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明細書 :アセチレン化合物の水和反応によるケト酸類、アミノ酸類の合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4878600号 (P4878600)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発行日 平成24年2月15日(2012.2.15)
発明の名称または考案の名称 アセチレン化合物の水和反応によるケト酸類、アミノ酸類の合成方法
国際特許分類 C07C  51/373       (2006.01)
C07C  59/185       (2006.01)
C07C  59/19        (2006.01)
C07C  59/195       (2006.01)
C07C 227/06        (2006.01)
C07C 229/08        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 51/373
C07C 59/185
C07C 59/19
C07C 59/195
C07C 227/06
C07C 229/08
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 44
出願番号 特願2007-535523 (P2007-535523)
出願日 平成18年9月13日(2006.9.13)
国際出願番号 PCT/JP2006/318199
国際公開番号 WO2007/032409
国際公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
優先権出願番号 2005267461
優先日 平成17年9月14日(2005.9.14)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年1月28日(2008.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小江 誠司
【氏名】福住 俊一
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】井上 千弥子
参考文献・文献 Kazuhide Tani et al.,Reductive dimerization of dialkyl acetylenedicarboxylate catalyzed by [Rh(binap)(MeOH)2]ClO4 in methanol,Journal of Organometallic Chemistry,1998年,560,253-255
Mauro Bassetti et al.,Metalation of Alkynes. 4. The Methoxymercuration Reaction,Journal of Organic Chemistry,1989年,54,5934-5938
Seiji Ogo et al.,pH-Selective Synthesis and Structures of Alkynyl, Acyl, and Ketonyl Intermediates in Anti-Markovnikov and Markovnikov Hydrations of a Terminal Alkyne with a Water-Soluble Iridium Aqua Complex in Water,Journal of American Chemical Society,2004年,126,16520-16527
調査した分野 C07C 51/373
C07C 59/185-59/225
C07C 59/347
C07C 59/84
C07C 67/313
C07C 69/716-69/72
C07C 227/04-227/10
C07C 229/08-229/16
B01J 27/053,27/13,31/22
C07B 61/00
CA/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
JST7580(JDreamII)
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表される金属塩、下記一般式(2)で表される遷移金属錯体、下記一般式(3)で表される遷移金属錯体、および下記一般式(8)で表される遷移金属錯体からなる群から選択される少なくとも一つ以上の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行うことを特徴とするケト酸類の合成方法:
一般式(1)
【化1】
JP0004878600B2_000022t.gif
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(2)
【化2】
JP0004878600B2_000023t.gif
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(3)
【化3】
JP0004878600B2_000024t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、X1、X2は含窒素配位子を表し、X3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。X1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(8)
【化4】
JP0004878600B2_000025t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、Mは周期律表第8族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)。
【請求項2】
上記金属塩は、一般式(1)において、M1がRu、Rh、またはIrであることを特徴とする請求項1に記載のケト酸類の合成方法。
【請求項3】
上記遷移金属錯体は、一般式(2)において、M2がRuまたはRhであることを特徴とする請求項1に記載のケト酸類の合成方法。
【請求項4】
反応に不活性な有機溶媒存在下において、上記水和を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のケト酸類の合成方法。
【請求項5】
一般式(1)
【化5】
JP0004878600B2_000026t.gif
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン分子、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される金属塩存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(3)
【化6】
JP0004878600B2_000027t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、配位子であるX1、X2は含窒素配位子を表し、配位子であるX3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。配位子であるX1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体と、水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
【請求項6】
一般式(2)
【化7】
JP0004878600B2_000028t.gif
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を示す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(3)
【化8】
JP0004878600B2_000029t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、配位子であるX1、X2は含窒素配位子を表し、配位子であるX3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。配位子であるX1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体と、窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
【請求項7】
下記一般式(2)で表される遷移金属錯体、下記一般式(3)で表される遷移金属錯体、および下記一般式(8)で表される遷移金属錯体からなる群から選択される少なくとも一つ以上の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、水素および窒素原子供与体を添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法:
一般式(2)
【化9】
JP0004878600B2_000030t.gif
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を示す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(3)
【化10】
JP0004878600B2_000031t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、X1、X2は含窒素配位子を表し、X3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。X1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(8)
【化11】
JP0004878600B2_000032t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、Mは周期律表第8族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)。
【請求項8】
一般式(1)
【化12】
JP0004878600B2_000033t.gif
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン分子、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される金属塩存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(4)
【化13】
JP0004878600B2_000034t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、
および一般式(5)
【化14】
JP0004878600B2_000035t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)
で表される有機配位子と、水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属塩または遷移金属錯体の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行うことを特徴とするケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体を含む)の合成方法に関する。
【0002】
また本発明は、アセチレンカルボン酸類の水和反応と、ケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体を含む)の還元的アミノ化反応とを連続的に行うことによる、同一容器内(ワンポット合成、またはタンデム合成)において、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
これまでに、アセチレン化合物の水和反応は数多く報告されている(例えば非特許文献1~3参照)。しかし、上記水和反応では、人体および環境に有害な水銀触媒を主に用いて反応を行っている。また、これまでにアセチレン化合物からケト酸およびケト酸誘導体(ケト酸エステル等)を合成した報告例はない。
〔非特許文献1〕
R. C. Larock et al ''In Comprehensive Organic Synthesis,'' 4巻、269項、1991年
〔非特許文献2〕
J. March. ''Advanced Organic Chemistry,'' 762項 1991年
〔非特許文献3〕
M. Beller et al. Angew. Chem. Int. Ed. 43卷、3368項、2004年
本発明は、有害な水銀触媒を使用しない温和な条件で、アセチレン化合物の水和反応を行うことによってケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体を含む)を合成する方法を提供することを目的としている。また本発明は、
アセチレンカルボン酸類の水和反応と、ケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体を含む)の還元的アミノ化反応とを連続的に行うことによる、同一容器内(ワンポット合成、またはタンデム合成)において、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成する方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果本発明を完成させるに至った。
【0005】
すなわち、本発明上記課題を解決するために、以下の発明を包含する。
【0006】
(a)下記一般式(1)で表される金属塩、下記一般式(2)で表される遷移金属錯体、下記一般式(3)で表される遷移金属錯体、および下記一般式(8)で表される遷移金属錯体からなる群から選択される少なくとも一つ以上の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行うことを特徴とするケト酸類の合成方法:
一般式(1)
【0007】
【化1】
JP0004878600B2_000002t.gif

【0008】
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(2)
【0009】
【化2】
JP0004878600B2_000003t.gif

【0010】
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(3)
【0011】
【化3】
JP0004878600B2_000004t.gif

【0012】
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、X1、X2は含窒素配位子を表し、X3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。X1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(8)
【0013】
【化4】
JP0004878600B2_000005t.gif

【0014】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、Mは周期律表第8族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)。
【0015】
(b)上記金属塩は、一般式(1)において、M1がRu、Rh、またはIrであることを特徴とする請求項1に記載のケト酸類の合成方法。
【0016】
(c)上記遷移金属錯体は、一般式(2)において、M2がRuまたはRhであることを特徴とする(a)に記載のケト酸類の合成方法。
【0017】
(d)反応に不活性な有機溶媒存在下において、上記水和を行うことを特徴とする(a)ないし(c)のいずれかに記載のケト酸類の合成方法。
【0018】
(e)一般式(1)
【0019】
【化5】
JP0004878600B2_000006t.gif

【0020】
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン分子、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される金属塩存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(3)
【0021】
【化6】
JP0004878600B2_000007t.gif

