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明細書 :フラーレン誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4988702号 (P4988702)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発行日 平成24年8月1日(2012.8.1)
発明の名称または考案の名称 フラーレン誘導体
国際特許分類 C07F   7/08        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
FI C07F 7/08 CSPC
C07F 15/00 A
請求項の数または発明の数 22
全頁数 26
出願番号 特願2008-503749 (P2008-503749)
出願日 平成18年11月2日(2006.11.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年11月17日~18日に東京大学理学部化学教室本館講堂において開催された大学院博士課程研究業績中間報告会において発表。
国際出願番号 PCT/JP2006/322409
国際公開番号 WO2007/102255
国際公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
優先権出願番号 2006061143
優先日 平成18年3月7日(2006.3.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年11月4日(2008.11.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】中村 栄一
【氏名】松尾 豊
【氏名】鐘 羽武
【氏名】村松 彩子
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100114409、【弁理士】、【氏名又は名称】古橋 伸茂
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査官 【審査官】天野 宏樹
参考文献・文献 特開2004-155674(JP,A)
特開2003-212881(JP,A)
Yutaka Matsuo, Ayako Muramatsu, Ryo Hamasaki, Norihiro Mizoshita, Takashi Kato, Eiich Nakamura,Stacking of Molecules Possessing a Fullerene Apex and a Cup-Shaped Cavity Connected by a Sillicon Connection,Journal of the American Chemical Society,米国,ACS Publications,2004年 1月21日,vol.126, No.2,p.432-433
Yutaka Matsuo, Eiich Nakamura,Ruthenium(II) Complexes of Pentamethylated [60]Fullerene. Alkyl, Chloro, Isocyanide, and Phosphine Complexe,Organometallics,米国,ACS Publications,2003年 6月23日,vol.22, No.13,p.2554-2563
Paul R. Birkett, Anthony G. Avent, Adam D. Darwish, Irene Hahn, Harold W. Kroto, G. John Langley, Jennifer O'Loughlin, Roger Taylor, David R. M. Walton,Arylation of [60]fullerene via electrophilic aromatic substitution involving the electrophile C60Cl6: frontside nucleophilic substitution of fullerenes,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 2: Physical Organic Chemistry,英国,The Rolal Society of Chemistry,1997年 6月23日,vol.6,p.1121-1125
調査した分野 C07F7/08
C07F19、15、17
CAPlus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
1.下記式(1)
JP0004988702B2_000016t.gif[式中、R置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)または水素原子であり、
はそれぞれ独立して下記式(3)または下記式(4)で表される基
JP0004988702B2_000017t.gif(式中、WはC~C12のアルキニレンであり、このアルキニレンにおいて任意の-CH2-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、Wは、単結合、C~C11のアルキレン、C~C12のアルケニレン、またはC~C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の-CH2-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、R21~R25はそれぞれ独立に置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示し、R26は置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示す。)
であり、
前記置換基がエステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上である。
で表されるフラーレン60誘導体。
【請求項2】
は、置換基を有してもよいC~C10アルキル基、置換基を有してもよいC~C10アルケニル基、または、置換基を有してもよいC~C10アルキニル基である、請求項1に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項3】
下記式(2)
JP0004988702B2_000018t.gif[式中はそれぞれ独立して下記式(3)または下記式(4)で表される基
JP0004988702B2_000019t.gif(式中、WはC~C12のアルキニレンであり、このアルキニレンにおいて任意の-CH2-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、Wは、単結合、C~C11のアルキレン、C~C12のアルケニレン、またはC~C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の-CH2-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、R21~R25はそれぞれ独立に置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示し、R26は置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示す。)であり、
前記置換基がエステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上である。
で表されるフラーレン60誘導体。
【請求項4】
Mが遷移金属である、請求項に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項5】
Mが8~10族の遷移金属である、請求項に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項6】
MがFe、RuまたはOsであり、nが0~5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、請求項に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項7】
が-C≡C-である、請求項1~に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項8】
が単結合、C~Cのアルキレン、C~Cのアルケニレン、またはC~Cのアルキニレンである、請求項1~に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項9】
21、R22、R24およびR25がメチル基である、請求項1~のいずれかに記載のフラーレン60誘導体。
【請求項10】
請求項1~に記載のフラーレン60誘導体であって、結晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン60誘導体。
【請求項11】
請求項1~に記載のフラーレン60誘導体であって、液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン60誘導体。
【請求項12】
中間相を有する、請求項1~に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のフラーレン60誘導体を含み、中間相を有する組成物。
【請求項14】
下記式(1)
JP0004988702B2_000020t.gif[式中、R置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)または水素原子であり、
はそれぞれ独立して、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)であり、
前記置換基がエステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上である。
で表されるフラーレン60誘導体であって、結晶状態または液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン60誘導体。
