガラス形成能が非常に高い合金が見出された。一般に「非晶質合金」では加熱によりガラス転移点に到達する前に結晶化が進行してしまい、ガラス転移は実験的には観察できない。これに対して、「金属ガラス」では加熱によって明瞭なガラス転移が観察され、結晶化温度までの過冷却液体領域の温度範囲が数十Kにも達することが判明している。
【0006】
このような物性を有する金属ガラスにより、初めて、冷却速度の遅い銅などの金型に鋳込む方法によってバルク状の非晶質合金を作ることができるようになった。このような非晶質合金が特に「金属ガラス」と呼ばれている理由は、金属でありながら、酸化物ガラスのように安定な非晶質で、高温で容易に塑性変形、すなわち粘性流動することができるためである。
【0007】
金属ガラスは非晶質形成能が高くガラス相からなっているので、銅からなる金型を用いた鋳造法等により溶湯から過冷却液体状態において冷却凝固することで、より寸法の大きなバルク状の金属鋳造体を製造することができる。また金属ガラスは過冷却液体状態に加熱すると合金の粘性が低下するために閉塞鍛造などの方法により任意形状に塑性加工することができる。このように、金属ガラスは高い非晶質形成能や塑性加工性を有する。金属ガラスは、これらの特性を有しない従来のアモルファス薄帯やファイバーなどの非晶質合金とは本質的に異なる材料であり、その有用性も非常に大きい。
【0008】
本発明者らは、非晶質形成能、加工性、機械的強度に優れたNi-P-M(MはTi,Zr,Hf,Nb又はTaの1種以上である。)系Ni基金属ガラス合金を開発した(特許文献5参照)。2003年にはNi-Nb-Sn基金属ガラス合金を開発し(非特許文献1参照)、2005年にはガラス安定性、加工性及び機械的性質に優れたNi-Ta-Zr-Ti基金属ガラス合金を開発した(特許文献6参照)。
【0009】

【特許文献1】特開平6-25807号公報
【特許文献2】特開平9-143642号公報
【特許文献3】特公昭60-28899号公報
【特許文献4】特公平6-15706号公報、
【特許文献5】特開2000-87197号公報
【特許文献6】特開2005-298858号公報
【非特許文献1】APPL. PHYS. LETT., 82 (7), 1030-1032, FEB. 17(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
金属ガラスの分野におけるNi基非晶質合金の研究は、従来主として磁気的性質及び耐食性に着目して行われてきた。Ni-非金属(Si,B,P,C)系非晶質合金は、主に単ロール液体急冷法により作製された薄帯状試料で研究がなされた。しかしながら、実用的な使用に適する大形状のNi基非晶質合金、換言すれば非晶質形成能に優れたNi基金属ガラス合金に関する研究開発があまり進んでいなかった。
【0011】
例えば、前述のNi-P-M系Ni基金属ガラス合金には多量のPが含まれているので、この合金の溶解は困難であるという課題がある。また、Ni-Nb-Sn基金属ガラス合金は高いガラス形成能を有しているが、優れた機械的性質を兼ね備えていない。このように、従来のNi基金属ガラス合金は、高い熱的安定性、大きなガラス形成能、優れた加工性及び優れた機械的性質を兼ね備えていなかった。
【0012】
特許文献6に開示されているNi-Ta-Zr-Ti基金属ガラス合金は、臨界直径が1.5mmのバルクガラス材しか形成できず、大きな非晶質形成能を有さないので機械的性質、非晶質性能性の点で問題がある。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑み、大きな非晶質形成能を有し、優れた加工性、機械的性質、耐食性を兼ね備えたNi基金属ガラス合金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、大きな非晶質形成能を有し、優れた加工性、機械的性質、耐食性を兼ね備えたNi基金属ガラス合金について鋭意研究を行った結果、45~70原子%Ni、11~34原子%Zr、2~14原子%Al、6~24原子%Nbの特定組成を溶融し、液体状態から急冷凝固させることで、40K以上の過冷却液体領域△Tx、0.57以上の換算ガラス化温度(Tg/Tl)及び0.385以上のγ値(Tx/(Tg+Tl))を示すNi基金属ガラス合金を見出した。さらに、このNi基金属ガラス合金が大きな非晶質形成能を有し、優れた加工性、機械的性質、耐食性を兼ね備えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のNi基金属ガラス合金は、Ni100-a-b-cZrAlNb(a、b、cはそれぞれZr、Al、Nbの原子%で、10≦a≦35、2.5≦b≦15、5≦c≦25、30≦a+b+c≦55を満たす値である。)で示される組成を有し、さらに、Hf、Ta、Co、Cu及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が25原子%以下含有されていて、過冷却液体領域における結晶化開始温度とガラス遷移温度との温度間隔ΔTxが40K以上であり、液相線温度に対するガラス遷移温度の比で定義される換算ガラス化温度が0.57以上であることを特徴とする。

【0016】
ガラス遷移温度と液相線温度との和に対する結晶化開始温度の比は、0.385以上であることが好ましい希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素は5原子%以下含有されることが好ましい。Cr、V、Mo及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素は5原子%以下含有されることが好ましい。

【0017】
