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明細書 :インプリントポリマーおよびその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5249582号 (P5249582)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
発行日 平成25年7月31日(2013.7.31)
発明の名称または考案の名称 インプリントポリマーおよびその利用
国際特許分類 C08F 212/14        (2006.01)
C08F 220/68        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
C08F   2/44        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
C07K  14/00        (2006.01)
C12N   9/00        (2006.01)
FI C08F 212/14
C08F 220/68
G01N 37/00 102
C08F 2/44 C
G01N 33/53 D
C07K 14/00
C12N 9/00
請求項の数または発明の数 13
全頁数 38
出願番号 特願2007-532181 (P2007-532181)
出願日 平成18年8月24日(2006.8.24)
国際出願番号 PCT/JP2006/316642
国際公開番号 WO2007/023915
国際公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
優先権出願番号 2005246863
優先日 平成17年8月26日(2005.8.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年3月10日(2009.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】竹内 俊文
【氏名】菱谷 隆行
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】川上 智昭
参考文献・文献 特表平06-510474(JP,A)
特表平08-512323(JP,A)
Maria Kempe, et al.,“An Approach Towards Surface ImprintingUsing the Enzyme Ribonuclease A”,Journal of Molecular Recognition,1995年,Vol.8,pp.35-39
竹内俊文,「高分子プローブとしてのモレキュラーインプリントポリマー」,高分子,日本,2003年,第52巻、7月号,pp.458-461
瀬古晃督ほか,「分子認識部位にポルフィリン鉄錯体を持つインプリントポリマー」,日本化学会講演予稿集,日本,2002年,第81巻、第2号,p.834
調査した分野 C08F12/00,C08F112/00,C08F212/00,
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CA(STN)
JMEDPlus(JDreamII)
JAPICDOC(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位を有したインプリントポリマーであって
(i)上記標的タンパク質の基質阻害剤を有している機能性モノマーか、
もしくは、
(ii)上記標的タンパク質の基質阻害剤自体が機能性モノマーであって、且つ、上記認識部位とは異なる位置に重合官能基が導入されている機能性モノマーが、
上記機能性モノマーと共重合する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)又はグリコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)とともに重合してなる重合体であることを特徴とするインプリントポリマー。
【請求項2】
上記認識部位は、さらに、上記標的タンパク質に結合可能な金属を有する金属錯体を有することを特徴とする請求項1に記載のインプリントポリマー。
【請求項3】
上記金属錯体は、上記標的タンパク質と結合することによって結合シグナルを発することを特徴とする請求項2に記載のインプリントポリマー。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーを備えるアレイチップ。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーに対する結合特性の違いからタンパク質を同定する方法。
【請求項6】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーに対する結合特性の違いからタンパク質を精製する方法。
【請求項7】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーによってタンパク質をリフォールディングする方法。
【請求項8】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーによってタンパク質の折りたたみ状態を判別する方法。
【請求項9】
標的タンパク質と機能性モノマーとを会合により複合体する複合体形成工程と、
上記複合体中の機能性モノマーを重合させる重合工程とを含み、
上記機能性モノマーは、
(i)上記標的タンパク質の基質阻害剤を有している機能性モノマーであるか、
もしくは、
(ii)上記標的タンパク質の基質阻害剤自体であって、当該基質阻害剤の上記標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位とは異なる位置に重合官能基が導入されている機能性モノマーであり、
上記複合体形成工程および上記重合工程は、上記機能性モノマーと共重合する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)又はグリコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)の存在下でおこなうことを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。
【請求項10】
上記機能性モノマーは、さらに、標的タンパク質と結合可能な金属に配位する配位子を含むことを特徴とする請求項9に記載のインプリントポリマーの製造方法。
【請求項11】
上記複合体形成工程によって形成された複合体を単離する単離工程を含み、当該単離工程後に重合工程を行うことを特徴とする請求項10に記載のインプリントポリマーの製造方法。
【請求項12】
上記複合体形成工程および重合工程の少なくとも一方を行った後に、上記金属に配位可能な配位子によって、タンパク質と相補的な位置から外れた金属をブロックすることを特徴とする請求10または11に記載のインプリントポリマーの製造方法。
【請求項13】
上記重合工程を行った後、
キレート剤を添加すること、又はpHを変化させることによって上記配位子から金属を脱離させ、その後、上記金属とは異なる金属を配位させることによって、上記インプリントポリマーの機能改変を行う工程を含むことを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のインプリントポリマーの方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、標的分子を特異的に認識する分子インプリント技術に関するものであり、特に、タンパク質を認識可能なインプリントポリマーの合成法、およびその利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポストゲノムにおけるタンパク質の解析とその応用は現在の科学技術における最も重要なテーマである。その中で、X線結晶解析等により得られた基礎情報から、タンパク質を医療・工業等の様々な分野で応用していくためには、簡便かつ安価な分離・検出系の構築が非常に重要である。これが可能となれば、医薬を安価で大量に分離するための機能材料化、あるいは簡便な診断法として期待されるプロテインチップへの応用が可能となる。現在、主に開発がなされているのは、抗体や天然のレセプター、目的のタンパク質に対する特異的なリガンドを固定化したチップなどである。しかしながら、これらのリガンドの探索や調製は非常に煩雑で時間を要する作業であり、コストも非常に高くなるため、簡便で汎用性の高い人工の分離・検出系の構築が必須である。すなわち、目的とするタンパク質に対して親和性をもつ非タンパク質・非核酸の人工マテリアルが必要である。
【0003】
以上のような特定のタンパク質、すなわちポリペプチドと相互作用する分離・検出系が構築・確立されれば、タンパク質の検出や分離だけでなく、あるタンパク質の高次構造を認識・識別したり、特定の高次構造を安定化させるマテリアルの調製が可能となる。また、タンパク質を非共有結合的に固定化する方法としても、重要な技術となる。
【0004】
タンパク質を構成するアミノ酸には、金属配位しやすい残基がいくつか含まれている。ヒスチジン、トリプトファン、システインといった残基は非共有電子対をもつアミノ酸残基であり、銅・ニッケルなどの遷移金属などに対して効率的な配位結合を形成する。そこで、これらの遷移金属、及びキレート効果により強固に金属を捕捉する配位子の組み合わせによりポリペプチドを認識すればよい。
【0005】
標的分子を認識する技術として、分子インプリント法と呼ばれる技術が注目されている。分子インプリンティングとは、標的分子と相補的な認識部位を有する高分子を得る方法である。詳細は以下の通りである。まず、標的分子を鋳型分子とし、鋳型分子と、この鋳型分子と結合可能な機能性モノマーとの複合体を形成させる。そして得られた複合体を架橋剤と共に重合させ、架橋高分子を得る。その後、鋳型分子を溶媒等により除去することにより、高分子内に、標的分子に対して相補的な認識部位を構築する。
【0006】
分子インプリンティングの技術はここ数十年にわたり開発され、この技術によって得られた高分子は、吸着剤や高速液体クロマトグラフィーの分離担体としての利用が検討されている。