【請求項15】
は、置換基を有してもよいC~C10アルキル基、置換基を有してもよいC~C10アルケニル基、または、置換基を有してもよいC~C10アルキニル基である、請求項14に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項16】
下記式(2)
JP0004988702B2_000021t.gif(式中、Rはそれぞれ独立して、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数であり、
前記置換基がエステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上である。
で表されるフラーレン60誘導体であって、結晶状態または液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン60誘導体。
【請求項17】
Mが遷移金属である、請求項16に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項18】
Mが8~10族の遷移金属である、請求項16に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項19】
MがFe、RuまたはOsであり、nが0~5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、請求項16に記載のフラーレン60誘導体。
【請求項20】
は置換基を有してもよいC~C10アルキル基または置換基を有してもよいアリール基である、請求項1419のいずれかに記載のフラーレン60誘導体。
【請求項21】
中間相を有する、請求項1420のいずれかに記載のフラーレン60誘導体。
【請求項22】
請求項1421のいずれかに記載のフラーレン60誘導体を含み、中間相を有する組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスター(以下、「フラーレン」ともいう)の合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成されてきた。
このようなフラーレン誘導体の具体例として、フラーレン骨格に5個の有機基が結合したフラーレン誘導体(以下、単に、「5重付加フラーレン誘導体」ともいう)の合成方法について報告されている(たとえば、特開平10-167994号公報、特開平11-255509号公報、J.Am.Chem.Soc.,118,12850(1996),Org.Lett.,,1919(2000),Chem.Lett.,1098(2000))。
また、フラーレンを配位子とした金属含有フラーレン誘導体は、金属の性質に基づく電子的挙動が付与されているため、電気化学的な素子に応用できるとして期待されており、アリール5重付加型誘導体から導かれるフラーレンのシクロペンタジエニル金属錯体などが報告されている(特開平11-255509号公報)。
このような電気化学的な素子に用いることができる電荷輸送特性や光電子物性に優れた機能性材料は、素子作製の容易さや大面積化などの点から、固体と液体の中間相(メソフェーズ)を有する材料が注目されており、フラーレン誘導体を含有する液晶配合材料などが提案されている(特開2003-146915号公報,特開2004-331848号公報)。具体的には、シャトルコック状の分子形状を有するフラーレン誘導体を基にした炭素クラスター誘導体の液晶性の発現が報告されている(特開2003-146915号公報)。このシャトルコック状のフラーレン誘導体は、通常のディスコティック系のフラーレン誘導体と異なり、コニカルな分子としてカップスタック型の積層をしているため(Nature,Vol.4,419,681-(2002))、ディスコティック系に比べて安定な柱状の分子配列構造を持っており、液晶材料としての用途が期待されている。
しかしながら、シャトルコック型フラーレン誘導体は柱状構造であるため、等方相への転移温度が低く、再配列しにくいという問題点があり、液晶材料に用いることが困難であった。
また、液晶フラーレン-フェロセンダイアドやフラーレン液晶性デンドリマーは層状構造を有することが知られているが、フラーレン骨格に嵩高い基を付加する必要があり、目的物を収率良く得ることが困難であった。
【発明の開示】
【0003】
上記の状況の下、新規なフラーレン誘導体が望まれていた。具体的には、たとえば、結晶状態または液晶状態において層状構造を有するフラーレン誘導体が求められている。また、たとえば、液晶材料に用いることができるフラーレン誘導体が求められている。
[1] 下記式(1)
JP0004988702B2_000002t.gif[式中、Rは置換基を有してもよい有機基または水素原子であり、
はそれぞれ独立して下記式(3)または下記式(4)で表される基
JP0004988702B2_000003t.gif(式中、WはC~C12のアルキニレンであり、このアルキニレンにおいて任意の-CH-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、Wは、単結合、C~C11のアルキレン、C~C12のアルケニレン、またはC~C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の-CH-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、R21~R25はそれぞれ独立に置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示し、R26は置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示す。)
である。]
で表されるフラーレン誘導体。
[2] Rは、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)である、[1]に記載のフラーレン誘導体。
[3] Rは、置換基を有してもよいC~C10アルキル基、置換基を有してもよいC~C10アルケニル基、または、置換基を有してもよいC~C10アルキニル基である、[1]に記載のフラーレン誘導体。
[4] Rは、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[5] 下記式(2)
JP0004988702B2_000004t.gif[式中、Rは置換基を有してもよい有機基または水素原子であり、
はそれぞれ独立して下記式(3)または下記式(4)で表される基
JP0004988702B2_000005t.gif(式中、WはC~C12のアルキニレンであり、このアルキニレンにおいて任意の-CH-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、Wは、単結合、C~C11のアルキレン、C~C12のアルケニレン、またはC~C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の-CH-は-O-、-S-、-C(=O)O-、もしくは-O-C(=O)-で置き換えられてもよく、R21~R25はそれぞれ独立に置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示し、R26は置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示す。)
である。]
で表されるフラーレン誘導体。
[6] Mが遷移金属である、[5]に記載のフラーレン誘導体。
[7] Mが8~10族の遷移金属である、[5]に記載のフラーレン誘導体。
[8] MがFe、RuまたはOsであり、nが0~5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、[5]に記載のフラーレン誘導体。
[9] Wが-C≡C-である、[1]~[8]に記載のフラーレン誘導体。
[10] Wが単結合、C~Cのアルキレン、C~Cのアルケニレン、またはC~Cのアルキニレンである、[1]~[8]に記載のフラーレン誘導体。
[11]R21、R22、R24およびR25がメチル基である、[1]~[10]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[12] [1]~[11]に記載のフラーレン誘導体であって、結晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン誘導体。
[13] [1]~[11]に記載のフラーレン誘導体であって、液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン誘導体。
[14] 中間相を有する、[1]~[13]に記載のフラーレン誘導体。
[15] [1]~[14]のいずれかに記載のフラーレン誘導体を含み、中間相を有する組成物。
[16] 下記式(1)
JP0004988702B2_000006t.gif[式中、Rは置換基を有してもよい有機基または水素原子であり、
はそれぞれ独立して、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)である。]
で表されるフラーレン誘導体であって、結晶状態または液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン誘導体。
[17] Rは、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)である、[16]に記載のフラーレン誘導体。
[18] Rは、置換基を有してもよいC~C10アルキル基、置換基を有してもよいC~C10アルケニル基、または、置換基を有してもよいC~C10アルキニル基である、[16]に記載のフラーレン誘導体。
[19] Rは、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[16]~[18]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[20] 下記式(2)
JP0004988702B2_000007t.gif(式中、Rはそれぞれ独立して、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。)
