TOP > 国内特許検索 > 光応答性核酸の製造方法 > 明細書

明細書 :光応答性核酸の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4777373号 (P4777373)
公開番号 特開2009-191021 (P2009-191021A)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発行日 平成23年9月21日(2011.9.21)
公開日 平成21年8月27日(2009.8.27)
発明の名称または考案の名称 光応答性核酸の製造方法
国際特許分類 C07H  21/00        (2006.01)
FI C07H 21/00
請求項の数または発明の数 13
全頁数 30
出願番号 特願2008-033713 (P2008-033713)
出願日 平成20年2月14日(2008.2.14)
審査請求日 平成22年12月28日(2010.12.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】藤本 健造
【氏名】荻野 雅之
【氏名】吉村 嘉永
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
【識別番号】100127133、【弁理士】、【氏名又は名称】小板橋 浩之
審査官 【審査官】伊藤 幸司
参考文献・文献 特開2005-035086(JP,A)
特開2001-348398(JP,A)
特表2000-510145(JP,A)
特開2004-298802(JP,A)
YOSHIMURA,Yoshinaga et al., Org. Lett., 2006, 8(22),5049-5051
SESSLER, Jonathan L. et al., Org. Lett., 2003, 5(15), 2627-2630
LIU, J. et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14(3-5), 525-528
BERGSTROM, Donald E. et al., Journal of Organic Chemistry, 1981, 46(7), 1423-1431
LUYTEN, I. et al., Antiviral Chemistry & Chemotherapy, 1995, 6(4), 262-270
SHIGETA, S. et al., Antiviral Chemistry & Chemotherapy, 2002, 13(2), 67-82
FARINA, Vittorio et al., The Stille reaction, Organic Reactions, (1997), 50, 366
調査した分野 C07H19/00-21/04
CA/REGISTRY/CASREACT(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の工程(a):
(a) 塩基部分として、次の式I:
【化1】
JP0004777373B2_000042t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
A1は、ハロゲン原子を示す。)
で表される基を有する核酸と、
次の式II:
【化5】
JP0004777373B2_000043t.gif
(ただし、式II中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
で表される化合物とを、
パラジウム錯体触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、
を含む、
次の式XI:
【化10】
JP0004777373B2_000044t.gif
(ただし、式XI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
で表わされる基を含む核酸の製造方法、
又は、次の工程(b):
(b) 塩基部分として、次の式VI:
【化6】
JP0004777373B2_000045t.gif
(ただし、式VI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
で表される基を有する核酸と、
次の式VII:

-B(OH) (VII)

(ただし、式VII中、R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表される化合物とを、
パラジウム錯体触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、
を含む、
次の式XV:
【化14】
JP0004777373B2_000046t.gif
(ただし、式XV中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表わされる基を含む核酸の製造方法。
【請求項2】
工程(a)を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)が、パラジウム錯体触媒、塩基性物質、溶媒、及びカルボン酸塩水溶液の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)が、パラジウム錯体触媒、塩基性物質、溶媒、及びカルボン酸塩水溶液の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
塩基性物質が、C1~C6のアルキル基を有するトリアルキルアミンである、請求項1~の何れかに記載の方法。
【請求項7】
工程(a)が、パラジウム錯体触媒、溶媒、及びカルボン酸塩水溶液の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)が、パラジウム錯体触媒、溶媒、及びカルボン酸塩水溶液の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項9】
カルボン酸塩水溶液が、C1~C3のカルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液である、請求項4~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
カルボン酸塩水溶液が、pH4.5~6.0の範囲にある緩衝液である、請求項4~9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
マイクロウェーブによる加熱が、70~140℃の範囲の温度で行われる、請求項4~10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
マイクロウェーブによる加熱が、1~30分の範囲の時間で行われる、請求項4~11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、非プロトン性極性溶媒である、請求項1~12の何れかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光応答性核酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子生物学の分野の基本的な技術に、核酸の連結がある。核酸の連結は、例えば、ハイブリダイゼーションと組みあわせて、遺伝子の導入や、塩基配列の検出のために使用される。そのために、核酸の連結は、分子生物学の基礎研究だけではなく、例えば、医療分野における診断や治療、あるいは治療薬や診断薬等の開発や製造、工業及び農業分野における酵素や微生物等の開発や製造に使用される極めて重要な技術である。
【0003】
核酸の連結は、例えば、DNAリガーゼ等を使用して従来から行われている。しかし、このような生体内の酵素反応を取り出した反応は、特別な条件設定を行わなければならず、さらに、使用される酵素類が比較的高価で、安定性に乏しい等の欠点を有する。このような欠点を克服するために、酵素類を使用しない核酸の連結の技術が研究されてきた。
【0004】
酵素類を使用しない核酸の連結の技術として、核酸と反応性のある有機化合物を使用する方法がある。近年、光反応を利用した核酸連結技術が、反応の時間的空間的な制御が自由であること、一般的な有機化学反応よりも緩和な条件で反応可能であること等の利点から、注目されるようになってきた。
【0005】
このような光連結技術として、5-シアノビニルデオキシウリジン及びその誘導体(光連結性核酸類、又は光応答性核酸類)を使用した光連結技術(特許文献1:特許第3753938号公報、特許文献2:特許第3753942号公報)が知られている。
【0006】
このような光応答性核酸類は、優れた特性を有している一方で、その合成は容易ではなく、充分な量の目的化合物を得るには数時間から数日間の長い反応時間が必要であり、さらに副反応を伴うため收率も50%から60%と高いものではなかった。

