TOP > 国内特許検索 > 側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置 > 明細書

明細書 :側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2008-542183 (P2008-542183A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成20年11月27日(2008.11.27)
特許番号 特許第5570116号 (P5570116)
登録日 平成26年7月4日(2014.7.4)
発行日 平成26年8月13日(2014.8.13)
発明の名称または考案の名称 側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置
国際特許分類 C30B  29/38        (2006.01)
C30B  25/04        (2006.01)
FI C30B 29/38 D
C30B 25/04
請求項の数または発明の数 18
全頁数 17
出願番号 特願2008-514784 (P2008-514784)
出願日 平成18年5月31日(2006.5.31)
国際出願番号 PCT/US2006/020996
国際公開番号 WO2006/130623
国際公開日 平成18年12月7日(2006.12.7)
優先権出願番号 60/685,952
優先日 平成17年5月31日(2005.5.31)
優先権主張国 アメリカ合衆国(US)
審査請求日 平成21年5月19日(2009.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】ビルゲ・エム・イメル
【氏名】ジェームス・エス・スペック
【氏名】スティーブン・ピー・デンバース
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】田中 則充
参考文献・文献 特開2001-185493(JP,A)
特開平11-312825(JP,A)
調査した分野 C30B1/00-35/00
特許請求の範囲 【請求項1】
性III族窒化物材料における貫通転位密度を低減する方法であって、
(a)パターニングされたマスク内の1つ以上の開口を通してエッチングされたテンプレート材料の側壁から、該開口の上および該パターニングされたマスクの上の領域に半極性III族窒化物膜を形成するための成長条件であって、
(i)前記半極性III族窒化物膜の上面は半極性面であり、
(ii)前記開口および前記パターニングされたマスクの上の領域は、貫通転位密度がわずか107 cm-2、積層欠陥密度がわずか104cm-1である成長条件の下、III族窒化物材料の選択横方向エピタキシャル成長を行い、
(b)
(1)前記テンプレート材料上に前記パターニングされたマスクを形成する工程と、
(2)前記テンプレート材料内に、前記側壁を画定する1つ以上の溝または柱を形成するために、パターニングされたマスク内の前記1つ以上の開口を通して前記テンプレート材料をエッチングする工程と、および
(3)前記III族窒化物材料を前記側壁の上部から横方向に、および前記溝の底から垂直に成長する工程と、をさらに備え、
前記溝の底から垂直に成長する前記III族窒化物材料が前記側壁の上部に到達する前に、前記側壁の上部から横方向に成長する前記III族窒化物材料が合体することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記側壁の上部から横方向に成長する前記III族窒化物材料が、前記溝の底から垂直に成長するIII族窒化物材料の成長を妨げ、前記貫通転位密度は前記上面で測定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開口が引き続いて行われる横方向成長工程において平坦な側壁を形成するように配列されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
横方向と垂直方向の成長速度の競合関係を補償するために、前記テンプレート材料が前記開口の寸法に比べて同等か、あるいは該寸法と関連して決定された厚さを持つことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エッチング工程では、前記溝の底から成長する前記III族窒化物材料が前記側壁の上部に到達する前に、前記側壁の上部から横方向に成長する前記III族窒化物材料が合体するように、前記開口の寸法と同等、または該寸法と関連して決定された1つ以上のエッチング深さまでエッチングを行い、前記半極性III族窒化物膜は実質的に無欠陥であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記III族窒化物材料は合体した後、前記開口を通って垂直方向上方に成長し、合体した半極性III族窒化物膜を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記III族窒化物材料は合体した後、前記開口を通って成長し、次いでパターニングされたマスク上を横方向に成長して、窒化ガリウムである前記半極性III族窒化物薄膜を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
従来の単一工程の選択横方向エピタキシャル成長を用いたIII族窒化物材料で得られる転位密度よりも、転位密度を少なくとも1桁低減させる工程を更に備え、前記半極性III族窒化物層の積層欠陥密度がわずか103cm-1、貫通転位密度がわずか106cm-2であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記III族窒化物材料は露出したテンプレート材料の領域からだけ成長し、前記パターニングされたマスク上には成長しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
