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明細書 :ネマチック液晶を用いた液晶表示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4709219号 (P4709219)
登録日 平成23年3月25日(2011.3.25)
発行日 平成23年6月22日(2011.6.22)
発明の名称または考案の名称 ネマチック液晶を用いた液晶表示装置
国際特許分類 G02F   1/1337      (2006.01)
FI G02F 1/1337
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2007-533168 (P2007-533168)
出願日 平成18年8月14日(2006.8.14)
国際出願番号 PCT/JP2006/316013
国際公開番号 WO2007/026535
国際公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
優先権出願番号 2005250756
優先日 平成17年8月31日(2005.8.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年3月4日(2008.3.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】米谷 慎
【氏名】横山 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】吉田 英一
参考文献・文献 特開平08-220540(JP,A)
特開平09-318960(JP,A)
特開2003-149646(JP,A)
特開2000-089195(JP,A)
特開2005-049386(JP,A)
調査した分野 G02F 1/1337
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)少なくとも一方が透明な一対の基板と、
(b)該一対の基板のそれぞれに形成され、少なくとも一方が透明な面電極層と、
(c)前記一対の基板間に配置され、前記面電極層に電圧を印加することにより電界が印加される液晶層と、
(d)該液晶層と前記一対の基板それぞれとの間に配置される、チェッカーボード状パターンを形成するサブミクロンから数ミクロン程度のサイズの複数の配向ドメインから成る配向層であって、前記チェッカーボード状パターンの単位小領域内の液晶配向方向が同一になるように、前記複数の配向ドメインの液晶配向規制方向を前記基板面に対して略垂直方向および略水平方向を含む複数の異なる方向とする液晶配向規制処理を施した配向層とを具備し、
(e)前記基板面に対して、チェッカーボード状パターン化された略垂直な液晶配向状態と略水平な液晶配向状態の2つの状態が、電界無印加時に共に安定であるメモリー性を有することを特徴とするネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項2】
記配向層を形成する材料が、光反応性を有する材料から成り、前記複数の異なる方向の液晶配向規制処理の少なくとも1つが、前記配向層を形成する材料に化学反応を与え得る光を照射する処理であることを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶層その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方をとり得る液晶材料からなることを特徴とする請求項1又は2記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項4】
前記一対の基板の少なくとも一方に偏光板を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶層吸収二色性を有する色素分子を組成成分として含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項6】
前記一対の基板のどちらか一方の基板上に光反射板が配置されたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
【請求項7】
前記配向ドメインの、前記基板面に対して略水平な液晶配向規制方向が、画素中の複数の副画素領域(画素ドメイン)で異なることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に低消費電力、高精細のネマチック液晶を用いた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの携帯情報端末の表示装置としては、主にネマチック液晶を用いた液晶表示装置が、その低駆動電圧、低消費電力特性を生かして用いられており、近年の携帯情報端末の急速な普及に伴い、その生産量が拡大している。
同時にその表示機能も表示画素(文字)数の増加など、より高度な表示性能が要求されてきている。
【0003】
一方で、携帯機器としてバッテリーを電源とした連続使用時間を維持あるいは拡大しなければならないことから、上記の高精細化をはじめとする表示機能の高度化のみならず、低消費電力化も同時に達成する技術が必要とされている。
