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明細書 :画像処理装置および方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4693895号 (P4693895)
公開番号 特開2010-136168 (P2010-136168A)
登録日 平成23年3月4日(2011.3.4)
発行日 平成23年6月1日(2011.6.1)
公開日 平成22年6月17日(2010.6.17)
発明の名称または考案の名称 画像処理装置および方法
国際特許分類 H04N   1/387       (2006.01)
H04N   1/409       (2006.01)
G06T   5/00        (2006.01)
FI H04N 1/387 101
H04N 1/40 101C
G06T 5/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2008-310841 (P2008-310841)
出願日 平成20年12月5日(2008.12.5)
審査請求日 平成20年12月5日(2008.12.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】寅市 和男
個別代理人の代理人 【識別番号】100103171、【弁理士】、【氏名又は名称】雨貝 正彦
審査官 【審査官】白石 圭吾
参考文献・文献 特開平05-191722(JP,A)
特開2001-292311(JP,A)
特開2003-169208(JP,A)
特開2003-116103(JP,A)
国際公開第2007/102244(WO,A1)
特開2007-094783(JP,A)
特開平11-353473(JP,A)
特開平11-353472(JP,A)
調査した分野 H04N 1/38 - 1/409
G06T 3/40
G06T 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
生成する画像データの解像度よりも高い所定解像度で画像を光学的に読み取って、画像を構成する前記所定解像度の画素の画素値を中間画素値として取得し、画像の所定範囲に含まれる複数の中間画素値を出力する中間画素値取得手段と、
前記所定範囲に対応する正および負の値の両方を含む複数の関数値を有する変換関数としての標本化関数について、前記複数の関数値を記憶する関数値記憶手段と、
前記中間画素値取得手段から出力される複数の中間画素値のそれぞれと、前記関数値記憶手段に格納された複数の関数値のそれぞれとを、1対1に対応させて対応するもの同士を乗算して複数の乗算結果を出力する対応点乗算手段と、
前記対応点乗算手段から出力される複数の乗算結果を加算する加算手段と、
を備え、前記加算手段から出力される加算結果を前記複数の中間画素値に対応する1つの画素値であって、生成する画像データを構成する1つの画素の画素値とするとともに、
前記加算手段から出力される加算結果を用いた画素値の生成は、前記中間画素値取得手段から出力される複数の中間画素値に対応する前記所定範囲をずらしながら繰り返し行われ、複数の画素値のそれぞれに対応する前記所定範囲は重複しないことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記中間画素値取得手段は、画像を光学的に読み取って前記中間画素値を生成する光学機器を含んで構成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
中間画素値取得手段を用いて、生成する画像データの解像度よりも高い所定解像度で画像を光学的に読み取って、画像を構成する前記所定解像度の画素の画素値を中間画素値として取得し、画像の所定範囲に含まれる複数の中間画素値を出力する中間画素値出力ステップと、
前記所定範囲に対応する正および負の値の両方を含む複数の関数値を有する変換関数としての標本化関数について、関数値記憶手段に記憶された前記複数の関数値を出力する関数値出力ステップと、
前記中間画素値取得ステップにおいて出力される複数の中間画素値のそれぞれと、前記関数値出力ステップにおいて出力される複数の関数値のそれぞれとを、1対1に対応させて対応するもの同士を対応点乗算手段を用いて乗算して複数の乗算結果を出力する対応点乗算ステップと、
前記対応点乗算ステップにおいて出力される複数の乗算結果を加算手段を用いて加算する加算ステップと、
を有し、前記加算ステップにおいて出力される加算結果を前記複数の中間画素値に対応する1つの画素値であって、生成する画像データを構成する1つの画素の画素値とするとともに、
