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明細書 :流体シリンダを用いたアクチュエータ及びその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5244383号 (P5244383)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
発行日 平成25年7月24日(2013.7.24)
発明の名称または考案の名称 流体シリンダを用いたアクチュエータ及びその制御方法
国際特許分類 F15B  11/00        (2006.01)
F15B  11/02        (2006.01)
F15B  11/06        (2006.01)
FI F15B 11/00 Y
F15B 11/02 F
F15B 11/06 C
請求項の数または発明の数 12
全頁数 15
出願番号 特願2007-511215 (P2007-511215)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
国際出願番号 PCT/JP2006/306968
国際公開番号 WO2006/106985
国際公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
優先権出願番号 2005105110
優先日 平成17年3月31日(2005.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年2月24日(2009.2.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】501401113
【氏名又は名称】川渕 一郎
発明者または考案者 【氏名】星野 聖
【氏名】川渕 一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100091443、【弁理士】、【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
審査官 【審査官】関 義彦
参考文献・文献 実開平1-143797(JP,U)
特開2004-286122(JP,A)
特開平9-303307(JP,A)
特開昭61-62604(JP,A)
特開昭59-170503(JP,A)
特開平5-178595(JP,A)
実開昭62-143803(JP,U)
実開昭63-61006(JP,U)
特開平8-268692(JP,A)
調査した分野 F15B 11,15
特許請求の範囲 【請求項1】
二つのチャンバを持つエアシリンダから構成される流体シリンダを用いたアクチュエータにおいて、
前記流体シリンダは、シリンダ室と、前記シリンダ室を第1のチャンバと第2のチャンバとに仕切るように前記シリンダ室内にスライド自在に配置されたピストンとを有しており、
流体圧源と前記第1のチャンバとの間に配置されて前記第1のチャンバ内の流体圧を調整する第1のチョークバルブ装置と、
前記流体圧源と前記第2のチャンバとの間に配置されて前記第2のチャンバ内の流体圧を調整する第2のチョークバルブ装置とを備え、
前記第1のチョークバルブ装置及び前記第2のチョークバルブ装置は、それぞれ前記流体圧源側から対応する前記チャンバ側に向かう入方向に流体が流れるのを許容する遠隔操作可能な供給バルブ機構と、前記チャンバ側から大気または低圧源側に向かう出方向に前記流体を流すことを許容する遠隔操作可能な排出バルブ機構と、前記供給バルブ機構及び前記排出バルブ機構の開閉を制御し、及び前記遠隔操作可能な排出バルブ機構のバルブの開度を設定するバルブ機構制御装置とを備え、
前記遠隔操作可能な排出バルブ機構が、前記排出バルブ機構であり、
前記バルブ機構制御装置は、前記第1及び第2のチョークバルブ装置により圧力を調整する前記第1及び第2のチャンバ内の目標圧力と前記排出バルブ機構の前記バルブの開度とが逆比例の関係になるように前記バルブの開度を設定するように構成されていることを特徴とする流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項2】
前記排出バルブ機構が、並列接続された、排出流路の断面積が異なる複数種類の開閉バルブを有し、
前記目標圧力に応じて一つまたは複数の前記開閉バルブを選択して排出開度の総和を最適に調節するように構成されている請求項1に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項3】
前記排出バルブ機構は、並列接続された、排出流路の断面積が異なる複数種類の開閉バルブを有しており、一つの前記開閉バルブは排出流路の断面積が最小断面積を有しており、残りの前記開閉バルブは、1より大きい値の基数のべき乗を前記最小断面積に掛けた断面積をそれぞれ有している請求項1に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項4】
前記複数種類の開閉バルブのうち、一つの前記開閉バルブは排出流路の断面積が最小断面積を有しており、残りの前記開閉バルブは、1より大きい値の基数のべき乗を前記最小断面積に掛けた断面積をそれぞれ有している請求項2に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項5】
前記1より大きい値が2であることを特徴とする請求項3または4に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1及び第2のチャンバ内の実際圧力を測定する圧力測定手段をさらに備え、
前記バルブ機構制御装置は、前記供給バルブ機構及び前記排出バルブ機構の開閉を制御するための制御指令及び前記排出バルブ機構のバルブの開度を設定する開度設定指令を出力するように構成されており、
