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明細書 :スルホニルイミデートを求核剤とする反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5180596号 (P5180596)
公開番号 特開2009-167109 (P2009-167109A)
登録日 平成25年1月18日(2013.1.18)
発行日 平成25年4月10日(2013.4.10)
公開日 平成21年7月30日(2009.7.30)
発明の名称または考案の名称 スルホニルイミデートを求核剤とする反応方法
国際特許分類 C07C 303/40        (2006.01)
C07C 311/51        (2006.01)
C07D 333/22        (2006.01)
C07D 307/52        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
FI C07C 303/40
C07C 311/51
C07D 333/22
C07D 307/52
C07B 53/00 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 23
出願番号 特願2008-003733 (P2008-003733)
出願日 平成20年1月10日(2008.1.10)
審査請求日 平成21年2月17日(2009.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
【氏名】ヒュイ ニュエン
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】柿崎 美陶
参考文献・文献 特公昭28-005423(JP,B1)
特公昭26-007377(JP,B1)
特開2008-221090(JP,A)
調査した分野 C07C 303/40
C07C 311/51
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(1)
【化1】
JP0005180596B2_000023t.gif
(式中、Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Rは、置換基として炭素数1~5のアルキル基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートを、1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene及びビスブトキシマグネシウムからなる群より選ばれる塩基の存在下で次の一般式(2)
Y=Z-R (2)
(式中、YはR-CH、-C(R)、又はRO-CO-Nを表し、ZはN、又はC-CO-OR10(式中、左末端のCはYと二重結合を形成するとともにRと結合している)を表し、Rは炭素数6~18のアリール基、-CORa、-COORa、又は-SO-Ra(式中、Raは炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~18のアリール基を表す。)を表し、Rは水素原子、炭素数3~10のシクロアルキル基、置換基として炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニル基、若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、1~2個の窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子からなる異種原子を含有する5~8員の複素環基、又は炭素数1~10のアルコキシカルボニル基を表し、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~10のアルキル基を表し、及びR10はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。)
で表される求核反応基質化合物と反応させて次の一般式(3)
【化2】
JP0005180596B2_000024t.gif
(式中、R、R、R、R、Y、Z、及びRは、前記一般式(1)及び(2)で示したものと同じである。)
で表わされる求核反応生成物を製造する方法。
【請求項2】
求核反応基質化合物が、次の一般式(4)
【化3】
JP0005180596B2_000025t.gif
(式中、R11は炭素数3~10のシクロアルキル基、置換基として炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニル基、若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、1~2個の窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子からなる異種原子を含有する5~8員の複素環基、又は炭素数1~10のアルコキシカルボニル基を表し、R12は炭素数1~10のアルコキシカルボニル基又は炭素数6~18のアリールスルホニル基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(5)
【化4】
JP0005180596B2_000026t.gif
(式中、R、R、R、R、R11、及びR12は、前記一般式(1)及び(4)で示したものと同じであり、*印は不斉炭素原子であることを示す。)
で表されるアミノ化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
求核反応基質化合物が、次の一般式(6)
【化5】
JP0005180596B2_000027t.gif
(式中、R13及び14はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~10のアルキル基を表し、R15は炭素数6~18のアリール基、-CORa、-COORa、又は-SO-Ra(式中、Raは炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~18のアリール基を表す。)を表し、16炭素数1~10のアルキル基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(7)
【化6】
JP0005180596B2_000028t.gif
(式中、R、R、R、R、R13、R14、R15、及びR16は、前記一般式(1)及び(6)で示したものと同じであり、*印は不斉炭素原子であることを示す。)
で表されるカルボニル化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
求核反応基質化合物が、次の一般式(8)
【化7】
JP0005180596B2_000029t.gif
(式中、R17及びR18は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(9)
【化8】
JP0005180596B2_000030t.gif
(式中、R、R、R、R、R17、及びR18は、前記一般式(1)及び(8)で示したものと同じである。)
で表されるヒドラジン化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
塩基の量が、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
求核反応生成物が、立体選択的生成物である請求項1~5のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホニルイミデートの求核剤としての使用を提供するものである。より詳細には、本発明は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートを求核剤として使用し、求核反応生成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品産業や農薬産業においては新たな活性化合物の開発のために多数の化合物が製造されてきている。また、近年では有機EL素子などの素子材料として多くの有機化合物が製造されてきている。
このような有機化合物の製造においては、新しい有機化合物の合成手法の開発が望まれてきている。求核反応は有機化合物を製造する際の代表的な化学反応のひとつとして知られており、多くの産業分野で利用されてきている。特に、求核付加反応は、新たなC-C結合やC-N結合を生成させるための化学反応として開発が進められてきている(非特許文献1~8参照)。しかし、これらの反応にはほぼ等量という多量の塩基が必要とされたり、また求核反応基質化合物の反応性を確保するために反応サイトに隣接する位置に電子吸引基を有していることが必要とされてきた(例えば、非特許文献9~11参照)。
このために、塩基の使用量が少なく、かつ一般性の高い新しい求核試薬の開発が求められている。
【0003】

