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明細書 :光学活性ヒドロキシメチル化化合物の製法及びそのための触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4911528号 (P4911528)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月4日(2012.4.4)
発明の名称または考案の名称 光学活性ヒドロキシメチル化化合物の製法及びそのための触媒
国際特許分類 C07C  45/72        (2006.01)
C07C  49/82        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 45/72
C07C 49/82
B01J 31/22 Z
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2007-500589 (P2007-500589)
出願日 平成18年1月27日(2006.1.27)
国際出願番号 PCT/JP2006/301293
国際公開番号 WO2006/080425
国際公開日 平成18年8月3日(2006.8.3)
優先権出願番号 2005022643
優先日 平成17年1月31日(2005.1.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年9月13日(2007.9.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】眞鍋 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】神野 将志
参考文献・文献 特開2001-252570(JP,A)
Shunpei ISHIHARA et al.,Journal of the American Chemical Society,2004年,126(39),pp.12236-12237
Kei MANABE et al.,Tetrahedron,2003年,59,pp.10439-10444
Shu KOBAYASHI et al.,ORGANIC LETTERS,2005年,7(21),pp.4729-4731
調査した分野 C07C 45/72、49/82
CASREACT/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
水溶液中又は水と有機溶媒との混合溶媒中で、下式(化2)
【化2】
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(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基またはフェニル基を表す)で表されるキラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体と、BiYで表されるルイス酸(式中、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF、ClO、SbF、PF又はOSOCFを表す。)とを混合させて得られる触媒の存在下で、下式(式1)
【化1】
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(式中、R~Rは水素原子、脂肪族、炭化水素基、単環又は多環の脂環式炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂族炭化水素基、あるいは複素環基を表し、RとRはそれぞれ異なり、Rは水素原子以外であり、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す)で表されるケイ素エノラートとホルムアルデヒドとを反応させることを含む、光学活性ヒドロキシメチル化化合物の製法。
【請求項2】
(前記キラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体/前記ルイス酸)で表されるモル比を2.5以上とする請求項に記載の製法。
【請求項3】
さらに2,2'-ビピリジンを添加剤として加える請求項1又は2に記載の製法。
【請求項4】
下式(化2)
【化2】
JP0004911528B2_000025t.gif
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基またはフェニル基を表す)で表されるキラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体と、Bi(OTf)とを混合させて得られ
下式(式1)
【化1】
JP0004911528B2_000026t.gif
(式中、R~Rは水素原子、脂肪族、炭化水素基、単環又は多環の脂環式炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂族炭化水素基、あるいは複素環基を表し、RとRはそれぞれ異なり、Rは水素原子以外であり、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す)で表されるケイ素エノラートとホルムアルデヒドとの反応に用いる触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、光学活性ヒドロキシメチル化反応に関し、より詳細には、水溶媒中での光学活性ヒドロキシメチル化化合物の製法及びそのための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
不斉炭素上にヒドロキシメチル基を有する多くの有用化合物やその中間体が知られている。従来、これら光学活性ヒドロキシメチル化化合物の合成法として、入手が容易な光学活性化合物からの誘導化法(非特許文献1)や光学分割法(非特許文献2,3)、ジアステレオ選択的不斉合成反応(非特許文献4)などが用いられてきた。近年、不斉合成法の進歩により触媒的不斉ヒドロキシメチル化反応の報告も増えつつあるが、基質一般性、収率、立体選択性などに問題が残されている(非特許文献5~7、特許文献1)。
ところで、ホルムアルデヒドは、有機合成において1炭素増炭素反応の最も重要な求電子剤であり、ヒドロキシメチル化反応においてもホルムアルデヒドをルイス酸で活性化する方法がしばしば用いられてきた。しかしながら、有機溶媒中で反応を行うためには、ホルムアルデヒド重合体から熱分解により発生させる必要があり、安全性や利便性の点で問題が大きい。また、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリンは安価で取り扱いも容易であるが、通常のルイス酸は加水分解を受けやすいため、ホルマリンをルイス酸によって活性化することは困難である。
【0003】
近年、本発明者らは、希土類金属塩が水溶液中でルイス酸として安定に機能することを見出し、水溶液中でのヒドロキシメチル化反応を達成した(非特許文献8)。さらに、本発明者らは、最近、キラルスカンジウム錯体がホルマリンを用いた水溶液中での触媒的不斉ヒドロキシメチル化反応に有効であることも見出している(非特許文献9)。
一方、ビスマス塩は高いルイス酸性を有しており、反応の種類によっては(特に水溶液中の反応)、スカンジウムよりも優れた触媒活性を示すことが知られている。しかも、ビスマスカチオンはほとんど無毒であり、スカンジウムよりも安価である。しかしながら、ビスマス塩を用いる触媒的不斉反応としては、塩化メチレン中でのアルデヒドのトリメチルシリルシアニドによるシアノ化反応が唯一知られているに過ぎない(非特許文献10)。
【0004】