【0022】
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、配位子であるX1、X2は含窒素配位子を表し、配位子であるX3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。配位子であるX1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体と、水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
【0023】
(f)一般式(2)
【0024】
【化7】
JP0004878600B2_000008t.gif

【0025】
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を示す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(3)
【0026】
【化8】
JP0004878600B2_000009t.gif

【0027】
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、配位子であるX1、X2は含窒素配位子を表し、配位子であるX3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。配位子であるX1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される遷移金属錯体と、水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
【0028】
(g)下記一般式(2)で表される遷移金属錯体、下記一般式(3)で表される遷移金属錯体、および下記一般式(8)で表される遷移金属錯体からなる群から選択される少なくとも一つ以上の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、水素および窒素原子供与体を添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法:
一般式(2)
【0029】
【化9】
JP0004878600B2_000010t.gif

【0030】
(式中、R1、およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M2は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1およびX2はH2O、ハロゲン、溶媒分子、または含窒素配位子を表し、配位子であるX3はハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を示す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(3)
【0031】
【化10】
JP0004878600B2_000011t.gif

【0032】
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、M3は周期表第8族または9族元素を表し、X1、X2は含窒素配位子を表し、X3は水素原子、カルボン酸残基またはH2Oを表す。X1、X2はお互いに結合を形成していても良い。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。);
一般式(8)
【0033】
【化11】
JP0004878600B2_000012t.gif

【0034】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表し、Mは周期律表第8族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表しk×m=L×nの関係が成り立つ。)。
【0035】
(h)
一般式(1)
【0036】
【化12】
JP0004878600B2_000013t.gif

【0037】
(式中、M1は周期表第8族、9族、または10族元素を表し、配位子であるX1、X2、X3は、ハロゲン分子、H2Oまたは溶媒分子を表す。kはカチオン種の価数を表し、Yはアニオン種、Lはアニオン種の価数を表す。ここでkおよびLはそれぞれ独立に1または2を表し、k×m=L×nの関係が成り立つ。)
で表される金属塩存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、
さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、
一般式(4)
【0038】
【化13】
JP0004878600B2_000014t.gif

【0039】
(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表す。)、
および一般式(5)
【0040】
【化14】
JP0004878600B2_000015t.gif