【0007】
従来行われてきた分子インプリント技術は、主に低分子化合物に対して機能するものである。これまで、タンパク質などのように巨大な分子に対して機能した例は少ないが、次のような例がある。
【0008】
Mosbach らは、金属キレートモノマー N-(4-vinyl)-benzyl iminodiacetic acid とCu(II)との配位結合を利用したリボヌクレアーゼA のインプリンティングを報告している(非特許文献1:M. Kempe, M. Glad, and K. Mosbach, J. Molec. Recogn. 1995, 8, 3539)。具体的には、シリカゲル表面上で、上記金属キレートモノマー、Cu(II)、およびリボヌクレアーゼAの複合体を形成させたところに架橋剤を加えることで、金属キレートモノマー間を重合させている。
【0009】
また、Minoura らは、同じくシリカゲルをサポートとして用いてグルコースオキシダーゼのインプリンティングを行った(非特許文献2:M. Burow and N. Minoura, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1996, 227, 419-422)。正電荷を有する2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、負電荷を有するアクリル酸、およびグルコースオキシダーゼの基質であるグルコースを側鎖に有するグルコシルオキシエチルメタクリレート、電荷を持たないアクリルアミドと4種類の機能性モノマーを用い、主に3種類の相互作用で鋳型分子の認識を行うインプリントポリマーを合成している。
【0010】
しかしながら、これらのインプリンティング技術では、プロテインチップ・プロテインアレイに応用可能な高い基質特異性を有する高分子を得ることは困難である。すなわち、上記従来の方法で製造されたインプリントポリマーでは、結合選択性や、センサー、センサーアレイ、センサーチップとしての利用可能性の点で問題があった。タンパク質検出素子、分離材料を創製するためには、高い基質選択性を与えるインプリンティング技術が必要となる。
【0011】
本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、より結合特異性の高いインプリントポリマーを提供すると共に、色素修飾によるインプリントポリマーセンサー、その製造方法、およびその代表的な利用方法であるマイクロアレイ等を提供することにある。また、従来のインプリンティングの欠点であった低い選択性を克服するため、金属錯体特有の多価配位による特異性の向上、及び非特異的相互作用の抑制することを課題とする。
【発明の開示】
【0012】
認識部位に金属錯体および基質阻害剤の少なくとも一方を有するインプリントポリマーは、従来のインプリントポリマーよりも高い選択性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、上記従来の課題に鑑みたものであり、以下の発明を含有する。
【0013】
(1)標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位を有し、上記認識部位は、金属錯体および基質阻害剤の少なくとも一方を有することを特徴とするインプリントポリマー。
【0014】
(2)上記(1)のインプリントポリマーであって、上記金属錯体は、標的分子と結合することによって結合シグナルを発することを特徴とするインプリントポリマー。
【0015】
(3)上記(1)または(2)のインプリントポリマーを備えるアレイチップ。
【0016】
(4)上記(1)または(2)のインプリントポリマーに対する吸着特性の違いからタンパク質を同定する方法。
【0017】
(5)上記(1)または(2)のインプリントポリマーに対する吸着特性の違いからタンパク質を精製する方法。
【0018】
(6)上記(1)または(2)のインプリントポリマーによってタンパク質をリフォールディングする方法。
【0019】
(7)上記(1)または(2)のインプリントポリマーによってタンパク質の折りたたみ状態を判別する方法。
【0020】
(8)標的タンパク質と機能性モノマーとの複合体を形成する複合体形成工程と、上記複合体中の機能性モノマーを重合させる重合工程とを含み、上記機能性モノマーは、標的タンパク質と結合可能な金属に配位する配位子、および、標的タンパク質の基質阻害剤の少なくとも一方を含むことを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。
【0021】
(9)上記(8)のインプリントポリマーの製造方法であって、上記複合体形成工程によって形成された複合体を単離する単離工程を含み、当該単離工程後に重合工程を行うことを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。
【0022】
(10)上記(8)または(9)に記載のインプリントポリマーの製造方法であって、上記複合体形成工程および重合工程の少なくとも一方を行った後に、上記金属に配位可能な配位子によって、タンパク質と相補的な位置から外れた金属をブロックすることを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。
【0023】
(11)上記(8)~(10)のいずれかのインプリントポリマーの製造方法であって、上記重合工程を行った後、キレート剤を添加すること、又はpHを変化させることによって上記配位子から金属を脱離させ、その後、上記金属とは異なる金属を配位させることによって、上記インプリントポリマーの機能改変を行う工程を含むことを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。
【0024】
(12)標的タンパク質と当該標的タンパク質の基質とを複合化させた基質—タンパク質複合体と、機能性モノマーとを複合化させる工程と、上記工程後に機能性モノマーを重合させる工程を行うことを特徴とするタンパク質の固定化方法。
【0025】
(13)上記(12)に記載のタンパク質の固定化方法であって、上記機能性モノマーは、上記標的タンパク質と結合可能な金属に配位する配位子を含むことを特徴とするタンパク質の固定化方法。
【0026】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明におけるインプリントポリマーの製造方法を示す図面である。
【図2】本発明の実施の形態に係る錯体の構造式である。
【図3】本発明の実施の形態に係る色素修飾モノマーの構造式を示す図面であり、(a)はスチレン修飾モノマー、(b)はサイクレン修飾モノマーを示す。
【図4】本発明の実施の形態に係る色素修飾錯体-スチレンモノマーの共有結合体(トル)の構造式を示す図面であり、(a)はエチレンジアミンーアントラセン、(b)はサイクレンーアントラセン、(c)はサイクレンーダンシル、(d)はエチレンジアミンーダンシル修飾体である。
【図5】本発明の実施の形態に係るスチレン修飾リボヌクレアーゼ阻害剤の構造式を示す図面である。
【図6】本発明の実施例に係るサイクレン修飾体の合成スキームを示す図面である。
【図7】本発明の実施例に係るエチレンジアミン修飾体の合成スキームを示す図面である。
【図8】本発明の実施例に係るスチレン修飾リン酸化UMPの合成スキームを示す図面である。
【図9】本発明の実施例に係るインプリントポリマーおよび非インプリントポリマーのリボヌクレアーゼAに対するセンサーグラムである。
【図10】本発明の実施例における疎水性クロマトグラフィーを用いたタンパク質分離のクロマトグラムである。
【図11】Cu(en)を用いて調製した5種類のポリマーに対するミオグロビン (A1)、リボヌクレアーゼA (A2)、リゾチーム (A3)、アルブミン(A4)、シトクロムC (A5)、ラクトアルブミン (A6) の吸着挙動を主成分分析した結果を示すデータプロットである。
【図12】Cu(cyc)を用いて調製した5種類のポリマーに対するミオグロビン (A1)、リボヌクレアーゼA (A2)、リゾチーム (A3)、アルブミン(A4)、シトクロムC (A5)、ラクトアルブミン (A6) の吸着挙動を主成分分析した結果を示すデータプロットである。
【図13】LY-Cu(en)IP、Cu(en)-MIP無添加および添加時におけるリフォールディング率の経時変化を示す図面である。
【図14】flow型の再活性化方法におけるリゾチーム溶出量の経時変化を示すグラフである。
【図15】EDTAを添加して結合親和性を低下させた後、さらに銅イオンを添加して活性を回復させたセンサーグラムである。
【図16】ビニル化したエチレンジアミンを機能性モノマーとして合成したインプリントポリマーについて、各タンパク質に対するブランクポリマーとの相対親和性を示したグラフである。
【図17】ビニル化したサイクレンを機能性モノマーとして合成したインプリントポリマーについて、各タンパク質に対するブランクポリマーとの相対親和性を示したグラフである。
【図18】インプリントポリマー、ブランクポリマー、GEMAのみ、の三者のポリマーについてのリボヌクレアーゼ Aに対する親和性の塩濃度依存性である。
【図19】リボヌクレアーゼ Aを固定化した基板に対するZn(TCPP(Tetrakis(4-carboxyphenyl)porphine))の結合をSPRセンサーグラムで解析した例である。
【図20】リボヌクレアーゼ Aに対してZn[TCPP] (Tetrakis(4-carboxyphenyl)porphine)を滴定した時のUV吸収スペクトルである。
【図21】ビニル化したZn[TCPP]を機能性モノマーとして合成したインプリントポリマーについて、各タンパク質に対するブランクポリマーとの相対親和性を示したグラフである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<1.タンパク質をターゲットとするインプリントポリマー>
本発明に係るインプリントポリマーは、標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位を有し、上記認識部位は、金属錯体および基質阻害剤の少なくとも一方を有する。なお、本明細書における文言「可逆的に結合する」は、共有結合以外の結合を意味する。また、金属錯体および基質阻害剤は、標的タンパク質によって適宜変更することができ、特に限定されるものではない。