【非特許文献1】Alcaide, B. et al., Eur. J. Org. Chem., 2002, 1595.
【非特許文献2】List, B., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 548.
【非特許文献3】Notz, W., et al., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 580.
【非特許文献4】Shibasaki, M., et al., Chem. Commun., 2002, 1989.
【非特許文献5】Shibasaki, M., et al., Chem. Rev., 2002, 102, 2187.
【非特許文献6】Cordova, A., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 102.
【非特許文献7】Marques, M., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 348.
【非特許文献8】Shibasaki, M., etal., J. Organomet. Chem., 2006, 691, 2089.
【非特許文献9】Saito, S., et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 8704.
【非特許文献10】Saito, S., et al., Chem. Commun., 2007, 1236.
【非特許文献11】Morimoto, H., et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 9588.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、塩基の使用量が少なく、かつ一般性の高い新しい求核試薬を提供するものである。本発明は、本発明の求核試薬を用いた求核反応による各種の有機化合物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、新しい求核試薬(求核剤)を開発してきたが、スルホニルイミデートは、従来から知られていたが、これを求核剤として用いる方法は開発されていなかった。本発明者らは、スルホニルイミデートが求核試薬(求核剤)としての反応性を有することを初めて見出したものである。本発明は、スルホニルイミデートを炭素求核剤として用いる初めての反応を提供するものである。
【0006】
即ち、本発明は、次の一般式(1)
【0007】
【化10】
JP0005180596B2_000002t.gif

【0008】
(式中、R、及びRは、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートを、塩基の存在下で求核反応基質化合物と反応させて求核反応生成物を製造する方法に関する。
また、本発明は、前記した本発明の方法で製造された求核反応生成物のスルホニルイミデート部分を、加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法に関する。
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートを、求核反応における求核試薬(求核剤)として使用する方法に関する。また、本発明は、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートの、求核反応における求核試薬(求核剤)として使用に関する。さらに本発明は、求核反応における求核試薬(求核剤)としての前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに関する。
【0009】
本発明をより詳細に説明すれば以下のとおりとなる。
[1]前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートを、塩基の存在下で求核反応基質化合物と反応させて求核反応生成物を製造する方法。
[2]求核反応基質化合物が、次の一般式(2)
Y=Z-R (2)
(式中、YはR-CH、R-C(R)、RO-CO-N、又はR-CO-Nを表し、ZはN、又はC-CO-OR10を表し、Rは置換基を有してもよい炭化水素基、-CORa、-COORa、又は-SO-Ra(式中、Raは置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表し、R及びR10はそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で表される不飽和化合物であって、求核反応生成物が次の一般式(3)
【0010】
【化11】
JP0005180596B2_000003t.gif

【0011】
(式中、R、R、R、R、Y、Z、及びRは、前記一般式(1)及び(2)で示したものと同じである。)
である化合物である前記[1]に記載の方法。
[3]求核反応基質化合物が、次の一般式(4)
【0012】
【化12】
JP0005180596B2_000004t.gif

【0013】
(式中、R11は置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよい複素環基、又は炭素数1~10のアルコキシカルボニル基を表し、R12は置換基を有してもよい炭化水素オキシカルボニル基又は置換基を有してもよい炭化水素スルホニル基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(5)
【0014】
【化13】
JP0005180596B2_000005t.gif