【0041】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表す。)
で表される有機配位子と、窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、アミノ酸類の合成方法。
【0042】
本発明の金属塩および遷移金属錯体を用いる水和反応は、非常に危険な水銀触媒を用いることなく、温和な条件でアセチレンカルボン酸類からケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体)を合成できるため、環境調和型物質変換反応として非常に有用である。さらに本発明によれば、合成したケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体)から同一容器内で連続的に還元的アミノ化反応を行うことで簡便にアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成できる。このように、医学や生化学的に極めて重要なアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を簡便に合成できることは新技術の創成という意味でもその価値は測り知れない。
【0043】
またアセチレンカルボン酸類からアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成し得るということは、すなわち石炭を原料としてアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成することができるということである。アミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)の合成においては現在石油を原料として行なわれているが、本発明によれば枯渇が懸念されている石油資源を利用することなく、アミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)の合成を行うことができるという効果が得られる。
【0044】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1(a)】実施例および比較例において、種々の金属塩または遷移金属錯体の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和反応を行って、α-ケト酸類(α-ケト酸およびα-ケト酸誘導体を含む)を合成した場合の反応式を示す図である。
【図1(b)】実施例および比較例において、種々の金属塩または遷移金属錯体の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和反応を行って、β-ケト酸類(β-ケト酸およびβ-ケト酸誘導体を含む)を合成した場合の反応式を示す図である。
【図2(a)】参考例において、遷移金属錯体の存在下において、α-ケト酸類(α-ケト酸およびα-ケト酸誘導体を含む)の還元的アミノ化反応を行って、アミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成した場合の反応式を示す図である。
【図2(b)】参考例において、遷移金属錯体の存在下において、β-ケト酸類(β-ケト酸およびβ-ケト酸誘導体を含む)の還元的アミノ化反応を行って、アミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)を合成した場合の反応式を示す図である。
【図3(a)】実施例において、アセチレンカルボン酸類を初発基質として、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)をワンポットで合成した場合の反応式を示す図である。
【図3(b)】実施例において、アセチレンカルボン酸類を初発基質として、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)をワンポットで合成した場合の反応式を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
まず、本発明において使用する金属塩(遷移金属塩)、遷移金属錯体について説明する。
【0048】
<一般式(1)で表される金属塩>
一般式(1)で表される金属塩において、M1は周期表の第8族、9族、または10族元素に属する遷移金属元素であれば特に限定されるもではないが、ルテニウム(以下、適宜「Ru」と表記する)、ロジウム(以下、適宜「Rh」と表記する)、イリジウム(以下、適宜「Ir」と表記する)等が好ましい。
【0049】
またX1、X2、X3の配位子としては、H2O、およびハロゲン等が挙げられる。また上記以外の溶媒分子が挙げられる。上記「溶媒分子」としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0050】
Yのアニオン種としては、ギ酸、酢酸のごときカルボン酸イオン、硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、トリフラートイオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、チオシアン酸イオン等が挙げられる。
【0051】
ここで、一般式(1)で表される金属塩の具体例としては、例えば、三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、および三塩化イリジウムが挙げられる。上記金属塩は無水物であっても水和物(例えば三水和物等)であってもよい。上記金属塩は、市販品を購入の上使用すればよい。例えば、三塩化ルテニウムおよび三塩化イリジウムは田中貴金属株式会社から入手可能であり、三塩化ロジウムはフルヤ金属株式会社から入手可能である。
【0052】
<一般式(2)で表される遷移金属錯体>
一般式(2)で表される遷移金属錯体において、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表している。上記低級アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。
【0053】
また当該遷移金属錯体において、M2は周期表第8族、9族または10族元素に属する遷移金属元素であれば特に限定されるもではないが、Ru、Rh、Pd(「パラジウム」)等が好ましい。
【0054】
またX1またはX2の配位子としては、H2O、ハロゲン、溶媒分子および含窒素配位子等が挙げられる。上記「含窒素配位子」としては、ピロール、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、アセトニトリル、アンモニア、アニリン、1,2-エタンジアミン、1,2-ジフェニル-1,2-エタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン等が挙げられるが、より好ましくは2座配位子、さらには2,2’-ビピリジンもしくはその誘導体が好ましい。上記「溶媒分子」としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが挙げられる。またX3の配位子は、上記「一般式(1)で表される金属塩」と同様である。
【0055】
またYについても、上記「一般式(1)で表される金属塩」と同様である。
【0056】
ここで、一般式(2)で表される遷移金属錯体の具体例としては、例えば、ジ[トリアクア{2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3硝酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3過塩素酸塩、トリアクア[2,6-ジ(メチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(エチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(イソプロピルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(t-ブチルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ロジウム(III)3テトラフルオロホウ酸塩、等が挙げられる。
【0057】
本発明の一般式(2)で表される遷移金属錯体は、例えば、次の製造方法に従って製造することができる。ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩は、トリクロロ[2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン]ルテニウム(III)をpH3.8の水の存在下、硫酸塩を作用させることによって得られる。反応温度は、通常、-40~200℃で行われるが、好ましくは-20~100℃付近で反応を行う。反応時間は反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常、数時間から30時間程度で反応は完結する。
【0058】
なお、一般式(2)で表される遷移金属錯体の「N」が「C」で置換された遷移金属錯体、および「S」が「N」または「P」で置換された遷移金属錯体であっても、本発明の方法に適用可能である。さらに、一般式(2)で表される遷移金属錯体の「N」が「C」で置換され、かつ、「S」が「N」または「P」で置換された遷移金属錯体であっても、本発明の方法に適用可能である。
【0059】
<一般式(3)で表される遷移金属錯体>
一般式(3)で表される遷移金属錯体において、R1、R2、R3、R4およびR5の低級アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。
【0060】
また一般式(3)で表される遷移金属錯体におけるMの周期表第8族または9族元素としては、Cp環(シクロペンタジエニル環)に配位可能な元素であればよく、好適にはRh、Ru、Ir等が挙げられる。
【0061】
また一般式(3)で表される遷移金属錯体における配位子X1、X2の含窒素配位子としては、ピロール、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、アセトニトリル、アンモニア、アニリン、1,2-エタンジアミン、1,2-ジフェニル-1,2-エタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン等が挙げられるが、より好ましくは2座配位子、さらには2,2’-ビピリジンもしくはその誘導体が好ましい。また一般式(3)で表される遷移金属錯体における配位子Xは水素原子、カルボン酸残基、またはHOである。ここで「カルボン酸残基」とはカルボン酸を有する配位子のことである。
【0062】
また、Yのアニオン種としては、ギ酸、酢酸のごときカルボン酸イオン、硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、トリフラートイオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、チオシアン酸イオン等が挙げられる。
【0063】
ここで、一般式(3)で表される遷移金属錯体の具体例としては、例えば、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)硫酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)2硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)2硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)2硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]鉄(II)硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ルテニウム(II)硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]オスミウム(II)硝酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)ビストリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)ビストリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)ビストリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]鉄(II)トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ルテニウム(II)トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]オスミウム(II)トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)2過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)2過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)2過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]鉄(II)過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ルテニウム(II)過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]オスミウム(II)過塩素酸塩、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)ビス(テトラフルオロボレート)、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ロジウム(III)ビス(テトラフルオロボレート)、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]イリジウム(III)ビス(テトラフルオロボレート)、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]鉄(II)テトラフルオロボレート、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ルテニウム(II)テトラフルオロボレート、トリアクア[(1,2,3,4,5-η)-1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]オスミウム(II)テトラフルオロボレート、アクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]ビスピリジンコバルト(III)2過塩素酸塩、アクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] ビスピリジンロジウム(III)2過塩素酸塩、アクア[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] ビスピリジンイリジウム(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン)[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン) [(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] ロジウム(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン) [(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] イリジウム(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン)[(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]コバルト(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン) [(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] ロジウム(III)2過塩素酸塩、アクア(2,2’-ビピリジン) [(1,2,3,4,5-η)-2,4-シクロペンタジエン-1-イル] ロジウム(III)2過塩素酸塩等が挙げられる。
【0064】
本発明の一般式(3)で表される遷移金属錯体は、例えば、次の製造方法に従って製造することができる。(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体は、(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)トリアクア錯体をpH3.8の水の存在下、2,2’-ビピリジンを作用させることによって得られる。反応温度は、通常、-40~200℃で行われるが、好ましくは-20~100℃付近で反応を行う。反応時間は反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常、数時間から30時間程度で反応は完結する。
【0065】
<一般式(8)で表される遷移金属錯体>
一般式(8)で表される有機金属錯体において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0066】
また、Mの周期律表第8族元素としては、ベンゼン環に配位可能な元素であればよく、好適にはRuが挙げられる。
【0067】
またX1、X2、X3の配位子としては、H2O、ハロゲン、溶媒分子等が挙げられる。上記「溶媒分子」としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが挙げられる。なお一般式(8)におけるX1、X2、X3の配位子としては、全てH2Oであることが好ましい。
【0068】
Yのアニオン種としては、蟻酸、酢酸のごときカルボン酸イオン、硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、トリフラートイオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、チオシアン酸イオン等が挙げられる。
【0069】
一般式(8)で示される有機金属錯体の具体例としては、例えば、
トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)2ヘキサフルオロリン酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)2テトラフルオロホウ酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)2蟻酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)2ヘキサフルオロリン酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)2蟻酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)2テトラフルオロホウ酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)ヘキサフルオロリン酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)テトラフルオロホウ酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)蟻酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)ヘキサフルオロリン酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩、
アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)蟻酸塩、アクア-2,2’-ビピリジル-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)テトラフルオロホウ酸塩等が挙げられ、好ましくはトリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩、トリアクア-[(1,2,3,4,5,6-η6)-シメン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸塩等が挙げられる。
【0070】
本発明の一般式(8)で示される有機金属錯体は、例えば、次の製造方法に従って製造することができる。すなわち、トリアクア- [(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)硫酸は、[(1,2,3,4,5,6-η6)-ヘキサメチルベンゼン-1-イル]ルテニウム(II)三塩化物をpH3.8の水の存在下、硫酸塩を作用させることによって得られる。
【0071】
<アセチレンカルボン酸類の水和反応>
本発明の一態様は、一般式(1)で表される金属塩(以下、適宜「金属塩1」という)、一般式(2)で表される遷移金属錯体(以下、適宜「遷移金属錯体2」という)、一般式(3)で表される遷移金属錯体(以下、「遷移金属錯体3」という)、および一般式(8)で表される遷移金属錯体(以下、適宜「遷移金属錯体4」という)からなる群から選択される少なくとも一つ以上の化合物の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行うことを特徴とするケト酸類(ケト酸およびケト酸誘導体を含む)の合成方法である。上記方法によれば、アセチレンカルボン酸類の水和反応を温和な条件下で効率的に行うことができる。以下の記載において、ケト酸およびケト酸誘導体を含む化合物のことを「ケト酸類」と称する。上記「ケト酸誘導体」としては特に限定されるものではないが、例えばケト酸エステルが含まれる。
【0072】
本発明における水和反応に用いるアセチレンカルボン酸類は、一般式(6)
1CCCOOR2 ・・・(6)
(式中R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、または置換されていてもよい炭素数1~10のアリールオキシカルボニル基を表す。)
で表されるカルボニル化合物が挙げられる。
【0073】
上記一般式(6)で表されるアセチレンカルボン酸類のRまたはRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、等が挙げられる。
【0074】
ここで、一般式(6)で表されるアセチルカルボン酸類の具体例としては、例えば、プロピオル酸、プロピオル酸メチル、プロピオル酸エチル、プロピオル酸イソプロピル、プロピオル酸t-ブチル、アセチレンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸ジメチル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、アセチレンジカルボン酸ジイソプロピル、アセチレンジカルボン酸ジt-ブチル、2-ブチン酸、2-ブチン酸メチル、2-ブチン酸エチル、2-ブチン酸イソプロピル、2-ブチン酸t-ブチル、2-ペンチン酸、2-ペンチン酸メチル、2-ペンチン酸エチル、2-ペンチン酸イソプロピル、2-ペンチン酸t-ブチル、2-ヘキシン酸、2-ヘキシン酸メチル、2-ヘキシン酸エチル、2-ヘキシン酸イソプロピル、2-ヘキシン酸t-ブチル、2-ヘプチン酸、2-ヘプチン酸メチル、2-ヘプチン酸エチル、2-ヘプチン酸イソプロピル、2-ヘプチン酸t-ブチル、2-オクチン酸、2-オクチン酸メチル、2-オクチン酸エチル、2-オクチン酸イソプロピル、2-オクチン酸t-ブチル、2-ノニン酸、2-ノニン酸メチル、2-ノニン酸エチル、2-ノニン酸イソプロピル、2-ノニン酸t-ブチル、フェニルプロピオール酸、フェニルプロピオール酸メチル、フェニルプロピオール酸エチル、フェニルプロピオール酸イソプロピル、フェニルプロピオール酸t-ブチル、等が挙げられる。
【0075】
本発明の一般式(6)で表されるアセチルカルボン酸類は、適宜市販品を購入の上、利用すればよい。例えば、上記アセチレンカルボン酸類は、ナカライテスク株式会社、東京化成工業株式会社、あるいはシグマアルドリッチ・ジャパン株式会社から入手可能である。
【0076】
本発明における水和反応によって、上記一般式(6)で表されるアセチレンカルボン酸類に対応するケト酸およびケト酸誘導体が得られる。
【0077】
本発明の水和反応に用いられる金属塩1、遷移金属錯体2、遷移金属錯体3、および遷移金属錯体4の使用量は、特に限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。通常、反応基質であるアセチレンカルボン酸類に対するモル比で、1~1/100,000程度の範囲であり、好ましくは1/50~1/10,000程度の範囲で上記水和反応を行えばよい。
【0078】
本発明における水和反応は、基質に対して溶解する有機溶媒の存在下、または非存在下において行われる。上記「基質に対して溶解する有機溶媒」とは、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、それらの混合物が挙げられる。基本的には有機溶媒を非存在下の方が触媒活性、生成物の選択性が良いが、場合によっては基質に対して溶解する有機溶媒の存在下において水和反応を行うことによって、反応を促進させるという効果が得られる。
【0079】
本発明における水和反応を行う際のpHは、特に限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。ただし金属塩1、遷移金属錯体2、遷移金属錯体3、および遷移金属錯体4が水中で安定に存在できるとの理由によれば、本発明における水和反応を行う際のpHはpH1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
【0080】
本発明における水和反応は、通常、-90~200℃で行われるが、好ましくは20~100℃、さらに好ましくは80℃~100℃で反応を行われる。反応温度についても、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。
【0081】
また反応時間は、反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常、数時間から30時間程度で反応は完結する。
【0082】
本発明における水和反応終了後の目的物の単離方法、および精製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いて行うことができる。例えば、水和反応終了後、溶媒および未反応原料を留去し、必要に応じて水洗および蒸留すればよい。また、触媒として用いた金属塩または遷移金属錯体は、上記の水洗、蒸留および吸着等の操作によって除去することができる。また、触媒としての金属塩または遷移金属錯体を、シリカゲルや活性白土等の適当な担体に担持させて水和反応を行い、反応終了後に担体に固定化した金属塩や遷移金属錯体を、濾過により除去することも可能である。また、回収した金属塩や遷移金属錯体は再利用することができる。
【0083】
<ケト酸類の還元的アミノ化反応>
本発明にかかるアミノ酸類(アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む)の合成方法(以下、適宜「本発明のアミノ酸類合成方法」という)には、遷移金属錯体3と、水素および窒素原子供与体との存在下において、ケト酸類の還元的アミノ化反応を行う工程が含まれる場合がある。なお以下の記載において、アミノ酸およびアミノ酸誘導体を含む化合物のことを「アミノ酸類」と称する。上記「アミノ酸誘導体」としては、アミノ酸エステル、およびアミノ基がアルキル化されたN-アルキルアミノ酸が挙げられる。
【0084】
還元的アミノ化反応に用いられるケト酸類に関しては、
一般式(7)
1COCOOR2 ・・・(7)
(式中R、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシカルボニル基または置換されていてもよい炭素数1~10のアリールオキシカルボニル基を表す。)
で表されるケト酸類が挙げられる。
【0085】
上記一般式(7)で表されるケト酸類のRまたはRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0086】
ここで、一般式(7)で表されるケト酸誘導体の具体例としては、例えば、ピルビン酸、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸t-ブチル、ピルビン酸フェニル、2-オキソブタン酸、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、2-オキソブタン酸イソプロピル、2-オキソブタン酸t-ブチル、3-メチル-2-オキソブタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸メチル、3-メチル-2-オキソブタン酸エチル、3-メチル-2-オキソブタン酸イソプロピル、3-メチル-2-オキソブタン酸t-ブチル、2-オキソペンタン酸、2-オキソペンタン酸メチル、2-オキソペンタン酸エチル、2-オキソペンタン酸イソプロピル、2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソペンタン酸メチル、3-メチル-2-オキソペンタン酸エチル、3-メチル-2-オキソペンタン酸イソプロピル、3-メチル-2-オキソペンタン酸t-ブチル、4-メチル-2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸メチル、4-メチル-2-オキソペンタン酸エチル、4-メチル-2-オキソペンタン酸イソプロピル、4-メチル-2-オキソペンタン酸t-ブチル、2-オキソヘキサン酸、2-オキソヘキサン酸、2-オキソヘキサン酸メチル、2-オキソヘキサン酸エチル、2-オキソヘキサン酸イソプロピル、2-オキソヘキサン酸t-ブチル、2-オキソオクタン酸、2-オキソオクタン酸メチル、2-オキソオクタン酸エチル、2-オキソオクタン酸イソプロピル、2-オキソオクタン酸t-ブチル、フェニルピルビン酸、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸エチル、フェニルピルビン酸イソプロピル、フェニルピルビン酸t-ブチル、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸イソプロピル、グリオキシル酸t-ブチル、フェニルグリオキシル酸、フェニルグリオキシル酸メチル、フェニルグリオキシル酸エチル、フェニルグリオキシル酸イソプロピル、フェニルグリオキシル酸t-ブチル、2-オキソグルタル酸、等が挙げられる。
【0087】
本発明の一般式(7)で表されるケト酸類は、例えば、ヒドロキシ酸のアルコール部位(ヒドロキシル基)の酸化を行うことにより得られる。
【0088】
本発明のアミノ酸合成方法における還元的アミノ化反応によって、上記一般式(7)で表されるケト酸類に対応するアミノ酸類が得られる。
【0089】
本発明のアミノ酸類合成方法における還元的アミノ化反応に用いられる、「水素および窒素原子供与体」としては、ケト酸誘導体に水素原子および窒素原子を供与することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ギ酸アンモニウムまたはその塩、アンモニア、N-アルキルアミン類(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-t-ブチルアミン等)、等が挙げられる。
【0090】
本発明のアミノ酸類合成方法における還元的アミノ化反応に用いられる、遷移金属錯体3の使用量は特に限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。通常、反応基質であるケト酸類に対するモル比で、1~1/100,000程度の範囲であり、好ましくは1/50~1/10,000程度の範囲で上記水和反応を行えばよい。
【0091】
本発明における還元的アミノ化反応は、基質に対して溶解する有機溶媒の存在下、または非存在下において行われる。上記「基質に対して溶解する有機溶媒」とは、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、それらの混合物が挙げられる。基本的には有機溶媒を非存在下の方が触媒活性、生成物の選択性が良いが、場合によっては基質に対して溶解する有機溶媒を用いて水和反応を行い、反応を促進させるという効果が得られる。
【0092】
本発明のアミノ酸類合成方法における還元的アミノ化反応におけるpHは、特に限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上、採用すればよい。ただし、遷移金属錯体3とギ酸イオンとの反応から生成するヒドリド錯体が、上記pHの範囲(特にpH4.5~7)で安定であるとの理由から、還元的アミノ化反応におけるpHは1~10であることが好ましく、より好ましくは3~7、さらに好ましくは4.5~7である。なお、ヒドリド錯体は還元的アミノ化反応の触媒活性種である。
【0093】
また本発明のアミノ酸類合成方法における還元的アミノ化反応は、通常、0~200℃で行われるが、好ましくは60~80℃付近で反応を行うことができる。反応温度についても、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。
【0094】
また反応時間は反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常、数時間から30時間程度で反応は完結する。
【0095】
本発明における還元的アミノ化反応終了後の目的物の単離方法、および精製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いて行うことができる。例えば、還元的アミノ化反応終了後、溶媒および未反応原料を留去し、必要に応じて水洗および蒸留すればよい。また、触媒として用いた遷移金属錯体は、上記の水洗、蒸留および吸着等の操作によって除去することができる。また、触媒としての遷移金属錯体を、シリカゲルや活性白土等の適当な担体に担持させて還元的アミノ化反応を行い、反応終了後に担体に固定化した遷移金属錯体を、濾過により除去することも可能である。また、回収した遷移金属錯体を再利用することができる。
【0096】
<同一反応容器内で触媒を用いてアセチレンカルボン酸類からアミノ酸類を合成する方法(ワンポット合成法)>
本発明にかかるアミノ酸類の合成方法の一実施形態は、既述の金属塩1、遷移金属錯体2、遷移金属錯体3、および遷移金属錯体4からなる群から選択される少なくとも一つ以上の化合物の存在下において、一般式(6)で表されるアセチレンカルボン酸類の水和を行い、さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、既述の遷移金属錯体触媒3と、既述の水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴としている。すなわち、本発明にかかるアミノ酸類の合成方法の一実施形態は、同一反応容器内で既述の「アセチレンカルボン酸類の水和反応」および「ケト酸類の還元的アミノ化反応」を連続的に行い、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類を合成する方法である。
【0097】
上記一般式(6)で表されるアセチレンカルボン酸類のRまたはRのアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、等が挙げられ、これらの基質を用いてアセチレンカルボン酸類からアミノ酸類への連続反応を行う。
【0098】
ここで、連続反応で用いるアセチルカルボン酸類の具体例としては、例えば、プロピオル酸、プロピオル酸メチル、プロピオル酸エチル、プロピオル酸イソプロピル、プロピオル酸t-ブチル、アセチレンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸ジメチル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、アセチレンジカルボン酸ジイソプロピル、アセチレンジカルボン酸ジt-ブチル、2-ブチン酸、2-ブチン酸メチル、2-ブチン酸エチル、2-ブチン酸イソプロピル、2-ブチン酸t-ブチル、2-ペンチン酸、2-ペンチン酸メチル、2-ペンチン酸エチル、2-ペンチン酸イソプロピル、2-ペンチン酸t-ブチル、2-ヘキシン酸、2-ヘキシン酸メチル、2-ヘキシン酸エチル、2-ヘキシン酸イソプロピル、2-ヘキシン酸t-ブチル、2-ヘプチン酸、2-ヘプチン酸メチル、2-ヘプチン酸エチル、2-ヘプチン酸イソプロピル、2-ヘプチン酸t-ブチル、2-オクチン酸、2-オクチン酸メチル、2-オクチン酸エチル、2-オクチン酸イソプロピル、2-オクチン酸t-ブチル、2-ノニン酸、2-ノニン酸メチル、2-ノニン酸エチル、2-ノニン酸イソプロピル、2-ノニン酸t-ブチル、フェニルプロピオール酸、フェニルプロピオール酸メチル、フェニルプロピオール酸エチル、フェニルプロピオール酸イソプロピル、フェニルプロピオール酸t-ブチル、等が挙げられる。
【0099】
本発明の一般式(6)で表されるアセチルカルボン酸類は、適宜市販品を購入の上、利用すればよい。例えば、上記アセチレンカルボン酸類は、ナカライテスク株式会社、東京化成工業株式会社、あるいはシグマアルドリッチ・ジャパン株式会社から入手可能である。
【0100】
本発明の水和反応および還元的アミノ化連続反応におけるpHは、水和反応の段階においては「<アセチレンカルボン酸類の水和反応>」の項で説示した範囲を適宜採用すればよく、また還元的アミノ化反応の段階においては「<ケト酸類の還元的アミノ化反応>」の項で説示した範囲を適宜採用すればよい。
【0101】
本発明のアミノ酸類合成方法に用いられる、金属塩1、遷移金属錯体2、遷移金属錯体3、および遷移金属錯体4の使用量は特に限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。通常、反応基質であるケト酸類に対するモル比で、1~1/100,000程度であり、好ましくは1/50~1/10,000程度の範囲で反応を行えばよい。
【0102】
水和反応および還元的アミノ化反応の連続反応による本発明のアミノ酸類合成は、基質に対して溶解する有機溶媒の存在下、または非存在下において行われる。上記「基質に対して溶解する有機溶媒」とは、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、それらの混合物が挙げられる。基本的には有機溶媒を非存在下の方が触媒活性、生成物の選択性が良いが、場合によっては基質に対して溶解する有機溶媒の存在下において水和反応を行うことによって、反応を促進させるという効果が得られる。
【0103】
また水和反応および還元的アミノ化反応の連続反応による本発明のアミノ酸類合成方法は、通常、0~100℃で行われるが、好ましくは60~80℃付近で反応を行うことができる。反応温度についても、適宜最適な条件を検討の上採用すればよい。
【0104】
また反応時間は反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常、数時間から30時間程度で反応は完結する。
【0105】
このようにワンポットで(すなわち、同一の反応槽内で連続的に)、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類を生産することができれば、アミノ酸合成の中間生成物であるケト酸類を単離・精製する必要がなく、アミノ酸類の製造コストを低下させ、さらに製造時間を短縮することができるというメリットがある。
【0106】
<同一反応容器内でin-situに合成した触媒を用いてアセチレンカルボン酸類からアミノ酸へ合成する方法(タンデム合成法)>
本発明にかかるアミノ酸類の合成方法の一実施形態は、遷移金属錯体2、遷移金属錯体3、および遷移金属錯体4の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、既述の水素および窒素原子供与体を添加し、反応させることを特徴とする、方法であってもよい。
【0107】
また、本発明にかかるアミノ酸類の合成方法の一実施形態は、既述の金属塩1の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和を行い、さらに、上記アセチレンカルボン酸類の水和後の反応系へ、一般式(4)および一般式(5)で表される有機配位子と、既述の水素および窒素原子供与体とを添加し、反応させることを特徴とする、方法であってもよい。
【0108】
すなわち既述の「アセチレンカルボン酸類の水和反応」および、「ケト酸類の還元的アミノ化反応」を連続的に行い、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸を合成する方法である。この合成で用られる基質および反応条件は、前項で示したワンポット合成法と同じであるが、タンデム合成法のポイントは、配位子を加えることにより反応系内で金属触媒を形成させ、当該金属触媒を用いて反応を行うことである。このことから、タンデム合成法には、連続反応を行う際に高価な金属触媒を用いる必要が無いというメリットがある。
【0109】
一般式(4)で表される有機配位子におけるR1、R2、R3、R4およびR5、並びに一般式(5)で表される有機配位子における、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8の低級アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。
【0110】
一般式(4)で表される有機配位子の具体例としては、例えば、1,2,3,4,5-ペンタメチル-1,3-シクロペンタジエン、1,2,3,4,5-ペンタエチル-1,3-シクロペンタジエン、1,2,3,4,5-ペンタイソプロピル-1,3-シクロペンタジエン、1,2,3,4,5-ペンタ-t-ブチル-1,3-シクロペンタジエン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1,3-シクロペンタジエン、トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、トリメチル(2,3,4,5-テトラエチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、トリメチル(2,3,4,5-テトライソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、トリメチル(2,3,4,5-テトラ-t-ブチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、トリメチル(2,3,4,5-テトラフェニル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、クロロジメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、クロロジメチル(2,3,4,5-テトラエチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、クロロジメチル(2,3,4,5-テトライソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、クロロジメチル(2,3,4,5-テトラ-t-ブチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、クロロジメチル(2,3,4,5-テトラフェニル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン、5-((t-ブチルアミノ)ジメチルシリル)-1,2,3,4-テトラメチル-1,3-シクロペンタジエン、5-((t-ブチルアミノ)ジメチルシリル)-1,2,3,4-テトラエチル-1,3-シクロペンタジエン、5-((t-ブチルアミノ)ジメチルシリル)-1,2,3,4-テトライソプロピル-1,3-シクロペンタジエン、5-((t-ブチルアミノ)ジメチルシリル)-1,2,3,4-テトラ-t-ブチル-1,3-シクロペンタジエン、5-((t-ブチルアミノ)ジメチルシリル)-1,2,3,4-テトラフェニル-1,3-シクロペンタジエン、1-(2,3,4,5-テトラメチル-1,3-シクロペンタジエン-1-イルエタノン、[(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)メチル]-ベンゼン、1,1',1'',1''',1''''-[(1,3-シクロペンタジエン-1,2,3,4,5-ペンタイル)ペンタキス(メチレン)]ペンタキスベンゼン、1,2,4,5-テトラメチル-3-プロピル-1,3-シクロペンタジエン、2,3,4,5-テトラフェニル-2,4-シクロペンタジエン-1-オール、等が挙げられる。
【0111】
一般式(5)で表される有機配位子の具体例としては、例えば、2,2'-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、2,2'-ビキノリン、2,2'-ビ-1,8-ナフチリジン、6,6'-ジメチル-2,2'-ビピリジン、6,6'-ジカルボニトリル-2,2'-ビピリジン、6,6'-ビス(クロロメチル)-2,2'ビピリジン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、4,4'-(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン-4,7-ジイリル)ビス-ベンゼンスルホン酸、2,9-ジメチル-N-(2,4,6-トリニトロフェニル)-1,10-フェナントロリン-5-アミン、1,10-フェナントロリン-2,9-ジカルボキシアルデヒド、2,9-ジカルボキシ-1,10-フェナントロリン、2,9-ジカルボキシ-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、(2,2'-ビキノリン)-4,4'-ジカルボン酸、(2,2'-ビキノリン)-4'-カルボン酸、4,4'-ジメチル-2,2'-ビキノリン、5,5'-ジメチル-2,2'-ビピリジン、5,5'-ジカルボニトリル-2,2'-ビピリジン、5,5'-ビス(クロロメチル)-2,2'ビピリジン、3,8-ジメチル-1,10-フェナントロリン、4,4'-(3,8-ジメチル-1,10-フェナントロリン-4,7-ジイリル)ビス-ベンゼンスルホン酸、1,10-フェナントロリン-2,9-ジカルボキシアルデヒド、3,8-ジカルボキシ-1,10-フェナントロリン、3,8-ジカルボキシ-1,10-フェナントロリン、3,8-ジメチル4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジン、4,4'-ジメトキシ-2,2'-ビピリジン、4,4'-ジカルボニトリル-2,2'-ビピリジン、5,5'-ビス(クロロメチル)-2,2'ビピリジン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン-4,7-ジカルボキシアルデヒド、4,7-ジカルボキシ-1,10-フェナントロリン、等が挙げられる。
【0112】
本発明の一般式(4)および(5)で表される有機配位子は、適宜市販品を購入の上、利用すればよい。例えば、上記有機配位子は、ナカライテスク株式会社、東京化成工業株式会社、あるいはシグマアルドリッチ・ジャパン株式会社から入手可能である。
【0113】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0114】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0115】
<1.ケト酸類(α-またはβ-ケト酸類)の合成例>
種々の金属塩または遷移金属錯体の存在下において、アセチレンカルボン酸類の水和反応を行って、ケト酸類(α-またはβ-ケト酸類)を合成した。図1(a)および(b)に上記水和反応の反応式を示す。なお、水溶性のアセチレンカルボン酸類の水和を行った場合はα-ケト酸類が合成され(図1(a))、非水溶性のアセチレンカルボン酸類の水和を行った場合はβ-ケト酸類が合成される(図1(b))。ここで図1(a)に示す反応経路を「PathA」、および図1(b)に示す反応経路を「PathC」と便宜上、称する。
【0116】
〔実施例1〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.5mmolを、三塩化ルテニウム5.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0117】
〔実施例2〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.5mmolを、三塩化ロジウム5.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0118】
〔実施例3〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.5mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0119】
〔実施例4〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.5mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0120】
〔比較例1〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例1~4と同様にした。
【0121】
〔実施例5〕
図1(a)におけるRがCOOHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム5.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0122】
〔実施例6〕
図1(a)におけるRがCOOHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ロジウム5.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0123】
〔実施例7〕
図1(a)におけるRがCOOHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0124】
〔実施例8〕
図1(a)におけるRがCOOHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0125】
〔比較例2〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例5~8と同様にした。
【0126】
〔実施例9〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム5.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0127】
〔実施例10〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0128】
〔実施例11〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0129】
〔比較例3〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例9~11と同様にした。
【0130】
〔実施例12〕
図1(b)におけるRがCHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ルテニウム5.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0131】
〔実施例13〕
図1(b)におけるRがCHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ロジウム5.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0132】
〔実施例14〕
図1(b)におけるRがCHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0133】
〔実施例15〕
図1(b)におけるRがCHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、ジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ロジウム(III)]3硫酸塩3.1mg(2.5μmol)の酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH2.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0134】
〔比較例4〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例13~15と同様にした。
【0135】
〔実施例1~15および比較例1~4の結果〕
上記結果を表1に示す。
【0136】
【表1】
JP0004878600B2_000016t.gif

