TOP > 国内特許検索 > 表面に微小金属塊が整列した基板の製法 > 明細書

明細書 :表面に微小金属塊が整列した基板の製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5313664号 (P5313664)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発行日 平成25年10月9日(2013.10.9)
発明の名称または考案の名称 表面に微小金属塊が整列した基板の製法
国際特許分類 B82B   3/00        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI B82B 3/00
B22F 9/24 E
B82Y 40/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2008-512059 (P2008-512059)
出願日 平成19年4月4日(2007.4.4)
国際出願番号 PCT/JP2007/057565
国際公開番号 WO2007/122998
国際公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
優先権出願番号 2006115562
優先日 平成18年4月19日(2006.4.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年12月28日(2009.12.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】渡辺 茂
【氏名】李 晶澤
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】山口 剛
参考文献・文献 特開2006-088310(JP,A)
特表2004-500226(JP,A)
特開2001-151834(JP,A)
特開2003-318010(JP,A)
特開2004-124088(JP,A)
特開2006-273890(JP,A)
Joachim P. Spats、Arno Roescher、Martin Moeller,"Gold Nanoparticles in Micellar Poly(styrene)-b-Poly(ethylene oxide) Films - Size and Interparticle Distance Control in Monoparticulate Films",Advanced Materials,ドイツ,Wiley-VCH,1996年,Vol.8,No.4,pp.337-340
藤原隆太郎、羽田正紀、吉田勝平、小川慶子、時盛ひとみ、彌田智一、渡辺茂,"両親媒性ブロック共重合体薄膜のナノシリンダー相分離構造を利用した金ナノ粒子の二次元配列",日本化学会第85春季年会講演予稿集II,日本,日本化学会,2005年 3月26日,p.1442 1Pa-038
渡辺茂、藤原隆太郎、羽田正紀、岡崎由香、彌田智一,"両親媒性ブロック共重合体のナノ相分離構造を利用した金ナノ粒子の指向性自己組織化",2006年春季第53回応用物理学関係連合講演会予稿集,日本,応用物理学会,2006年 3月22日,第3分冊,p.1300 24p-N-6
調査した分野 B82B 1/00- 3/00
B82Y 5/00-99/00
B32B 3/10- 3/24
JST7580(JDreamIII)
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)(a)基板上に両親媒性ブロック共重合体及び金属イオンを含む溶液をキャストする段階、又は(b)基板上に両親媒性ブロック共重合体のミクロ相分離膜を作製後、該膜を金属イオンを含む溶液に接触させる段階、(2)該基板を乾燥させることにより、親水性部分に金属イオンが局在したミクロ相分離膜を形成する段階、及び(3)該ミクロ相分離膜の還元処理及び該ミクロ相分離膜を含む有機物の除去処理を行なう段階から成る、その表面上に径が3~15nmの略円柱状若しくは略球状又はこれらを組み合わせた形状の、但し、該円柱は該表面に対して略垂直方向に配向する、0価の金属塊を10~50nmの間隔で多数有する表面に微小金属塊が整列した基板の製法。
【請求項2】
(1)(a)基板上に両親媒性ブロック共重合体及び金属イオンを含む溶液をキャストする段階であって、両親媒性ブロック共重合体及び金属イオンを含む溶液が、溶媒に両親媒性ブロック共重合体を溶解させ、かつ該金属の塩を溶解又は分散させた溶液である段階、又は(b)基板上に両親媒性ブロック共重合体のミクロ相分離膜を作製後、該膜を金属イオンを含む溶液に接触させる段階であって、該金属イオンを含む溶液が、溶媒に前記金属の塩を溶解又は分散させた溶液である段階、(2)該基板を乾燥させることにより、親水性部分に金属イオンが局在したミクロ相分離膜を形成する段階、及び(3)該ミクロ相分離膜の還元処理及び該ミクロ相分離膜を含む有機物の除去処理を行なう段階から成る、その表面上に径が3~15nmの略円柱状若しくは略球状又はこれらを組み合わせた形状の、但し、該円柱は該表面に対して略垂直方向に配向する、0価の金属塊を10~50nmの間隔で多数有する表面に微小金属塊が整列した基板の製法。


【請求項3】
前記金属が銅族金属又は白金族遷移金属である請求項1又は2に記載の製法。
【請求項4】
前記ミクロ相分離膜の還元処理及び前記ミクロ相分離膜を含む有機物の除去処理が、紫外線又は電子線照射、プラズマ処理、化学的還元法、又は電気化学的還元法により行なわれる請求項1~3のいずれか一項に記載の製法。
【請求項5】
前記両親媒性ブロック共重合体が下記一般式(1)で表される請求項1~4のいずれか一項に記載の製法。
一般式(1):CH3(OCH2CH2)mOCOC(CH3)2(CH2C(CH3)COOR))n-X
(式中、m及びnは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5~500の整数であり、Rは、下記一般式(2)又は(3)で表される置換基であり、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(2):-CH2(CH2)CH2O-B-N=N-B-R1
(式中、aは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
一般式(3):-CH2(CH2)CH2O-B-CH=CH-B-R2
(式中、bは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、表面に大きさや形状の制御された微小金属塊が整列した基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒径が数nm~数十nmの金属ナノ粒子は、量子サイズ効果によってバルクでは見られない特異な物理的・化学的性質を有している。このような金属ナノ粒子を規則正しく配列させると、粒子単独では得られない集合体としての新たな機能が発現し、ナノ光アンテナをはじめナノ光回路などプラズモニクス素子への応用が期待される。すなわち、大きさや形状の制御された金属ナノ構造体を作製し、組織化させる技術は、ナノエレクトロニクスやプラズモニクス分野の基盤技術である。
こうした微細構造体の作製技術としては、フォトリソグラフィー、電子線露光、X線露光などの半導体加工技術によってトップダウン的にナノ構造体を作製する方法と金属ナノ粒子の自己組織化法(特許文献1、非特許文献1)や有機・無機材料が自発的に形成する規則構造を鋳型とするテンプレート法などボトムアップ的作製技術がある。後者の例では、陽極酸化アルミナ(特許文献2、非特許文献2、3)、アモルファス炭素薄膜(非特許文献4)、塩化ナトリウム単結晶(特許文献3、非特許文献5)、生体高分子(非特許文献6、7参照)などを鋳型に用いる方法が報告されている。
【0003】

【特許文献1】特開2005-225887
【特許文献2】特開2005-195440
【特許文献3】特開2004-098246
【非特許文献1】Adv. Mater. 2001, 13, 1699-1701.
