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明細書 :画像処理装置、方法およびプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4744593号 (P4744593)
公開番号 特開2010-157859 (P2010-157859A)
登録日 平成23年5月20日(2011.5.20)
発行日 平成23年8月10日(2011.8.10)
公開日 平成22年7月15日(2010.7.15)
発明の名称または考案の名称 画像処理装置、方法およびプログラム
国際特許分類 H04N   1/393       (2006.01)
G06T   3/40        (2006.01)
FI H04N 1/393
G06T 3/40 A
請求項の数または発明の数 21
全頁数 13
出願番号 特願2008-334400 (P2008-334400)
出願日 平成20年12月26日(2008.12.26)
審査請求日 平成20年12月26日(2008.12.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】寅市 和男
個別代理人の代理人 【識別番号】100103171、【弁理士】、【氏名又は名称】雨貝 正彦
審査官 【審査官】白石 圭吾
参考文献・文献 特開2005-063197(JP,A)
特開平09-252401(JP,A)
特開2005-141498(JP,A)
特開平11-353473(JP,A)
特開2007-318287(JP,A)
調査した分野 H04N 1/38 - 1/393
G06T 3/40
特許請求の範囲 【請求項1】
水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データを格納する画像データ格納手段と、
前記画像データ格納手段に格納された画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する画素抽出手段と、
前記画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する画素値判定手段と、
前記画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を特定する境界特定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素値判定手段による境界画素の抽出は、水平方向に並んだ複数画素と垂直方向に並んだ複数画素の両方について行われることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記境界特定手段は、前記2つの境界近傍画素を挟んで存在する複数画素の画素値に基づいて前記境界の位置と画素値とを特定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の直線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の直線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の直線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の曲線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の曲線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の曲線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記画像データ格納手段に格納された画像データと、前記境界特定手段によって特定された境界の位置、画素値とに基づいて画像の拡大処理を行う画像拡大処理手段をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記画像拡大処理手段は、前記2つの境界近傍画素の区間については前記補間曲線を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定し、それ以外の区間については標本化関数を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
画像データ格納手段に格納された水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を画素抽出手段によって抽出する画素抽出ステップと、
前記画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する処理を画素判定手段によって行う画素値判定ステップと、
前記画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を境界特定手段によって特定する境界特定ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記画素値判定手段による境界画素の抽出は、水平方向に並んだ複数画素と垂直方向に並んだ複数画素の両方について行われることを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記境界特定手段は、前記2つの境界近傍画素を挟んで存在する複数画素の画素値に基づいて前記境界の位置と画素値とを特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の直線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の直線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の直線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項10において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の曲線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の曲線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の曲線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