前記バルブ機構制御装置は、前記第1及び第2のチョークバルブ装置により圧力を調整する前記第1及び第2のチャンバ内の目標圧力と前記排出バルブ機構の前記バルブの開度とが逆比例の関係になるように前記バルブの開度を設定する前記開度設定指令を出力し、前記目標圧力が前記実際圧力よりも小さいときには、前記排出バルブ機構の前記バルブを開く前記制御指令を出力し、前記目標圧力が前記実際圧力に達すると前記排出バルブ機構の前記バルブを閉じる前記制御指令を出力するように構成されている請求項に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項7】
前記排出バルブ機構は、並列接続された、排出流路の断面積が異なる複数種類の開閉バルブと、
前記開度設定指令に応じて排出時に前記複数種類の開閉バルブから前記排出流路の断面積の総和が目標の断面積に最も近くなる組み合わせとなる前記開閉バルブを選択し、前記制御指令が入力されると選択した前記開閉バルブを開状態にするバルブ選択制御手段とから構成されている請求項に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項8】
前記排出バルブ機構は、連続的に開度が調整可能な開度調整機構付きバルブと、前記開度調整機構付きバルブに対して直列に配置されて開閉制御される開閉バルブと、前記開度設定指令により前記開度調整機構付きバルブの開度を設定し、前記制御指令により前記開閉バルブを制御するバルブ制御手段とから構成されている請求項に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項9】
前記排出バルブ機構は、排出流路の最小断面積を持つ開閉バルブが一つと、それに加えて、1より大きい値の基数のべき乗を前記最小断面積に掛けた断面積を有する、排出流路の断面積が異なる複数種類の開閉バルブが並列接続された構造を有しており、
前記開度設定指令に応じて、排出時に前記複数種類の開閉バルブから前記排出流路の断面積の総和が目標の断面積に最も近くなる組み合わせとなる前記開閉バルブを選択し、前記制御指令が入力されると選択した前記開閉バルブを制御するバルブ選択制御手段とから構成されている請求項に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項10】
前記1より大きい値の基数が2である請求項に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータ。
【請求項11】
シリンダ室と、
前記シリンダ室を第1のチャンバと第2のチャンバとに仕切るように前記シリンダ室内にスライド自在に配置されたピストンとを有するエアシリンダから構成される流体シリンダと、
流体圧源と前記第1のチャンバとの間に配置されて前記第1のチャンバ内の流体圧を調整する第1のチョークバルブ装置と、
前記流体圧源と前記第2のチャンバとの間に配置されて前記第2のチャンバ内の流体圧を調整する第2のチョークバルブ装置とを備え、
前記第1のチョークバルブ装置及び前記第2のチョークバルブ装置は、それぞれ前記流体圧源側から対応する前記チャンバ側に向かう入方向に流体が流れるのを許容する遠隔制御可能な供給バルブ機構と、前記チャンバ側から大気または低圧源に向かう出方向に前記流体を流すことを許容する遠隔制御可能な排出バルブ機構と、前記供給バルブ機構及び前記排出バルブ機構の開閉を遠隔制御するための制御指令及び前記排出バルブ機構のバルブの開度を設定する開度設定指令を出力するバルブ機構制御装置と、
前記第1及び第2のチャンバ内の実際圧力を測定する圧力測定手段とを備え
前記排出バルブ機構として、前記開度設定指令に応じて前記バルブの開度が設定されるように構成されているものを用いる流体シリンダを用いたアクチュエータの制御方法であって
前記バルブ機構制御装置が、
前記第1及び第2のチョークバルブ装置により圧力を調整する前記第1及び第2のチャンバ内の目標圧力と前記実際圧力とを対比し、
前記第1及び第2のチョークバルブ装置により圧力を調整する前記第1及び第2のチャンバ内の目標圧力と前記排出バルブ機構の前記バルブの開度とが逆比例の関係になるように前記バルブの開度を設定することを特徴とする流体シリンダを用いたアクチュエータの制御方法。
【請求項12】
前記排出バルブ機構は、複数種類の開閉バルブから構成され、
前記バルブ機構制御装置が、排出時に前記複数種類の開閉バルブから前記排出流路の断面積の総和が目標の断面積に最も近くなる組み合わせとなる前記開閉バルブを選択することを特徴とする請求項1に記載の流体シリンダを用いたアクチュエータの制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体シリンダを用いたアクチュエータ及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003-311667公報に示されるように、ロボットの関節を動かすためのアクチュエータとしては、従来からサーボモータ等の電動モータが用いられている。これはモータであれば、比較的手軽に入手できるためである。しかしながらモータを用いることは、ロボット全体が大型化・重量化し易い問題がある。エアシリンダ等の流体シリンダは、モータと比較して、小形軽量であり、また構造が単純でメンテナンスも容易である等の利点があるため、ロボット用のアクチュエータとして有用なものと考えられている。