【特許文献1】特許第3753938号公報
【特許文献2】特許第3753942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、5-シアノビニルデオキシウリジン及びその誘導体をはじめとする、光応答性(光連結性)核酸類として知られる化合物は、その合成が容易ではなく、長い反応時間を必要とし、収率も低いものであった。
【0008】
このために、光応答性(光連結性)核酸類として知られる化合物を、従来よりも短時間で、高い収率で、簡便に得ることができる製造方法が求められていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、光応答性(光連結性)核酸類として知られる化合物を、従来よりも短時間で、高い収率で、簡便に得ることができる製造方法を提供することにある。
【0010】
さらに、従来は、光応答性(光連結性)核酸類である化合物を、例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)の一部の塩基が修飾された誘導体として得ようとする場合には、あらかじめ修飾した塩基部分を有する修飾ヌクレオシドから出発してフォスフォロアミダイト体を経て、DNA合成装置等により得るしかなかった。すなわち、従来は、同じ塩基配列を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドであっても、異なった修飾塩基を有する光応答性核酸類としたい場合に、所望の塩基配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドとした後に目的の塩基に対して所望の修飾を行って所望の光応答性核酸類を得るという方法(ポスト合成法)はとることができず、異なった修飾塩基を有する光応答性核酸類を得たい場合には、あらかじめ修飾した塩基部分を有する修飾ヌクレオシドから出発してフォスフォロアミダイト体を経て、オリゴデオキシリボヌクレオチドの全体をその都度合成することが必要であった。
【0011】
このために、所望の塩基配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドとした後に目的の塩基に対してその都度所望の修飾を行って所望の光応答性核酸類を得ることのできる製造方法(ポスト合成法)が求められていた。
【0012】
従って、本発明の目的は、所望の塩基配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドとした後に目的の塩基に対してその都度所望の修飾を行って所望の光応答性核酸類を得ることのできる、光応答性(光連結性)核酸類として知られる化合物の製造方法を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、光応答性核酸の合成方法を鋭意研究してきた結果、上記目的が、次の製造方法によって達成されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0014】
従って、本発明は、次の[1]~[16]にある。
[1]
次の工程(a):
(a) 塩基部分として、次の式I、式III、式IV、又は式V:
【化18】
JP0004777373B2_000002t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
A1は、ハロゲン原子を示す。)
【化19】
JP0004777373B2_000003t.gif
(ただし、式III中、A1は、ハロゲン原子を示す。)

【化20】
JP0004777373B2_000004t.gif
(ただし、式IV中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
A1は、ハロゲン原子を示す。)
【化21】
JP0004777373B2_000005t.gif
(ただし、式V中、A1は、ハロゲン原子を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)と、
次の式II:
【化22】
JP0004777373B2_000006t.gif
(ただし、式II中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
で表される化合物とを、
金属触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、

又は、次の工程(b):
(b) 塩基部分として、次の式VI、式VIII、式IX、又は式X:
【化23】
JP0004777373B2_000007t.gif
(ただし、式VI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化24】
JP0004777373B2_000008t.gif
(ただし、式VIII中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化25】
JP0004777373B2_000009t.gif
(ただし、式IX中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化26】
JP0004777373B2_000010t.gif
(ただし、式X中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)と、
次の式VII:

-B(OH) (VII)

(ただし、式VII中、R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表される化合物とを、
金属触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、
を含む、光応答性核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)の製造方法。
[2]
工程(a)を含んでなる、[1]に記載の方法。
[3]
工程(b)を含んでなる、[1]に記載の方法。
[4]
工程(a)によって製造される光応答性核酸類が、次の式XI、式XII、式XIII、又は式XIV:
【化27】
JP0004777373B2_000011t.gif
(ただし、式XI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化28】
JP0004777373B2_000012t.gif
(ただし、式XII中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化29】
JP0004777373B2_000013t.gif
(ただし、式XIII中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示、YがNHであるときは水素原子を示し、
R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化30】
JP0004777373B2_000014t.gif
(ただし、式XIV中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)

で表される基(ただし、式XIで表される基は式I及び式IIで表される基の反応から、式XIIで表される基は式III及び式IIで表される基の反応から、式XIIIで表される基は式IV及び式IIで表される基の反応から、式XIVで表される基は式V及び式IIで表される基の反応から、それぞれ製造される)を含む光応答性核酸類である、[1]又は[2]に記載の方法。
[5]
工程(b)によって製造される光応答性核酸類が、次の式XV、式XVI、式XVII、又は式XVIII:
【化31】
JP0004777373B2_000015t.gif
(ただし、式XV中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化32】
JP0004777373B2_000016t.gif
(ただし、式XVI中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化33】
JP0004777373B2_000017t.gif
(ただし、式XVII中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示、YがNHであるときは水素原子を示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化34】
JP0004777373B2_000018t.gif
(ただし、式XVIII中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)

