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明細書 :光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5548933号 (P5548933)
公開番号 特開2009-206470 (P2009-206470A)
登録日 平成26年5月30日(2014.5.30)
発行日 平成26年7月16日(2014.7.16)
公開日 平成21年9月10日(2009.9.10)
発明の名称または考案の名称 光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池
国際特許分類 H01L  51/42        (2006.01)
FI H01L 31/04 D
請求項の数または発明の数 20
全頁数 32
出願番号 特願2008-174166 (P2008-174166)
出願日 平成20年7月3日(2008.7.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 日本化学会第88春季年会講演予稿集
優先権出願番号 2007179271
2008022919
優先日 平成19年7月9日(2007.7.9)
平成20年2月1日(2008.2.1)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成23年2月2日(2011.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
発明者または考案者 【氏名】中村 栄一
【氏名】佐藤 佳晴
【氏名】新実 高明
【氏名】松尾 豊
【氏名】橋口 昌彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100114409、【弁理士】、【氏名又は名称】古橋 伸茂
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査官 【審査官】森江 健蔵
参考文献・文献 特開2003-212880(JP,A)
特開2003-212881(JP,A)
特開平07-089972(JP,A)
特開2004-277736(JP,A)
調査した分野 H01L 51/42-46
特許請求の範囲 【請求項1】
1対の電極間に、少なくとも、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する光電変換素子であって、
当該フラーレン誘導体は、それぞれ独立し炭素数1~50の有機基を2~4個有、当該フラーレン誘導体が有機基を2個有する場合、これらの有機基が互いに結合して環を形成することはなく、これらの有機基の少なくとも1つは下記式(3) で表されることを特徴とする光電変換素子。
【化1】
JP0005548933B2_000025t.gif

(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシまたはアミノであり、nは1~10の整数である。)
【請求項2】
前記フラーレン誘導体が、下記式(1)
60(R)(R) (1)
(式(1)中、RとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基であり、とRの少なくとも1つは、前記式(3)で表される有機基であり、とRは互いに結合して環を形成することはない。)
で表される請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記フラーレン誘導体が、下記式(1A)~(1G)のいずれか1つの式
【化2】
JP0005548933B2_000026t.gif

(式(1A)~(1G)中、RとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基であり、RとRは互いに結合して環を形成することはない。)
で表される請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記フラーレン誘導体が、前記式(1A)で表されるフラーレン誘導体である請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
炭素数1~50の有機基の少なくとも1つが、それぞれ独立して芳香環を含む基である、請求項1~4のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項6】
、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基である、請求項1~4のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項7】
とRが炭素数1~3のアルキル基であり、Rが炭素数1~20の炭化水素基である請求項1~4のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項8】
nは1~5の整数であり、WがSiである、請求項1~7のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項9】
前記式(1)または式(1A)~(1G)中、Rは下記式(31)
【化3】
JP0005548933B2_000027t.gif

(式(31)中、Rは炭素数1~20のアルキル基またはフェニルである。)
は下記式(32)
【化4】
JP0005548933B2_000028t.gif

(式(32)中、Rはメチルまたはフェニルである。)
で表される基である、請求項のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項10】
前記電子供与体の化合物が高分子化合物である、請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記電子供与体の化合物が複素環高分子化合物である、請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記電子供与体の化合物がポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である、請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項13】
前記電子供与体の化合物がポリチオフェンまたは銅フタロシアニン錯体である、請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項14】
前記電子供与体の化合物がテトラベンゾポルフィリンである、請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項15】
前記1対の電極間に、少なくとも、前記電子受容体のフラーレン誘導体と前記電子供与体の化合物とを含む混合物層を有する、請求項1~14のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項16】
前記電子受容体のフラーレン誘導体と前記電子供与体の化合物とを含む混合物が溶解した溶液を塗布することによって前記混合物層が形成される、請求項15に記載の光電変換素子。
【請求項17】
前記電子受容体のフラーレン誘導体と前記電子供与体の化合物とを蒸着させることによって前記混合物層が形成される、請求項15に記載の光電変換素子。
【請求項18】
前記電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体を含む前記混合物層と正極との間に、p型半導体層が形成された、請求項1517のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項19】
前記電子受容体のフラーレン誘導体と前記電子供与体を含む前記混合物層と負極との間に、n型半導体層が形成された、請求項1518のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池に関する。具体的には、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む光電変換素子と、その素子を用いた太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されている太陽電池はシリコンをはじめとする無機材料を用いた光電変換素子を用いた太陽電池である。多結晶シリコンを用いた光電変換素子の製造において、高純度シリコンが不可欠であるが、そのコストは比較的高い。
【0003】
これに対して、一般的に、有機材料を用いた光電変換素子は、無機材料を用いた光電変換素子と比べて製造方法が容易なため、製造コストを低減することができる。有機材料を用いた光電変換素子を含む太陽電池としては、色素増感型太陽電池や有機薄膜型太陽電池と呼ばれている有機半導体材料を用いた太陽電池などがある。
しかしながら、代表的な色素増感型太陽電池で用いられる電解質は主に液体(電解液)なので、その電解液が作用電極と対極のすき間等から漏れ出したり、揮発してしまうという問題が生じ得る。このように、有機材料を用いた光電変換素子は無機材料を用いた光電変換素子に比べて、耐久性に問題があった。
【0004】
また、有機材料を用いた光電変換素子としては、電子供与体である銅フタロシアニンと電子受容体であるペリレン誘導体を組み合わせた光電変換素子[C.W.Tang著,「Two-Layer organic photovoltaic cell」,Applied Physics Letters,1986年,48巻(非特許文献1)]、電子供与体としてポリフェニレンビニレンとフラーレン誘導体を組み合わせた光電変換素子[G.Yuら著,「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor-Acceptor Heterojunctions」,Science,1995年,270巻(非特許文献2),特表平8-500701号公報(特許文献1)]がある。
