TOP > 国内特許検索 > 人工骨及びその製造方法 > 明細書

明細書 :人工骨及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5052336号 (P5052336)
登録日 平成24年8月3日(2012.8.3)
発行日 平成24年10月17日(2012.10.17)
発明の名称または考案の名称 人工骨及びその製造方法
国際特許分類 A61L  27/00        (2006.01)
A61F   2/28        (2006.01)
FI A61L 27/00 L
A61F 2/28
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2007-512454 (P2007-512454)
出願日 平成18年3月22日(2006.3.22)
国際出願番号 PCT/JP2006/305664
国際公開番号 WO2006/109461
国際公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
優先権出願番号 2005101104
優先日 平成17年3月31日(2005.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年2月19日(2009.2.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小久保 正
【氏名】渋谷 武宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100098969、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 正行
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 国際公開第2004/062705(WO,A1)
特開2003-171704(JP,A)
特開平03-049766(JP,A)
特開平06-154257(JP,A)
調査した分野 A61L 27/00
A61F 2/28
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamII)
WPI
医学・薬学予稿集全文データベース
特許請求の範囲 【請求項1】
気孔率をX(%)、平均気孔径をY(μm)とするとき、最大粒径180μm以下のチタン又はチタン合金粉末及び有機バインダーからなる0.1~2.0mmの顆粒を粒状の気孔形成材と配合し、加圧成形し、焼成することにより、XY座標上の点A(46、180)、B(46、520)、C(50、520)、D(72、220)及びE(72、180)を結ぶ直線で囲まれる領域内の気孔率及び平均気孔径を有する多孔体を得る工程と、
前記多孔体をアルカリ水溶液と接触させる工程と、
その後、多孔体のアルカリ濃度が0.3at%以下となるまで多孔体を水と接触させる工程と、
次いで60℃以上650℃以下で加熱する工程と
を備えることを特徴とする人工骨の製造方法。
【請求項2】
前記気孔形成材が、炭酸水素アンモニウム及びシュウ酸のうちから選ばれる一種以上である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記加熱を前記水と接触させている間に行う請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記有機バインダーが、ポリアセタールである請求項2に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、人工骨及びその製造方法に関する。この方法で製造される人工骨は、生体になじみやすく、且つ骨を形成する能力に優れ、骨代替材料として好適に利用されうる。
【背景技術】
【0002】
チタンは、体内における耐食性に優れ、生体になじみやすいことから、骨代替材料として期待されている。骨代替材料は、生体内に埋め込まれて骨を形成したり周囲の骨と結合したりする必要性から多孔体であることが望まれる。チタン多孔体は、一般にチタン粉末を必要により気孔形成材と混合し、加圧成形した後、焼結することによって得られる(特許文献1)。チタン多孔体は、これをアルカリ水溶液と接触させると表面にアパタイト形成能力が生じることが従来より知られている(非特許文献1&2)。また、プラズマ溶射にて得られたチタン多孔体を同様にアルカリ処理し、温水に浸けることによって製造された人工骨は、生体骨の存在しない場所においても骨を形成しうることがされている(特許文献2)。
【0003】

【特許文献1】特開2002-285203
【特許文献2】WO2004/062705A1
【非特許文献1】J.Mater.Res., Vol.17, No.10, Oct 2002
【非特許文献2】Biomaterials 25(2004)443-450