【0029】
(1-1)機能性モノマー
インプリントポリマーの組成は特に限定されるものではないが、例えばいわゆる機能性モノマーが重合してなるポリマーを主成分として含むものが挙げられる。
【0030】
機能性モノマーとしては、アクリルアミド、アクリル酸、グルコシルオキシエチルメタクリレート、1-ビニルイミダゾール、4-ビニルピリジン、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等、水溶性のモノマーが好ましい。水溶性のモノマーが好ましいのは、生体内物質であるタンパク質は、pHおよび有機溶媒に対する敏感性が高く、緩衝液中でインプリンティングを行うことが好ましいためである。
【0031】
また水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の水素結合性のモノマーは、標的タンパク質との間に水素結合を形成することができる。この水素結合によって、補助的に金属配位による相互作用を補強することができる。また、カルボン酸、4級アンモニウム、スルホン酸、リン酸等はイオン結合による相互作用の補強を与えることができる。
【0032】
また、機能性モノマーとして、下記(1-3)の金属錯体および(1-4)の基質阻害剤の少なくとも一方を含む。詳細には後述する。
【0033】
(1-2)色素修飾モノマー
本発明のインプリントポリマーは、タンパク質の検出のため、色素修飾モノマーを含んでもよい。具体的な機能性色素としては、メチルオレンジ、メチルレッドなどのアゾベンゼン系、ナフトキノン、アントラキノンなどのキノン系、フェノキサジン、マラカイトグリーンなどのジアリールメタン系およびトリアリールメタン系、フルオレセイン、ローダミンBなどのフルオラン系、インドシアニン、ヘミシアニンなどのシアニン系、テトラフェニルポルフィリン、フタロシアニンなどのポルフィリン・フタロシアニン系、オキサゾリルエチリデンイソプロピリデン無水コハク酸、アリールフルギン酸無水物などのフルギド系、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ系、アントラセン、ピレンなどの縮合環系、テトラチアフルバレン-テトラシアノキノジメタンなどの電荷移動分子系、メタルジチオレン、キノリノール金属錯体などの金属錯体系、スチルベン、スチルバゾールなどのスチリル系、スピロベンゾピラン、スピロオキサジンなどのスピロピラン系、ジフリルエテン、ジチエニルエテンなどのジアリールエテン系、スクアリリウム、クロコニウムなどのスクアリリウム系、ケルセチン、アントシアニンなどのフラボノイド系の機能性色素などがある。
【0034】
特に、クマリン・ダンシル・FITC・アントラセンなどの蛍光色素を用いることが好ましい。これにより、容易にタンパク質を検出することができる。検出方法としては、蛍光スペクトル変化・蛍光寿命測定・蛍光エネルギー移動が可能である。
【0035】
色素は、単に重合性官能基を導入したモノマーを共重合させる方法、重合した高分子に吸着させる方法、下記(1-3)の金属錯体と共有結合させて認識部位の近傍に導入する方法の3通りがある。
【0036】
図3に、本発明に利用可能な色素修飾モノマーの例を示す。また、図4に、本発明に利用可能な、色素修飾錯体-スチレンモノマーの共有結合体の構造式を示す。これら色素修飾モノマーは、蛍光波長ピーク、及び蛍光寿命の変化によりタンパク質の結合を検出することができる。色素、及び金属錯体の構造は図に示したものに限定されず、上記に示したものおよび下記(1-3)で示すものが利用できる。
【0037】
(1-3)金属錯体
タンパク質を構成するアミノ酸には、金属配位しやすい残基がいくつか含まれている。ヒスチジン、トリプトファン、システインといった残基は非共有電子対をもつアミノ酸残基であり、銅・ニッケルなどの遷移金属などに対して効率的な配位結合を形成する。本発明のインプリントポリマーは、その認識部位に、これら金属原子を含む金属錯体を有する。金属錯体は、金属と、その金属に配位する配位子とからなる。本発明に係るインプリントポリマーの認識部位は、この金属錯体を有するので、金属原子を介してこれらアミノ酸残基を認識し、標的タンパク質を認識することができる。なお、金属錯体とは、配位子と、当該配位子に配位結合する金属とからなるが、本実施の形態においては、「金属錯体」なる文言が、配位子単独である状態(すなわち金属と配位結合していない状態)、および金属を配位した状態の、両方を指すことがある。
【0038】
本発明に係るインプリントポリマーは、このように金属原子を介して標的分子を認識するので、より多様な条件・範囲で標的タンパク質を認識することができる。例えば、リボヌクレアーゼとその代表的なリボヌクレアーゼ阻害剤(2’-CMP)とは、5.5付近の低pHでなければ高い親和性を得られない。一方、本発明のインプリントポリマーは、比較的広い範囲のpHでターゲットタンパク質と結合可能であり、他のタンパク質-リガンド相互作用では機能しない条件においても親和性を獲得することができる。
【0039】
pHだけでなく、本発明により得られる人工レセプターは天然の抗体等と比較して、温度や塩濃度においても幅広い範囲で結合可能である。2’-CMPとリボヌクレアーゼとの相互作用においても、高い塩濃度では結合しないことが報告されているが、本発明のインプリントポリマーはこのような条件でも結合能がある。こうした点においても、金属錯体を使った認識部位の構築は天然にない長所を有しているといえる。また、材料化の際に懸念される安定性においても、ぺプチダーゼによる切断や高次構造変化を引き起こす天然のタンパク質・抗体と異なり、安定した性能が長期間にわたって保持できる。
【0040】
金属配位は、その金属と配位子の組み合わせにおいて多様な選択が可能である。同じ配位子で金属を脱離させたり、再結合させたりすることも可能であり、機能を自由に変えることができる。金属はEDTAにより解離させることができ、さらに別の金属を導入することもできる。同属の配位形式をもつ金属を用いてより親和性を上げたり、異なる配位形態をもつ金属を添加して基質選択性を変化させたりすることも可能である。また、一部のランタニド金属にはペプチド結合の切断活性があり、これを用いて標的タンパク質を切断することも可能となる。
【0041】
また、配位子と配位する金属としては、遷移金属の銅・亜鉛・マンガン・ニッケル・鉄などの他、希土類金属、蛍光発光するランタニド金属等を利用することができる。
【0042】
配位子には、エチレンジアミン・サイクレン・ジピコリルアミン・イミノジ酢酸・ニトリロ三酢酸・EDTA・ポルフィリン等の多価配位型錯体が利用できる。
【0043】
図2に、本発明に適用可能な金属錯体の一例を示す。
【0044】
なお、機能性モノマーは、本欄で述べた配位子および下記(1-4)欄の基質阻害剤自体であってもよいし、配位子および基質阻害剤における標的タンパク質を認識する部位とは異なる位置に重合官能基が導入された化合物であってもよい。配位子および基質阻害剤は、この重合官能基を介して重合することで、インプリントポリマーを形成することができる。なお、本発明においては、重合官能基が導入されていてもされていなくても、配位子、基質阻害剤と称するものとする。
【0045】
重合官能基の導入においては、例えば有機合成の手法により、配位子および基質阻害剤にスチレン又はアクリル酸を導入してもよい。
【0046】
また、錯体同士を結合させて複核錯体を機能性モノマーとすることもできる。
【0047】
金属錯体を使った方法では、タンパク質に特異的に結合できないように固定化された金属錯体部位を、キレート剤を用いて不活化させることにより、非特異的な結合を抑制することができる。これにより、タンパク質と特異的に相互作用して固定化された金属錯体のみが、再結合の際に関与することになり、高い基質選択性が発現されることになる。
【0048】
(1-4)基質阻害剤
本発明において、基質阻害剤とは、標的タンパク質である酵素の基質と同様に、少なくともその一部が標的タンパク質の基質結合部位に特異的に結合可能な構造を有する化合物である。ただし、基質阻害剤は、基質とは異なり酵素の触媒作用を受けないか、または触媒作用を受けてもその反応速度が非常に遅いことが必要である。このような物質としては、標的タンパク質の基質と類似の構造を有する競合阻害剤、および擬基質等が含まれる。これら基質阻害剤は、標的タンパク質との結合の特異性が高い。そのため、インプリントポリマーに、高い標的認識特性を付与することができる。また、触媒作用を受けないか、反応速度が非常に遅いので、標的タンパク質の基質認識部位との結合が安定である。
【0049】
なお、基質阻害剤の親和性は特に限定されないが、103M以上であることが好ましい。
【0050】
例えばリボヌクレアーゼを標的タンパク質とする場合、基質阻害剤としては、各種ヌクレオチドが利用できる。また、ヌクレオチドにさらにビニル基を有するものならば、付加重合が容易に行え、その固定化量を制御できるため、好ましい。DNA類似体などもこれに含まれる。図5に、スチレン修飾リボヌクレアーゼ阻害剤(2’-UMP、および3’-UMP)の構造式を示す。
【0051】
本発明のインプリントポリマーは、このような基質阻害剤を、単独で備えてもよいし、上記(1-3)欄の金属錯体と共に備えてもよい。金属錯体と組み合わせて備えることにより、インプリントポリマーは協同的な効果により高い親和性を得ることができる。
【0052】
(1-5)コモノマー
本発明に係るインプリントポリマーは、上記(1-1)および(1-2)に記載した金属錯体および基質阻害剤の少なくとも一方を機能性モノマーとして含むと共に、これら機能性モノマーと共重合するコモノマーを含んでいてもよい。機能性モノマーとともに共重合させるコモノマーには、上記(1-1)で述べた機能性モノマーを利用することができる。MPC([2-(methacryloyloxy)ethyl]phosphorylcholine)、又はGEMA(Glycosyloxyethyl methacrylate)を添加することにより、非特異的相互作用を低減させる。
【0053】
<2.製造方法>