【0005】
しかしながら、これらの光電変換素子は、変換効率がまだまだ低く実用化に向けて、更なる変換効率の向上が求められている。

【特許文献1】特表平8-500701号公報
【非特許文献1】C.W.Tang著,「Two-Layer organic photovoltaic cell」,Applied Physics Letters,1986年,48巻
【非特許文献2】G.Yuら著,「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor-Acceptor Heterojunctions」,Science,1995年,270巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況の下、例えば、低コストで製造できる、変換効率の高い光電変換素子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、1対の電極間に、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2~4個有するフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む光電変換素子と、その素子を用いた太陽電池を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のような光電変換素子および太陽電池を提供する。
【0008】
[1] 1対の電極間に、少なくとも、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する光電変換素子であって、
当該フラーレン誘導体は、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2~4個有するフラーレン誘導体であり、当該フラーレン誘導体が有機基を2個有する場合、これらの有機基が互いに結合して環を形成することはないことを特徴とする光電変換素子。
[2] フラーレン誘導体が、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2または3個有する、[1]に記載の光電変換素子。
[3] フラーレンが、フラーレンC60およびフラーレンC70からなる群から選ばれる1以上である、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
【0009】
[4] 1対の電極間に、少なくとも、下記式(1)
60(R)(R) (1)
(式(1)中、RとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基であり、RとRは互いに結合して環を形成することはない。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する光電変換素子。
[5] 1対の電極間に、少なくとも、下記式(1A)~(1G)のいずれか1つの式
【化6】
JP0005548933B2_000002t.gif
(式(1A)~(1G)中、RとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基であり、RとRは互いに結合して環を形成することはない。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する光電変換素子。
[6] 1対の電極間に、少なくとも、下記式(1A)
【化7】
JP0005548933B2_000003t.gif
(式(1A)中、RとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基であり、RとRは互いに結合して環を形成することはない。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する光電変換素子。
【0010】
[7] 炭素数1~50の有機基の少なくとも1つが、それぞれ独立して芳香環を含む基である、[1]~[6]のいずれかに記載の光電変換素子。
[8] 炭素数1~50の有機基の少なくとも1つが、それぞれ独立して下記式(3)
【化8】
JP0005548933B2_000004t.gif
(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシまたはアミノであり、nは1~10の整数である。)
で表される基である、[1]~[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
[9] R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基である、[8]に記載の光電変換素子。
[10] RとRが炭素数1~3のアルキル基であり、Rが炭素数1~20の炭化水素基である[8]に記載の光電変換素子。
[11] nは1~5の整数であり、WがSiである、[8]~[10]のいずれかに記載の光電変換素子。
[12] 上記式(1)または式(1A)~(1G)中、Rは下記式(31)
【化9】
JP0005548933B2_000005t.gif
(式(31)中、Rは炭素数1~20のアルキル基またはフェニルである。)
は下記式(32)
【化10】
JP0005548933B2_000006t.gif
(式(32)中、Rはメチルまたはフェニルである。)
で表される基である、[4]~[6]のいずれかに記載の光電変換素子。
【0011】
[13] 電子供与体の化合物が高分子化合物である、[1]~[12]のいずれかに記載の光電変換素子。
[14] 電子供与体の化合物が複素環高分子化合物である、[1]~[12]のいずれかに記載の光電変換素子。
[15] 電子供与体の化合物がポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である、[1]~[12]のいずれかに記載の光電変換素子。
[16] 電子供与体の化合物がポリチオフェンまたは銅フタロシアニン錯体である、[1]~[12]のいずれかに記載の光電変換素子。
[17] 電子供与体の化合物がテトラベンゾポルフィリンである、[1]~[12]のいずれかに記載の光電変換素子。
[18] 1対の電極間に、少なくとも、電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含む混合物層を有する、[1]~[17]のいずれかに記載の光電変換素子。
[19]
電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含む混合物が溶解した溶液を塗布することによって混合物層が形成される、[18]に記載の光電変換素子。
[20] 電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを蒸着させることによって混合物層が形成される、[18]に記載の光電変換素子。
[21] 電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体を含む混合物層と正極との間に、p型半導体層が形成された、[1]~[20]のいずれかに記載の光電変換素子。
[22] 電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体を含む混合物層と負極との間に、n型半導体層が形成された、[1]~[21]のいずれかに記載の光電変換素子。
[23] [1]~[22]のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池。
【発明の効果】
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、変換効率の高い光電変換素子が提供できる。また、本発明の好ましい態様によれば、簡単で安価に製造できる光電変換素子が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1 本発明の光電変換素子に含まれる電子供与体と電子受容体
本発明の光電変換素子を構成する1対の電極の間には、電子供与体と電子受容体が設けられる。本発明の光電変換素子は、1対の電極の間に、たとえば、電子供与体と電子受容体のそれぞれを層状にして重ね合わした積層構造を有してもよいし、両者を含む混合物からなる混合物層を有してもよい。
また、本発明の光電変換素子において、複数の対の電極を有してもよい。
【0014】
1.1 光電変換素子に用いられる電子受容体
本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられる化合物は、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2~4個有するフラーレン誘導体(当該フラーレン誘導体が有機基を2個有する場合、これらの有機基が互いに結合して環を形成することはない)である。本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられるフラーレン誘導体は、好ましくは、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2または3個有するフラーレン誘導体であり、フラーレンは、フラーレンC60およびフラーレンC70からなる群から選ばれる1以上であることが望ましい。さらに好ましくは、上記式(1)で表されるフラーレン誘導体である。上記式(1)で表されるフラーレン誘導体の中でも、式(1A)~式(1G)で表されるフラーレン誘導体が好ましく、式(1A)で表されるフラーレン誘導体が特に好ましい。
なお、本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられるフラーレン誘導体は一種のフラーレン誘導体でも複数種のフラーレン誘導体を含んでもよい。
【0015】
1.1.1 フラーレンC60誘導体