で表される基(ただし、式XVで表される基は式VI及び式VIIで表される基の反応から、式XVIで表される基は式VIII及び式VIIで表される基の反応から、式XVIIで表される基は式IX及び式VIIで表される基の反応から、式XVIIIで表される基は式X及び式VIIで表される基の反応から、それぞれ製造される)を含む光応答性核酸類である、[1]又は[3]に記載の方法。
[6]
工程(a)が、金属触媒、塩基性物質、溶媒、及び反応活性化物質の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、[1]、[2]、又は[4]に記載の方法。
[7]
工程(b)が、金属触媒、塩基性物質、溶媒、及び反応活性化物質の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる、[1]、[3]、又は[5]に記載の方法。
[8]
金属触媒が、パラジウム錯体触媒である、[1]~[7]の何れかに記載の方法。
[9]
溶媒が、非プロトン性極性溶媒である、[1]~[8]の何れかに記載の方法。
[10]
塩基性物質が、C1~C6のアルキル基を有するトリアルキルアミンである、[1]~[9]の何れかに記載の方法。
[11]
反応活性化物質が、カルボン酸塩水溶液である、[6]~[10]の何れかに記載の方法。
[12]
塩基性物質と反応活性化物質とを兼ねて、カルボン酸塩水溶液が使用される、[6]~[11]の何れかに記載の方法。
[13]
カルボン酸塩水溶液が、C1~C3のカルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液である、[11]~[12]の何れかに記載の方法。
[14]
カルボン酸塩水溶液が、pH4.5~6.0の範囲にある緩衝液である、[11]~[13]の何れかに記載の方法。
[15]
マイクロウェーブによる加熱が、70~140℃の範囲の温度で行われる、[1]~[14]の何れかに記載の方法。
[16]
マイクロウェーブによる加熱が、1~30分の範囲の時間で行われる、[1]~[15]の何れかに記載の方法。
【0015】
さらに、本発明は、次の[17]~[21]にもある。
[18] 工程(a)において、式I、式III、式IV、又は式Vで表される基と水素原子とが結合してなる化合物と、式IIで表される化合物とを、反応させて、式XI、式XII、式XIII、又は式XIVで表される基と水素原子とが結合してなる光応答性塩基を製造する方法。
[19] 工程(b)において、式VI、式VIII、式IX、又は式Xで表される基と水素原子とが結合してなる化合物と、式VIIで表される化合物とを、反応させて、式XV、式XVI、式XVII、又は式XVIIIで表される基と水素原子とが結合してなる光応答性塩基を製造する方法。
[20] 工程(a)において、塩基部分として式I、式III、式IV、又は式Vで表される基を有するヌクレオシド又はその誘導体と、式IIで表される化合物とを、反応させて、式XI、式XII、式XIII、又は式XIVで表される光応答性のヌクレオシド又はその誘導体を製造する方法。
[21] 工程(b)において、塩基部分として式VI、式VIII、式IX、又は式Xで表される基を有するヌクレオシド又はその誘導体と、式VIIで表される化合物とを反応させて、式XV、式XVI、式XVII、又は式XVIIIで表される光応答性のヌクレオシド又はその誘導体を製造する方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光応答性(光連結性)核酸類として知られる化合物を、従来よりも短時間で、高い収率で、簡便に得ることができる。例えば、光応答性核酸類のモノマーの合成において、従来の方法では数時間を要した反応を、わずか数分で完了することができ、その収率も従来よりも数十%向上し、あらゆる点から効率のよい製造を行うことができる。
【0017】
さらに、従来は、光応答性(光連結性)核酸類である化合物を、例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)の一部の塩基が修飾された誘導体として得ようとする場合には、あらかじめ修飾した塩基部分を有する修飾ヌクレオシドから出発してフォスフォロアミダイト体を経て、DNA合成装置等により得るしかなく、同じ塩基配列を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドであっても、異なった修飾塩基を有する光応答性核酸類としたい場合に、所望の塩基配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドとした後に目的の塩基に対して所望の修飾を行って所望の光応答性核酸類を得るという方法(ポスト合成法)はとることができず、異なった修飾塩基を有する光応答性核酸類を得たい場合には、あらかじめ修飾した塩基部分を有する修飾ヌクレオシドから出発してフォスフォロアミダイト体を経て、オリゴデオキシリボヌクレオチドの全体をその都度合成することが必要であった。
【0018】
これに対して、本発明は、所望の塩基配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドとした後に目的の塩基に対してその都度所望の修飾を行って所望の光応答性核酸類を得ることのできる製造方法(ポスト合成法)を、初めて提供するものである。
【0019】
本発明によるポスト合成法によれば、従来のフォスホアミダイト法による合成法であれば1週間は要する光応答性核酸類のオリゴマーの製造を、わずか1日間で行うことができ、その収率も極めて高いために、本発明は、あらゆる点から効率がよい画期的な製造方法を初めて提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明について、以下に具体的な実施の形態をあげて、詳細に説明する。本発明は、以下に例示する具体的な実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明は、次の工程(a):
(a) 塩基部分として、次の式I、式III、式IV、又は式V:
【化35】
JP0004777373B2_000019t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
A1は、ハロゲン原子を示す。)
【化36】
JP0004777373B2_000020t.gif
(ただし、式III中、A1は、ハロゲン原子を示す。)
【化37】
JP0004777373B2_000021t.gif
(ただし、式IV中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
A1は、ハロゲン原子を示す。)
【化38】
JP0004777373B2_000022t.gif
(ただし、式V中、A1は、ハロゲン原子を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸及びペプチド核酸が含まれる)と、
次の式II:
【化39】
JP0004777373B2_000023t.gif
(ただし、式II中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
で表される化合物とを、
金属触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、

又は、次の工程(b):
(b) 塩基部分として、次の式VI、式VIII、式IX、又は式X:
【化40】
JP0004777373B2_000024t.gif
(ただし、式VI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化41】
JP0004777373B2_000025t.gif
(ただし、式VIII中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化42】
JP0004777373B2_000026t.gif
(ただし、式IX中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示、YがNHであるときは水素原子を示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)
【化43】
JP0004777373B2_000027t.gif
(ただし、式X中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
A2は、ハロゲン原子を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸及びペプチド核酸が含まれる)と、
次の式VII:

-B(OH) (VII)

(ただし、式VII中、R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表される化合物とを、
金属触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して、反応させる工程、
を含む、光応答性核酸類の製造方法にある。
【0022】
本発明は、上記方法を使用することにより、
工程(a)によって製造される光応答性核酸類として、次の式XI、式XII、式XIII、又は式XIV:
【化44】
JP0004777373B2_000028t.gif
(ただし、式XI中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化45】
JP0004777373B2_000029t.gif
(ただし、式XII中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化46】
JP0004777373B2_000030t.gif
(ただし、式XIII中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示、YがNHであるときは水素原子を示し、
R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)
【化47】
JP0004777373B2_000031t.gif
(ただし、式XIV中、R1は、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基を示し、
R2は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示す。)

で表される基(ただし、式XIで表される基は式I及び式IIで表される基の反応から、式XIIで表される基は式III及び式IIで表される基の反応から、式XIIIで表される基は式IV及び式IIで表される基の反応から、式XIVで表される基は式V及び式IIで表される基の反応から、それぞれ製造される)を含む光応答性核酸類を、製造する方法にあり、

及び、工程(b)によって製造される光応答性核酸類として、次の式XV、式XVI、式XVII、又は式XVIII:
【化48】
JP0004777373B2_000032t.gif
(ただし、式XV中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化49】
JP0004777373B2_000033t.gif
(ただし、式XVI中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化50】
JP0004777373B2_000034t.gif
(ただし、式XVII中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示、YがNHであるときは水素原子を示し、
R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)
【化51】
JP0004777373B2_000035t.gif
(ただし、式XVIII中、R4は、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R3は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基を示す。)