【非特許文献1】Kaku, K. et al., Chem.Pharm.Bull., 46, 1125(1998).
【非特許文献2】Wu, C. et al., Tetrahedron, 57, 9575(2001).
【非特許文献3】Kumar, R. et al.,Bioorg. Med. Chem., 9, 2643(2001).
【非特許文献4】Reynolds, A. et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 12108(2003).
【非特許文献5】Ito, Y. et al., Chem. Commun., 1998, 71.
【非特許文献6】Yamamoto, H. et al., Synlett, 2003, 2219.
【非特許文献7】Cordova, A. et al., Tetrahedron Lett., 45, 6117(2004).
【特許文献1】特開2002-200428号公報
【非特許文献8】kobayashi, S. et al., Chem. Lett., 1991, 2187.
【非特許文献9】Ishikawa, S. et al. J. Am. Chem. Soc., 126, 12236(2004).
【非特許文献10】Wada, M. et al., Tetrahedron: Asymmetry, 8, 3939(1997).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなことから、本発明は、水系溶液中でホルムアルデヒドを求電子剤として用いた場合に、広い基質一般性を有し、高収率かつ高立体選択的に光学活性ヒドロキシメチル化化合物を製造する方法及びそのための触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明者らは、ホルマリン等のホルムアルデヒドを求電子剤としたケイ素エノラートとのアルドール反応を検討した結果、ビスマス塩と光学活性なビピリジン化合物とから調整される不斉触媒を用いることにより、該反応が高収率かつ高立体選択的に進行することを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
即ち、本発明は、水溶液中又は水と有機溶媒との混合溶媒中で、下式(化2)
【化2】
JP0004911528B2_000002t.gif
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基またはフェニル基を表す)で表されるキラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体と、BiYで表されるルイス酸(式中、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF、ClO、SbF、PF又はOSOCFを表す。)とを混合させて得られる触媒の存在下で、下式(式1)
【化1】
JP0004911528B2_000003t.gif
(式中、R~Rは水素原子、脂肪族、炭化水素基、単環又は多環の脂環式炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂族炭化水素基、あるいは複素環基を表し、RとRはそれぞれ異なり、Rは水素原子以外であり、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す)で表されるケイ素エノラートとホルムアルデヒドとを反応させることを含む、光学活性ヒドロキシメチル化化合物の製法である。
【0008】
前記キラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体/前記ルイス酸)で表されるモル比を2.5以上とすることが好ましい。2,2'-ビピリジンを添加剤として加えることが好ましい。
【0009】
又、本発明は、下式(化2)
【化2】
JP0004911528B2_000004t.gif
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基またはフェニル基を表す)で表されるキラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体と、Bi(OTf)とを混合させて得られ、下式(式1)
【化1】
JP0004911528B2_000005t.gif
(式中、R~Rは水素原子、脂肪族、炭化水素基、単環又は多環の脂環式炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂族炭化水素基、あるいは複素環基を表し、RとRはそれぞれ異なり、Rは水素原子以外であり、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す)で表されるケイ素エノラートとホルムアルデヒドとの反応に用いる触媒である。