で表されるフラーレン誘導体であって、結晶状態または液晶状態において層状の構造を有することを特徴とするフラーレン誘導体。
[21] Mが遷移金属である、[20]に記載のフラーレン誘導体。
[22] Mが8~10族の遷移金属である、[20]に記載のフラーレン誘導体。
[23] MがFe、RuまたはOsであり、nが0~5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、[20]に記載のフラーレン誘導体。
[24] Rは置換基を有してもよいC~C10アルキル基または置換基を有してもよいアリール基である、[16]~[23]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[25] Rが、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[16]~[24]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[26] Rが、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[16]~[24]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[27] 中間相を有する、[16]~[26]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[28] [16]~[27]のいずれかに記載のフラーレン誘導体を含み、中間相を有する組成物。
本発明の好ましい態様によれば、高い収率で層状の構造を有するフラーレン誘導体の結晶を得ることができる。また、本発明の好ましい態様のフラーレン誘導体は、等方相への転移温度が高く、再配列しやすい特性を有する。
[図面の簡単な説明]
図1は、化合物10の構造を示す。
図2は、化合物10の結晶のDSC測定結果を示す。
図3は、化合物10のX線構造解析を示す。
図4は、化合物10Aの構造を示す。
図5は、化合物12の構造を示す。
図6は、化合物13の構造を示す。
図7は、化合物14のDSC測定結果を示す。
図8は、化合物15のDSC測定結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下、本発明の方法を具体的に説明する。
1.フラーレン誘導体
本発明のフラーレン誘導体は、上記式(1)または上記式(2)で表されるフラーレン誘導体である。ここで、フラーレンとは、炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスターの総称であり(現代化学2000年6月号46頁,Chemical Reviews,98,2527(1998)参照)、たとえば、フラーレンC60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。
1.1 (1)式で表されるフラーレン誘導体
(1)式中、Rはそれぞれ独立して、置換基を有してもよい有機基または水素原子である。
好ましくは、Rは置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)である。これらの中でも、Rは置換基を有するC~C10アルキル基または置換基を有さないアリール基であることが好ましい。
また、Rが、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有することができる。これらの置換基の中でもエステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基からなる群から選ばれる1以上の置換基が好ましい。また、Rに導入される置換基の数は、0または1であることが好ましい。
また、(1)式中、Rはそれぞれ独立して、置換基が導入されてもよいC~C20炭化水素基、置換基が導入されてもよいC~C20アルコキシ基、置換基が導入されてもよいC~C20アリールオキシ基、置換基が導入されてもよいアミノ基、置換基が導入されてもよいシリル基、置換基が導入されてもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基が導入されてもよいアルキルスルホニル基(-SO:式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基が導入されてもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)である。式(1)中、少なくとも1つのRはそれぞれ独立して上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが好ましい。さらに、(1)式中の5つのRのうち、1~5の範囲で、できるだけ多くのRがそれぞれ独立して上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが好ましい。すなわち、(1)式中の5つのRのうち、より多くのRが上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが好ましく、5つのRが上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが特に好ましい。さらには、5つのRが上記式(3)で表される基だけである、または、上記式(4)で表される基だけであることが最も好ましい。
式(3)中、WはC~C12のアルキニレンであり、このアルキニレンにおいて任意の-CH-は-O-、-S-、-COO-、もしくは-OCO-で置き換えられてもよい。Wが-C≡C-であると、好ましい態様のフラーレン誘導体が層状構造を有するので好ましい。
式(4)中、R24とR25はそれぞれ独立に置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示す。また、R26は置換基を有してもよいC~C20アルキル基、置換基を有してもよいC~C15アルケニル基または置換基を有してもよいC~C15アルキニル基を示すと、好ましい態様のフラーレン誘導体が層状構造を有するので好ましい。
(1)式で表されるフラーレン誘導体は、結晶構造を有することが好ましい。さらに、結晶構造が層構造であることが、さらに好ましい。
式(1)で表される金属含有フラーレン誘導体は、本発明の金属含有フラーレン誘導体のみからなる場合や、その他の物質を含む組成物とした場合に、中間相(メソフェーズ)となりうる。ここで、中間相とは、柔粘性結晶または液晶の状態をいう。
サーモトロピック系の中間相を示す炭素クラスター誘導体では、ある温度範囲に加熱もしくは冷却することにより中間相を得ることができる。通常、中間相状態まで加熱した後、徐冷することにより分子が自発的に配向、集積した炭素クラスター誘導体を得ることができる。この際、層状の結晶構造を有するフラーレン誘導体では、再配列がし易く、均一性の高い配向状態が得られるとともに、柱状構造よりも安定で高温まで液晶相が保たれるという利点がある。
本明細書において、「C~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C~C20炭化水素基」には、C~C20アルキル基、C~C20アルケニル基、C~C20アルキニル基、C~C20アルキルジエニル基、C~C18アリール基、C~C20アルキルアリール基、C~C20アリールアルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20シクロアルケニル基、(C~C10シクロアルキル)C~C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C~C20アルキル基」は、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アルケニル基」は、C~C10アルケニル基であることが好ましく、C~Cアルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アルキニル基」は、C~C10アルキニル基であることが好ましく、C~Cアルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アルキルジエニル基」は、C~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C~Cアルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C18アリール基」は、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アルキルアリール基」は、C~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アリールアルキル基」は、C~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20シクロアルキル基」は、C~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20シクロアルケニル基」は、C~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C~C20アルコキシ基」は、C~C10アルコキシ基であることが好ましく、C~Cアルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C~C20アリールオキシ基」は、C~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C20アルキル基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基が導入されてもよいC~C18アリール基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
