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明細書 :平坦な半極性窒化ガリウムの成長技術

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2008-533723 (P2008-533723A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成20年8月21日(2008.8.21)
特許番号 特許第5706601号 (P5706601)
登録日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発行日 平成27年4月22日(2015.4.22)
発明の名称または考案の名称 平坦な半極性窒化ガリウムの成長技術
国際特許分類 H01L  21/205       (2006.01)
H01L  33/32        (2010.01)
FI H01L 21/205
H01L 33/00 186
請求項の数または発明の数 20
全頁数 16
出願番号 特願2008-500965 (P2008-500965)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
国際出願番号 PCT/US2006/008595
国際公開番号 WO2006/099138
国際公開日 平成18年9月21日(2006.9.21)
優先権出願番号 60/660,283
優先日 平成17年3月10日(2005.3.10)
優先権主張国 アメリカ合衆国(US)
審査請求日 平成21年2月19日(2009.2.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】トロイ・ジェー・ベーカー
【氏名】ベンジャミン・エー・ハスケル
【氏名】ポール・ティー・フィニ
【氏名】スティーブン・ピー・デンバース
【氏名】ジェームス・エス・スペック
【氏名】シュウジ・ナカムラ
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】山本 雄一
参考文献・文献 特開平02-211620(JP,A)
特開2000-216497(JP,A)
A.Tempel et. al.,The epitaxy of gallium nitride on nonstoichiometric spinel from the system GaCl/NH3/He,Crystal Research and Technology,1975年,vol.7, no.10,pages.747-758
T.George et. al.,Novel symmetry in the growth of gallium nitride on magnesium aluminate substrates,Applied Physics Letters,American Institute of Physics,1996年 1月15日,vol.68, no.3,pages.337-339
Jin Soo Hwang et. al.,Heteroepitaxy of gallium nitride on (0001) ,(-1012)and(10-10) sapphire surfaces,Journal of Crystal Growth,1994年 9月 1日,vol.142,pages.5-14
調査した分野 H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/00-16/56
C30B 1/00-35/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)基板および該基板の表面の方位を、窒化物薄膜の所望の半極性方位に基づいて選択する工程と、
(b)前記基板を、酸素を除去するために排気され、一つ以上のガスで充填されるハイドライド気相成長法(HVPE)または有機金属気相成長法(MOCVD)反応装置の中に装着する工程と、
(c)前記反応装置を昇温する工程と、
(d)前記昇温する工程中に、前記基板の表面上にガスの組み合わせを流す工程であって、
(i)前記ガスの組み合わせがアンモニア、水素、および窒素のうち一つ以上からなり、
(ii)前記ガスの組み合わせが前記基板および前記窒化物薄膜の所望の半極性方位に基づいて選択されることを特徴とする工程と、
(e)成長温度に達したら10torrから1000torrの間の成長圧力および900℃以上1200℃以下の成長温度で、HVPEまたはMOCVDを用いて前記基板の表面上に半極性窒化物薄膜を成長する工程と、
(f)前記半極性窒化物薄膜を保護するためにガスの存在下で前記反応装置を降温する工程であって、
前記半極性窒化物薄膜が(Al,In,Ga,B)N薄膜であり、
前記半極性窒化物薄膜の成長表面が成長しても平坦で安定であり、
前記半極性窒化物薄膜の前記成長表面が前記基板の表面に平行で少なくとも10mm×10mmの表面積を有することを特徴とする工程とを備えることを特徴とする、窒化物薄膜を成長する方法。
【請求項2】
少なくとも直径2インチの表面積を有する前記平坦な半極性窒化物薄膜の表面積が前記基板表面に平行であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平坦な半極性窒化物薄膜が<011>方向にミスカットした{100}スピネル基板上に成長した{10-11}窒化ガリウム (GaN)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記平坦な半極性窒化物薄膜がAlN、InN、AlGaN、InGaN、またはAlInNであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記平坦な半極性窒化物薄膜が{110}スピネル基板上に成長した{10-13}窒化ガリウム (GaN)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記平坦な半極性窒化物薄膜が{1-100}サファイヤ基板上に成長した{11-22}窒化ガリウム (GaN)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記平坦な半極性窒化物薄膜が{1-100}サファイヤ基板上に成長した{10-13}窒化ガリウム(GaN)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記平坦な半極性窒化物薄膜が成長した後に、該平坦な半極性窒化物薄膜上に1つ以上のデバイス層を成長する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記平坦な半極性窒化物薄膜上にデバイス層を成長する工程は、前記デバイス層にn型およびp型ドーパントをドーピングする工程と、再成長層に1つ以上の量子井戸を成長する工程とを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイス層から発光ダイオードを作製する工程をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法を用いて成長した平坦な半極性窒化物薄膜。
【請求項12】
前記半極性窒化物膜が窒化ガリウム(GaN)膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(f)前記基板がサファイヤで、前記表面が該サファイヤの{1-100}表面であり、
(i)前記ガス流が、{10-13}GaNである平坦な半極性GaN薄膜を得るために前記成長温度で前記アンモニアが流されるように前記反応装置を前記成長温度へ昇温しながら流される前記窒素および前記水素からなり、
(ii)前記ガス流が、{11-22}GaNである平坦な半極性GaN薄膜を得るために前記アンモニアが低温で流されるように前記反応装置を前記成長温度へ昇温しながら流される前記アンモニアからなり、
(g)前記基板がスピネル基板であり、前記表面が前記スピネルの{110}表面であるとき、{10-13}GaNである前記半極性GaN薄膜を得るために、窒化を促進する条件下で前記温度を上昇し、
(h)前記基板がスピネル基板であり、前記表面が<011>方向にミスカットされた前記スピネルの{100}表面であるとき、{10-11}GaNである平坦な半極性GaN膜を得るために、窒化を促進する条件下で前記温度を上昇することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記半極性窒化物薄膜がc面窒化物構造のデバイス構造と比べて、圧電分極を含む分極の効果の合計が低減することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記半極性窒化物薄膜が、c面極性窒化物薄膜上に成長されたデバイス層と比べて、前記半極性膜上に成長されたデバイス層における分極が低減し、該分極はデバイス層から生じ、前記膜は非同一組成である故に格子定数が異なることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記半極性窒化物薄膜が単結晶であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記半極性窒化物薄膜が{20-21}窒化物薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記半極性窒化物薄膜が{10-14}窒化物薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記半極性窒化物薄膜が{10-12}窒化物薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記成長がハイドライド化学気相成長法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願の優先権を主張するものである。
【0002】
トロイ・J.ベーカー(Troy J.Baker)、ベンジャミン・A.ハスケル(Benjamin A.Haskell)、ポール・T.フィニ(Paul T.Fini)、スティーブン・P.デンバース(Steven P.DenBaars), ジェームス・S.スペック(James S.Speck)および中村修二(Shuji Nakamura)による米国特許仮出願第60/660,283号、2005年3月10日出願、発明の名称「平坦な半極性ガリウム窒化物の成長技術(TECHNIQUE FOR THE GROWTH OF PLANAR SEMI-POLAR GALLIUM NITRIDE)」、代理人整理番号30794.128-US-P1。この出願は参照として本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の特許出願と関係するものである。
【0004】
ロバート・M.ファレル(Robert M.Farrell)、トロイ・J.ベーカー、アーパン・チャクラボーティー(Arpan Chakraborty)、ジャミン・A.ハスケル, P.モルガン・パチソン(P.Morgan Pattison)、ラジャット・シャーマ(Rajat Sharma)、ウメシュ・K.ミシュラ(Umesh K.Mishra)、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による米国特許仮出願第60/686,244号、2005年6月1日出願、発明の名称「半極性(Ga,Al,In,B)N薄膜へテロ構造およびデバイスの成長ならびに製作方法(TECHNIQUE FOR THE GROWTH AND FABRICATION OF SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N THIN FILMS,HETEROSTRUCTURES,AND DEVICES)」、代理人識別番号30794.140-US-P1(2005-668)
【0005】