このような技術の一つとして、液晶表示装置に加える電圧を切った場合にも表示が保持される、いわゆる表示メモリー特性をもつ液晶表示装置を用いる技術が種々提案されている。メモリー特性を用いることにより、表示内容が変わらない場合には原理的には消費電力を0とすることができ、また、画素ごとに表示内容が変わった画素のみ電圧を印加して表示内容を変更することによっても消費電力を低減できる。
【0004】
さらに、従来のツイステッドネマチック(TN)方式あるいはスーパーツイステッドネマチック(STN)方式を単純マトリックス駆動する場合には、よく知られているようにデューティー比の制限から、表示可能な画素数に上限があるが、メモリー性を利用することにより、この画素数の制限をなくすことができ、高精細な表示が可能となる。
ネマチック液晶を用いて、このような表示メモリー性を実現する従来技術としては、えば、ネマチック液晶と微細なグレーティング加工処理を施した液晶配向層を組み合わせたもの(下記特許文献1参照)や、本願発明者らの発明にかかるネマチック液晶と複数の基板面内液晶配向規制方向を有するドメインをパターン状に配置したもの(下記特許文献2参照)などが提案されている。

【特許文献1】特表平11-513809号公報
【特許文献2】国際公開WO 02/06887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術において、ネマチック液晶と微細なグレーティング加工処理を施した液晶配向層を用いるものは、フレクソエレクトリック効果を用いてホメオトロピック(垂直)配向とハイブリッド配向の二状態間をスイッチングするものであるが、この二状態間のメモリー性を発現させるためには、上記の微細なグレーティング加工処理における表面形状や、表面における液晶配向アンカリング強度をある範囲内に精密に制御する必要がある等の問題点があり、広範な実用化はなされていない。
【0006】
また、ネマチック液晶と複数の基板面内液晶配向規制方向を有するドメインをパターン状に配置したものは、基板面内に略平行な電界(横電界)によりメモリー状態間のスイッチングを行うため、この横電界を発生させるために、いわゆるインプレーン・スイッチング方式で用いられているのと同様な櫛歯電極対が一組以上必要となり、複雑な電極形成工程が必要となる。
【0007】
以上のように、従来技術においては、ネマチック液晶を用いて、低消費電力・高精細化に有利な表示メモリー性を有する液晶表示装置を高い歩留まりで容易に作成することが困難であった。
本発明は、上記状況に鑑みて、高い歩留まりで容易に作製することができるメモリー性を有した低消費電力のネマチック液晶を用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明では、上記目的を達成するために、
〔1〕ネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、少なくとも一方が透明な一対の基板と、この一対の基板のそれぞれに形成され、少なくとも一方が透明な面電極層と、前記一対の基板間に配置され、前記面電極層に電圧を印加することにより電界が印加される液晶層と、この液晶層と前記一対の基板それぞれとの間に配置される、チェッカーボード状パターンを形成するサブミクロンから数ミクロン程度のサイズの複数の配向ドメインから成る配向層であって、前記チェッカーボード状パターンの単位小領域内で液晶配向方向が同一になるように、前記複数の配向ドメインの液晶配向規制方向を前記基板面に対して略垂直方向および略水平方向を含む複数の異なる方向とする液晶配向規制処理を施した配向層とを具備し、前記基板面に対して、チェッカーボード状パターン化された略垂直な液晶配向状態と略水平な液晶配向状態の2つの状態が、電界無印加時に共に安定であるメモリー性を有することを特徴とする。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記配向層を形成する材料が、光反応性を有する材料から成り、前記複数の異なる方向の液晶配向規制処理の少なくとも1つが、前記配向層を形成する材料に化学反応を与え得る光を照射する処理であることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記液晶層その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方をとり得る液晶材料からなることを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記一対の基板の少なくとも一方に偏光板を備えたことを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記液晶層吸収二色性を有する色素分子を組成成分として含有することを特徴とする。
【0011】
〔6〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕又は〔5〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記一対の基板のどちらか一方の基板上に光反射板が配置されたことを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕又は〔6〕記載のネマチック液晶を用いた液晶表示装置において、前記配向ドメインの、前記基板面に対して略水平な液晶配向規制方向が、画素中の複数の副画素領域(画素ドメイン)で異なることを特徴とする。
【0012】
すなわち、複雑な電極形成工程が必要となる櫛歯電極ではなく、一般的なTN方式と同様に単純な対向面電極を用いる。
