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明細書 :芳香族アミン化合物を用いた有機電界発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4583470号 (P4583470)
公開番号 特開2008-306168 (P2008-306168A)
登録日 平成22年9月10日(2010.9.10)
発行日 平成22年11月17日(2010.11.17)
公開日 平成20年12月18日(2008.12.18)
発明の名称または考案の名称 芳香族アミン化合物を用いた有機電界発光素子
国際特許分類 H01L  51/50        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C07D 493/04        (2006.01)
FI H05B 33/22 D
C09K 11/06 635
H05B 33/14 B
H05B 33/14 A
H05B 33/22 B
C09K 11/06 645
C09K 11/06 690
C07D 493/04 101A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 19
出願番号 特願2008-106225 (P2008-106225)
出願日 平成20年4月15日(2008.4.15)
優先権出願番号 2007122892
優先日 平成19年5月7日(2007.5.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年11月11日(2009.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】中村 栄一
【氏名】佐藤 佳晴
【氏名】辻 勇人
【氏名】三津井 親彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】東松 修太郎
参考文献・文献 特開2001-196182(JP,A)
Hayato,Tsuji.et.al.,Synthesis and Properties of 2,3,6,7-Tetraarylbenzo[1,2-b:4,5-b'] difurans as Hole-Transporting Material,J.AM.CHEM.SOC,米国,2007年 9月12日,Vol.129,11902-11903ページ
調査した分野 H01L 51/50-51/56
C07D 493/04
C09K 11/06
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に、陽極、陰極および該両極間に存在する発光層を有する有機電界発光素子において、下記一般式(Ia)または(Ib)
【化1】
JP0004583470B2_000014t.gif
(式中、R1~R8のうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基を示し、それ以外のR1~R8と、R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8はそれぞれ、互いに結合してベンゼン環の隣接する2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。)で表わされる芳香族アミン化合物を含有する層が設けられていることを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
前記芳香族アミン化合物を含有する層は、陽極と発光層との間に設けられた正孔輸送層であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記芳香族アミン化合物を含有する層は、発光層であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
発光層は、前記芳香族アミン化合物と、電子輸送材料とを含有することを特徴とする請求項3記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
一般式(Ia)、(Ib)におけるジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基が有していてもよい置換基が、炭化水素基またはアルコキシ基であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
一般式(Ia)、(Ib)におけるジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基以外のR1~R10が、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
【0003】
イーストマン・コダック社のC.W. Tangらによって積層型素子による低電圧駆動の有機電界発光素子に関する報告(非特許文献1)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機電界発光素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8-ヒドロキシキノリノールアルミニウム)を発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。
【0004】
有機電界発光素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、または正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。材料に関しても様々な化合物が有機電界発光素子用材料として開発されている。
【0005】
正孔輸送材料としてはスターバースト分子である4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミンやN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン等のトリフェニルアミン誘導体や芳香族ジアミン誘導体がよく知られている(特許文献1から5参照)。
【0006】
上記芳香族アミン誘導体以外には,フラン含有化合物が報告されているが(非特許文献2)、素子の低電圧駆動が達成できず、また、耐熱性にも欠けている。
【0007】
また、発光材料としてはトリス(8-キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体等の発光材料が知られており、それらの発光色として青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、フルカラー表示素子の実現が期待されている(特許文献6から9参照)。