【特許文献1】特開2003-311667公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらエアシリンダのような流体シリンダの適用を阻む最も大きな欠点としては、任意の位置においてピストンを動かしにくくする性能すなわち剛性を発揮させることが難しいという欠点がある。これはモータと異なり力発生の応答性が低いためであり、ピストンの位置を保つために外力へ抗する力をすばやく発生できないことが主な原因であると考えられている。これを解消するために、摩擦ブレーキやラッチなどを付加する方法が存在するが、それらを付加するのであれば、モータのみを使う方が合理的である。したがって、極力単純な機構でこの剛性を与える方法が必要である。しかしながら、従来はこの要求に応えることができる技術は提案されていない。
【0004】
本発明の目的は、簡単な構成でエアシリンダ等の流体シリンダに剛性を与えことができる流体シリンダを用いたアクチュエータ及びその制御方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、剛性の調整が容易な流体シリンダを用いたアクチュエータを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、単純な構造と部品構成により剛性の調整が可能な流体シリンダを用いたアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、二つのチャンバを持つ流体シリンダを用いたアクチュエータを対象とする。そして本発明においては、チャンバ内の目標圧力と逆比例の関係になるようにチャンバの排出バルブ機構のバルブの開度を設定する。このように排出バルブ機構の開度を設定すると、目標圧力と所望の剛性とのあいだに対応関係が見出されるため、少ない制御パラメータでの剛性調整が可能となる。
【0008】
そしてより具体的な本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータは、シリンダ室と、このシリンダ室を第1のチャンバと第2のチャンバとに仕切るようにシリンダ室内にスライド自在に配置されたピストンとを有する流体シリンダとを備えている。ここで流体シリンダとは、エアシリンダやオイルシリンダ等のように流体の圧力を駆動源として動作するシリンダを意味する。また本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータは、流体圧源と第1のチャンバとの間に配置されて第1のチャンバ内の流体圧を調整する第1のチョークバルブ装置と、流体圧源と第2のチャンバとの間に配置されて第2のチャンバ内の流体圧を調整する第2のチョークバルブ装置とを備えている。ここで流体圧源は、第1及び第2のチョークバルブ装置に対してそれぞれ別個に設けてもよいが、第1及び第2のチョークバルブ装置に対して共通の1つの流体圧源を用いてもよいのは勿論である。第1のチョークバルブ装置及び第2のチョークバルブ装置は、それぞれ流体圧源側から対応するチャンバ側に向かう入方向に流体が流れるのを許容する遠隔制御可能な供給バルブ機構と、チャンバ側から大気または低圧源側に向かう出方向に流体を流すことを許容する遠隔制御可能な排出バルブ機構と、供給バルブ機構及び排出バルブ機構の開閉を遠隔制御するための制御指令及び排出バルブ機構のバルブの開度(すなわち流体の排出し易さ)を設定する開度設定指令を出力するバルブ機構制御装置とを備えて構成されている。前述の低圧源としては、条件により流体圧源が含まれてもよいのは勿論である。なお、具体的なバルブ機構制御装置は、供給バルブ機構及び排出バルブ機構の開閉を遠隔制御するための制御指令及び排出バルブ機構のバルブの開度(すなわち流体の排出し易さ)を設定する開度設定指令を出力するように構成されている。
【0009】
さらに本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータは、チャンバ内の実際圧力を測定する圧力測定手段を備えている。
【0010】
なおチョークバルブ装置に設ける供給バルブ機構及び排出バルブ機構は、それぞれ別個の構造物として構成されたものを用いてもよいが、供給バルブ機構及び排出バルブ機構が一つの構造物の中に併存した複合形バルブ機構を用いることもできる。
【0011】
本発明においては、排出バルブ機構として、開度設定指令に応じてバルブの開度が設定されるように構成されたものを用いる。そして、バルブ機構制御装置は、チョークバルブ装置により圧力を調整するチャンバ内の目標圧力と排出バルブ機構のバルブの開度とが逆比例の関係になるようにバルブの開度を設定するように構成されている。すなわち目標圧力が実際圧力よりも大きいときには供給バルブ機構のバルブを開く。その際、排出バルブ機構のバルブを閉じても良い。そして目標圧力が実際圧力よりも小さいときには、供給バルブ機構のバルブを閉じ且つ目標圧力の大きさに逆比例の関係になるように排出バルブ機構のバルブの開度を設定するようにバルブ機構制御装置は構成されている。そして実際圧力が目標圧力に達すると、排出バルブ機構のバルブを閉じる。
【0012】
またバルブ機構制御装置は、次のように開度設定指令と制御指令とを出力するように構成されている。バルブ機構制御装置は、チョークバルブ装置により圧力を調整するチャンバ内の目標圧力と排出バルブ機構のバルブの開度とが逆比例の関係になるようにバルブの開度を設定する開度設定指令を出力する。この開度設定指令を受けて、排出バルブ機構のバルブの開度は、目標圧力に応じて最初に定められる。そして目標圧力が実際圧力よりも大きいときには供給バルブ機構のバルブを開く制御指令を出力し、かつ実際圧力が目標圧力に達したら排出バルブ機構のバルブを閉じる制御指令を出力する。また目標圧力が実際圧力よりも小さいときには供給バルブ機構のバルブを閉じかつ排出バルブ機構のバルブを開く制御指令を出力する。そして実際圧力が目標圧力に達すると、排気バルブ機構のバルブを閉じる制御指令を出力する。
【0013】