この対向面電極による縦電界でスイッチングする複数のメモリー性液晶配向状態を実現するためには、まず、複数の異なる方向に液晶配向規制処理された配向ドメインから成る配向層を用いる。
【0013】
電圧が印加されておらず、液晶層に加わる電界が無い場合の液晶配向状態のエネルギーは、液晶層自身の弾性変形エネルギーと液晶層と基板表面の配向層の界面相互作用による配向規制エネルギーの和で表されることから、基板表面の複数の配向方向が共にエネルギー的に十分安定となるような基板表面を用いることによって、複数の液晶層の配向状態をメモリー性安定状態とすることができる。
【0014】
さらに、これらの複数の配向状態間を前記対向面電極による縦電界でスイッチング可能とするためには、前記配向ドメイン個々内の複数の液晶配向規制方向が、基板面に対して略垂直方向と、基板面に対して略水平方向を有するようにすればよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネマチック液晶を用いた表示メモリー性を備えた低消費電力のネマチック液晶を用いた液晶表示装置を高い歩留まりで容易に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のネマチック液晶を用いた液晶表示装置は、少なくとも一方が透明な一対の基板と、この一対の基板のそれぞれに形成され、少なくとも一方が透明な面電極層と、前記一対の基板間に配置され、前記面電極層に電圧を印加することにより電界が印加される液晶層と、この液晶層と前記一対の基板それぞれとの間に配置される、チェッカーボード状パターンを形成するサブミクロンから数ミクロン程度のサイズの複数の配向ドメインから成る配向層であって、前記チェッカーボード状パターンの単位小領域内で液晶配向方向が同一になるように、前記複数の配向ドメインの液晶配向規制方向を前記基板面に対して略垂直方向および略水平方向を含む複数の異なる方向とする液晶配向規制処理を施した配向層とを具備し、前記基板面に対して、チェッカーボード状パターン化された略垂直な液晶配向状態と略水平な液晶配向状態の2つの状態が、電界無印加時に共に安定であるメモリー性を有する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の基板上への配向層の形成状態を示す斜視図であり、下部基板に上部基板が対向した状態を示している。
図1において、1は基板(下部基板)、2はその基板1上に形成される面電極層、3はその面電極層2上に形成される配向層であり、この配向層3は、チェッカーボード状に複数の配向ドメインを有し、これらの配向ドメインのそれぞれにおいて、液晶配向規制方向が基板面に対して略垂直な配向ドメイン3Aあるいは、液晶配向規制方向が基板面に対して略水平な配向ドメイン3Bとなるように配向規制処理が施されている。
【0018】
上記したチェッカーボード状パターン中の配向ドメイン3A,3Bのサイズを、サブミクロンから数ミクロン程度の十分小さなサイズとすると、ネマチック液晶自身のもつ弾性体としての性質により、この配向層3による液晶配向はこの配向パターンに追従せず、ほぼ一様な配向状態となる。
略水平および略垂直方向の液晶配向規制力が等しく、またそれぞれの配向ドメイン3A,3Bの形状が同じ場合を考えると、上記したような配向層3による略一様な液晶表面配向は、略垂直と略水平がエネルギー的に等価に安定となると考えられる。
【0019】
このような配向層を有する基板をさらにもう一個用意し、双方の配向層側を対向させる。図1において、4は基板(上部基板)、5はその基板4上に形成される面電極層、6はその面電極層5上に形成される配向層であり、この配向層6には、液晶配向規制方向が基板面に対して略垂直な配向ドメイン6A及び液晶配向規制方向が基板面に対して略水平な配向ドメイン6Bがチェッカーボード状に形成されている。それらを対向させた配向層3,6間には、上記の配向ドメイン3A,3Bのサイズ(サブミクロンから数ミクロン程度)より大きな、例えば10ミクロン程度の間隙(ギャップ)を設けてセルとし、その基板1,4(配向層3,6)間にネマチック液晶を封入して液晶層7を有する液晶装置とする。
【0020】
上記基板1,4には、透明電極材料からなる面電極層2,5が形成されており、上記のようにして作製した液晶セルは、この対向する基板1,4のそれぞれに設けられた面電極層2,5間に電圧を印加することにより、液晶層7に縦方向の電界を印加可能である。
ここで、上記液晶層7の液晶材料として、その誘電異方性(Δε)の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方とり得る液晶材料を用いることにより、図2に示すように、液晶層7の配向状態を、上記したようなエネルギー的に等価安定な略垂直状態〔図2(a)〕と略水平状態〔図2(b)〕の2つの状態間でスイッチング可能にすることができる。
【0021】
上記の2状態間のスイッチング時に、電界印加による液晶配向の回転方向が異なるドメインが発生し、表示品質が低下するのを防ぐには、配向層3(および配向層6)における基板に対して略垂直な配向方向を、特定の一方向に例えば3度傾け、また同様に基板に対して略水平な配向方向を、特定の一方向に基板面から例えば3度起き上がったものとする、いわゆるプレチルト制御をすればよい。
【0022】
このような、チェッカーボード状の垂直・水平配向規制パターンを有する配向層3(および配向層6)を得るには、例えば光反応性を有する配向膜材料を用いればよい。
