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明細書 :機能性材料の三次元構造体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4592752号 (P4592752)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月8日(2010.12.8)
発明の名称または考案の名称 機能性材料の三次元構造体
国際特許分類 C23C  26/00        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
C01G  23/04        (2006.01)
C01B  33/12        (2006.01)
C07K  14/47        (2006.01)
FI C23C 26/00 ZNAC
B82B 1/00
B82B 3/00
C01G 23/04 C
C01B 33/12 C
C07K 14/47
請求項の数または発明の数 20
全頁数 27
出願番号 特願2007-517866 (P2007-517866)
出願日 平成18年5月24日(2006.5.24)
国際出願番号 PCT/JP2006/310367
国際公開番号 WO2006/126595
国際公開日 平成18年11月30日(2006.11.30)
優先権出願番号 2005155438
優先日 平成17年5月27日(2005.5.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年11月26日(2007.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】芝 清隆
【氏名】佐野 健一
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
審査官 【審査官】市枝 信之
参考文献・文献 国際公開第2005/010031(WO,A1)
特開2001-191446(JP,A)
調査した分野 C23C 24/00 ~ 30/00
B82B 1/00
B82B 3/00
C01B 33/12
C01G 23/04 CiNii
CA/REGISTRY(STN)
C07K 14/47
特許請求の範囲 【請求項1】
無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成することを特徴とする無機材料単層薄膜の製造方法。
【請求項2】
無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されていることを特徴とする無機材料単層薄膜。
【請求項3】
無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする請求項記載の無機材料単層薄膜。
【請求項4】
無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする請求項記載の無機材料単層薄膜。
【請求項5】
集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする請求項のいずれか記載の無機材料単層薄膜。
【請求項6】
融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする請求項記載の無機材料単層薄膜。
【請求項7】
バイオミネラル層が、シリカ又はシリカ含有分子の単層であることを特徴とする請求項のいずれか記載の無機材料単層薄膜。
【請求項8】
バイオミネラル層が、酸化チタンの単層であることを特徴とする請求項のいずれか記載の無機材料単層薄膜。
【請求項9】
無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成する、多層化操作(a)及び(b)を、1若しくは複数回繰り返すことを特徴とする機能性材料の三次元構造体の製造方法。
【請求項10】
無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、無機ナノ粒子を担持した前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、さらに必要に応じて、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する無機ナノ粒子を担持した前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させる、多層化操作(b)及び(a)を、1若しくは複数回繰り返すことを特徴とする機能性材料の三次元構造体の製造方法。
【請求項11】
無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、さらに(a)形成されたバイオミネラル層表面に単層結合した前記集合体を介して、(b)前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されている、多層化構造(a)及び(b)が、1若しくは複数回繰り返されていることを特徴とする機能性材料の三次元構造体。
【請求項12】
無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合され、さらに必要に応じて、(b)結合された集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、(a)この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合されている、多層化構造(b)及び(a)が、1若しくは複数回繰り返されていることを特徴とする機能性材料の三次元構造体。
【請求項13】
無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする請求項11又は12記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項14】
無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする請求項11又は12記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項15】
集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする請求項1114のいずれか記載の三次元構造体。
【請求項16】
融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする請求項15記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項17】
機能性材料が、シリカ又はシリカ含有分子の薄膜であることを特徴とする請求項1116のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項18】
機能性材料が、酸化チタン薄膜であることを特徴とする請求項1116のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項19】
機能性材料が、半導体材料又は半導体ナノ粒子であることを特徴とする請求項1116のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体。
【請求項20】
機能性材料が、酸化金属材料又は酸化金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項1116のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体。
発明の詳細な説明 技術分野
[0001]本発明は、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用した、無機材料単層薄膜及びその製造方法、並びに、機能性材料の三次元構造体及びその製造方法に関する。
背景技術
[0002]無機材料に特異的に結合する人工ペプチドとしては、1992年にブラウン(S.Brown)による酸化鉄(Fe2O3)結合ペプチドの取得が報告された(例えば、非特許文献1参照)。以後、それまで自然界で生物が利用してこなかった無機材料に結合する人工ペプチドの取得が相次いでおこなわれ、2000年にはベルシャー(A.M.Belcher)により砒化ガリウム(GaAs)結合人工ペプチド(例えば、非特許文献2参照)、炭酸カルシウム(CaCO3)結合人工ペプチドが報告された(例えば、非特許文献2参照)。また、詳細な反応機構はまだ分かっていないが、無機材料結合人工ペプチドはその標的材料に対するバイオミネラリゼーション能を持つことが知られている。
[0003]一方、自然界で生物が利用している無機材料、例えば珪藻の珪素骨格や貝の炭酸カルシウムの殻、我々人間の歯や骨などからみつけられた無機材料結合ペプチドモチーフも、人工ペプチドと同様にその標的材料に対するバイオミネラリゼーション能を有することが知られており、無機材料に結合するペプチドは、一般的に標的材料への結合能と同時にバイオミネラリゼーション能をもつ多機能ペプチドであると考えられる。
[0004]本発明者らは、チタンに結合する人工ペプチドTBP-1(RKLPDAPGMHTW;配列番号2)を、ファージ提示法により単離している(例えば、非特許文献3参照)。TBP-1は、チタン以外にも銀・シリコンへの結合能を有するが、金・プラチナ・銅・クロム・鉄・すず・亜鉛には結合せず、高い結合特異性が見られる。またTBP-1は、銀あるいはシリカのバイオミネラリゼーション能を有しており、やはり多機能ペプチドであることが示されている(例えば、非特許文献4参照)。
[0005]これら無機材料結合ペプチドを利用して、ナノスケールの機能性分子配置制御技術の確立に向けた取り組みがなされている。主に次のふたつの方法について研究されている。ひとつは無機材料結合ペプチドが持つ結合特異性を利用した、「ダイレクトパターンニング」と呼ばれる基盤を複数種の無機材料で修飾を施し、特定の無機材料修飾部位だけに目的の機能性分子を2次元に配置させる方法である。ふたつ目は、周期構造あるいは規則的な構造を持つ分子足場に無機材料結合ペプチドを共役させることで、無機材料結合ペプチドをパターン化する。この足場上で機能性分子の「バイオミネラリゼーション」反応を起こすことで、機能性分子を配置制御するという方法である。これら両者とも盛んに研究されている。
[0006]一方、フェリチンタンパク質は、「必須の金属であるが、毒性も同時に備えもつ『鉄』原子」を生体内で貯蔵するタンパク質として、古くから知られている。フェリチンあるいはフェリチン様タンパク質は動・植物からバクテリアまで普遍的に存在していて、生体あるいは細胞中の鉄元素のホメオスタシスに深く関わっている。ヒトやウマなどの高等真核生物のフェリチンは、分子量約20kDaのペプチド鎖が直径約12nmの24量体からなる球核状構造を形成し、内部に7-8nmの空間を持つ。この内部空間に、ナノ粒子状の酸化鉄のかたまりとして鉄分子を貯蔵している。タンパク質球殻(ケージ)を構成する24個のサブユニットには2種類のタイプ(Hタイプ、Lタイプ)があり、その組成比は生物種、組織により異なっている。
[0007]天然には鉄のナノ粒子を内部に貯蔵するフェリチンであるが、しかしながら人工的には、鉄以外にも、ベリリウム、ガリウム、マンガン、リン、ウラン、鉛、コバルト、ニッケル、クロムなどの酸化物、また、セレン化カドミウム、硫化亜鉛、硫化鉄、硫化カドミウムなどの半導体・磁性体などのナノ粒子を貯蔵できることが示されており、半導体材料工学分野や保険医療分野での応用研究が盛んにおこなわれている。
[0008]また、デンドリマーは、単一の分岐単量体単位から段階的に合成された3次元巨大分子であり、その性質と機能性は、容易に制御でき、また変更できることが知られている。デンドリマーは、多機能コアに対して(合成への発散型アプローチ)、又は、多機能コアに向かって(合成への収束型アプローチ)、ビルディング・ブロック(基礎単位)を反復付加することで合成され、ビルディング・ブロックの3次元シェルが付加する度に、高位世代のデンドリマーが形成される。デンドリマーは、世代が進むごとに表面の官能基密度が高くなり、物性を大きく支配するようになることも知られている。例えば、末端の官能基にカルボキシル基など親水性のものを組み込めば、デンドリマーは水溶性になる。分子表面は親水性である一方で、デンドリマーの内部を疎水性に設計することもできる。三次元構造で内部にゲスト分子を保持できるスペースがあることから、難水溶性薬物を取り込むことが可能となる。さらに、末端の官能基がアミノ基であるPAMAM(ポリアミドアミン)デンドリマーは、pHのような外部の環境に応答して、末端のアミノ基がプロトン化され、デンドリマー分子全体が正電荷を帯びて体積が大きくなることが知られている。
[0009]また一般に、スターポリマーは、3本以上のアームとなるポリマー鎖が、そのアームの中心であるコアで連結したポリマーと定義され、その中心となるコアは、多官能のポリハロゲン化合物や多官能モノマーの架橋重合体が使用されている。また、アームが10本以上の多分枝のスターポリマー(マルチアームスターポリマー)は、ジビニルベンゼンの架橋体をコアとして、モノカルバニオンのポリマー鎖を、ジビニルベンゼンで架橋する方法が行われている。スターポリマーの製法としては、アニオンリビングポリマーを多官能カップリング剤によりカップリングして製造する方法(アームファースト法)と、あらかじめ多官能開始種を合成して、そこから腕を伸ばす方法(コアファースト法)が一般的であり、アームとなるポリマー鎖の重合反応と、そのポリマー鎖を中心となるべきコアに複数連結させる反応とは、2段階に分けて別々に行われている。
[0010]特許文献1:特願2003-282509号公報
特許文献2:特願2004-374093号公報
非特許文献1:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8651,1992
非特許文献2:Nature,405:665,2000
非特許文献3:Sano K.,and Shiba K.“A hexapeptide motif that electrostatically binds to the surface of titanium”J Am Chem Soc.125,14234-5(2003)
非特許文献4:Langmuir,21(7),3090 -3095,2005.