前記加算ステップにおいて出力される加算結果を用いた画素値の生成は、前記中間画素値出力ステップから出力される複数の中間画素値に対応する前記所定範囲をずらしながら繰り返し行われ、複数の画素値のそれぞれに対応する前記所定範囲は重複しないことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記中間画素値出力ステップは、画像を光学的に読み取って前記中間画素値を生成する光学機器を用いて行われることを特徴とする画像処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に対応する複数画素の画素値からなる画像データを生成する画像処理装置および方法に関する。
【0002】
なお、本明細書においては、関数値が局所的な領域(標本位置を除く)の全部あるいは一部において0以外の有限の値を有し、それ以外の領域で0となる場合を「有限台」と称して説明を行うものとする。
【背景技術】
【0003】
従来から、紙原稿等に描かれた画像を読み取って画像を構成する複数画素の画素値からなる画像データを生成するスキャナが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスキャナでは、設定された解像度でCCDなどの撮像素子により、画像を構成する画素値が読み取られる。

【特許文献1】特開2000-307818号公報(第4-6頁、図1-3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1等に開示された従来技術では、解像度で指定される所定間隔で画素値を生成しているため、ノイズの影響を受けやすいという問題があった。ノイズの原因としては、読み取り面に埃等が存在する場合や、CCD等の出力に電気的な変動成分が重畳する場合などが考えられる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、画像データ生成時のノイズによる影響を低減することができる画像処理装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、生成する画像データの解像度よりも高い所定解像度で画像を光学的に読み取って、画像を構成する所定解像度の画素の画素値を中間画素値として取得し、画像の所定範囲に含まれる複数の中間画素値を出力する中間画素値取得手段と、所定範囲に対応する正および負の値の両方を含む複数の関数値を有する変換関数としての標本化関数について、複数の関数値を記憶する関数値記憶手段と、中間画素値取得手段から出力される複数の中間画素値のそれぞれと、関数値記憶手段に格納された複数の関数値のそれぞれとを、1対1に対応させて対応するもの同士を乗算して複数の乗算結果を出力する対応点乗算手段と、対応点乗算手段から出力される複数の乗算結果を加算する加算手段とを備え、加算手段から出力される加算結果を複数の中間画素値に対応する1つの画素値であって、生成する画像データを構成する1つの画素の画素値としている。
【0007】
また、本発明の画像処理方法は、中間画素値取得手段を用いて、生成する画像データの解像度よりも高い所定解像度で画像を光学的に読み取って、画像を構成する所定解像度の画素の画素値を中間画素値として取得し、画像の所定範囲に含まれる複数の中間画素値を出力する中間画素値出力ステップと、所定範囲に対応する正および負の値の両方を含む複数の関数値を有する変換関数としての標本化関数について、関数値記憶手段に記憶された複数の関数値を出力する関数値出力ステップと、中間画素値取得ステップにおいて出力される複数の中間画素値のそれぞれと、関数値出力ステップにおいて出力される複数の関数値のそれぞれとを、1対1に対応させて対応するもの同士を対応点乗算手段を用いて乗算して複数の乗算結果を出力する対応点乗算ステップと、対応点乗算ステップにおいて出力される複数の乗算結果を加算手段を用いて加算する加算ステップとを有し、加算ステップにおいて出力される加算結果を複数の中間画素値に対応する1つの画素値であって、生成する画像データを構成する1つの画素の画素値としている。
【0008】
また、上述した中間画素値取得手段は、画像を光学的に読み取って中間画素値を生成する光学機器を含んで構成されていることが望ましい。あるいは、上述した中間画素値出力ステップは、画像を光学的に読み取って中間画素値を生成する光学機器を用いて行われることが望ましい。
【0010】
また、上述した加算手段から出力される加算結果を用いた画素値の生成は、中間画素値取得手段から出力される複数の中間画素値に対応する所定範囲をずらしながら繰り返し行われ、複数の画素値のそれぞれに対応する所定範囲は重複していない。あるいは、上述した加算ステップにおいて出力される加算結果を用いた画素値の生成は、中間画素値出力ステップから出力される複数の中間画素値に対応する所定範囲をずらしながら繰り返し行われ、複数の画素値のそれぞれに対応する所定範囲は重複していない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、画像に対応する画素値の生成が、より高解像度の複数の中間画素値と変換関数の複数の関数値との積和演算(内積演算)によって行われるため、一部の中間画素の画素値にノイズが含まれていた場合であっても、画像データ生成時の画素値に対するノイズの影響を低減することができる。