請求項11または12において、
前記画像データ格納手段に格納された画像データと、前記境界特定手段によって特定された境界の位置、画素値とに基づいて画像の拡大処理を画像拡大処理手段によって行う画像拡大処理ステップをさらに有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記画像拡大処理手段は、前記2つの境界近傍画素の区間については前記補間曲線を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定し、それ以外の区間については標本化関数を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
画像データ格納手段に格納された水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する画素抽出手段と、
前記画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する画素値判定手段と、
前記画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を特定する境界特定手段と、
して機能させるための画像処理プログラム。
【請求項16】
請求項15において、
前記画素値判定手段による境界画素の抽出は、水平方向に並んだ複数画素と垂直方向に並んだ複数画素の両方について行われる画像処理プログラム。
【請求項17】
請求項15または16において、
前記境界特定手段は、前記2つの境界近傍画素を挟んで存在する複数画素の画素値に基づいて前記境界の位置と画素値とを特定する画像処理プログラム。
【請求項18】
請求項17において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の直線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の直線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の直線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定する画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項17において、
前記境界特定手段は、一方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の曲線を決定するとともに、他方の前記境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の曲線を決定し、前記2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて前記第1あるいは第2の曲線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を前記境界の位置および画素値として特定する画像処理プログラム。
【請求項20】
請求項18または19において、
コンピュータを、さらに、前記画像データ格納手段に格納された画像データと、前記境界特定手段によって特定された境界の位置、画素値とに基づいて画像の拡大処理を行う画像拡大処理手段として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項21】
請求項20において、
前記画像拡大処理手段は、前記2つの境界近傍画素の区間については前記補間曲線を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定し、それ以外の区間については標本化関数を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定する画像処理プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に含まれる境界を検出する画像処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像の補間とは、画像の拡大、縮小、回転、変形、解像度の変更などの操作を行うときに、元の画像を構成する各画素の間に中間の色を生成したり、隣り合う画素の色を平均化する技術の総称である。従来から、画像を補間する手法としては、バイ・リニア法、バイ・キュービック法、ニアレスト・ネイバー法などの各種の方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

【特許文献1】特開2008-154237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来手法は、いずれも画像のなだらかな面を対象に補間を行うものであり、画像の内容が変化する境界付近における処理を正確に行うことはできなかった。例えば、画像を構成する複数の画素の中から境界(エッジ)に該当する画素を抽出することが一般に行われる。このような画像を拡大しようとすると、真の境界の位置が画素位置と一致しない場合(境界位置が画素と画素の間にある場合)には、拡大処理によって境界位置のずれが顕著になるため、拡大後の画像の画質が悪化する。このような画質の悪化を防止するためには、真の境界位置を検出した上でこの真の境界位置を用いて画像の拡大処理を行うようにすればよい。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、画像に含まれる境界を正確に特定することができる画像処理装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データを格納する画像データ格納手段と、画像データ格納手段に格納された画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する画素抽出手段と、画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する画素値判定手段と、画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を特定する境界特定手段とを備えている。
【0006】