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0011]先端技術分野の中で最も大きな注目を集めているバイオテクノロジーとナノテクノロジーは、互いに密接な関係にあり、この両者を融合したバイオナノテクノロジーは、21世紀社会に不可欠な新しい基盤技術として注目されている。かかるバイオナノテクノロジーの様々な分野での応用利用を考える場合、ボトムアップ型の自己組織化を利用した三次元分子配置技術が必要となる。本発明の課題は、無機材料結合ペプチドがもつ多機能性、すなわち特定の無機材料に特異的に結合する能力とバイオミネラリゼーション能の両方を利用することで、無機材料結合ペプチドを融合・結合したタンパク質,ウイルス,ブロック共重合体等をボトムアップ型でナノスケールの三次元分子配置を可能とした機能性材料の三次元構造体や、厚み方向の分子配置を制御することによりナノスケールで制御された薄膜を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0012]本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、ウマ脾臓由来Lフェリチン分子のアミノ末端をコードするcDNAに、配列番号1に示されるアミノ酸配列RKLPDAからなる無機材料結合ペプチドをコードするDNAを融合させ、大腸菌を利用して、無機材料結合ペプチド融合フェリチンタンパク質を発現させ、この融合フェリチンタンパク質を精製し、得られた融合フェリチンタンパク質をモデル系として、この融合フェリチンタンパク質における無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用して、無機材料単層薄膜や、機能性材料の三次元構造体を製造しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
[0013]すなわち本発明は、(1)無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成することを特徴とする無機材料単層薄膜の製造方法や、(2)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにしたファージ提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(1)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(3)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(1)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(4)無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(5)無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする上記(1)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(6)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、珪藻タンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(5)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(7)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(5)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(8)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする上記(1)~(7)のいずれか記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(9)融合タンパク質複合体が、多量体タンパク質複合体であることを特徴とする上記(8)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(10)融合タンパク質複合体が、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体であることを特徴とする上記(8)又は(9)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(11)融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする上記(8)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(12)融合タンパク質複合体が、細菌に由来する鉄貯蔵タンパク質複合体であることを特徴とする上記(8)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(13)融合タンパク質複合体が、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体であることを特徴とする上記(8)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(14)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した化学修飾タンパク質であることを特徴とする上記(1)~(7)のいずれか記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(15)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物であることを特徴とする上記(1)~(7)のいずれか記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(16)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体であることを特徴とする上記(15)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(17)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有磯高分子化合物が、枝分かれの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー、又は、アームの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したスターポリマーであることを特徴とする上記(15)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(18)バイオミネラル層が、シリカ又はシリカ含有分子の単層であることを特徴とする上記(1)~(17)のいずれか記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(19)バイオミネラル層が、酸化チタンの単層であることを特徴とする上記(1)~(17)のいずれか記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(20)酸化チタンが光触媒能を有することを特徴とする上記(19)記載の無機材料単層薄膜の製造方法に関する。
[0014]また本発明は、(21)無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されていることを特徴とする無機材料単層薄膜や、(22)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにしたファージ提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(21)記載の無機材料単層薄膜や、(23)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(21)記載の無機材料単層薄膜や、(24)無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする上記(22)又は(23)記載の無機材料単層薄膜や、(25)無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする上記(21)記載の無機材料単層薄膜や、(26)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、珪藻タンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(25)記載の無機材料単層薄膜や、(27)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(25)記載の無機材料単層薄膜や、(28)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする上記(21)~(27)のいずれか記載の無機材料単層薄膜や、(29)融合タンパク質複合体が、多量体タンパク質複合体であることを特徴とする上記(28)記載の無機材料単層薄膜や、(30)融合タンパク質複合体が、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体であることを特徴とする上記(28)又は(29)記載の無機材料単層薄膜や、(31)融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする上記(28)記載の無機材料単層薄膜や、(32)融合タンパク質複合体が、細菌に由来する鉄貯蔵タンパク質複合体であることを特徴とする上記(28)記載の無機材料単層薄膜や、(33)融合タンパク質複合体が、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体であることを特徴とする上記(28)記載の無機材料単層薄膜や、(34)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した化学修飾タンパク質であることを特徴とする上記(21)~(27)のいずれか記載の無機材料単層薄膜や、(35)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物であることを特徴とする上記(21)~(27)のいずれか記載の無機材料単層薄膜や、(36)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体であることを特徴とする上記(35)記載の無機材料単層薄膜や、(37)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、枝分かれの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー、又は、アームの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したスターポリマーであることを特徴とする上記(35)記載の無機材料単層薄膜や、(38)バイオミネラル層が、シリカ又はシリカ含有分子の単層であることを特徴とする上記(21)~(37)のいずれか記載の無機材料単層薄膜や、(39)バイオミネラル層が、酸化チタンの単層であることを特徴とする上記(21)~(37)のいずれか記載の無機材料単層薄膜や、(40)酸化チタンが光触媒能を有することを特徴とする上記(39)記載の無機材料単層薄膜に関する。