本発明の金属ガラス合金は上記の何れかに記載のNi基金属ガラス合金からなり、直径が1mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の棒状でなることを特徴とする。

【0018】
本発明の金属ガラス合金は上記の何れかに記載のNi基金属ガラス合金からなり、厚さが0.1mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の板状でなることを特徴とする。
【0019】
上記棒状の金属ガラス合金は、好ましくは、2700MPa以上の圧縮破断強度を有し、700以上のビッカース硬度を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のNi基金属ガラス合金は、40K以上の過冷却液体領域を示し、高強度及び高硬度の性質を有している。よって、各種の製造方法を用いて直径が1mm以上の棒状又は厚さ0.1mm以上の板状からなる金属ガラスを、容易に作製することができる。このため、Ni基金属ガラス合金は大きな非晶質形成能、優れた加工性、優れた機械的性質及び耐食性を兼備しているので、小型精密機器部品や配管、燃料電池用メタルセパレータの素材として実用上有用となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明におけるNi基金属ガラス合金は、Ni100-a-b-cZrAlNbの組成式で示される。ここで、a、b、cは原子%で、10≦a≦35、2.5≦b≦10、5≦c≦25、30≦a+b+c≦55の関係を満たす値である。
また、過冷却液体領域における結晶化開始温度Txとガラス遷移温度Tgとの温度間隔ΔTx(=Tx-Tg)は40K以上であり、液相線温度Tlに対するガラス遷移温度Tgの比(=Tg/Tl)で定義される換算ガラス化温度は0.57以上である。このとき、ガラス遷移温度Tgと液相線温度Tlとの和に対する結晶化開始温度Txの比、即ちγ値(=Tx/(Tg+Tl))は、0.385以上である。
なお、以下の説明においては、Ni100-a-b-cZrAlNbからなる組成のガラス合金を、組成を示さない場合にはNi-Zr-Al-Nb金属ガラス合金又は単にNi基金属ガラス合金と呼ぶことにする。
【0022】
本発明における金属ガラス合金は、直径が1.0mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の棒状でなるか、又は厚さが0.1mm以上で非晶質相の体積比率が90%以上の板状でなる。この金属ガラス合金は、圧縮破断強度が2700MPa以上の優れた機械的性質を有している。
【0023】
ここで、「過冷却液体領域」とは結晶化に対する抵抗力、すなわち非晶質の安定性及び加工性を示すもので、本明細書では、毎分40Kの加熱速度で示差走査熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)を行うことで得られるガラス遷移温度Tgと結晶化温度Txの差で定義される値である。
「換算ガラス化温度」とは非晶質形成能を示すもので、本出願では、ガラス遷移温度Tgと合金液相線温度Tlの比で定義されるものである。合金液相線温度Tlは毎分20Kの加熱速度で示差熱量分析(DTA:Differential Thermal Analysis)を行うことにより得られる値である。
γ値は、非晶質形成能と非晶質の安定性との総合的性質を示す数値である。
【0024】
以上のように、本発明のNi-Zr-Al-Nb系金属ガラス合金は、従来のNi基金属ガラス合金と比べて広い組成範囲で、過冷却液体領域Txが40K以上であり、換算ガラス化温度Tg/Tが0.57以上であり、γ値が0.385以上であり、優れた加工性と非晶質形成能を有し、かつ優れた機械的性質を有する。
【0025】
さらに、本発明のNi基金属ガラス合金について説明する。
本発明のNi基金属ガラス合金において、Zr、Al、Nbは本発明の合金の基幹となる元素群であり、特に非晶質を形成する基本となる元素である。Zrの組成範囲は、15原子%超40原子%以下で、好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Alの組成範囲は、2.5原子%以上15原子%以下で、好ましくは5原子%以上10原子%以下、さらに好ましくは5原子%以上10原子%以下である。Nbの組成範囲は、2.5原子%以上15原子%以下で、好ましくは5原子%以上10原子%以下、さらに好ましくは5原子%以上10原子%以下である。これらの元素は合計で15原子%以上45原子%以下の組成範囲とする。本発明のNi基金属ガラス合金の組成は、上記の組成範囲を外れると非晶質形成能が低下するので好ましない。
【0026】
ここで、Ta、Ti、Hf、Co、Cuよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素がNi基金属ガラス合金に添加されていることで、過冷却液体領域が広くなり、強度及び硬度が増大するので好ましい。この際、添加割合は2.5原子%以上10原子%以下が好ましい。25原子%を超えると過冷却液体領域が狭くなり、非晶質形成能が低下するので好ましくない。
【0027】
また、少量の希土類元素よりなる群から選択される1種又は2種以上の元素がNi基金属ガラス合金に添加されていると、過冷却液体域の広さは増大するので好ましい。その際、添加割合は5原子%を超えると非晶質形成能が劣化するため、添加する場合は5原子%以下が好ましい。
【0028】
少量のCr、V、Mo、WがNi基金属ガラス合金に添加されていると強度が向上する。逆に添加し過ぎると非晶質形成能が劣化する。このため、Cr、V、Moを添加する場合は5原子%以下が好ましい。