また、本発明の画像処理方法は、画像データ格納手段に格納された水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を画素抽出手段によって抽出する画素抽出ステップと、画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する処理を画素判定手段によって行う画素値判定ステップと、画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を境界特定手段によって特定する境界特定ステップとを有している。
【0007】
また、本発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、画像データ格納手段に格納された水平および垂直方向に並んだ複数画素の画素値を含む画像データの中から一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する画素抽出手段と、画素抽出手段によって抽出された複数画素の各画素値に基づいて、画素値の差が基準値を超える隣接する2つの画素が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこれら2つの画素を境界近傍画素として抽出する画素値判定手段と、画素値判定手段によって隣接する2つの境界近傍画素が抽出されたときに、これら2つの境界近傍画素の間に存在する境界の位置と画素値を特定する境界特定手段として機能させる。
【0008】
また、上述した画素値判定手段による境界画素の抽出は、水平方向に並んだ複数画素と垂直方向に並んだ複数画素の両方について行われることが望ましい。
【0009】
また、上述した境界特定手段は、2つの境界近傍画素を挟んで存在する複数画素の画素値に基づいて境界の位置と画素値とを特定することが望ましい。
【0010】
また、上述した境界特定手段は、一方の境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の直線を決定するとともに、他方の境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の直線を決定し、2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて第1あるいは第2の直線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を境界の位置および画素値として特定することが望ましい。
【0011】
また、上述した境界特定手段は、一方の境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第1の曲線を決定するとともに、他方の境界近傍画素とこれに隣接する他の画素の各画素値を通る第2の曲線を決定し、2つの境界近傍画素のそれぞれにおいて第1あるいは第2の曲線に対して値および傾きが連続する補間曲線を決定し、この補間曲線の極値に対応する位置および値を境界の位置および画素値として特定することが望ましい。
【0012】
また、上述した画像データ格納手段に格納された画像データと、境界特定手段によって特定された境界の位置、画素値とに基づいて画像の拡大処理を行う画像拡大処理手段をさらに備えることが望ましい。
【0013】
また、上述した画像拡大処理手段は、2つの境界近傍画素の区間については補間曲線を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定し、それ以外の区間については標本化関数を用いて拡大処理の倍率に応じた補間値を決定することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、一列に並んだ複数画素の画素値に基づいて2つの境界近傍画素を抽出し、さらにその間に存在する境界を正確に特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の画像処理装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施形態の画像処理装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の画像処理装置は、画像入力部10、入力画像格納部12、水平画素抽出部20、垂直画素抽出部22、濃淡変化判定部30、境界特定部32、境界格納部34、画像拡大処理部40、表示処理部50、表示部52を含んで構成されている。
【0017】
画像入力部10は、所定の解像度の画像データを取り込むためのものである。この画像データは、水平方向と垂直方向のそれぞれに沿って等間隔に配置された複数の画素からなる画像(原画像)に対応するものである。また、各画素値が所定ビット数の多値データで表されているものとする。
【0018】
具体的には、紙原稿に描かれた画像を所定の解像度で光学的に読み取るスキャナを画像入力部10として用いることができる。あるいは、CDやDVD等の挿抜可能な記憶媒体に記録された画像データを取り込む場合には、これらの記憶媒体のドライブ装置(読み取り装置)を画像入力部10として用いることができる。半導体メモリやハードディスク装置に記録された画像データを取り込む場合には、これらを接続する入出力インタフェースを画像入力部10として用いることができる。また、インターネットやその他のネットワーク、あるいは電話回線等を介した通信によって画像データを取り込む場合には、回線の種類等に応じた通信装置を画像入力部10として用いることができる。また、放送による配信によって画像データを取り込む場合には、放送の形態に応じた受信装置を画像入力部10として用いることができる。入力画像格納部12は、画像入力部10によって取り込まれた原画像の画像データを格納する。
【0019】
水平画素抽出部20は、入力画像格納部12に格納された画像データの中から水平方向に並んだ複数画素の画素値を抽出する。同様に、垂直画素抽出部22は、入力画像格納部12に格納された画像データの中から垂直方向に並んだ複数画素の画素値を抽出する。
【0020】
濃淡変化判定部30は、水平方向に一列に並んだ複数画素の画素値に基づいてこれら複数画素の濃淡変化を判定する。また、濃淡変化判定部30は、垂直方向に一列に並んだ複数画素の画素値に基づいてこれら複数画素の濃淡変化を判定する。本実施形態では、濃淡変化が大きい画素間に画像の境界が存在するものとしている。濃淡変化判定部30は、隣接する2つの画素の画素値の差が基準値よりも大きい場合に、これら2つの画素における濃淡変化が大きいと判定し、これら2画素を境界近傍画素として抽出する。
【0021】