[0015]また本発明は、(41)無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成する、多層化操作(a)及び(b)を、1若しくは複数回繰り返すことを特徴とする機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(42)無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、無機ナノ粒子を担持した前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、さらに必要に応じて、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する無機ナノ粒子を担持した前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させる、多層化操作(b)及び(a)を、1若しくは複数回操り返すことを特徴とする機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(43)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにしたファージ提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(41)又は(42)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(44)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(41)又は(42)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(45)無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする上記(43)又は(44)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(46)無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする上記(41)又は(42)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(47)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、珪藻タンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(46)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(48)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(46)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(49)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする上記(41)~(48)のいずれか記載の三次元構造体の製造方法や、(50)融合タンパク質複合体が、多量体タンパク質複合体であることを特徴とする上記(49)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(51)融合タンパク質複合体が、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体であることを特徴とする上記(49)又は(50)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(52)融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする上記(49)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(53)融合タンパク質複合体が、細菌に由来する鉄貯蔵タンパク質複合体であることを特徴とする上記(49)記載の無機材料単層薄膜の製造方法や、(54)融合タンパク質複合体が、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体であることを特徴とする上記(49)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(55)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した化学修飾タンパク質であることを特徴とする上記(41)~(48)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(56)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物であることを特徴とする上記(41)~(48)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(57)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体であることを特徴とする上記(56)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(58)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、枝分かれの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー、又は、アームの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したスターポリマーであることを特徴とする上記(56)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(59)機能性材料が、シリカ又はシリカ含有分子の薄膜であることを特徴とする上記(41)~(58)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(60)機能性材料が、酸化チタン薄膜であることを特徴とする上記(41)~(58)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(61)酸化チタンが光触媒能を有することを特徴とする上記(60)記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(62)機能性材料が、半導体材料又は半導体ナノ粒子であることを特徴とする上記(41)~(58)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(63)機能性材料が、酸化金属材料又は酸化金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(41)~(58)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(64)機能性材料が、塩化金属材料又は塩化金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(41)~(58)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法や、(65)三次元構造体が、配置制御三次元構造体又は多層薄膜三次元構造体であることを特徴とする上記(41)~(64)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体の製造方法に関する。
[0016]さらに本発明は、(66)無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、さらに(a)形成されたバイオミネラル層表面に単層結合した前記集合体を介して、(b)前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されている、多層化構造(a)及び(b)が、1若しくは複数回繰り返されていることを特徴とする機能性材料の三次元構造体や、(67)無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合され、さらに必要に応じて、(b)結合された集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、(a)この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合されている、多層化構造(b)及び(a)が、1若しくは複数回操り返されていることを特徴とする機能性材料の三次元構造体や、(68)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにしたファージ提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(66)又は(67)記載の機能性材料の三次元構造体や、(69)無機材料結合ペプチドが、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により人工的に取得されたペプチドであることを特徴とする上記(66)又は(67)記載の機能性材料の三次元構造体や、(70)無機材料結合ペプチドが、RKLPDA(配列番号1)又はRKLPDAPGMHTW(配列番号2)であることを特徴とする上記(68)又は(69)記載の機能性材料の三次元構造体や、(71)無機材料結合ペプチドが、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする上記(66)又は(67)記載の機能性材料の三次元構造体や、(72)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、珪藻タンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(71)記載の機能性材料の三次元構造体や、(73)自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドが、自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質に由来するペプチドであることを特徴とする上記(71)記載の機能性材料の三次元構造体や、(74)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質複合体であることを特徴とする上記(66)~(73)のいずれか記載の三次元構造体や、(75)融合タンパク質複合体が、多量体タンパク質複合体であることを特徴とする上記(74)記載の機能性材料の三次元構造体や、(76)融合タンパク質複合体が、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体であることを特徴とする上記(74)又は(75)記載の機能性材料の三次元構造体や、(77)融合タンパク質複合体が、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体であることを特徴とする上記(74)記載の機能性材料の三次元構造体や、(78)融合タンパク質複合体が、細菌に由来する鉄貯蔵タンパク質複合体であることを特徴とする上記(74)記載の機能性材料の三次元構造体や、(79)融合タンパク質複合体が、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体であることを特徴とする上記(74)記載の機能性材料の三次元構造体や、(80)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した化学修飾タンパク質であることを特徴とする上記(66)~(73)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(81)集合体が、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物であることを特徴とする上記(66)~(73)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(82)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体であることを特徴とする上記(81)記載の機能性材料の三次元構造体や、(83)複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した有機高分子化合物が、枝分かれの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー、又は、アームの先端に複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したスターポリマーであることを特徴とする上記(82)記載の機能性材料の三次元構造体や、(84)機能性材料が、シリカ又はシリカ含有分子の薄膜であることを特徴とする上記(66)~(83)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(85)機能性材料が、酸化チタン薄膜であることを特徴とする上記(66)~(83)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(86)酸化チタンが光触媒能を有することを特徴とする上記(85)記載の機能性材料の三次元構造体や、(87)機能性材料が、半導体材料又は半導体ナノ粒子であることを特徴とする上記(66)~(83)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(88)機能性材料が、酸化金属材料又は酸化金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(66)~(83)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(89)機能性材料が、塩化金属材料又は塩化金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(66)~(83)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体や、(90)三次元構造体が、配置制御三次元構造体又は多層薄膜三次元構造体であることを特徴とする上記(66)~(89)のいずれか記載の機能性材料の三次元構造体に関する。
【図面の簡単な説明】
[0017]
[図1]minT1-LFを利用したナノ粒子の三次元配置制御法の模式図を示す。