本発明に係るインプリントポリマーの製造方法は、標的タンパク質と機能性モノマーとの複合体を形成する複合体形成工程と、上記複合体中の機能性モノマーを重合させる重合工程とを含む。
【0054】
本発明に係る製造方法の一例を、図1に基づいて説明する。
【0055】
まず、図1の(a),(b)に示すように、標的タンパク質と、当該標的タンパク質に配位結合可能な金属および当該金属を配位する配位子からなる金属錯体とを、上記金属を介して会合させる(複合体形成工程)。このとき、ポリマーの合成系には、図示しない重合可能な機能性モノマーが含まれている。
【0056】
次に、図1の(c)に示すように、機能性モノマーを重合させることによって、金属錯体を標的タンパク質と相補的な位置に固定する(重合工程)。
【0057】
次に、図1の(d)に示すように、標的タンパク質を除去する。
【0058】
このようにして、標的タンパク質を認識する認識部位をもつインプリントポリマーを製造する。
【0059】
(2-1)複合体形成工程(図1の(b))
複合体形成工程は、標的タンパク質と機能性ポリマーとを混合すればよく、その他の条件は、従来のインプリントポリマーの製造方法を好適に利用可能である。
【0060】
機能性モノマーとタンパク基質との複合体形成は水中で行うことが望ましい。
【0061】
用いることのできる機能性モノマーとしては、上記(1-1)で説明した通りである。
【0062】
複合体形成工程において特に好適な条件としては、タンパク質濃度が数100μM、機能性モノマーが2当量~5等量程度が望ましい(リボヌクレアーゼの場合)。タンパク質は会合しない濃度領域にしなければならない。また、機能性モノマーは解離定数よりも濃い濃度条件でなければならない。温度は室温で行う。
【0063】
また、機能性モノマーとして、上記(1-3)の配位子、および、上記(1-4)の基質阻害剤の少なくとも一方を含む機能性モノマーを用いてもよい。この場合、複合体形成工程および下記重合工程は、上記(1-5)のコモノマーの存在下で行ってもよい。
【0064】
また、複合体形成工程および重合工程は、架橋剤の存在下で行ってもよい。架橋剤には、メチレンビスアクリルアミド等、比較的水溶性のある化合物が利用できる。また、金属配位能を持たないものが好ましい。
【0065】
基質阻害剤を機能性モノマーとして用いる場合、親和性は10Mほどあればよい。例えば、リボヌクレアーゼに対して2’-CMPは比較的良好な阻害剤である。この特異的結合を阻害させないためには、結合に関与していない5’位に重合性官能基を導入すればよい。
【0066】
このリン酸化化合物の類似体は機能性モノマーとして非常に有用である。タンパク質の分子インプリンティングでは通常選択性が非常に低いが、この基質阻害剤を用いることにより、強い相互作用と選択性を与えることができる。カルボン酸などのイオン性のモノマー、ピリジンなどの水素結合性のモノマー、又は金属錯体など、通常のインプリンティングで用いられる相互作用と組み合わせることにより、親和性を向上させることができる。
【0067】
他のタンパク質においても、重合工程によって基質阻害剤を固定化することにより、目的タンパク質に対する親和性と特異性を向上させることができる。ぺプチダーゼに対するペプチド阻害剤、レクチンに対する糖類似体、各種キナーゼに対するリン酸化ペプチドがそれぞれ対応する。
【0068】
金属錯体を機能性モノマーとして利用する場合、不要な金属・イオン等の共雑物は親和性を下げることになり、認識能を低下させる。ただし、タンパク質が不安定で塩強度、pH等の条件がある場合には、それに従う。インプリントの効果は機能性モノマーが標的タンパク質に対して2分子以上会合した場合に発現するので、機能性モノマーの量は標的タンパク質に対して2当量~5等量程度が望ましい。基質阻害剤をモノマーとして用いた場合には、標的タンパク質に対して1当量以上でよい。
【0069】
複合体形成および重合工程では、用いる緩衝液は金属配位を阻害する緩衝液でなければよい。リン酸緩衝液は亜鉛錯体などに対して阻害能を示すため、好ましくない場合がある。同様の理由から、HEPES緩衝液よりもトリス(Tris)緩衝液の方が、金属配位能が低い場合が多く、好ましい。金属配位を阻害しない限りにおいては、炭酸・ホウ酸・酢酸・リン酸緩衝液が利用可能である。
【0070】
(2-2)重合工程(図1の(c))
重合反応は、重合開始剤(単に開始剤と称する場合もある)を添加することによって、上記(2-1)の複合体形成工程で形成された複合体中の機能性モノマーを重合する工程である。
【0071】
重合方法としては、UV光による重合と熱重合が両方可能である。開始剤には、アゾ化合物系の開始剤、または過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどのRedox開始剤が利用できる。これと重合促進剤であるTEMEDを加えることにより、温和な条件でも重合反応が進行する。
【0072】
なお、上記(2-1)の複合体形成工程で形成された複合体を、複合体形成工程を行った水溶液中から単離し、その後に重合工程を行うことが好ましい。
【0073】
例えば、金属錯体を用いた場合の重合工程は、タンパク質—金属錯体複合体を単離し、その後に行うことにより、高選択的な認識マテリアルの調製が可能である。複合体を単離するには、結合の強い金属錯体・又は解離速度が遅い金属(Pdなど)を用いる必要がある。そのためには、金属錯体の複核化は有効である。単離の際の分離方法は、ゲルろ過、HPLC、透析など一般的な分離方法が可能である。その後、この複合体を凍結乾燥することにより単離することができる。
【0074】
また、標的タンパク質の非特異的な結合を抑制することにより選択性を向上させることができる。
【0075】
具体的には、複合化工程後、または重合工程を行った後に、機能性モノマー中(重合工程後はインプリントポリマー中)の金属錯体中の金属に、この金属に結合可能な配位子を結合させる。鋳型タンパク質と相補的な位置に正確に配置されていない金属錯体があると、非特異的な結合が起こる。上記ブロック剤によると、このような正確に配置されていない金属錯体をブロックすることができるので、特異性が向上する。このようなブロック剤としては、エチレンジアミンの他、EDTAやイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸などのキレート剤、各種ポリアミンが利用できる。
【0076】
(2-3)鋳型タンパク質の除去(図1の(d))
鋳型タンパク質の除去は水・緩衝液により行う。これらの溶液により数時間程度洗浄することにより鋳型分子は洗い流される。それでも除去されない場合は、100mMのNaClで5分間洗浄することにより除去される。それでも完全に洗い流されない場合は、EDTAなどのキレート剤を添加し、一度金属を洗い流し、これにより強制的にタンパク質を除去する。この後再度金属を添加し、認識部位を再構築する。
【0077】
なお上記の製造方法は、バルク重合の他、様々な表面上に導入できる。ポリスチレン樹脂、シリカ粒子、カーボンナノチューブ上、ガラス基板上、金基板上、各種金属基板上等、重合性官能基を導入できる材料上ならば制限を受けることはない。
【0078】
<3.アレイチップ>
(3-1)アレイチップの構成
本発明に係るアレイチップは、上記<1>欄のインプリントポリマーを異なるタンパク質を鋳型にして製造し、多数備えればよく、他の構成、基板等は特に限定されない。また、基板上への固定方法も特に限定されるものではなく、従来の薄膜形成技術やプロテインアレイにおける技術を適用することができる。
【0079】
アレイチップでは、インプリントポリマーは、色素修飾モノマーを有することが好ましい。色素修飾モノマーを、クマリン・ダンシル・FITC・アントラセンなどを蛍光色素とすることにより、容易にタンパク質を検出することができる。検出方法としては、蛍光スペクトル変化・蛍光寿命測定・蛍光エネルギー移動が可能である。色素は、単に重合性官能基を導入したモノマーを共重合させる方法、重合した高分子に吸着させる方法、金属錯体と共有結合させて認識部位の近傍に導入する方法の3通りがある。
【0080】
<4.インプリントポリマーを利用したタンパク質の同定方法>
本発明に係るタンパク質の同定方法および精製方法は、上記<1>欄のインプリントポリマーへの吸着特性の違いを利用したものであればよい。この際に異なった錯体、鋳型タンパク質、金属、架橋比で調製したインプリントポリマーのアレイを作製することにより、パターン解析を行うことができる。
【0081】
具体的には、上記<3>欄のアレイチップを利用し、その色素修飾モノマーの発するシグナルを検出、解析することで、タンパク質を同定することができる。さらに、デコンボリューションにより、細胞や組織から複数のタンパク質を定量的に検出することも可能となる。
【0082】
<5.リフォールディング方法>
タンパク質の認識をリフォールディングに利用することも可能である。すなわち、特定のタンパク質のうち、ある3次構造の状態をとっているタンパク質だけを認識することが可能である。タンパク質は変性状態の時は通常のびた状態をとっており、天然状態では折りたたまれている。この天然状態をインプリントすることにより、天然状態のタンパク質のみを結合することができ、タンパク質の折りたたみを促進することとなる。
【0083】
リフォールディング方法としては、具体的には、再生緩衝液中で、変性タンパク質とインプリントポリマーとを接触させればよい。
【0084】
(再生緩衝液)
再生緩衝液とは、上記で調製したインプリントポリマーを含む緩衝溶液である。例えば、10mg/mLのインプリントポリマー、および50mMのNaClを含みpH7.4のトリス緩衝液等を用いることができる。
【0085】
(接触方法)
変性タンパク質とインプリントポリマーとを接触させる方法としては、インプリントポリマーを固定しない状態で用いるバッチ法、および、インプリントポリマーをカラム等の形状に固定して用いるflow法がある。接触方法としては、標的タンパク質やその他条件に合わせて適宜設定可能である。バッチ法では、タンパク質—ポリマー複合体となるので、数時間のリフォールディングの後、塩やpHなどにより解離させればターゲットタンパク質を回収できる。Flow法においては、天然状態にフォールディングしたタンパク質のみが強く結合するため、折りたたまれずに早く溶出してきたものは再度、変性—リフォールディングを行えばよい。