【0008】
電子輸送材料としては、上記に発光材料として例示したトリス(8-キノリノラート)アルミニウム錯体が用いられており、その他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体等がよく知られている。

【特許文献1】特開平8-20771号公報
【特許文献2】特開平8-40995号公報
【特許文献3】特開平8-40997号公報
【特許文献4】特開平8-53397号公報
【特許文献5】特開平8-87122号公報
【特許文献6】特開昭59-194393号公報
【特許文献7】特開平2-247278号公報
【特許文献8】特開平10-340786号公報
【特許文献9】特開2001-196182号公報
【非特許文献1】C.W. TangおよびS.A. VanSlyke:Appl. Phys. Lett.,51巻,913頁,1987年
【非特許文献2】Chung-Chih Wuら:J. Appl. Phys.,93巻,5465頁,2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来提案されているいずれの素子においても、正孔輸送材料における各種の点について改良の余地があり、さらなる性能の向上、特に、素子動作電圧の低電圧化が求められていた。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題点を解消し、素子の効率が高く、素子動作電圧が低く、さらに、薄膜構造の安定性が良く、長期にわたり安定で高い発光特性を得ることができる有機電界発光素子を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0012】
<1>基板上に、陽極、陰極および該両極間に存在する発光層を有する有機電界発光素子において、下記一般式(Ia)または(Ib)
【0013】
【化2】
JP0004583470B2_000002t.gif

【0014】
(式中、R1~R8のうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基を示し、それ以外のR1~R8と、R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8はそれぞれ、互いに結合してベンゼン環の隣接する2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。)で表わされる芳香族アミン化合物を含有する層が設けられていることを特徴とする有機電界発光素子。
【0015】
<2>前記芳香族アミン化合物を含有する層は、陽極と発光層との間に設けられた正孔輸送層であることを特徴とする<1>の有機電界発光素子。
【0016】
<3>前記芳香族アミン化合物を含有する層は、発光層であることを特徴とする<1>の有機電界発光素子。
【0017】
<4>発光層は、前記芳香族アミン化合物と、電子輸送材料とを含有する<3>の有機電界発光素子。
【0018】
<5>一般式(Ia)、(Ib)におけるジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基が有していてもよい置換基が、炭化水素基またはアルコキシ基であることを特徴とする<1>から<4>のいずれかの有機電界発光素子。
【0019】
<6>一般式(Ia)、(Ib)におけるジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基以外のR1~R10が、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基であることを特徴とする<1>から<5>のいずれかの有機電界発光素子。
【0020】
上記の本発明においては、平面性の高い分子骨格をもつ上記一般式(Ia)、(Ib)の芳香族アミン化合物を用いているので、正孔輸送性が改善され、素子の駆動電圧を低下させることができる。
【0021】
なお、上記の芳香族アミン化合物を含有する層は、正孔輸送性を示し陽極と発光層との間にあれば、どの場所に形成されていてもよいが、たとえば図1,2に示すように、陽極2と発光層5との間に正孔輸送層4として形成することで、当該層による効果を十分に発揮させることができる。
【0022】
また、上記の芳香族アミン化合物を発光層に含有させて、上記の芳香族アミン化合物を含有する層を発光層とする構成としてもよい。このようにすることで、素子特性を安定化させることができる。
【0023】
このように、上記の芳香族アミン化合物を含有する層を設けることで、優れた有機電界発光素子を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
上記のとおりの本発明に係る有機電界発光素子は、特定の芳香族アミン化合物からなる正孔輸送層を有しているので、素子の効率が高く、素子動作電圧が低い。さらに、薄膜構造の安定性が向上するため、長期にわたり、安定で高い発光特性を得ることができる。
【0025】
したがって、本発明に係る有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(たとえばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や、面発光体としての特徴を生かした光源(たとえば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源等)、表示板、標識灯などへの応用が考えられ、その技術的価値はきわめて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0027】
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも陽極、陰極、および両極間に存在する発光層を有し、正孔輸送層、発光層、あるいはこれら両方の層に、上記一般式(Ia)または(Ib)の芳香族アミン化合物を含有することを特徴としている。
【0028】
本発明においては、平面性が高い分子構造を有する上記一般式(Ia)または(Ib)の芳香族アミン化合物を用いることで、素子の駆動電圧を低下させることを可能としている。
【0029】
上記一般式(Ia)、(Ib)において、ジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基が置換基を有する場合、その具体例としては、炭化水素基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0030】