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の人工骨においては、変形する程の大きな圧縮力が加わった場合に粒子が脱落することがある。そして、たとえ生体親和性に優れた材料からなっていても、脱落した粒子が生体内に分散すると、生体はこれを異物とみなして拒絶反応を起こすにも関わらず体外に完全に取り出しにくいので、治療が困難となる。
それ故、この発明の課題は、生体内における骨形成能力及びその信頼性に優れ機械的強度の高い人工骨を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その課題を解決するために、この発明の人工骨の製造方法は、
気孔率をX(%)、平均気孔径をY(μm)とするとき、チタン又はチタン合金粉末及び有機バインダーからなる顆粒を粒状の気孔形成材と配合し、加圧成形し、焼成することにより、図1に示されるXY座標上の点A(46、180)、B(46、520)、C(50、520)、D(72、220)及びE(72、180)を結ぶ直線で囲まれる領域内の気孔率及び平均気孔径を有する多孔体を得る工程と、
前記多孔体をアルカリ水溶液と接触させる工程と、
その後、多孔体のアルカリ濃度が0.3at%以下となるまで多孔体を水と接触させる工程と、
次いで60℃以上650℃以下で加熱する工程と
を備えることを特徴とする。
【0006】
この発明の製造方法によれば、金属粉末と有機バインダーとからなる顆粒が加圧成形されているので、成形体は最大粒径180μm以下の一次粒子の群と有機バインダーからなる多数の顆粒が気孔形成材とともに圧縮されたものである。即ち、図2に示すように、隣り合う顆粒1同士は多数の一次粒子2同士の接点を有するとともに、顆粒間には大きな気孔形成材3が存在している。従って、これを焼成すると、気孔形成材の抜けた跡が連通気孔となるとともに、顆粒1内の一次粒子2同士だけでなく顆粒1間の多数の一次粒子2同士が互いに結合する。その結果、気孔率の高い割に焼結体の機械的強度が高く、圧縮荷重を受けても粒子が脱落しない。しかも気孔が連通しているので、水溶液が流通しやすい。
【0007】
従って、気孔内の表面がアルカリ水溶液に浸食されて活性な凹凸状となり、続いてアルカリ分をほぼ完全に除去することにより、表面が非晶質酸化チタン相もしくは結晶性の低いアナターゼ相となる。これを60℃以上650℃以下で加熱することにより、結晶性が高く骨形成能力に優れたアナターゼ相からなる面に改質される。加熱温度が60℃に満たないと改質が不十分となり、650℃を超えるとアナターゼ相よりも骨形成能力に劣るルチル相が多量に形成される。アルカリ分をほぼ完全に除去するためには、多孔体をアルカリ水溶液と接触させた時間よりも長い時間35℃以上の水と接触させ、しかもその間に少なくとも1回以上新しい水と交換する方法を採るのが望ましい。アナターゼへの改質のための加熱は、その前工程における水との接触中に行っても良い。すなわち、アルカリ分を除去するために接触させる水の温度を60℃以上とすることにより、アルカリ分除去とアナターゼへの改質とを同時に進行させることができる。
【0008】
こうして得られた人工骨は、チタン又はチタン合金からなり、気孔率をX(%)、平均気孔径をY(μm)とするとき、XY座標上の点A(46、180)、B(46、520)、C(50、520)、D(72、220)及びE(72、180)を結ぶ直線で囲まれる領域内の気孔率及び平均気孔径を有する多孔体と、
多孔体の孔内面に形成されたアナターゼ相からなる皮膜と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
生体内における骨形成能力及びその信頼性に優れ機械的強度の高い人工骨が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に適用する多孔体の気孔率と平均気孔径との関係を示す図であり、図中の黒丸は実施例、黒三角は比較例である。
【図2】この発明の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0011】
1 顆粒
2 一次粒子
3 気孔形成材
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
多孔体としては、最大粒径180μm以下のチタン又はチタン合金粉末と、有機バインダーとからなる粒径0.1~2.0mmの範囲の顆粒を気孔形成材と配合し、加圧成形した後、焼成することによって製造されたものが好ましい。
前記チタン又はチタン合金粉末としては、その酸素含有量が0.30重量%以下であるものが好ましい。このような粉末は、粒子表面の酸素が少ないので活性であり、焼成工程で一次粒子間の結合が進みやすい。従って、一層高い機械的強度が得られる。
有機バインダーは特に限定されず、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレンなどであってよい。酸素含有量0.30重量%以下の金属粉末を得る手段としては、不活性ガス雰囲気中で金属を粉砕するか又は金属の溶湯を噴霧する、所謂ガスアトマイズ方が挙げられる。気孔形成材としては、常温で固体であって200℃以下で昇華もしくは分解する化合物(例えば炭酸水素アンモニウム、シュウ酸無水物、シュウ酸二水和物)や、これらのいずれかとワックス類との混合物が挙げられる。これらは昇華・分解後に多孔体内に残らないからである。