トロイ・J.ベーカー、ベンジャミン・A.ハスケル、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による米国特許仮出願第60/698,749号、2005年7月13日出願、発明の名称「半極性窒化物薄膜の欠陥低減のための横方向成長法(LATERAL GROWTH METHOD FOR DEFECT REDUCTION OF SEMIPOLAR NITRIDE FILMS)」、代理人整理番号30794.141-US-P1(2005-672)
マイケル・イザ(Michael Iza)、トロイ・J.ベーカー、ベンジャミン・A.ハスケル、スティーブン・P.デンバースおよび中村修二による米国特許仮出願第60/715,491号、2005年9月9日出願、発明の名称「有機金属気相成長法による半極性(Al,In,Ga,B)Nの成長促進法(METHOD FOR ENHANCING GROWTH OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N VIA METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)」、代理人整理番号30794,144-US-P1(2005-722)
ジョン・F.ケイディング(John F.Kaeding)、マイケル・イザ、トロイ・J.ベーカー、サトー・ヒトシ(Hitoshi Sato)、ベンジャミン・A.ハスケル、ジェームス・S.スペック、スティーブン・P.デンバースおよび中村修二による米国特許仮出願第60/760,739号、2006年1月20日出願、発明の名称「半極性(Al,In,Ga,B)Nの改良成長法(METHOD FOR IMPROVED GROWTH OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N)」、代理人整理番号30794.150-US-P1(2006-126)
サトー・ヒトシ、ジョン・F.ケイディング、マイケル・イザ、トロイ・J.ベーカー(Troy J.Baker)、ベンジャミン・A.ハスケル、スティーブン・P.デンバースおよび中村修二による米国特許仮出願第60/760,628号、2006年1月20日出願、発明の名称「有機金属気相成長法による半極性(Al,In,Ga,B)Nの成長促進法(METHOD FOR ENHANCING GROWTH OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N VIA METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)」、代理人整理番号30794.159-US-P1(2006-178)
【0006】
ジョン・F.ケイディング、サトー・ヒトシ、マイケル・イザ、アサミズ・ヒロクニ(Hirokuni Asamizu)、ホン・ゾーン(Hong Zhong)、スティーブン・P.デンバースおよび中村修二による米国特許仮出願第60/772,184号、2006年2月10日出願、発明の名称「半極性(Al,In,Ga,B)Nの導電性制御の方法(METHOD FOR CONDUCTIVITY CONTROL OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N)」、代理人整理番号30794.166-US-P1(2006-285)
ホン・ゾーン、ジョン・F.ケイディング、ラジャット・シャーマ、ジェームス・S.スペック、スティーブン・P.デンバースおよび中村修二による米国特許仮出願第60/774,467号、2006年2月17日出願、発明の名称「半極性(Al,In,Ga,B)N光電子デバイスの成長方法(METHODFOR GROWTH OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N OPTOELECTRONICS DEVICES)」、代理人整理番号30794.173-US-P1(2006-422)
【0007】
ベンジャミン・A.ハスケル、マイケル・D.クレイブン(Michael D.Craven)、ポール・T.フィニ、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による米国特許出願第10/537,644号、2005年6月6日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長方法による転位密度の低い無極性窒化ガリウムの成長(GROWTH OF REDUCED DISLOCATION DENSITY NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.93-US-WO(2003-224-2)。この出願は米国特許法第365条(c)に基づいて以下の国際特許出願の優先権を主張するものである。ベンジャミン・A.ハスケル、マイケル・D.クレイブン、ポール・T.フィニ、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペック、中村修二による国際特許出願第PCT/US03/21918、2003年7月15日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長方法による転位密度の低い無極性窒化ガリウムの成長(GROWTH OF REDUCED DISLOCATION DENSITY NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.93-WO-U1(2003-224-2)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づき、次の米国特許仮出願の優先権を主張している。ベンジャミン・A.ハスケル、マイケル・D.クレイブン、ポール・T.フィニ、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペック、中村修二による米国特許仮出願第60/433,843号、2002年12月16日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長方法による転位密度の低い無極性窒化ガリウムの成長(GROWTH OF REDUCEDDISLOCATIONDENSITY NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.93-US-P1(2003-224-1)