【0015】
(式中、R、R、R、R、R11、及びR12は、前記一般式(1)及び(4)で示したものと同じである。)
で表されるアミノ化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]一般式(4)で表されるイミン化合物が、アルデヒドと一般式HN-R12(式中、R12は前記一般式(4)で示したものと同じである。)で表されるアミノ化合物から、反応系中で生成されるものである前記[3]に記載の方法。
[5]求核反応基質化合物が、次の一般式(6)
【0016】
【化14】
JP0005180596B2_000006t.gif

【0017】
(式中、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(7)
【0018】
【化15】
JP0005180596B2_000007t.gif

【0019】
(式中、R、R、R、R、R13、R14、R15、及びR16は、前記一般式(1)及び(6)で示したものと同じである。)
で表されるカルボニル化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[6]求核反応基質化合物が、次の一般式(8)
【0020】
【化16】
JP0005180596B2_000008t.gif

【0021】
(式中、R17及びR18は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよい炭化水素オキシ基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(9)
【0022】
【化17】
JP0005180596B2_000009t.gif

【0023】
(式中、R、R、R、R、R17、及びR18は、前記一般式(1)及び(8)で示したものと同じである。)
で表されるヒドラジン化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[7]塩基の量が、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%である前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]求核反応生成物が、立体選択的生成物である前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記[1]~[8]いずれかに記載の方法で製造された求核反応生成物のスルホニルイミデート部分を加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法。
[10]前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートを、求核反応における求核試薬として使用する方法。