【0029】
本発明のNi基金属ガラス合金は、溶融状態から公知の単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で冷却固化させ、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状の非晶質固体である板状とすることができる。
【0030】
本発明のNi基金属ガラス合金は大きな非晶質形成能を有するため、上述の公知の製造方法のみならず、溶融金属を金型に充填鋳造することにより任意の形状の金属ガラス合金を得ることもできる。例えば、代表的な金型鋳造法においては、合金を石英管中でアルゴン雰囲気中に溶融した後、溶融金属を0.5~1.5kg・f/cmの噴出圧で銅製などの金型内に充填凝固させることで鋳造体としての金属ガラス合金を得ることができる。さらに、ダイカストキャスティング法及びスクイズキャスティング法などの製造方法を適用することもできる。
【0031】
本発明におけるNi基金属ガラス合金では、その組成範囲において、0.2mm以上の断面積を有する線状の金属ガラス合金や、0.1mm以上の厚さを有する板状の金属ガラス合金が容易に得られた。金属元素より構成される合金は非晶質化することにより一般にその機械的性質が向上するが、本発明のNi基金属ガラス合金においては、塊状試料で2700MPaを超える圧縮破壊強度を持つものが容易に得られ、塑性伸びをも示した。塊状の金属ガラス合金の圧縮破壊強度は、具体的には断面積が0.2mm以上の場合、2700MPa以上である。
【0032】
本発明の金属ガラス合金が棒状である場合、非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は、DSCを用いて結晶化の際の発熱量を測定し、完全非晶質化した厚さ約20μmの薄帯試料との比較により評価することができる。この場合、体積比率を90%以上とすることができる。
【実施例1】
【0033】
原料合金をアーク溶解法で溶融状態とし、単ロール液体急冷法により実施例1の薄帯試料を作製した。具体的にはNi62.5Zr17.5Nb15Alの原料合金を石英管中でアルゴン雰囲気中において1300~1600Kの温度で再溶融した後、溶融金属を0.2~0.5kg・f/cmの噴出圧で銅製ロールの表面に噴射することで薄帯試料を作製した。このとき、ロールの回転速度を35m/秒とした。
【0034】
作製した薄帯試料の厚みは約20μmであった。作製した薄帯試料のガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Txを示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社、DSC6310)で測定した。ガラス遷移温度Tgは848Kであり、結晶化開始温度Txは905Kであった。これらの値より過冷却液体領域を算出すると、57Kであった。液相線温度Tlを示差熱分析器(ティー・エイ・インスツルメント社、STDQ600)で測定した。液相線温度Tlは1447Kであった。この測定結果から算出すると、換算ガラス化温度Tg/Tlは0.586であり、γ値は0.394であった。
【実施例2】
【0035】
原料合金をNi60Zr17.5Nb17.5Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは853K、結晶化開始温度Txは894K、過冷却液体領域は41Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.616、γ値は0.400であった。
【実施例3】
【0036】
原料合金をNi60Zr22.5Nb12.5Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは836K、結晶化開始温度Txは902K、過冷却液体領域は66Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.609、γ値は0.409であった。
【実施例4】
【0037】
原料合金をNi55Zr25Nb10Al10とした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは830K、結晶化開始温度Txは871K、過冷却液体領域は41Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.593、γ値は0.391であった。
【実施例5】
【0038】
原料合金をNi62.5Zr17.5Nb17.5Al2.5とした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは849K、結晶化開始温度Txは911K、過冷却液体領域は62Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.600、γ値は0.402であった。
【実施例6】
【0039】
原料合金をNi60Zr30NbAlとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは820K、結晶化開始温度Txは877K、過冷却液体領域は57Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.598、γ値は0.400であった。
【実施例7】
【0040】
原料合金をNi60Zr20Nb17.5Al2.5とした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは841K、結晶化開始温度Txは891K、過冷却液体領域は50Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.604、γ値は0.399であった。