【0137】
表1において「Cat」は触媒(金属塩、遷移金属錯体またはHgSO)として用いた化合物を示し、「TON」は触媒のターンオーバー数を示し、「mol%」はアセチレンカルボン酸類に対する触媒のmol%を示し、「Yield(%)」はアセチレンカルボン酸類からのケト酸類の収率を示している。また表中「-」は反応が進まなかったことを示している。
【0138】
実施例1~4のケト酸の収率は、水和反応の代表的な水銀触媒である硫酸水銀を用いた場合のそれとに比して、4.8~12倍であり、実施例で用いた触媒の方がはるかに触媒活性が高いということが分かった。特に、三塩化ルテニウム、およびジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩を触媒として用いた場合の収率は、比較例のそれに比して、それぞれ12倍および9.5倍であり、当該化合物の触媒活性は非常に高いということが分かった。
【0139】
また触媒のターンオーバー数を比較しても、実施例のそれの方が比較例のそれに比して4.8~12倍であり、実施例で用いた触媒の方がはるかに高いターンオーバー数を有しており、触媒として優れているということが分かった。特に、三塩化ルテニウム、およびジ[トリアクア{2,6-ジ(フェニルチオメチル)ピリジン}ルテニウム(III)]3硫酸塩のターンオーバー数は、比較例のそれに比して、それぞれ12倍および9.5倍であり、当該化合物は触媒として非常に優れているということが分かった。
【0140】
また実施例5~8と比較例2、実施例9~11と比較例3、および実施例12~15と比較例4の結果を比較しても、実施例の結果が良好であり、本発明にかかるケト酸類の合成方法が優れているということが分かった。
【0141】
〔実施例21〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0142】
〔実施例22〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを、三塩化ロジウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0143】
〔実施例23〕
図1(a)におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを、三塩化イリジウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0144】
〔比較例5〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例21~23と同様にした。
【0145】
〔実施例24〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で24時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0146】
〔実施例25〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ロジウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で24時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0147】
〔実施例26〕
図1(a)におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化イリジウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で24時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0148】
〔比較例6〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例24~26と同様にした。
【0149】
〔実施例27〕
図1(a)におけるRがC65であり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 4.5、100℃、アルゴン雰囲気下で24時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0150】
〔比較例7〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例27と同様にした。
【0151】
〔実施例28〕
図1(a)におけるRがCOOHであり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 1.3、100℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0152】
〔実施例29〕
図1(a)におけるRがC37であり、RがHである、水溶性のアセチレンジカルボン酸0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの水溶液2mlに混合し、pH 3.5、100℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物を濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0153】
〔実施例21~29および比較例5~7の結果〕
上記結果を表2に示す。表の見方は表1と同様である。
【0154】
【表2】
JP0004878600B2_000017t.gif