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~14のアリール基;ベンジル基等の炭素数7~15のアラルキル基;ジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基のベンゼン環の隣接する2つの炭素原子と共に環を形成するベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基のベンゼン環の隣接する2つの炭素原子と共に環を形成するシクロヘキサン環等の非芳香族環状炭化水素などが挙げられる。
【0031】
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のものなどが挙げられる。
【0032】
また、上記一般式(Ia)、(Ib)のジアリールアミノ基またはN-カルバゾリル基は、他の置換基、たとえば、フッ素原子等のハロゲン原子;水酸基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;チオール基;アセチル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~6のアルコキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;チエニル基、ピリジル基等の5~6員芳香族複素環基などを有していてもよい。
【0033】
上記一般式(Ia)、(Ib)において、ジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基以外のR1~R10が置換基である場合、その具体例としては、炭化水素基などが挙げられる。
【0034】
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~14のアリール基;ベンジル基等の炭素数7~15のアラルキル基などが挙げられる。
【0035】
また、上記一般式(Ia)、(Ib)のジアリールアミノ基およびN-カルバゾリル基以外のR1~R10が置換基である場合、当該置換基の他の具体例としては、フッ素原子等のハロゲン原子;水酸基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;チオール基;アセチル基等の炭素数1~6の直鎖状または分岐状のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~6のアルコキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;チエニル基、ピリジル基等の5~6員芳香族複素環基などが挙げられる。
【0036】
上記一般式(Ia)および(Ib)のR1とR2、R3とR4、R5とR6、またはR7とR8が互いに結合して環を形成する場合、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子と共に当該環を構成する基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環等の芳香族複素環;シクロヘキサン環等の非芳香族環状炭化水素などが挙げられる。
【0037】
以下に、本発明において用いられる上記一般式(Ia)、(Ib)の芳香族アミン化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明に用いられる芳香族アミン化合物はこれらに限定されるものではない。また、以下においては対称性の良い分子構造のものを主に例示しているが、これらの部分的な構造の組み合わせによる非対称構造のものであってもよい。
【0038】
【化3】
JP0004583470B2_000003t.gif

【0039】
【化4】
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【0040】
【化5】
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【0041】
上記に例示したもの等の一般式(Ia)、(Ib)で表される芳香族アミン化合物は、たとえば、Angew. Chem. Int. Ed.,45巻,944頁,2006年 に記載されている方法により製造することができる。
【0042】
本発明では、上記に例示したもの等の一般式(Ia)、(Ib)で表される芳香族アミン化合物を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
以下に、上記の芳香族アミン化合物を用いた本発明に係る有機電界発光素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る有機電界発光素子の第1の実施形態を模式的に示す断面図であり、図2は、本発明に係る有機電界発光素子の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。図3は、本発明に係る有機電界発光素子の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。これらの図において、符号1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極,8は正孔阻止層を示している。
【0044】
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやプラスチックシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基板のガスバリア性が低過ぎると、基板を通過する外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので望ましくない。このため、合成樹脂基板を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密なシリコン酸化膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
【0045】
基板1上には、陽極2が設けられる。陽極2は正孔注入層3への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
【0046】
陽極2は、たとえばスパッタリング法、真空蒸着法などにより形成することができる。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することも可能である。さらに、陽極2として導電性高分子を用いる場合には、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成し、あるいは基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することも可能である。陽極2は、異なる物質の積層構造とされていてもよい。