で表される基(ただし、式XVで表される基は式VI及び式VIIで表される基の反応から、式XVIで表される基は式VIII及び式VIIで表される基の反応から、式XVIIで表される基は式IX及び式VIIで表される基の反応から、式XVIIIで表される基は式X及び式VIIで表される基の反応から、それぞれ製造される)を含む光応答性核酸類を、製造する方法にある。
【0023】
本発明の工程(a)における反応は、いわゆるヘック反応(溝呂木・ヘック反応)に基づくものであり、従来のヘック反応から飛躍的な時間短縮と収率向上を達成し、さらに従来不可能であった修飾核酸オリゴマーのポスト合成を可能にしたものである。
【0024】
また、本発明の工程(b)における反応は、いわゆる鈴木カップリング(鈴木・宮浦カップリング)に基づくものであり、従来の鈴木カップリングからから飛躍的な時間短縮と収率向上を達成し、さらに従来不可能であった修飾核酸オリゴマーのポスト合成を可能にしたものである。
【0025】
従って、本発明の工程(a)及び工程(b)における反応は、本発明で特に示す他には、従来のヘック反応、及び鈴木カップリングで使用可能な条件及び化合物(官能基)を同様に使用することができる。
【0026】
R1は、ヘック反応で上記のように使用可能な基であれば使用することができるが、本発明において、一般に、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基とすることができ、好ましくは水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、C2~C6のアルコキシカルボニル基とすることができる。アルコキシカルボニル基としては、一般にC2~C6、好ましくはC2~C4のアルコキシカルボニル基を使用することができ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基を例示することができ、特にメトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が好ましい。置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基は、置換若しくは無置換の複素環式化合物の一価基であってもよい。
【0027】
R2は、ヘック反応で上記のように使用可能な基であれば使用することができるが、本発明において、一般に、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基とすることができ、好ましくは水素原子、C1~C3のアルキル基、C1~C3のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C3のアシル基とすることができる。
【0028】
R3は、鈴木カップリングで上記のように使用可能な基であれば使用することができるが、本発明において、一般に、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、又はアルコキシカルボニル基とすることができ、好ましくは置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基、水素原子、シアノ基、カルボキサミド基、C2~C6のアルコキシカルボニル基とすることができる。アルコキシカルボニル基としては、一般にC2~C6、好ましくはC2~C4のアルコキシカルボニル基を使用することができ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基を例示することができ、特にメトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が好ましい。置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基は、置換若しくは無置換の複素環式化合物の一価基であってもよい。鈴木カップリングにおけるR3基は、かさが大きく、大きな平面構造を有する基であっても、高い効率で使用することができる。すなわち、鈴木カップリングにおけるR3基として導入すれば、ヘック反応におけるR1基よりもより大きな基、特に大きな平面構造を有する基を好適に導入することができる。
【0029】
R4は、鈴木カップリングで上記のように使用可能な基であれば使用することができるが、本発明において、一般に、水素原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基とすることができ、好ましくは水素原子、C1~C3のアルキル基、C1~C3のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C3のアシル基とすることができる。
【0030】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基は、一般に1~10個、好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~6個、さらに好ましくは1~4個、特に好ましくは1~3個の範囲にある環を含んでおり、これらは、複素環式化合物の一価基であってもよい。
【0031】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基は、一般には4~8員環、好ましくは4~7員環、さらに好ましくは4~6員環、さらに好ましくは5~6員環から形成されており、これらは、複素環式化合物の一価基であってもよい。
【0032】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基は、5~6員環を、1~3個含み、1個以上の環が複素環である化合物の一価基が使用される。
【0033】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基として、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as-インダセン、s-インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、及びアントラセンの一価基を例示することができる。
【0034】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基として、例えば、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ピロール、ベンゾピロール、及びイソベンゾピロールの一価基を例示することができる。
【0035】
好適な実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基として、フラン-2-イル、フラン-3-イル、ベンゾフラン-2-イル、ベンゾフラン-3-イル、イソベンゾフラン-1-イル、イソベンゾフラン-3-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、ベンゾチオフェン-2-イル、ベンゾチオフェン-3-イル、イソベンゾチオフェン-1-イル、イソベンゾチオフェンン-3-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、ベンゾピロール-2-イル、ベンゾピロール-3-イル、イソベンゾピロール-1-イル、イソベンゾピロール-3-イルを例示することができる。好ましい実施の態様において、置換若しくは無置換の芳香族化合物の一価基として、フラン-2-イル、ベンゾフラン-2-イル、チオフェン-2-イル、ベンゾチオフェン-2-イル、ピロール-2-イル、及びベンゾピロール-2-イルを例示することができる。
【0036】
A1は、ハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。好適な態様において、A1のハロゲン原子として、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、特に好ましくはヨウ素原子を挙げることができる。
【0037】
A2は、ハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。好適な態様において、A2のハロゲン原子として、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、特に好ましくは臭素原子を挙げることができる。
【0038】
工程(a)及び工程(b)は、金属触媒、塩基性物質、溶媒の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる。
【0039】
本発明では、このようなマイクロウェーブを使用した加熱により、反応時間の短縮と収率の向上を同時に達成している。
【0040】
マイクロウェーブによる加熱は、一般に、70~140℃、好ましくは75~125℃、さらに好ましくは80~120℃、さらに好ましくは80~110℃の範囲の温度となるように行われる。マイクロウェーブによる加熱時間は、上記温度で、一般に、1~30分、好ましくは2~20分、さらに好ましくは3~20分、さらに好ましくは3~10分の範囲の時間で行われる。マイクロウェーブによる加熱は、2回、又は3回以上に分けて行うこともできる。マイクロウェーブに使用されるマグネトロン周波数は、上記温度及び時間を達成することができるものであれば使用することができるが、一般に、2.45GHzの周波数を使用することができる。マイクロウェーブに使用される出力は、上記温度及び時間を達成することができるものであれば使用することができる。
【0041】
金属触媒は、ヘック反応及び鈴木カップリングに使用できる金属触媒を使用することができるが、特にパラジウム錯体触媒が好ましい。好適に使用可能なパラジウム錯体触媒としては、例えば、PdCl触媒、Pd(OAc)触媒等を挙げることができる。
【0042】
溶媒は、ヘック反応及び鈴木カップリングに使用できる溶媒を使用することができるが、特に非プロトン性極性溶媒が好ましい。好適に使用可能な非プロトン性極性溶媒としては、例えば、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)(DMF)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)(DMSO)を挙げることができ、好ましくはDMF、及びDMSOを使用することができる。これらの非プロトン性極性溶媒には、水を添加して使用することもできる。
【0043】
塩基性物質としては、ヘック反応及び鈴木カップリングに使用できる塩基性物質を使用することができる。好適に使用可能な塩基性物質として、例えば、トリアルキルアミンを挙げることができる。トリアルキルアミンとしては、一般にC1~C6のアルキル基を有するトリアルキルアミン、好ましくはC1~C4のアルキル基を有するトリアルキルアミン、さらに好ましくはC2~C4のアルキル基を有するトリアルキルアミンを挙げることができる。好適な実施の態様において、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンを使用することができ、好ましくはトリエチルアミン及びトリブチルアミンを使用することができる。
【0044】
本発明の好適な実施の態様において、工程(a)及び工程(b)は、金属触媒、塩基性物質、溶媒、及び反応活性化物質の存在下で、マイクロウェーブにより加熱して行われる。このような反応活性化物質の存在下でマイクロウェーブ加熱することによって、工程(a)及び工程(b)の反応を、特に好適におこなうことができる。
【0045】
本発明で使用可能な反応活性化物質として、カルボン酸塩水溶液を挙げることができる。カルボン酸塩としては、C1~C3のカルボン酸の塩、好ましくは酢酸の塩を使用することができる。カルボン酸塩としては、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩、特に好ましくはナトリウム塩を使用することができる。
【0046】
カルボン酸塩水溶液は、好ましくはpH4.5~6.0の範囲、さらに好ましくはpH5.0~5.5の範囲にある緩衝液であることが好ましい。このような緩衝液は、水に溶解したカルボン酸塩にさらにカルボン酸を滴下して作製することができる。
【0047】
本発明の好ましい態様において、塩基性物質と反応活性化物質とを兼ねて、カルボン酸塩水溶液を使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
[5-ヨード-2’-デオキシウリジン(U)からの光応答性化合物合成]
マイクロ波を用いた効率的加熱による短時間、高収率な光応答性化合物の合成を行った。このとき式1に示す様にビニル基を有する基質を複数種類試した。
【化52】
JP0004777373B2_000036t.gif

【0050】
[実施例1]
(1)5-カルボメトキシビニル-2’-デオキシウリジン(CVU)の合成

式(1)に従い図1に示す化合物(CVU)の合成を行った。窒素雰囲気下でパラジウム(II)アセテート(13.4 mg, 0.06 mmol)をDMF(500μl)に溶かし込み、そこへ粉末のままの5-ヨード-2’-デオキシウリジン(200 mg, 0.56 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(130μl, 0.56 mmol)、メチルアクリレート(120μl, 1.12 mmol)を加えた。試薬添加後、マイクロウェーブ照射により100℃まで加熱して4分間反応させた。反応終了後のサンプルをろ過し、パラジウム粉を取り除き、エバポレーターにて溶媒を除去した。シリカゲルカラムを用いて精製を行った。展開溶媒をCHCl:MeOH=95:5から9:1に変化させて白色固体の生成物(162 mg, 0.52 mmol, 92%)を得た。1H NMRの分析結果から図1に示す化合物である5-カルボメトキシビニル-2’-デオキシウリジン(CVU)と同定した。