【非特許文献2】Chem. Eur. J. 1997, 3, 1951-1956.
【非特許文献3】Chem. Lett. 2005, 34, 508-509.
【非特許文献4】Chem. Commun. 1999, 2355-2356.
【非特許文献5】J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 4210-4211.
【非特許文献6】J. E. Adv. Mater. 2001, 13, 109-113.
【非特許文献7】Angew. Chem Int. Ed. 2002, 38, 1034-1054.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デカナノ領域のサイズを有する金属塊を基板上に整列させた金属ナノ構造体を、半導体加工技術などトップダウン的微細加工技術を用いて安価に生産することはきわめて困難である。一方、分子や粒子を集積化させるボトムアップ的作製技術は、このような構造体を安価かつ大量に作製できるなど製造コストにおいて有利である。しかし、無機系テンプレートは、その作製及び利用後の分解除去が容易ではなく、汎用性に優れる有機系テンプレートも、しばしば構造のみだれや欠陥が発生するなど信頼性に欠ける。信頼性の高い有機系テンプレートを利用した工業的な製造技術の開発が急務である。
本発明は、大きさや形状の制御された0価の金属塊を基板表面に整列させた金属ナノ構造体及びその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者のグループが開発した両親媒性ブロック共重合体から形成させたミクロ相分離膜(特開2004-124088)は、その膜内に膜の表面と垂直方向に、親水性の微小径のシリンダーを多数有する形態をとることができる。本発明者らは、両親媒性ブロック共重合体と所望の金属イオンを含有する溶液を用いて成膜するか、又は両親媒性ブロック共重合体のミクロ相分離膜を作製後、金属イオンを含む溶液に接触させることにより、ミクロ相分離膜の親水性の微小径のシリンダーに金属イオンが局在化することを見出した。このようにして作製されたミクロ相分離膜の還元処理及び該ミクロ相分離膜を含む有機物の除去処理を行なうと、親水性の微小径のシリンダーに局在していた金属イオンは還元され、ミクロ相分離膜が除去されて、基板上にドットやシリンダー状の0価の金属塊が形成される(後記の実施例を参照されたい。)。このようにして、本発明者らは、基板上に、略円柱状若しくは略球状又はこれらを組み合わせた形状の、但し、該円柱は該表面に対して略垂直方向に配向する、0価の金属塊が一定間隔で多数整列した基板を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、基板上に両親媒性ブロック共重合体及び金属イオンを含む溶液をキャストする段階、又は基板上に両親媒性ブロック共重合体のミクロ相分離膜を作製後、該膜を金属イオンを含む溶液に接触させる段階、該基板を乾燥させることにより、親水性部分に金属イオンが局在したミクロ相分離膜を形成する段階、及び該ミクロ相分離膜の還元処理及び該ミクロ相分離膜を含む有機物の除去処理を行なう段階から成る、その表面上に径が3~15nmの略円柱状若しくは略球状又はこれらを組み合わせた形状の、但し、該円柱は該表面に対して略垂直方向に配向する、0価の金属塊を10~50nmの間隔で多数有する表面に微小金属塊が整列した基板の製法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属ナノ構造体作成フィルムは、材質や形状を選ぶことなく任意の基板上に広範な領域にわたって金属ナノドット・ナノシリンダーを形成することが可能となり、ナノエレクトロニクスやプラズモニクスを支える基盤材料及び基盤技術を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いるミクロ相分離膜は、その膜内に膜の表面と垂直方向に、径が3~15nmの略円形の親水性のシリンダーを10~50nmの間隔で多数有し、親水性部分に金属イオンが局在した両親媒性ブロック共重合体から成る。
この両親媒性ブロック共重合体は、親水性ポリマー成分(A)及び疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記親水性ポリマー成分(A)及び前記疎水性ポリマー成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下であることが好ましい。
この親水性成分と疎水性成分との量的関係から、親水性成分が島状領域(略円柱形のドメイン)を構成し、疎水性成分が海状領域を構成する構造をとるものと考えられる。形成される膜の厚さは、通常50nm~1μm程度である。
【0009】
分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値をいう。
上記ブロック共重合体の分子量は、好ましくは5000~100000、より好ましくは10000~50000である。
【0010】
上記親水性ポリマー成分(A)としては、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、オリゴ(エチレンオキシド)やクラウンエーテルやクリプタンド又は糖鎖を側鎖に有するポリ(メタクリレート)又はポリ(アクリレート)等が挙げられる。
また、上記疎水性ポリマー成分(B)としては、例えば、メソゲン側鎖、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖を有する、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(スチレン)、ビニルポリマー等が挙げられる。メソゲン側鎖とは液晶性分子などの配向性の強い分子鎖をいう。
【0011】
この両親媒性ブロック共重合体は下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1): CH3(OCH2CH2)mOCOC(CH3)2(CH2C(CH3)COOR))n-X