記III族窒化物材料のガリウム(Ga)面上の成長速度を促進して、前記III族窒化物材料の窒素(N)面上の成長速度を制限することによって、従来の単一工程の選択横方向エピタキシャル成長を用いた窒化物材料で得られる値よりも、積層欠陥密度を少なくとも1桁低減させ、積層欠陥をN面に限定させるという、異方性因子で積層欠陥密度を低減する工程を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基板までエッチングを施すか、または前記溝の底上に付加的なマスクを成膜することによって、前記溝の底からの成長を防止する工程を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法を用いて作製されるデバイス、ウェーハ、基板またはテンプレート。
【請求項13】
エピタキシャル成長の半極性III族窒化物の薄膜、デバイス、或いは基板の中の貫通転位密度を低減する方法であって、該方法が、
パターニングされたマスクを通してエッチングされたテンプレート材料の側壁からエピタキシャル材料を選択横方向エピタキシャル成長させるステップを備え、該ステップが
(1)前記テンプレート材料上に前記パターニングされたマスクを形成する工程と、
(2)前記テンプレート材料内に、側壁と該側壁の上部と1つ以上の底とを備えた1つ以上の溝または柱を形成するために、前記パターニングされたマスクの1つ以上の開口を通して前記テンプレート材料をエッチングする工程と、および
(3)前記1つ以上の底から垂直方向に成長するエピタキシャル材料が前記上部に到達する前に、前記エピタキシャル材料を前記上部から横方向に成長して合体させる工程と、
(4)前記(3)の成長と合体の工程の後に、前記1つ以上の開口を通して前記エピタキシャル材料を垂直方向に上方に成長させる工程と、
(5)前記(3)の成長と合体の工程の後に、前記パターニングされたマスクの上を横方向にエピタキシャル材料を成長させ、半極性III族窒化物連続薄膜からなる横方向成長材料を形成する工程と、を備えており、
上記工程(3)と(5)における成長は横方向成長技術を用いて行うことを特徴とする方法。
【請求項14】
エピタキシャル成長の上面を有する平坦な半極性III族窒化物層であって、
(i)前記上面は半極性面であり
(ii)前記半極性III族窒化物層は、成長したときの貫通転位密度がわずか107cm-2、積層欠陥密度がわずか104cm-1であることを特徴とする層を備える請求項13の方法を用いて作製される半極性III族窒化物デバイス。
【請求項15】
(a)柱、柱の間の溝、および柱の側壁を有するテンプレート材料と、
(b)前記溝にまたがるブリッジ構造を形成する側壁の上の半極性材料と、
(c)前記ブリッジ構造の上に成膜され、柱の上で横方向に広がる半極性層とをさらに備え、前記貫通転位密度は前記上面で測定されることを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
記半極性III族窒化物層は、実質的に無欠陥であることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ブリッジ構造の上に成膜される半極性III族窒化物層は、積層欠陥密度がわずか103cm-1、貫通転位密度がわずか106cm-2であることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
記半極性III族窒化物層は窒化ガリウムであり、前記上面上に半極性III族窒化物光電子または電子デバイス構造が成長または引き続き成長されることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照関係
本出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願の優先権を主張するものである。
ビルゲ・M.イメル(Bilge M. Imer)、ジェームス・S.スペック(James S. Speck)、およびスティーブン・P.デンバース(Steven P. Denbaars)による米国特許仮出願第60/685,952号、2005年5月31日出願、発明の名称「単一工程の側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長を用いた無極性窒化ガリウムの欠陥低減(DEFECT REDUCTION OF NON-POLAR GALLIUM NITRIDE WITH SINGLE-STEP SIDEWALL LATERAL EPITAXIAL OVERGROWTH)」、代理人整理番号30794.135-US-P1(2005-565) ;
この出願は参照として本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
本出願は本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の出願と関係するものである。
【0003】
ビルゲ・M.イメル、ジェームス・S.スペック、およびスティーブン・P.デンバースによる米国特許出願第xx/xxx,xxx号、本出願と同日に出願、発明の名称「有機金属化学気相成膜法(MOCVD)による平坦な無極性{1-100}m面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANARNON-POLAR {1-100}M-PLANEGALLIUM NITRIDE WITH METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION (MOCVD))」、代理人整理番号30794.136-US-U1(2005-566) 、この出願は米国特許法第119条(e)に基づいてつぎの出願の優先権を主張するものである。