1H NMR (DMSO 300 MHz) δ11.6 (br. s, 1H, 3NH); 8.42 (s, 1H, H-C(6)); 7.38 (d, 1H, J=16.2 Hz, CH=CH); 6.86 (d, 1H, J=16.2 Hz, CH=CH); 6.14 (t, 1H, J=6.3, H-C(1')) ; 5.26 (d, 1H J= 4.2 Hz, 3'-OH); 5.17(t, 1H, J= 5.4 Hz, 5'-OH); 4.26 (m, 1H, H-C(3')); 3.81 (dd, 1H, J= 6.6, 3.3 Hz, H-C(4')); 3.69 (s, 3H, OMe); 3.63-3.59 (m, 2H, H-C(5')); 2.21-2.16 (m, 2H, H-C(2')).
HRMS (MALDI) cald. for C13H17N2O7 [(M+H)+]: 313.104, found: 313.333.
【0051】
[実施例2]
(2)5-カルバモイルビニル-2’-デオキシウリジン(CMVU)の合成

式(1)に従い図2に示す化合物(CMVU)の合成を行った。窒素雰囲気下でパラジウム(II)アセテート(13.4 mg, 0.06 mmol)をDMF(500μl)に溶かし込み、そこへ粉末のままの5-ヨード-2’-デオキシウリジン(200 mg, 0.56 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(130μl, 0.56 mmol)、アクリルアミド(100 mg, 1.40 mmol)を加えた。試薬添加後、マイクロウェーブ照射により100℃まで加熱して4分間反応させた。反応終了後のサンプルをろ過し、パラジウム粉を取り除き、エバポレーターにて溶媒を除去した。CHCl:MeOH=1:1の溶媒で洗浄し白色個体(141 mg, 0.48 mmol, 85%)を得た。1H NMRの分析結果から図2に示す化合物である5-カルバモイルビニル-2’-デオキシウリジン(CMVU)と同定した。

1H NMR (DMSO 300 MHz) δ11.5 (br. s, 1H, 3NH); 8.28 (s, 1H, H-C(6); 7.50 (br. s, 1H, NH2); 6.91 (br. s,1H,NH2); 7.12 (d, 1H, J=15.6 Hz, CH=CH); 6.97 (d, 1H, J=15.6 Hz, CH=CH); 6.14 (t, 1H, J=6.3, H-C(1')); 5.25 (d, 1H, J=4.2 Hz, 3'-OH); 5.16 (t, 1H, J=5.1 Hz, 5'-0H); 4.26 (m, 1H, H-C(3')); 3.81 (m, 1H, H-C(4')); 3.66-3.59 (m, 2H, H-C(5'); 2.21-2.09 (m, 2H, H-C(2')).
HRMS (MALDI) cald. for C12H15N3O6Na [(M+Na)+]: 320.086, found: 320.502.
【0052】
[実施例3]
(3)5-シアノビニル-2’-デオキシウリジン(CNVU)の合成

式(1)に従い図3に示す化合物(CNVU)の合成を行った。窒素雰囲気下でパラジウム(II)アセテート(13.4 mg, 0.06 mmol)をDMF(500μl)に溶かし込み、そこへ粉末のままの5-ヨード-2’-デオキシウリジン(200 mg, 0.56 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(130μl, 0.56 mmol)、アクリロニトリル(91μl, 1.40 mmol)を加えた。試薬添加後、マイクロウェーブ照射により100℃まで加熱して4分間反応させた。反応終了後のサンプルをろ過し、パラジウム粉を取り除き、エバポレーターにて溶媒を除去した。シリカゲルカラムを用いて精製を行った。展開溶媒をCHCl:MeOH=95:5から9:1に変化させて白色固体の生成物(82 mg, 0.31 mmol, 54%)を得た。1H NMRの分析結果から図3に示す化合物である5-カルボメトキシビニル-2’-デオキシウリジン(CNVU)と同定した。

1H NMR (DMSO 300 MHz) δ11.7 (br. s, 1H, 3NH); 8.35 (s, 1H, H-C(6)); 7.23 (d, 1H, J=16.2 Hz, CH=CH); 6.52 (d, 1H, J=16.2 Hz, CH=CH); 6.10 (t, 1H, J=6.0, H-C(1')); 5.27 (d, 1H, J=4.2 Hz, 3'-OH); 5.11 (t, 1H, J=5.4 Hz, 5'-OH); 4.25 (m, 1H, H-C(3')); 3.82 (dd, 1H, J=7.2, 3.6 Hz, H-C(4')); 3.68-3.57 (m,2H, H-C(5')); 2.20-2.15 (m, 2H, H-C(2')).
HRMS (MALDI) cald. for C12H13N3O6Na [(M+Na)+]: 302.075, found: 302.067.