(式中、m及びnは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5~500の整数であり、Rは、下記一般式(2)又は(3)で表される置換基であり、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(2):-CH2(CH2)CH2O-B-N=N-B-R1
(式中、aは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
一般式(3):-CH2(CH2)CH2O-B-CH=CH-B-R2
(式中、bは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
【0012】
本発明で用いる金属イオンに特に制限はないが、好ましくは銅族金属や白金族金属のイオンを用いることができる。銅族金属としては、Ag、Auが挙げられ、白金族金属としては、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osが挙げられる。これらは一種又はそれらの混合物であってもよい。これら金属イオンはイオン化傾向が小さく化学的に安定で還元されやすいため、本願発明の目的に適している。
金属イオンは、金属イオンの前駆体を溶媒に溶解させることにより形成させることができ、前駆体としては金属の塩が好ましく用いられる。
このような金属塩の例を以下に挙げる。
【0013】
金塩としては、Au、Au3+、又はAu4+を含むものが挙げられ、AuIX、AuIIIX3、M[AuIVX6](式中、Xは陰イオン:Cl-、CN-、Mは一価の陽イオン: Na+、K+、H+を表す。)で表されるものを用いることができ、例えば、AuCN、AuCl3、HAuCl6、NaAuCl6、KAuCl6、Au2O3などが挙げられる。
銀塩としては、Agを含むものが挙げられ、AuIX2(式中、Xは陰イオン: F-、Cl-、Br-、I-、CN-、SCN-、NO3-、PF6-、CO3-、ClO4-、SO4-、acac-、CH3CO2-、CF3CO2-、CF3SO3-、O-、O2-、S-、PO43-、IO3-を表す。)で表されるものを用いることができ、例えば、AgF、AgCl、AgBr、AgI、AgCN、AgSCN、AgNO3、AgPF6、Ag2CO3、AgClO4、Ag2SO4、acacAg、CH3CO2Ag、CF3CO2Ag、CF3SO3Ag、AgO、Ag2O、Ag2S、Ag3PO4、AgIO3、AgSbF6、AgAsF8、Ag8W4O16などが挙げられる。
【0014】
白金塩としては、Pt2+、Pt3+、又はPt4+を含むものが挙げられ、PtX2、PtX3、PtX4、[PtA6]X2、MI2[PtX4]、MI2[PtX2Y2]、MI[PtX3Y]、MI[PtX2Y2]、MI2[PtX6](式中、X及びYは、いずれもF-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、N3-、CH3COO-、SCN-、アセチルアセトナート、1/2SO42-、1/2CO32-等の陰イオンであり、MIは、K、Na又はH等の一価の陽イオンであり、Aは、NH3又はアミン類である)で表されるものを用いることができ、例えば、PtCl2、PtBr2、PtI2、Pt(CN)2、Pt(SCN)2、PtCl3、PtBr3、PtI3、PtF4、PtCl4、PtBr4、PtI4、K2[PtCl2(acac)2]、H2PtCl6などが挙げられる。
ルテニウム塩としては、Ru2+、Ru3+又はRu4+を含むもので、RuX2、RuX3、RuX4、[RuX6]MI3、MI[RuX4](式中、Xは、Cl、Br等のハロゲン、NO3-、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、Cs又はH等の一価の陽イオンである)で表されるものを用いることができ、例えば、RuCl3、(NH4)2RuCl6、Ru(SO4)2、RuS2、RuO2、RuO4、Na2RuO4、K2RuO4等が挙げられる。
【0015】
イリジウム塩としては、Ir+、Ir2+、Ir3+又はIr4+を含むもので、IrX、IrX2、IrX3、IrX4、[IrX6]MI3、MI[IrX4](式中、Xは、Cl、Br等のハロゲン、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、Cs又はH等の一価の陽イオンである。)で表されるものを用いることができ、例えば、KIr(SO4)2、RbIr(SO4)2、CsIr(SO4)2等が挙げられる。
パラジウム塩としては、Pd2+を含むもので、通常Pd-Z2(式中、Zは、Cl、Br、I等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩である。) で表されるものを用いることができ、例えば、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdSO4、Pd(NO3)2、PdO等が挙げられる。
【0016】
オスミウム塩としては、Os+、Os2+、Os3+又はOs4+を含むもので、OsX、OsX2、OsX3、OsX4、[OsX6]MI3、MI[OsX4](式中、Xは、Cl、Br等のハロゲン、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、Cs又はH等の一価の陽イオンである)で表されるものを用いることができ、例えば、OsBr4、OsO4、OsCl4、KOs(SO4)2、RbOs(SO4)2、CsOs(SO4)2等が挙げられる。