このような配向層材料として、例えばpoly [2- (4-phenylazophenyloxy) ethyl methacrylate] が知られている(参考文献1:Ichimura et al.,Appl.Phys.Lett,Vol.73,pp921-923)。このポリマーはスピンキャスト等により基板上に薄膜として形成した状態では垂直配向膜となるが、例えば、波長365nmの無偏光光を基板に対して斜め60度方向から十分な照射エネルギーで照射することにより、この斜め方向に配向規制方向をもつ(数度程度のプレチルト角を有する)水平配向膜となることが報告されている(上記参考文献1参照)。
【0023】
配向層3(あるいは配向層6)は、この光反応性ポリマーを基板1表面に薄膜形成し垂直配向膜とした後に、白・黒チェッカーボードパターンの白に対応する部分のみ光透過し、黒に対応する部分は光不透過のフォトマスクを用いて、波長365nmの無偏光光を基板に対して斜め60度方向から十分な照射エネルギーで照射することにより、配向層3のチェッカーボードパターンの白に相当する部分のみを、この斜め方向に配向規制方向をもつ(数度程度のプレチルト角を有する)水平配向膜とすればよい。
【0024】
このようにして、図2(a)に示すような略垂直な液晶配向状態と、図2(b)に示すような略水平な液晶配向状態の2つの状態が、電界無印加時に共に安定でメモリー性を有し、かつこれらの安定配向状態間のスイッチングが、対向する基板それぞれに設けられた対となる面電極層2,5間に電圧を印加することにより発生する縦電界により可能な液晶装置が得られる。
【0025】
この液晶装置を表示装置として作用させることは、例えばこの液晶装置を、図2に示すように二枚の偏光板8,9でその偏光透過軸を互いに直交させて挟み込むことにより可能である。この時、配向層3および6の略水平配向の配向規制方向を上記互いに直交する偏光透過軸の略中間方向(45度方向)とすることにより、複屈折効果によって図2(a)の略垂直配向状態で黒表示、図2(b)の略水平配向状態で白表示が可能となる。後者の略水平配向状態での白表示透過率を大きくするには、液晶材料の屈折率異方性(Δn)および液晶層厚みを調節して、液晶層のリタデーションが半波長板となるようにすればよい。
【0026】
また、液晶材料に吸収二色性を有する色素分子を組成成分として含有させることで、いわゆるゲスト・ホスト効果により表示装置とすることや、片側の基板の面電極層を反射板兼用の不透明電極層として反射型の表示装置とすることも可能である。
図3は本発明の第2実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の構成を示す図である。
【0027】
この図において、基板11、基板14として、厚みが1.1mmで表面を研磨した透明なガラス基板を2枚用いた。
基板11上には、面電極層12として、ITO(インジウムチタンオキサイド)からなる透明導電層を形成した。
次に、そのITO電極層12上に、配向層材料としてアゾベンゼン基を含有するpoly [2- (4-phenylazophenyloxy) ethyl methacrylate] を基板11表面に塗布・乾燥後、緻密な垂直配向層13を得た。
【0028】
ここで用いる感光性材料としては、上記に限定されず、同様の配向規制効果と以下のような紫外光照射による配向規制能の変化が得られるものであればどのような物を用いてもよい。
そのような感光性材料として、例えば日産化学工業株式会社製のポリイミド系配向膜材料であるRN-1338も本発明に適用可能である。この材料RN-1338は、上記のアゾベンゼン系材料と同様に、スピンキャスト等により基板上に薄膜として形成した状態では垂直配向膜となるが、例えば、波長250nmの直線偏光光を十分な照射エネルギーで照射することにより、照射直線偏光方向と直交する方向に配向規制方向をもつ水平配向膜となる。
【0029】
次に、中心波長365nmのバンドパスフィルターを備えた水銀キセノンランプを無偏光紫外光源とし、図1に示すような区切られたそれぞれの正方形の小領域の大きさが1μm角とした正方形のチェッカーボードパターンのフォトマスクを介し、基板面に対して斜め60度方向から0.2J/cm2 程度の照射光強度で光照射し、上記フォトマスクの透過部分のみ、上記斜め光照射方向面内に(5度程度のプレチルト角で)液晶配向規制方向を有する水平配向膜とした。
【0030】
なお、これらのパターン形状や照射光強度はあくまで一つの例であり、用いる感光性材料や、液晶材料の特性などに合わせて調整する。例えば、用いる配向膜材料によって、最終的に得られる垂直配向と水平配向の配向規制力に大きな違いがあれば、それらの違いに応じて上記チェッカーボードパターンの白・黒相当部分の面積を相対的に変化させ、結果として面積を乗じた配向規制力が垂直配向と水平配向それぞれほぼ等しくなるように調節することが好ましい。
【0031】
もう一方の基板14についても上記基板11とく同様にして面電極層15と配向層16を形成した。
次に、これらの2枚の基板11,14をそれぞれの液晶配向能を有する表面同士を相対向させて、分散させた球形のポリマビーズからなるスペーサと周辺部のシール剤とを介在させて、セルを組みたてた。
【0032】
次いで、この液晶セルの基板間に、メルク社製の液晶材料MLC-2048に、二色性色素17AとしてBDH社製のニュートラル色素材料D85E63を適当量混入した液晶組成物を真空で注入し液晶層17とし、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止して液晶パネルを得た。