流体シリンダへの流体の入出を止めたり、また流体シリンダに接続された流体の流路を細めたりすれば、圧縮される流体の反発力(スプリング効果)や、入出する流体の流量抵抗(ダンパ効果)によって、ピストンの運動の抵抗となる受動的な抗力が生じる。本発明はこの受動的な効力の発生に着目し、この抗力を流体シリンダの剛性として利用する。すなわち、流体シリンダにおける第1のチャンバと第2のチャンバから排出される流体が流れる流路において、流体の流れを適切に絞る(チョーク)ことにより、ピストンの運動に対する抗力を有効に発生し、この抗力を利用して流体シリンダに剛性を付与する(所定の位置でピストンが停止してピストンが外力によって動きにくくなる状態にする)。
【0014】
例えば、ピストンをある運動方向に移動させた後に所定の位置で剛性を付与するためには、次のようにする。まずピストンを移動させる際に内部圧力を上昇させる必要のある側のチャンバに対して設けられた一方のチョークバルブ側の流体圧源からの流体の供給量(流体圧)を高める。次に、ピストンが移動して来る側のチャンバから流出する流体が流れるチョークバルブ装置により流体の流れを適宜に絞ることにより流体シリンダに剛性を付与する。この流体の流れを絞ることは、対応するチョークバルブ装置に設けられた排出バルブ機構のバルブの開度を変えることにより実現できる。
【0015】
本発明では、対象とするチャンバ内の目標圧力に基づいて、排出バルブ機構のバルブ開度を決定する。具体的には、バルブ機構制御装置は、チョークバルブ装置により圧力を調整するチャンバ内の目標圧力と排出バルブ機構のバルブの開度とが逆比例の関係になるようにバルブの開度を設定する開度設定指令を出力する。すなわち目標圧力が高ければ排出バルブ機構の開度が小さく設定され、目標圧力が低ければ排出バルブ機構の開度が大きく設定される関係になるように排出バルブ機構のバルブの開度を定める。これは目標圧力が高いということが、高い剛性を得ようとしている現れであり、目標圧力が低いということが、低剛性を得ようとしている現れであると推定できることを根拠にしている。排出バルブ機構の開度が小さくなるほど、チャンバ内の実際圧力の低下は遅くなり、高い剛性を維持しながら実際圧力を目標圧力に到達させることが可能になる。逆に、排出バルブ機構の開度を大きくしておくと、チャンバ内の実際圧力は早期に低下して、チャンバ内の実際圧力を低剛性を得るために必要な目標圧力まで早期に低下させることが可能になる。
【0016】
なお排出バルブ機構の開度を小さくするまたは大きくするとは、相対的なものであり、使用する排出バルブ機構の開度が大と小の2段階しか選択できない場合であれば、開度を小さくするとは小の開度を選ぶことであり、開度を大きくするとは大の開度を選ぶことを意味する。また排出バルブ機構の開度が複数段階選択できる機構であれば、目標圧力をその段階の数の区画に分割し、それぞれの目標圧力の区画に一対一で対応するバルブの開度の段階を予め設定することができる。こうすることにより、排出バルブ機構の開度の選択が極めて単純となる。
【0017】
段階的に開度を選択でできる排出バルブ機構としては、並列接続された、排出流路の断面積が異なる複数種類の開閉バルブと、開度設定指令に応じて複数種類の開閉バルブから排出流路の断面積の総和が目標の断面積に最も近くなる組み合わせとなる開閉バルブを選択し、制御指令が入力されると選択した開閉バルブを開状態にすることを制御するバルブ選択制御手段とから構成されたものを用いることができる。このような排出バルブ機構を用いると、複数種類の開閉バルブの選択の仕方のみによって多段階の開度を実現することが可能になる。なお使用する複数種類の開閉バルブとして、排出流路の断面積が、基数a(ただしa>1)のn乗(n=0,1,2,3,…)に最小断面積を乗算した断面積が一つずつ割り振られた複数種類の開閉バルブを用意する。すなわち複数種類の開閉バルブは排出流路の断面積が異なるものを用意する。そして、一つの開閉バルブは排出流路の断面積が最小断面積Sを有しているものとする。そして残りの他の開閉バルブは、1より大きい値の基数aのn乗(n=1,2,3,…)に最小断面積Sを掛けた断面積(a×S)をそれぞれ有しているものとする。このようにすると、配置する開閉バルブの数に対して最多の開度段階を得ることができる。
【0018】
その際、基数aを1に近い値に取ると開度の刻みは全範囲にわたってほぼ等間隔となる。反対に、基数aを大きな値にするほど局所的な範囲での細かい開度の刻みと、他の局所的な範囲での大きな刻み変化を得ることができる。基数の大きさは、アクチュエータに所望する制御特性に合わせて適宜定めることができる。例えば、最小断面積が極めて小さい場合は1に近く、反対に、十分に大きい場合は2や3のように大きな値を用いると良い。なぜなら最小断面積が極めて小さい場合は、断面積のわずかな変化が流体の流路抵抗の大きな変化をもたらすからである。反対に、最小断面積が十分に大きい場合には、断面積の変化が流体の流路抵抗の変化をもたらし難いので、流体の流路抵抗の違いを効率的に生むために個々の断面積が大きく異なるバルブを用意するのが得策である。
【0019】
また排出バルブ機構としては、連続的に開度が調整可能な開度調整機構付きバルブと、開度調整機構付きバルブに対して直列に配置されて開閉制御される開閉バルブと、開度設定指令により開度調整機構付きバルブの開度を設定し、制御指令により開閉バルブを制御するバルブ制御手段とから構成されたものを用いてもよい。
【0020】