【0155】
実施例21~23のケト酸の収率およびターンオーバー数は、硫酸水銀を用いた比較例5のそれに比して、2.7~13倍であり、実施例で用いた触媒(三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、三塩化イリジウム)の方が、硫酸水銀に比して触媒としてはるかに優れているということが分かった。特に、三塩化ルテニウムを触媒として用いた場合の収率およびターンオーバー数は、比較例5のそれに比して13倍であった。よって三塩化ルテニウムは、当該実施例における反応において、特に優れた触媒であるということが分かった。
【0156】
硫酸水銀を用いた比較例6ではケト酸の生成が見られなかったに対して、実施例24~26ではケト酸の生成が見られた。よって実施例で用いた触媒(三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、三塩化イリジウム)の方が、硫酸水銀に比して触媒としてはるかに優れているということが分かった。特に、三塩化ルテニウムを用いた実施例24では収率51%と非常に高い収率でケト酸が得られた。よって三塩化ルテニウムは、当該実施例における反応において、特に優れた触媒であるということが分かった。
【0157】
硫酸水銀を用いた比較例7ではケト酸の生成が見られなかったに対して、実施例27ではケト酸の生成が見られた。よって実施例27で用いた触媒(三塩化ルテニウム)の方が、硫酸水銀に比して触媒としてはるかに優れているということが分かった。
【0158】
実施例28および29においても、ケト酸の生成が見られた。
【0159】
ところで、実施例21と実施例1とは反応温度が100℃であるか80℃であるかの違いのみである。両者のケト酸の収率およびターンオーバー数を比較するに、反応温度が80℃から100℃にすることで、ケト酸の収率およびターンオーバー数が約1.9倍増加するということが分かる。他方、実施例24と実施例9とは、反応温度が100℃であるか80℃であるかの違い以外に、アセチレンカルボン酸類と触媒との比率が異なっている。しかし、触媒の比率が1/5であるのにも関わらず、実施例24のケト酸の収率およびターンオーバー数は、実施例9の約1.5倍となっていた。なお、実施例1、21、24、および9において使用した触媒は、いずれも三塩化ルテニウムであった。よって、かかる結果から、三塩化ルテニウムを触媒として使用した場合におけるアセチレンカルボン酸類の水和反応においては、80℃よりも100℃が好ましいということが分かった。
【0160】
〔実施例30〕
図1(b)におけるRがHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ルテニウム1.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0161】
〔実施例31〕
図1(b)におけるRがHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ロジウム1.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0162】
〔実施例32〕
図1(b)におけるRがHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化イリジウム1.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0163】
〔比較例8〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例30~32と同様にした。
【0164】
〔実施例33〕
図1(b)におけるRがCH3であり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ロジウム1.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0165】
〔実施例34〕
図1(b)におけるRがCH3であり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化イリジウム1.0μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0166】
〔比較例9〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例33~34と同様にした。
【0167】
〔実施例35〕
図1(b)におけるRがC49であり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化ロジウム10μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0168】
〔実施例36〕
図1(b)におけるRがC49であり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸エステル0.1mmolを、三塩化イリジウム10μmolの酢酸バッファー水溶液2mlに混合し、pH4.0、80℃、アルゴン雰囲気下で12時間反応させた。反応終了後の反応混合物をクロロホルムで抽出および濃縮し、得られた生成物を1H NMRによって確認した。
【0169】
〔比較例10〕
触媒としてHgSOを用いた以外は実施例35~36と同様にした。
【0170】
〔実施例30~36および比較例8~10の結果〕
上記結果を表3に示す。表の見方は表1と同様である。
【0171】
【表3】
JP0004878600B2_000018t.gif