【0024】
本発明は、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートからなる新規な求核試薬(求核剤)を提供するものであり、本発明の方法は、本発明が提供する新規な求核試薬(求核剤)を求核反応に適用することを特徴とするものである。
したがって、本発明の方法は、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミデートからなる求核試薬(求核剤)を用いる全ての方法を包含するものであり、本発明における求核反応基質化合物としては、求核反応において本発明の求核試薬との反応性を有する化合物のことを意味する。
本発明の方法における好ましい求核反応としては、ミカエル付加反応のような求核付加反応が挙げられる。本発明の求核付加反応における、付加される不飽和結合としては、C=C結合、C=N結合、及びN=N結合などが挙げられる
本発明の方法における好ましい求核反応基質化合物としては、前記した一般式(2)で表される化合物が挙げられる。より好ましい求核反応基質化合物としては、当該一般式(2)で表される化合物のうちの前記した一般式(4)、一般式(6)、又は一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0025】
本発明における一般式(1)~(9)における「炭化水素基」としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などの飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、炭素数2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基が挙げられる。このようなアルケニル基の例としては、ビニル基、1-メチル-ビニル基、2-メチル-ビニル基、n-2-プロペニル基、1,2-ジメチル-ビニル基、1-メチル-プロペニル基、2-メチル-プロペニル基、n-1-ブテニル基、n-2-ブテニル基、n-3-ブテニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基、などが挙げられる。
アリール基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1~20のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)が挙げられる。このような基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチル-メチル基などが挙げられる。
アリールアルケニル基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数2~20のアルケニル基が結合した、炭素数8~40、好ましくは炭素数8~20、炭素数8~15のアリールアルケニル基が挙げられる。このような基としては、例えば、スチリル基、2-ナフチル-ビニル基などが挙げられる
また、本発明における炭化水素基は、求核反応に悪影響を与えない範囲で、前記してきた炭化水素基における1個又は2個以上の炭素原子が、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子などの異種原子で置換されたものであってもよい。
【0026】
一般式(4)におけるR11の複素環基としては、1個~4個、好ましくは1~3個又は1~2個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員、好ましくは5~8員の環を有する単環式、多環式、又は縮合環式の複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、例えば、2-フリル基、2-チエニル基、2-ピロリル基、2-ピリジル基、2-インドール基、ベンゾイミダゾリル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基や複素環基は、求核反応に悪影響を与えない各種の官能基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、前記してきたアルキル基、前記してきたアルケニル基、前記してきたシクロアルキル基、前記してきたアリール基、前記してきたアラルキル基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、1個~4個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員の環を有する複素環基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~21のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7~37のアリール-カルボニルオキシ基、炭素数8~41のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数2~21のアルコキシカルボニル基、炭素数7~37のアリールオキシカルボニル基、炭素数8~41のアラルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアミノ基、アルキルシリル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
一般式(1)における好ましいRとしては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10、さらに好ましくは炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
一般式(1)における好ましいRとしては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。これらのアリール基は、炭素数1~5のアルキル基などで置換されていてもよい。
一般式(1)における好ましいR及びRとしては、それぞれ独立して水素原子又は前記したアルキル基が挙げられる。
【0028】
一般式(2)におけるR、及び一般式(4)におけるR11の好ましい基としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又はシクロアルキル基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基;炭素数8~40、好ましくは炭素数8~20、炭素数8~15のアリールアルケニル基;1個~4個、好ましくは1~3個又は1~2個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員、好ましくは5~8員の環を有する単環式、多環式、又は縮合環式の複素環基;炭素数1~10のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。これらの基はアルキル基、ハロゲン、アルケニル基、などの置換基で置換されていてもよい。
一般式(2)におけるR及びR、及び一般式(6)におけるR13及びR14の好ましい基としては、水素原子又は炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
一般式(2)における-OR、及び一般式(8)におけるR17の好ましい基としては、炭素数1~20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
一般式(2)における-OR10、及び一般式(6)におけるR16の好ましい基としては、炭素数1~20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
一般式(2)における好ましい=Z-Rとしては、一般式(4)における=N-R12基、一般式(6)における=C-R15基、及び一般式(8)における=N-COR18基が挙げられる。好ましいR12としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基からなるアリールスルホニル基;炭素数1~10のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。これらの基はアルキル基、ハロゲン、アルケニル基、などの置換基で置換されていてもよい。好ましいR15としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。好ましいR18としては、炭素数1~20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
【0029】
本発明の方法は、塩基の存在下で行われる。塩基としては、アミン類のような有機塩基、マグネシウム塩のような無機塩基のいずれであってよい。好ましい塩基としては、DBU (1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)のような環状アミン類や、ビスブトキシマグネシウムのような金属塩などが挙げられる。また、本発明の方法は、モレキュラーシーブ(好ましく4オングストロームのもの)の存在下に行うこともできる。
塩基の使用量は特に制限はないが、従来の方法のように等量使用する必要が無いことが本発明の方法の特徴のひとつである。好ましい塩基の量は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%、より好ましくは1~15モル%程度である。
本発明の方法は溶媒の存在下で行うのが好ましい。好ましい溶媒としては、DMF(ジメチルホルムアミド)、DCM(ジクロロメタン)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(2)などで表される求核反応基質化合物は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して等量で行うことができるが、好ましくは0.8~2当量、0.9~1.5当量でおこなうことができる。
反応温度は、特に制限はなく-45℃~溶媒の沸点までの範囲で選択することができる。好ましい反応温度は0~室温が上げられる。反応時間は適宜選定することができるが、反応温度が低い場合には10~50時間程度が挙げられる。
本発明の方法で製造された生成物は、クロマトグラフィーなどの精製手段により適宜精製することができる。
【0030】
本発明の方法で製造された化合物は、スルホニルイミデート部分のβ位が不斉炭素となり、アンチ体とシン体が存在する。本発明の方法は、立体選択的に進行し、いすれかの異性体が多量に生成する。通常の場合にはアンチ体が60%以上、又は80%以上で生成する。また、多くの場合には90%、又は95%以上でアンチ体を選択的に生成させることもできる。
【0031】
本発明の方法で製造された生成物は、スルホニルイミデート部分(-C(OR)=NSO)を有しており、この部分を公知の手法で分解することにより、N-スルホニルアミド、エステル、アルデヒドなどに誘導することができる。
-C(OR)=NSO → -CO-NH-SO
-C(OR)=NSO → -COOR
-C(OR)=NSO → -CHO
N-スルホニルアミドとする場合には、本発明の方法よる生成物を、含水アルコール(例えば、i-Prアルコール)中で硫酸などの酸の存在下で、加水分解することにより製造することができる。
エステルとする場合には、本発明の方法よる生成物を、酸又は塩基の存在下で加水分解することにより製造することができる。
アルデヒドとする場合には、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤の存在下に反応させることにより製造することができる。
このようにして製造されたN-スルホニルアミド、エステル、アルデヒドは、β位に本発明の方法により導入された窒素原子又は炭素原子を有しており、β-アミノ酸誘導体などとすることができ、本発明の方法により産業上有用な化合物を簡便に製造することができる。さらに、前記したように本発明の方法は立体選択的に行うことができるので、片方の異性体を選択的に製造することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、反応に富んだ新規な求核試薬を提供するものであり、本発明の方法によれば、通常カルボニル化合物由来炭素求核剤は、等量以上の強塩基を用いて発生させるのが常であるが、本発明の方法においては触媒量の塩基を使用するだけで反応を進行させることができ効率的に行うことができる。また、本発明の方法は、立体選択的であり、光学活性体を選択的に製造することができる。
【0033】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
H NMRと13C NMRは JEOL JNM-ECX-400, JNM-ECX-500または、JNM-ECX-600を使用しCDClを溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン (δ = 0、H NMR)またはCDCl (δ = 77.0、13C NMR)を内部標準物質として測定した。 IR スペクトルの測定は JASCO FT/IR-610 を、旋光度の測定は JASCO P-1010 を使用した.融点測定には YAZAWA BY-1 を使用した。カラムクロマトグラフィーには Silica gel 60 (Merck) を調整用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。 全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。
スルホニルイミデートは文献(Kupfer, R.; Nagel, M.; Wurthwein, E.-U.; Allmann, R. Chem. Ber. 1985, 118, 3089.)に記載の方法に従い製造した。
【実施例1】
【0034】
イミデート塩酸塩の製造
ニトリルとアルコールから、下記の反応式にしたがってそれぞれのイミデート塩酸塩を製造した。
【0035】
【化18】
JP0005180596B2_000010t.gif