「C~C20炭化水素基」、「C~C20アルコキシ基」、「C~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、たとえば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入される。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換基が導入されてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
(1)式で表されるフラーレン誘導体は、結晶構造を有することが好ましい。さらに、結晶構造が層構造であることが、さらに好ましい。また、(1)式で表されるフラーレン誘導体は、液晶中で層構造であることができる。
1.2 (2)式で表されるフラーレン誘導体
(2)式中、Rはそれぞれ独立して置換基を有してもよい有機基または水素原子であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。
Mは金属原子であれば特に限定されず、典型金属でも遷移金属であってもよい。Mの具体例としては、Li、K、Na、Mg、Al等の典型金属、Ti、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn等の遷移金属などが挙げられる。得られるフラーレン誘導体を電子材料に用いる場合には、Mは遷移金属であると金属に特有の酸化還元挙動に基づく電子的性質がフラーレン骨格に付与されるため好ましく、さらに、遷移金属の中でも、Fe、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt等の8~10族の遷移金属が好ましく、さらにFe、Ru、Os等の8族の遷移金属が好ましい。
nはL(Mの配位子)の数であり、Mの配位子の数としてあり得る整数以下でかつ0以上の数であれば特に限定されないが、0~5の整数であることが好ましい。なお、Lが2以上の場合、配位子Lは互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、Lは水素原子、Cl、Br、I等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、並びに、メチル基、エチル基等のアルキル基、カルボニル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
また、(2)式中の5つのRのうち、1~5の範囲で、できるだけ多くのRがそれぞれ独立して上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが好ましい。すなわち、(1)式中の5つのRのうち、より多くのRが上記式(3)または上記式(4)で表される基であることが好ましい。
なお、(2)式中のRは、上述の通りである。
(2)式で表されるフラーレン誘導体は、結晶構造を有することが好ましい。さらに、結晶構造が層構造であることが、さらに好ましい。また、(2)式で表されるフラーレン誘導体は、液晶中で層構造であることができる。
式(2)で表される金属含有フラーレン誘導体は、本発明の金属含有フラーレン誘導体のみからなる場合や、その他の物質を含む組成物とした場合に、中間相となりうる。
サーモトロピック系の中間相を示す炭素クラスター誘導体では、ある温度範囲に加熱もしくは冷却することにより中間相を得ることができる。通常、中間相状態まで加熱した後、徐冷することにより分子が自発的に配向、集積した炭素クラスター誘導体を得ることができる。この際、層状の結晶構造を有するフラーレン誘導体では、再配列がし易く、均一性の高い配向状態が得られるとともに、柱状構造よりも安定で高温まで液晶相が保たれるという利点がある。
2 本発明のフラーレン誘導体の製造方法
式(1)で表されるフラーレン誘導体は、たとえば、特開平10-167994号公報、特開平11-255509号公報、特開2002-241323号公報等に記載された方法、またはこれに準ずる方法によって製造できる。
たとえば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中に、CuBr・S(CHなどの有機銅試薬を混入し、ジメチルイミダゾリジノンなどの添加剤とグリニャール試薬とを加えて攪拌する。その後、当該反応系に有機溶媒に溶解したフラーレンを混入して、本発明のフラーレン誘導体は製造される。なお、本発明におけるフラーレン誘導体の合成反応の停止は、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することによって行うことができる。
当該反応は、常圧下で、-70℃~70℃の温度範囲で行われることが好ましく、-50℃~50℃の温度範囲で行われることがさらに好ましい。
また、反応時間は用いられる溶媒や温度等に依存するが、一般的には、通常、数分~5時間、好ましくは10分~4時間程度で行われる。
また、上記反応系からフラーレン誘導体を単離する方法は、特に限定されないが、たとえば反応液をそのままシリカゲルカラムに通すことによって、無機物等の副生成物を除くことによって行われる。必要に応じて、単離した物質について、HPLCや通常のカラムクロマトグラフィー等で更に精製し、フラーレン誘導体の純度を向上させてもよい。
式(2)で表されるフラーレン誘導体は、たとえば、特開平10-167994号公報等に記載された方法、またはこれに準ずる方法によって製造できる。具体的には、式(1)で表されるフラーレン誘導体を金属アルコキシドと反応させることによって得られる。
本発明の金属錯体の製造に用いる金属アルコキシドとしては、Li、Kなどのアルカリ金属、Tl、Cu、Ruなどの遷移金属、またはSm(III)などのランタノイドの金属を含む金属アルコキシドを用いることができる。また、金属アルコキシドを構成するアルコキシ基としては、たとえば、C~Cアルコキシ基などの低級アルコキシ基を用いることができる。たとえば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペントキシ基などを用いることができる。金属アルコキシドとして、たとえば、リチウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、タリウムエトキシド、又は銅tert-ブトキシドなどを用いることができる。
たとえば、式(1)で表されるフラーレン誘導体と金属アルコキシドとの反応は、炭素クラスター誘導体(III)に対して0.5~1.5当量程度、好ましくは約1.0当量の金属アルコキシドを用いて、一般的には、-78℃~室温程度の温度下に不活性溶媒中で行うことができる。溶媒の種類は反応において不活性であれば特に限定されず、たとえば、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒を用いることができる。金属原子に他の配位子を配位させる場合には、リン化合物などの存在下で反応を行うことができる。たとえば、Cu(I)tert-ブトキシドを用いる場合にトリエチルホスフィンなどのホスフィン化合物を添加しておくと、ホスフィン化合物が金属原子に対して配位結合した金属錯体が得られる。
3.本発明のフラーレン誘導体の用途
本発明の好ましい態様のフラーレン誘導体は、磁気的、電気的、光学的、光科学的、電気化学的特性などの各種特性を有し、中間相などによる分子の配向・集積などにより、各種表示素子、光学素子や光電子変換素子などに利用できる。
本発明の好ましい態様のフラーレン誘導体は、中間相への転移温度が高く、再配列しやすいため、液晶材料として、極めて有用である。
また、本発明の好ましい態様の炭素クラスター誘導体を各種素子に使用する場合には、中間相による分子配向を利用した状態で使用する以外に、中間相による分子配向を施した後、固体状態においても使用することができる。
本発明の好ましい態様の金属含有フラーレン誘導体は、金属原子を有することもでき、金属原子固有の性質が付与される。それによって、たとえば、フラーレン骨格に由来する酸化還元挙動に加えて、金属原子の酸化還元挙動に基づく電気的挙動を利用した電子材料素子等にも利用できる
【実施例】
【0005】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]下記式(10)で表される化合物
JP0004988702B2_000008t.gif テトラヒドロフラン20mLに臭化銅ジメチルスルフィド錯体(1.03g,5.05mmmol)を懸濁させ、0℃に保ちながらジメチルイミダゾリジノン(0.54mL,4.46mmol)とBuMeSiCHMgCl(1.03M THF溶液,4.33mL,4.46mmol)を加え、攪拌した。5分間攪拌した後にC60(200mg,0.28mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(25mL)を加え、25℃まで昇温した。1時間攪拌をした後、飽和塩化アンモニウム水溶液0.25mLを加えた。反応混合物を150mLのトルエンで希釈し、展開溶媒をトルエンとしてシリカゲルショートパスを通し、副生する銅塩等を除去した。溶媒が5mL残る程度まで溶媒を留去し、メタノール300mLを加えて再沈すると、純度約95%の式(10)で示される化合物(以下、「化合物10」等という)が得られた。なお、本明細書中、Meはメチルを示す。単離収率は87%(379mg)であった。
得られた化合物10のNMRおよびUVデータは以下のとおりであった。
H NMR(500Hz,CDCl3):δ 0.04(s,6H),0.09-0.11(overlapping m,24H),0.58-0.64(m,10H),0.80-0.84(m,15H),1.25-1.30(m,20H),1.84-2.14(m,10H),4.64(s,1H);13C NMR(CDCl3):δ -1.20,-1.16,13.68,13.72,16.23,16.27,25.95,26.01,26.04,26.42,26.45,29.52,29.95,29.83,52.86,53.21,54.79,63.25,142.34,143.14,143.22,143.40,143.64,144.25,144.98,145.16,145.49,145.97,146.24,146.64,146.87,146.93,147.50,147.76,147.78,147.93,148.05,148.42,148.45,148.59,149.80,154.04,154.30,154.45,157.59
UV-vis(hexane)λmax395,356,348,262,241,212.