【0086】
天然状態のインプリンティングだけでなく、タンパク質の融解状態(モルテン・グロビュール状態)をインプリントすることにより、得られた高分子がタンパク質の凝集を阻害し、タンパク質の折りたたみを促進することもできる。
【0087】
変性状態タンパク質、すなわち非天然状態タンパク質の調製は、外部からの熱や変性剤添加により行う。リボヌクレアーゼならば80℃~90℃で完全に変性する。これに上記金属錯体を添加し、熱重合により変性タンパク質特異的なインプリントポリマーが可能となる。得られたポリマーは、変性状態の検出やタンパク質除去へと利用できる。変性剤により変性させたタンパク質のインプリンティングも同様に可能である。
【0088】
また、上記方法を利用して、タンパク質のおりたたみ状態を、結合親和性の差から蛍光色素で検出するアレイを構築することができる。
【0089】
<6.タンパク質固定化法>
タンパク質の認識能を落とさずに非共有結合的に固定化する方法として、本発明のインプリントポリマーの製造方法が利用できる。
【0090】
そのためにまず、標的タンパク質を、当該タンパク質に対して特異的に結合する基質とまず複合化させる。リボヌクレアーゼの場合、pH5.5で2’-CMPと複合化させることにより、1:1で完全に複合化する。さらにこれを上記<2>と同様に、インプリントすることで、基質認識部位をブロックした状態でタンパク質を固定化することができる。
【0091】
この場合、競争的に金属がタンパク質—基質相互作用を阻害しないように、K~103M程度の親和性の結合を有する金属錯体を用いる。固定化した後、中性~弱塩基性、及び高塩濃度条件にすることにより特異的なリガンド(2’-CMP)を解離させることができる。得られた高分子は、機能性モノマーが基質近傍に結合せずに固定化されるため、天然状態の基質認識能を保持したしたままセンシング、又は分離材料として利用できる。
【0092】
以上のように、本発明に係るインプリントポリマーは、標的タンパク質が可逆的に結合する認識部位を持ち、上記認識部位は、金属錯体および/または基質阻害剤を有する。これにより、従来のインプリントポリマーと比較して特異性が向上しており、より正確にタンパク質を同定することができ、センサーアレイへの応用により、さらに正確な同定と混合物の組成の解析を可能としている。
【0093】
また、本発明に係るインプリントポリマーの製造方法は、標的タンパク質と結合可能な金属を配位する金属錯体、および/または、標的タンパク質の基質阻害剤を機能性モノマーとして用い、上記機能性モノマーを固定化する固定工程を含むことを特徴としている。
【0094】
金属配位による特異的結合は、非特異的な結合、すなわちタンパク質の結合部位をうまく形成できなかった金属錯体の配位結合能を消滅させることにより、顕在化させることが可能である。そのために、タンパク質と金属錯体を複合化させた後、又はこれを固定化させた後にキレート剤等を添加することにより、非特異的結合に関与する余分な金属をマスキングし、非特異的な配位結合を低下させることができる。このような正確な特異性の発現は水素結合、イオン結合といった従来のインプリンティング法にはなかったものであり、金属配位特有のものである。
【0095】
種々のタンパク質インプリントポリマーを合成してインプリントポリマーアレイとし、それに対して複数のタンパク質を再結合させ、各タンパク質の各ポリマーに対する結合量のパターンを主成分分析して2,3次元のデータに変換したところ、タンパク質混合液は完全に成分の組成の分類分けがなされた。これは、複雑な試料に対して、インプリントポリマーアレイを用いることで、含まれるタンパク質の同定が可能なことを示している。また、未知のタンパク質のクラス分けも可能で、有用な機能をもつタンパク質のスクリーニングや、タンパク質組成のプロファイリングに威力を発揮する。
【0096】
タンパク質は、折りたたみ構造をとることで機能を発現する。そこで、本発明のインプリントポリマーの分子認識能を用いると、うまく折りたたまれなかったタンパク質を折りたたみ構造との複合化により安定化し、正しい折りたたみ構造に変換できる。人工的にタンパク質を生産するときに、生産したポリペプチドを正しく折りたたみ、機能を発現させることはバイオテクノロジーの分野では特に重要であり、本発明は、タンパク質の同定や分離の手法を提供するのみならず、タンパク質の折りたたみ構造を誘導する人工分子シャペロンの役割も果たす。
【0097】
また、タンパク質は条件により、2次構造としてα-へリックスやβ-シートをとり、これらは全体の高次構造に大きく影響を与え、時には疾病の原因ともなる。近年、BSE問題など、これらタンパク質の高次構造の検出・判別が大きな課題となっている。こうした問題についても、本発明のタンパク質インプリンティングは解決法を提供し、ペプチドの折りたたみ状態を判別する素子を製造することもできる。上記構成により、抗体等の天然の化合物よりも簡便な方法によって、標的タンパク質を認識可能な物質を製造することができる。
【0098】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0100】
(実施例)
〔I〕金属錯体を有するインプリントポリマーとその利用
[1]サイクレン修飾スチレンの合成(図6)
金属錯体機能性モノマーの合成を以下の工程で行った。
【0101】
[1-1] (Boc)-cyclenの合成
サイクレン4塩酸塩 500 mgを塩化メチレンに溶解し、トリエチルアミン 5当量存在下、0℃に冷却した後、塩化メチレンに溶解した(Boc)O 3.0当量をゆっくり添加した。一昼夜室温で攪拌した後、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで有機相を洗浄した後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt = 2:1 → 1:2)で精製した。1H-NMRにより同定を行った。
【0102】
[1-2] Boc3-cyclen-Stの合成
上記[1-1]で得られたBoc3-cyclen 260mgをアセトニトリル中において、4-vinylbenzyl chloride 1.5当量、炭酸カリウム2当量を添加し、ヨウ化カリウム1当量存在下、65℃で3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認し、反応終了後そのまま飽和食塩水で3回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去の後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt = 3 : 2 → 1 : 1)により精製を行った。320 mg、96 %。1H-NMR(CDCl3): δ 7.49 (d, 2H, J = 9.4 Hz, ArH), 7.36 (d, 2H, J = 9.4 Hz, ArH), 6.67 (dd, 1H, J = 12.2, 19.5 Hz, ArCH=CH2), 5.9 (br, 1H, NHCOO), 5.68 (d, 1H, J = 19.5 Hz, ArCH=CH2), , 5.2 (s, 1H, NHCOO), 5.19 (d, 1H, J = 12.2 Hz, ArCH=CH2), 4.30 (br, 1H, NHCH(CO)CH2), 3.6 (m, 2H, CHCH2NH), 1.48 (s, 9H, C(CH3)3), 1.45 (s, 9H, C(CH3)3).
[1-3]Cyclen-Stの合成
上記[1-2]で得られたBoc3-Cyclen-St 300 mgを塩化メチレン 10 mLに溶解した。これにTFA 2 mLを添加し、室温で3時間撹拌した。TLCで反応終了を確認し、溶媒を減圧留去後、エタノール/ジエチルエーテルで再結晶を行った。一次晶 120 mgを減圧乾燥し、目的物Cyclen-St・2TFA塩を得た。1H-NMR(CD3OD): δ 2.8-3.1(m, 8H, CH2of cyclen), d 3.2-3.4 (m, 8H, CH2 of cyclen), 3.83 (s, 2H, AeCH2), 5.25 (d, 1H, J = 12.2 Hz, ArCH=CH2), 5.79 (d, 1H, J = 19.5 Hz, ArCH=CH2), 6.73 (dd, 1H, J = 12.2, 19.5 Hz, ArCH=CH2), 7.33 (d, 2H, J = 8.9 Hz, ArH), 7.46 (d, 1H, J = 8.8 Hz, ArH)
[1-4]Cu[cyclen-St]Cl2の合成
上記[1-3]で得られた1次晶Cyclen-St・2TFA 63.3 mgを水20mLに加えた。さらにこれにNaOHを加え、塩化メチレンで抽出(x2)することにより、TFAの脱塩を行った。有機相を硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒減圧留去、乾燥を行った。得られた油状化合物をエタノール 5 mLに溶解し、これに2mL(水/EtOH = 1/1)に溶解した1当量の塩化銅(II)を滴下した。60℃で1時間撹拌した後、エタノールを減圧留去した。さらに水 5 mLを添加し、凍結乾燥し、深紫色の結晶を得た(収量 35.2 mg)。同様の方法により、Mn・Ni・Co・Zn等の遷移金属においても同様にして錯体を得ることができた。
【0103】
[2]エチレンジアミン修飾スチレンの合成(図7)
[2-1]TFA-DAP(TFA)OHの合成
DAP塩酸塩 0.8 gをはかりとり、MeOH 10 mLを添加した。これにトリエチルアミンを5等量添加し、さらにTFA-OEtを5当量添加して一昼夜撹拌した。数時間は白濁したままであったが、その後透明となった。反応終了後、溶媒留去した後に酢酸エチルに溶解し、飽和食塩水・クエン酸水溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒留去し、目的の白色固体(フレーク状化合物)TFA-DAP(TFA)-OHを得た。1.7g, 収率100 %。 1H-NMR(CD3OD): δ4.68-4.73(m, 1H, -CHCH2-), 3.59-3.74, (m, 2H, CHCH2).