【0047】
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。陽極2に透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とし、この場合、陽極2の厚みは、通常5~1000 nm、好ましくは10~500 nmである。陽極2が不透明でよい場合には、陽極2は、基板1と同一であってもよい。また、陽極2の上に、異なる導電材料をさらに積層することも可能である。
【0048】
陽極2の上には正孔注入層3が設けられる。正孔注入層3の材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送できることである。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと陽極の仕事関数との差が小さいことが要求される。また、可視光の光に対して透明性が高いことも必要である。
【0049】
さらに、正孔注入層3の材料には、陽極2とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定であること、すなわち、融点およびガラス転移温度Tgが高いことが要求される。正孔注入層3の材料の融点は300℃以上が好ましく、ガラス転移温度は100℃以上が好ましい。このような要求を考慮した正孔注入層3の材料としては、たとえばポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63-295695号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4-308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8-31573号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が挙げられる。
【0050】
正孔注入層3の材料の代表的なものとしては、ポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物が挙げられるが、これらの化合物は中心金属を有していてもよいし、無金属のものであってもよい。フタロシアニン化合物の具体例としては、29H,31H-フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニンなどが挙げられる。
【0051】
この他、正孔注入層3の好ましいものとして、正孔輸送性高分子に電子受容性化合物を混合した系が挙げられる。このような正孔輸送性高分子としては、ポリチオフェン(特開平10-92584号公報)、ポリアニリン、芳香族アミン含有ポリエーテル(特開2000-36390号公報)などが挙げられる。
【0052】
正孔注入層3の薄膜を形成する方法としては、昇華性を有する化合物の場合には真空蒸着法、溶媒に可溶な化合物の場合にはスピンコートやインクジェット等の湿式塗布法、無機物の場合にはさらにスパッタ法、電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法を用いることができる。
【0053】
このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、通常3~200 nm、好ましくは10~100 nmである。
【0054】
正孔注入層3の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層4の材料は、正孔注入層3からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく発光層5に輸送することができるものであることが望ましい。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルの差が小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、さらに酸化に対する安定性に優れ、製造時や使用時においてトラップとなる不純物が発生しにくいことが要求される。車載表示用の応用等を考慮した場合には、これらの要求に加えて、素子には耐熱性が要求される。素子の耐熱性を満足するためには、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上の材料を用いるのが好ましい。
【0055】
本発明における一態様では、正孔輸送層4に、前記一般式(Ia)または(Ib)で表わされる芳香族アミン化合物が含有される。
【0056】
正孔輸送層4は、たとえば、上記芳香族アミン化合物を塗布法あるいは真空蒸着法により正孔注入層3上に積層することにより形成することができる。
【0057】
上記芳香族アミン化合物を塗布法により正孔注入層3上に積層する場合、上記芳香族アミン化合物の1種または2種以上を溶剤に溶解し、さらに必要に応じて、正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を溶剤に添加して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により正孔注入層3上に塗布溶液を塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成することができる。この場合、バインダー樹脂の具体例としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、添加量は少ない方が望ましく、通常は、上記芳香族アミン化合物との合計量に対して50重量%以下とするのが好ましい。
【0058】
上記芳香族アミン化合物を真空蒸着法により正孔注入層3上に積層する場合、上記芳香族アミン化合物を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4 Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた基板1上の正孔注入層3上に正孔輸送層4を成膜することで形成することができる。
【0059】
正孔輸送層4の膜厚は、通常10~300 nm、好ましくは30~100 nmである。このような薄い膜を一様に形成するためには、真空蒸着法が好適に用いられる。
【0060】
正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において陰極からの電子を効率よく正孔輸送層4の方向に輸送することができる化合物(電子輸送材料)を用いて形成することができる。