【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、例えば医薬品やそのリード化合物等の原料または合成中間体として有用な、不斉炭素にヒドロキシメチル基が結合した化合物を、安価で安全な原料であるホルムアルデヒド(例えばホルマリン)とビスマス塩とを用いることで、水系溶媒中で高収率かつ高立体選択的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で用いる触媒はキラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体と、BiYで表されるルイス酸(式中、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF、ClO、SbF、PF又はOSOCFを表す。)とを混合させて得られる。
【0012】
ビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体は、水酸基の結合した2つの不斉炭素を有し、Bi塩の水中での触媒活性を調整するキラルな配位子となる。ビピリジン化合物はBi塩への配位能が適切であるため、ルイス酸性を低減させず、又、Biと配位子からなる錯体からカチオンを放出させることも少なく、触媒の立体選択性が保たれる。
特に、下式(化2)
【化2】
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(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基またはフェニル基を表す)で表されるビピリジン化合物を用いると、ルイス酸性及び立体選択性の点で好ましい。
【0013】
ビスマス塩として、BiYで表されるルイス酸を用いる。Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF、ClO、SbF、PF又はOSOCF(OTf)を表す。中でもBi(TOf)3が効果的である。また、ビスマスカチオンは、毒性が極めて弱く、スカンジウムよりも安価であるという特徴がある。
【0014】
この配位子とBiYとを溶媒中で混合すると、Bi塩が配位子に配位し、触媒を形成する。この溶媒としては、水と混和しやすい非プロトン性極性溶媒、及びこれらの溶媒と水との混合溶媒を例示することができる。非プロトン性極性溶媒としてはDME(ジメトキシエタン)やジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)等のエーテル、プロピオニトリル等のニトリル、アセトン等のケトンが挙げられる。これらの有機溶媒は、例えば、水1に対し、これらの溶媒1~19(体積比)の割合で混合することができる。
溶媒中の配位子とBi(OTf)等のBiYの各濃度は0.01~0.1mol/l程度が好ましい。
【0015】
本発明においては、この触媒を下記のホルムアルデヒドとケイ素エノラートとの不斉ヒドロキシメチル化反応(化3)に用いる。
【化3】
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~Rは水素原子、脂肪族、炭化水素基、単環又は多環の脂環式炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂族炭化水素基、あるいは複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。この炭化水素基あるいは複素環基としては、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルビニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基等が例示される。またこれらの有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基等の各種のものであってよい。
~Rは好ましくは以下のとおりである。
は水素原子又はアルキル基を表し、Rはアルキル基、アルキルアリール基、アリール基又はスルフィドを表し、但し、RとRは共にその一部が芳香族環を形成していてもよい炭素及び任意にヘテロ原子、好ましくは炭素原子から成る5~6員環を形成してもよく、Rは水素原子、アルキル基、アルキルアリール基、又はアリール基を表す。
又、RとRはそれぞれ異なる。
【0016】
は炭化水素基を表す。これらはそれぞれ同じであっても異なってもよいが、好ましくは同一である。Rはメチル基、エチル基、又はイソプロピル基である。
【0017】
この反応は、水溶液中又は水と有機溶媒との混合溶媒中において行われる。この際、水との混合溶媒として用いられる有機溶媒としては、水と容易に混ざり合う、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジオキサン等が挙げられるが、好ましくはDME、THF、アセトニトリル、ジオキサンが例示される。有機溶媒と水との混合比については特に限定はないが、一般的には水を1重量%以上、より好ましくは5重量%以上含む。
【0018】
水溶液又は混合溶媒の使用量は、適宜に考慮されるものであるが、通常は、原料物質並びに触媒の溶解に必要とされる量として、たとえばこれらの2~50重量倍の割合での使用が考慮される。
【0019】
反応液中のHCHO/ケイ素エノラートのモル比は好ましくは1~50、より好ましくは1~10程度である。また触媒は、ケイ素エノラートに対して1~50モル%、より好ましくは5~20モル%使用する。
反応温度は-30℃~常温、より好適には-15~0℃の範囲である。
反応時間は、適宜定めてもよく、例えば、0.5~50時間である。
【0020】
この反応により、光学活性ヒドロキシメチル化化合物が生成する。
【0021】
本発明の製法においては、(前記キラルなビピリジン化合物からなる配位子又はその対称体/前記ルイス酸)で表されるモル比を2.5以上とするのが好ましく、3以上とすることがより好ましい。前記モル比が2.5未満の場合、生成物の収率や選択性が低くなる傾向にある。最も好ましくは前記モル比が3~4である。
【0022】
又、本発明の製法において、さらに2,2'-ビピリジンを添加剤として加えることが好ましい。2,2'-ビピリジンを加えて上記反応を行うと、収率や選択性を低下させることなく触媒量を減らすことが可能である。2,2'-ビピリジンの添加量としては、例えば前記ビスマス塩1モル当り、5モル以上とすることが好ましい。2,2'-ビピリジンの添加量が3モル以下であると、生成物の収率が充分に向上しない傾向にあり、又、5モルを超えても効果が飽和する。
【0023】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0024】
下式(化2)の構造を有するキラルなビピリジンを、非特許文献3に記載の方法により作成した。
【化2】
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真空下200℃で1時間乾燥した金属塩MXn(以下の表1中の各化合物、0.020mmol) にDME (0.50 mL) を加える。この溶液に上記配位子1a(上記式(化2)の化合物においてR1 = tert-Bu, 0.022mmol) を加え、透明になるまで室温で撹拌した。0℃まで降温した後にHCHO水溶液 (35%,86mg,1.0mmol)と、ケイ素エノラート2(以下の化学式(化4)中の化合物(0.20 mmol)を加えた。4時間撹拌した後に飽和重曹水を加え、水層からCH2Cl2で3回抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(hexane:AcOEt = 2:1)で精製した。なお、水/DMEの体積比は1/9であった。
【化4】
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【0025】
得られた結果を表1に示す。表中、traceは、ほとんど検出されなかったことを示す。また、Eeはエナンチオマー過剰率を示す。
【表1】
JP0004911528B2_000010t.gif