[2-2]TFA-DAP(TFA)-Stの合成
上記[2-1]で合成したTFA-DAP(TFA)-OH 150 mg、クロロメチルスチレン1.2当量、ヒドロキシスクシイミド1.5当量を塩化メチレン10 mLに溶解し、これにWSC 1.5当量を加えた。さらにこれにDIEA 3当量を添加し、10時間撹拌した。反応終了後、EtOAcに溶解し、重曹、クエン酸、飽和食塩水により洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt = 2 : 1 → 1.5 : 1)により精製を行った。150 mg, 収率73%。1H-NMR(CDCl3): δ 7.19-7.40 (m, 4H, ArH), 6.71 (q, 1H, ArCH), 5.76 (q, 1H, ArCH=CH2), 5.22 (q, 1H, ArCH=CH2), 4.72 (t, 6.8Hz, 1H, CHCH2), 4.40(m, 2H, ArCH2), 3.71 (d, 6.8 Hz, 2H, CHCH2).
[2-3]DAP-Stの合成
上記[2-2]で得られたモノマー100 mgを5mL のMeOHに溶解し、アンモニア水5mLを添加し、室温で48時間撹拌した。反応終了後、減圧留去・真空乾燥を行った。52 mg、収率98 %。1H-NMR(CD3OD): δ 7.22-7.41 (m, 4H, ArH), 6.7-6.8 (m, 1H, ArCH), 5.78 (q, 1H, ArCH=CH2), 5.22 (q, 1H, ArCH=CH2), 4.4 (2H, ArCH2), 3.66(m, 1H, CHCH2), 3.25 (m, 1H, CHCH2), 3.00 (m, 1H, CHCH2).
[2-4]Cu[DAP-St]Cl2の合成
上記[2-3]で得られたDAP-St 30 mgを水 5 mLに溶解し、これにCuCl2水溶液1当量を滴下し、60℃で1時間撹拌することにより、金属錯化を行った。その後、凍結乾燥を行うことにより、目的の銅錯体 Cu[DAP-St]Cl2 を得た。同様の方法により、Mn・Ni・Co・Zn等の遷移金属においても同様にして錯体を得ることができた。
【0104】
[3]基質阻害剤の合成
[3-1]3’-又は 2’-UMP の合成(図8)
(化合物2の合成)
ウリジン(図中化合物1として示す。2.7 g, 11 mmol)をギ酸トリメチル7 mlに溶解し、p-トルエンスルホン酸 80 mgを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。TLC(5 % MeOH / CH2Cl2)で確認すると、目的物と思われるスポットが確認されたが、5´側へ反応したと思われるスポットも確認された。ここで反応を停止させるために、濃アンモニア水を2滴、滴下した。ここに、50 mlの塩化メチレンを加えて薄め、セライトを補助剤としてろ過した。溶媒を留去し、真空乾燥させると、無色泡状の物質を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(7 % MeOH / CH2Cl2)で精製し、溶媒を留去した後、真空乾燥させると白色粉末を得た。1H-NMR(CDCl3)にて化合物2の生成を確認した。
【0105】
(化合物3の合成)
化合物2(500mg, 1.7 mmol)に4-DMAP 41 mg、塩化メチレン 30 mlを加え、氷冷下、メタンスルフォニルクロリド(450 mg, 3.9 mmol)をゆっくり滴下した。室温で4時間攪拌し、TLCで確認したところ、目的物と思われるスポットが確認されたので、ここで反応を終了させた。食塩水/塩化メチレンで抽出(2回)し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(7 % MeOH/CH2Cl2)により精製した。溶媒を留去した後、真空乾燥させると白色粉末を得た。1H-NMR(CDCl3)にて化合物3の生成を確認した。生成量400mg、収率64.7%であった。
【0106】
(化合物4の合成)
化合物3(400 mg, 1.1 mmol)を乾燥DMF 15 ml中で、アジ化ナトリウム 230 mg, 3.5 mmolを加え、45℃で22時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した後、塩化メチレンに溶解させて、飽和食塩水により洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥を行った後、ろ過した。溶媒を留去し、真空乾燥させた後、シリカゲルクロマトグラフィー(2 % MeOH / CH2Cl2)で精製した。溶媒を留去した後、真空乾燥させると無色油状物質を得た。1H-NMR(CDCl3)にて化合物4の生成を確認した。生成量300 mg, 収率87.3 %であった。
【0107】
(化合物5の合成)
化合物4(300 mg, 0.96 mmol)をメタノール約20 mlに溶解し、パラジウム炭素 150 mgを加え、攪拌しながら水素を投入した。その後、攪拌しながら16時間反応させ、TLC(1 % MeOH / CH2Cl2+アンモニア水1滴)にて反応の終了を確認した。セライトを補助剤としてろ過し、溶媒を減圧留去して真空乾燥を行うと無色油状物質を得た。1H-NMR(CDCl3)にて化合物5の生成を確認した。生成量 220 mg, 収率 80.2 %であった。
【0108】
(化合物6の合成)
化合物5を塩化メチレン中、スチレンカルボン酸 1当量、WSC 1当量、HOBt 1当量、DIEA 1当量を添加し、縮合反応を行った。クエン酸、重曹で洗浄した後、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行った。
【0109】
(化合物7の合成)
化合物6を 10 %TFA塩化メチレン溶液にて脱保護し、化合物7を得た。
【0110】
(化合物8の合成)
ホスホロアミダイド試薬を1当量、テトラゾール存在下、水酸基と反応させた。酸化剤添加を添加した後、HPLCで精製を行った。2’位と3’位がリン酸化されたスチレン修飾UMP(化合物8)を得た。
【0111】
[4]固定工程およびSPR金基板上へのタンパク質インプリントポリマーの固定化
上記[1-4]で得られた錯体を用いてインプリントポリマーを製造した。
【0112】
[4-1]金基板上へのアクリル酸の導入
N, N’-bis(acryloyl)cystamineの5 mMメタノール溶液を作製し、これに金基板を浸漬させることにより重合性官能基であるアクリル酸を基板上に導入した。
【0113】
[4-2]リボヌクレアーゼ・インプリントポリマーの作製
リボヌクレアーゼA(0.33 mM)を鋳型タンパク質として用い、上記[1-4]の銅錯体Cu[cyclen-St]Cl2(1.6 mM)とを水中で錯形成させ、1時間放置して会合させた。その後これに、アクリルアミド(1 mM)及び架橋剤メチレンビスアクリルアミド(0.5 mM)を添加した。さらに10 mM Tris緩衝液(pH7.4) を添加し、これにTEMED 1 mLを加えた。得られた溶液に重合開始剤(2,2’-アゾビス[2-メチル-N-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)(50 mM)を加えて均一化させた後、すぐにこの溶液を上記[4-1]で得られた金基板上にキャストした。スライドガラスをかぶせてUV照射下1時間重合を行った。重合後、水・MeOHで洗浄し、さらにTris緩衝液で洗浄した。
【0114】
[4-3]SPR(表面プラズモン共鳴:surface plasmon resonance)センサーを用いたタンパク質インプリントポリマーの機能解析
5 mM Tris緩衝液(pH7.4)を流動層とし、タンパク質濃度を500 mM, 250 mM, 125 mM, 64 mM, 32 mM, 16 mMとして、上記[4-2]のインプリントポリマーのSPRセンサーとしての機能評価を行った。リボヌクレアーゼA・インプリントポリマー(上記[4-2]のインプリントポリマー)では、1.1×105 Mほどの結合親和性が得られた。
【0115】
[4-4]非インプリントポリマーセンサーとの比較(図9)
上記[4-2]で得られる金基板について、タンパク質との複合化なしに得られるポリマー薄膜を非インプリントポリマーと呼ぶ。これについても同様に調製を行うことができる。上記[4-2]で得られたインプリントポリマーおよび、非インプリントポリマーについて、10 mM Tris緩衝液(pH7.4)を流動層とし、25℃、[リボヌクレアーゼ A] = 0.25 mM の条件で、SPRセンサーとしての機能を比較した。結果を図9に示す。その結果、インプリンティングを行った方がリボヌクレアーゼAに対しては結合能が高いことが分かった。さらに、金属を再度添加しもとの錯体に戻すことにより、結合量を再度もとの状態に戻すことも可能であった(図15)。
【0116】
[4-5]エチレンジアミンを機能性モノマーとして用いた場合のインプリントポリマーセンサーの吸着活性(図16)
リボヌクレアーゼ Aをテンプレートとし、エチレンジアミンを機能性モノマーとして利用し、GEMAを添加モノマーとして合成した薄膜についての相対吸着量を検討したところ、吸着量について約2倍ほどの上昇が見られた。この機能性ポリマーについては、塩基性タンパク質に対して吸着活性の上昇が見られた。
【0117】
[4-6]サイクレンを機能性モノマーとして用いた場合のインプリントポリマーセンサーの吸着活性(図17)