ロジウム塩としては、Rh3+を含むもので、RhX3、Rh2X6、[RhA6]X3、MI3[RhX6]、MI[RhX4](式中、Xは、F、Cl等のハロゲン、CN、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na又はH等の一価陽イオンであり、Aは、NH3又はアミン類である。)で表されるものを用いることができ、例えば、Rh2O3、RhO2、Rh2(SO4)3、Rh(OH)3、Rh(NO3)3、RhCl3、RhF3、RhCN3、KRh(SO4)2、Na2RhCl4、NaRh(SO4)2、HRh(SO4)2等が挙げられる。
【0017】
次に、本発明の表面に微小金属塊が整列した基板の製法を記す。二つの方法で作製ができる。
通常、ミクロ相分離膜を作成するためには、上記の両親媒性ブロック共重合体を溶媒に溶解して成膜するだけであるが、この方法に於ては、上記の金属イオンの前駆体を溶媒に溶解させて、両親媒性ブロック共重合体と金属イオンとが溶媒に溶解した溶液を用いて、成膜する。
【0018】
別法として、基板上に両親媒性ブロック共重合体の溶液を用いて成膜し、ミクロ相分離膜を作成する。この膜を、例えば、140℃で24時間、真空下でアニーリングし、高規則性のナノ相分離膜を作製する。この膜を金属塩溶液に含浸させることにより、親水性のシリンダー部分に金属イオンが局在化したミクロ相分離膜が作製される。
金属塩を溶解又は分散させることができる溶剤としては、水やアセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジグリム、ヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性極性溶媒、その他、ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくは水や水を混合したアルコールやケトンのような親水性有機溶剤を用いる。
この溶液には、必要に応じて、ポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルピロリドン(PVP)などを添加してもよい。
金属塩の濃度は、通常0.001%~塩の飽和溶液までが用いられる。溶剤が水の場合、好ましくは0.01~20%、より好ましくは0.1~5%が用いられる。
【0019】
ブロック共重合体に対する金属イオンの量は、ブロック共重合体のポリエチレンオキシド鎖を構成するエチレンオキシドモノマー(EO)に対する金属イオン(M)のモル比(EO/M)が、1~1000、好ましくは100~500となるように設定する。この比がこの範囲内であれば、ドットあるいはピラーが好適に形成される。
【0020】
次に、この溶液を用いて成膜する。本発明の両親媒性ブロック共重合体を用いると、自己集合的に親水性ドメインと疎水性ドメインが分離するので、溶液中で自己集合させたり又は加温することにより、自己集合による配置を促進することが好ましい。
具体的には、基板に両親媒性ブロック共重合体を含む溶液を滴下して成膜したり、又は型にこの溶液を注入することにより成膜することができる。具体的な成膜方法として、スピンコート法、キャスト法、バーコート法、マイクログラビア法などを用いることができる。
基板としては、平滑性の高いものが好ましく、例えば、雲母板、シリコンウエハなどを用いることができる。
塗布後、以下の条件で膜を処理する。室温で常圧下、又は減圧下、溶媒除去する。更に、常圧下、好ましくは減圧下、等方点温度プラス10℃以下の温度で数時間以上(通常1~2日)アニーリングすることにより、より規則性の高いナノ相分離膜を作製することができる。
一般式(1)の両親媒性ブロック共重合体を用いる場合には、厚さが50nm~1μm程度で面積が数m程度の膜又はフィルムを得ることができる。この様子を図2に示す。
【0021】
その結果、ミクロ相分離膜のシリンダー部分(親水性領域)に、金属イオンが局在化する。これは、ファンデアワールス力、双極子-双極子相互作用、静電引力などの非共有結合によるものである。この結合力は弱いものであるため、例えば分散液の濃度をあまり高くすると、金属イオンが親水性シリンダー領域に選択的に結合しなくなる場合があるので、所望の占有率(島領域に金属イオンが結合する割合)を得ることができるように金属イオンの濃度を適宜調整することが好ましい。その他の条件(浸漬時間、温度、回転数等)に関しても同様の配慮が好ましい。
【0022】
次に、上記のようにして得られたミクロ相分離膜を取り出して基板に積層してもよい。この基板として、オゾン(O)によって酸化されにくいものが好ましく、例えば、シリコンウエハ、ガラス、金属などの基板を用いることができる。上記の方法において適当な基板を用いているのであればこの操作を省略してもよい。
【0023】
次に、ミクロ相分離膜のシリンダーに局在する金属イオンを還元し、このミクロ相分離膜を含む有機物の除去する。この還元処理と有機物の除去処理とは、一段階処理により行なうことが好ましいが、複数段階の処理を組みあわせて行なってもよい。
この処理として紫外線又は電子線照射、プラズマ処理、化学的還元法、又は電気化学的還元法が挙げられる、これらの中で紫外線照射、特に真空紫外線照射が好ましい。以下その例を説明する。
【0024】
(1)紫外線照射
常圧に置かれた試料(金属イオンを含むミクロ相分離膜)に紫外線(波長:約1~400nm)を照射することで、膜中の金属イオンが励起され、周辺の膜成分によって還元される。
紫外線としては、還元処理と有機物の除去処理とが一段階で行なうことができるため、真空紫外光(波長:約200nm以下)を用いることが好ましい。真空紫外光によって励起され金属陽イオンが酸化力を増した結果、周辺部の膜成分より電子を受け取り還元されるか、真空紫外光照射下膜が分解し、その分解生成物より電子を受け取り、0価の金属塊になるものと考えられる。この光源としては、好ましくはエキシマランプ又はエキシマレーザーを用いることができ、その波長範囲は170~260nm程度である。
被照射物と光源とは、常圧又は真空(120-1200Pa)状態に置かれ、また真空紫外光の照射により、ミクロ相分離膜を含む有機物が除去される。有機物又はその分解物は気化するので、その真空度を120-1200Pa程度に保つように、1~100 l/minで排気することが好ましい。
【0025】