本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられるフラーレン誘導体の一態様はフラーレンC60誘導体である。フラーレンC60誘導体の中でも、式(1)で表されるフラーレン誘導体が好ましく、式(1A)~式(1G)のいずれか1つで表されるフラーレン誘導体がさらに好ましい。なお、式(1A)~式(1G)中のRとRはそれぞれ独立して炭素数1~50の有機基である。
【0016】
式(1)または式(1A)~式(1G)中、RとRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C20炭化水素基、置換基を有してもよいC~C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC~C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)を示すことが好ましい。
【0017】
本明細書において、「C~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C~C20炭化水素基」には、C~C20アルキル基、C~C20アルケニル基、C~C20アルキニル基、C~C20アルキルジエニル基、C~C18アリール基、C~C20アルキルアリール基、C~C20アリールアルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20シクロアルケニル基、(C~C10シクロアルキル)C~C10アルキル基などが含まれる。
【0018】
本明細書において、「C~C20アルキル基」は、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「C~C20アルケニル基」は、C~C10アルケニル基であることが好ましく、C~Cアルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C~C10アルキニル基であることが好ましく、C~Cアルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C~C20アルキルジエニル基」は、C~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C~Cアルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C~C18アリール基」は、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C~C20アルキルアリール基」は、C~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C~C20アリールアルキル基」は、C~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C~C20シクロアルキル基」は、C~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「C~C20シクロアルケニル基」は、C~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C~C20アルコキシ基」は、C~C10アルコキシ基であることが好ましく、C~Cアルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0028】
本明細書において、「C~C20アリールオキシ基」は、C~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「アルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「アリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0031】
「C~C20炭化水素基」、「C~C20アルコキシ基」、「C~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0033】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0034】
本明細書において、「芳香族基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等がある。
本明細書において、「複素環基」の例としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環芳香族基」の例としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環複素環基」の例としては、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等がある。
【0035】
また、これらの、「芳香族基」、「複素環基」、「縮合多環芳香族基」および「縮合多環複素環基」が有してもよい置換基の例としては、制限するわけではないが、C~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
1.1.2 フラーレンC60誘導体の製法
それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2~4個有するフラーレン誘導体(当該フラーレン誘導体が有機基を2個有する場合、これらの有機基が互いに結合して環を形成することはない)の製造方法は特に限定されないが、フラーレンC60およびフラーレンC70からなる群から選ばれる1以上を用いて公知の方法で製造することができる。たとえば、式(1)または式(1A)~式(1G)で表されるフラーレン誘導体は、フラーレンC60に、少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させて、位置選択的にさらに有機基をフラーレン(誘導体)に付加する工程(有機基付加工程A)と、少なくとも塩基性化合物とハロゲン化合物とを反応させて有機基を付加する工程(有機基付加工程B)とを用いて合成できる。
【0037】
(1)有機基付加工程A
有機基付加工程Aは、フラーレンC60に、少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させて有機基を付加する工程である。
【0038】
有機基付加工程Aで用いられるグリニャール試薬
有機基付加工程Aで用いられるグリニャール試薬は下記式(4)
MgX (4)
[式中、Rは有機基を示し;XはCl、BrまたはIを示す。]
で表される。
(4)式中、Rはグリニャール試薬の調整が可能な置換基を有する有機基であれば特に限定されるものではない。
【0039】
(4)式中、RはC~C20アルキル基、アリル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、フェニル基、4-メトキシフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ビフェニル基、1-ナフチル基、ピレニル基、ジ(アルキロキシ)ベンゾイロキシフェニル基等が好ましい。
また、(4)式中、Rはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体含有基、アントラキノン誘導体含有基、テトラチアフルバレン誘導体含有基、ポリチオフェン誘導体含有基等が好ましい。
【0040】
(4)式中、Rは下記式(3)
【化11】
JP0005548933B2_000007t.gif
(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシ基またはアミノ基であり、nは1~10の整数である。)
で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。さらに、式(3)中、RとRがメチルであり、Rが炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。また、上記式(3)中、nは1~5の整数であり、WがSiであることが好ましい。
【0041】
有機基付加工程Aにおいて、グリニャール試薬は、有機基付加工程Aで有機基が付加されるフラーレンまたはフラーレン誘導体に対して1~20当量を用いることが好ましく、1~10当量を用いるとさらに好ましい。
【0042】
本件発明の好ましい態様によれば、上記式(4)のRが、出発物質のフラーレンC60に付加されることになる。
【0043】
有機基付加工程Aで用いられる極性物質
有機基付加工程Aで用いられる極性物質は、そのような性質を有していれば特に限定されないが、ドナー数(DN)が25以上であることが好ましい。
有機基付加工程Aで用いられる極性物質としては、非プロトン性溶媒が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン等を用いることがさらに好ましい。これらの中でもN,N-ジメチルホルムアミドを用いると得られるフラーレン誘導体の収率が高くなるので特に好ましい。
【0044】
有機基付加工程Aにおいて、極性物質は、有機基付加工程Aで有機基が付加されるフラーレンまたはフラーレン誘導体に対して3~100当量を用いると、得られるフラーレン誘導体の収率が高まるため好ましく、5~60当量を用いるとさらに好ましい。
【0045】
有機基付加工程Aを用いたフラーレン誘導体の製造
有機基付加工程Aにおいて、フラーレンC60に、少なくとも上述のグリニャール試薬と上述の極性物質とを反応させて有機基を付加して、フラーレン誘導体が製造される。
【0046】
有機基付加工程Aの反応は、溶媒を用いて行われることが好ましい。溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロベンゼンまたはそれらの混合溶媒等が用いられるが、これらの中でもジクロロベンゼンを溶媒として用いることが好ましい。
【0047】