上記の液晶組成物MLC-2048は、その誘電異方性(Δε)が低周波では正で、高周波では負となる2周波駆動用のネマチック組成物であり、そのクロスオーバー周波数は23kHzである。
【0033】
このとき液晶層の厚みは、上記のスペーサにより、液晶封入状態で10μmとなるように調整した。
次に、この光源側基板11に偏光板18(日東電工社製G1220DU)を、その偏光透過軸上記の基板11の水平配向規制方向と平行になるようにして貼った。
その後、2周波駆動可能な駆動回路、光源としてバックライトなどを接続し、液晶表示装置を得た。
【0034】
この第2実施例のネマチック液晶を用いた液晶表示装置の駆動電圧波形と電気光学特性を図4を用いて説明する。
図4(a)において、Trは駆動に伴う液晶表示装置の透過率の変化を表す。図4(b)において、Vは、ITO電極12および15間に加えられる駆動電圧波形を示している。
【0035】
これらの図に示されるように、この実施例に示す液晶表示装置は、選択的に駆動交流電圧周波数を変えることにより、二色性色素17Aによるゲスト・ホスト効果で、明状態〔図2(a)参照〕、暗状態〔図2(b)参照〕に対応する液晶層内の液晶配向状態間のスイッチングが可能であった。
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0036】
上記の第2実施例において、図5に示すように、基板21、面電極層22、配向層23に対向した基板24の面電極層を光反射板を兼ねた光反射板兼面電極層25とし、さらに基板24上の配向層26の形成において、紫外光の斜め照射をく行わず、単に塗布・乾燥したのみとした以外は第2実施例と同様にして反射型の液晶表示装置を作製し、第3実施例とした。
【0037】
この第3実施例の場合は、配向層26は紫外光照射されていないため、一様な垂直配向層として作用する。
この実施例の二つの安定なメモリ配向状態と、その間のスイッチングの模式図を図6に示す。この図に示すように、配向層26が垂直配向層であるため、二つの安定なメモリ配向状態は、図6(a)に示す垂直配向状態と、図6(b)に示すいわゆるハイブリット配向状態となる。
【0038】
後者のハイブリット配向状態における二色性色素27Aによる光吸収は第2実施例の水平配向状態〔図2(b)参照〕に比べ約半分となるが、この第3実施例では反射型構成となっており、光は液晶装置に入射し反射・出射する際に液晶層27を2回通るため、トータルの光吸収(したがってコントラストも)は第2実施例とほぼ同じとなる。
したがって、この第3実施例の電気光学特性は第2実施例の図4とほぼ同様であった。
【0039】
この第3実施例では、紫外光の斜め照射が基板21側の配向層23のみで済むため、液晶表示装置の作製の工程が低減できる。
また、この第3実施例では、配向層23の配向ドメインの基板面に対して略水平な液晶配向規制方向を、画素中の複数の副画素領域(画素ドメイン)で異なる複数の方向とし、いわゆるマルチドメイン画素構成とすることにより、視角特性を改善することが可能である。上記の画素ドメインは、例えば画素を二分割構成とする場合には、一つの画素ドメイン元々の画素(通常一辺が数十μm~百十μm程度)の1/2の大きさであり、この大きな画素ドメイン中に、約1μm四方程度のサイズの配向ドメインが多数含まれるものである。
【0040】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨にもとづいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
例えば、上記実施例では液晶材料に添加する二色性色素として吸収分光特性がほぼニュートラル(黒色素)の材料を用いたが、この吸収分光特性を調節してカラー表示を行うことも可能である。
【0041】
また、第2実施例に示した液晶表示装置を、2つ(片方を相対的に90度回転させて)積層することにより、偏光板をまったく用いない構成にすること等も可能である。
さらに、各画素に薄膜トランジスタ等の能動素子を設けた液晶表示装置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の液晶表示装置は、高い歩留まりで容易に作製することができる、メモリー性を有した低消費電力のネマチック液晶を用いた液晶表示装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の基板上の配向処理を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の二つの安定な液晶配向状態の模式図とその間のスイッチングを示す図である。
【図3】本発明の第2実施例のネマチック液晶を用いた液晶表示装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の駆動電圧波形と電気光学特性を示す図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す液晶表示装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第3実施例を示すネマチック液晶を用いた液晶表示装置の駆動電圧波形と電気光学特性を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5