【0008】
ベンジャミン・A.ハスケル、ポール・T.フィニ、松田成正(Shigemasa Matsuda)、マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による米国特許出願第10/537,385号、2005年6月3日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANAR, NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.94-US-WO(2003-225-2) 。この出願は米国特許法第365条(c)に基づいて、以下の特許出願の利益を主張するものである。ベンジャミン・A.ハスケル、ポール・T.フィニ、松田成正、マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による国際特許出願第PCT/US03/21916、2003年7月15日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANAR,NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人識別番号30794.94-WO-U1(2003-225-2)この出願は米国特許法第119条(e)に基づき、次の米国特許仮出願の優先権を主張している。ベンジャミン・A.ハスケル、ポール・T.フィニ、松田成正、マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペックおよび中村修二による米国特許仮出願第60/433,844号、2002年12月16日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長技術(TECHNIQUEFORTHEGROWTH OF PLANAR,NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.94-US-P1(2003-225-1)
【0009】
マイケル・D.クレイブン、ジェームス・S.スペックによる米国特許出願第10/413,691号、2003年4月15日出願、発明の名称「有機金属気相成長法により成長した非極性a面窒化ガリウム薄膜(NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDETHINFILMSGROWNBYMETALORGANICCHEMICALVAPORDEPOSITION)」、代理人整理番号30794.100-US-U1(2002-294-2)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づき、次の特許文献の優先権を主張している。マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー(Stacia Keller)、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス(Tal Margalith)、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラによる米国特許仮出願第60/372,909号、2002年4月15日出願、発明の名称「非極性窒化ガリウム系の薄膜およびヘテロ構造材料(NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BASEDTHINFILMSANDHETEROSTRUCTUREMATERIALS)」、代理人整理番号30794.95-US-P1(2002-294/301/303)
マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラによる米国特許出願第10/413,690、2003年4月15日出願、発明の名称「非極性(Al,B,In,Ga)N量子井戸とヘテロ構造材料及びデバイス(NON-POLAR (Al,B,In,Ga)NQUANTUMWELLANDHETEROSTRUCTUREMATERIALSANDDEVICES)」、代理人整理番号30794.101-US-U1(2002-301-2)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づき、次の米国特許仮出願の優先権を主張している。マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラによる米国特許仮出願第60/372,909号、2002年4月15日出願、発明の名称「非極性窒化ガリウム系の薄膜およびヘテロ構造材料(NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BASEDTHINFILMSANDHETEROSTRUCTUREMATERIALS)」、代理人整理番号30794.95-US-P1(2002-294/301/303)
【0010】
マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラによる米国特許出願第10/413,913、2003年4月15日出願、発明の名称「非極性窒化ガリウム薄膜における転位の低減(DISLOCATIONREDUCTIONINNON-POLAR GALLIUMNITRIDETHINFILMS)」、代理人整理番号30794.102-US-U1(2002-303-2)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づき、次の米国特許仮出願の優先権を主張している。マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラによる米国特許仮出願第60/372,909号、2002年4月15日出願、発明の名称「非極性窒化ガリウム系の薄膜とヘテロ構造材料(NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BASEDTHINFILMSANDHETEROSTRUCTUREMATERIALS)」、代理人整理番号30794.95-US-P1
マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバースによる国際特許出願第PTC/US03/39355、2003年12月11日出願、発明の名称「非極性(Al,B,In,Ga)N量子井戸(NON-POLAR(Al,B,In,Ga)N QUANTUM WELLS)」、代理人整理番号30794.104-WO-01(2003-529-1)。この出願は上記特許出願PCT/US03/21918(30794.93-WO-U1),PCT/US03/21916(30794.94-WO-U1),10/413,691(30794.100-US-U1),10/413,690(30794.101-US-U1)、10/413,913(30794.102-US-U1)の一部継続出願である。
【0011】
これらの出願の全ては参照として本明細書に組み込まれているものとする。
1.本発明の技術分野
本発明は平坦な半極性窒化ガリウムの成長技術に関するものである。
【背景技術】
【0012】
2.関連技術の説明
窒化ガリウム(GaN)およびアルミニウムとインジウムを組み込んだ窒化ガリウムの3元、4元化合物(AlGaN、InGaN、AlInGaN)の有用性は可視および紫外の光電子デバイスおよび高性能電子デバイスの作製に関して十分に確立している。これらのデバイスは通常は分子線エピタキシー(MBE)、有機金属気相成長法(MOCVD)、およびハイドライド気相成長法(HVPE)を含む成長技術を用いてエピタキシャルに成長される。
【0013】
GaNおよびその合金は六方晶系ウルツ鉱型結晶構造において最も安定である。この構造は相互に120°回転関係にある2つ(あるいは3つ)の等価な基底面軸(a軸)によって表わされ、これらの軸はすべて主軸のc軸に直交する。III 族原子と窒素原子が結晶のc軸方向に交互にc面を占有する。ウルツ鉱型構造に含まれる対称要素の示すところによれば、III 族窒化物はc軸に沿ってバルクの自発分極をもち、またウルツ鉱型構造は圧電分極を示す。
【0014】
電子デバイスおよび光電子デバイスのための現行の窒化物技術は極性のあるc方向に沿って成長する窒化物薄膜を用いている。しかしながら、III 族窒化物ベースの光電子および電子デバイスにおける従来のc面量子井戸構造は強い圧電分極および自発分極の存在によって望ましくない量子閉じ込めStark効果(QCSE)を示すことになる。c軸方向の強い内蔵電界は電子と正孔の空間分離を引き起こし、そのため、キャリアの再結合効率の制限、振動子強度の低下、および発光のレッドシフトを引き起こす。
【0015】
GaN光電子デバイスにおける自発分極および圧電分極の効果を除くひとつの方法は、デバイスを結晶の非極性面上に成長することである。そのような面はGa原子とN原子を等しい数だけ含み、電荷中性である。さらに、引き続く非極性層はお互いに等価であるために、バルク結晶は成長方向に沿って分極しない。GaNにおけるこのような2つの対称等価な非極性面ファミリーは、まとめてa面として知られる{11-20}ファミリーと、まとめてm面として知られる{1-100}ファミリーである。例えば、上記で相互参照とした出願に記述されているようなカリフォルニア大学の研究者によってなされた進展にもかかわらず、残念ながら、非極性GaNの成長はまだ挑戦すべき課題が残っており、未だにIII 族窒化物の産業で広く採用されるには至っていない。
【0016】
GaN光電子デバイスにおける分極の効果を低減あるいは、可能ならば除去するための他の方法は、デバイスを結晶の半極性面上に成長することである。「半極性面」という用語は、Miller指数h、i、kのうちの2つがゼロでなく、Miller指数lもゼロではない色々な面のことをいう。c面GaNへテロエピタキシーにおいてよく見られる半極性面のいくつかの例は{11-22}、{10-11}、および{10-13}面などであり、これらはピットのファセットに見られる。これらの面はまた、本発明者らが平坦な薄膜の形態で成長したことのある面と偶然同じである。ウルツ鉱型結晶構造の半極性面の他の例は{10-12}、{20-21}および{10-14}であるが、これらに限定されるものではない。窒化物結晶の分極ベクトルはそのような面内にはなく、またそのような面に垂直でもなく、むしろ面の表面法線に対していくらか傾いた角度で存在している。たとえば、{10-11}と{10-13}はc面に対してそれぞれ62.98°と32.06°である。
【0017】
分極の他の原因は圧電分極である。これは、非同一の組成の(それ故に格子定数が異なる)(Al,In,Ga,B)N層が窒化物へテロ構造において成長されるときに起こるような、材料が圧縮または引張り歪を受ける場合に起こる。例えば、GaNテンプレート上の薄いAlGaN層は面内引張り歪をもち、GaNテンプレート上の薄いInGaN層は面内圧縮歪をもつ。これらは共にGaNに格子整合するために生じるものである。それ故に、GaN上のInGaN量子井戸に対しては、圧電分極の向きはInGaNやGaNの自発分極の向きと反対である。GaNに格子整合したAlGaN層は圧電分極の向きがAlGaNやGaNの自発分極の向きと同一である。
【0018】
c面窒化物を用いることに対して半極性面を用いることが有する利点は分極の合計が低減することである。特定の面上に特殊な合金組成を用いれば分極をゼロにすることさえ出来る。そのようなシナリオは将来出版される科学雑誌において詳しく議論されるであろう。重要なことはc面窒化物構造に比べて分極が低減するということである。
【0019】
GaNのバルク結晶は入手できない。それゆえ結晶を単純に切断して、引き続くデバイスの再成長のために表面を出すのは不可能である。一般的にはGaN薄膜は、最初はヘテロエピタキシーで、即ちGaNと適度な格子整合を有する別の基板結晶上に成長される。