【0061】
このような条件を満たす材料としては、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体(特開昭59-194393号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、アントラセン誘導体(特開平8-12600号公報、特開平11-312588号公報)などが挙げられる。これらの材料は、通常は真空蒸着法により正孔輸送層4上に積層される。
【0062】
また、素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、たとえば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープしてもよい(非特許文献5)。この方法の利点としては、以下の(1)ないし(4)などが挙げられる。
1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上する。
2)蛍光色素の選択により発光波長を変えることができる。
3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能である。
4)薄膜性に劣る蛍光色素も使用可能である。
【0063】
さらに、素子の駆動寿命を改善する目的においても、上記の材料をホスト材料として蛍光色素をドープすることは有効である。たとえば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体をホスト材料として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体を、ホスト材料に対して0.1~10重量%ドープすることにより、素子の発光特性、特に駆動安定性を大幅に向上させることができる。
【0064】
蛍光色素以外には、りん光性金属錯体を上記発光層ホスト材料に対して1~30重量%ドープすることにより、素子の発光効率を大きく改善することも行われる。この場合、りん光性金属錯体としては、中心金属としてイリジウムや白金等を有し配位子としてフェニルピリジン、フェニルイソキノリン等を有するものが使用できる。
【0065】
りん光性金属錯体を含有する発光層を用いたりん光発光素子の効率をさらに改善するために、発光層と電子輸送層との間に図3に示す正孔阻止層8を設けることは有効である。この正孔阻止層8に用いられる材料には電子輸送性とともに電子輸送層材料より広いHOMO-LUMOギャップを有することが求められる。このような条件を満たす材料としては、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。
【0066】
本発明における一態様では、発光層5に、上記一般式(Ia)または(Ib)で表わされる芳香族アミン化合物が含有される。発光層5に当該芳香族アミン化合物を含有させることは、特に、素子の駆動安定性を向上するために有効である。この場合、発光層5の材料として当該芳香族アミン化合物を単独で用いてもよく、あるいは、当該芳香族アミン化合物を前記の発光層材料と混合したものを発光層5としてもよい。後者の場合、当該芳香族アミン化合物の混合比率を、それ以外の発光層材料との合計量に対して5~50重量%とすることが好ましい。
【0067】
発光層5の膜厚は、通常10~200 nm、好ましくは30~100 nmである。
【0068】
有機電界発光素子の発光効率をさらに向上させるために、図2に示すように、発光層5の上に電子輸送層6を積層することも有効である。この電子輸送層6に用いられる材料は、陰極7からの電子注入が容易で、電子の輸送能力が大きいものであることが望ましい。このような電子輸送材料としては、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、オキサジアゾール誘導体(J. Appl. Phys.,65巻,3610頁,1989年)、フェナントロリン誘導体(特開平5-331459号公報)、スターバースト型ベンズイミダゾール化合物(特開平10-106749号公報)、シロール化合物(Appl. Phys. Lett.,55巻,1489頁,1989年)などが挙げられる。
【0069】
さらに、電子輸送層6にアルカリ金属を含有させることにより、電子輸送材料がアルカリ金属との反応により還元され、電荷キャリアとなるアニオンラジカルを効率よく生成することが可能となることから、導電性を大きく改善することができる。(特開平10-270171号公報)。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Cs等が用いられる。アルカリ金属の電子輸送層6における含有量は、1~50重量%が好ましい。アルカリ金属を電子輸送材料に混合させる方法としては、電子輸送材料とアルカリ金属の共蒸着を用いることができる。
【0070】
電子輸送層6の膜厚は、通常5 ~200 nm、好ましくは10~100 nmである。
【0071】
電子輸送層6の形成方法としては、正孔輸送層4の形成方法として上記に例示したものと同様の薄膜形成法を用いることができる。
【0072】
陰極7は、発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極7の材料としては、陽極2に使用される材料として上記に例示したものなどを用いることができるが、効率よく電子注入を行なうためには、仕事関数の低い金属が好ましく、このような金属の具体例としては、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属またはそれらの合金などが挙げられる。より具体的には、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム-リチウム合金等が挙げられる。
【0073】
さらに、陰極7と、発光層5または電子輸送層6との界面に、LiF、MgF、LiO、CsCO、8-ヒドロキシキノリンのLi錯体等の極薄絶縁膜(膜厚0.1~5 nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett.,70巻,152頁,1997年、IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年、SID 04 Digest,154頁,2004年、特開平11-233262号公報)。
【0074】