波長が200~400nmの紫外線を用いる場合には、同様に金属イオンは還元されるが、有機物を除去するエッチング処理を別途行なう必要がある。このようなエッチング処理として、例えば、紫外線照射後、ミクロ相分離膜を水あるいはエタノール、トルエン、塩化メチレンなどの溶剤を用いて膜を溶出する。この場合、紫外光源としては、高圧水銀灯やキセノンランプ等を用いることができる。
【0026】
(2)電子線照射
常圧(窒素などの不活性ガス雰囲気下)又は真空状態に置かれた試料(金属イオンを含むミクロ相分離膜)に低加速電圧(75 kV以下)の電子線を照射すると金属イオンや膜成分との相互作用(電離・励起)により、金属イオンの還元及び膜の分解が進み、基板上にドットやピラーが形成される。
【0027】
(3)プラズマ処理
試料(金属イオンを含むミクロ相分離膜)を設置した減圧された反応室内にO2、N2、H2、CF4、CHF3、BCl3、SiCl3、SF6などの反応ガスを導入し、高周波電界を加えるなどしてプラズマを発生させる。反応ガスは、プラズマ中の電子の非弾性衝突によって、励起、解離、あるいは電離され活性化され、生じたラジカルやイオンなどが試料に達し、試料内を拡散することで金属イオンは還元されドットやピラーが形成される。同時に、膜は揮発性の高い反応生成物となって飛散する。
プラズマ源としては、平行平板型、二周波を用いた平行平板型、マグネトロン型、電子サイクロトロンプラズマ(ECR)、誘導結合プラズマ(ICP)及び表面波プラズマ(SWP)型等がある。
また、活性イオンを積極的に発生させ利用する反応性イオンビーム(RIB)、収束イオンビーム(FIB)法も有用である。
【0028】
(4)化学的還元法
金属イオンを含むミクロ相分離膜を室温で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、あるいはチオシアン酸ナトリウム(NaSCN)などの還元剤の溶液に浸漬する。これら還元剤が膜の親水部に浸透し、親水部内にある金属イオンが還元される。その後、膜は徐々に溶出され基板上にドットやピラーが形成される。
【0029】
(5)電気化学的還元法
陰極上に金属イオンを含むミクロ相分離膜を成膜した後、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩、及びテトラアルキルアンモニウムの塩などの印加電位で電気分解を起こさない導電性塩を溶解させた電解液中で電界を印加する。ミクロ相分離膜内の金属イオンは還元され電極上にドットやピラーが形成される。
【0030】
また、上記のように金属イオンの前駆体には、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、N3-、SCN-、SO42-、CO32-、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の無機アニオンやK+、Na+、Rb+、Cs+、NH4+などの無機カチオンが含まれる場合もあるが、これらは有機物除去工程で、揮発性の高い化合物に変化して自然と飛散したり、還元液に溶解したりして除去されると考えられるが、基盤上に残った場合には、その後の洗浄プロセスで除去すればよい。
【0031】
その結果、図1に示すように、基板上のミクロ相分離膜のシリンダー部分に相当する場所に、0価の金属のみが残る。残った金属塊の形状は、ミクロ相分離膜中の親水性シリンダーと同じ形状、又はミクロ相分離膜の分解除去に伴ってこの形状が収縮又は変形した形状となる。またこの形状は、シリンダー部分に存在する金属の濃度によっても異なり、濃度が高い場合には円柱状(シリンダー状)、また濃度が低い場合には球状(ドット状)になるものと考えられる。
その結果、表面上に径が3~15nmの略円柱状若しくは略球状又はこれらを組み合わせた形状の、但し、該円柱は該表面に対して略垂直方向に配向する、0価の金属塊を10~50nmの間隔で多数有する表面に微小金属塊が整列した基板を得ることができる。
【0032】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
製造例1
親水性高分子鎖として重合度(m)が114のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテル(分子量5000)を用いて、疎水性と液晶性を有する含アゾベンゼンメタクリレートとをブロック共重合させ、重合度(n)51の両親媒性ブロック共重合体を合成した。合成は、銅錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により行った。
得られた両親媒性ブロック共重合体は下記一般式(化1)で表される。
【化1】
JP0005313664B2_000002t.gif
得られた共重合体の数平均分子量は30000、Mw/Mn=1.23、ポリメタクリレート(MA)含量は83重量%、融点は120℃であった(以下「PEO114-b-PMA(Az)51」という)。
【0033】
製造例2
製造例1と同様にして、親水性高分子鎖として重合度(m)が272のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテル(分子量12000)を用いて、疎水性と液晶性を有する含アゾベンゼンメタクリレートとをブロック共重合させ、重合度(n)74の両親媒性ブロック共重合体を合成した。合成は、銅錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により行った。
得られた共重合体の数平均分子量は48400、Mw/Mn=1.10、ポリメタクリレート(MA)含量は75重量%、融点は約120℃であった(以下「PEO272-b-PMA(Az)74」という)。
【0034】
製造例3