【0020】
半極性GaN面はc面に配向したストライプにパターン形成された側壁上に作製されてきた。ニシヅカら[非特許文献1]はこの技術によって{11-22}InGaN量子井戸を成長した。彼らは半極性面{11-22}の内部量子効率がc面の内部量子効率より高く、それが分極の低減によるものであることも実証した。
【0021】
しかしながら、半極性面を作製するこの方法はエピタキシャル横方向成長(ELO)からの加工品であり、本発明のそれに比べて著しく異なる。ELOはGaNやその他の半導体の欠陥を低減するために用いられている。マスク材料のストライプをパターン形成する工程を含み、GaNのマスク材料にはしばしはSiO2 が用いられる。GaNはマスク間の開口窓から成長し、やがてマスク上に成長する。GaNはそこで横方向成長によって合体して連続した膜を形成する。このストライプのファセットは成長パラメータによって制御できる。ストライプが合体する前に成長を止めると小面積の半極性面を露出させることが出来る。表面積はせいぜい幅10μm程度である。さらに、半極性面は基板表面に平行ではない。加えて、この表面積は半極性LEDへ加工するには小さすぎる。さらには、傾斜面にデバイス構造を作製することは、通常の面上にデバイス構造を形成するのに比べてはるかに困難である。
【0022】
本発明は、大面積(Al,In,Ga)Nが基板表面に平行である、半極性窒化物の平坦な薄膜の成長技術を記述している。例えば、試料はしばしば10mm×10mm或いは2インチ径の基板上に成長されるが、これは半極性窒化物成長の前例である数μm幅の面積と対比すべきものである。

【非特許文献1】Nishizuka,K.,Applied Physics Letters,Vol.85,No.15,11 October,2004
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、GaNの{10-11}、{10-13}、および{11-22}平面薄膜のような、平坦な薄膜として半極性窒化物を成長する方法を記述するものである。半極性窒化物半導体の成長はウルツ鉱型構造III 族窒化物のデバイス構造における分極効果を低減する手段を提供するものである。
【0024】
以下、図面を参照し、対応する部分には一貫して同じ参照番号を付与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の好ましい実施の形態の説明では、添付の図面を参照する。添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施例を例示するために示す。本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を利用してもよく、構造上の変化を施してもよいことは明らかである。
【0026】
概要
例えばGaNの{10-11}、{10-13}、および{11-22}面のような半極性窒化物半導体の成長はウルツ鉱型構造III 族窒化物デバイス構造における分極効果を低減する手段を提供するものである。窒化物という半導体用語は(Ga,Al,In,B)Nと、これら半導体の全ての合金組成を指すものである。現行の窒化物デバイスは極性のある[0001]c方向に成長されているが、結果的に、垂直型のデバイスの、主に電流の流れる方向に沿って電荷分離が生じる。その結果生じる分極電界は現状の技術水準の光電子デバイスの性能にとって不利益となる。半極性方向に沿ってこれらのデバイスを成長すれば、電流の流れる方向に沿っての内蔵電界を低減することによってデバイス特性を著しく改善することが出来る。
【0027】
今日まで、デバイス層、テンプレート、またはデバイス成長における基板として用いるために適した、半極性窒化物の大面積、高品質薄膜成長を可能とする手段は存在しなかった。本発明の新規性は、半極性窒化物を平坦な薄膜として成長できる技術を確立したことである。証拠として、発明者らはGaNの{10-11}、{10-13}、および{11-22}の平坦な薄膜を成長した。しかしながらこの構想の範囲は単にこの例に限定されるものではない。本構想は窒化物の全ての半極性平坦薄膜に関係するものである。
【0028】
技術に関する説明
本発明は、平坦な窒化物薄膜を成長するための方法を含み、そこでは大面積の半極性窒化物が基板表面に平行である。この例は{10-11}および{10-13}GaN薄膜である。この特定の実施例ではMgAl2 4 スピネル基板が成長プロセスに用いられる。{10-11}GaNの成長のためには、スピネルが適切なる方向にミスカットされていることが決定的に重要である。軸上(on-axis)であり、<001>の方向へミスカットした{100}スピネル上に成長した{10-11}GaNはお互いに90°をなす2つのドメインを持つ。これは図1A(ミスカット無し)と図1B(<010>方向にミスカット)に示した(100)スピネル上のGaNの光学顕微鏡写真によって明らかである。
【0029】
しかしながら、図1C(<011>方向にミスカット)に示す(100)スピネル上のGaNの光学顕微鏡写真が示すように、<011>方向にミスカットした{100}スピネル上には{10-11}単結晶GaNが成長する。X線回折(XRD)を用いた結果、<011>方向にミスカットした(100)スピネル上に成長した薄膜は単結晶であり、軸上、または<010>方向にミスカットした上に成長した薄膜は2つのドメインを持っていることを確認した。
【0030】
{10-13}単結晶GaNは公称軸上(nominally on-axis)(故意にミスカットはしていない){110}スピネル上に成長した。XRDを用いた結果、{10-13}GaNは単結晶であることを確認した。
【0031】
また、{11-22}GaNおよび{10-13}GaNの平坦な薄膜がm面サファイヤ{1-100}Al2 3 上で成長した。同じエピタキシャル材料の2つの異なる面の成長のために1つの基板が用いられるのは半導体の成長には珍しいことである。しかしながら、GaNの成長の前に、異なる温度でアンモニアを流すことによって面は再現性よく選択される。再びXRDを用いて、この薄膜が単結晶であることを確認した。