【実施例8】
【0041】
原料合金をNi60Zr20Nb15Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは842K、結晶化開始温度Txは896K、過冷却液体領域は54Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.611、γ値は0.403であった。
【実施例9】
【0042】
原料合金をNi60Zr20Nb12.5Al7.5とした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは843K、結晶化開始温度Txは894K、過冷却液体領域は51Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.577、γ値は0.388であった。
【実施例10】
【0043】
原料合金をNi60Zr15Ti10Nb10Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは833K、結晶化開始温度Txは888K、過冷却液体領域は55Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.595、γ値は0.397であった。
【実施例11】
【0044】
原料合金をNi60Zr10Ti10Nb15Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは836K、結晶化開始温度Txは891K、過冷却液体領域は55Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.593、γ値は0.397であった。
【実施例12】
【0045】
原料合金をNi60Zr25Nb10Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは830K、結晶化開始温度Txは902K、過冷却液体領域は72Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.605、γ値は0.409であった。
【実施例13】
【0046】
原料合金をNi51CoCuZr20Nb15Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは836K、結晶化開始温度Txは891K、過冷却液体領域は55Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.570、γ値は0.0.385であった。
【実施例14】
【0047】
先ず母合金をアーク溶解法で作製し、その後で銅製の金型を用いた金型鋳造法により棒状合金を作製した。具体的には、Ni62.5Zr17.5Nb15Alの母合金を1300~1600Kの温度で再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径1mmの棒状試料を作製した。
【0048】
作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。この試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は、DSCを用いて結晶化の際の発熱量を完全非晶質化した厚さ約20μmの薄帯試料との比較により評価したところ、体積比率は100であった。
【0049】
作製した棒状試料のガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、過冷却液体領域(Tx-Tg)、液相線温度Tl、換算ガラス化温度Tg/Tlの値(以下、ガラス特性と呼ぶ)を測定したところ、合金組成が同一の実施例1の薄帯試料と同じ値が得られた。
【0050】
また、棒状試料を試験片として圧縮試験及び硬度試験を行った。
インストロン型試験機(インストロン4204)を用いて円柱状の試験片を上下から挟んで一軸方向に加圧して圧縮試験を行い、圧縮破壊強度σを評価したところ、圧縮破壊強度は2900MPaであった。このとき試験片は直径1mmで長さ2mmであった。ビッカース試験機(明石製作所製)を用いて試験片の硬度試験を行った。測定条件は、荷重25g、荷重時間15秒とした。試験片のビッカース硬度は780であった。
【実施例15】
【0051】
原料合金をNi60Zr17.5Nb17.5Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例2の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2930MPaであり、ビッカース硬度は790であった。
【実施例16】
【0052】
原料合金をNi60Zr22.5Nb12.5Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例3の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は、100であった。圧縮破壊強度は2850MPaであり、ビッカース硬度は765であった。
【実施例17】
【0053】
原料合金をNi55Zr25Nb10Al10とした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例4の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2780MPaであり、ビッカース硬度は750であった。
【実施例18】
【0054】