【0004】
ビルゲ・M.イメル、ジェームス・S.スペック、およびスティーブン・P.デンバースによる米国特許仮出願第60/685, 908号、2005年5月31日出願、発明の名称「有機金属化学気相成膜法(MOCVD)による平坦な無極性{1-100}m面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANARNON-POLAR {1-100}M-PLANEGALLIUM NITRIDE WITH METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION (MOCVD))」、代理人整理番号30794.136-US-P1(2005-566)、
両出願とも参照として本明細書に組み込まれているものとする。
【背景技術】
【0005】
1.本発明の技術分野
本発明は側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置に関するものである。
2.関連技術の説明
窒化物ガリウム(GaN)とその3元および4元の化合物は、可視光および紫外光の高出力、高性能光電子デバイスおよび電子デバイスの作製における主要な材料候補である。これらのデバイスは通常は薄膜として、分子線エピタキシー法(MBE)、有機金属化学気相成膜法(MOCVD)またはハイドライド気相成長法(HVPE)のような成長技術を用いてエピタキシャルに成長される。基板の選択は、III族窒化物の成長方向を決める上で決定的に重要である。窒化物の成長に対して最も広く用いられる基板のいくつかは、SiC、Al2 3 、およびLiAlO2 を含むものである。これらの基板は色々な結晶方位のものが市販されていて、GaNのa面、m面、またはc面成長を実現する。
【0006】
図1(a)と1(b)は六方晶系GaNの、関心のある結晶学的な方位と面を示す概略図である。具体的には、これらの概略図は六方晶系ウルツ鉱型GaNの、関心のある異なる結晶学的成長方位および面を示し、図1(a)は結晶学的方位a1、a2、a3、c、<10-10>、および<11-20>を示し、図1(b)はa(11-20)面、m(10-10)面、およびr(10-12)面を示す。図1(b)の塗りつぶしパターンは関心のある面を示そうとするものであり、構造中の材料を表そうとするものではない。
【0007】
成長条件(圧力、温度、および前駆体流量)の大きな窓(許容範囲)とその安定性によって、c面GaNを成長することは比較的容易である。それ故に、ほとんど全てのGaNベースのデバイスは極性のあるc軸に沿って成長される。しかしながら、c面成長の結果として、各材料層は層の反対の面に電子と正孔が分離されることになる。更に、隣接する層間の界面の歪が圧電分極を誘起し、更なる電荷分離を引き起こす。分極の結果として起こるバンドの曲がりと電子正孔分離を概略的に示す図2(a)および2(b)はこの効果を示していて、図2(a)はc面量子井戸におけるエネルギー(eV)対深さ(nm)を表す図であって、一方、図2(b)は無極性量子井戸におけるエネルギー(eV)対深さ(nm)を表す図である。
【0008】
このような分極効果は電子と正孔の再結合の起こる確率を低減し、その結果、デバイスの特性は貧弱なものになる。GaN光電子デバイスにおける圧電分極効果を除去するための1つの可能な方法は、デバイスをa{11-20}面およびm{1-100}面のような無極性の面上に成長することである。このような面はGaとNの原子を同数含み、したがって電荷中性である。
【0009】
GaN材料の特性が悪いもうひとつの理由は、格子整合する基板が存在しないことによる欠陥の存在である。GaNのバルク結晶は広くは入手できないので、単純に結晶を切断して、引き続くデバイス再成長のための結晶表面を実現することは出来ない。全てのGaN薄膜は、最初はヘテロエピタキシャルに、即ちGaNとは格子整合しない異種基板上に成長される。
【0010】
デバイス特性を改良するために、GaN薄膜内の転位密度を低減する目的で益々の努力が続けられている。関係のある欠陥の2つの主要なタイプは貫通転位と積層欠陥である。極性のあるc面GaN薄膜における転位と積層欠陥の密度を低減させる主な手段は、(LEO、ELO或いはELOGなどの)単一工程および2工程選択横方向エピタキシャル成長、選択領域エピタキシー、カンチレバーおよびペンデオ・エピタキシーを含む色々な選択横方向成長技術を用いることである。これらのプロセスの基本は、横方向成長を垂直方向成長よりも起こりやすくして、薄膜の表面に垂直な方向への転位の伝播を(マスクを用いて)阻止する、または起こりにくくすることである。このような転位低減技術は、HVPEおよびMOCVDによってc面GaN成長に対して精力的に開発されてきた。
【0011】
本発明は全ての成長技術の中で、無極性a面およびm面GaNの側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)の、初めての成功例である。ここに記述する本発明の前には、a面およびm面GaNのSLEOは実施されたことがない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一般的な目的は、誘電体マスクを通してエッチングされた窒化物材料の側壁を用いた選択横方向成長法を用いて、高品質の(欠陥密度が最小の)無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料を作製することである。この方法は、無極性または半極性III族窒化物テンプレート上にパターニングされたマスクを成膜する工程と、該マスクの開口を通して色々な深さまでテンプレート材料をエッチングする工程と、溝の底から垂直方向に成長する材料が表面に到達する前に、側壁の上部から横方向に成長して合体させることによって無極性または半極性エピタキシャル薄膜を再成長する工程を含むものである。合体した材料はマスクの開口を通って成長し、その後、誘電体マスクの上を横方向に成長して、完全に合体した連続的な薄膜が形成される。