有機基付加工程Aの反応を促進するために、種々の目的に応じた各種の添加剤を使用してもよい。触媒や添加剤の種類は特に限定されず、出発物質や製造するフラーレン誘導体の種類(付加基の種類)に応じて適宜選択すればよい。
【0048】
フラーレンC60とグリニャール試薬と極性物質との反応系は任意であり、密閉系、開放系、ガス流通系の何れでもよい。また、反応方式も特に限定されず、使用するフラーレン、フラーレン誘導体、グリニャール試薬および極性物質の種類、ならびにそれらの量等を勘案して、適切に選択することが可能である。
【0049】
フラーレンC60とグリニャール試薬と極性物質の反応槽への添加順序および添加方法は任意であるが、フラーレンもまたはフラーレン誘導体が溶解した溶媒に極性物質を添加し、その後にグリニャール試薬を添加することが好ましい。
【0050】
反応温度は、通常-70~70℃、好ましくは-50~50℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が充分でなく、高すぎると副反応が優先して起こる傾向にある。反応圧力は特に制限されず、常圧でも高圧でもよいが、常圧が好ましい。反応時間は、使用するフラーレンおよび有機金属化合物の種類や、溶媒の種類、酸化剤の種類、反応方式等によって適切な範囲を適宜選択すればよいが、通常、2分~2時間、好ましくは5分~1時間で行われる。
反応の停止は、例えば、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することにより行われる。
【0051】
たとえば、有機基付加工程Aでは、フラーレンC60に少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させることにより、下記式(2)
60(R)(H) (2)
(式(2)中、Rは炭素数1~50の有機基である。)
で表わされるフラーレン誘導体が製造される。
【0052】
合成されたフラーレン誘導体は、その選択生成率が高い場合には精製する必要はない。しかし、原料フラーレンや微量のヒドロアルキル化体や酸化物等の副生成物と混在する粗生成物として得られる場合があるので、粗生成物から所定の有機基が付加されたフラーレン誘導体を単離・精製することが好ましい。製造されたフラーレン誘導体を単離・精製する手法としては、HPLCやカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィーによる手法、有機溶媒等を用いて溶媒抽出する手法などが挙げられる。
【0053】
有機基付加工程Aによって製造されるフラーレン誘導体
有機基付加工程Aにおいて、フラーレンC60に少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させることにより、下記式(2)
60(R)(H) (2)
(式(2)中、Rは炭素数1~50の有機基である。)
で表わされるフラーレン誘導体が製造される。
【0054】
上記式(2)中、Rは下記式(3)
【化12】
JP0005548933B2_000008t.gif
(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシ基またはアミノ基であり、nは1~10の整数である。)
で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。さらに、RとRがメチルであり、Rが炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。また、上記式(3)中、nは1~5の整数であり、WがSiであることが好ましい。
【0055】
(2)有機基付加工程B
有機基付加工程Bは、たとえば有機付加工程Aを経て得られた上記式(2)で表されるフラーレン誘導体に、少なくとも塩基性化合物とハロゲン化合物とを反応させて、フラーレン誘導体に付加されていた水素を脱水素すると共に有機基を付加する工程である。
【0056】
有機基付加工程Bで用いられる塩基性化合物
有機基付加工程Bで用いられる塩基性化合物は、塩基性を有する化合物であれば特に限定されない。
有機基付加工程Bで用いる塩基性化合物としては、金属ヒドリド(KH、NaH、CaH等)、金属アルコキシド[t-BuOK(カリウムt-ブトキシド)、t-BuONa(ナトリウムt-ブトキシド)]、アルカリ金属試薬(BuLi等)、アルカリ金属(K、 Na、Li等)または有機アルカリ(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等)を用いることが好ましい。これらの中でも、NaまたはKを含む金属アルコキシド好ましく、t-BuOKまたはt-BuONaが特に好ましい。
【0057】
有機基付加工程Bにおいて、塩基性化合物は、有機基付加工程Bで有機基が付加されるフラーレン誘導体に対して1~3当量用いると、得られるフラーレン誘導体の収率が高まるため好ましく、1~2当量用いるとさらに好ましい。
【0058】
有機基付加工程Bで用いられるハロゲン化合物
有機基付加工程Bで用いられるハロゲン化合物は、下記式(6)
X (6)
[式中、Rは有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物であることが好ましい。(6)式中、RはC~C30アルキル基、アリル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、フェニル基、p-メトキシフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ビフェニル基、1-ナフチル基、ピレニル基またはジ(アルキロキシ)ベンゾイロキシフェニル基が好ましい。
また、(6)式中、Rはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体含有基、アントラキノン誘導体含有基、テトラチアフルバレン誘導体含有基またはポリチオフェン誘導体含有基等が好ましい。
【0059】
(6)式中、Rは下記式(3)
【化13】
JP0005548933B2_000009t.gif
(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシ基またはアミノ基であり、nは1~10の整数である。)
で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。さらに、RとRがメチルであり、Rが炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。また、上記式(3)中、nは1~5の整数であり、WがSiであることが好ましい。
【0060】
好ましい態様によれば、上記式(6)のRが、有機基付加工程Bで有機基が付加されるフラーレン誘導体に付加されることになる。
【0061】
有機基付加工程Bにおいて、ハロゲン化合物は、有機基付加工程Bで有機基が付加されるフラーレン誘導体に対して5~100当量用いると、得られるフラーレン誘導体の収率が高まるため好ましく、10~50当量用いるとさらに好ましい。
【0062】
有機基付加工程Bを用いたフラーレン誘導体の製造
有機基付加工程Bの出発物質である上記式(2)で表わされるフラーレン誘導体に、少なくとも前述の塩基性化合物と前述のハロゲン化合物とを反応させて有機基を付加する(有機基付加工程B)。
【0063】
有機基付加工程Bの反応は、不活性ガス雰囲気下、溶媒を用いて行われることが好ましい。溶媒としては、出発物質であるフラーレン誘導体を溶解できる溶媒が好ましく、例えば、ベンゾニトリルが挙げられる。
有機基付加工程Bの反応を促進するために、種々の目的に応じた各種の添加剤を使用してもよい。触媒や添加剤の種類は特に限定されず、出発物質や製造するフラーレン誘導体の種類(付加基の種類)に応じて適宜選択すればよい。
【0064】
上記式(2)で表わされるフラーレン誘導体と塩基性化合物とハロゲン化合物との反応系は任意であり、密閉系、開放系、ガス流通系の何れでもよい。また、反応方式も特に限定されず、使用するフラーレン誘導体、塩基性化合物およびハロゲン化合物ならびにそれらの量等を勘案して、適切に選択することが可能である。
【0065】
出発物質の上記式(2)で表わされるフラーレン誘導体、塩基性化合物およびハロゲン化合物の反応槽への添加順序および添加方法は任意であるが、フラーレン誘導体が溶解した溶媒に塩基性化合物を添加し、その後にハロゲン化合物を添加することが好ましい。有機基付加工程Bの好ましい態様では、フラーレン誘導体が溶解した溶媒に塩基性化合物を滴下して5~20分間攪拌し、その後、ハロゲン化合物を添加して、通常20~180℃、好ましくは50~150℃の温度範囲で2~12時間、好ましくは4~10時間で反応させる。反応圧力は特に制限されず、常圧付近でも高圧でもよいが、常圧付近が好ましい。
【0066】
有機基付加工程Bでは、上記式(2)で表わされるフラーレン誘導体に、少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させることにより、上記式(1)で表されるフラーレン誘導体、好ましくは、上記式(1A)~(1G)で表されるフラーレン誘導体を合成できる。
【0067】
また、合成されたフラーレン誘導体を単離・精製することが好ましいが、その手法は有機基付加工程Aと同様である。
反応により製造されたフラーレン誘導体は、その選択生成率が高い場合には精製する必要はないが、HPLCやカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィーによる手法、有機溶媒等を用いた溶媒抽出等によって、精製してもよい。
【0068】
1.1.3 フラーレンC70誘導体
本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられるフラーレン誘導体の一態様はフラーレンC70誘導体である。