【0012】
また、画素値を生成するために用いられる複数の中間画素値の範囲は、重複させる場合や重複させない場合が考えられるが、重複させる場合に重複の程度(範囲)を可変することにより、中間画素の解像度を変えることなく生成画素の画素数(解像度)を変化させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した一実施形態の画像処理装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、一実施形態の画像処理装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の画像処理部は、スキャナ10、画像データ入力部12、AD(アナログ-デジタル)関数値記憶部20、対応点乗算部30、加算部40、演算結果記憶部50、表示処理部60、表示部62を含んで構成されている。この画像処理装置は、紙原稿に描かれた画像をスキャナ10で読み取って所定の解像度を有する画像データを生成し、その内容を表示する。
【0015】
スキャナ10は、紙原稿に描かれた画像をCCD等の撮像素子を用いて光学的に読み取って、複数画素からなる原画像の各画素値を出力する光学機器である。生成する画像データの解像度をKとすると、スキャナ10による読み取りはKよりも高解像度で行われる。以下では、この高解像度の読み取りによって得られる原画像の各画素を「中間画素」、中間画素の画素値を「中間画素値」として説明を行うものとする。
【0016】
なお、本実施形態ではスキャナ10を用いて紙原稿に描かれた画像を読み取って原画像に対応する処理前の画像データを取得しているが、デジタルカメラを用いて同様の画像データを取得するようにしてもよい。あるいは、光学的に画像を読み取るのではなく、読み取って(あるいはパーソナルコンピュータ等で作成された)画像データそのものを取り込むようにしてもよい。例えば、CDやDVD等の挿抜可能な記憶媒体に記録された画像データを取り込む場合には、これらの記憶媒体のドライブ装置(読み取り装置)をスキャナ10の代わりに用いることができる。半導体メモリやハードディスク装置に記録された画像データを取り込む場合には、これらを接続する入出力インタフェースをスキャナ10の代わりに用いることができる。また、インターネットやその他のネットワーク、あるいは電話回線等を介した通信によって画像データを取り込む場合には、回線の種類等に応じた通信装置をスキャナ10の代わりに用いることができる。また、放送による配信によって画像データを取り込む場合には、放送の形態に応じた受信装置をスキャナ10の代わりに用いることができる。
【0017】
画像データ入力部12は、スキャナ10によって取り込まれた原画像の画像データを格納した後、この画像データに含まれる各中間画素値を複数個を単位に読み出して出力する。例えば、X方向およびY方向のそれぞれについて17画素、合計で289(=17×17)個の中間画素値を出力する。
【0018】
AD関数値記憶部20は、2変数で定義されるAD関数(変換関数としての標本化関数)の波形を示す複数の値(AD関数値)を記憶しており、これら複数のAD関数値を並行して出力する。図2は、AD関数値記憶部20の具体例を示す図である。本実施形態では、以下の(1)式で示される2変数のAD関数ψ(x,y)が用いられる。
【0019】
ψ(x,y)=φ(x)φ(y) ・・・(1)
ここで、φは以下の式で表される。
【0020】
φ(t)=0 (t≦-2)
-0.25t2-t-1 (-2≦t≦-1.5)
0.75t2+2t+1.25 (-1.5≦t≦-1)
1.25t2+3t+1.75 (-1≦t≦-0.5)
-1.75t2+1 (-0.5≦t≦0.5)
1.25t2-3t+1.75 (0.5≦t≦1)
0.75t2-2t+1.25 (1.0≦t≦1.5)
-0.25t2+t-1 (1.5≦t≦2)
0 (2≦t)
tによって演算対象となる画素位置が特定される。この関数φ(t)は、微分可能性に着目した有限台の関数であり、例えば全域において1回だけ微分可能であって、横軸に沿ったtが-2から+2の間にあるときに、t=0,±1,±2以外の位置において関数値が0以外の有限な値を有する有限台の関数である。また、tが-2以下あるいは2以上のときは関数値が常に0となる。また、φ(t)は、t=0の位置でのみ1になり、t=±1,±2の位置において0になる。
【0021】
本実施形態では、t=0,±1,±2のそれぞれの間を水平方向および垂直方向のそれぞれについて4分割してAD関数値が求められており、これらのAD関数値がAD関数値記憶部20に記憶されている。具体的には、水平方向(X方向)に沿ってxが-2から+2までの範囲に17個、垂直方向(Y方向)に沿ってyが-2から+2の範囲に17個、これらの範囲に対応する四角形領域全体で289(=17×17)個のAD関数値が、AD関数値記憶部20内の289個の格納部に記憶されている。
【0022】