化合物10は、室温で赤色粉末.固体の状態では空気中,室温で安定であった。
また、化合物10のクロロホルム溶液にゆっくりとメタノールを拡散することで、X線結晶構造解析に適する赤色単結晶を得ることができた。そして、得られた、化合物10の結晶の結晶学的データは以下のとおりであった。
晶系:Monoclinic、 空間群:P21/c
a,Å 14.4090(7)
b,Å 17.2910(8)
c,Å 30.0080(12)
α,deg 90.00
β,deg 101.757(3)
γ,deg 90.00
体積 V,Å3 7319.5(6)
ユニットセル中の分子の数 Z, 4
温度,K 153(2)
結晶の大きさ,mm 0.3 x 0.3 x 0.3
独立な反射の数 14605
パラメータ数
R1,wR2(all data) 0.082,0.135
R,Rw(I>2.0s(I)) 0.058,0.132
GOF on F2 1.158
化合物10の結晶をX線構造解析を行ったところ、その構造は図1のとおりであった。図1によって、化合物10が結晶中で層構造をもつことを確認できた。
フラーレン誘導体が中間相を有することは、通常DSC(示差走査熱分析)測定により、結晶相から中間相への転移及び中間相から等方相(液相)の転移が観測されることで確認される。そこで、化合物10の結晶について、DSC測定をおこなった。その測定結果は、図2に示すとおりであった。
図2によって、化合物10の誘導体のTc(透明点)は254℃、Tm(融点)は75℃であり、75~254℃の範囲で中間相を示すことが確認された。
また、200℃において化合物10のX線回折測定を行なったところ、得られた結晶学的データは以下のとおりであった。
a,Å 27.68
b,Å 21.00
c,Å 15.44
α,deg 90.00
β,deg 90.00
γ,deg 90.00
温度,K 473
200℃における化合物10のX線構造解析を行ったところ、その構造は、図3のとおりであった。これらのデータおよび図によって、化合物10の構造が液晶状態において層状の構造を有することが確認できた。
[実施例2]下記式(10A)で表される化合物
JP0004988702B2_000009t.gif 化合物10(200mg)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液にカリウムt-ブトキシド/THF溶液(1M,0.26mL,0.26mmol)を25℃で加えた。15分間攪拌をした後に、[RuCl(CO)を加えた。反応混合物をトルエンで希釈し、シリカゲルショートパスを通した後、溶液を留去した。固体を二硫化炭素に溶解し、二硫化炭素とヘキサンとの混合溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行ない、化合物10Aの赤色微結晶を得た(55mg,0.032mmol,単離収率25%)。
得られた化合物10AのNMRおよびUVデータは以下のとおりであった。
H NMR(500Hz,CDCl3):δ 0.04(s,30H),0.58(t,J=8.0Hz,10H),0.80(t,J=7.0Hz,15H),1.24-1.26(m,20H),2.17(s,10H);13C NMR(CDCl3):δ -1.33,13.65,16.03,25.84,26.31,34.76,52.99,115.00,143.07,144.03,147.24,148.19,148.66,152.11,196.93
UV-vis(hexane)λmax391,356,260,213.
化合物10Aは、室温で赤色粉末.固体の状態では空気中、室温で安定であった。
また、化合物10Aのクロロホルム溶液にゆっくりとメタノールを拡散することで、X線結晶構造解析に適する赤色単結晶を得ることができた。そして、得られた、化合物10Aの結晶の結晶学的データは以下のとおりであった。
晶系:triclinic、 空間群:P-1
a,Å 14.3750(7)
b,Å 14.5870(9)
c,Å 19.4600(12)
α,deg 96.350(3)
β,deg 101.761(3)
γ,deg 107.106(3)
体積 V,Å3 3754.2(4)
ユニットセル中の分子の数 Z, 2
温度,K 153(2)
結晶の大きさ,mm 0.3 x 0.3 x 0.3
独立な反射の数 13385
パラメータ数 960
R1,wR2(all data) 0.0827,0.1916
R,Rw(I>2.0s(I)) 0.0735,0.0.2077
GOF on F2 1.045
化合物10Aの結晶をX線構造解析を行ったところ、その構造は図4のとおりであった。図3によって、化合物10Aが結晶中で層構造をもつことを確認できた。
[実施例3]下記式(11)で表される化合物
JP0004988702B2_000010t.gif テトラヒドロフラン20mLに臭化銅ジメチルスルフィド錯体(1.03g,5.05mmol)を懸濁させ、0℃に保ちながらジメチルイミダゾリジノン(0.54mL,4.46mmol)とBuMeSiCHMgCl(0.82M THF溶液,5.4mL,4.46mmol)を加え,攪拌した。5分間攪拌した後にC60(200mg,0.28mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(25mL)を加え、25℃まで昇温した。1時間攪拌をした後,飽和塩化アンモニウム水溶液0.25mLを加えた。反応混合物を150mLのトルエンで希釈し、展開溶媒をトルエンとしてシリカゲルショートパスを通し、副生する銅塩等を除去した。溶媒が5mL残る程度まで溶媒を留去し、メタノール300mLを加えて再沈すると,純度約95%の化合物11が得られた。単離収率は84%(350mg)であった。
得られた化合物11のNMRおよびUVデータは以下のとおりであった。
H NMR(500Hz,CDCl3):δ 0.03(s,6H),0.04-0.11(overlapping m,24H),0.53-0.62(m,10H),0.82-0.85(m,15H),1.20-1.31(m,40H),1.85-2.15(m,10H),4.65(s,1H);13C NMR(CDCl3):δ -1.20,-1.15,14.15,16.57,16.61,22.61,23.78,23.81,23.84,29.55,29.96,31.49,31.53,31.55,33.20,33.24,36.84,52.87,53.21,54.79,63.26,142.36,143.15,143.23,143.41,143.65,144.26,144.99,145.17,145.49,145.98,146.25,146.64,146.88,146.93,147.49,147.76,147.80,147.94,148.05,148.42,148.45,148.59,149.82,154.03,154.32,154.47,157.62
UV-vis(hexane)λmax395,356,348,262,241,211.