リボヌクレアーゼ Aをテンプレートとし、エチレンジアミンを機能性モノマーとして利用し、GEMAを添加モノマーとして合成した薄膜についての相対吸着量を検討したところ、やはり上記と同様に吸着率の上昇が見られた。この機能性ポリマーについては、ターゲットに対する吸着率の選択性を有した。
【0118】
[4-7]エチレンジアミンを機能性モノマーとして用いた場合のインプリントポリマーセンサーの塩強度依存性(図18)
リボヌクレアーゼ Aをテンプレートとし、エチレンジアミンを機能性モノマーとして利用し、GEMAを添加モノマーとして合成した薄膜についての相対吸着量を検討したところ、塩強度が上昇するに従って吸着率は低減した。また、GEMAだけではほとんどタンパク質は吸着せず、非特異的吸着の低減に有効であることが分かった。
【0119】
[4-8]ポルフィリンとリボヌクレアーゼ Aとの相互作用解析(図19)
ビアコア社製CM-5基盤に固定化したリボヌクレアーゼ Aに対するTCPP(Tetrakis(4-carboxyphenyl)porphine)、及びZn(TCPP)の親和性を検討した。センサーグラムから親和性を検討したところ、pH9において、約30000M-1ほどの結合定数が得られた。
【0120】
[4-9]ポルフィリン(TCPP(Tetrakis(4-carboxyphenyl)porphine))とリボヌクレアーゼ Aとの相互作用解析(図20)
UVスペクトルを用いてリボヌクレアーゼ AとZn(TCPP)との親和性を検討した。滴定曲線から得られたフィッティングから親和性を検討したところ、pH9において、約25000M-1ほどの結合定数が得られた([タンパク質] = [リボヌクレアーゼ A] = 5 mM, トリス緩衝液、pH9)。この結果は[4-8]の結果と一致している。
【0121】
[4-10]ポルフィリンを機能性モノマーとして用いた場合のインプリントポリマーセンサーの各タンパク質に対する親和性(図21)
リボヌクレアーゼ Aをテンプレートとし、ビニル修飾したZn(TCPP)を機能性モノマーとして利用して合成した薄膜についての相対吸着量を検討した。その結果、テンプレートであるリボヌクレアーゼ Aに対する親和性が著しく向上し、目的タンパク質に対するセンサーとして有用であることが分かった。
【0122】
[5]基質阻害剤を用いたインプリンティング
上記[3]で合成した2’-UMPスチレンを機能性モノマーとして用い、リボヌクレアーゼのインプリンティングを行った。2’-UMPスチレンをモノマーとして用いて検討した結果、固定化することにより、均一系における親和性よりも10倍ほどの結合親和性が得られた。さらに、インプリンティングを行うことにより、飽和結合量と親和性の向上が見られた。
【0123】
[6]蛍光色素修飾モノマーを用いたセンシング
ダンシル修飾銅エチレンジアミン錯体を機能性モノマーとして用い、メチレンビスアクリルアミドを架橋剤、アクリルアミドをコモノマーとしてラジカル重合を行った。テンプレートタンパク質の除去を行った後、蛍光プレートリーダーによる分析を行った。その結果、このインプリントポリマーでは、タンパク質の添加に伴う短波長シフトと蛍光強度の増大が見られた。このことは、本インプリントポリマーのプロテインチップへの応用が可能なことを示している。
【0124】
[7]配位子の添加による基質特異性の向上
鋳型タンパク質であるリボヌクレアーゼAに対して5等量のエチレンジアミン-銅錯体を複合化させた。これと機能性モノマーであるアクリルアミド、及びメチレンビスアクリルアミドを添加した後、複合化していない金属配位を消滅させるためにエチレンジアミンを2等量添加した。これを重合して機能性モノマーを固定化したところ、得られたポリマーはリボヌクレアーゼAに対する高い選択性を得ることができた。
【0125】
[8]タンパク質の定量および同定
上記で作製したインプリントポリマーを用いた以外は、下記〔II〕の[1-2]と同様の操作を行った。その結果、下記〔II〕の[1-3]と同様に、タンパク質の定量および同定が可能であることが分かった(データ不図示)。
【0126】
[9]タンパク質のリフォールディング
上記で作製したインプリントポリマーを用いた以外は、下記〔II〕の[2]と同様の操作を行った。その結果、下記〔II〕の[2-5]と同様に、リゾチームのリフォールディングが促進された。
【0127】
〔II〕インプリントポリマー
[1]インプリントポリマーの作製および評価
[1-1]インプリントポリマーの合成
4種の鋳型タンパク質(リゾチーム(LY)、シトクロムC(CY)、リボヌクレアーゼA(RN)、ラクトアルブミン(LA))、および2種の機能性ポリマー(銅—エチレンジアミン(Cu(en))、銅—サイクレン(Cu(cyc))を組み合わせて、8種のインプリントポリマーLY-Cu(en)IP, LY-Cu(cyc)IP, CY-Cu(en)IP, CY-Cu(cyc)IP, RN-Cu(en)IP, RN-Cu(cyc)IP, LA-Cu(en)IP, LA-Cu(cyc)IP, および2種類の非インプリントポリマー(Cu(en)-NIP, Cu(en)-NIP)を作製した。
【0128】
インプリントポリマーの名称の頭の部分は鋳型タンパク質を示し、その次に記すCu(en)は用いた機能性モノマーを示す。
【0129】
非インプリントポリマーは、鋳型タンパク質を重合時に添加しなかった以外は、インプリントポリマーと同様の操作によって作製した。非インプリントポリマーの名称の前半は、用いた機能性ポリマーを指し、名称の最後にNIPを付して、IPと区別する。具体的な作製は、表1に示すレシピに沿って行った。トリス緩衝液(TB、50 mM, pH7.4) 15 mL中に、表1に示すポリマー毎の規定濃度になるようにCu(en)もしくはCu(cyc)を溶解させ、pHを7.4に合わせた後、溶液を20 mLにメスアップした(プレポリマーミックス)。バイアル瓶にプレポリマーミックス 7.2 mLを取り、そこへ表1に示す量のGEMA:グルコシロキシエチルメタクリレート、MBAA:N, N’-メチレンビスアクリルアミド、および標的タンパク質を溶解させ、そのまま30分攪拌した(ポリマーミックス)。ポリマーミックスの窒素置換を5分間行い、重合開始剤(VA-80)を加えて速やかに攪拌し、バイアル瓶をパラフィルムで密封してUV照射下4℃で18時間重合を行った。シトクロムCを鋳型分子として用いたポリマーミックスについては、光重合によって固まらなかったので、重合開始剤であるN, N, N’, N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、過硫酸アンモニウム(APS)による重合を行った。
【0130】
【表1】
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得られたインプリントポリマーは、スパチェラで軽く砕き、0.5 M NaCl水溶液、水で洗浄したのち、5 %酢酸で一晩攪拌することによって洗浄を行った。その後、水、1 M HClもしくは1 M NaOH水溶液、水の順に洗浄を行った。ポリマーからの鋳型タンパク質の洗浄量は、可視紫外分光光度計を用いて洗液の280 nmにおける吸光度を測定することによって求めた。洗浄したポリマーは、24時間凍結乾燥を行った。
【0131】
なお、下記[1-2]の再結合実験に用いるのに十分な90%以上の洗浄率が得られたことを確認した。
【0132】
[1-2]6種類のタンパク質(ミオグロビン、リボヌクレアーゼA、リゾチーム、アルブミン、シトクロムC、ラクトアルブミン) を用いた再結合実験
1) 4種類のタンパク質混合物を用いた再結合実験
インプリントポリマー、非インプリントポリマーそれぞれ5 mgをバイアル瓶に量り取り、そこへタンパク質溶液(リゾチーム, リボヌクレアーゼA, ミオグロビン, アルブミン, 0.25 mg/mL, 5 mL, in TB (50 mM, pH7.4))を分注し、バイアルを密封し、ローターで攪拌させながら、16時間、15℃の条件でインキュベーションを行った。シリンジフィルター(DISMIC-25CS, ADVANTEC)を用いてポリマーをろ過し、上澄みの濃度をHPLCによって定量し、ポリマーへの鋳型タンパク質の結合量を求めた。
【0133】
HPLC条件は以下の通りである。
カラム:TSKgel Butyl-NPR 4.6 mm ID×3.5 cm (東ソー)
溶離液;A:0.1 M トリス緩衝液(pH7.0)
B:0.1 M トリスナトリウム緩衝液(pH7.0) + 2.5 M 硫酸アンモニウム
A (100 %)→B (25 %) リニアグラジエント (9 min)
2) シトクロムC、ラクトアルブミンを用いた再結合実験
インプリントポリマーの鋳型として用いた2種類のタンパク質シトクロムC、ラクトアルブミンはタンパク質混合物の中に加えても、先に用いたTSKgel Butyl-NPRによる迅速分離が不可能であったため、これらのサンプルは個別にポリマーと再結合実験を行った。
【0134】
インプリントポリマー、非インプリントポリマーそれぞれ5 mgをバイアル瓶に量り取り、そこへタンパク質溶液(シトクロムCもしくはラクトアルブミン, 0.25 mg/mL, 5 mL, in TB (50 mM, pH7.4))を分注し、バイアルを密封し、ローターで攪拌させながら、16時間、15℃の条件でインキュベーションを行った。シリンジフィルター(DISMIC-25CS, AD-VANTEC)を用いてポリマーをろ過し、上澄みの濃度をHPLCによって定量し、ポリマーへの鋳型タンパク質の結合量を求めた。