より具体的なバルブ機構制御装置は、次のように排出バルブ機構のバルブの開度を設定するための開度設定指令を出力するように構成することもできる。まず、目標圧力について基準圧力を特定し、排出バルブ機構の開度について基準開度を特定する。そして、目標圧力が実際圧力より高いときには、排出バルブ機構の前記バルブの開度を0とする。そして目標圧力が実際圧力より低く基準圧力より高いときには排出バルブ機構のバルブの開度を基準開度よりも小さくする。また目標圧力が実際圧力よりも低く且つ基準圧力よりも低いときには、排出バルブ機構のバルブの開度を基準開度よりも大きくする。さらに、目標圧力が0のときには排出バルブ機構のバルブの開度を最大にする。このようにすると予め用意する開度の段階が少ない場合でも、実用的なアクチュエータの制御を行うことができる。
【0021】
なお制御の確実性のためには、バルブ機構制御装置は、バルブの開閉を指示する制御指令を排出バルブ機構に出力する前に、開度設定指令を排出バルブ機構に出力するように構成するのが好ましい。
【0022】
本発明のアクチュエータの制御方法おいては、供給バルブ機構を通して流体を供給するチャンバ内の目標圧力と前記実際圧力とを対比する。そして目標圧力が実際圧力より高いとき、等しいとき、あるいは低いときの何れの場合にも、圧力を調整するチャンバ内の目標圧力と排出バルブ機構のバルブの開度とが逆比例の関係になるようにバルブの開度を設定する。 そして目標圧力が実際圧力より高いときには、排出バルブ機構のバルブの開度を0とした後に供給バルブ機構にバルブを開く制御指令を出力する。目標圧力が実際圧力より低く基準圧力より高いときには排出バルブ機構のバルブの開度を基準開度よりも小さくした後に、排出バルブ機構にバルブを開く制御指令を出力する。また目標圧力が実際圧力よりも低く且つ基準圧力よりも低いときには、排出バルブ機構のバルブの開度を基準開度よりも大きくした後に、排出バルブ機構にバルブを開く制御指令を出力し且つ前記供給バルブ機構にバルブを閉じる前記制御指令を出力する。さらに目標圧力が0のときには排出バルブ機構のバルブの開度を最大にする開度設定指令を出力した後に、排出バルブ機構を開く制御指令を出力し且つ前記供給バルブ機構にバルブを閉じる前記制御指令を出力する。そして実際圧力が目標圧力に達したときに供給バルブ機構および排気バルブ機構のバルブを閉じる制御指令を出力する。このようにすると流体シリンダに所望の高剛性または低剛性を、簡単な構成で確実に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータの第1の実施の形態の概念図である。
【図2】図1の流体シリンダを用いたアクチュエータを制御する一つの方法のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図1の流体シリンダを用いたアクチュエータを制御する別の方法のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータの第2の実施の形態の概念図である。
【図5】(A)乃至(C)は、1以上の基数のべき乗倍を最小の排出流路の断面積に乗算した断面積を持つ開閉バルブを複数種類用意した場合の排気開度の概念を説明するために用いるべき乗数と排出流路の断面積との関係を示す図である。
【図6】図4の流体シリンダを用いたアクチュエータを制御する一つの方法のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】図4の流体シリンダを用いたアクチュエータを制御する別の方法のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の流体シリンダを用いたアクチュエータの第1の実施の形態の構成を概念的に示す概念図である。第1の実施の形態の流体シリンダを用いたアクチュエータは、流体シリンダ1、第1のチョークバルブ装置3及び第2のチョークバルブ装置5を備えている。流体シリンダ1は、シリンダ室7と、シリンダ室7を第1のチャンバ9と第2のチャンバ11とに仕切るようにシリンダ室7内にスライド自在に配置されたピストン12とを有する。この例では、流体シリンダ1としてエアシリンダを用いるものとして説明する。しかし流体シリンダ1としては流体の圧力を駆動源として動作するシリンダであればオイルシリンダ等を用いることができるのは当然である。
【0025】
第1のチョークバルブ装置3は、図示しない流体圧源と第1のチャンバ9との間に配置されて第1のチャンバ9内へ入出する流体の流量を調整する。ここで流体圧源は、第1のチャンバ9内の圧力が流体圧源から供給する流体の圧力よりも大きくなったときには、第1のチャンバ9側から流出した流体を受け入れるように構成されている。また第2のチョークバルブ装置5は、図示しない流体圧源と第2のチャンバ11との間に配置されて第2のチャンバ11内へ入出する流体の流量を調整する。なお、第2のチョークバルブ装置5は、第1のチョークバルブ装置3と同じ構造を有し同一の機能を発揮するため、詳細を省略した単なるブロック図として示してある。そこで以下の説明では、第1のチョークバルブ装置3の構成を説明することによって、第2のチョークバルブ装置5の説明は省略する。
【0026】
本発明の実施の形態では、流体圧源は、第1及び第2のチョークバルブ装置3及び5に対してそれぞれ別個に設けられている。しかしながら、第1及び第2のチョークバルブ装置3及び5に対して共通の1つの流体圧源を用いることもできる。
【0027】
図1に示すように第1のチョークバルブ装置3は、それぞれ図示しない流体圧源側から対応する第1のチャンバ9側に向かう入方向に流体が流れるのを許容する供給バルブ機構13と、第1のチャンバ9側から大気または低圧源側に向かう出方向に流体を流すことを許容する排出バルブ機構15とを備えている。供給バルブ機構13および排出バルブ機構15は、流体の入出を行う供給口17および排出口19をそれぞれ有する。供給バルブ機構13および排出バルブ機構15のバルブは、バルブ機構制御装置21からの指令により開閉する。バルブ機構制御装置21には上位のコントローラ23から目標圧力等の制御条件が入力される。