【0053】
[実施例4]
(4)5-ビニル-2’-デオキシウリジン(U)の合成

式(1)に従い図1に示す化合物(U)の合成を行った。窒素雰囲気下でパラジウム(II)アセテート(13.4 mg, 0.06 mmol)をDMF(500μl)に溶かし込み、そこへ粉末のままの5-ヨード-2’-デオキシウリジン(200 mg, 0.56 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(130μl, 0.56 mmol)、メチルアクリレート(1.04 ml, 11.3 mmol)を加えた。試薬添加後、マイクロウェーブ照射により100℃まで加熱して20分間反応させた。反応終了後のサンプルをろ過し、パラジウム粉を取り除き、エバポレーターにて溶媒を除去した。シリカゲルカラムを用いて精製を行った。展開溶媒をCHCl:MeOH=95:5から9:1に変化させて白色固体の生成物(80 mg, 0.31 mmol, 56%)を得た。1H NMRの分析結果から図4に示す化合物である5-ビニル-2’-デオキシウリジン(U)と同定した。

1H NMR (DMSO 300 MHz) δ11.4 (br. s, 1H, 3NH); 8.11 (s, 1H, H-C(6)); 6.36 (dd, 1H, J=17.7, 11.5 Hz, CH=CH); 6.15 (t, 1H, J=6.3, H-C(1')); 5.82-5.78 (m, 1H, vinyl cis); 5.26-5.09 (m, 3H, vinyl trans, 3'-OH, 5'-OH); 4.25 (t, 1H, J=4.0 Hz, H-C(3')); 3.79-3.78 (m, 1H, H-C(4')); 3.65-3.54 (m, 2H, H-C(5')); 2.18- 2.10 (m,2H, H-C(2')).
HRMS (MALDI) cald. for C11H14N2O5Na [(M+Na)+]: 277.080, found:277.066.
【0054】
[まとめ1]
上記実施例1~4による反応の収率及び反応時間と各合成において従来の方法によって行った場合(比較例1~4)の収率と反応時間とを、次の表1にまとめて示す。
【化53】
JP0004777373B2_000037t.gif
【表1】
JP0004777373B2_000038t.gif

【0055】
本発明によれば、従来法に比べて反応時間は最大75分の1にまで短縮され、収率は最大30%向上していた。また、従来法での合成は副反応が極めて多かったが、本発明によればこれも極めて低減されていた。
【0056】
[5-ヨード-2’-デオキシウリジン(U)を含むオリゴデキシヌクレオチド(ODN)からの光応答性核酸合成]
5-ヨード-2’-デオキシウリジン(U)を含むオリゴデキシヌクレオチド(ODN)から光応答性核酸合成のポスト合成を行った。
【0057】
Uを含むODNの合成]
ODN1(U)(5'-IUTTTTT-3')またはODN2(U)(5'-IUGCGTGA-3')はABI 3400 DNA合成機を用いて合成した。アンモニア水溶液によるサポートからの切り出しを行わず、CPGとして得た。
【0058】
[実施例5]
[5-シアノビニル-2’-デオキシウリジン(CNVU)含有ODNのポスト合成]
式(2)に従い5-シアノビニル-2’-デオキシウリジン(CNVU)含有ODNのポスト合成を進めた。
【化54】
JP0004777373B2_000039t.gif
ODN1(U)-CPG(2 mg, approximately 100 nmol loading)に0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(180μl, pH=5.2)を加えた後、アクリロニトリル(12 mg, 226μmol)のDMF溶液(180μl)とNa2PdCl4(5.8 mg, 20μmol)とDMF溶液(180μl)を加えて、マイクロウェーブを用いて反応溶液を80℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去した後、DMFで4回(250μl×4)洗浄した。反応混合物に新たに0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(180μl, pH=5.2)を加えた後、アクリロニトリル(12 mg, 226μmol)のDMF溶液(180μl)とNa2PdCl4(5.8 mg, 20μmol)とDMF溶液(180μl)を加えて、マイクロウェーブを用いて反応溶液を80℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去した後、DMFで4回(250μl×4)洗浄した。アンモニア水溶液(300μl)を用いて室温で12時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLC分析をした(図5)。HPLC conditions (elution with a solvent mixture of 50 mM ammonium formate, pH 7.0, linear gradient over 30 min from 3% to 20% acetonitrile, detection at 300 nm).ODN1(CNVU)由来のピークを分取してMALDI-TOF-MSを測定した。

calcd. for ODN1(CNVU):[(M+H)+] 1801.22, found 1801.46.

MALDI-TOF-MSの分析結果から、ODNのポスト合成に成功したことを確認した。
【0059】
[実施例6]
[5-カルバモイルビニル-2’-デオキシウリジン(CVU)含有ODNのポスト合成]
式(3)に従い5-カルバモイルビニル-2’-デオキシウリジン(CVU)を進めた。
【化55】
JP0004777373B2_000040t.gif
ODN2(U)-CPG (2 mg, approximately 100 nmol loading)に0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(180μl, pH=5.2)を加えた後、メチルアクリレート(19.5 mg, 226μmol)のDMF溶液(180μl)とNa2PdCl4(5.8 mg, 20μmol)とDMF溶液(180μl)を加えて、マイクロウェーブを用いて反応溶液を80℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去した後、DMFで4回(500μlx4)洗浄した。反応混合物に新たに同様の操作を行い、上澄み溶液を除去した後、DMFで4回(500μl×4)洗浄して、H0で4回(500μl×4)洗浄した。反応混合物に対してアンモニア水溶液(500μl)を用いて55℃で10時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLC分析をした(図6)。HPLC conditions (elution with a solvent mixture of 50 mM ammonium formate, pH 7.0, linear gradient over 30 min from 3% to 20% acetonitrile, detection at 320 nm). ODN2(CVU)由来のピークを分取してMALDI-TOF-MSを測定した。

calcd. for ODN2(CVU):[(M+H)+] 2192.47, found 2192.51.