【0013】
r-Al2 3 の上面のa-GaNのような、ヘテロエピタキシャルに成長した、これらの平坦な無極性材料は薄膜中に約1010cm-2の転位密度と(c軸に直交して配向した)3.8×105 cm-1の積層欠陥密度を含んでいる。単一工程の選択横方向エピタキシャル成長を用いることによって、転位密度は約107 ~約109 cm-2に低減でき、積層欠陥は窒素面上だけに局在させることができる。本発明では側壁選択横方向エピタキシャル成長技術を用いることで、横方向成長領域にだけでなく窓領域においても欠陥を除去することによって、転位密度を更に低い値に低減することができる。また、ガリウム(Ga)面成長を促進して窒素(N)面成長を制限することによって、積層欠陥密度を1桁低くすることが出来る。
【0014】
本発明はまた、無極性III族窒化物の方位を利用して分極電界を除去できる。その結果、本発明を利用して作製された材料では長寿命、リーク電流の低減、ドーピング効率の向上および高出力効率などのデバイス特性の改善が可能である。加えて、格子不整合の問題を解決するために必要な厚い無極性および半極性窒化物の自立基板をこの優れた材料上に色々な方法を用いて作製できる。
【0015】
以下、図面を参照し、対応する部分には一貫して同じ参照番号を付与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の好ましい実施形態の説明では、添付の図面を参照する。添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施例を例示するために示す。本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を利用してもよく、構造上の変化を施しても良いことは明らかである。
概要
極性のある[0001]c-方向に(Ga,In,Al,B)N材料を成長すると、主伝導方向に沿って電荷分離を引き起こす分極電界の存在によって光デバイスの特性劣化をまねく。それ故に、最近では、そのような効果を除去してデバイス特性を飛躍的に向上させるために、これらの材料のa-[11-20]およびm-[1-100]方向にそった無極性方向の成長に関する研究が行われている。
【0017】
極性、半極性および無極性III族窒化物材料に共通なもうひとつの問題は、欠陥密度が高いということである。欠陥の中で最も共通的に見られるものは、転位と積層欠陥である。転位は、適当なIII族窒化物基板がないために、ヘテロエピタキシャル成長において格子不整合の結果生じるものである。積層欠陥は、成長中に積層する原子の順番の乱れによって形成されるものであり、例えばa面GaN成長中の側壁の窒素面上に主として生じる。本発明では、Ga面の成長を促進させてN面の成長を制限することによって、これら積層欠陥の存在を最小限にとどめている。
【0018】
直接成長した(Ga,In,Al,B)N材料中の転位密度はきわめて高い。高性能のデバイスは、無極性材料を用いるのと同時に、これら欠陥を低減する、或いは理想的には欠陥を除去することによって実現できる。そのような欠陥の低減はここ数年来、有極性および無極性GaNにおけるLEO技術を含む色々な方法を用いて行われてきた。これらのプロセスの要点は、垂直方向成長よりも横方向成長を促進することによって、薄膜の表面に垂直に転位が伝播するのを妨げる、或いは抑えることである。LEO方法のいずれもが表面上に成膜したマスクを用いることによって、欠陥のある材料の成長を妨げる工程を含む。単一工程のLEOはマスクパターニングと再成長工程を1回だけ含むものであり、処理と成長は簡単であるが、その結果は、欠陥の低減という点で2工程LEOほどには効果が上がらない。2工程LEOは欠陥の低減において有効であるが、単一工程LEOに比べて処理と成長の作業量が文字通り2倍必要である。その結果、今日まで、これらの方法のいずれも簡単かつ同時に十分に効果があるとは言えなかった。本発明のSLEOを用いると、無極性または半極性窒化物において、単一工程のLEOのような簡単な処理と成長の方法を用いて、2工程LEOのような有効性のある欠陥の除去が可能である。本発明では、無極性または半極性窒化物材料が、エッチングされた柱の側壁の上部から核形成と成長が始まり、ヘテロエピタキシャル界面(即ち溝の底)から成長する欠陥を含んだ材料が上部に到達する前に、隣り合う柱の側壁の上部と合体する。
【0019】
本発明はこの材料を用いたデバイスの特性を2つの面で改良する。それは(1)a-{11-20}およびm-{1-100}面をもつ無極性材料、或いは半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料の自然な構造的利点を利用することによって、分極の効果を除去または低減すること、および(2)独自の、再現性ある、簡単かつ効果のあがるプロセスと成長方法を用いて欠陥を効率よく除去することである。
技術内容に関する説明
本発明によれば、誘電体マスクを通じて、エッチングされた窒化物材料の側壁からのLEOを用いることによって、無極性および半極性窒化物における貫通転位密度が低減する。前述したように、積層欠陥は垂直方向に向いた面の1つであるN面に存在する。本発明によればまた、異方性因子、即ちGa-(0001)面上の成長速度を促進してN-(000-1)面の成長速度を抑制することによって、積層欠陥密度が減少する。色々な成長条件と処理方法を用いて、本発明では、側壁から上方へそして誘電体マスク上へと無極性GaNが横方向成長して合体することが実験的に示された。