100mlの共通摺合せナスフラスコにMA(11Az4) 7.38g(15mmol)と重合開始剤としてPEO272-BMP 1.716g(0.143mmol)とフッ素樹脂製攪拌子を投入し、サンプル瓶に入れたCu(I)Cl 63.7mg(0.643mmol)と共にバキュームグローボックス入り口で窒素ガスによる置換と脱気を3回繰り返しグローボックスに入れる。ボックスの中で脱気したアニソール50ml([M0]=0.25M)を量りとる。サンプル瓶中のCu(I)Clにマイクロシリンジで脱気したHMTETA 174.7μl(148.0mg、0.643mmol)を加えこの中に量ったアニソールから少量を入れ溶解させてうす緑色の銅錯体を形成させる。この銅錯体溶液と残りのアニソールをナスフラスコに入れ、摺合せに真空グリースを塗り、共通摺合せ平栓で密閉する。グローボックスからナスフラスコを取り出し、80℃で数十時間重合を行った。
ナスフラスコの平栓を開け、空気にさらすことで錯体を失活させ重合を終了させ、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた固体をクロロホルム約50mlに溶解し、500ml分液ロートを使い1N HCl 200mlで4回分液し銅錯体の除去を行った。次に5% NaHCO3で4回分液を行い溶液の中和と銅錯体除去の確認を行った。最後に飽和食塩水(BRAIN) 200mlで1回分液し溶液内の水分を取り除いた。分液の終わったクロロホルム溶液は100mlビーカーに取り、硫酸マグネシウムを加え1時間放置し乾燥させる。乾燥させたクロロホルム溶液をろ過し、硫酸マグネシウムを取り除いた。その際、硫酸マグネシウムは白っぽくなるまでクロロホルムで洗浄し、ろ液はエバポレーターを用い溶媒を留去した。得られた白色個体を沸騰ヘキサンで洗浄し、未反応のモノマーを除去した。沸騰ヘキサンによる洗浄操作はGPC測定を行い、モノマーに由来するピークが消失するまで繰り返し後、デシケーターで乾燥して両親媒性ブロック共重合体を得た。得られた共重合体の数平均分子量は62200、Mw/Mn=1.10、ポリメタクリレート(MA)含量は75重量%、融点は約120℃であった(以下「PEO272-b-PMA(Az)102」という)。
【0035】
製造例4
100mlの共通摺合せナスフラスコにMA(11Stb4) 491mg(10mmol)と重合開始剤としてPEO114-BMP 714.3mg(0.143mmol)とフッ素樹脂製攪拌子を投入し、サンプル瓶に入れたCu(I)Cl 84.9mg(0.857mmol)と共にバキュームグローボックス入り口で窒素ガスによる置換と脱気を3回繰り返しグローボックスに入れる。ボックスの中で脱気したアニソール40ml([M0]=0.25M)を量りとる。サンプル瓶中のCu(I)Clにマイクロシリンジで脱気したHMTETA 233μl(197mg、0,857mmol)を加えこの中に量ったアニソールから少量を入れ溶解させてうす緑色の銅錯体を形成させる。この銅錯体溶液と残りのアニソールをナスフラスコに入れ、摺合せに真空グリースを塗り、共通摺合せ平栓で密閉する。グローボックスからナスフラスコを取り出し、190℃で60時間重合を行った。
ナスフラスコの平栓を開け、空気にさらすことで錯体を失活させ重合を終了させた。MA(Stb)は常温で溶媒に対しての溶解性が低いため、得られた溶液を40℃位に温め中性アルミナカラム(φ= 30mm,L = 100mm展開溶媒;THF)を用いて銅錯体を除去させ、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた白色個体を沸騰ヘキサンで洗浄し、未反応のモノマーを除去した。沸騰ヘキサンによる洗浄操作はGPC測定を行い、モノマーに由来するピークが消失するまで繰り返し後、デシケーターで乾燥して両親媒性ブロック共重合体(以下「PEO114-b-PMA(Stb)52」という。)を得た(2.36g、収率70%、Mn=30500、Mw/Mn=1.26(GPCより)、モノマー転化率(HNMRより)=54%)。
得られた両親媒性ブロック共重合体は下記一般式(化2)で表される。
【化2】
JP0005313664B2_000003t.gif

【実施例1】
【0036】
本実施例では、金イオン(HAuCl4)を用いて、シリコン基板上に0価の金からなるシリンダーを形成させた。
製造例1で得た両親媒性ブロック共重合体(PEO114-b-PMA(Az)51)の3 wt%テトラヒドロフラン溶液(50mg、1820μl)に塩化金酸(HAuCl4)(和光純薬工業)を加え混合液を調整した。このとき金イオンは、ブロック共重合体を構成するエチレンオキシド(EO)に対してEO/Au=120となるよう調整した。
上記で用意した混合溶液をシリンジフィルタ (Whatman 社製、網目 0.45μm)を用いて濾過した後、1cm×2cmのシリコン基板上に100μlを滴下し、スピンコーター(MIKASA社製、1H-D7)を用いて回転速度2000 rpmで10 秒間塗布した。
ブロック共重合体を塗布したシリコン基板は、減圧(6.7×10-2Pa)下120℃で24時間アニーリングを行い、ナノ相分離構造を形成させた。アニーリング後、得られたナノ相分離膜を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図3に示す。
金イオンを相互作用させたナノ相分離膜を、室温で減圧(1.2×103 Pa)下、真空紫外光照射装置(ウシオ電機社製、UEM20-172)を用いて172nmの真空紫外光を2mmの照射距離から60分間照射した。照射後、塩化メチレン(和光純薬工業)続いて超純水(18.2MΩ・cm)で洗浄した。FT-IR分光器(日本分光社製、FT/IR-5300)を用いて真空紫外光を照射する前後で基板のIRスペクトルを観察した。その結果を図4に示す。
膜の分解除去後、基板上に形成された金ナノドットを原子間力顕微鏡(AFM)(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図5に示す。周期約30 nm、径10 nm、高さ4 nmのPEO114-b-PMA(Az)51構造を反映した高規則性のAuのナノドットが得られた。
基板表面のX線光電子分光(XPS)測定では、Au4f電子ピークが84 eVに観察された。