[図2]チタンコートQCMセンサー上へのminT1-LF三次元配置制御を示す図である。最初にminT1-LFを操り返し添加してもチタンセンサー表面の重量変化が見られない。このことは、従来法ではminT1-LFはチタンセンサー上で単層膜しか形成できないことを表している。しかし、minT1-LFが持つminTBP-1配列の持つ、シリカ形成能力を利用することで、minT1-LFの三次元配置に成功した。
[図3]金コートQCMセンサー上へのminT1-LF三次元配置制御を示す図である。一層目のminT1-LFの吸着様式が、非特異的吸着(物理吸着)であっても三次元配置制御法が機能することをこの図は示している。一般に、界面活性剤などの非特異的吸着抑制剤の非存在下でフェリチンは、非特異的吸着により単層膜を形成することが知られている。
[図4]LFOを用いた対照実験の結果を示す図である。minTBP-1配列を持たないフェリチンは、非特異的吸着により金基板上に単層膜を形成するが、無機材料結合ペプチドのもつ多機能性を有しないことから、三次元配置ができない。
[図5]minT1-LFの内部空間におけるナノ粒子形成を示す図である。minT1-LFの内部空間に、(左から)酸化鉄ナノ粒子・酸化コバルトナノ粒子・セレン化カドミウムナノ粒子を形成させた時の溶液の様子。溶液の色からminT1-LFの内部空間にそれぞれのナノ粒子が形成されたことが分かる。
[図6]minT1-LFを介した酸化鉄ナノ粒子の三次元配置制御を示す図である。
[図7]minT1-LFを介したナノ粒子の三次元配置制御を示す図である。酸化鉄、酸化コバルト、セレン化カドミウムを内包したminT1-LFを順に積層することで、異なるナノ粒子を三次元に配置制御することができた。
[図8]minT1-LFを介したナノ粒子の三次元配置制御を示す図である。酸化鉄、セレン化カドミウム、酸化コバルトを内包したminT1-LFを順に積層することで、異なるナノ粒子を三次元配置制御することができた。
[図9]minT1-LFを介して配列したナノ粒子の三次元配置1を示す図である。断面試料の透過型電子顕微鏡像(右)および元素マッピング(左)から、本三次元配置制御法が有効に機能していることが示された。
[図10]minT1-LFを介して配列したナノ粒子の三次元配置2を示す図である。断面試料の透過型電子顕微鏡像(右)および元素マッピング(左)から、本三次元配置制御法が有効に機能していることが示された。
[図11]minT1-LF/シリカ薄膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
[図12]Fe-minT1-LFの三次元配置制御過程の走査型電子顕微鏡像を示す図である。A.基板に用いた鏡面研磨チタンのSEM像。研磨傷が見えている。B.Fe-minT1-LF第一層が形成された時のSEM像。minT1-LFに相当する粒状構造が見える。C.シリカ層形成時のSEM像。Bで見えた粒状構造ではなく、それよりも大きな構造物が見える。minT1-LFの周囲にシリカ膜が形成されたためと考えられる。D.Fe-minT1-LF第二層が形成された時のSEM像。再びminT1-LFに相当する粒状構造が見える。E.さらにシリカ層形成時のSEM像。再びminT1-LFの周囲にシリカ膜が形成され生じた構造体が見える。
[図13]バイオミネラル層が酸化チタンの場合のminT1-LFを介した三次元配置制御を示す図である。
[図14]チタン結合ペプチド(KIS-P1)配列を含む合成ペプチドを化学修飾したフェリチンタンパク質による三次元配置制御を示す図である。
[図15]無機材料結合ペプチドを化学修飾したタンパク質等ナノ材料にルシフェラーゼを付与した場合の三次元配置制御を示す図である。
[図16]minTBP-1-PEG/PAMAの内部空間におけるナノ粒子形成を示す図である。右上は、minTBP-1-PEG/PAMAの内部空間に、minTBP-1-PEG/PAMA・金ナノ粒子を形成させた時の溶液の様子である。溶液の色からminTBP-1-PEG/PAMAの内部空間にそれぞれのナノ粒子が形成されたことが分かる。精製した産物の吸光度は、金ナノ粒子の形成を示す520nm近傍に吸収極大を持つプロファイルを示し、minTBP-1-PEG/PAMAの内部空間にそれぞれのナノ粒子が形成されたことが分かる。
[図17]minTBP-1-PEG/PAMAの動的光散乱の計測結果を示す図である。minTBP-1-PEG/PAMA・金ナノ粒子のコアシェル構造体の平均粒系は54.5nmであると予想される。
発明を実施するための最良の形態
[0018]本発明の無機材料単層薄膜の製造方法としては、無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成する方法であれば特に制限されるものではなく、また、本発明の無機材料単層薄膜としては、無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されている単層薄膜であれば特に制限されるものではない。
[0019]また、本発明の機能性材料の三次元構造体の製造方法としては、無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成する、多層化操作(a)及び(b)を、1若しくは複数回繰り返す方法や、無機基板表面に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を導入し、前記集合体を無機基板上に単層結合させ、単層結合した前記集合体に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、次いで形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、無機ナノ粒子を担持した前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させ、さらに必要に応じて、(b)単層結合した前記集合体表面に、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体を導入し、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用してバイオミネラル層を形成し、(a)形成したバイオミネラル層表面に、該バイオミネラル層に結合能を有する無機ナノ粒子を担持した前記集合体を導入し、バイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用して、前記集合体をバイオミネラル層上に単層結合させる、多層化操作(b)及び(a)を、1若しくは複数回繰り返すことを特徴とする機能性材料の三次元構造体の製造方法であれば特に制限されるものではない。
[0020]さらに、本発明の機能性材料の三次元構造体としては、無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、さらに(a)形成されたバイオミネラル層表面に単層結合した前記集合体を介して、(b)前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成されている、多層化構造(a)及び(b)が、1若しくは複数回繰り返されている構造体や、無機基板表面に単層結合した、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合され、さらに必要に応じて、(b)結合された集合体を介して、前記無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体が、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能によりバイオミネラル層として形成され、(a)この形成されたバイオミネラル層表面に無機ナノ粒子を担持した前記集合体が単層結合されている、多層化構造(b)及び(a)が、1若しくは複数回繰り返されていることを特徴とする機能性材料の三次元構造体であれば特に制限されるものではない。
[0021]上記無機基板としては、例えばチタン、金、銀、銅、ケイ素、アルミ、ステンレス等の金属、セラミック、アルミナ、ガラス、石英、雲母、シリコン等の無機材料から構成される基板を挙げることができる。
[0022]本発明における無機材料結合ペプチドとしては、無機材料をターゲットにしたファージ提示法により人工的に取得されたペプチドや、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により人工的に取得されたペプチドや、自然界に存在するアミノ酸配列からなるペプチドを挙げることができる。上記無機材料としては、無機元素(Ti,Si,Fe,Co,Zn,Ni,As,Ag,Pt,Pd,Au,Al,Mn,W,Ge,P,Cなど)や無機化合物(TiO2,GaAs,CaCO3,SiO2,ZnS,Fe2O3,Cr2O3,PbO2,CoO,MnO2,ゼオライトなど)を具体的に例示することができる。
[0023]例えば、チタンに結合能を有するペプチドをファージ提示法により人工的に取得する方法としては、チタンに、異なったペプチド配列をファージ粒子上に提示(ディスプレイ)したファージ集団(ファージライブラリー)を接触、好ましくは水溶液中で接触させ、ファージ粒子がペプチド配列を介して結合したチタンを遠心操作により回収し、得られたチタンに結合したファージ粒子を大腸菌等の菌体中で増殖させ、次いで、増殖させたペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団をチタンに接触させるパニング操作を繰り返すことにより、チタンに結合するファージクローンを濃縮する方法を挙げることができる。上記チタンとしては、粒子状、板状等の金属チタン、チタン合金、二酸化チタンなどのチタンを用いることができる。また、上記ファージライブラリーは、化学合成したランダムDNAをファージDNA(ファージミド)に挿入し、宿主大腸菌に遺伝子導入することでファージウィルスを形成する分子が生合成され、ウィルス粒子の外殻タンパク質pIIIのN末端の先にランダムペプチドが発現され、ランダム化した部分のアミノ酸残基(-Xn-,X=any amino acid)を表層に提示するファージとして調製することもできるが、市販されているファージライブラリー(random 7 mer,12 mer,cyclic 7 merなど)を用いることもできる。
[0024]このようにして得られる、チタンに結合能を有するペプチドとして、RKLPDA(配列番号1)、RKLPDAPGMHTW(配列番号2)、RALPDA(配列番号3)等を具体的に挙げることができる。また、チタンとしては、金属チタン、チタン合金、不定形二酸化チタン、二酸化チタンアナターゼ結晶、二酸化チタンルチル結晶、二酸化チタンブルカイト結晶を例示することができる。また、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドとして、DYFSSPYYEQLF(配列番号4)やYDPFHII(配列番号5)を具体的に挙げることができる。
[0025]また、文献[(Whaley et al.,2000)Whaley,S.R.,English,D.S.,Hu,E.L.,Barbara,P.F.,and Belcher,A.M.(2000).Selection of peptides with semiconductor binding specificity for directed nanocrystal assembly.Nature 405,665-668.]に記載されているように、GaAsに結合能を有するペプチドとして、AQNPSDNNTHTH(配列番号6)、RLELAIPLQGSG(配列番号7)、TPPRPIQYNHTS(配列番号8)を挙げることができ、また、文献[Gaskin,D.J.H.,Starck,K.,and Vulfson,E.N.(2000).Identification of inorganic crystal-specific sequences using phage display combinatorial library of short peptides:A feasibilitystudy.Biotech Lett 22,1211-1216.]に記載されているように、CaCO3に結合能を有するペプチドとして、HTQNMRMYEPWF(配列番号9)、DVFSSFNLKHMR(配列番号10)を挙げることができ、文献[Naik,R.R.,Stringer,S.J.,Agarwal,G.,Jones,S.E.,and Stone,M.O.(2002b).Biomimetic synthesis and patterning of silver nanoparticles.Nat Mater 1,169-172.]に記載されているように、Agに結合能を有するペプチドとして、AYSSGAPPMPPF(配列番号11)、NPSSLFRYLPSD(配列番号12)、SLATQPPRTPPV(配列番号13)を挙げることができる。