【0036】
ニトリル(400mモル)とアルコール(400mモル)の混合液にHClガスを吹き込んだ(10~20分間、発熱)。反応液をそのまま3~10時間Ar雰囲気下で放置した。減圧濃縮後、ほぼ純粋なイミデート塩酸塩を得た(収率40~80%)。
【実施例2】
【0037】
スルホニルイミデートの製造
実施例1で製造したイミデート塩酸塩(A)から、下記の反応式にしたがってスルホニルイミデート(6g)を製造した。
【0038】
【化19】
JP0005180596B2_000011t.gif

【0039】
イミデート塩酸塩Aの塩化メチレン(50mL)溶液にトリエチルアミン(8.3mL、59.55mモル)を室温下滴下した。得られたけん濁液にパラトルエンスルホニルクロリド(TsCl)(3.785g、19.85mモル)とジメチルアミノピリジン(242.5mg、1.985mモル)を加えた。40時間撹拌した後、水に反応液を流し込み、塩化メチレンで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製した後、スルホニルイミデート6gを得た(4.565g,85% 収率)。
Mp. 38-39℃;
H-NMR (CDCl) δ :
7.82 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.29 (d, 2H, J = 7.9 Hz),
4.97-5.10 (m, 1H), 2.88 (q, 2H, J = 7.6 Hz), 2.42 (s, 3H),
1.23 (d, 6H, J = 6.2 Hz), 1.21 (t, 3H, J = 6.2 Hz);
13C-NMR (CDCl) δ :
176.3, 142.9, 139.4, 129.3, 126.4, 71.9, 27.8, 21.5, 21.1, 10.1;
IR (neat) 2983, 2942, 1597, 1496, 1465, 1383, 1356, 1312, 1235,
1183, 1157, 1093, 1032, 1017, 955, 909, 838, 814, 799,
692, 600, 555, 529 cm-1;
HRMS (FAB);
1320NOSとして、 計算値:[M+H] 270.1164,
実測値: 270.1167.
【実施例3】
【0040】
イミンとスルホニルイミデートとの一般的反応
下記の反応式にしたがってイミン(1)とスルホニルイミデート(6)を反応させて、対応するアミン化合物(7d)~(7x)を製造した。
【0041】
【化20】
JP0005180596B2_000012t.gif