【0026】
表1より、スカンジウムトリフラート、及びビスマストリフラートを用いた場合に(実験例11、12)、生成物の収率が高く、又eeも高くなった。
【実施例2】
【0027】
金属塩としてビスマストリフラートを3mol%用い、配位子1aを9mol%用い、さらにDMEの代わりに表2に示す各溶媒を用いたことの他は、実施例1とまったく同様にして反応を行った。
【化5】
JP0004911528B2_000011t.gif

【0028】
得られた結果を表2に示す。表中の記号の意味は表1と同様である。
【表2】
JP0004911528B2_000012t.gif

【0029】
表2より、DME(ジメトキシエタン、実験例17)、プロピオニトリル(実験例22)、ジグリム(実験例24)、アセトン(実験例25)を用いた場合に、生成物の収率が高く、又eeも高くなった。
【実施例3】
【0030】
ビスマストリフラート及び配位子1aの量を変化させ、又、反応温度を変化させたことの他は、実施例1とまったく同様にして反応を行った。但し、ケイ素エノラートの濃度を0.36Mとした。
【化6】
JP0004911528B2_000013t.gif

【0031】
得られた結果を表3に示す。表中の記号の意味は表1と同様である。なお、表中、ビスマストリフラートの量をXmol%とし、配位子1aの量をYmol%とし、反応温度をT℃として表した。
【表3】
JP0004911528B2_000014t.gif

【0032】
表3より、条件を代えても立体選択性はいずれの実験例26~31でも良好であった。又、実験例28に比べて反応温度を上昇させた実験例29の場合、収率が向上した。又、実験例27に比べて基質濃度を上昇させた実験例26の場合も、収率が向上した。
【実施例4】
【0033】
ビスマストリフラートに対する配位子1aの量を変化させたことの他は、実施例1とまったく同様にして反応を行った。
【化7】
JP0004911528B2_000015t.gif

【0034】
なお、すべての実施例において、配位子1aの化学式は以下の化8で表される。
【化8】
JP0004911528B2_000016t.gif

【0035】
得られた結果を表4に示す。表中の記号の意味は表1と同様である。なお、表中、ビスマストリフラートの量を10mol%とし、配位子1aの量をYmol%として表した。
【表4】
JP0004911528B2_000017t.gif

【0036】
表4より、(配位子1a(mol%)/ビスマストリフラート(mol%))で表されるモル比が2.4以上である実験例37~39の場合、収率及びEeが高くなった。特に、上記比が3である実験例38の場合、収率及びEeが最も高くなった。
【実施例5】
【0037】
ビスマス塩に対して、さらに5倍モルの2,2'-ビピリジンを添加剤として加え、ビスマストリフラート及び配位子1aの配合割合、並びに反応時間を変化させたことの他は、実施例1とまったく同様にして反応を行った(実験例43,44)。
【化9】
JP0004911528B2_000018t.gif

【0038】
得られた結果を表5に示す。表中の記号の意味は表1と同様である。なお、表中、ビスマストリフラートの量をxmol%とし、配位子1aの量をymol%として表した。
【表5】
JP0004911528B2_000019t.gif
なお、実験例40,41,42はそれぞれ実験例26,28,30と同一である。
【0039】
表5において、触媒量を減らすと収率及びEeも低下している(実験例40~42)。実験例42では、一方の基質であるケイ素エノラートが反応開始4時間後に消失し、反応の進行が停止した(収率63%).一方、xとyの値が実験例42と同一であるが、さらに2,2'-ビピリジンを加えた実験例43の場合、反応開始後21時間までケイ素エノラートが残存しつつ反応が進行し、収率が大幅に向上し、Eeも高くなった。触媒量(表中のxで表される)をさらに0.5 mol%に減らした実験例44の場合でも、収率が若干低下したものの選択性は維持された。
【実施例6】
【0040】
以上の結果を踏まえ、種々の基質を用い、2,2'-ビピリジンを添加剤として加えたことの他は、実施例1とまったく同様にして反応を行った。但し、ビスマストリフラートの量を1mol%とし、配位子1a量を3mol%とし、2,2'-ビピリジンの量を5mol%とし、溶媒として水/DMEの体積比を1/4とした。又、反応時間を基質に応じて変化させた
【化10】
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【0041】
得られた結果を表6、7に示す。表中の記号の意味は表1と同様である。
【表6】
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【表7】
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【0042】
表6、7より、本不斉反応系が種々の基質に対しても有効であることがわかる。