化合物11は、室温で赤色粘重な流体であった。固体の状態では空気中,室温で安定であった。
また、偏光顕微鏡観察では光学組織が観察され、化合物11における中間相の存在が確かめられた。中間相は180℃まで保たれた。化合物11を、180℃で3時間アニールしたところ,偏光顕微鏡観察において,スメクチック相にしばしばみられるバトネ組織が観測された。
また、実施例1と同様に、X線構造解析データにより、化合物11は結晶中で層構造をもつことが確認された。
[実施例4]下記式(11A)で表される化合物
JP0004988702B2_000011t.gif 化合物11(200mg)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液にカリウムt-ブトキシド/THF溶液(1M,0.26mL,0.26mmol)を25℃で加えた。15分間攪拌をした後に、[RuCl(CO)(136mg)を加えた。反応混合物をトルエンで希釈し、シリカゲルショートパスを通した後、溶液を留去した。固体を二硫化炭素に溶解し、二硫化炭素とヘキサンとの混合溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行ない、化合物11Aを得た(50.0mg,0.0294mmol,23%)。
得られた化合物11AのNMRおよびUVデータは以下のとおりであった。
H NMR(500Hz,CDCl3):δ 0.046(s,30H),0.59(t,J=8.0Hz,10H),0.85(t,J=7.0Hz,15H),1.19-1.57(m,40H),2.18(s,10H);13C NMR(CDCl3):δ -1.32,14.13,16.37,22.57,23.65,31.44,33.10,34.77,52.98,114.99,143.07,144.03,147.24,148.18,148.66,152.11,196.94
UV-vis(hexane)λmax393,356,260,213.
化合物11Aは、室温で粘重な流体であった。偏光顕微鏡観察では,中間相の存在を示す光学組織が観測された。
また、実施例2と同様に、X線構造解析を行ったところ、その構造解析データにより、化合物11Aは結晶中で層構造をもつことが確認された。
[実施例5]下記式(12)で表される化合物
JP0004988702B2_000012t.gif 4-ブロモフェニルエチニル)トリメチルシラン(607mg,2.4mL)のTHF溶液(8mL)を削状マグネシウム(60mg,2.5mmol)のTHF懸濁液に滴下した。混合液を室温で3時間攪拌したのち、臭化銅ジメチルスルフィド錯体(512mg,2.5mmol)を加え、有機銅試薬を調製した。10分後にC60(144mg,0.2mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(10mL)を一気に加えた。室温で2時間攪拌した後、ヨウ化メチル(1.24mL,20mmol)を加えた。室温で三時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応を停止し、トルエンで希釈し、シリカゲルカラムのショートパスにより銅塩を除いた。ろ液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィにより化合物12(290mg,単離収率91%)を得た。
得られた化合物12のNMRデータは以下のとおりであった。
H NMR(CDCl):δ 0.21(s,9H,SiMe),0.28(s,18H,SiMe),0.30(s,18H,SiMe),1.36(s,3H,C60Me),7.07(d,J=8.00Hz,2H,ArH),7.20(d,J=8.00Hz,2H,ArH),7.44(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.46(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.60(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.71(d,J=8.00Hz,4H,ArH).13C NMR(CDCl):δ -0.17(3C,SiMe),-0.06(6C,2SiMe),-0.02(6C,2SiMe),34.35(C60Me),57.95(2C,2C60(Cα)),60.81(2C,2C60(Cα)),62.22(1C,C60(Cα)),62.33(1C,C60(CMe)),95.35(1C,C≡CSi),95.45(2C,2C≡CSi),95.47(2C,2C≡CSi),104.07(1C,C≡CSi),104.36(2C,2C≡CSi),104.51(2C,2C≡CSi),122.04(1C,Ar),122.79(2C,Ar),122.95(2C,Ar),127.92(4C,Ar),128.46(4C,Ar),129.54(2C,Ar),131.78(2c,Ar),132.34(4C,Ar),132.62(4C,Ar),137.93,139.58,142.44,142.48,143.50,143.66,143.92,144.12,144.30,144.35,144.45,144.61,145.25,145.47,147.10,147.28,147.30,147.82,148.19,148.26,148.37,148.47,148.71,148.75,148.82,151.31,152.37,156.61,160.64.