【0042】
4オングストロームのモレキュラーシーブ(以下、MS4Aという。)(50mg)の入っている容器に、イミン(0.45mmol)のDMF(0.5mL)溶液とスルホニルイミデート(0.3mmol)を加えた。その混合物を0℃に冷却した後、DBU(5mol%)のDMF(0.1mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃にて24時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物を得た。
結果を次の表1に示す。
【0043】
【表1】
JP0005180596B2_000013t.gif

【0044】
表1中の番号3では、イミン(1)を1当量、スルホニルイミデート(6)を5当量使用した。番号3、及び13~21では、MS4Aを167mg添加した。番号3、15~19、及び21では、塩基を10モル%使用した。番号5、及び8では、38時間反応させた。番号20では、40℃で36時間反応させた。番号16~19では、反応を室温で行った。番号15~19では、3当量のイミン(1)を使用した。
【実施例4】
【0045】
無機塩基を触媒として用いた反応実施例
下記の反応式にしたがって生成物7dを製造した。
【0046】
【化21】
JP0005180596B2_000014t.gif

【0047】
MS4A(50mg)とMg(OtBu)(10mol%)の入っている容器に、イミン1b(0.45mmol)のDMF(0.6mL)溶液とスルホニルイミデート6c(0.3mmol)を加えた。反応混合物を室温にて17時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物7d(94% 収率、アンチ/シン=96/4)を得た。
Mp. 122-123℃;
H-NMR (CDCl) δ :
8.19 (s, 1H), 7.36 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 6.93-7.05 (m, 4H),
6.89 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 6.62 (d, 1H, J = 9.6 Hz),
5.03 (t, 1H, J = 10.5 Hz), 4.87 (quint, 1H, J = 6.2 Hz),
4.48 (sext, 1H, J = 5.9 Hz), 2.86 (s, 3H), 1.96 (s, 3H),
1.34 (s, 9H), 1.15 (d, 3H, J = 5.7 Hz),
0.98 (d, 3H, J = 6.2 Hz), 0.91 (d, 3H, J = 6.2 Hz);
13C-NMR (CDCl) δ =
177.5, 154.7, 141.4, 140.5, 136.1, 134.5, 133.4, 132.4,
128.9, 128.3, 127.9, 127.7, 78.6, 72.1, 58.9, 46.0, 28.4,
21.0, 21.0, 20.6, 20.6, 14.9;
IR (neat) 3060, 3032, 2841, 2936, 2881, 1715, 1588, 1513, 1495,
1456, 1389, 1365, 1299, 1267, 1248, 1225, 1155, 1102,
1066, 1053, 1004, 973, 930, 910, 884, 851, 824, 738,
707, 644, 599, 553, 499, 465 cm-1;
HRMS (ESI);
2637Sとして、 計算値:[M+H] 489.2423, 実測値: 489.2417.
【実施例5】
【0048】
1aと6eとの反応
下記の反応式にしたがって生成物7fを製造した。
【0049】
【化22】
JP0005180596B2_000015t.gif

【0050】
MS4A(50mg)の入っている容器に、イミン1a(53.2mg,0.3mmol)のDMF(0.5mL)溶液を加えた。その混合物を0℃に冷却した後、スルホニルイミデート6e(340.9mg,1.5mmol)とDBU(10mol%)のDMF(0.1mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃にて30分間撹拌した後、EtO(5 mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物7f(95.8mg,79% 収率)を得た。
Mp. 80-81℃;
H-NMR (C) δ :
8.05-8.10 (m, 2H), 7.26-7.30 (m, 2H), 7.00-7.10 (m, 6H),
6.26 (d, 1H, J = 9.1 Hz), 5.47-5.57 (m, 1H), 3.92-4.03 (m, 2H), 3.59-3.81 (m, 3H), 2.95 (dd, 1H, J = 5.1, 14.2 Hz),
0.95 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 0.82 (t, 3H, J = 7.1 Hz);
13C-NMR (C) δ :
172.8, 155.9, 142.7, 142.0, 132.4, 129.0, 128.8, 127.0,
126.6, 64.8, 60.8, 53.3, 41.1, 14.6, 13.2;
IR (neat) 3360, 3065, 2982, 1719, 1599, 1523, 1473, 1446, 1397,
1374, 1305, 1243, 1155, 1091, 1041, 888, 755, 734, 700,
689, 631 cm-1;
HRMS (FAB);
2025Sとして、 計算値:[M+H] 405.1484, 実測値: 405.1487.
【実施例6】
【0051】
3成分反応
下記の式(6)に示される反応式にしたがって生成物7zを製造した。
【0052】
【化23】
JP0005180596B2_000016t.gif