【0032】
このように、以下の平坦な半極性窒化物薄膜の4つの例を実験的に証明した。
1)特定の方向(<001>、<010>および<011>)にミスカットした{100}スピネル上の{10-11}GaN
2){110}スピネル上の{10-13}GaN
3){1-100}サファイヤ上の{11-22}GaN
4){1-100}サファイヤ上の{10-13}GaN
これらの薄膜はカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の中村修二研究室内のHVPEシステムを用いて成長した。{10-11}と{10-13}の両者に対する成長パラメータの概要は、圧力が10torrから1,000torrの間であり、温度が900℃から1,200℃の間であるということである。このように圧力範囲が広いということは、特別の基板上に成長する場合、これらの面が非常に安定であることを示す。反応装置のタイプによらずにエピタキシャルの関係が正しく成立するはずである。しかしながら、このような面を成長するための反応装置の条件は個々の反応装置および成長方法(例えば、HVPE,MOCVD,およびMBE)に従って変化するだろう。
【0033】
処理工程
図2は本発明の好ましい実施形態の処理工程を示すフローチャートである。具体的には、この処理工程は大面積の平坦な半極性窒化物薄膜が基板表面に平行であるような、平坦な半極性窒化物薄膜を成長する方法を備えている。
【0034】
ブロック10は基板を準備する選択的工程を表す。たとえば、準備工程が基板のミスカットを行う工程を含む。{10-11}GaNの成長のためには<011>方向(<010>と<011>を含み得る)にミスカットした(100)スピネル基板が用いられる。{10-13}GaNの成長には軸上(110)スピネル基板が用いられる。(110)スピネルはいかなる方向にミスカットされていても、あるいはミスカットされていなくても良いが、(100)スピネル上に{10-11}GaNを成長する場合には必要であったミスカットは必ずしも必要ではない。
【0035】
ブロック12は基板をHVPE反応装置の中に装着する工程を表す。反応装置は酸素を除去するために少なくとも9E-2torrまで排気し、その後窒素ガスで充填する。
【0036】
ブロック14は、基板表面の窒化を促進する条件Fで、炉のスイッチを入れて炉を昇温する工程を表す。
【0037】
ブロック16はガスを流す工程をあらわす。この工程では一般的には窒素、水素、および/またはアンモニアを大気圧で基板上に流す。
【0038】
ブロック18は反応装置の中の圧力を下げる工程を表す。炉の設定点は1000℃であり、この温度に到達すると炉内の圧力は62.5torrに下げられる。
【0039】
ブロック20はGaNの成長を行う工程を表す。圧力が低下した後、アンモニアの流量を1.0slpm(1分間あたりの標準リットル)に設定し、Ga(ガリウム)上にHCl(塩化水素)を流量75sccm(1分間あたりの標準立方センチメートル)で流すことによってGaNの成長を開始する。
【0040】
ブロック22は炉の温度を下げる工程を示す。20分から60分間のGaN成長が終わった後で、HClのガス流を止めて、GaN薄膜を保護するためにアンモニアを流しながら炉を降温する。
【0041】
これらの工程の結果として(少なくとも10mm×10mm、または2インチ径の)大表面積の平坦な半極性窒化物薄膜が基板表面に平行であるような、平坦な半極性窒化物薄膜を得られる。
【0042】
処理工程はスピネル基板に関して説明されたが、{11-22}GaNまたは{10-13}GaNを成長するためにm面サファイヤを用いることも出来る。その処理は上記処理工程と1点を除いて同一である。{11-22}GaNの成長のためには、炉を成長温度へ昇温しながらアンモニアを流す。このようにして窒化が低温で起こる。{10-13}GaN成長のために選択すべきことは、昇温過程中に水素と窒素だけを流すことである。次いで基板は成長温度においてアンモニアガスを流され高温窒化を受けることになる。
【0043】
HVPEシステムを用いて半極性薄膜を成長した後、ブロック22はMOCVDまたはMBEを用いて基板上にデバイス層を成長する工程を表す。この工程は通常は窒化物層にn型とp型のドーピングを行う工程と、再成長層に1つまたは数個の量子井戸を成長する工程とを含む。この工程で、クリーンルーム内での標準のLED加工法を用いてLEDが作られる。
【0044】
図3はHVPEによって成長した{10-11}GaNテンプレート上にMOCVDによって成長した緑色LEDの写真である。具体的には、テンプレートは前記のHVPE成長処理によって成長し、LED構造はMOCVDによって成長した。これは初めての{10-11}GaNのLEDである。
可能な変更と変形
本発明の技術範囲がカバーするのは、引用した特定の実施例のみではない。この構想は全ての半極性面上の全ての窒化物に関係している。例えば、ミスカット(100)スピネル基板上に{10-11}AlN、InN、AlGaN、InGaNまたはAlInNを成長することが出来る。他の例としては、適当な基板が見つかれば{10-12}窒化物を成長させることが出来る。これらの例や他の可能性は尚、半極性薄膜の持つ全ての利点を保持している。
【0045】
カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の中村修二研究室においてなされた研究は、HVPEを用いてなされた。しかしながら、窒化物の半極性面の直接成長はMOCVDおよびMBEを用いても可能である。m面サファイヤ上のGaNの例において見られたように変化することがあるにしても、エピタキシャルの関係はほとんどの成長方法で同じである。例えば、MOCVD成長{10-11}GaNのLEDはHVPEテンプレートを用いないでミスカット(100)スピネル上に直接成長させることが出来る。この構想は平坦な半極性窒化物薄膜を生成するいかなる成長方法もカバーするものである。
【0046】