【0020】
図3は、パターニングされたマスクを通してエッチングされたテンプレート材料の側壁からの無極性あるいは半極性III族窒化物材料のLEO技術を用いて、無極性あるいは半極性III族窒化物材料中の貫通転位密度を低減する方法を示す概略図を含んだフローチャートである。
【0021】
この実施例では、該方法はA,B,およびCとラベルをした3つのSLEO処理工程と、D,EおよびFとラベルした3つの成長或いは再成長段階を備えている。
【0022】
工程A-テンプレート材料(1)が適当な基板(2)の上に形成される。テンプレート材料(1)は適当な基板(2)の上に成膜される{11-20}または{1-100}面或いは{10-1n}面GaNのような無極性あるいは半極性窒化物エピタキシャル薄膜を含んでいてもよい。
【0023】
工程B-テンプレート材料(1)上にパターニングされたマスク(3)が形成される。パターニングされたマスク(3)は誘電体マスクであってもよく、テンプレート材料(1)上に色々な手段の1つを用いて成膜されてよい。パターニングされたマスク(3)は1つ以上の開口(4)を備えていてもよく、その開口(4)は下地のテンプレート材料(1)に到達できるような開口穴、或いはストライプを備えている。
【0024】
工程C-テンプレート材料(1)はパターニングされたマスク(3)の開口(4)を通してエッチングされて、テンプレート材料(1)内に溝(5)または柱(6)を形成する。溝(5)または柱(6)は側壁(7)を画定する。テンプレート材料(1)がパターニングされたマスク(3)の開口(4)を通してエッチングされるときに、開口(4)の方位は引き続く横方向成長の工程で平坦な側壁(7)を形成するように配向される。
【0025】
工程Cに続いて、テンプレート材料(1)は成長段階のために反応炉内へ装填される。
【0026】
工程D-「側面成長」といえる第1の成長段階が行われる。そこでは{11-20}または{1-100}面或いは{10-1n}面GaNをそなえた無極性あるいは半極性III族窒化物材料が成長されるが、その場合、溝(5)の底(9)から垂直方向に成長する無極性あるいは半極性III族窒化物材料が側壁(7)の上部(8)に到達する前に、(矢印で示したように)側壁(7)の上部(8)から横方向に無極性あるいは半極性III族窒化物材料が先に成長し合体するように成長される。好適には、無極性あるいは半極性III族窒化物材料はテンプレート材料(1)の露出領域からのみ成長し、パターニングされたマスク(3)の上には成長しない。具体的には、無極性あるいは半極性III族窒化物材料は側壁(7)の上部(8)と溝(5)の底(9)の両方で核形成し、そこから成長する。溝(5)の底(9)から垂直方向に成長している無極性あるいは半極性III族窒化物材料はヘテロエピタキシャル界面(10)から成長した、欠陥を含む材料を含んでいてもよい。側壁(7)の上部(8)から横方向に成長している無極性あるいは半極性III族窒化物材料を合体させることによって、溝(5)の底(9)から垂直方向に成長している、欠陥を含む材料の成長を妨げ得る。
【0027】
工程E-「上方成長」といえる第2の成長段階が行われる。ここでは、第1の成長段階或いは合体工程の後に、無極性あるいは半極性III族窒化物材料(11)が(矢印で示したように)開口(4)を通って垂直方向上方に成長する。
【0028】
工程F-「横方向成長」といえる第3の成長段階が行われる。ここでは無極性あるいは半極性III族窒化物材料(12)が(矢印で示したように)パターニングされたマスク(3)の上を横方向に成長して、横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物材料を形成する。この成長過程は横方向成長材料(12)が完全に合体した連続薄膜を形成するまで続き、すなわち未合体の横方向成長部分が残っていさえすれば続く。
【0029】
図3の方法の結果、この方法を用いて作製されるデバイス、或いは自立ウェーハ、或いは基板、或いは欠陥密度の低減したテンプレートを提供することができる。
【0030】
横方向と垂直方向の成長速度の競合関係を補償するために、テンプレート材料(1)はパターニングされたマスク(3)の開口(4)の寸法と同等或いはこの寸法に関連して決定された厚さを持っていることに注意されたい。これに関して、寸法とは開口(4)の幅であり、すなわち側壁(7)の上部(8)が合体しようとする横方向に沿った寸法である。
【0031】
例えば、補償するために、テンプレート材料(1)の厚さは開口(4)の幅方向の寸法に関係して選択され、この開口(4)はエッチングの後に溝(5)を形成するものであり、溝(5)の底(9)からの成長が側壁(7)の上部(8)に到達する前に、側壁(7)の上部(8)が合体するような間隔を有している。
【0032】
このことは、もし横方向と垂直方向の成長速度が同等の場合には、開口(4)の寸法はテンプレート材料(1)の厚さ未満にすべきであるということを意味する。あるいは、横方向成長速度が垂直方向成長速度よりも早い場合には、開口(4)の寸法はテンプレート材料(1)の厚さよりも大きくすることが出来る。
【0033】
同様に、溝(5)の底(8)から成長する、欠陥を含んだ無極性または半極性III族窒化物材料が側壁(7)の上部(8)に到達する前に、側壁(7)の上部(8)が合体するためには、エッチング工程は開口(4)の寸法と同等またはこの寸法に関連して決定された1つ以上のエッチング深さまでとすればよい。
【0034】
さらに、溝(5)の底(9)からの成長は、基板(2)までエッチングすることによって、或いは溝(5)の底(9)に別のマスク(3)を成膜することによって防げることができる。少なくとも工程AとCは選択横方向成長技術を用いた成長工程を備えていてもよい。
【0035】