【0053】
MS4A(50mg)とDMF(0.5mL)の入っている容器に、ベンズアルデヒド(45.7μL,0.45mmol)と2,5-キシリルスルホニルアミド(83.4mg,0.45mmol)を加えた。その混合物を室温にて20分間撹拌した後、0℃に冷却した。スルホニルイミデート6c(85.0mg,0.3mmol)とDBU(10mol%)のDMF(0.1mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃にて23時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物7z(116.8mg,70% 収率)を得た。
Mp. 99-100℃;
H-NMR (CDCl); δ :
8.23 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.12 (d, 1H, J = 9.1 Hz),
6.90-6.97 (m, 3H), 6.87 (dd, 1H, J = 7.6, 1.4 Hz),
6.65-6.73 (m, 3H), 6.53 (qd, 2H, J = 7.6, 1.4 Hz),
5.03 (quint, 1H, J = 6.2 Hz),
4.68 (dd, 1H, J = 11.0, 9.3 Hz),
4.48 (qd, 1H, J = 11.0, 6.5 Hz), 3.00 (s, 3H),
2.62 (s, 3H), 1.95 (s, 3H), 1.78 (s, 3H),
1.40 (d, 3H, J = 6.2 Hz), 0.96 (d, 3H, J = 6.2 Hz),
0.91 (d, 3H, J = 6.2 Hz);
13C-NMR (CDCl) δ =
177.0, 140.1, 140.0, 138.0, 136.1, 135.2, 135.0, 133.6,
133.2, 132.6, 132.2, 131.9, 129.7, 128.8, 128.3, 127.3,
73.1, 62.5, 46.4, 21.4, 21.1, 20.8, 20.5, 20.4, 20.0, 14.5;
IR (neat) 3060, 3029, 2982, 2936, 2878, 1592, 1578, 1493, 1458,
1386, 1359, 1331, 1292, 1226, 1208, 1162, 1102, 1065,
1030, 973, 910, 855, 824, 768, 747, 725, 707, 645,
607, 580, 548, 516, 501, 464, 436, 419 cm-1;
HRMS (FAB);
2937として、 計算値:[M+H] 557.2144, 実測値: 557.2151.
【実施例7】
【0054】
スルホニルイミデート6aとメチルアクリレートとの反応
下記の反応式にしたがって生成物8を製造した。
【0055】
【化24】
JP0005180596B2_000017t.gif

【0056】
MS4A(100mg)の入っている容器に、スルホニルイミデート6a(68.1mg,0.3mmol)のDMF(0.5mL)溶液とメチルアクリレート(38.7mg,0.45mmol)、DBU(10mol%)のDMF(0.1mL)溶液を室温にて加えた。反応混合物を室温にて20時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物8(70.4mg,75%収率)を得た。
H-NMR (CDCl); δ :
8.02-8.08 (m, 2H), 6.98-7.05 (m, 3H), 3.84-3.92 (m, 1H),
3.40 (s, 3H), 3.08 (s, 3H), 2.28-2.33 (m, 1H), 2.15-2.24 (m, 1H),
1.92-2.00 (m, 1H), 1.64-1.74 (m, 1H), 1.35 (d, 3H, J = 6.8 Hz);
13C-NMR (CDCl) δ :
178.5, 172.6, 143.2, 132.2, 128.8, 127.0, 54.7, 51.2, 38.8, 31.9,
29.3, 17.8;
IR (neat) 3064, 2952, 2879, 2852, 1738, 1603, 1446, 1350, 1307,
1263, 1197, 1155, 1123, 1092, 1026, 977, 951, 921, 839,
759, 734, 691, 626, 595, 536, 444, 419 cm-1;
HRMS (FAB);
1420NOSとして、 計算値:[M+H]370.1683,
実測値: 370.1700.
【実施例8】
【0057】
スルホニルイミデート6aとジターシャリーブチルアゾジカルボキシレートとの反応
下記の反応式にしたがって、生成物9を製造した。
【0058】
【化25】
JP0005180596B2_000018t.gif