化合物12は、室温で橙色粉末、固体の状態では空気中,室温で安定であった。
また、化合物12のクロロホルム溶液にゆっくりとメタノールを拡散することで、X線結晶構造解析に適する赤色単結晶を得ることができた。そして、得られた化合物12の結晶の結晶学的データは以下のとおりであった。
晶系:triclinic、 空間群:P-1
a,Å 14.449
b,Å 17.506
c,Å 23.235
α,deg 103.57
β,deg 100.73
γ,deg 105.18
体積 V,Å3 5318
ユニットセル中の分子の数 Z, 2
温度,K 153(2)
結晶の大きさ,mm 0.68 x 0.32 x 0.12
独立な反射の数 16452
パラメータ数 1135
R1,wR2(all data) 0.2962,0.4836
R,Rw(I>2.0s(I)) 0.1777,0.4183
GOF on F2 1.304
化合物12のX線構造解析を行ったところ、その構造は、図5のとおりであった。図5によって、化合物12が結晶中で層構造を持つことを確認できた。
[実施例6]下記式(13)で表される化合物
JP0004988702B2_000013t.gif 0℃で1-ブロモ-4-エチニルベンゼン(382mg,2.0mmol)のTHF溶液(15mL)にi-プロピルマグネシウムブロミド(0.67M/THF溶液,3.10mL,2.1mmol)を滴下した。混合液を20分間攪拌した後、氷水バスを外した。室温で10分間攪拌した後、n-ブチルジメチルシリルクロライド(0.69mL,4.0mmol)を加えた。2時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)で反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、濃縮した後にフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し、(4-ブロモフェニルエチニル)-n-ブチルジメチルシラン(530mg,単離収率90%)を得た。
得られた(4-ブロモフェニルエチニル)-n-ブチルエチニルシラン(295mg,1.0mmol)のTHF溶液(4mL)を削状マグネシウム(26mg,1.1mmol)のTHF懸濁液(2mL)に滴下した。混合液を室温で3時間攪拌した後に、臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体(225mg,1.1mmol)を加え、有機銅試薬を調製した。10分間攪拌した後に、C60(36mL,0.05mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(10mL)を一気に加えた。2時間攪拌した後に,飽和塩化アンモニウム溶液(0.05mL)で反応を停止した。反応混合物をトルエン(10mL)で希釈し、シリカゲルカラムを通して銅塩を除いた。ろ液を濃縮し、分取GPCで精製することで、化合物13(78mg,単離収率87%)を得た。なお、本明細書中、Buはブチルを示す。
得られた化合物13のNMRデータは以下のとおりであった。
H NMR(CDCl):δ 0.21(s,6H,SiMe),0.24(s,12H,2SiMe),0.26(s,12H,2SiMe),0.73(m,10H,5SiCH),0.93(m,15H,5CHCH),1.40(m,20H,10CH),5.22(s,1H,C60H),7.28(s,4H,ArH),7.32(d,J=8.55Hz,4H,ArH),7.46(d,J=8.55Hz,4H,ArH),7.48(d,J=8.55Hz,4H,ArH),7.68(d,J=8.55Hz,4H,ArH).13C NMR(CDCl):δ -1.73(6C,3SiMe),1.01(4C,2SiMe),13.84(5C,5SiCH),15.84(3C,3CHCH),15.86(2C,2CHCH),26.02(5C,5CH),26.25(3C,3CH),26.27(2C,2CH),58.60(2C,2C60(Cα)),58.72(1C,C60(Cα)),60.73(2C,2C60(Cα)),62.87(1C,C60(CH)),94.74(2C,2C≡CSi),94.77(1C,C≡CSi),94.94(2C,2C≡CSi),104.56(1C,C≡CSi),104.78(2C,2C≡CSi),104.86(2C,2C≡CSi),122.45(1C,Ar),122.70(2C,Ar),122.97(2C,Ar),127.34(2C,Ar),127.64(4C,Ar),127.66(4C,Ar),132.42(4C,Ar),132.55(2C,Ar),132.65(4C,Ar),139.55,139.57,143.24,143.43,144.11,144.23,144.30,144.41,145.13,145.38,145.47,145.61,145.67,146.89,147.07,147.16,147.27,147.74,148.10,148.14,148.25,148.38,148.67,148.77,148.80,150.90,151.81,152.46,155.54.
化合物13は、室温で橙色粉末。固体の状態では空気中、室温で安定であった。
化合物13のトルエン溶液にゆっくりとエタノールを拡散することで、X線結晶構造解析に適する橙色単結晶を得た。得られた化合物13の結晶の結晶学的データは以下のとおりであった。
晶系:monoclinic、 空間群:P21/n
a,Å 18.564
b,Å 17.636
c,Å 32.451
α,deg 90.000
β,deg 99.671
γ,deg 90.000
体積 V,Å3 10473(4)
ユニットセル中の分子の数 Z, 4
温度,K 153(2)
結晶の大きさ,mm 0.75 x 0.45 x 0.20
独立な反射の数 17181
パラメータ数 1107
R1,wR2(all data) 0.2769,0.5134
R,Rw(I>2.0s(I)) 0.1877,0.4567
GOF on F2 1.701
化合物13の結晶をX線構造解析を行ったところ、その構造は、図6に示すとおりであった。
[実施例7]下記式(14)で表される化合物
JP0004988702B2_000014t.gif 0℃で1-ブロモ-4-エチニルベンゼン(382mg,2.0mmol)のTHF溶液(15mL)にi-プロピルマグネシウムブロミド(0.67M/THF溶液,3.10mL,2.1mmol)を滴下した。混合液を20分間攪拌した後,氷水バスを外した。室温で10分間攪拌した後、n-デシルジメチルシリルクロライド(1.5mL,4.0mmol)を加えた。2時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)で反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し,濃縮した後にフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し,無色液体の(4-デシルフェニルエチニル)-n-ブチルジメチルシラン(646mg,単離収率85%)を得た.
得られた(4-デシルフェニルエチニル)-n-ブチルジメチルシラン(529mg,1.3mmol))のTHF溶液(4mL)を削状マグネシウム(32mg,1.3mmol)のTHF懸濁液(2mL)に滴下した.混合液を室温で3時間攪拌した後に,臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体(287mg,1.4mmol)を加え、有機銅試薬を調製した。10分間攪拌した後に,C60(50mL,0.07mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(10mL)を一気に加えた。2時間攪拌した後に、飽和塩化アンモニウム溶液(0.05mL)で反応を停止した。反応混合物をトルエン(10mL)で希釈し,シリカゲルカラムを通して銅塩を除いた。ろ液を濃縮し,分取GPCで精製することで,化合物14(153mg,単離収率93%)を得た.