[0026]また、文献[Naik,R.R.,Brott,L.L.,Clarson,S.J.,and Stone,M.O.(2002a).Silica-precipitating peptides isolated from a combinatorial phage display peptide library.J Nanosci Nanotechnol 2,95-100.]に記載されているように、SiO2に結合能を有するペプチドとして、MSPHPHPRHHHT(配列番号14)、RGRRRRLSCRLL(配列番号15)、KPSHHHHHTGAN(配列番号16)を挙げることができ、文献[Lee,S.W.,Mao,C.,Flynn,C.E.,and Belcher,A.M.(2002).Ordering of quantum dots using genetically engineered viruses.Science 296,892-895.]に記載されているように、ZnSに結合能を有するペプチドとして、CNNPMHQNC(配列番号17)を挙げることができ、文献[Sarikaya.M.,Tamerler,C.,Jen,A.K.,Schulten,K.,and Baneyx,F.(2003).Molecular biomimetics:nanotechnology through biology.Nat Mater 2,577-585.]に記載されているように、Ptに結合能を有するペプチドとして、CDRTSTWRC(配列番号18)、CQSVRSTKC(配列番号19)、CSSSHLNKC(配列番号20)を挙げることができ、またPdに結合能を有するペプチドとして、CSVTQNKYC(配列番号21)、CSPHPGPYC(配列番号22)、CHAPTPMLC(配列番号23)を挙げることができる。
[0027]そしてまた、文献[Brows,S.(1992).Engineered iron oxide-adhesion mutants of the Escherichia coli phage lambda receptor.Proc Natl Acad Sci U S A 89,8651-8655.]に記載されているように、Fe2O3に結合能を有するペプチドとして、RRTVKHHVN(配列番号24)を挙げることができ、文献[Brown,S.(1997).Metal-recognition by repeating polypeptides.Nat Biotechnol 15,269-272.]に記載されているように、Auに結合能を有するペプチドとして、MHGKTQATSGTIQS(配列番号25)、LGQSGQSLQGSEKTNG(配列番号26)、EKLVRGMEGASLHPA(配列番号27)を挙げることができ、文献[Schembri,M.A.,Kjaergaard,K.,and Klemm,P.(1999).Bioaccumulation of heavy metals by fimbrial designer adhesins.FEMS Microbiol Lett 170,363-371.]に記載されているように、Cr2O3に結合能を有するペプチドとして、VVRPKAATN(配列番号28)、RIRHRLVGQ(配列番号29)を挙げることができ、またPbO2に結合能を有するペプチドとして、YPPFHNNDHRS(配列番号30)、SKPLARSSGA(配列番号31)を挙げることができ、またCoOに結合能を有するペプチドとして、GRMQRRVAH(配列番号32)、LGKDRPHFHRS(配列番号33)を挙げることができ、またMnO2に結合能を有するペプチドとして、HHMLRRRNT(配列番号34)、HINASQRVA(配列番号35)を挙げることができる。
[0028]さらに、文献[Kjaergaard,K.,Sorensen,J.K.,Schembri,M.A.,and Klemm,P.(2000).Sequestration of zinc oxide by fimbrial designer chelators.Appl EnvironMicrobiol 66,10-14.]に記載されているように、ZnOに結合能を有するペプチドとして、TRRGTHNKD(配列番号36)、NTRMTARQHRSANHKSTQRARS(配列番号37)を挙げることができ、文献[Nygaard,S.,Wendelbo,R.,and Brown,S.(2002).Surface-specific zeolite-binding proteins.Adv Mater14,1853-1856.]に記載されているように、Zeolitesに結合能を有するペプチドとして、MDHGKYRQKQATPG(配列番号38)、VKTQATSREEPPRLPSKHRPG(配列番号39)を挙げることができる。
[0029]このような無機材料に結合能を有するペプチドは、そのアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製造することができる。そして、化学合成法には、通常の液相法及び固相法によるペプチド合成法が包含される。かかるペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包含する。
[0030]また、無機材料をターゲットにした細胞表層提示法により、無機材料結合ペプチドを人工的に取得する方法としては、文献[Brown,S.(1992).Engineered iron oxide-adhesion mutants of the Escherichia coli phage lambda receptor.Proc Natl Acad Sci U SA89,8651-8655.]記載の方法を具体的に例示することができる。
[0031]自然界に存在するアミノ酸配列からなる無機材料結合ペプチドとしては、珪藻タンパク質に由来するペプチドや、自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質に由来するペプチド等を挙げることができる。上記珪藻タンパク質としては、Silicatein α Tethya aurantia(Shimizu et al.,1998)や、Silicatein β Tethya aurantia(Accession No:AAF21819)や、Silicatein a Halichondria okadai(Accession No:BAB86343)や、Silaffin 1 precursor(natSil-1)Cylindrotheca fusiformis(Accession No:Q9SE35)等を挙げることができ、珪藻タンパク質に由来するペプチドとしては、上記Silaffin 1の部分ペプチドR5(SSKKSGSYSGSKGSKRRIL;配列番号4)を具体的に例示することができる。また、上記自然界に存在するバイオミネラリゼーションに関係したタンパク質としては、文献[Bone 34(6),921-932(2004)]記載の骨形成に関与するラット由来DMP-1(dentin matrix protein 1)や、文献[J.Dent.Res.81(11),738-742(2002)]記載の歯エナメル層形成に関与するヒト由来エナメリンや、文献[Nature 423(6942),825-837(2003)]記載のエナメル層形成に関与するヒト由来amelogenin(Y chromosome)precursorなどを挙げることができる。DMP-1由来の部分ペプチド、pA(ESQES;配列番号40)とpB(QESQSEQDS;配列番号41)の共存下でアパタイトのミネラリゼーションがおこることが報告されている(Nature Materials 2 p552)。
[0032]また、上述の無機材料結合ペプチドとして、化学修飾がなされた無機材料結合ペプチドを有利に用いることができる。かかる化学修飾としては、官能基を有するアミノ酸への置換からなる化学修飾や、リンカーとの結合を容易に形成させるための化学修飾を挙げることができるが、化学修飾によりチタン等の無機材料への結合能が低下しない修飾が好ましい。例えば、上記リンカーとの結合を容易に形成させるための化学修飾としては、ビオチンのN-ハイドロキシサクシイミドエステル体を用いて、ペプチドのアミノ基へのビオチンの共有結合を挙げることができる。かかるペプチドのビオチン化により、キメラ分子を容易に作製することができる。
[0033]次ぎに、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体としては、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドと、該ペプチドを融合する、好ましくはN末端に融合するタンパク質とからなる融合タンパク質複合体や、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドと、該ペプチドを結合する、好ましくは共有結合するタンパク質とからなる化学修飾タンパク質や、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドと該ペプチドを結合する、好ましくは共有結合する有機高分子化合物とからなるペプチド結合有機高分子化合物の他、ビオチン-アビジン複合体、抗原タンパク質-抗体複合体等を例示することができる。かかる集合体には、金属ナノ粒子,半導体材料,集光素子,蛍光分子等の無機材料を内包,接合,化学修飾,吸着等により担持させることができる。
[0034]上記融合タンパク質複合体としては、多量体タンパク質複合体や、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体や、高等真核生物由来のフェリチンタンパク質複合体や、細菌に由来する鉄貯蔵タンパク質複合体や、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体を挙げることができる。多量体タンパク質やコア・シェル構造を有するタンパク質としては、高等真核生物由来のフェリチンやアポフェリチンのようなフェリチンタンパク質ファミリー、細菌に由来するDpsAタンパク質やMrgAタンパク質のような鉄貯蔵タンパク質、アデノウィルス、ロタウィルス、ポリオウィルス、HK97、サイトメガロウイルス、タバコモザイクウイルス、カウピーモザイクウイルス(CPMV)、ササゲクロティックモトルウイルス(CCMV)、M13バクテリオファージ等のウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質、GroEL複合体、GroEL-GroES複合体を挙げることができる。例えば、アデノウィルス粒子の正二十面体はヘテロ多量体タンパク質であり、アデノウィルス粒子等のウイルス粒子やウイルス外殻タンパク質を化学修飾する方法はよく知られている(Chemistry and Biology 2002,Vol.9 p805-811、Journal of Nanobiotechnology 2003,1;5、Journal of American Chemical Society 2003,Vol.125,p6848-6849)。また、GroEL-GroES複合体はシルクハットのような形をした、60000原子からなる非常に大きな構造体で、7個のGroEL分子がトーラス型の環をつくり、そのような環2個(合計14個のGroEL)が直径約140Å、高さ150Åの帽子の下部を形成しており、上部には7個のGroES分子が結合して帽子を閉じ、その直径は80Å、高さは約30Åであり、これら複合体の高さは全体で約185Åになり、複合体の中には直径50-60Å、長さ約150Åの大きな円筒型の空洞が7回の対称軸に沿ってあり、帽子の頂上には直径約10Åの円形の穴があって、空洞は蛋白質が容易に適合し、空洞内側表面の残基と相互作用できるような大きさになっている。これらの中でも、例えば、ウマ脾臓由来Lタイプのフェリチン等の高等真核生物由来のLタイプやHタイプのフェリチンを好適に例示することができる。
また、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドと、該ペプチドを化学修飾(結合)する、好ましくは共有結合するタンパク質とからなる化学修飾タンパク質としては、高等真核生物由来のフェリチンやアポフェリチンのようなフェリチンタンパク質ファミリー、ルシフェラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、カタラーゼ、ベーターラクタマーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ミオシン、キネシン、インテグリン、ロドプシン、バクテリオロドプシン、Gタンパク質共役タンパク質、Gタンパク質群、Ras、Ran、CDC42などの低分子量等Gタンパク質群などのタンパク質に、無機材料結合ペプチドを実施例に記載の方法等の常法により共有結合させた化学修飾タンパク質や、前記化学修飾がなされた無機材料結合ペプチドを結合させた化学修飾タンパク質を挙げることができる。
[0035]また、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを化学修飾(結合)した有機高分子化合物からなる前記集合体としては、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体や、枝分かれの先端に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー、アームの先端に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したスターポリマー等の多分枝ポリマーを挙げることができる。