これらのデータから、真空紫外光の照射により、発生したオゾンが基板上にある有機物を分解除去するとともに、金イオンが金属金(0価)に還元されたことが分かる。
【実施例2】
【0037】
本実施例では、銀イオン(AgNO3)を用いて、シリコン基板上に0価の銀からなるシリンダーを形成させた。
EO/Agのモル比が20、120になるように製造例1で得たPEO114-b-PMA(Az)51とAgNO3(和光純薬工業)をトルエン中で混合した。この2w/w%トルエン溶液を基板上にスピンコートして約100nm厚の膜を作製した。熱処理(アニーリング)した後、真空紫外光を30分間照射した。結果を図6に示す。
EO/Agのモル比が20では、a)に見られるように、ナノ粒子であり、擬六方晶を示している。粒子サイズは10nm、また高さは3nmであった。EO/Agのモル比が120と薄い場合、b)に見られるように、粒子サイズは6nm、高さは2nmであった。このことは濃度を変えることにより、任意にドットのサイズを制御できることを示している。
石英ガラス上に生成したAg粒子の特性を調べた結果を図7に示す。a)に示すようにUVではPEO114-b-PMA(Az)51に帰属されるピーク(A)は真空紫外光を照射すると無くなり、450nmにAg粒子のプラズモン吸収が見られるようになる(B)。
次に、Agが還元された0価のAgであることを確認するためにXPS測定を行った(b)。結合エネルギーは真空紫外光を照射する前の試料(A)に対し、照射すると幾分増大した(B)。この試料を大気中600℃で熱処理し酸化すると結合エネルギーは低下し元の値になった(C)。このことは真空紫外光の照射により、Ag+が還元されて0価のAgが生成したことを示している。
【実施例3】
【0038】
本実施例では、銀イオン(AgNO3)を用いて、シリコン基板上に0価の銀からなるシリンダーを形成させた。
2w/w%(重量比)(モル比6.6x10-5)で製造例1で得たPEO114-b-PMA(Az)51をトルエンに溶解させ、この溶液を石英やSi(100)上にスピンコートして厚さ約100nmの膜を作製した。その膜を140℃で24時間、真空(25Pa)下で熱処理(アニーリング)した。その膜上に濃度1.0MのAgNO3水溶液を滴下し、室温で30分放置した。その後、蒸留水で洗浄し、真空(100Pa)下で乾燥した。このようにして得た試料に、減圧(50Pa)下で172nmの真空紫外光を30分間照射した。
シリコンを基板に用い、AMFで観察した結果を図8に示す。a)は処理前の膜であり、b)はAg+で処理した膜である。c)はこの膜に真空紫外光を照射した後の位相像であり、d)は高さ像である。このブロックポリマーはa)から周期20nm、PEOシリンダー径は10nmであり、b)からAg+は選択的にPEO部位に配位結合をしており、処理してもその構造は変わっていないことが分かる。真空紫外光を照射した後では、PEO114-b-PMA(Az)51は完全に除かれており(赤外分光器により確認した。)、周期約18nm、粒子径8nm、高さ3nmのPEO114-b-PMA(Az)51構造を反映した高規則性のAg0のナノドットが得られた。
【実施例4】
【0039】
本実施例では、パラジウムイオン(酢酸パラジウム)を用いて、シリコン基板上に0価のパラジウムからなるシリンダーを形成させた。
製造例2で得た両親媒性ブロック共重合体(PEO272-b-PMA(Az)74)の3.0wt%トルエン溶液と酢酸パラジウム(Pd(acac)2)の0.5wt%トルエン溶液を調整し、両溶液を混合し3時間室温で撹拌した。このときパラジウムイオンは、ブロック共重合体を構成するエチレンオキシド(EO)に対してEO/Pd=16.36、5.54、3.27となるように調整した。
次に、減圧(170 Pa)下、真空紫外光照射装置(ウシオ電機社製、UEM20-172)を用いて172 nmの真空紫外光を2 mmの照射距離から90分間照射し、表面を親水化したシリコン基板(フジミファインテクノロジー社製、方位100面、厚み525±25μm)を別途用意した。
上記で用意した混合溶液をシリンジフィルタ(Whatman 社製、網目 0.45μm)を用いて濾過した後、1cm×2cmの親水化シリコン基板上に100μlを滴下し、スピンコーター(MIKASA社製、1H-D7)を用いて回転速度2000 rpmで10 秒間塗布した。ブロック共重合体を塗布したシリコン基板を、減圧(6.7×10-2Pa)下140℃で12時間アニーリングを行った。アニーリング後得られたナノ相分離膜を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図9に示す。このデータから、ナノ相分離構造が形成されていることが分かる。
Pd(acac)2を相互作用させたナノ相分離膜に室温で減圧(170 Pa)下、真空紫外光照射装置(ウシオ電機社製、UEM20-172)を用いて172 nmの真空紫外光を2 mmの照射距離から90分間照射した。膜の分解除去後、塩化メチレン(和光純薬工業)続いて超純水(18.2MΩ・cm)で洗浄し、基板上に形成されたパラジウムナノドットを原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図10に示す。周期約40 nm、 径17 nm、高さ3 nmのPEO272-b-PMA(Az)74構造を反映した高規則性のPdのナノドットが得られた。形成されたピラー(又はドット)の中心間距離は35nmであった。
基板表面のX線光電子分光測定では、Pd4f電子ピークが335 eVに観察された。これらのデータから、真空紫外光の照射により、発生したオゾンで基板上にある有機物を分解除去するとともに、パラジウムイオンが金属パラジウム(0価)に還元されたことが分かる。
【実施例5】
【0040】