フラーレンC70誘導体は、それぞれ独立して炭素数1~50の有機基を2~4個有するフラーレンC70誘導体であり、当該フラーレン誘導体が有機基を2個有する場合、これらの有機基が互いに結合して環を形成することはない誘導体である。フラーレンC70に付加された2~4個の有機基は、上記式(1)中のRおよびRの有機基と炭素数1~50の有機基と同様である。
前記フラーレンC60誘導体と同様に、上記フラーレンC70誘導体は、フラーレンC70に、少なくともグリニャール試薬と極性物質とを反応させて、位置選択的にさらに有機基をフラーレン(誘導体)に付加する工程(有機基付加工程A)と、少なくとも塩基性化合物とハロゲン化合物とを反応させて有機基を付加する工程(有機基付加工程B)とを用いて合成できる。
【0069】
1.2 光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物
本発明の光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物は、電子供与体として機能すれば特に限定されない。
なお、光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
【0070】
本発明で用いられる好ましい電子供与体の化合物は、高分子化合物、ポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である。
電子供与体として用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレンなどの芳香族を有する高分子を用いることができる。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリフェニレンビニレンは、種々の置換基が結合しているものが存在し、種々の構造が存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。
【0071】
電子供与体として用いられるポルフィリン化合物としては、例えば、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン、下記式(B)
【化14】
JP0005548933B2_000010t.gif
で表される化合物(テトラベンゾポルフィリン)等が挙げられる。
【0072】
また、電子供与体として用いられるフタロシアニン化合物としては、例えば、29H,31H-フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体、銅4,4’,4’’,4’’’-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン錯体が挙げられる。
これらの中でも、銅フタロシアニン錯体が好ましい。
【0073】
1.3 混合物層の製造方法
本発明の光電変換素子の一態様では、一対の電極間に、電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含む混合物からなる混合物層が形成されている。
当該混合物層の製造方法は特に限定されないが、例えば、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを共に溶解した溶液を、基板や基板上に設けられた層にスピンコート等を用いて塗布することによって製造できる(塗布型の混合物層)。また、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを、基板や基板上に設けられた層に蒸着させることによっても製造できる(蒸着型の混合物層)。
【0074】
塗布型の混合物層に好ましく用いられるフラーレン誘導体は上記式(1)で表されるフラーレン誘導体であるが、式(1)または式(1A)~(1G)中、RとRはそれぞれ独立して、下記式(3)
【化15】
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(式(3)中、Wは周期律表の第4B族に属する原子であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシ基またはアミノ基であり、nは1~10の整数である。)
で表される基であれば、塗布するときの溶媒に対する溶解性が向上し、さらに得られる光電変換素子の変換効率も向上するため好ましい。
上記式(3)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。さらに、RとRがメチルであり、Rが炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。また、上記式(3)中、nは1~5の整数であり、WがSiであることが好ましい。
【0075】
塗布型の混合物層で用いられる電子供与体の化合物は上述のとおりであるが、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレン等を用いると、得られる光電変換素子の変換効率が向上するため好ましい。
また、溶媒に可溶な前駆体から熱変換によって得られる電子供与体も塗布型の混合物層で用いることができ、このような電子供与体としては、たとえば、ポルフィリン化合物やフタロシアニン化合物が用いることができる。これらの化合物を電子供与体として塗布型の混合物層に用いると、得られる光電変換素子の変換効率が向上するため好ましい。なお、溶媒としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
【0076】
蒸着型の混合物層で用いられる電子供与体の化合物は上述のとおりであるが、ポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物を用いると、フラーレン誘導体との均一な層を設けることが容易にでき、さらに得られる光電変換素子の変換効率も向上するため好ましい。
【0077】
なお、混合物層は、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含めば特に限定されず、他の化合物等を含んでもよい。
【0078】
また、混合物層は、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物との混合物の層の他に、電子供与体からなる層(電子供与体層)、電子受容体からなる層(電子受容体層)、または、電子供与体層と電子受容体層をさらに含んでもよい。
【0079】
2 本発明の光電変換素子および太陽電池
本発明の光電変換素子は基板と1対の電極を有し、当該1対の電極間に、少なくとも電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する。
【0080】
2.1 基板
本発明の光電変換素子の基板は電極等の支持体となるものである。基板の材料(基板材料)は電極等の支持体となり得るであれば特に限定されない。ただし、本発明の光電変換素子において、基板に照射された光を素子内に取り込むため、基板には透光性の材料が用いられる。基板材料としては、当該基板を透過する可視光の透過率が、60%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0081】
基板材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料などが挙げられる。これらの中でも、ガラス、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンが好ましい。
なお、基板材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0082】
基板のガスバリヤ性が低いと、基板を通過する外気により有機光電変換素子1が劣化する可能性がある。そこで、基板材料としてガスバリヤ性の低い材料(例えば合成樹脂)を用いる場合には、基板のどちらか片側もしくは両側に、ガスバリヤ性を有する層(ガスバリヤ層)を形成することが好ましい。このガスバリヤ層としては、例えば、緻密なシリコン酸化膜などが挙げられる。
【0083】
基板の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シートなどの形状を用いることができる。
基板の厚みには制限はないが、5μm~20mmが好ましく、20μm~10mmがさらに好ましい。基板が薄すぎると有機光電変換素子1を保持する強度が不足する可能性があり、厚すぎるとコストが高くなったり、重量が重くなりすぎたりする可能性があるからである。
【0084】
2.2 電極
本発明の光電変換素子において、電極に用いられる材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛、Au、Co、Ni、Ptなどの仕事関数が高い材料と、Al、Ag、Li、In、Ca、Mg、LiFなどを組み合わせて用いることが好ましい。なかでも、光が透過する位置にある電極は、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの透明電極を用いることが好ましい。これら電極の製造方法及び膜厚などは適宜選択することができる。
【0085】
本発明の光電変換素子において、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物との混合物層が設けられている場合、その混合物層の厚さは特に限定されないが、0.1nm未満では均一性が十分ではなく、短絡を起こしやすいという問題が生じる。他方、混合物層の厚さが5000nmを超えると内部抵抗が大きくなり、また素子1個当たりの固体層の占める体積割合が高くなるため、容量が低下し好ましくない。また、電極間の距離が離れるので、電荷の拡散が悪くなる問題が生じる。そこで、混合物層の厚さは0.1~5000nmが好ましく、1~1000nmがさらに好ましい。より好ましくは20~500nmがさらに好ましい。
【0086】
2.3 p型半導体層 n型半導体層
本発明の光電変換素子では、さらに、p型半導体層とn型半導体とが設けられてもよい。
【0087】
(1)p型半導体層