[0036]上記ブロック共重合体における疎水性ブロックとしては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル及びポリフォスファジンからなる群より選択され、より好ましくは、ポリ-L-ロイシン、ポリ-L-イソロイシン、ポリ-L-バリン、ポリ-L-フェニルアラニン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリラクチック-co-グリコリド、ポリラクチック-co-ジオキサン-2-オン、ポリラクチック-co-カプロラクトン及びポリグリコリック-co-カプロラクトンからなる群から選択することができる。上記疎水性ブロックのカルボキシル末端基はブチル酸基、プロピオン酸基、酢酸基、ステアリン酸基、又はパルミチン酸基等の脂肪酸で置換することができる。疎水性ブロックの数平均分子量は、500~50,000ダルトン、中でも500~20,000ダルトンが好ましい。
[0037]また、上記ブロック共重合体における複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドが結合される親水性ブロックとしては、ポリアミノ酸、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリアクリルアミド及びその誘導体からなる群より選択され、より好ましくは、ポリ-L-セリン、ポリ-L-スレオニン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-アルギニン、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ-L-アスパラギン、ポリ-L-グルタミン、モノメトキシポリエチレングリコール、モノアセトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレン-co-プロピレングリコール及びポリビニルピロリドンからなる群から選択することができる。親水性ブロックの数平均分子量は、500~50,000ダルトン、中でも500~20,000ダルトンが好ましい。無機材料結合ペプチドは親水性ブロックのアミノ基やカルボキシル基等の官能基を介して親水性ブロックに結合することができる。あるいは、無機材料結合ペプチドにシステイン残基を付加することで、システイン残基のチオール基を介して親水性ブロックに結合することができる。
[0038]具体的には、ポリラクチド-無機材料結合ペプチド結合ポリアルキレングリコールからなるジブロック共重合体、無機材料結合ペプチド結合ポリエチレンイミン-脂肪族ポリエステルからなるジブロック共重合体、無機材料結合ペプチド結合ポリオキシエチレンブロック-ポリオキシプロピレンブロック-無機材料結合ペプチド結合ポリオキシエチレンブロックからなるトリブロック共重合体、ポリラクチド-無機材料結合ペプチド結合ポリ(エチレンオキシド)-ポリラクチドからなるトリブロック共重合体を挙げることができ、例えば、Acetal-poly(ethylene glycol)-block-[poly(2-(N,N-dimethylamino)ethyl methacrylate)](Acetal-PEG/PAMA)を好適に例示することができる。また、親水性ブロックと疎水性ブロックからなるジブロック共重合体は、水性相で疎水性ブロックがコア(core)を形成し、親水性ブロックがシェル(shell)を形成するコア-シェル(core-shell)形態の高分子ミセルを形成する。例えば、疎水ブロック-親水ブロック-無機材料結合ペプチドというポリマーを作製すると、ミセル表面に無機材料結合ペプチドを複数提示する集合体となる。また、このようなブロック共重合体ミセル内に、常法により無機ナノ粒子を担持させることができる。
[0039]本発明に用いられるデンドリマーやスターポリマーとしては、複数の枝分かれの先端やアームの先端に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合、好ましくは共有結合しうるものであれば、公知のデンドリマーやスターポリマーを含めどのようなものでもよく、無機材料結合ペプチドは枝分かれの先端やアームの先端のアミノ基やカルボキシル基等の官能基を介して、常法によりデンドリマーやスターポリマーに化学結合することができる。これらデンドリマーやスターポリマーとして、糖、モノヒドロキシル及びオリゴヒドロキシルC1~C6アルキル、モノヒドロキシル及びオリゴヒドロキシルC2~C6アシル、アルコキシ基又はアルキレン基に置換した1個又はそれ以上のヒドロキシル基を持つことができるC1~C2アルコキシアルキル、アミノ酸、ペプチド、1~120のエチレンオキシド単位から成るポリオキシエチレンなどのオリゴ又はポリ-(オクサC1~C3アルキレン)などの親水基で化学修飾した誘導体を用いることもできる。
[0040]無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション反応の基質あるいは前駆体としては、硝酸銀・銅・HAuCl3・塩化鉄・H2PtCl6・アンモニウム鉄などの金属塩化物、金属アンモニウム塩・金属炭酸塩・金属硝酸塩など、セレノウレア・硫化ウレアなど、テトラメトキシシラン・テトラエトキシシラン・テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドを加水分解産物を挙げることができ、これらは無機材料結合ペプチドにより、固体銀やCuSのような水に不溶性の形態に転換される。ここで、バイオミネラリゼーション能とは、生体内で生じると同様に鉱物を作りだす能力(鉱物化能力)を意味し、作られた鉱物層をバイオミネラル層と呼ぶ。本発明の無機材料単層薄膜は、かかるバイオミネラル層の単層として形成されるものであり、シリカ又はシリカ含有分子の単層や、酸化チタンの単層、好ましくは光触媒能を有する酸化チタンの単層を好適に例示することができる。
[0041]本発明における機能性材料としては、無機物から構成されている材料であれば特に制限されず、シリカ又はシリカ含有分子の薄膜、酸化チタン薄膜、好ましくは光触媒能を有する酸化チタンの薄膜等の無機材料の薄膜や、半導体等の特定の機能を有する無機材料や、金属材料及びその酸化物、塩化物、水酸化物、炭酸塩や、ダイアモンド等の炭素材料や、金属ナノ粒子等の無機ナノ粒子を例示することができる。上記金属材料としては、Au,Ag,Pd,Pt,Cu,Ni,Co,Fe,Mn,P,Be,Ga,Pb,Zn,Cd,Cr等を挙げることができ、金属ナノ粒子としては、これら金属材料のナノ粒子を挙げることができる。また、酸化金属材料としては、SnO,Sb2O3,ZnO,In2O3,Ga2O3,Fe2O3,Ag2O,TiO2,SiO2やこれらの合金を挙げることができ、酸化金属ナノ粒子としては、これら酸化金属材料のナノ粒子を挙げることができる。塩化金属材料としては、CuCl,FeCl2,PtCl2,CoCl2,NiCl2,MnCl2,PdCl2,SbCl3,CrCl3等を挙げることができ、塩化金属ナノ粒子としては、これら塩化金属材料のナノ粒子を挙げることができる。
[0042]また、上記半導体材料としては、Ge,Si,SiGe,ZnO,ZnS,ZnSe,ZnTe,CdO,CdS,CdMnS,CdSe,CdMnSe,CdTe,CdMnTe,HgS,HgSe,HgTe,InP,InAs,InSb,InN,GaN,GaP,GaAs,GaSb,TiO2,WO3,PbS,PbSe,MgTe,AlAs,AlP,AlSb,AlS,CdZnS,CdZnSe,CdZnTe,PhTe,Cd3P2,Cd3As2,Zn3P2,Zn3As2,In2S3,CuInS2,In2Se3,CuInSe2,In2O3,MgTe,AlAs,AlP,AlSb,AlSを挙げることができ、半導体ナノ粒子としては、これら半導体材料のナノ粒子を挙げることができる。また、半導体ナノ粒子コア表面に-OH、-OCH3、-NH2等の電子供与性基を配列させて蛍光特性を有する半導体ナノ粒子とすることもできる。
[0043]上記無機ナノ粒子は、前記のフェリチンタンパク質複合体、ウイルス粒子又はウイルス外殻タンパク質複合体、コア・シェル構造を有するタンパク質複合体、疎水性ブロックと、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合した親水性ブロックとのブロック共重合体や、枝分かれの先端に、複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを結合したデンドリマー等の内部に担持されて用いられる。
[0044]本発明の機能性材料の三次元構造体としては、上記機能性材料の三次元的な構造体であればよく、パターン的にみると、シリカ又はシリカ含有分子の薄膜や酸化チタン薄膜等の無機材料薄膜が積層された多層薄膜三次元構造体や、基板を複数種の無機材料で修飾を施し、特定の無機材料修飾部位だけに複数の同一又は異なる無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を、「ダイレクトパターンニング」により単層結合させ、無機材料結合ペプチドのバイオミネラリゼーション能を利用して、バイオミネラル層を形成し、形成したバイオミネラル層に対する無機材料結合ペプチドの結合能を利用した多層化により、3次元的に機能性材料を配置していくことにより形成される配置制御三次元構造体を例示することができる。また、三次元構造体を断面的にみると、多層薄膜からなる三次元構造体や、各薄膜の間に金属ナノ粒子等の無機ナノ粒子が存在する三次元構造体(サンドイッチ体)や、単層薄膜、多層薄膜又はサンドイッチ体の外表面に無機ナノ粒子が存在する三次元構造体を例示することができる。
[0045]その他、ビオチン-アビジン複合体は、半導体ナノ粒子の周りにアビジンをコートすることが可能なので、半導体ナノ粒子周囲に、無機材料結合ペプチドを融合したアビジンとビオチンの複合体をコートすることにより、3次元構造体を重層することができる。また、抗原タンパク質-抗体複合体は、チタン結合ペプチドを融合したフェリチンでバイオミネラル層が酸化チタンであるような、3次元構造を作り、最表層をフェリチン層にしておき、そこに酸化コバルト結合ペプチドを融合した抗フェリチン抗体を最表層のフェリチンに結合させ、抗体層を作製し、次いで酸化コバルトのミネラリゼーションをおこない酸化コバルト層を作製し、酸化コバルト結合ペプチドを融合したフェリチンを酸化コバルト層に結合させ、以下同様にバイオミネラル層が酸化コバルトであるような3次元構造体を重層することができる。
[0046]以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1
[0047][無機材料結合ペプチドを融合した融合タンパク質minT1-LFの調製]
ウマ脾臓由来のLタイプのフェリチン(LF)に、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるチタン結合ペプチド(minTBP-1)を融合した融合フェリチンタンパク質(minT1-LF)発現のためのDNA(pKIS1)の作製は、以下の手順でおこなった。すなわち、互いに相補的で開始コドンであるMetに続いて、配列番号42で示されるアミノ酸配列をコードし、開始コドン側に制限酵素BamHIリンカー配列を、反対側に制限酵素SalIリンカー配列を持つような配列番号43(配列5’-GATCCATGCGCAAACTTCCGGATGCGAGCT-3’)及び配列番号44(配列5’-CGCATCCGGAAGTTTGCGCATG-3’)の合成DNA、各100pmole/μlを50mM NaCl、10mM Tris-HCl、10mM MgCl2中で混合し、70℃で10分間加温した後、ゆっくりと室温に戻すことで、アニーリング反応をおこなった。次に、ウマ脾臓由来のLタイプフェリチンcDNAが、tacプロモーター下流にクローニングされたプラスミドpKITO(Okuda et al.2003,Biotechnology and Bioengineering,Vol 84,No.2,p187-194)を制限酵素BamHI、SalIで消化、1%アガロースゲル電気泳動により、分離される約6kbの大きなDNAフラグメントをGene Clean II kit(BIO101社)により精製し、上記のアニールしたDNAと混合し、T4DNAリガーゼを用いて結合させた。
[0048]次に、このDNAとpKITOを、それぞれBamHIで消化し、1%アガロースゲル電気泳動により分離されるDNAフラグメント、前者は約6kbのフラグメント、後者は約300bpのフラグメントをGene Clean II kit(BIO101社)により精製し、T4DNAリガーゼを用いて結合させた。結合したDNAを大腸菌XLI-blue株(hsdR17、supE44、recA1、endA1、gyrA46、thi、relA1、lac/F’[proAB+、lacIq△(lacZ)M15::Tn10(tetR)])に、常法(Molecular Cloning Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従いクローン化し、pKITOの約300bpのBamHIフラグメント内のプライマー(配列番号45;5’-GTGGAATTGTGAGCG-3’)を用いて、DNAシークエンスにより、目的の方向に約300bpのBamHIフラグメントが挿入されているクローンをダイデオキシターミネイト法により決定した(CEQ DTCS Quick start kit、ベックマン社、カルフォルニア)。反応産物の泳動とデータ解析には、オートキャピラリーシーケンサー(CEQ2000、ベックマン)を用いた。