【実施例】
【0013】
以下、この明細書において、生体骨が存在する所に人工骨を埋め込んだ場合に人工骨の気孔内に生体骨が進入し人工骨と結合する現象を骨伝導能という。また、筋肉内に人工骨を埋め込んだ場合に人工骨の気孔内に生体骨が形成される現象を骨誘導能という。
【0014】
-実施例1-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.12重量%、最大粒径45μmのチタン粉末とポリアセタール(株式会社ポリプラスチック製ジュラコンM270)を65:35の体積比で混練した。体積比は各々の真密度と重量から算出した。混練して得られた塊を粉砕し、篩いにかけて0.6~1.5mmの粒径の顆粒を得た。別途、炭酸水素アンモニウム粉末88体積%及びパラフィンワックス12体積%の混合物(気孔形成材)を250~500μmに粒度調整した。
【0015】
そして、前記顆粒を前記気孔形成材混合物と65:35の体積比で混合し、この混合粉末を金型に充填し、130℃に加熱すると共に80MPaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1200℃で2時間保持することにより、直径22mm×高さ18mmの円柱状のチタン多孔体を製造した。気孔率を水銀ポロシメータ(マイクロメリテック社製)で測定すると49%であった。多孔体から直径6mm×高さ10mmの試験片を切り出し、圧縮速度1mm/分で圧縮したところ、圧縮強度は116MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。CT断面を観察したところ、平均気孔径は200μmであった。
【0016】
多孔体から直径6mm×高さ15mmの試験片を切り出し、60℃の5M水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸け、続いて40℃の蒸留水に48時間(12時間毎に新しい蒸留水と交換した。以下の実施例も同じ。)浸けた後、600℃で1時間加熱した(以下、「アルカリ-温水—加熱処理」という。)。一方、純度99%のチタン板にも同様にアルカリ-温水—加熱処理を施した。試験片を加速電圧15kV、測定元素=O、Na、Ti、X線強度1500~2500cps、取り込み時間1000live timeの条件でエネルギー分散型X線分析装置(EDX)にて分析したところ、表面から0、1、2、3mmのいずれの深さにおいてもNaイオンは検出されなかった。また、チタン板をX線回折装置にかけて結晶相を分析したところ、多量のアナターゼと少量のルチルが析出していた。
【0017】
この試験片を成熟した白色家兎の脛骨に埋め込み8週間放置したところ、多孔体は脛骨と直接結合していた。試験片を骨と共に取り出し、その半径方向に沿って切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、表面から中心部に向かって旺盛にしかも均一に生体骨が進入し試験片と結合していた。即ち、骨伝導能に優れていることが判った。
また上記と同様に多孔体から切り出してアルカリ-温水—加熱処理した試験片を、成熟したビーグル犬の背部筋肉に3ヶ月間埋め込んだ後に取り出した。この試験片を半径方向に切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、試験片内部の気孔表面に沿って、ほぼ均一に全面にわたって骨が形成されていた。即ち、骨誘導能に優れていることが判った。
【0018】
-比較例1-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.12重量%、最大粒径45μmのチタン粉末とポリアセタール(同上)を65:35の体積比で混練した。体積比は各々の真密度と重量から算出した。混練して得られた塊を粉砕し、篩いにかけて0.6~1.5mmの粒径の顆粒を得た。顆粒を金型に充填し、130℃に加熱すると共に加圧前に対して加圧後の体積が64%となるようにプレス機のストローク量を調整して圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1200℃で2時間保持することにより、直径22mm×高さ18mmの円柱状のチタン多孔体を製造した。
【0019】
この多孔体の気孔率を水銀ポロシメータで測定すると49%であった。また、多孔体の酸素含有量を非分散型赤外吸収法により分析したところ、0.21重量%であった。また、圧縮強度は116MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。平均気孔径は、150μmであった。