電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体を含む混合物層と電極(正極)との間に、p型半導体層が設けることができる。
p型半導体層の材料(p型半導体材料)としては、混合物層で生成した正孔を効率よく正極へ輸送できるものが好ましい。そのためには、p型半導体材料は、正孔移動度が高いこと、導電率が高いこと、正極との間の正孔注入障壁が小さいこと、混合物層からp型半導体層への正孔注入障壁が小さいこと、などの性質を有することが好ましい。
【0088】
また、p型半導体層を有する光電変換素子では、p型半導体層を通じて光電変換素子内に光を取り込むので、p型半導体層は透明であることが望ましい。通常は光のうちでも可視光を光電変換素子の内に取り込むことになるため、透明なp型半導体材料としては、当該p型半導体層を透過する可視光の透過率が、60%以上がこのましく、80%以上がさらに好ましい。
【0089】
光電変換素子の製造コストの抑制、大面積化などを実現するためには、p型半導体材料として有機半導体材料を用い、p型半導体層をp型有機半導体層として形成することが好ましい。
【0090】
p型半導体材料の好ましい例を挙げると、顔料が挙げられ、好ましくはポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は、中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。その具体例としては、29H,31H-フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4’,4’’,4’’’-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;などが挙げられる。
【0091】
また、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物等の顔料以外の好ましいp型半導体材料の例としては、正孔輸送性高分子にドーパントを混合した系が挙げられる。この場合、正孔輸送性高分子の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられる。一方、ドーパントの例としては、ヨウ素;ポリ(スチレンスルホン酸)、カンファースルホン酸等の酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;などが挙げられる。
なお、p型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0092】
p型半導体層の厚みに制限はないが、厚すぎると透過率が低下したり、直列抵抗が増大したりする可能性があり、薄すぎると不均一な膜となる可能性がある。そこで、p型半導体層の厚みは3nm~200nmが好ましく、10nm~100nmがさらに好ましい。なお、p型半導体層の形成方法に制限は無いが、顔料を含むp型半導体層を形成する場合には、潜在顔料を塗布して、変更する方法が好ましい。
【0093】
(2)n型半導体層
電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体を含む混合物層と電極(負極)との間に、n型半導体層が設けることができる。
n型半導体層の材料(n型半導体材料)としては、混合物層で生成した電子を効率よく負極へ輸送できるものが好ましい。混合物層で生成される励起子(エキシトン)が負極により消光されるのを防ぐために、電子供与体と電子受容体が有する光学的ギャップより大きい光学的ギャップを、n型半導体層の材料(n型半導体材料)が有することが好ましい。
【0094】
n型半導体材料の好ましい例を挙げると、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体等の電子輸送性を示す有機化合物;TiO等の無機半導体などが挙げられる。なお、n型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0095】
n型半導体層の厚みに制限はないが、2nm~200nmが好ましく、5nm~100nmがさらに好ましい。
【0096】
2.4 正孔取り出し層 電子取り出し層
本発明の光電変換素子は、1対の電極、およびその間に配置された電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物の他に、さらに正孔取り出し層と電子取り出し層とからなる群から選ばれる1以上を有することができる。
【0097】
正孔取り出し層の材料は、電子受容体と電子供与体を含む層から電極(正極)へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンなどの導電性有機化合物などが挙げられる。また、Au、In、Ag、Pdなどの金属などの薄膜も使用することができる。さらに、金属などの薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
電子取り出し層の材料は、電子受容体と電子供与体を含む層から電極(負極)へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントレン(Bphen)、及びこれらにアルカリ金属あるいはアルカリ金属土類をドープした層が挙げられる。また、電子取り出し層の材料にフラーレン類やシロール類などを用いることも可能であり、たとえば、上記のバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、または、バソキュプロイン(BCP)とバソフェナントレン(Bphen)にアルカリ金属もしくはアルカリ金属土類をドープした層を組み合わせたものも用いることができる。
【0098】
正孔取り出し層と電子取り出し層は1対の電極間に、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層、または、混合物層とn型半導体層とp型半導体層)を挟むように配置される。すなわち、本発明の光電変換素子が正孔取り出し層と電子取り出し層の両者を含む場合、電極、正孔取り出し層、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層、または、混合物層とn型半導体層とp型半導体層)、電子取り出し層、電極の順に配置される構成を有する。また、本発明の光電変換素子が正孔取り出し層を含み電子取り出し層を含まない場合、電極、正孔取り出し層、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層、または、混合物層とn型半導体層とp型半導体層)、電極の順に配置される構成を有する。本発明の光電変換素子が電子取り出し層を含み正孔取り出し層を含まない場合、電極、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層、または、混合物層とn型半導体層とp型半導体層)、電子取り出し層、電極の順に配置される構成を有する。
【0099】
フラーレン誘導体は電子受容体として、電子供与体の化合物は電子供与体として機能する。具体的には、電子供与体と電子受容体を含む層(たとえば、混合物層)に光が照射されると、照射による励起によって発生した電子は当該層中のフラーレン誘導体を通って対極に移動する。また、フラーレン誘導体に電子が移動すると電子供与体の化合物は酸化された状態になり、正孔が作用電極に移動する。このようにして、電流が流れることになる。
【0100】
2.5 光電変換素子の用途
本発明の光電変換素子は、太陽電池に限らず、光スイッチング装置、センサなどの各種の光電変換装置に好適に使用することができる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中、「Me」はメチルを表し、「Ph」はフェニルを表す。
【0102】
[合成例1]C60(CHSiMe)Hの合成
【化16】
JP0005548933B2_000012t.gif
スキーム1に示すように、脱気窒素置換した50mLシュレンクにC60を50mg(0.069mmol,1.0eq)、ODCB(1,2-ジクロロベンゼン)を5mL加え、室温でしばらく攪拌した。DMFを155μL(2.05mmol,30eq)加え、0.592Mのトリメチルシリルメチルマグネシウムクロリド/THF溶液を0.35mL(0.207mmol,3.0eq)添加し、室温で15分間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、飽和NHCl水溶液を添加してクエンチした。反応溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した後、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行って、51mg(収率93%,HPLC純度91%)のフラーレン誘導体1(C60(CHSiMe)H)を得た。
【0103】
[合成例2]C60(CHSiMeの合成
【化17】
JP0005548933B2_000013t.gif
スキーム2に示すように、脱気窒素置換した50mLシュレンクに、合成例1で合成したフラーレン誘導体1(C60(CHSiMe)H)を20mg(24.7μmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを4mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を29.7μL(29.7μmol,1,2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、ヨードメチルトリメチルシランを73.6μL(0.495mmol,20eq)添加し、120℃で20時間攪拌した。HPLC(Buckyprep、トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,二硫化炭素/ヘキサン=1/2)およびHPLC(Buckyprep 20 mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=7/3)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、20mg(90%)のフラーレン誘導体2(C60(CHSiMe)を得た。