[0049]ウマ脾臓由来のL型フェリチンにチタン結合ペプチドを融合した、配列番号46に示されるアミノ酸配列からなる融合フェリチンタンパク質の発現・精製は以下のようにおこなった。すなわち、大腸菌XLI-blue株に、常法に従いpKIS1を形質転換し、コロニーを滅菌した楊枝で拾いあげ、5mlのLB培地で37℃、16~18時間震盪培養した。つぎに、この培養液を、1リッターのLB培地に植え継ぎ37℃でさらに16~18時間震盪培養をおこなった。大腸菌を、遠心分離(Beckman J2-21M,JA-14ローター,5000rpm,5分)により集菌した。集菌した大腸菌を、80mlの50mMのTris-HCl(pH8.0)で洗浄し、再び、遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,4000rpm,10分)により集菌した。30mlの50mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁した後、超音波破砕機(BRANSON,SONIFIER 250,微量チップ、出力最大、duty cycle 50%,2分を3~4回繰り返す)を用いて、大腸菌破砕液を得た。大腸菌破砕液を、遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,8000rpm,30分)により、可溶性の画分を回収し、65℃で20分間温浴することで、共雑タンパク質の変性を行った。遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,8000rpm,30分)により、沈澱を形成する変成した共雑タンパク質を取り除き、上清を回収した。
[0050]上清を、50mM TrisHCl(pH8.0)で平衡化した陰イオン交換クロマト担体であるQ-sepharose HP(アマシャム)に注入し、100mlの100~500mM塩化ナトリウム濃度勾配(3ml/min)により溶出した。minT1-LFを含む画分約40mlを、セントリプレップ10(アミコン)により2.5~3mlに濃縮し、50mM TrisHCl(pH8.0),150mM NaCl似下TBS)で平衡化した60cm長のゲルろ過クロマトグラフ・セファアクリルS-400に注入し、流速1.5ml/minでクロマトグラフィーをおこなった。minT1-LFを含む各画分100μlを50mM TrisHCl(pH7.5),150mM NaCl,1mM NaN3で平衡化したSW4000XLカラム、流速1ml/minでクロマトグラフィーによる分析をおこない、minT1-LF24量体の純度が95%以上であることを確認したのち以下の実験に用いた。
実施例2
[0051][三次元構造体(三次元配置制御法あるいは薄膜作製法)の製造-特異的-]
実施例1で得られたモデルタンパク質minT1-LFを用いて、配列番号1のminTBP-1の持つ多機能性を利用した、三次元構造体(三次元配置制御法あるいは薄膜作製法)の製造方法の概要を図1に示す。三次元構造体については、水晶発振子形生体分子相互作用解析装置であるQCM-D300(q-sense AB社、イェテボリ)を用いて検討した。水晶発振子には、QCM-D300純正品のチタンセンサーを用いた。温度は25.36~40℃に設定し、実測値は、24.97℃から25.00℃付近であった。
[0052]50mM Tris-HCl(pH7.5),150mM NaCl(TBS)で基準値を測定した後、0.1mg/mlに濃度を合わせたminT1-LFを測定チャンバー内に導入し引き続き測定した。図2に示すように、60~70Hz程度の周波数の減少が見られたが、これはminT1-LFのチタン基板への結合に伴うものである。センサーが安定したら、TBSでチャンバー内をリンスし、再び0.1mg/ml minT1-LFを測定チャンバー内に導入しても、先程見られた顕著な周波数の変化が見られなかった。このことは、minT1-LFがチタンセンサー上で単層膜を形成していることを表している。再び、TBSでチャンバー内をリンスした後、あらかじめ1mM塩酸で加水分解処理をしたテトラメトキシオルソシラン(TMOS)1Mを、1/10体積添加したTBSを測定チャンバー内に導入した。minT1-LFの持つシリカ・バイオミネラリゼーション能により、minT1-LF膜上にシリカ層が堆積していく様子がQCM-D300の周波数の変化からモニターすることができる。暫くインキュベートした後、TBSで測定チャンバー内をリンスし、さらに0.1mg/ml minT1-LFを測定チャンバー内に導入したところ、今度はminTBP-1のシリカ結合能による、minT1-LFのシリカ層への結合に伴う60Hz程の周波数の減少が見られた。このことは、minT1-LFの第2層が形成されたことを意味する。以上の過程を繰り返すことにより、minT1-LFを三次元状に配置することができた。
[0053]以上の結果から、無機材料結合ペプチドの多機能性を利用した三次元配置制御法・薄膜形成法が有効であることが確認された。
実施例3
[0054][三次元構造体(三次元配置制御法あるいは薄膜作製法)の製造-非特異的-]
実施例2で三次元配置制御・薄膜作製が一層目のminT1-LFの結合様式が非特異的な吸着の場合であっても可能であることを確認するために、チタンセンサーの代わりに金コートセンサーを用いて水晶発振子形生体分子相互作用解析装置であるQCM-D300(q-sense AB社、イェテボリ)による測定で調べた。この時、一層目のminT1-LFと金センサー間の相互作用は非特異的な結合である。実施例2と全く同じように実験をおこなった結果、図3に示すようにminT1-LFを三次元状に配置することができた。
[0055]対照実験として、無機材料結合ペプチドを融合していないウマLフェリチン(LFO)を用いて、同様の実験をおこなってもフェリチンの多層化はおこらないことを確認した(図4)。
[0056]以上の結果から、無機材料結合ペプチドの多機能性を利用した三次元配置制御法・薄膜形成法における、下地の基板と一層目の相互作用は非特異的な結合でも、特異的な結合の場合と同じように可能であることが確認された。このことは、下地の基板を目的に合わせて多様に選択できることを示す。
実施例4
[0057][ナノ粒子の形成]
フェリチンは、コア・シェル構造をしており、その内部空間に酸化鉄の他、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化ウラン、セレン化カドミウム、硫化カドミウムなど様々な無機材料ナノ粒子を形成する能力を持つ。実施例1で得られたminT1-LFがリコンビナントアポフェリチンと同様に、その内部空間に酸化鉄・酸化コバルト・セレン化カドミウムのナノ粒子形成能を有することを、以下の手順で確認した。
[0058]酸化鉄については、50mM HEPES-NaOH pH7.0,0.5mg/ml minT1-LF溶液に、50mM 硫酸アンモニウム鉄(II)6水和物を1/10体積添加(終濃度5mM)し、室温で終夜静置した(図5)。次に、超遠心分離器(ベックマン,TLA 100.4 ローター,50,000rpm,1時間)による遠心操作により、minT1-LFを沈澱させた。この沈澱を50mM TrisHCl pH8.0により溶解し、遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,3000rpm,10分)により余分な酸化鉄を沈澱させ取り除く操作を2回繰り返した後、50mM TrisHCl pH8.0に透析した。透析したminT1-LFは、BioRad Protein Assay(バイオラッド社)により定量し、以下の実験に用いた。
[0059]酸化コバルトについては、50mM HEPES-NaOH pH8.3,0.3mg/ml minT1-LF溶液に、終濃度3mM 酢酸コバルト4水和物を添加した後、終濃度1.5mM 過酸化水素を添加、50℃で終夜静置した。次に、超遠心分離器(ベックマン,TLA 100.4 ローター,50,000rpm,1時間)による遠心操作により、minT1-LFを沈澱させた。この沈澱を5mM TrisHCl pH8.0により溶解し、遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,3000rpm,10分)により余分な酸化コバルトを沈澱させ取り除く操作を2回繰り返した後、50mM TrisHCl pH8.0に透析した。透析したminT1-LFは、BioRad Protein Assay(バイオラッド社)により定量し、以下の実験に用いた。
[0060]セレン化カドミウムについては、7.5mM 酢酸アンモニウム,0.5mg/ml minT1-LF、1mM 酢酸カドミウム2水和物溶液に、終濃度5mM セレノウレアを添加、室温で終夜静置した。次に、超遠心分離器(ベックマン,TLA 100.4 ローター,50,000rpm,1時間)による遠心操作により、minT1-LFを沈澱させた。この沈澱を50mM TrisHCl pH8.0により溶解し、遠心分離(クボタ社、5922,RA410M2ローター,3000rpm,10分)により余分な酸化コバルトを沈澱させ取り除く操作を2回繰り返した後、50mM TrisHCl pH8.0に透析した。透析したminT1-LFは、BioRad Protein Assay(バイオラッド社)により定量し、以下の実験に用いた。
[0061]実施例3と同様の方法で、ナノ粒子内包minT1-LFの三次元配置を行った。その結果を、図6~8に示す。酸化鉄内包minT1-LF(Fe-minT1-LF)を三層積層した場合(Fe-Fe-Fe)(図6)、Fe-minT1-LF、酸化コバルト内包minT1-LF(Co-minT1-LF)、セレン化カドミウム内包minT1-LF(CdSe-minT1-LF)の順に配置した場合(Fe-Co-CdSe)(図7)、あるいはFe-minT1-LF、CdSe-minT1-LF、Co-minT1-LFの順に配置した場合(Fe-CdSe-Co)(図8)においてもminT1-LFの三次元配置制御・薄膜形成が確認された。これらの積層したセンサーの断面試料をイオンシニング法により作製し、透過型電子顕微鏡(TEM,トプコン社 EM-002BF/P-20)およびエネルギー分散型X線分析(EDS,サーモ社ノーランシステムVI)を用いて、断面試料観察並びにminT1-LFに内包されている金属元素の分布を確認した(図9・10)。Fe-Co-CdSe,Fe-CdSe-Coのいずれの場合においても試料を添加していったときと順序と同じ順序で積層されていることが確認できた。
[0062]以上の結果から、無機材料結合ペプチドの多機能性を利用した三次元配置制御法・薄膜形成法は、複数種の機能性化合物を自由に目的の位置に配置することが可能であることが確認された。
実施例5
[0063][原子間力顕微鏡による評価]
実施例3で作製した薄膜を、原子間力顕微鏡により評価した。すなわち、金コートセンサー上に、三層に積層したminT1-LF・シリカ層からなる薄膜の一部をピンセットで引っ掻いて剥離し、原子間力顕微鏡(SHIMAZU SPM9500,コンタクトモード)によりステップの観察をおこなった(図11)。積層膜は、比較的平らで、ステップの高さもフェリチン分子サイズから考えられる高さと矛盾しない結果が得られた。
実施例6
[0064][走査型電子顕微鏡観察]
実施例2~4の過程を、走査型電子顕微鏡観察により、順に追ってみた。JIS1種金属チタン・鏡面仕上げ6mm×6mm(新金属工業株式会社製)を、TBSでよく洗浄した後、0.1mg/ml Fe-minT1-LF溶液中に、10分間浸透した後、TBSで軽くリンスし、あらかじめ1mM HClで加水分解した0.1M TMOS含有TBS中に10分間浸け、再びTBSで軽くリンスした。また、この過程を繰り返すことで2層に積層した試料を作製した。これら各過程の試料を、超純水でリンスした後、不活性ガスにより風乾させ観察に供した(図12)。
[0065]この結果、ならびに実施例2~4より、本発明の三次元配置制御法を用いたminT1-LFの三次元配置過程は、図1に模式的に示されている通りであることが確認できた。
実施例7
[0066][三次元構造体(三次元配置制御法あるいは薄膜作製法)の製造-バイオミネラル層が酸化チタンの場合-]
実施例1で得られたモデルタンパク質minT1-LFを用いて、バイオミネラル層が酸化チタンである場合でも、三次元構造体を形成できることを示した。構造体形成のモニターは、実施例2と同じく、水晶発振子形生体分子相互作用解析装置であるQCM-D300(q-sense AB社、イェテボリ)を用いて検討した。水晶発振子には、実施例3で用いたQCM-D300純正品の金センサーを用いた。温度は実測値で、43℃近傍であった。