陰極7の膜厚は、通常は陽極2と同程度である。陰極7上にはさらに、低仕事関数の金属からなる陰極7を保護する目的で、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層してもよい。このような金属層を形成することで、素子の安定性を向上させることができる。当該金属層の材料の具体例としては、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金などが挙げられる。
【0075】
なお、図1,図2および図3は、本発明に係る有機電界発光素子の一実施形態を示すものであって、本発明は何ら図示した構成に限定されるものではない。たとえば、図1とは逆の積層構造とすること、すなわち、基板1上に陰極7、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能である。このことは図2の構造についても同様である。
【0076】
本発明の有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造の素子のいずれにおいても適用することができる。
【0077】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例示によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0078】
<例示化合物(3)の製造例>
例示化合物(3):3,7-N,N-ジ(4-メチルフェニル)アニリノ-2,6-ジフェニルベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフランを下記に示す合成経路により合成した。
【0079】
【化6】
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【0080】
2,5-ジ(2-フェニル-1-エチニル)-1,4-ベンゼンジオール155 mg(3.0 mmol)の脱水テトラヒドロフラン(1 mL)溶液に、0 ℃にてBuLi(1.59 Mヘキサン溶液)0.63 mLを滴下した後、反応混合物を室温まで昇温し、合計1時間攪拌した。この反応混合物に塩化亜鉛の1.0 Mテトラヒドロフラン溶液を1 mL、脱水トルエンを1 mL加え、120 ℃に昇温し、2時間攪拌した。反応溶液を室温へ冷却後、N-メチルピロリドンを0.5 mL、Pd2(dba)3・CHCl3を51.8 mg(0.05 mmol)、P(t-Bu)3の1.0 Mトルエン溶液を200 μL(0.2 mmol)、N,N-ジ(4-メチルフェニル)-4-ブロモアニリンを423 mg(1.2 mmol)加え、100 ℃にて27時間攪拌した。室温へ冷却後、反応溶液にメタノールを加えて沈殿を析出させ、濾過したものを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させることで粗生成物を得た。これを昇華精製装置により単離精製することで、目的物を247 mg(0.29 mmol)得た。一方、ろ液はシリカゲルカラムクロマトグラフィーとゲル浸透クロマトグラフィーにより精製し、生成物を7 mg (0.01 mmol)得た。合計254 mg (0.39 mmol 収率60%)。融点: 336-337 ℃
【0081】
【表1】
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【0082】
この化合物の質量分析を行ったところ、分子量が852であり、また上記FTIR、H-NMR及び元素分析により、目的化合物(3)であることを確認した。また、NETZSCH社製DSC204 F1により示差熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は134 ℃と高い値を示した。
<実施例1>
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜をスパッタ法で165 nm堆積したもの(シート抵抗10Ω,平均表面粗さ1.5 nm)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2 mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板に対して、界面活性剤(横浜油脂工業株式会社製 セミクリーンM-LO)による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄、および流水洗浄を行った後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
【0083】
上記洗浄処理を行ったITO基板上に、正孔注入層3として、導電性高分子(ポリチオフェン)であるPEDOT:PSS(スタルクヴィテック社製 品名Baytron CH 8000)を70 nmの膜厚でスピンコートした後、大気中、120 ℃で10分間加熱乾燥し、次いで、窒素中、180 ℃で3分間加熱処理した。
【0084】
次に、正孔注入層3を形成したITO基板を真空蒸着装置内に設置した。当該装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2x10-4 Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。
【0085】
上記装置内に配置された金属ボートに入れた例示化合物(1)を加熱し、正孔注入層3を形成したITO基板への蒸着を行った。蒸着時の真空度は2.4x10-4 Pa、蒸着速度は0.15 nm/秒であり、膜厚45 nmの膜を正孔注入層3の上に積層して正孔輸送層4を形成した。
【0086】
続いて、発光層5の材料として、以下の構造式に示すアルミニウムの8-ヒドロキシキノリン錯体Al(CHNO)を用いて、正孔輸送層4と同様にして蒸着を行った。
【0087】
【化7】
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【0088】
蒸着時の真空度は2.2x10-4 Pa、蒸着速度は0.23 nm/秒であり、蒸着された発光層5の膜厚は60 nmであった。
【0089】
その後、発光層5までの蒸着を行った素子を真空中で金属蒸着用の真空室に移動し、陰極蒸着用のマスクとして、2 mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、有機層の場合と同様にして装置内の真空度が3x10-4Pa以下になるまでクライオポンプにより排気した。
【0090】
陰極7からの電子注入を容易にするために、陰極界面層として、8-ヒドロキシキノリンのリチウム錯体を蒸着速度0.008 nm/秒、蒸着時の真空度2.2x10-4 Paの条件において、膜厚1.0 nmで形成した。続いて、アルミニウムを蒸着速度0.5 nm/秒で陰極界面層上に膜厚80 nmで形成した。蒸着時の真空度は2.3x10-4Paであった。