【0104】
また、前記方法とは別に、下記に示すスキーム3のようにフラーレン誘導体2(C60(CHSiMe)を得た。
【化18】
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具体的には、スキーム3に示すように、脱気窒素置換した50mLシュレンクに、合成例1で合成したフラーレン誘導体1(C60(CHSiMe)H)を200mg(0,25mmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを10mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を0,290mL(0,290mmol,1.2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、クロロメチルトリメチルシランを0,427mL(4,94mmol,20eq)およびヨウ化カリウムを820mg(4,94mmol,20eq)添加し、120℃で12時間攪拌した。HPLC(Buckyprep、トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエン)およびHPLC(Buckyprep 20 mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=7/3)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、115mg(51%)のフラーレン誘導体2(C60(CHSiMe)を得た。
【0105】
[合成例3]C60(CHSiMe)(CHSiMe13)の合成
【化19】
JP0005548933B2_000015t.gif
スキーム4に示すように、脱気窒素置換した200mLシュレンクに合成例1で合成したフラーレン誘導体1(C60(CHSiMe)H)を300mg(0.371mmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを60mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を0.445mL(0.445mmol,1.2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、クロロメチルジメチルヘキシルシランを1.43g(7.42mmol,20eq)およびヨウ化カリウムを1.23g(7.42mmol,20eq)添加し、120℃で12時間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,二硫化炭素/ヘキサン=1/2)およびHPLC(Buckyprep 20mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=7/3)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、214mg(60%)のフラーレン誘導体3(C60(CHSiMe)(CHSiMe13))を得た。
【0106】
[合成例4]C60(CHSiMe)(CHSiMe1225)の合成
【化20】
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スキーム5に示すように、脱気窒素置換した200mLシュレンクに合成例1で合成したフラーレン誘導体1(C60(CHSiMe)H)を500mg(0.618mmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを100mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を0.742mL(0.742mmol,1.2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、クロロメチルジメチルドデシルシランを3.42g(12.4mmol,20eq)およびヨウ化カリウムを2.05g(12.4mmol,20eq)添加し、120℃で12時間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,二硫化炭素/ヘキサン=1/2)およびHPLC(Buckyprep 20mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=7/3)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、486mg(75%)のフラーレン誘導体4(C60(CHSiMe)(CHSiMe1225))を得た。
【0107】
[合成例5]C60(CHSiMePh)Hの合成
【化21】
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スキーム6に示すように、脱気窒素置換した2LフラスコにC60を5.00g(6.94mmol,1.0eq)、ODCBを1.00L加え、室温でしばらく攪拌した。DMFを15.2g(208mmol,30eq)加え、0.733Mのフェニルジメチルシリルメチルマグネシウムクロリド/THF溶液を28.4mL(20.8mmol,3.0eq)添加し、室温で15分間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、飽和NHCl水溶液を添加してクエンチした。反応溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,二硫化炭素)によって精製を行った。溶媒を留去した後、少量のトルエンに溶解させ、メタノールで再沈を行って、5.63g(93%)のフラーレン誘導体5(C60(CHSiMePh)H)を得た。
【0108】
[合成例6]C60(CHSiMe)(CHSiMePh)の合成
【化22】
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スキーム7に示すように、脱気窒素置換した200mLシュレンクに合成例5で合成したフラーレン誘導体5(C60(CHSiMePh)H)を1.0g(1.15mmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを100mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を1.38mL(1.38mmol,1.2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、クロロメチルトリメチルシランを2.82g(23.0mmol,20eq)およびヨウ化カリウムを3.81g(23.0mmol,20eq)添加し、120℃で12時間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、HPLC(Buckyprep 20mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=7/3)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、65.1mg(5.9%)のフラーレン誘導体6(C60(CHSiMe)(CHSiMePh))を得た。
【0109】
[合成例7]C60(CHSiMe13)Hの合成
【化23】
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スキーム8に示すように、脱気窒素置換した200mLシュレンクにC60を2.00g(2.78mmol,1.0eq)、ODCBを400mL加え、室温でしばらく攪拌した。DMFを6.09g(83.3mmol,30eq)加え、0.90Mのヘキシルジメチルシリルメチルマグネシウムクロリド/THF溶液を9.25mL(8.33mmol,3.0eq)添加し、室温で15分間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、飽和NHCl水溶液を添加してクエンチした。反応溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した後、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行って、2.20g(収率90%,HPLC純度92%)のフラーレン誘導体7(C60(CHSiMe13)H)を得た。
【0110】
[合成例8]C60(CHSiMe13)(CHSiMePh)の合成
【化24】
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スキーム9に示すように、脱気窒素置換した200mLシュレンクに合成例7で合成されたフラーレン誘導体7(C60(CHSiMe13)H)を400mg(0.455mmol,1.0eq)、ベンゾニトリルを80mL加え、室温でしばらく攪拌した。1.0Mのt-BuOK/THF溶液を0.546mL(0.546mmol,1.2eq)添加し、室温で10分間攪拌した後、クロロメチルジメチルフェニルシランを1.68g(9.10mmol,20eq)およびヨウ化カリウムを1.51g(9.10mmol,20eq)添加し、120℃で12時間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,二硫化炭素/ヘキサン=1/2)およびHPLC(Buckyprep 20mm x 250mm,トルエン/2-プロパノール=6/4)による精製を行い、溶媒を留去し、メタノールで再沈を行なって、358mg(76%)のフラーレン誘導体8(C60(CHSiMe13)(CHSiMePh))を得た。