対応点乗算部30は、複数の乗算器(図2に示す289個の格納部を有するAD関数値記憶部20の場合には289個の乗算器)を含んで構成されており、AD関数値記憶部20の各格納部から並行して出力される複数のAD関数値のそれぞれと、画像データ入力部12から出力される289個の中間画素値のそれぞれとを1対1に対応させ、対応するもの同士を乗算する。これにより、対応点乗算部30は、289個の乗算結果を並行して出力する。
【0023】
加算部40は、対応点乗算部30から出力される289個の乗算結果を加算して1つの加算結果を出力する。対応点乗算部30と加算部40による積和演算により、入力される複数の中間画素値と複数のAD関数値の内積演算が行われ、演算結果(加算結果)としての画素値が加算部40から出力される。
【0024】
演算結果記憶部50は、加算部40から出力される演算結果を格納する。表示処理部60は、演算結果記憶部50に格納された補間値を読み出して表示部62に表示する。
【0025】
上述したスキャナ10、画像データ入力部12が中間画素値取得手段に、AD関数値記憶部20が関数値記憶手段に、対応点乗算部30が対応点乗算手段に、加算部40が加算手段にそれぞれ対応する。また、上述したスキャナ10、画像データ入力部12による動作が中間画素値出力ステップの動作に、AD関数値記憶部20から中間画素値を出力する動作が関数値出力ステップの動作に、対応点乗算部30による動作が対応点乗算ステップの動作に、加算部40による動作が加算ステップの動作にそれぞれ対応する。
【0026】
本実施形態の画像処理装置はこのような構成を有しており、次に、この装置によって行われる画素値の生成処理について説明する。
【0027】
図3は、原画像に対応する複数の中間画素とこれらの中間画素に基づいて画素値が演算される画素との関係を示す図である。図3において、黒丸(●)は中間画素を、白丸(○)は中間画素値に基づいて画素値が演算される画素Pをそれぞれ示している。
【0028】
画像データ入力部12は、図3の領域Sに含まれる複数の中間画素に対応する複数の中間画素値を出力する。また、AD関数値記憶部20は、図2に示す複数の格納部のそれぞれに格納された複数のAD関数値を読み出して出力する。図3に示した中間画素の配置と図2に示したAD関数値記憶部20の各格納部の配置は1対1に対応しており、対応点乗算部30に含まれる各乗算器は、対応する中間画素値とAD関数値を乗算する。このようにして演算された複数の乗算結果が加算部40によって加算され、図3のPで示される画素の画素値が得られる。
【0029】
図4および図5は、画素値を生成するために用いられる中間画素の範囲を示す説明図である。図4に示す例では、画素値生成に用いられる複数の中間画素の範囲S1、S2、S3、・・・が互いに重複しないように設定されている。図5(A)、(B)、(C)に示す例では、画素値生成に用いられる複数の中間画素の範囲S1、S2、S3、・・・が互いに重複するように設定されている。
【0030】
このように、本実施形態の画像処理装置では、画像に対応する画素値の生成が、より高解像度の複数の中間画素値とAD関数の複数の関数値との積和演算(内積演算)によって行われるため、一部の中間画素の画素値にノイズが含まれていた場合であっても、画像データ生成時の画素値に対するノイズの影響を低減することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、(1)式で示されるAD関数を用いたが、他のAD関数を用いるようにしてもよい。水平方向および垂直方向に沿って各関数値を記憶可能であれば、どのようなAD関数に対しても本発明を適用することができる。
【0032】
また、上述した実施形態においては、標本化関数はt=±2で0に収束するようにしたが、本発明はこれに限らず、t=±3以上、あるいはt=±2未満で0に収束するようにしてもよい。
【0033】
また、図5に示したように中間画素の範囲S1、S2、S3、・・・を互いに重複させた場合に、この重複範囲を可変するようにしてもよい。この場合には、中間画素の解像度を変えることなく、生成画素の間隔(画素数、解像度)を変化させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一実施形態の画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】AD関数値記憶部の具体例を示す図である。
【図3】原画像に対応する複数の中間画素とこれらの中間画素に基づいて画素値が演算される画素との関係を示す図である。
【図4】画素値を生成するために用いられる中間画素の範囲を示す説明図である。
【図5】画素値を生成するために用いられる中間画素の範囲を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10 スキャナ
12 画像データ入力部
20 AD関数値記憶部
30 対応点乗算部
40 加算部
50 演算結果記憶部
60 表示処理部
62 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4