【0172】
実施例30~32のケト酸エステルの収率およびターンオーバー数は、硫酸水銀を用いた比較例8のそれに比して、同等若しくは高かった。よってかかる結果から、本発明によれば有害な水銀触媒を使用しない温和な条件で、アセチレン化合物の水和反応を行うことによってケト酸類を合成することができるということが分かった。
【0173】
実施例33~34のケト酸エステルの収率およびターンオーバー数は、硫酸水銀を用いた比較例9のそれに比して高かった。よって実施例で用いた触媒(三塩化ロジウム、三塩化イリジウム)の方が、硫酸水銀に比して触媒として優れているということが分かった。特に、三塩化ロジウムを用いた実施例34では収率71%と非常に高い収率でケト酸エステルが得られた。よって三塩化ロジウムは、当該実施例における反応において、特に優れた触媒であるということが分かった。
【0174】
実施例35~36のケト酸エステルの収率およびターンオーバー数は、硫酸水銀を用いた比較例10のそれに比して、同等若しくは高かった。よってかかる結果から、本発明によれば有害な水銀触媒を使用しない温和な条件で、アセチレン化合物の水和反応を行うことによってケト酸類を合成することができるということが分かった。
【0175】
<2.アミノ酸およびアミノ酸誘導体の合成>
遷移金属錯体の存在下において、ケト酸類の還元的アミノ化反応を行って、アミノ酸類の合成した。図2(a)および(b)に上記還元的アミノ化反応の反応式を示す。なお、α-ケト酸類について還元的アミノ化反応を行った場合にはα-アミノ酸類およびα-ヒドロキシカロボン酸類が合成され(図2(a))、β-ケト酸類について還元的アミノ化反応を行った場合にはβ-アミノ酸類およびβ-ヒドロキシカロボン酸類が合成される(図2(b))。ここで図2(a)に示す反応経路を「PathB」、および図2(b)に示す反応経路を「PathD」と便宜上、称する。
【0176】
〔参考例1〕
図2(a)におけるRがCHであり、RがHであるピルビン酸0.16mmolと、ギ酸アンモニウム3.2mmolを水3ml中に仕込み、pH4.5に調整した。(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体0.2μmolをピルビン酸水溶液に加え、80℃、アルゴン雰囲気下で1時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。生成物の単離を行う際は、反応溶液を濃縮し、濃縮した残査を水に溶かし、陽イオン交換樹脂(DOWEX 50W-X2)に通す。水50mlを流した後、0.1Mアンモニア水200mlを流し、この溶液を濃縮し、生成物(アラニン)を得た。
【0177】
〔参考例2〕
図2(a)におけるRがC(OH)あり、RがHである4-ヒドロキシピルビン酸0.16mmolと、ギ酸アンモニウム3.2mmolを水3ml中に仕込み、pH4.5に調整した。(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体0.2μmolをピルビン酸水溶液に加え、80℃、アルゴン雰囲気下で1時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。生成物の単離を行う際は、反応混合物を濾過することにより反応生成物であるチロシンを得た。
【0178】
〔参考例3〕
図2(a)におけるRが(CH22COOHあり、RがHである2-ケトグルタル酸0.16mmolと、ギ酸アンモニウム3.2mmolを水3ml中に仕込み、pH4.5に調整した。(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体0.2μmolをピルビン酸水溶液に加え、80℃、アルゴン雰囲気下で1時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。生成物の単離を行う際は、反応溶液を濃縮し、濃縮した残査を水に溶かし、陽イオン交換樹脂(DOWEX 50W-X2)に通す。水50mlを流した後、0.1Mアンモニア水200mlを流し、この溶液を濃縮し、グルタミン酸を得た。
【0179】
〔参考例4〕
ギ酸アンモニウム3.2mmolを水3ml中に仕込み、pH4.5に調整した。(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体0.2μmolおよび図2(b)におけるRがCH3あり、RがCであるアセト酢酸エチル0.2mmolを調製したギ酸アンモニウム水溶液に加え、80℃、アルゴン雰囲気下で1時間反応させた。反応終了後、反応溶液をpH9.0に調整した後、ジクロロメタンあるいはジエチルエーテルで抽出、濃縮し、得られた生成物を1H NMR によって確認した。生成物の単離を行う際は、反応溶液を濃縮し、濃縮した残査を水に溶かし、陽イオン交換樹脂(DOWEX 50W-X2)に通す。水50mlを流した後、0.1Mアンモニア水200mlを流し、この溶液を濃縮し、3-アミノブタン酸エチルを得た。
【0180】
〔参考例1~4の結果〕
上記結果を表4に示す。
【0181】
【表4】
JP0004878600B2_000019t.gif