図3に示した第1(D)、第2(E)または第3(F)の成長段階で横方向成長速度と垂直方向成長速度を制御するために、無極性a-{11-20}面の窒化ガリウム薄膜の成長条件は次のように規定される。すなわち、成長温度は1,000~1,250℃の範囲、反応炉内の圧力は20~760Torrの範囲、V/III族比は100~3,500の範囲であり、その条件下では第1、第2または第3の成長段階の少なくとも1つの段階中は、横方向成長速度が垂直方向成長速度よりも大きくなる。この条件は反応炉が異なれば変わるものであり、また成長方法が異なっても変わるものである。
【0036】
本発明を用いることによって、マスク(3)上および合体した開口(4)(窓)領域上を横方向成長する無極性あるいは半極性III族窒化物材料中の欠陥を除去または低減することで転位密度を低減する。この点に関して、転位密度は従来の単一工程LEOを用いた無極性あるいは半極性III族窒化物材料において達成された値よりも少なくとも1桁低減される。
【0037】
また、適当な成長条件では、本発明は、無極性III族窒化物材料のガリウム(Ga)面上の成長速度が大きくなるように促進して、無極性III族窒化物材料の窒素(N)面上の成長速度を制限することによって、積層欠陥密度を異方性因子によって低減する。これによって無極性窒化物材料において従来達成された値、或いは従来の単一工程LEOを用いて達成された値にくらべて、積層欠陥密度を少なくとも1桁低減でき、積層欠陥をN面に閉じ込めることができる。
【0038】
最後に、本発明は、選択横方向成長技術を用いて成長することが出来るあらゆるエピタキシャル材料を用いて実行することが出来る。このように、エピタキシャル材料は無極性{11-20}または{1-100}面GaN或いは半極性{10-1n}面GaNのような無極性あるいは半極性III族窒化物材料を含んでいてもよいが、これだけに限定されるものではない。このように、テンプレート材料も、そこからエピタキシャル材料の核形成と成長が達成できるようなあらゆる材料を含んでいてもよい。
実験結果
実施例として、3μmの厚さの無極性a面またはm面GaN薄膜をr面Al2 3 基板上に低温成長GaNの核形成層を用いてMOCVD法によって成膜して、テンプレートを形成する。代替法として、薄膜はm面SiC上にAlN核形成層を用いて成膜することも出来る。このテンプレート上に1μmの厚さのSiO2 薄膜をプラズマ励起の化学気相成膜法(PECVD)を用いて成膜する。通常のフォトリソグラフィを用いてフォトレジストマスク層をパターニングして幅2μmの開口によって隔てられた幅8μmのストライプパターンを形成する。ストライプの方向はa-GaNに対して<1-100>方向、およびm-GaNに対して<11-20>方向が選ばれる。GaNテンプレートの厚さはマスクの窓の幅との関係で選ばれていて、溝の底が上部に到達する前にGaN側壁の上部が合体するような間隔を持った溝を形成するように選ばれている。パターニングされたマスクは次に誘導結合プラズマ(ICP)エッチングによってドライエッチングされ、露出したSiO2 を完全にエッチング除去して垂直なSiO2 側壁を実現する。残ったフォトレジストは剥離剤で取り除き、続いて、試料は溶剤で洗浄する。SiO2 開口を通して露出した3μmの厚さの無極性GaNは反応性イオンエッチング(RIE)を用いて2μm以上エッチングされる。試料は再成長の前に最後の溶剤で洗浄される。エッチングによって幅2μmの開口によって隔てられた幅8μmのSiO2 ストライプとなるようにパターニングされた無極性GaNテンプレートからなるウェーハは再成長のためにMOCVD反応炉の中へ装填される。この特定の再成長の間、横方向成長を促進するために低圧で色々なV/III族比のもとで比較的高い成長温度が用いられる。異なる成長段階で横方向成長速度と垂直方向の成長速度を比較しながら制御するためにV/III族比が変えられる。成長過程では、GaN側壁上と溝の底で露出したGaN材料(またはAl2 3 またはSiC)上にGaNが核形成し、エッチングされたGaN側壁の上部で合体し、マスクの開口を通してSiO2 マスクの上へ成長する。薄膜はそこでSiO2 マスクの上を横方向に成長し、やがて隣り合うGaNストライプと合体する。
【0039】
図4(a)は第1の成長段階においてMOCVDによって成長したSLEO材料の走査型電子顕微鏡像を示し、図4(b)は、溝の底からの成長を妨げる、GaNの柱の上部からの側壁成長の第一段階を示す概略図である。
【0040】
MOCVD法を用いてSLEOにより成長し合体したa面GaN薄膜の例を図5(a)および5(b)に断面図として示す。ここで図5(a)は合体したSLEO材料の走査型電子顕微鏡像であり、図5(b)は合体したSLEO材料を更に示す概略図である。
【0041】
この実施例では、再成長は、上記したように、まず溝の底から成長する、欠陥を含んだ材料が側壁の上部に到達する前に、エッチングされた側壁の上部から横方向に成長した無極性GaNを合体させる(工程D-第1の成長段階)。次に、合体した材料が開口から上方に向かって成長し(工程E-第2の成長段階)、そして幅8μmのマスクストライプ上を成長し(工程F-第3の成長段階)、ついには隣り合うストライプの無極性材料が合体して、連続する低欠陥密度のa-GaN薄膜が形成される。側壁成長を利用することによって貫通転位が妨げられる。そのため合体した薄膜は横方向成長領域内のみならず窓領域においても低い転位密度を持つこととなる。Ga面の水平方向成長速度を大きくすることによって積層欠陥の密度が低減し、N面成長の領域のみに限定されることになる。
【0042】
図5(a)と5(b)に示すように、そのようなSLEO材料が完全に合体した薄膜はMOCVDを用いて達成される。無極性GaNのストライプはSiO2 マスク中の(窓を構成する)幅2μmの開口を通して成長する。そのマスクは<1-100>方向に平行にパターニングされており、引き続く横方向成長工程において平坦な側壁を得られるようになっている。次に無極性GaNはマスクストライプによって確定された幅8μmのマスク領域上を成長する。