[0067]50mMTris-HCl(pH7.5),150mMNaCl(TBS)で基準値を測定した後、0.1mg/mlに濃度を合わせたminT1-LFを測定チャンバー内に導入し引き続き測定した。図13に示すように、minT1-LFの金センサーへの結合に伴う周波数の減少が見られた。センサーの安定後、TBSでチャンバー内をリンスし、チタニウムビスアンモニウムラクテートジハイドロオキシド,重量比50%(アルドリッチ社、Titanium(IV)bis(ammonium lactato)dihydrozide,50 wt.% solution water)を、1/10体積添加したTBSを測定チャンバー内に導入した。minT1-LFの持つ酸化チタン・バイオミネラリゼーション能により、minT1-LF膜上にゆっくりと酸化チタン層が堆積していく様子が、QCM-D300の周波数の変化からモニターすることができた。30時間程度インキュベートした後、TBSで測定チャンバー内をリンスし、さらに0.1mg/ml minT1-LFを測定チャンバー内に導入したところ、今度はminTBP-1の酸化チタン結合能による、minT1-LFの酸化チタン層への結合に伴う周波数の減少が見られた。このことは、minT1-LFの第2層が形成されたことを意味する。以上の過程を繰り返すことにより、minT1-LFを三次元状に配置することができる。
[0068]以上の結果から、無機材料結合ペプチドの多機能性を利用した三次元配置制御法・薄膜形成法が、バイオミネラル層が酸化チタン(シリカ以外)の場合でも有効であることが確認された。
実施例8
[0069][無機材料結合ペプチドを化学修飾したタンパク質等ナノ材料の調製-1]
実施例3で対照実験に用いた、野生型ウマ脾臓由来のLタイプのフェリチン(D1-LF)に、配列番号47で示されるアミノ酸配列からなるペプチド(KIS-P1:チタン結合ペプチド)を結合させ、化学修飾したフェリチンタンパク質(CM minT1-LF)を作製した。KIS-P1は、チタン結合ペプチドRKLPDA(minTBP-1)のカルボキシル端側に、フレキシブルリンカーであるグリシン、紫外光吸収マーカーであるトリプトファン、架橋剤の標的となるチオール基を側鎖に持つシステインを順次付加した合成ペプチドである。より具体的には、CM minT1-LFの作製は、以下の手順でおこなった。すなわち、1mlPBS溶液中の5mg/ml D1-LFに、25μlのDMSOに溶解した10mM N-succinimidyl iodoacetate(SIA)を加え、室温で1時間撹拌した後、PBS溶液に対して透析をおこない、未反応のSIAを除いたあと、最終濃度1mMになるように配列番号47で示される合成ペプチドを加えた。室温で3時間の撹拌によって、配列番号47で示される合成ペプチドをフェリチンに化学修飾を施した後、再び透析により、未反応の配列番号47で示される合成ペプチドを取り除いた。
[0070]このようにして作製したCM minT1-LFをPBSで25倍に希釈し、三次元構造体を形成できることを示す。構造体形成のモニターは、実施例2と同じく、水晶発振子形生体分子相互作用解析装置であるQCM-D300(q-sense AB社、イェテボリ)を用いて検討した。水晶発振子は、実施例2で用いたQCM-D300純正品のチタンセンサーを用いた。温度は実測値で、およそ24.8℃であった。
[0071]PBSで基準値を測定した後、希釈したCM minT1-LFを測定チャンバー内に導入し引き続き測定した。図14に示すように、CM minT1-LFのチタンセンサーへの結合に伴う周波数の減少が見られた。センサーが安定したら、PBSでチャンバー内をリンスした後、あらかじめ1mM塩酸で加水分解処理をしたテトラメトキシオルソシラン(TMOS)1Mを、1/10体積添加したPBSを測定チャンバー内に導入した。CM minT1-LFの持つシリカ・バイオミネラリゼーション能により、CM minT1-LF膜上にシリカ層が堆積していく様子がQCM-D300の周波数の変化からモニターすることができる。暫くインキュベートした後、PBSで測定チャンバー内をリンスし、さらに0.1mg/ml CM minT1-LFを測定チャンバー内に導入したところ、今度はCM minT1-LFのシリカ結合能による、CM minT1-LFのシリカ層への結合に伴う周波数の減少が見られた。このことは、CM minT1-LFの第2層が形成されたことを意味する。以上の過程を繰り返すことにより、CM minT1-LFを三次元状に配置することができた。
実施例9
[0072][無機材料結合ペプチドを化学修飾したタンパク質等ナノ材料の調製-2]
次に、フェリチン以外のタンパク質にも同様に、化学合成した無機材料結合ペプチドを化学修飾することにより無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を作製することができることを示す。用いたタンパク質は、ホタル由来のルシフェラーゼ(アルドリッチ)である。配列番号47で示されるアミノ酸配列からなる合成ペプチドを化学修飾したルシフェラーゼタンパク質(CM-luc)の作製は、以下の手順でおこなった。0.2mlPBS溶液中の2mg/mlルシフェラーゼタンパク質に、8μlのDMSOに溶解した10mM N-succinimidyl iodoacetate(SIA)を加え、室温で1.5時間撹拌した後、PBS溶液に対して透析をおこない、未反応のSIAを除いたあと、最終濃度1mMになるように配列番号47で示される合成ペプチドを加えた。室温で6時間の撹拌によって、配列番号47で示される合成ペプチドをルシフェラーゼタンパク質に化学修飾を施した後、再び透析により、未反応の配列番号47で示される合成ペプチドを取り除いた。
[0073]このようにして作製した配列番号47で示される合成ペプチドを化学修飾したCM-lucをPBSで20倍に希釈し、三次元構造体を形成できることを示した。構造体形成のモニターは、実施例2と同じく、水晶発振子形生体分子相互作用解析装置であるQCM-D300(q-sense AB社、イェテボリ)を用いて検討した。水晶発振子は、実施例2で用いたQCM-D300純正品のチタンセンサーを用いた。温度は実測値で、およそ24.8℃であった。
[0074]PBSで基準値を測定した後、希釈したCM minT1-LFを測定チャンバー内に導入し引き続き測定した。図15に示すように、CM-lucのチタンセンサーへの結合に伴う周波数の減少が見られた。センサーが安定したら、PBSでチャンバー内をリンスした後、あらかじめ1mM塩酸で加水分解処理をしたテトラメトキシオルソシラン(TMOS)1Mを、1/10体積添加したPBSを測定チャンバー内に導入した。CM-lucの持つシリカ・バイオミネラリゼーション能により、CM-luc膜上にシリカ層が堆積していく様子がQCM-D300の周波数の変化からモニターすることができる。暫くインキュベートした後、PBSで測定チャンバー内をリンスし、さらに0.1mg/ml CM-lucを測定チャンバー内に導入したところ、今度はCM-lucのシリカ結合能による、CM-lucのシリカ層への結合に伴う周波数の減少が見られた。このことは、CM-lucの第2層が形成されたことを意味する。以上の過程を繰り返すことにより、CM-lucを三次元状に配置することができた。
実施例10
[0075][無機材料結合ペプチドを化学修飾した合成高分子等ナノ材料の調製]
次に、タンパク質以外の合成高分子材料にも同様に、化学合成した無機材料結合ペプチドを化学修飾することにより無機材料結合ペプチドを表面に提示する集合体を作製することができることを示す。用いた合成高分子は、ブロック共重合体であるAcetal-PEG/PAMAである(Langmuir 20 p561,2004)。配列番号47で示されるアミノ酸配列からなる合成ペプチドを化学修飾したブロック共重合体(minTBP-1-PEG/PAMA)の作製は、以下の手順でおこなった。250mgのAcetal-PEG/PAMAを5mlの90%酢酸で溶解し、35℃で5時間撹拌したのち、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液pH5.5に対して透析をおこなったのち、DMSOに溶解した27.7mgのN-(β-maleimidopropionic acid)hydrazide(BMPH)を加え、室温で2時間撹拌した。再び0.1M酢酸ナトリウム緩衝液pH5.5に対して透析をおこない、未反応のBMPHを取り除いた後、透析で水に溶媒を置換し、凍結乾燥をおこなった。このように末端がAcetalからマレイミド化されたPEG/PAMA(Mal-PEG/PAMA)100mgと24mgの配列番号47で示される合成ペプチドを20mlの50mMトリス塩酸緩衝液pH7.5に溶解し、室温で終夜撹拌し、配列番号47で示される合成ペプチドをPEG/PAMAに化学修飾を施した。未反応の配列番号47で示される合成ペプチドを水に対して透析をおこない取り除いた後、凍結乾燥をおこなった。
[0076]このようにして作製したminTBP-1-PEG/PAMAは、Langmuir 20 p561,2004の報告と同様に、塩化金酸水溶液から金ナノ粒子を内包したミセル形成能を保持していることを以下の手順で示す。10mgのminTBP-1-PEG/PAMAを2mlのPBSで溶解したあと、同じくPBSに溶解した40mg/mlの塩化金酸4水和物(HAuCl4・4H2O)を50μL加え、室温で終夜撹拌した。その結果、反応液は金ナノ粒子が形成していることを示す、赤色を呈していた(図16)。この産物を、超遠心分離 TLA 100.4ローター、30,000rpm、30分により沈殿させ、上清を取り除いた後、PBSで撹拌する操作を3回繰り返し、金ナノ粒子とコアシェル構造を形成するブロック共重合体を精製した。精製した産物の吸光度測定からも金ナノ粒子の形成を示す520nm近傍に吸収極大を持つプロファイルが得られている(図16)。また、動的光散乱を計測したところ、minTBP-1-PEG/PAMA・金ナノ粒子のコアシェル構造体の平均粒系が54.5nmであると見積もられた(図17)。以上、PEG/PAMAの特性を失うこと無く、配列番号47で示される合成ペプチドを化学修飾により賦与することができることが分った。
[0077]実施例8、9、10の結果から、無機材料結合ペプチドをタンパク質・合成高分子等のナノ材料に、化学合成した無機材料結合ペプチドを化学修飾することで賦与できることが確認された。また化学修飾により賦与された無機材料結合ペプチドの機能による、三次元配置制御法・薄膜形成法が有効であることが確認された。
産業上の利用可能性
[0078]本発明は、無機材料に結合能を有するペプチドが、(1)結合能に加え、標的無機物を構成する分子のミネラリゼーション(鉱物化)を促進する能力を有すること、(2)複数の、しかしながら限られた範囲の無機材料に結合能を有すること、という2つの性質をもつ多機能ペプチドであることを利用し、薄膜上の無機材料や集合体に担持された無機ナノ粒子を、ナノスケールで三次元的に配置することを可能とする技術である。例えば、チタンへの結合能力をもつ12アミノ酸残基(配列番号2)からなるペプチドモチーフTBP-1はチタン以外にも銀とシリカの表面に結合することができるが、金,白金,クロム,鉄,銅,錫,亜鉛などの他の金属の表面には結合しない。TBP-1ペプチドはほかに、酸化チタン、銀、シリコンの試験管内でのミネラリゼーション(鉱物化)反応を促進することができる。このようなTBP-1の多機能性は、このペプチドを他のタンパク質と融合した場合にも維持される。すなわち、TBP-1のコア配列であるminTBP-1配列(配列番号1)をコードする塩基配列をフェリチンタンパク質のサブユニット遺伝子の5’末に融合した改変フェリチンタンパク質サブユニットからは、その表面上に24分子のminTBP-1を提示した改変フェリチンタンパク質が合成できるが、このminTBP-1提示フェリチンタンパク質は、チタンやシリカ、銀の表面に強い結合をするが、金の表面には結合しない。また、このminTBP-1提示フェリチンタンパク質は、試験管内での酸化チタン,シリカ,銀のミネラリゼーション(鉱物化)を促進する能力を保持している。
[0079]例えば、上記minTBP-1提示フェリチンタンパク質をチタン基板上に展開すると、そのチタン結合能力から、チタン基板上にモノレイヤーを形成する。minTBP-1提示フェリチンタンパク質とチタン基板との結合には24個のminTBP-1全てが使われるわけではないので、結合に使われないminTBP-1はミネラリゼーション活性を発揮することができる。実際、チタン基板上にモノレイヤーを形成したminTBP-1提示フェリチンタンパク質に、シリカの前駆体であるテトラメトキシオルソシラン(TMOS)を加えると、minTBP-1提示フェリチンタンパク質の単層上に、さらにシリカのバイオミネラル層を重層することができる。次に、このバイオミネラル層に対してminTBP-1のシリカに対する結合能を利用して、第2層目のminTBP-1提示フェリチンタンパク質を重層することができる。この操作を繰り返すことで、フェリチンタンパク質のナノスケールで厚みが制御された薄膜の作製が実現できる。
[0080]フェリチン分子には、半導体ナノ粒子などの機能性ナノ化合物を内包させることができるので、異なる機能性ナノ化合物を内包したフェリチン分子を用いることで、複数種の機能性ナノ化合物の多層体をナノスケールで正確に作製することができ、半導体・ナノバイオテクノロジー分野での利用価値が高い。
また、三次元配置制御および薄膜作成の対象となるものには、タンパク質・ウイルス・ファージ・ブロック共重合体・高分子および、これらに内包・接合・化学修飾・吸着した量子ドット・半導体材料・集光素子・蛍光分子などをあげることができる。
図面
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