得られた多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水(但し、蒸留水は交換しなかった。)-加熱処理の後に実施例1と同様にEDXにて分析したところ、表面からの距離に関係なく局所的に0.4~1.2at%の濃度でNaイオンが検出された。実施例1と同様に骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、骨伝導能に関しては試験片の外周部一面に骨が形成されていたが、中心部近傍では骨の入っていない気孔も観察された。骨誘導能については局所的に骨が形成されていない部分が存在した。
【0020】
-実施例2-
実施例1におけるチタン粉末及び炭酸水素アンモニウム粉末に代えて最大粒径が180μmのチタン粉末及び500~1500μmに粒度調整した炭酸水素アンモニウム粉末を用いたこと以外は、実施例1と同一条件でチタン多孔体を製造した。水銀ポロシメータによる気孔率は48%であった。また、圧縮強度は118MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。平均気孔径は500μmであった。
得られた多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理の後に実施例1と同様に骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、いずれも実施例1と同様に優れていた。Naイオンは検出されなかった。
【0021】
-比較例2-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.12重量%、最大粒径180μmのチタン粉末とポリアセタール(同上)を70:30の体積比で混練した。混練して得られた塊を粉砕し、篩いにかけて0.6~1.5mmの粒径の顆粒を得た。また別途、炭酸水素アンモニウム粉末を500~1500μmに粒度調整した。前記顆粒をこの炭酸水素アンモニウム粉末と58:42の体積比で混合し、混合物を金型に充填し、130℃に加熱すると共に80MPaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1250℃で2時間保持することにより、直径22mm×高さ20mmの円柱状のチタン多孔体を製造した。
【0022】
この多孔体の水銀ポロシメータによる気孔率は67%であった。また、圧縮強度は32MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。平均気孔径は500μmであった。得られた多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理の後に実施例1と同様に骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、骨伝導能については実施例1と同様に優れていたが、骨誘導能は乏しかった。Naイオンは検出されなかった。
【0023】
-比較例3-
実施例1で得られたチタン多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理のいずれも行わずに、骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、骨伝導能に関しては生体骨の進入量が乏しく、しかも試験片との結合は認められなかった。骨誘導能は全く認められなかった。
-比較例4-
比較例2で得られたチタン多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理のいずれも行わずに、骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、骨伝導能に関しては生体骨の進入量が乏しく、しかも試験片との結合は認められなかった。骨誘導能は全く認められなかった。
【0024】
-実施例3-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.18重量%、最大粒径180μmのチタン合金(Ti-6Al-4V)粉末とポリアセタール(同上)を65:35の体積比で混練した。混練して得られた塊を粉砕し、篩いにかけて0.6~1.5mmの粒径の顆粒を得た。また別途、炭酸水素アンモニウム粉末を500~1500μmに粒度調整した。前記顆粒をこの炭酸水素アンモニウム粉末と65:35の体積比で混合し、混合物を金型に充填し、130℃に加熱すると共に80MPaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1380℃で2時間保持することにより、直径22mm×高さ18mmの円柱状のチタン合金多孔体を製造した。水銀ポロシメータによる気孔率は48%であった。また、圧縮強度は215MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。平均気孔径は500μmであった。
【0025】
多孔体から直径6mm×高さ15mmの試験片を切り出し、60℃の5M水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸け、続いて80℃の蒸留水に48時間浸けた後、500℃で1時間加熱した。実施例1と同様に骨伝導能を観察したところ、実施例1と同様に優れていた。一方、チタン合金(Ti-6Al-4V)板にも同様にアルカリ-温水—加熱処理を施した後、X線回折装置にかけて結晶相を分析したところ、多量のアナターゼが析出していた。