【0028】
バルブ機構制御装置21は、排出バルブ機構15に対しては、バルブの開度を設定する開度設定指令も出力する。供給バルブ機構13は、バルブ機構制御装置21からの制御指令を受けて動作状態となるアクチュエータ20によってバルブを開閉する。排出バルブ機構15は、連続的に開度が調整可能な開度調整機構付きバルブ25と、開度調整機構付きバルブ25に対して直列に配置されて開閉制御される開閉バルブ27と、開度設定指令により開度調整機構付きバルブ25の開度を設定するための連続可変式アクチュエータ29と、バルブの位置を検出するバルブ位置検出手段31と、開閉バルブ27のバルブの開閉を制御するアクチュエータ33とを備えている。連続可変式アクチュエータ29と、バルブ位置検出手段31と、アクチュエータ33とにより、バルブ制御手段が構成されている。開度調整機構付きバルブ25の開度を可変にするために、バルブ機構制御装置21は、バルブ位置検出手段31の出力に基づいて連続可変式アクチュエータ29をフィードバック制御する。符号35で示した部材は第1のチャンバ9内の実際圧力を測定する圧力測定手段である。
【0029】
後に説明するように、コントローラ23から与えられる目標圧力に逆比例の関係で、排出バルブ機構15の開度調整機構付きバルブ25の開度を設定することにより、流体シリンダ1に接続された流体の流路を細めたり広げたり(開度を小さくしたり大きくしたり)することにより、圧縮される流体の反発力(スプリング効果)や、入出する流体の流量抵抗(ダンパ効果)を生じさせて、ピストン12の運動の抵抗となる受動的な抗力を生じさせることができる。本発明の実施の形態は、この抗力を流体シリンダの剛性として利用している。すなわち、流体シリンダ1における第1のチャンバ9と第2のチャンバ11から排出される流体が流れる流路において、排出される流体の流れを適切に絞る(チョーク)ことにより、ピストン12の運動に対する抗力が有効に発生し、この抗力を利用して流体シリンダ1に高い剛性(所定の位置でピストン12が停止してピストン12が外力によって動きにくくなる状態)と低い剛性(所定の位置でピストン12が停止するが、ピストン12が弱い外力によって動き得る状態)とを付与することができる。
【0030】
例えば、第2のチョークバルブ装置5を動作させて、ピストン12を第2のチャンバ11側から第1のチャンバ9側方向に移動させた後に所定の位置で剛性を付与するためには、コントローラ23は、バルブ機構制御装置21に第1のチャンバ9側の目標圧力Pを指示する。次に第2のチョークバルブ装置5側の流体圧源からの流体の供給量(流体圧)を高めて、第2のチャンバ11の内部圧力を上昇させる。ピストン12の移動方向にある第1のチャンバ9から流出する流体が流れる第1のチョークバルブ装置3の排出バルブ機構15のバルブ25の開度は、目標圧力Pに逆比例の関係になるように設定される。この設定は、バルブ機構制御装置21から連続可変式アクチュエータ29に開度設定指令を出力することにより実施される。この実施の形態では、開閉バルブ27のバルブの開閉を制御するアクチュエータ33にバルブを開く制御指令がバルブ機構制御装置21から出力される前に連続可変式アクチュエータ29には、バルブ機構制御装置21から開度設定指令が入力されている。したがってアクチュエータ33に開閉バルブ27を開く制御指令が入力されて開閉バルブ27が開いたときには、すでに開度調整機構付きバルブ25の開度は、目標圧力Pに対して逆比例の関係になる開度に設定されている。
【0031】
具体的に、第1のチャンバ9内の目標圧力Pに基づいて、排出バルブ機構15のバルブ開度を決定する方法について図2のフローチャートを参照して説明する。バルブ機構制御装置21は、供給バルブ機構13を通して流体を供給するチャンバ9の目標圧力Pと排出バルブ機構15のバルブの開度とが相対的に逆比例の関係になるように排出バルブ機構15のバルブの開度を設定する開度設定指令を出力する。すなわち目標圧力Pが高ければ排出バルブ機構15のバルブ25の開度を小さくし、目標圧力Pが低ければ排出バルブ機構15のバルブ25の開度を大きくする関係になるように排出バルブ機構15のバルブ25の開度を定める。排出バルブ機構15の開度を小さくするまたは大きくするとは、相対的なものであり、使用する排出バルブ機構15のバルブの開度が大と小の2段階しか選択できない場合であれば、開度を小さくするとは小の開度を選ぶことであり、開度を大きくするとは大の開度を選ぶことを意味する。
【0032】
本実施の形態のように、排出バルブ機構15が連続的にバルブの開度を調整することが可能な開度調整機構付きバルブ25と、開度調整機構付きバルブ25に対して直列に配置されて開閉制御される開閉バルブ27とを備えている場合でも、例えばバルブの開度を2段階に設定することも可能である。例えば、開度を小さくする必要があるときには開度調整機構付きバルブの開度が最小の開度となるようにし、開度を大きくする必要があるときには、開度調整機構付きバルブ2の開度が最大の開度となるようにすればよい。また目標圧力Pの大きさを基準圧力Prと比較して、その大小の程度により開度を設定するようにしてもよい。
【0033】