【0111】
[合成例9]C60(CHSiMePh)の合成
【化25】
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スキーム10に示すように、脱気窒素置換した500mLシュレンクに、合成例5で合成したフラーレン誘導体5(C60(CHSiMePh)H)を3.01g(3.45mmol, 1.0eq)、および、ベンゾニトリルを300mL加え、室温(25℃)でしばらく攪拌した。この反応系に1.0Mのt-BuOK/THF溶液を4.5mL(4.50mmol,1.3eq)添加し、室温で30分間攪拌した後、クロロメチルジメチルフェニルシランを10.0g(54.1mmol,21eq)およびヨウ化カリウムを11g(66.3mmol,19eq)添加し、120℃で17時間攪拌した。HPLC(Buckyprep,トルエン/2-プロパノール=7/3)による反応追跡により、原料の消失を確認してから、溶媒を留去し、シリカショートパス(トルエン)により不溶分を除去した。 溶媒(トルエン)を留去し、 残渣を少量のクロロホルムに溶解し、メタノールで再沈を行なって、2.55g(crude収率98.5%)の濃茶色粉末状固体を得た。
この後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエン)およびHPLC (Buckyprep 28 mm × 250 mm,トルエン; RP FULLERENE, 20 mm × 250 mm,トルエン/アセトニトリル=7/3)による精製を行い、溶媒を留去した。 残渣を少量のクロロホルムに溶解し、メタノールで再沈を行なって、341.8mg (13.2%) のフラーレン誘導体9(C60(CHSiMePh))を得た。
【0112】
[実施例1] フラーレン誘導体2を用いた太陽電池
実施例1の太陽電池の模式図である図1に基づいて、実施例1の太陽電池の構成を示す。ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(アルドリッチ社製 商品名「レジオレギュラー」)(以下、「P3HT」という)とフラーレン誘導体2との重量比が1:0.8の比率となり、かつ、固形分濃度が2wt%になるようにモノクロロベンゼンに溶解させることにより、P3HTとフラーレン誘導体2とが溶解したモノクロロベンゼン溶液を調整した。
【0113】
ガラス基板1上に、正極としてITO電極2が設けられたITOガラス基板上に、正孔取り出し層3としてポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名「Baytron AI 4083」)をスピンコートにより塗布した後、ホットプレート上でその基板に加熱処理を施した。その膜厚は28nmであった。加熱処理を施した基板上に、前記モノクロロベンゼン溶液をスピンコートにより塗布することにより、膜厚89nmの混合物層4を得た。この混合物層4上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム膜を電極(負極)5として設け、窒素雰囲気下でITOガラス基板に透明ガラス基板(非図示)を封止剤によって貼り付けてシールした。このシールされた素子をホットプレート上で150℃、5分間加熱処理を施すことにより、図1に示すようなバルクヘテロ接合の太陽電池を作成した。
【0114】
作成した太陽電池にITOガラス基板側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極2と電極5と間における電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【表1】
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【0115】
[実施例2] フラーレン誘導体3を用いた太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体3を用いた以外は、実施例1と同様の条件で太陽電池を作成した。この時、混合物層4の膜厚は86nmであった。作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【0116】
[実施例3] フラーレン誘導体4を用いた太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体4を用いた以外は、実施例1と同様の
条件で太陽電池を作成した。この時、混合物層4の膜厚は81nmであった
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【0117】
[実施例4] フラーレン誘導体6を用いた太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体6を用いた以外は、実施例1と同様の
条件で太陽電池を作成した。この時、混合物層4の膜厚は75nmであった
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【0118】
[実施例5] フラーレン誘導体8を用いた太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体8を用いた以外は、実施例1と同様の
条件で太陽電池を作成した。この時、混合物層4の膜厚は65nmであった
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【0119】
[実施例6] フラーレン誘導体9を用いた太陽電池
実施例6の太陽電池の模式図である図2に基づいて、実施例6の太陽電池の構成を示す。
ガラス基板1上に、電極としてITO電極2が設けられたITOガラス基板上に、正孔取り出し層3としてポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名「Baytron PH」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は40nmであった。
【0120】
基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。その後、クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:2混合溶媒(重量)に下記式(A)で表される化合物(化合物A)を0.5重量%溶解した液をろ過し、得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、正孔取り出し層3の上にテトラベンゾポルフィリンの層であるp型半導体層7を形成した。
【化26】
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【0121】
クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に、化合物Aを0.6重量%と合成例9で得られたフラーレン誘導体9を1.4重量%溶解した液を調製し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、p型半導体層7の上にテトラベンゾポルフィリンとフラーレン誘導体9との混合物層4を形成した。
【0122】
次に、トルエンにフラーレン誘導体9を1.2重量%溶解した液を調整し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を3000rpmでスピンコートし、65℃で10分間加熱処理を施した。基板加熱処理を施した基板上を真空蒸着装置内に設置し、クライオポンプを用いて排気した。これによって、混合物層4の上にn型半導体層8を形成した。
【0123】
そして、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートにフェナントロリン誘導体[バソキュプロイン](BCP)を入れ、加熱して、フェナントロリン誘導体[バソキュプロイン](BCP)を膜厚6nmになるまで蒸着し、n型半導体層8の上に電子取り出し層6を形成した。
【0124】
更に、電子取り出し層6の上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム膜を電極5として設け、窒素雰囲気下でITOガラス基板に透明ガラス基板(非図示)を封止剤によって貼り付けてシールすることにより、図2の模式図に示す太陽電池を作成した。
【0125】
作成した太陽電池にITOガラス基板側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極2と電極5と間における電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出したところ、3.4%であった(表1)。
【0126】
[比較例1] PCBMを用いた太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりに下記式(5)
【化27】
JP0005548933B2_000024t.gif
で表されるフラーレン誘導体 ([6,6]-フェニル C61-ブチリックアシッドメチルエステル)(PCBM)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の活用法として、例えば、太陽電池、光スイッチング装置、センサなどの各種の光電変換装置を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施例1の太陽電池の模式図である。
【図2】実施例6の太陽電池の模式図である。
【符号の説明】
【0129】
1 ガラス基板
2 ITO電極(正極)
3 正孔取り出し層
4 混合物層
5 電極(負極)
6 電子取り出し層
7 p型半導体層
8 n型半導体層
図面
【図1】
0
【図2】
1