原料合金をNi62.5Zr17.5Nb17.5Al2.5とした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例5の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2870MPaであり、ビッカース硬度は780であった。
【実施例19】
【0055】
原料合金をNi60Zr30NbAlとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例6の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2780MPaであり、ビッカース硬度は745であった。
【実施例20】
【0056】
原料合金をNi60Zr20Nb17.5Al2.5とした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例7の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2840MPaであり、ビッカース硬度は766であった。
【実施例21】
【0057】
原料合金をNi60Zr20Nb15Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例8の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2900MPaであり、ビッカース硬度は780であった。
【実施例22】
【0058】
原料合金をNi60Zr20Nb12.5Al7.5とした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例9の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2930MPaであり、ビッカース硬度は789であった。
【実施例23】
【0059】
原料合金をNi60Zr15Ti10Nb10Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例10の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2780MPaであり、ビッカース硬度は750であった。
【実施例24】
【0060】
原料合金をNi60Zr10Ti10Nb15Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例11の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2950MPaであり、ビッカース硬度は795であった。
【実施例25】
【0061】
原料合金をNi60Zr25Nb10Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例12の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2800MPaであり、ビッカース硬度は753であった。
【実施例26】
【0062】
原料合金をNi51CoCuZr20Nb15Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の実施例13の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は3010MPaであり、ビッカース硬度は817であった。
【0063】
次に比較例を示す。
(比較例1)
原料合金をNi60Zr35Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは809K、結晶化開始温度Txは843K、過冷却液体領域は34Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.597、γ値は0.30であった。
【0064】
(比較例2)
原料合金をNi65Zr25Nb10とした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは855K、結晶化開始温度Txは887K、過冷却液体領域は32Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.594、γ値は0.386であった。
【0065】
(比較例3)
原料合金をNi60Zr10Nb25Alとした点を除いて、実施例1と同様に薄帯試料を作製し測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは873K、結晶化開始温度Txは900K、過冷却液体領域は27Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.616、γ値は0.393であった。
【0066】
(比較例4)
原料合金をNi50Zr35Nb10Alとした点を除いて、実施例2と同様に薄帯試料を作製し、測定評価を行った。ガラス遷移温度Tgは791K、結晶化開始温度Txは818K、過冷却液体領域は27Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tlは0.539、γ値は0.362であった。
【0067】
(比較例5)
原料合金をNi60Zr35Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の比較例1の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2740MPaであり、ビッカース硬度は739であった。
【0068】