図2は、図1のアクチュエータを制御する方法の一例のアルゴリズムを示すフローチャートである。この例では、まず目標圧力Pがコントローラ23からバルブ機構制御装置21に入力される。バルブ機構制御装置21は、目標圧力Pの大きさに逆比例の関係になるように排出バルブ機構15のバルブ25の開度を決定する。すなわち逆比例の関係にすることとは、目標圧力Pが大きければ排出バルブ機構15のバルブ25の開度を小さくし、目標圧力Pが小さければ排出バルブ機構15のバルブ25の開度を大きくすることを意味する。そしてチャンバ9内の実際圧力Pを圧力測定手段35により測定し、目標圧力Pが実際圧力Pよりも大きいときには、供給バルブ機構13のバルブを開く制御指令をバルブ機構制御装置21からアクチュエータ20に出力する。事前に開度調整機構付きバルブ25の開度が、目標圧力Pの大きさに応じて設定されているので、その開度により定まった絞り状態で、チャンバ9から排出バルブ機構15を通して流体が排出される。そしてチャンバ9内の実際圧力Pが目標圧力Pになるとバルブ機構制御装置21からはアクチュエータ20に供給バルブ機構13のバルブを閉じる制御指令が出力される。このときバルブ機構制御装置21からは、排出バルブ機構15に対しても開閉バルブ27のバルブを閉じる制御指令を出力してもよいが、連続的に目標圧力Pを変化させる場合を想定して、この制御方法では開閉バルブ27のバルブは特に閉じていない。これによってチャンバ9内の実際圧力は速やかに目標圧力Pとなり、高い剛性または低い剛性を確実に得ることができる。
【0034】
なお、上記の制御を行うときには、第2のチョークバルブ装置5においても、第2のチャンバ11に対して同様の制御が行われている。コントローラ23は、第1のチョークバルブ装置3及び第2のチョークバルブ装置5に対して設けるようにしてもよい。
【0035】
図3は図1のアクチュエータの制御方法の別の方法のアルゴリズムを示すフローチャートである。この例では、まず目標圧力Pがコントローラ23からバルブ機構制御装置21に入力される。バルブ機構制御装置21は、目標圧力Pの大きさを基準圧力Prと比較して、目標圧力Pの大きさが基準圧力Pr以上あるときには、排出バルブ機構15のバルブ25の開度を小さくする。逆にバルブ機構制御装置21は、目標圧力Pの大きさが基準圧力Prより小さければ、排出バルブ機構15のバルブ25の開度を大きくする。基準圧力Prの定め方は任意である。例えば、目標圧力Pとして取り得る圧力の中間値を基準圧力Prとして、目標圧力Pが基準圧力Prより高いか否かにより判断することができる。目標圧力Pが基準圧力Prより高いときには、排出バルブ機構15のバルブの開度を目標圧力Pと逆比例の関係になるように小さくすればよい。制御を簡単にするために、この例では、予め設定可能な範囲内において小さい開度と大きい開度を2段階で定めているものとして説明する。チャンバ9内の実際圧力Pを圧力測定手段35により測定し、目標圧力Pが実際圧力Pよりも大きいときには、供給バルブ機構13のバルブを開く制御指令をバルブ機構制御装置21からアクチュエータ20に出力する。このとき排出バルブ機構15のバルブを閉じる制御指令も出力され、排出バルブ機構15のバルブは閉じている。アクチュエータ20が供給バルブ機構13のバルブを開き、チャンバ9内の実際圧力Pが目標圧力Pになると、バルブ機構制御装置21は、アクチュエータ20に供給バルブ機構13のバルブを閉じる制御指令を出力する。この工程で、排出バルブ機構15が開かれることはない。
【0036】
目標圧力Pが実際圧力Pより小さいときには、排出バルブ機構15の開閉バルブ27を開く制御指令がバルブ機構制御装置21からアクチュエータ33に出力され、開閉バルブ27が開かれる。このときバルブ機構制御装置21からはアクチュエータ20に供給バルブ機構13のバルブを閉じる制御指令が出力されており、供給バルブ機構13のバルブは閉じられている。事前に開度調整機構付きバルブ25の開度が、目標圧力Pの大きさに応じて設定されているので、その開度により定まった絞り状態で、チャンバ9から排出バルブ機構15を通して流体が排出される。
【0037】
すなわち目標圧力Pが基準圧力Prより大きければ(高い剛性を得ようとしている場合には)必要とする予め定めた小さい開度が事前に開度調整機構付きバルブ25の開度として設定されており、目標圧力Pが基準圧力Prより小さければ(低い剛性を得ようとしている場合には)予め定めた大きい開度が事前に開度調整機構付きバルブ25の開度として設定されている。そしてチャンバ9内の実際圧力Pが目標圧力Pになるとバルブ機構制御装置21は、アクチュエータ33に開閉バルブ27のバルブを閉じる制御指令を出力する。これによってチャンバ9内の実際圧力は速やかに目標圧力Pとなり、高い剛性または低い剛性を確実に得ることができる。
【0038】
なお目標圧力Pの大きさに応じて、開度調整機構付きバルブ25の開度を更に細かく設定するようにすれば、より精密な剛性をシリンダ1に付与することが可能になる。
【0039】
なお、上記の制御を行うときには、第2のチョークバルブ装置5においても、第2のチャンバ11に対して同様の制御が行われている。コントローラ23は、第1のチョークバルブ装置3及び第2のチョークバルブ装置5に対して設けるようにしてもよい。
【0040】
図4は、本発明の第2の実施の形態の構成を概念的に示す概念図である。図4に示した実施の形態の構成で、図1に示した実施の形態と同様の構成部分には、図1に示した符号の数に100の数を加えた数の符号を付して詳細な説明を省略する。この実施の形態では、排出バルブ機構115として、その開度を複数段階選択できる構成のものを用いている。この段階的に開度を選択でできる排出バルブ機構115は、並列接続された、排出流路の断面積が異なる3種類の開閉バルブ115a~115cと、3種類の開閉バルブ115a~115cの開閉を制御するアクチュエータ133a~133cと、開度設定指令に応じて排出時に3種類の開閉バルブ115a~115cから少なくとも1以上の開閉バルブを選択し、制御指令が入力されると選択した開閉バルブを開状態にすることを制御するバルブ選択制御手段とから構成されたものを用いる。なおこのバルブ選択制御手段は、アクチュエータ133a~133cとバルブ機構制御装置121とによって構成されている。
【0041】