MALDI-TOF-MSの分析結果から、A,G,C,Tを含むODNに対してもポスト合成に成功したことを確認した。
【0060】

[5-ブロモビニル-2’-デオキシウリジン(BrVU)を含むオリゴデキシヌクレオチド(ODN)からの光応答性核酸合成]
[実施例7]
[5-ビニルフラン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成]

式(4)に従い5-ビニルフラン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成を進めた。
【化56】
JP0004777373B2_000041t.gif
ODN(BrVU)-CPG(2 mg, approximately 100 nmol loading)にDMF (150μL)と2-furan boronic acid(44.8 mg, 400μmol)とPdCl2(PPh3)2(14.0 mg, 20μmol)とtriethyl amine(100μL)を順に加えた後、マイクロウェーブを用いて反応溶液を100℃10分間加熱した。上澄み溶液を除去し、DMF(500μLx4)で洗浄した後、水(500μLx4)で洗浄した後、澄み溶液と洗浄水溶液を混合した。反応後のCPGにアンモニア水溶液(500μL)を加えて65℃で4時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。 SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLC分析をした(図7)。 HPLC conditions (elution with a solvent mixture of 50 mM ammonium formate, pH 7.0, linear gradient over 30 min from 3% to 20% acetonitrile, detection at 350 nm).
MALDI-TOF MSによる質量分析を行ったところ、目的産物であるODN(VFU)の質量に一致する値を得た。

calcd. for ODN(VFU):[(M+H)+] 1902.30, found 1902.85
【0061】
[実施例8]
[5-ビニルベンゾフラン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成]
5-ビニルベンゾフラン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成を進めた。

ODN(BrVU)-CPG(2 mg, approximately 100 nmol loading)にDMF(150μL)と2-benzofuran boronic acid(64.8 mg, 400μmol)とPdCl2(PPh3)2(14.0 mg, 20μmol)とtriethyl amine(100μL)を順に加えた後、マイクロウェーブを用いて反応溶液を100℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去し、DMF(500μLx4)で洗浄した後、水(500μLx4)で洗浄した後、澄み溶液と洗浄水溶液を混合した。反応後のCPGにアンモニア水溶液(500μL)を加えて65℃で4時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLC分析をした(図8)。
9は以前に合成したVBFU含有ODNを標品としてHPLC分析しものであるクルードの状態でMALDI-TOF MSによる質量分析を行ったところ、目的産物であるODN(VBFU)の質量に一致する値を得た。

calcd. for ODN(VBFU):[(M+H)+] 1952.36, found 1952.05
【0062】
[実施例9]
[5-ビニルチオフェン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成]

式(4)に従い5-ビニルチオフェン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成を進めた。

ODN(BrVU)-CPG(2 mg, approximately 100 nmol loading)にDMF(150μL)と2-thiophen boronic acid (51.2 mg, 400μmol)とPdCl2(PPh3)2(14.0 mg, 20μmol)とtri-ethyl amine(100μL)を順に加えた後、マイクロウェーブを用いて反応溶液を100℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去し、DMF(500μLx4)で洗浄した後、水(500μLx4)で洗浄した後、澄み溶液と洗浄水溶液を混合した。反応後のCPGにアンモニア水溶液(500μL)を加えて65℃で4時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLCを用いて精製した。
MALDI-TOF MSによる質量分析を行ったところ、目的産物である5-vinylthiophen-dU含有ODN(VTU)の質量に一致する値を得た。

calcd. for ODN(VTU):[(M+H)+] 1916.33, found 1916.77

【0063】
[実施例10]
[5-ビニルベンゾチオフェン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成]
式(4)に従い5-ビニルベンゾチオフェン-2’-デオキシウリジン含有ODNのポスト合成を進めた。

ODN(BrVU)-CPG(2 mg, approximately 100 nmol loading)にDMF(150μL)と2-tbenzothiophen boronic acid(71.2 mg, 400μmol)とPdCl2(PPh3)2(14.0 mg, 20μmol)とtriethyl amine(100μL)を順に加えた後、マイクロウェーブを用いて反応溶液を100℃で10分間加熱した。上澄み溶液を除去し、DMF(500μLx4)で洗浄した後、水(500μLx4)で洗浄した後、澄み溶液と洗浄水溶液を混合した。反応後のCPGにアンモニア水溶液(500μL)を加えて65℃で4時間インキュベートしてサポートからの切り出しをした。SpeedVacを用いてアンモニアを除去した後、HPLCを用いて精製した。
MALDI-TOF MSによる質量分析を行ったところ、目的産物である5-vinylthiophen-dU含有ODN(VTU)の質量に一致する値を得た。

calcd. for ODN(VBFU):[(M+H)+] 1967.34, found 1967.20
【0064】
[まとめ2]
上記実施例5~10のポスト合成法によれば、種々の光応答性核酸の合成を、わずか1日以内で行うことができた。一方で、従来のフォスホアミダイト法による光応答性核酸の合成によれば、いずれの光応答性核酸も、その都度1週間程度の合成の日数を要した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1はCVUの構造式を示す図である。
【図2】図2はCMVUの構造式を示す図である。
【図3】図3はCNVUの構造式を示す図である。
【図4】図4はUの構造式を示す図である。
【図5】図5はHPLCチャートを示す図である。
【図6】図6はHPLCチャートを示す図である。
【図7】図7はHPLCチャートを示す図である。
【図8】図8はHPLCチャートを示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7