【0026】
-実施例4-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.21重量%、最大粒径45μmのチタン合金(Ti-6Al-4V)粉末とポリアセタール(同上)を70:30の体積比で混練した。混練して得られた塊を粉砕し、篩いにかけて0.3~0.65mmの粒径の顆粒を得た。また別途、シュウ酸無水物88体積%及びパラフィンワックス12体積%の混合物(気孔形成材)を粒度250~500μmの範囲に調整した。
【0027】
そして、前記顆粒を前記気孔形成材混合物と58:42の体積比で混合し、この混合粉末を金型に充填し、130℃に加熱すると共に80MPaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1250℃で2時間保持することにより、直径22mm×高さ20mmの円柱状のチタン合金多孔体を製造した。気孔率を水銀ポロシメータで測定すると70%であった。また、圧縮強度は105MPaであり、粒子の脱落は無い状態で変形した。平均気孔径は200μmであった。
【0028】
多孔体から直径6mm×高さ15mmの試験片を切り出し、60℃の5M水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸け、続いて40℃の蒸留水に48時間浸けた後、500℃で1時間加熱した。実施例1と同様に骨伝導能を観察したところ、実施例1と同様に優れていた。
【0029】
-比較例5-
実施例3で得られたチタン合金多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理のいずれも行わずに、骨伝導能を観察したところ、生体骨の進入量が乏しく、しかも試験片との結合は認められなかった。
【0030】
-比較例6-
実施例4で得られたチタン合金多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理のいずれも行わずに、骨伝導能を観察したところ、生体骨の進入量が乏しく、しかも試験片との結合は認められなかった。
【0031】
-実施例5-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.12重量%、最大粒径180μmのチタン粉末とポリアセタールを65:35の体積比で混練した。混練して得られた塊を粉砕し、篩にかけて0.6~1.5mmの粒径の顆粒を得た。別途、炭酸水素アンモニウム粉末88体積%及びパラフィンワックス12体積%の混合物(気孔形成材)を250~500μmに粒度調整した。
そして、前記顆粒を前記気孔形成材混合物と58:42の体積比で混合し、この混合粉末を金型に充満して130℃に加熱するとともに80MPaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1200℃で2時間保持することにより、チタン多孔体を得た。水銀ポロシメーターによる気孔率は70%、平均気孔径は200μmであった。また、圧縮強度は40MPaであり、粒子の脱落はない状態で変形した。
得られた多孔体から試験片を切り出し、アルカリ-温水-加熱処理の後に実施例1と同様に骨伝導能及び骨誘導能を観察したところ、いずれも実施例1と同様に優れていた。
【0032】
-比較例7-
実施例5で用いたものと同じチタン粉末を金型に充填し、常温で80Mpaの圧力を加えることにより、成形した。成形体は、手でつかむと容易に崩れた。
-比較例8-
実施例5で用いたものと同じチタン粉末をパラフィンワックスと95:5の体積比で混合し、混合粉末を金型に充填し、50℃に加熱するとともに80Mpaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1200℃で2時間保持することにより、直径23mm×高さ19mmの円柱状のチタン多孔体を製造した。気孔率は約30%であった。圧縮強度は105MPaであり、変形途中で粒子脱落が生じた。
-比較例9-
実施例5で用いたものと同じチタン粉末と炭酸水素アンモニウム粉末とを58:42の体積比で混合し混合粉末を金型に充填し、130℃に加熱するとともに80Mpaの圧力を加えることにより、成形した。成形体を真空炉内に置き、脱脂後、1200℃で2時間保持することにより、直径23mm×高さ19mmの円柱状のチタン多孔体を製造した。気孔率は78%であった。圧縮強度は25MPaであり、変形途中で粒子脱落が生じた。
【0033】
—参考例—
純度99%のチタン板を、60℃の5M水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸け、続いて80℃の蒸留水に48時間(12時間毎に80℃の新しい蒸留水と交換した。)浸けた。X線回折装置にかけて結晶相を分析したところ、多量のアナターゼが析出していた。
図面
【図1】
0
【図2】
1