このような排出バルブ機構115を用いると、複数種類の開閉バルブの選択の仕方によって多段階の開度を実現することが可能になる。なお使用する排出流路の断面積の異なる複数種類の開閉バルブのうち、一つの開閉バルブは排出流路の断面積が最小断面積Sを有している。そして残りの他の開閉バルブは、1より大きい値の基数aのべき乗[aのn乗(n=1,2,3,…)]に最小断面積Sを掛けた断面積(a×S)をそれぞれ有している。なおn=0の場合が、最小断面積となる。このようにすると、配置する開閉バルブの数に対して最多の開度段階を得ることができる。
【0042】
図5(A)乃至(C)は、1以上の基数aのべき乗倍(すなわちa)を最小の排出流路の断面積に乗算した断面積を持つ開閉バルブを複数種類用意した場合の、基数aの大小による排出流路の断面積の変化即ち開度変化の概念図である。図5(A)乃至(C)において横軸はべき(n)を示し、縦軸は相対的な断面積(すなわち排気開度)示している。基数aを1に近い値に取ると開度の刻みは全範囲にわたってほぼ等間隔となり、反対に、基数aを大きな値にするほど局所的な範囲での細かい開度の刻みを得ることができる。基数の大きさは、アクチュエータに所望する制御特性に合わせて適宜定める。例えば、最小断面積が極めて小さい場合は、断面積のわずかな変化が流体の流路抵抗の大きな変化をもたらすため、1に近い値に設定する。反対に、十分に大きい場合は流体の流路抵抗の違いを効率的に生むために、2や3のような大きな値を用いる。
【0043】
図6は、図4のアクチュエータを制御する方法の一例のアルゴリズムを示すフローチャートである。この例では、まず目標圧力Pがコントローラ123からバルブ機構制御装置121に入力される。バルブ機構制御装置121は、目標圧力Pの大きさに逆比例するように排出開度の総和を算出し、排出バルブ機構115内で開くべき開閉バルブを開閉バルブ115a~115cの中から選択して決定する。目標圧力Pが大きければ排出バルブ機構115内の比較的断面積の小さい開閉バルブを0個以上開放する。すなわち場合によっては開閉バルブ115a~115cのすべてを閉じることもある。そして目標圧力Pが小さければ排出バルブ機構115内の比較的断面積の大きい開閉バルブを一つまたは複数種類開放する。そしてチャンバ9内の実際圧力Pを圧力測定手段135により測定し、目標圧力Pが実際圧力Pよりも大きいときには、供給バルブ機構113のバルブを開く制御指令をバルブ機構制御装置121からアクチュエータ120に出力する。事前に排出バルブ機構115の排出開度の総和が、目標圧力Pの大きさに応じて設定されているので、その開度により定まった絞り状態で、チャンバ9から排出バルブ機構115を通して流体が排出される。そしてチャンバ9内の実際圧力Pが目標圧力Pになるとバルブ機構制御装置121からはアクチュエータ120に供給バルブ機構113のバルブを閉じる制御指令が出力される。このときバルブ機構制御装置121からは、排出バルブ機構115に対しても開閉バルブ115a~115cを閉じる制御指令を出力してもよいが、この制御方法においては、図2と同じように開閉バルブ115a~115cを閉じる制御指令は出していない。これによってチャンバ9内の実際圧力は速やかに目標圧力Pとなり、高い剛性または低い剛性を確実に得ることができる。
【0044】
なお、上記の制御を行うときには、第2のチョークバルブ装置105においても、第2のチャンバ11に対して同様の制御が行われている。コントローラ123は、第1のチョークバルブ装置103及び第2のチョークバルブ装置105に対して設けるようにしてもよい。
【0045】
図7には、図4に示したアクチュエータの別の制御方法のアルゴリズムの例を示してある。この例では、設定可能な目標圧力Pの例えば1/2の圧力を基準圧力Prとする。図3のアルゴリズムとを比べて図7のアルゴリズムは、バルブの開度の選択が段階的になっている点で図3のアルゴリズムとは相違し、その他の点は、図3のアルゴリズムと実質的に同じである。排出バルブ機構115の実質的な開度は、開くことを選択したバルブ個々の開度の総和であり、総合開度とよぶことにする。このアルゴリズムでは、目標圧力Pが実際圧力より高いときには、排出バルブ機構の総合開度を小さな値とする。なおここで小さな値には総合開度を0にする場合を含んでいる。そして目標圧力Pが実際圧力Pより低いときには排出バルブ機構115のバルブの総合開度を目標圧力Pと逆比例の関係になるように設定する。例えば開閉バルブ115a~115cの開度がそれぞれ1,2,4の比例とすると、それらの一つ以上を開くことで、排出バルブ機構の総合開度は、1,2,3,4,5,6,7の7種類を選択することができる。例えば総合開度2の場合は、開閉バルブ115bを開く。例えば総合開度5の場合は、開閉バルブ115aと115cを開く。さらに、目標圧力Pが0のときには排出バルブ機構115のバルブの開度を最大にする。すなわち開閉バルブ115a~115cをすべて開くことを選択するものとする。このようにすると予め用意する開閉バルブの個数(開度の段階)が少ない場合でも、実用的なアクチュエータの制御を行うことができる。なお開閉バルブの個数を増やせば、目標圧力Pに逆比例の関係で排出バルブ機構115のバルブの開度を細かく設定することが可能である。
【0046】
上記各実施の形態によれば、チョークバルブ装置の排出バルブ機構のバルブの開度を目標圧力Pと逆比例の関係で設定することにより、簡単に且つ早期に流体シリンダに所望の剛性を付与することができる。そのため本実施の形態のアクチュエータを用いれば、流体シリンダをロボット等の制御機器の駆動用アクチュエータとして現実的に利用することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、流体シリンダに所望の高剛性または低剛性を、簡単な構成で確実に付与することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6