【0059】
MS4A(100mg)の入っている容器に、スルホニルイミデート6a(136.4mg,0.6mmol)のDMF(1.1mL)溶液とジターシャリーブチルアゾジカルボキシレート(152mg,0.66mmol)、DBU(5mol%)のDMF(0.1mL)溶液を室温にて加えた。反応混合物を室温にて1.5時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物9(236.3mg,86% 収率)を得た。
H-NMR(DMSO-d6, 70 ℃) δ :
8.16-8.80 (m, 1H), 7.90-7.94 (m, 2H), 7.53-7.69 (m, 3H),
5.50-5.63 (m, 1H), 3.70 (s, 3H), 1.35-1.45 (m, 21H);
13C-NMR(DMSO-d6, 70 ℃) δ :
141.6, 132.3, 128.7, 125.7, 79.3, 55.4, 55.3, 54.4, 27.7, 27.6,
14.6;
IR (neat) 3326, 2979, 1732, 1613, 1540, 1507, 1478, 1448, 1393,
1368, 1307, 1247, 1155, 1092, 1075, 1024, 955, 911, 854,
758, 733, 690, 611, 585 cm-1;
HRMS (FAB);
2032Sとして、計算値:[M+H] 458.1961, 実測値: 458.1975.
【実施例9】
【0060】
スルホニルイミデート7gの10への変換
下記の反応式にしたがって、生成物10を製造した。
【0061】
【化26】
JP0005180596B2_000019t.gif

【0062】
スルホニルイミデート7g(50 mg,0.092 mmol)の入っている容器に、i-PrOHと水の混合液(95/5,0.5mL)と濃硫酸(66mg)を加えた。反応液を80℃にて40分間撹拌した後、100℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却した後、塩化メチレンで希釈した。飽和重曹水を加えた後、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し生成物10(46.1mg,収率 定量的)を得た。
【実施例10】
【0063】
スルホニルイミデート7yの11への変換
下記の反応式にしたがって、生成物11を製造した。
【0064】
【化27】
JP0005180596B2_000020t.gif

【0065】
スルホニルイミデート7y(82.3mg,0.19mmol)の入っている容器に、DMFと水の混合液(95/5,0.38mL)とDBU(10mol%)のDMF(0.03mL)溶液を加えた。反応液を室温にて33時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。水で3回洗浄した後、得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物11(50.4 mg,90% 収率)を得た。
【実施例11】
【0066】
スルホニルイミデート7dの12aへの変換
下記の反応式にしたがって、生成物12aを製造した。
【0067】
【化28】
JP0005180596B2_000021t.gif

【0068】
実施例4で製造した7d(100mg,0.205mmol)のTHF(2mL)溶液を-70℃に冷却した後、Red-Al(65% w/wトルエン溶液、385μL,7当量)をゆっくり滴下した。18時間さらに撹拌した後、MeOH(0.1mL)を-70℃にて加え反応を停止した。5分間撹拌した後、水を加え室温まで昇温した。酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、不溶物を濾過し、母液を酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製後、生成物12a(46.9mg,87% 収率)を得た。
【実施例12】
【0069】
13の生成法
下記の反応式にしたがって、生成物13を製造した。
【0070】
【化29】
JP0005180596B2_000022t.gif

【0071】
ベンズアルデヒド(60.9μL,0.6mmol)とDBU(18.3mg,0.12mmol)のDMF(0.2mL)溶液の入った容器に、2,5-キシリルスルホニルアミド(11.1mg,0.06mmol)を加えた。その溶液に、スルホニルイミデート6h(183.8mg,0.72mmol)のDMF(1mL)溶液を32時間かけて、低速添加した。低速添加終了後、さらに46時間撹拌後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。水で3回洗浄した後、得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物13(196.2mg,90% 収率、アンチ/シン=87/13)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、新規な求核試薬を提供するものである。有機合成分野における新規な反応を提供することができることから、有機合成産業において極めて有用な方法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。