可能な変更と変形
好ましい実施形態では、無極性或いは半極性III族窒化物テンプレートのエッチングされた側壁からのLEOプロセスについて記載した。無極性或いは半極性III族窒化物或いはGaNテンプレートが形成できる、代替となる適当な基板材料はa面およびm面SiCあるいはr面Al2 3 を含むが、これに限定されるものではない。側壁成長プロセスのベースとして用いるテンプレート材料は色々な厚さと結晶方位を持つGaN,AlN,AlGaNおよびInGaNを含むが、これに限定されることはなく、如何なる無極性或いは半極性III族窒化物テンプレート材料であってもよい。この材料はMOCVDあるいはHVPEまたは他の色々な方法を用いる手段によって形成される。このようなテンプレート材料を成長するために、GaNおよびAlNを含むさまざまな核形成層を用いることが出来る。誘電体を含むさまざまなマスク材料と色々な開口の形、開口の間隔、サイズおよび寸法を用いることが出来る。色々なマスクの厚さを持つマスクの成膜方法、および色々な方位を持つマスクのパターン形成技術を本発明の実施に用いてもよく、結果は大きくは変わらない。マスクおよび/またはテンプレート材料のエッチングに際しては、ウェットエッチングやドライエッチングを含む多くの代替のエッチング方法を用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。側壁から横方向に成長する材料が合体して、欠陥を含んだ材料が溝の底から垂直方向に成長するのを妨げる限り、テンプレート材料のエッチングの深さは変えることができる。側壁のみからの成長を確実にするために、基板のエッチングをプロセスの中に含ませることも出来る。エッチングによって形成される1つ以上の溝はU字形、或いはV字形の溝、穴、或いは窪みを含む色々な形を持つものであってよい。
【0043】
可能性な他の変形としては、上記したようにIII族窒化物材料をエッチングした後に、溝の底の上に別のマスクを成膜して、再成長が側壁だけから生じるようにするという方法がありうる。
【0044】
側壁からの無極性あるいは半極性III族窒化物の選択横方向成長のために必要な成長パラメータは反応炉ごとに変化する。そのような変化は本発明の一般的な実施形を基本的に変えてしまうものではない。マスク上での薄膜の最終段階の合体は、望ましいことではあるが、本発明の実施に対する必要条件ではない。それ故に、本明細書の開示は、側壁から横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物の薄膜が合体した場合にも、あるいは合体しない場合にも適用できる。
【0045】
ここに記述した本発明、およびその可能な改良形態は、1つの層から次の層へと、合体を達成したあとにSLEOプロセスを繰り返すことによって複数回適用できる。このように多段階SLEOプロセスを行うことによって欠陥密度は更に低減することになる。
【0046】
本発明は、SLEOプロセスと成長の色々な段階において、有機金属化学気相成膜法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、および分子線エピタキシー法(MBE)またはこれらの成長方法の組み合わせを含むがこれらには限定されるものではない、いかなる種類の成長方法を用いても実行することが出来る。
利点と改良点
本発明は無極性GaNのSLEOの実施に関する最初の成功例である。結果としてできるデバイスの分極効果を防ぎながら、無極性あるいは半極性III族窒化物材料において最も簡単な方法で転位の存在を最も効率的に低減することができる。
【0047】
一実施例として、図6(a)、6(b)および6(c)は原子間力顕微鏡像とX線回折FWHM値であり、平坦な無極性GaNと単一工程LEOによるGaNとSLEOによるGaNを横に並べて比較することにより、薄膜品質の劇的な改良を示している。図6(a)は平坦なa-GaNであり、rmsは約6nmであり、軸上(on-axis)半値全幅(FWHM)は0.29°(110)であり、軸外(off-axis)FWHMは0.46°(101)である。図6(b)は単一工程LEOによるa-GaNであり、rmsは約5.822(0.467)nmであり、軸上FWHMは0.17°であり、軸外FWHMは0.27°である。図6(c)はSLEOによるa-GaNであり、rmsは約0.620(0.499)nmであり、軸上FWHMは0.082°であり、軸外FWHMは0.114°である。
【0048】
平坦な無極性GaN薄膜は、約1010cm-2という高い貫通転位密度と、(c軸に直交するN面上で)3.8×105 cm-1の積層欠陥密度を持つことが報告されている。これらの値はHVPE或いはMOCVD法による単一工程横方向エピタキシャル成長を用いることによって1桁から2桁低減する。更に本発明を用いると、これら転位と積層欠陥の密度はそれぞれ約106 ~107 cm-2と103 ~104 cm-1まで低減した。
【0049】
この発見の行われる以前は、完全に合体した平坦な無極性GaN薄膜での欠陥密度の低減は、単一工程LEOおよび2工程LEO法を用いて試みられた。しかしながら、この方法のどちらも時間的およびエネルギー的に最も効率のよい方法で、完全に合体した、転位フリーの、再現性のある材料を得ることには成功しなかった。2工程LEOでは大部分の欠陥を低減することができたけれども、その技術は多大な時間とエネルギーと資源を必要とした。従来の単一工程LEOは、(処理と成長の工程を1度ずつ含むのみであり)簡単ではあるが、大部分の欠陥を除去することまでは出来なかった。
【0050】