【0091】
以上のようにして、2 mm x 2 mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
【0092】
この素子について、実用輝度である1000 cd/mで電流-電圧特性を測定したところ、電圧は5.4 V、電流発光効率は4.8 cd/A、電力発光効率は2.5ルーメン/Wを示した。駆動電圧および発光効率ともに、実用上十分な性能が得られた。
<比較例1>
正孔輸送層4として、例示化合物(1)の代わりに下記に示す芳香族ジアミン化合物(通称:α-NPD)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
【0093】
【化8】
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【0094】
この素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ、電圧は5.3 V、電流発光効率は3.2 cd/A、電力発光効率は1.7ルーメン/Wを示し、実施例1に比較して効率の低下がみられた。
<実施例2>
正孔輸送層4として、例示化合物(1)の代わりに例示化合物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ、電圧は5.1 V、電流発光効率は4.6 cd/A、電力発光効率は2.9ルーメン/Wを示し、実用上十分な性能が得られた。
<実施例3>
正孔輸送層4として、例示化合物(1)の代わりに例示化合物(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ、電圧は6.1 V、電流発光効率は5.1 cd/A,電力発光効率は2.7ルーメン/Wを示し、実用上十分な性能が得られた。
<実施例4>
正孔輸送層4として、例示化合物(1)の代わりに例示化合物(16)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ、電圧は5.5 V、電流発光効率は4.3 cd/A,電力発光効率は2.2ルーメン/Wを示し、実用上十分な性能が得られた。
<実施例5>
図2に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。正孔輸送層4として、前記芳香族ジアミン化合物(通称:α-NPD)を、発光層5として例示化合物(1)をホスト材料としてルブレンを2.9重量%ドープしたものを、電子輸送層6としてアルミニウムの8-ヒドロキシキノリン錯体Al(CHNO)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ黄色発光を示し、電圧は4.3 V、電流発光効率は4.6 cd/A、電力発光効率は3.2ルーメン/W、CIE色度座標は(0.455, 0.499)であった。
<実施例6>
図2に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。発光層5として例示化合物(7)をホスト材料として下記ペリレン誘導体(1.2重量%)をドープしたものを用いた以外は、実施例5と同様にして素子を作製した。
【0095】
【化9】
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【0096】
得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ青色発光を示し、電圧は7.2 V、電流発光効率は2.2 cd/A、電力発光効率は1.0ルーメン/W、CIE色度座標は(0.160, 0.220)と純青色であった。
<実施例7>
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。正孔輸送層4として、前記芳香族ジアミン化合物(通称:α-NPD)を、発光層5として例示化合物(7)をホスト材料として下記リン光性イリジウム錯体:
【0097】
【化10】
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【0098】
を4.0重量%ドープしたものを、電子輸送層6としてアルミニウムの8-ヒドロキシキノリン錯体Al(CHNO)(膜厚20nm)を、正孔阻止層として下記フェナントロリン誘導体(膜厚10nm):
【0099】
【化11】
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【0100】
を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ赤色発光を示し、電圧は7.6 V、電流発光効率は4.7 cd/A、電力発光効率は1.8ルーメン/W、CIE色度座標は(0.659, 0.312)と純赤色であった。この素子を、電流密度12.5 mA/cm2(初期輝度546 cd/m2,初期電圧6.0 V)で定電流駆動したところ,300時間駆動後で輝度保持率は84%で、電圧上昇は0.43 Vと安定した駆動特性を示した。
<比較例2>
発光層5のホスト材料として下記に示すカルバゾール誘導体(通称CBP)を用いた他は実施例7と同様にして図3に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。
【0101】
【化12】
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【0102】
得られた素子を実施例1と同様に1000 cd/mの輝度で評価したところ赤色発光を示し、電圧は10.0 V、電流発光効率は5.8 cd/A、電力発光効率は1.8ルーメン/W、CIE色度座標は(0.653, 0.317)と純赤色であった。この素子を、電流密度12.5 mA/cm2(初期輝度627 cd/m2,初期電圧8.7 V)で定電流駆動したところ、300時間駆動後で輝度保持率は47%で、電圧上昇は1.39 Vと不安定な駆動特性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る有機電界発光素子の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る有機電界発光素子の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る有機電界発光素子の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極
8 正孔阻止層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2