得られた化合物14のNMRデータは以下のとおりであった。
H NMR(CDCl):δ 0.21(s,6H,SiMe),0.24(s,12H,2SiMe),0.26(s,12H,2SiMe),0.73(m,10H,5SiCH),0.86(m,15H,5CHCH),1.20-1.50(m,100H,50CH),5.22(s,1H,C60H),7.29(s,4H,ArH),7.31(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.45(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.49(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.68(d,J=8.00Hz,4H,ArH).13C NMR(CDCl):δ -1.72(10C,5SiMe),14.13(5C,5SiCH),16.09(5C,5CHCH),22.69(5C,5CH),23.78(5C,5CH),29.32(m,10C,10CH),29.66(m,20C,20CH),31.91(5C,5CH),33.29(5C,5CH),58.60(2C,2C60(Cα)),58.72(1C,C60(Cα)),60.73(2C,2C60(Cα)),62.86(1C,C60(CH)),94.75(2C,2C≡CSi),94.96(3C,3C≡CSi),104.54(1C,C≡CSi),104.75(2C,2C≡CSi),104.83(2C,2C≡CSi),122.46(1C,Ar),122.71(2C,Ar),122.98(2C,Ar),127.32(2C,Ar),127.61(4C,Ar),127.63(4C,Ar),132.43(4C,Ar),132.54(2C,Ar),132.65(4C,Ar),139.56,143.25,143.43,144.11,144.22,144.24,144.30,144.25,144.30,144.41,145.13,145.36,145.47,145.61,145.69,146.89,147.09,147.17,147.28,147.75,148.11,148.16,148.26,148.40,148.68,148.79,148.82,150.91,151.83,152.48,155.54.
化合物14は、室温で橙色粘重な固体。固体の状態では空気中,室温で安定であった
また、化合物14についてDSC測定を行ったところ、その測定結果は、図7に示すとおりであった。
図7によって、化合物14の誘導体は102℃と110℃に相転移を持ち、110℃以下で中間相を示すことが確認された。
[実施例8]下記式(15)で表される化合物
JP0004988702B2_000015t.gif 0℃で1-ブロモ-4-エチニルベンゼン(382mg,2.0mmol)のTHF溶液(15mL)にi-プロピルマグネシウムブロミド(0.67M/THF溶液,3.10mL,3.1mmol)を滴下した。混合液を20分間攪拌した後,氷水バスを外した。室温で10分間攪拌した後、n-ドデシルジメチルシリルクロライド(1.5mL,4.0mmol)を加えた。2時間攪拌した後,飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)で反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、濃縮した後にフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し、無色液体の(4-ドデシルフェニルエチニル)-n-ブチルジメチルシラン(627mg,単離収率77%)を得た。
得られた(4-ドデシルフェニルエチニル)-n-ブチルジメチルシラン(492mg,1.3mmol))のTHF溶液(4mL)を削状マグネシウム(32mg,1.3mmol)のTHF懸濁液(2mL)に滴下した。混合液を室温で3時間攪拌した後に,臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体(287mg,1.4mmol)を加え、有機銅試薬を調製した。10分間攪拌した後に,C60(50mL,0.07mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(10mL)を一気に加えた。2時間攪拌した後に,飽和塩化アンモニウム溶液(0.05mL)で反応を停止した。反応混合物をトルエン(10mL)で希釈し、シリカゲルカラムを通して銅塩を除いた。ろ液を濃縮し、分取GPCで精製することで、化合物15(133mg,単離収率86%)を得た.
得られた化合物15のNMRデータは以下のとおりであった。
H NMR(CDCl):δ 0.22(s,6H,SiMe),0.25(s,12H,2SiMe),0.27(s,12H,2SiMe),0.73(m,10H,5SiCH),0.85(m,15H,5CHCH),1.26-1.56(m,80H,40CH),5.22(s,1H,C60H),7.29(s,4H,ArH),7.32(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.45(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.49(d,J=8.00Hz,4H,ArH),7.68(d,J=8.00Hz,4H,ArH).13C NMR(CDCl):δ -1.74(4C,2SiMe),-1.73(4C,2SiMe),-1.71(2C,SiMe),14.13(5C,5SiCH),16.08(1C,CHCH),16.12(4C,4CHCH),22.69(5C,5CH),23.76(3C,3CH),23.79(2C,2CH),29.32(m,10C,10CH),29.66(m,10C,10CH),31.90(5C,5CH),33.29(5C,5CH),58.58(2C,2C60(Cα)),58.71(1C,C60(Cα)),60.72(2C,2C60(Cα)),62.85(1C,C60(CH)),94.75(2C,2C≡CSi),94.77(1C,C≡CSi),94.96(2C,2C≡CSi),104.55(1C,C≡CSi),104.76(2C,2C≡CSi),104.84(2C,2C≡CSi),122.45(1C,Ar),122.70(2C,Ar),122.97(2C,Ar),127.31(2C,Ar),127.60(4C,Ar),127.63(4C,Ar),132.42(4C,Ar),132.54(2C,Ar),132.65(4C,Ar),139.54,139.56,143.23,143.42,144.10,144.22,144.23,144.30,144.40,145.12,145.36,145.47,145.60,145.67,146.88,147.07,147.15,147.26,147.74,148.09,148.14,148.24,148.38,148.66,148.77,148.80,150.90,151.81,152.46,155.52.
化合物15は室温で橙色粘重な固体であった。また、固体の状態では空気中、室温で安定であった。
また、化合物15についてDSC測定を行ったところ、その測定結果は、図8に示すとおりであった。
図8によって、化合物15の誘導体は131℃以下で中間相を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0006】
本発明で得られたフラーレン誘導体は、たとえば、フラーレン骨格の間に有機基が入らない層状の結晶構造を有する規則性の高い秩序構造を有し、柱状構造よりも等方相への転移温度が高く安定であり、液晶材料として有用である。また、本発明で得られたフラーレン誘導体は、たとえば、空気中で安定であることから、電子伝導材料や、光機能材料として用いることができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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