製造例3で得た両親媒性ブロック共重合体(PEO272-b-PMA(Az)102)の3 wt%トルエン溶液( 50mg, 1884μl)に塩化金酸(HAuCl4)を加え、EO/Au=200となるように混合液を調整した。また、シリコン基板(フジミファインテクノロジー社製、方位100面、厚み525±25μm)を別途用意し、混合溶液をシリンジフィルタ (Whatman 社製、網目 0.45μm)を用いて濾過した後、1 cm×2 cmのシリコン基板上に100μlを滴下し、スピンコーター(MIKASA社製、1H-D7)を用いて回転速度2000 rpmで10 秒間塗布した。ブロック共重合体を塗布したシリコン基板は、減圧下140℃で24時間アニーリングを行い、ナノ相分離構造を形成させた。
次に、0.1M 水素化ホウ素ナトリウ水溶液(NaBH4)にこの金イオンを相互作用させたナノ相分離膜を数十秒間浸漬させ金イオンの還元および膜の除去を行った。
得られたナノ相分離膜を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図11に示す。a)は、金イオンをドーピングしたナノ相分離膜、b)は、水素化ホウ素ナトリウ水溶液に60秒間曝露した後の膜を示す。
更に、水素化ホウ素ナトリウ水溶液に60秒間曝露後、透過型伝電子顕微鏡(日立社製、Hitachi H-800)を用いて観察した結果を図12に示す。黒く見える金属金が六方晶状に広がっており、その間隔はテンプレートとして利用したナノ相分離膜(PEO272-b-PMA(Az)102)のシリンダー周期dPEO = 38 nmとよく一致しており、PEOシリンダー内部に取り込まれた金イオンが、シリンダー内で金属金に還元されていることを示している。
また、残存ブロック共重合体について、エキシマVUV/O3洗浄装置(ウシオ電機社製、UEM20-172)を用いて完全に除去した。膜の除去後の原子間力顕微鏡像を図11cに示す。両親媒性ブロック共重合体(PEO272-b-PMA(Az)102)の構造を反映した高規則性のAuのナノドットが得られたことがわかる。
【実施例6】
【0041】
製造例4で得た両親媒性ブロック共重合体(PEO114-b-PMA(Stb)52)の2 wt%トルエン溶液(50mg, 2826μl)に塩化金酸(HAuCl4)を加え、EO/Au=200となるように混合液を調整した。混合溶液をシリンジフィルタ (Whatman 社製、網目 0.45μm)を用いて濾過した後、1 cm×2 cmの親水化シリコン基板上に100μlを滴下し、スピンコーター(MIKASA社製、1H-D7)を用いて回転速度2000 rpmで10 秒間塗布した。ブロック共重合体を塗布したシリコン基板は、減圧下190℃で2時間アニーリングを行い、ナノ相分離構造を形成させた。アニーリング後、得られたナノ相分離膜を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図13aに示す。
次に、金イオンを相互作用させたナノ相分離膜に室温で減圧(1.2×103 Pa)下、真空紫外光照射装置(ウシオ電機社製、UEM20-172)を用いて172 nmの真空紫外光を20 mmの照射距離から60分間照射し、照射中に発生したオゾンで基板上にある有機物を分解除去するとともに金イオンを金属金に還元した。FT-IR分光器(日本分光社製、FT/IR-5300)を用いて真空紫外光を照射する前後で基板のIRスペクトルを観察した。その結果を図14に示す。また基板表面のX線光電子分光測定結果を図15に示す。Au4f電子ピークが84 eVに観察された。これらのデータから、真空紫外光の照射により、発生したオゾンが基板上にある有機物を分解除去するとともに、金イオンが金属金(0価)に還元されたことが分かる。
膜の分解除去後、基板上に形成された金ナノドットを原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ 社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図13bに示す。両親媒性ブロック共重合体(PEO114-b-PMA(Stb)52)の構造を反映した高規則性のAuのナノドットが得られたことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の表面に微小金属塊が整列した基板の作成方法を示す図である。
【図2】ミクロ相分離膜形成の様子を示す図である。
【図3】金イオンを結合させたミクロ相分離膜のAFM形状像を示す図である。
【図4】真空紫外光の照射前と照射後のFT-IRスペクトルを示す図である。
【図5】シリコン基板に形成した金ナノドットのAFM形状像を示す図である。
【図6】作成したAgナノドットのAFM形状像を示す図である。aは、EO/Agのモル比が20、bは、EO/Agのモル比が120のものを示す。
【図7】石英ガラス基板に形成したAgナノドットUVスペクトル(a)とXPSスペクトル(b)を示す図である。a) (A)Ag+で処理した膜、(B)真空紫外光の照射後の試料を示し、b) A)Ag+で処理した膜、(B)真空紫外光の照射後の試料、(C)600℃で酸化した試料を示す。
【図8】AgナノドットのAFM形状像を示す図である。a)は、処理前の膜、b)はAg+で処理後の膜、c)は真空紫外光の照射後の位相像、d)は高さ像を示す。
【図9】両親媒性ブロック共重合体(PEO272-b-PMA(Az)74)内にパラジムイオンを相互作用させたナノ相分離膜のAFM高さ像を示す図である。(a)はEO/Pd=16.36、(b)はEO/Pd=5.54、(c)はEO/Pd=3.27である。
【図10】シリコン基板上に形成されたパラジウムナノドットのAFM高さ像を示す図である。
【図11】実施例5で作成したミクロ相分離膜のAFM形状像を示す図である。
【図12】実施例5のナノ相分離膜の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図13】実施例6で作成したミクロ相分離膜のAFM形状像を示す図である。
【図14】実施例6のナノ相分離膜の真空紫外光照射前と照射後のFT-IRスペクトル変化を示す図である。
【図15】実施例6の金ナノドットのX線電子分光スペクトルである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14