境界特定部32は、水平方向に一列に並んだ複数画素の画素値に基づいて抽出された境界近傍画素を用いて、境界位置(水平境界位置)とこの境界位置に対応する画素値とを特定する。また、境界特定部32は、垂直方向に一列に並んだ複数画素の画素値に基づいて抽出された境界近傍画素を用いて境界位置(垂直境界位置)とこの境界位置に対応する画素値(境界画素値)とを特定する。特定された境界位置とこの境界位置に対応する画素値は、境界格納部34に格納される。
【0022】
画像拡大処理部40は、入力画像格納部12に格納された原画像の画像データと、境界格納部34に格納された境界に関する情報(境界位置とこの境界位置に対応する画素値)とに基づいて、原画像を所定倍率に拡大する拡大処理を行う。例えば、所定のデフォルト値が倍率として用いられる。あるいは、キーボードやマウス等の操作部(図示せず)を用いて利用者によって指定された値が倍率として用いられる。表示処理部50は、画像拡大処理部40によって拡大処理された画像の補間値を表示部52に表示する。
【0023】
上述した入力画像格納部12が画像データ格納手段に、水平画素抽出部20、垂直画素抽出部22が画素抽出手段に、濃淡変化判定部30が画素値判定手段に、境界特定部32が境界特定手段に、画像拡大処理部40が画像拡大処理手段にそれぞれ対応する。また、水平画素抽出部20、垂直画素抽出部22による動作が画素抽出ステップの動作に、濃淡変化判定部30による動作が画素値判定ステップの動作に、境界特定部32による動作が境界特定ステップの動作に、画像拡大処理部40の動作が画像拡大処理ステップの動作にそれぞれ対応する。
【0024】
また、上述した画像処理装置は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータの構成によって実現することができる。この場合に、入力画像格納部12や境界格納部34はハードディスク装置や半導体メモリによって構成することが可能である。水平画素抽出部20、垂直画素抽出部22、濃淡変化判定部30、境界特定部32、画像拡大処理部40は、ROMやRAMあるいはハードディスク装置等に格納された所定の画像処理プログラムをCPUで実行することにより実現することができる。
【0025】
本実施形態の画像処理装置はこのような構成を有しており、次に境界位置とその画素値を特定する動作を説明する。図2は、本実施形態の画像処理装置の動作手順を示す流れ図である。
【0026】
まず、画像入力部10を用いて原画像の画像データの入力が行われる(ステップ100)。入力された画像データを構成する各画素値が入力画像格納部12に格納される。次に、水平画素抽出部20は、入力画像格納部12に格納された画像データの中から水平方向に一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する(ステップ101)。また、濃淡変化判定部30は、抽出された複数画素の画素値に基づいて濃淡変化を判定し(ステップ102)、これらの複数画素の中に境界が存在するか否かを判定する(ステップ103)。境界が存在する場合、すなわち、濃淡変化が大きい部分(画素値の差が基準値よりも大きい部分)が存在する場合には、濃淡変化判定部30は、ステップ103の判定において肯定判断を行い、この濃淡変化が大きい部分に対応する2画素を境界近傍画素として抽出する。
【0027】
次に、境界特定部32は、濃淡変化判定部30によって抽出された境界近傍画素の間に存在する境界位置とこの境界位置に対応する画素値とを特定する(ステップ104)。特定された境界位置と境界画素値は、境界格納部34に格納される。
【0028】
境界位置と境界画素値の格納が終了した後、あるいは、抽出された複数画素の中に境界が存在しない場合にはステップ103の判定において否定判断が行われた後、水平画素抽出部20は、未処理の水平方向の画素列があるか否かを判定する(ステップ106)。未処理の画素列が存在する場合には肯定判断が行われ、ステップ101に戻って水平方向に一列に並んだ他の複数画素について画素値の抽出以降の処理が繰り返される。
【0029】
また、未処理の水平方向の画素列が存在しない場合にはステップ106の判定において否定判断が行われる。次に、垂直画素抽出部22は、入力画像格納部12に格納された画像データの中から垂直方向に一列に並んだ複数画素の画素値を抽出する(ステップ107)。また、濃淡変化判定部30は、抽出された複数画素の画素値に基づいて濃淡変化を判定し(ステップ108)、これらの複数画素の中に境界が存在するか否かを判定する(ステップ109)。境界が存在する場合、すなわち、濃淡変化が大きい部分(画素値の差が基準値よりも大きい部分)が存在する場合には、濃淡変化判定部30は、ステップ109の判定において肯定判断を行い、この濃淡変化が大きい部分に対応する2画素を境界近傍画素として抽出する。
【0030】
次に、境界特定部32は、濃淡変化判定部30によって抽出された境界近傍画素の間に存在する境界位置とこの境界位置に対応する画素値とを特定する(ステップ110)。特定された境界位置と境界画素値は、境界格納部34に格納される。
【0031】
境界位置と境界画素値の格納が終了した後、あるいは、抽出された複数画素の中に境界が存在しない場合にはステップ109の判定において否定判断が行われた後、垂直画素抽出部22は、未処理の垂直方向の画素列があるか否かを判定する(ステップ112)。未処理の画素列が存在する場合には肯定判断が行われ、ステップ107に戻って垂直方向に一列に並んだ他の複数画素について画素値の抽出以降の処理が繰り返される。
【0032】
図3は、境界近傍画素の抽出の説明図である。図3において、Bで示される曲線は、画像に含まれる境界(エッジ)を示している。但し、原画像の各画素はa1等が付された点で示されており、境界そのものを特定する情報は原画像の画像データには含まれていない。
【0033】
水平方向の画素列として画素a1~a7に着目するものとする。濃淡変化判定部30は、これらの複数画素a1~a7の各画素値の濃淡変化に基づいて、これらの複数画素の間に境界が存在する旨の判定を行い、境界近傍画素として画素a4と画素a5を抽出する(画素a4と画素a5の各画素値の差が基準値よりも大きいものとする)。また、境界特定部32は、これらの境界近傍画素(画素a4、画素a5)に挟まれた境界位置g1と境界画素値を特定する。境界位置と境界画素値を特定する具体例については後述する。このようにして、他の水平方向の画素列についても境界の有無判定、境界近傍画素の抽出、境界位置および境界画素値の特定が行われる。
【0034】