これら2つの方法の利点を結合した本発見は、たった1度の処理と成長の工程を含むだけで大部分の面積を欠陥フリーにすることによって、大幅な欠陥低減を実現している。言い換えれば、本発明は単一工程LEOの労力で2工程LEOの効果を得ている。このように効率の良い欠陥低減と分極電界の除去を同時に実現することは、この材料上に引き続いて成長される電子デバイス、光電子デバイス、および電気機械デバイスの飛躍的改良をもたらすものである。
【0051】
以前の報告にあったMOCVDによるGaNの側壁選択横方向成長(SLEO)と同様の技術はペンデオ・エピタキシーとして知られている。この技術は極性c面GaNの成長に対してのみ実施されている。そして本技術は処理と成長において基本的な違いを持つものである。例えば、比較的高価であるSiC基板が「擬似」マスクとして用いられており、これは成長が側壁でだけ選択的に起こり、基板上には成長しないことを意味する。その結果、材料は基板までエッチングして掘り下げねばならないし、またエッチング工程は基板の中へある深さまで続けられねばならない。その結果、成長は開口窓を通しては開始されない。それ故に、溝の底から垂直方向に成長する材料が側壁の上部に到達する前に、開口窓を通って側壁の上部を合体させる成長に関する変数はない。横方向成長はエッチングされた側壁全体上の核形成とそこからの成長を含んでいる。主たる焦点は柱全体の成長に絞られている。
【0052】
他の同様の研究は溝からの選択横方向成長(LOFT)とよばれるものであり、柱の上部および底にSiO2 マスクを成膜した後に、側壁だけを露出させることで、溝からのGaNの成長がおこることを示唆する研究である。この技術は極性c-GaNに対してのみ実施された。
【0053】
バルク結晶が入手不可能であるので、現状ではGaN薄膜はヘテロエピタキシャルに成長しなければならないし、この成長プロセスに対して完全に格子整合がとれた基板は存在しない。その結果、本発明はまた、結果的にホモエピタキシャル成長となるべき自立のGaN基板を成長するために優れた材料ベースをつくりだすものである。
参考文献
次の参考文献は参照として本明細書に組み込まれているものとする。
1. Tsvetanka S.Zhelva, Scott A.Smith,et al.,“Pendeo‐Epitaxy‐A new approach for lateral growth GaN structures,”MRS Internet J.Nitride Semicond. Res.4S1,G3.38(1999)
2. Y.Chen, R.Schneider, Y.Wang,“Dislocation reduction in GaN thin films via lateral overgrowth from trenches”, Appl.Phys.Lett.,75(14)2062(1999)
3. Kevin Linthicum, Thomas Gehrke, Darren Thomson,et al.,“Pendeoepitaxy of gallium nitride films,”Appl.Phys.Lett.,75(2)196(1999)
4. M.D.Craven, S.H.Lim,F.Wu, J.S.Speck, S.P.DenBaars,“Threading dislocation reduction via laterally overgrown nonpolar (11‐20) a‐plane GaN,”Appl.Phys.Lett.,81(7)1201(2002)
5. Changqing Chen, Ranping Zhang, Jinwei Yang et al.,“A new selective area lateral epitaxy approach for depositing a‐plane GaN over r‐plane sapphire,”Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)pp.L818-820
結論
これで本発明の好ましい実施形態の説明を終える。本発明の一つ以上の実施形態に関する上記の記述は例示と説明を目的としてなされたものである。開示の形態そのものによって本発明を包括または限定することを意図するものではない。本明細書に記載した工程に付加的な調整部分を加えるなど、本発明の本質部分から基本的に逸脱すること無しに、上記の教示に照らして多くの変更と変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるものではなく、本明細書に添付の請求項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1(a)および図1(b)は六方晶系GaNにおける関心のある結晶学的方位と面を概略的に表す図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は分極の結果としてのバンドの曲がりと電子正孔分離を表す概略図である。
【図3】SLEOの3つの処理工程と3つの再成長の段階を示す、関連概略図を含んだフローチャートである。
【図4】図4(a)は第1の成長段階でMOCVDによって成長したSLEO材料の走査型電子顕微鏡像であり、図4(b)は溝の底からの成長を妨げている、GaNの柱の側面上部からの側壁成長の第一段階を示す概略図である。
【図5】図5(a)は合体したSLEO材料の走査型電子顕微鏡像であり、図5(b)は合体したSLEO材料を更に示す概略図である。
【図6】図6(a)、図6(b)、図6(c)は原子間力顕微鏡像とX線回折半値全幅の値であり、平坦な無極性GaN,単一工程LEOによるGaNおよびSLEOによるGaNを横に並べて比較することで、薄膜の品質の劇的な改良を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5