反応装置の条件は反応装置のタイプやデザインによって変わる。ここに記載された成長は、半極性GaNの成長にとって有用な条件であるということが分かった1組の条件についての記載に過ぎない。これらの薄膜は圧力、温度、ガス流量などのパラメータの広い範囲で成長し、全てが平坦な半極性窒化物薄膜を生成するということも発見された。
【0047】
成長処理の中で他にも変えることができる工程がある。核生成層はわれわれの反応装置の条件では不必要であった。しかし他の反応装置では核生成層を用いることが必要である場合もあるし、必要でない場合もある。これはGaN薄膜の成長においてはよくあることである。基板の窒化工程によっていくつかの薄膜では表面形状が改善し、他の薄膜では実際に成長する面を決定することも分かってきた。しかしながらこの工程は特定の成長技術に対して必要であったり、或いは不必要であったりする。
利点と改良点
現在の技術は表面がc面を持つGaNを成長するものである。この面は自発分極と圧電分極を持ち、これらはデバイス特性にとって有害である。c面窒化物薄膜に対して半極性面窒化物薄膜が有する利点は分極の低減であり、ある種のデバイスにおいてはそれと関係する内部量子効率の増加である。
デバイスにおける分極効果を完全に除去するために非極性面を用いることが考えられる。しかしながらこれらの面は成長が非常に困難であり、そのため非極性窒化物デバイスは今日生産されてはいない。非極性窒化物薄膜に対して半極性窒化物薄膜が有する利点は成長の容易さにある。半極性面は成長パラメータの幅が広いということが分かっている。例えば、非極性面は大気圧下では成長しないが、半極性面は62.5torrから760torrまでで成長することが実験的に証明されており、おそらくこれよりもさらに広い範囲で成長すると考えられる。{1-100}GaNは低圧で成長するが、他の条件は同じにして圧力を760torrに増加するとc面GaNが成長してしまう。これは多分2つの面に対する単位格子の輪郭に関係するものであろう。{11-20}GaNの更なる困難性はInGaNデバイスに必要なInを組み込むことである。Inの組み込みに関しては{10-11}GaNのほうがはるかに有利であることが実験結果より分かっている。
【0048】
ELO側壁に対して平坦な半極性薄膜が有する利点は、LEDや他のデバイスに加工できる表面積が大きいことである。他の利点は、ELO側壁の半極性面とは違って、成長表面が基板表面と平行である点である。
【0049】
要約すると、本発明は平坦な半極性窒化物薄膜が成長可能であることを確立した。このことを4つの別々の場合に対して実験的に確認した。前記した利点は全ての平坦な半極性薄膜に関係する。
【0050】
参考文献
以下の参考文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
[1]Takeuchi,Tetsuya,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.39,(2000),pp.413-416.
この論文は半極性GaN薄膜の極性に関する理論研究である。
[2]Nishizuka,K.,Applied Physics Letters,Vol.85 No.15,11 October 2004.この論文はELO材料の{11-20}GaN側壁に関する研究である。
[3]T.J.Baker,B.A.Haskell,F.Wu,J.S.Speck,and S.Nakamura,“Characterization of Planar Semipolar Gallium Niride Films on Spinel Substrates,”Japanese Journal of AppliedPhysics,Vol.44,No.29,(2005),L920.
[4]A.Chakraborty,T.J.Baker,B.A.Haskell,F.Wu,J.S.Speck,S.P.Denbaars,S.Nakamura,and U.K.Mishra,“Milliwatt Power Blue InGaN/GaN Light-Emitting Diodes on Semipolar GaN Templates,”
[5]R.Sharma,P.M.Pattison,H.Masui,R.M.Farrell,T.J.Baker,B.A.Hasskell,F.Wu,S.P.Denbaars,J.S.Speck,and S.Nakamura,“Demonstration of a Semipolar(10-1-3)InGaN/GaN Green Light Emitting Diode,”Appl.Phys.Lett.87,231110(2005).
[6]T.J.Baker,B.A.Haskell,F.Wu,J.S.Speck, and S.Nakamura,“Characterization of Planar Semipolar Gallium Nitride Films on Sapphire Substrate,”Japanese Journal of Applied Physics,Vol.45,No.6,(2006),L154.
結論
これで本発明の好ましい実施形態の説明を終える。本発明の1つ以上の実施例に関する上記の記述は例示と記載のために示されたものである。本発明を開示した形態そのものによって包括または限定することを意図するものではない。多くの変更と変形が上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲はこの詳細な説明に限定しようとするものではなく、添付の請求項によって限定しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ミスカットを施した(100)スピネル上に成長したGaNの光学顕微鏡写真である。図1Aはミスカットなし、図1Bは<010>方向にミスカット、図1Cは<011>方向にミスカットされたものを示す。
【図2】本発明の好ましい実施形態における処理工程を表すフローチャートである。
【図3】はHVPE法によって成長した{10-11}GaNテンプレート上にMOCVD法で成長したLEDの写真である。
図面
【図2】
0
【図1】
1
【図3】
2