【0182】
表4において、「mol%」はケト酸類に対する触媒のmol%を示し、「Yield(%)」はケト酸類からのアミノ酸類の収率を示している。その他の項目については、表1と同様である。
【0183】
表4の結果より、遷移金属錯体((η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体)の存在下において、ケト酸類の還元的アミノ化反応を行うことによって、アミノ酸類を効率良く合成することができるということが分かった。また水溶性のケト酸(参考例1~3)または非水溶性のケト酸エステル(参考例4)に関わらず、効率良くアミノ酸類を合成することができた。
【0184】
さらに、触媒のターンオーバー数が高く、当該参考例の方法は、極めて優れた方法であるということが分かった。特に参考例1の場合は、目的物であるアミノ酸の収率が94%と非常に高く、アミノ酸の合成に対する選択性において優れていた。
【0185】
<3.アセチレンカルボン酸類からアミノ酸へワンポットで合成する方法>
上記水和反応によるケト酸類の合成および、ケト酸類の還元的アミノ化反応によるアミノ酸類の合成を連続的に行い、アセチレンカルボン酸類からアミノ酸類へワンポットで合成することとした。図3(a)および(b)に上記反応の反応式を示す。なお、水溶性のアセチレンカルボン酸類を初発基質とした場合はα-ケト酸類が合成され、最終的にα-アミノ酸類が得られ(図3(a))、非水溶性のアセチレンカルボン酸類を初発基質とした場合はβ-ケト酸類が合成され、最終的にβ-アミノ酸類が得られる(図3(b))。
【0186】
〔実施例16〕
図3におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類5mmolを水10ml中に仕込み、pH2.0に調整した。その溶液に塩化ロジウム5.0μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。36時間後、ギ酸アンモニウム10mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩5.0μmolを加え、さらに2時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0187】
〔実施例17〕
図3におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類5mmolを水10ml中に仕込み、pH2.0に調整した。その溶液に塩化ルテニウム5.0μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。36時間後、ギ酸アンモニウム10mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩5.0μmolを加え、さらに2時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0188】
〔実施例18〕
図3におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類5mmolを水10ml中に仕込み、pH2.0に調整した。その溶液に塩化ルテニウム5μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。36時間後、ギ酸アンモニウム10mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩5.0μmolを加え、さらに2時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0189】
〔実施例19〕
図3におけるRがCHであり、RがHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類5mmolを水10ml中に仕込み、pH2.0に調整した。その溶液に塩化ルテニウム5μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。36時間後、ギ酸アンモニウム10mmolと(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体5.0μmolを加え、さらに2時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0190】
〔実施例20〕
図3におけるRがCHであり、RがCである、非水溶性のアセチレンジカルボン酸類0.1mmolを水10ml中に仕込み、pH2.0に調整した。その溶液に塩化ロジウム5.0μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム10mmolと(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)アクア錯体1.0μmolを加え、さらに2時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0191】
〔実施例16~20の結果〕
上記結果を表5に示す。
【0192】
【表5】
JP0004878600B2_000020t.gif