(比較例6)
原料合金をNi65Zr25Nb10とした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の比較例2の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は2950MPaであった。
【0069】
(比較例7)
原料合金をNi60Zr10Nb25Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の比較例3の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は100であった。圧縮破壊強度は3000MPaであり、ビッカース硬度は790であった。
【0070】
(比較例8)
原料合金をNi50Zr35Nb10Alとした点を除いて、実施例14と同様に棒状試料を作製し、測定評価を行った。作製した棒状試料の非晶質化をX線回折法により確認した。作製した棒状試料のガラス特性は、合金組成が同一の比較例4の薄帯試料と同じ値が得られた。試料中に含まれる非晶質相の体積比率(Vf-amo.)は20であった。
【0071】
表1は実施例1~13及び比較例1~4の結果を纏めたものであり、表2は実施例14~26及び比較例5~8を纏めたものである。表1及び表2から明らかなように、何れの実施例で作製した組成のガラス合金でも、過冷却液体領域が40K以上であり、換算ガラス化温度が0.57以上であり、かつγ値が0.385以上であり、直径1mmから3mmの金属ガラス合金棒が容易に得られた。
【表1】
JP0005321999B2_000002t.gif
【表2】
JP0005321999B2_000003t.gif

【0072】
図1は、Ni-Zr-Nb-Al系合金からなる金属ガラスのDSC曲線を示す図であり、縦軸は熱量、横軸は温度(K)である。なお、通常のDSC曲線で相転移が起きる現象を調べる際には発熱反応が観測されるのに対し、金属ガラスでは吸熱反応が生起する過冷却液体領域を意識して、縦軸の下向き矢印で吸熱と表現している。
図1から、Ni60Zr20Nb15Al(実施例8)、Ni60Zr25Nb10Al(実施例12)の何れも、830K、842Kでガラス遷移温度Tgとなり、896K、902Kで結晶化開始温度となる。
【0073】
図2は、実施例8のNi60Zr20Nb15Al系合金におけるX線回折強度を示す図で、縦軸はX線回折強度、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度である。図2から、実施例8の金属ガラスでは40~42°にX線回折強度のピークがあるが、直径が大きくなるに従いピーク強度が大きくなることが分かった。
【0074】
これに対し、比較例1及び比較例5のNi60Zr35Al系合金では基幹元素Nbを含有しておらず、何れも過冷却液体領域が40K未満になり、大きなガラス形成能を持っておらず、実施例1~13のような厚い薄帯状や実施例14~26のような直径の大きな棒状の金属ガラスが得られなかった。
【0075】
比較例2及び比較例6のNi65Zr25Nb10系合金では実施例の基幹元素であるAlを含有しておらず、何れも過冷却液体領域が40K未満になり、大きなガラス形成能を持っておらず、実施例1~13のような厚い薄帯状や実施例14~26のような直径の大きな棒状の金属ガラスが得られなかった。
【0076】
比較例3及び比較例7のNi60Zr10Nb25Al系合金では、Zr量は10%以下であるので、過冷却液体域が40K未満になり、大きなガラス形成能を持っておらず、実施例1~13のような厚い薄帯状や実施例14~26の直径の大きな棒状の金属ガラスが得られなかった。
【0077】
比較例4及び比較例8のNi50Zr35Nb10Al系合金では、Zr量が25%以上含有されているので、過冷却液体域が40K未満になり、大きなガラス形成能を持っておらず、実施例1~13のような厚い薄帯状や実施例14~26のような直径の大きな棒状の金属ガラスが得られなかった。
【0078】
表2から分かるように、実施例14~26の何れの金属ガラス合金でも、圧縮破断強度が2700MPa以上であり、ビッカース硬度が700以上であった。
【0079】
図3は、実施例21のNi60Zr20Nb15Al系合金の圧縮試験における応力-歪み曲線の測定例である。縦軸は応力(Mpa)、横軸は歪みである。図に示す直線は負荷時の応力である。試料は直径2mmの棒状で、最大応力は2900MPaであった。図3から明らかなように、歪みが増加すると応力が増加している直線領域では弾性変形領域であり、この直線の傾きから求めたヤング率Eは152GPaであった。歪み(ΔL/L)が0.02以上では応力がほとんど変化しない塑性領域であり、この塑性領域が比較的広いことから延性がよいことが分かった。また、図から除荷時の応力が0となる歪み、所謂塑性歪が約2.5%であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のNi基金属ガラス合金は、強度と耐磨耗性が要求される小型精密機器部品及び耐食性が要求される配管、燃料電池用メタルセパレータなどに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】Ni-Zr-Nb-Al系合金からなる金属ガラスのDSC曲線を示す図である。
【図2】実施例8のNi60Zr20Nb15Al系合金におけるX線回折強度を示す図である。
【図3】実施例21のNi60Zr20Nb15Al系合金の圧縮試験における応力-歪み曲線の測定例である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2