また、垂直方向の画素列として画素a3、b3、c3、d3、e3、f3に着目するものとする。濃淡変化判定部30は、これらの複数画素a3等の各画素値の濃淡変化に基づいて、これらの複数画素の間に境界が存在する旨の判定を行い、境界近傍画素として画素d3と画素e3を抽出する(画素d3と画素e3の各画素値の差が基準値よりも大きいものとする)。また、境界特定部32は、これらの境界近傍画素(画素d3、画素e3)に挟まれた境界位置h2と境界画素値を特定する。このようにして、他の垂直方向の画素列についても境界の有無判定、境界近傍画素の抽出、境界位置および境界画素値の特定が行われる。
【0035】
次に、境界位置および境界画素値を特定する処理の具体例について説明する。図4~図6は、境界位置および境界画素値を特定する処理の説明図である。これらの図において、横軸Xは画素位置を、縦軸Yは各画素の画素値をそれぞれ示している。
【0036】
図4には、境界近傍画素を含む4画素とその画素値の一例が示されている。例えば図3に示した境界近傍画素a4、a5に対応させると、画素a3の画素位置がx-1でその画素値がy-1、一方の境界近傍画素a4の画素位置がx0でその画素値がy0、他方の境界近傍画素a5の画素位置がx1でその画素値がy1、画素a6の画素位置がx2でその画素値がy2で示されている。
【0037】
境界特定部32は、一方の境界近傍画素a4とその隣接画素a3の各画素値を通る直線あるいは曲線を決定する。図5に示す例では、画素a4、a3の各画素値を通る直線L1が示されているが、この直線L1に代えて曲線を用いてもよい。曲線を用いる場合には、例えば、画素a4、a3にさらに画素a2等を加えて各画素の画素値を通る曲線を求めるようにしてもよい。同様に、境界特定部32は、他方の境界近傍画素a5とその隣接画素a6の各画素値を通る直線あるいは曲線を決定する(図5に示す例では、画素a5、a6の各画素値を通る直線L2)。
【0038】
次に、境界特定部32は、境界近傍画素a4、a5の各画素値を通る補間曲線を決定する。この補間曲線は、次の条件を見たする必要がある。
(1)画素位置x0で直線L1に、画素位置x1で直線L2に接する。
(2)画素位置x0で値y0を有し、画素位置x1で値y1を有する。
【0039】
例えば、このような条件を満たす3次の補間曲線を決定するものとする。補間曲線は以下の式で表される。
【0040】
y=mx3+nx2+px+q
上記の条件を境界条件として係数m、n、p、qを求めると、以下のようになる。
【0041】
【数1】
JP0004744593B2_000002t.gif

【0042】
境界特定部32は、このようにして求めた補間曲線の式を用いて、画素位置x0、x1の間に存在する極値の位置(境界位置xC)とその値(境界画素値yC)を特定する(図6)。このようにして特定された境界位置xCと境界画素値yCは、境界格納部34に格納される。他の画素列に対応する境界位置と境界画素値の特定についても同様に行われ、特定された境界位置と境界画素値が境界格納部34に格納される。
【0043】
次に、画像拡大処理部40による拡大処理の具体例を説明する。例えば、図3に示した各画素の画素値を用いて、水平方向および垂直方向のそれぞれに沿って別々に補間処理を行って画像を拡大するものとする。
【0044】
図7は、画像拡大処理(補間処理)に用いられる標本化関数を示す図である。この標本化関数φ(t)は、以下の式で示される区分多項式であり、補間位置を中心に左右2画素の画素値を用いて補間画素の画素値を算出することができる。
【0045】
φ(t)=-1.75|t|2+1.0 (|t|≦0.5)
1.25|t|2-3.0|t|+1.75 (0.5<|t|≦1.0)
0.75|t|2-2.0|t|+1.25 (1.0<|t|≦1.5)
-0.25|t|2+|t|-1.0 (1.5<|t|≦2.0)
0 (2.0<|t|)
図6に示す例について考えると、境界が含まれる画素a4と画素a5の間は、境界特定部32によって求められた補間曲線を用いれば、これらの間の補間値を直接求めることができる。また、画素a3から画素a6の範囲から外れる範囲(図6では画素a3よりも左側と画素a6よりも右側)については図7に示す標本化関数をそのまま用いて畳み込み演算を行うことにより、隣接する2つの画素間の補間画素の画素値を求めることができる。
【0046】
しかし、画素a3と画素a4の間については、図7に示す標本化関数を用いて補間画素の画素値を求めようとしても、画素a5の画素値をそのまま用いることができない(画素a5の画素値をそのまま用いると従来手法と同じになってしまう)。そこで、本実施形態では、直線L1(図5)を延長して画素位置x1に対応する画素位置y1’を求め、画素a5の画素値y1の代わりに用いている(図8)。なお、直線L1の代わりに曲線を用いた場合にはこの曲線を延長して画素位置x1に対応する画素位置y1’を求めるようにしてもよい。
【0047】
画素a5と画素a6の間についても同様である。すなわち、直線L2(図5)を延長して画素位置x0に対応する画素位置y0’を求め、画素a4の画素値y0の代わりに用いている(図9)。なお、直線L2の代わりに曲線を用いた場合にはこの曲線を延長して画素位置x0に対応する画素位置y0’を求めるようにしてもよい。
【0048】
このように、本実施形態の画像処理装置では、一列に並んだ複数画素の画素値に基づいて2つの境界近傍画素を抽出し、さらにその間に存在する境界を正確に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一実施形態の画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の画像処理装置の動作手順を示す流れ図である。
【図3】境界近傍画素の抽出の説明図である。
【図4】境界位置および境界画素値を特定する処理の説明図である。
【図5】境界位置および境界画素値を特定する処理の説明図である。
【図6】境界位置および境界画素値を特定する処理の説明図である。
【図7】画像拡大処理(補間処理)に用いられる標本化関数を示す図である。
【図8】境界近傍画素に隣接する区間の画像拡大処理の説明図である。
【図9】境界近傍画素に隣接する区間の画像拡大処理の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
10 画像入力部
12 入力画像格納部
20 水平画素抽出部
22 垂直画素抽出部
30 濃淡変化判定部
32 境界特定部
34 境界格納部
40 画像拡大処理部
50 表示処理部
52 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8