【0193】
表5において「Cat(mol%)」における各触媒の下に付された数値はアセチレンカルボン酸類に対する触媒のmol%を示し、「Yield(%)」はアセチレンカルボン酸類からのアミノ酸類の収率を示している。その他の項目については、表1と同様である。
【0194】
表5の結果より、水溶性基質(実施例16~19)および非水溶性基質(実施例20)のいずれを用いた場合でも、ワンポットでアミノ酸類を合成することができるということが分かった。
【0195】
〔実施例37〕
図3におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 1.3に調整した。その溶液に塩化ルテニウム1.0μmolを加え、100℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0196】
〔実施例38〕
図3におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 1.3に調整した。その溶液に塩化ルテニウム1.0μmolを加え、100℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩0.1μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0197】
〔実施例39〕
図3におけるRおよびRがともにHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 1.3に調整した。その溶液に塩化ルテニウム1.0μmolを加え、100℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0198】
〔実施例40〕
図3におけるRがCH3であり、RがHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 1.3に調整した。その溶液に塩化ルテニウム1.0μmolを加え、100℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0199】
〔実施例41〕
図3におけるRがCH3であり、RがHである、水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 1.3に調整した。その溶液に塩化ルテニウム1.0μmolを加え、100℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。12時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0200】
〔実施例42〕
図3におけるRがCH3であり、RがC25である、非水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 4.0に調整した。その溶液に塩化イリジウム1.0μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。24時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0201】
〔実施例43〕
図3におけるRがCH3であり、RがC25である、非水溶性のアセチレンカルボン酸類0.1mmolを水2ml中に仕込み、pH 4.0に調整した。その溶液に塩化イリジウム1.0μmolを加え、80℃、アルゴン雰囲気下で反応させた。24時間後、ギ酸アンモニウム4mmolとアクア(η5-テトラメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)(2,2'-ビピリジル)硫酸塩1.0μmolを加え、さらに80℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を1H NMRにより確認した。
【0202】
〔実施例37~43の結果〕
上記結果を表6に示す。表の見方は表5と同様である。
【0203】
【表6】
JP0004878600B2_000021t.gif

【0204】
表6の結果より、水溶性基質(実施例37~41)および非水溶性基質(実施例42~43)のいずれを用いた場合でも、ワンポットでアミノ酸類を合成することができるということが分かった。特に実施例37、38および39の場合に、アミノ酸類の収率(%)およびターンオーバー数がそれぞれ77、60、80であり、非常に良好な結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明によれば、ケト酸類をアセチルカルボン酸類から簡単に合成することができる。またケト酸類からアミノ酸類を簡便に合成することができる。さらにはアセチルカルボン酸類から同一容器内で連続的にアミノ酸類を合成することができる。アミノ酸類はヒトをはじめとする生体にとって極めて重要である。
【0206】
それゆえ、本発明はアミノ酸類を生産する産業、例えば医薬品産業、研究用試薬産業、食品産業等において特に利用可能である。
図面
【図1(a)】
0
【図1(b)】
1
【図2(a)】
2
【図2(b)】
3
【図3(a)】
4
【図3(b)】
5