【0135】
HPLC条件条件は以下の通りである。
カラム:TSKgel G-3000SWXL 7.8 mm×30 cm (東ソー)
溶離液;A:0.05 M トリス緩衝液(pH7.0) +0.3 M NaCl
[1-3]結果
図10に、疎水性クロマトグラフィーを用いたタンパク質分離のクロマトグラムを示す。塩濃度リニアグラジエントにより、8分間程度の短時間で4種類のタンパク質が完全に分離されていることがわかる。
【0136】
銅-エチレンジアミン(Cu(en))を機能性モノマーに用いたポリマー群および銅-サイクレン(Cu(cyc))を機能性モノマーに用いたポリマー群に対するタンパク質混合物の結合挙動データに対してそれぞれ主成分分析を行った。結果を図11及び図12に示す。実験は繰り返し5回行ったため、プロットはそれぞれのタンパク質について5つある。
【0137】
各ポリマーを1つのセンサーチャネルとしてとらえ、おのおの5チャネルからなるセンサーによる出力と考えられる。同じタンパク質の5つのデータプロットは同様の重みで互いに1つのクラスターを形成していることが分かる。そして、各クラスターはお互いが重なることなく全く独立していた。また、用いた二種類の機能性モノマーによって、やや異なるクラスターの分布が見られた。
【0138】
以上、複数のインプリントポリマーを用いて、実サンプルを志向した混合物を用いた場合、各ポリマーは各タンパク質に対して特徴的なレスポンスを示し、主成分分析を行うことで各タンパク質のデータは完全に独立した4つのクラスターに分離された。それらに加えて、シトクロムC, ラクトアルブミンについても、それぞれ独立したクラスターを形成していた。そして、計6つのクラスターに分離され、タンパク質混合物中の成分の同定が本法を用いることで可能なことが示された。
【0139】
[2]インプリントポリマーを人工分子シャペロンとして用いた変性リゾチームのリフォールディング
[2-1]インプリントポリマーの作製
リゾチームインプリントポリマーおよび非インプリントポリマーは、上記[1-1]のLY-Cu(en)IP、Cu(en)-NIPとおなじものを合成した。これら2つのポリマーを後述の変性リゾチーム再生実験で用いた。
【0140】
[2-2]リゾチームの変性
変性用緩衝液(8M 尿素、1mM EDTA、10mM DTT、0.1mM Tris-HCL、pH8.5)中にリゾチームを10.0 mg/mLの濃度になるように溶解させ、38℃で2.5時間攪拌し、変性を行った。変性後の液を以下、変性液と称する。変性の確認は、下記[2-3]の酵素活性測定によって行い、その活性が2 %以下であることを確認した。
【0141】
[2-3]酵素活性測定
リゾチームの基質 (Micrococcus lysodeikticus(乾燥細胞壁))を50 mM トリス緩衝液(pH 6.2)に0.25 mg/mLになるように懸濁させ、一晩撹拌したものを基質溶液として調製した。この懸濁液3 mLを恒温セル(35℃一定)に取り、リゾチーム溶液(9 μL)を加えて混合し、可視紫外分光光度計を用いて、450 nmにおける吸光度の減少を測定した。吸光度の減少の測定開始時間における傾き(酵素反応の初速度)からリゾチームの酵素活性を求めた。測定するリゾチーム溶液は、活性が濃度に比例する範囲内の濃度になるように50 mM トリス緩衝液で希釈して用いた。なお、懸濁液3 mLとリゾチーム溶液9 μLをセル内で混合した時に1分間に1 Absの吸光度の減少を与える酵素量を1 Uと定義して、リゾチーム濃度とその酵素活性の関係をプロットした検量線を作成した(不図示)。
【0142】
[2-4]変性リゾチームの再活性化
以下に示す1) および2) の2つの手法を用いて、ポリマーを用いた変性リゾチームの再活性化実験を行った。
【0143】
1) batch型(グルタチオン添加)
変性液3 mLを再生用緩衝液(1.5 M Urea, 3 mM Glutathione reduced form, 5 mM Glutathione oxidized form, 1 mM EDTA, 0.1 M Tris-HCl, pH8.0)27 mLと混合し、10倍に希釈した。希釈溶液は3つの容器にそれぞれ30 mLずつ用意した。
【0144】
3つの容器のうちの一つ、すなわちポリマーを加えないもの(NP)については希釈後すぐに溶液の吸光度を計り、これを初濃度とした。また、残りの2つにはLY-Cu(en)IP、またはCu(cyc)-NIPをそれぞれ60 mgずつを加えた。
【0145】
以上のような3つの溶液を室温で攪拌し、タンパク質の再生を行った。再生液で希釈してから0.5, 1, 2, 3, 4, 5, 7, 12, 24, 27時間経過した時点で反応容器からリゾチーム溶液を2 mL採取した。ポリマーを加えたものについてはシリンジフィルター(DISMIC-25CS, ADVANTEC)でポリマーをろ過し、随時、吸光度(280 nm)を測定し、溶液中のリゾチーム濃度を求めた。また、先述の手法で採取した溶液の酵素活性を測定した。上記[2-3]で求めた溶液の酵素活性を検量線によって、リフォールディング済みのリゾチームの量に換算した。リフォールディング率は同濃度の天然リゾチームとの酵素活性の比で表した。
【0146】
2) Flow型(グルタチオン未添加)
1.5 gのLY-Cu(en)IP、またはCu(en)-NIPをそれぞれ充填した固相合成用チューブに、変性液0.3 mLを注ぎ、これらポリマーにリゾチームを吸着させた。次に、グルタチオンを含まない再生用緩衝液(1.5 M Urea, 1 mM EDTA, 0.1 M Tris-HCl, pH8.0)2.7 mLを3回に分けて、固定相に注いだ。その後、吸着したタンパク質を50 mMクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で溶出させ、一回目は3 mL, その後は2 mLごとに計15 mLのフラクションを取った。各フラクションの吸光度を測定し、初期量をほぼ100 %回収したことを確認した。
【0147】
各フラクションを全て合わせた溶液の酵素活性を、上記1) と同様の方法で測定した。また、リファレンスとして0.3 mLの変性液に2.7 mLの再生液を、ポリマーを入れたものと同様の時間を要して滴下したものを調整し、その酵素活性も測定した。酵素活性測定は、基質溶液3000 μLに対してリゾチームを含む全フラクション90 μLを反応させ、以下前述の方法と同様に行った。求めた酵素活性から、リゾチームのリフォールディング率を求めた。
【0148】
[2-5]結果
1) batch型の結果 LY-Cu(en)IP、またはCu(en)-NIP
図13にインプリントポリマー添加時におけるリゾチームのリフォールディング率の経時変化を示す。なお、24, 27時間後のリフォールディング率は約90%であり、これは8時間経過の段階とほぼ同様であった。そのため、リフォールディング率は約8時間でほぼ頭打ちになると考えられる。
【0149】
図13に示すように、batch型の再生系では、特に3,4時間といった反応初期段階では、ポリマーを添加した時のリフォールディング率が、添加しなかったものよりも高かった。また、Cu(en)-NIPよりLY- Cu(en)IPのほうがその効果が大きいことから、本実験で合成したLY-Cu(en)IPは鋳型に基づく分子シャペロンとしての機能を有していることが分かった。
【0150】
2) Flow型の結果
図14に、上記[2-4]の2) における溶出量と吸光度の関係(クロマトグラム)を示す。図14より、リゾチームの溶出に要する液量はCu(en)-NIPよりもLY- Cu(en)IPのほうが多いことが分かる。これは、インプリントポリマーのほうがリゾチームの保持能が高いためであると考えられる。
【0151】
リフォールディング率については、上記1) のbatch型の結果と同様に、インプリントポリマーによってリフォールディング率が高かった(データ不図示)。すなわち、LY- Cu(en)IPは分子シャペロンとして機能していた。
【0152】
〔III〕タンパク質の固定化方法
2’-CMPをpH5.5の酢酸緩衝液中でリボヌクレアーゼA 300μMに対して1当量添加し、複合化させた。これに銅-サイクレン錯体を5等量添加し、会合させた。これにアクリルアミド3等量、メチレンビスアクリルアミド1.5当量を添加し、ラジカル開始剤過硫酸カリウム、TEMEDを添加し、ラジカル重合を行った。その後pHを7.4として2’-CMPを洗浄により除去し、基質結合部位がブロックされていない固定化リボヌクレアーゼを得た。得られた固定化タンパク質は、2’-CMPを添加せずに固定化したタンパク質と比較すると、もとの活性を失うことなく固定化されていることが分かった。
【0153】
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用の可能性】
【0154】
本発明のインプリントポリマーは、ライフサイエンス、食品分野、環境分野、バイオテクノロジーにおけるタンパク質の同定や単離のためのクロマトグラフィー等の分離剤、診断のための試薬やプロテインチップ、バイオテクノロジーを用いて人工的に生産したタンパク質の同定やリフォールディング工程等に利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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