TOP > 国内特許検索 > 光電子応用のための(Al,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法 > 明細書

明細書 :光電子応用のための(Al,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2008-547210 (P2008-547210A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成20年12月25日(2008.12.25)
特許番号 特許第5043835号 (P5043835)
登録日 平成24年7月20日(2012.7.20)
発行日 平成24年10月10日(2012.10.10)
発明の名称または考案の名称 光電子応用のための(Al,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法
国際特許分類 H01L  33/32        (2010.01)
H01L  21/20        (2006.01)
H01L  21/02        (2006.01)
H01S   5/183       (2006.01)
FI H01L 33/00 186
H01L 21/20
H01L 21/02 B
H01S 5/183
請求項の数または発明の数 30
全頁数 28
出願番号 特願2008-517176 (P2008-517176)
出願日 平成18年6月16日(2006.6.16)
国際出願番号 PCT/US2006/023588
国際公開番号 WO2006/138626
国際公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
優先権出願番号 60/691,710
60/732,319
60/764,881
優先日 平成17年6月17日(2005.6.17)
平成17年11月1日(2005.11.1)
平成18年2月3日(2006.2.3)
優先権主張国 アメリカ合衆国(US)
アメリカ合衆国(US)
アメリカ合衆国(US)
審査請求日 平成21年6月1日(2009.6.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592130699
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称】The Regents of The University of California
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】村井 章彦
【氏名】クリスティーナ・イェ・チェン
【氏名】ダニエル・ビー・トンプソン
【氏名】リー・エス・マッカーシー
【氏名】スティーブン・ピー・デンバース
【氏名】シュウジ・ナカムラ
【氏名】ウメシュ・ケー・ミシュラ
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】道祖土 新吾
参考文献・文献 特開2005-117006(JP,A)
特開2005-056922(JP,A)
特開2003-017740(JP,A)
米国特許出願公開第2002/0123204(US,A1)
特開2004-146541(JP,A)
国際公開第04/017430(WO,A1)
特開2003-298108(JP,A)
特開2004-128041(JP,A)
特開2005-158971(JP,A)
特開2002-164570(JP,A)
特開2003-060236(JP,A)
特開2005-072585(JP,A)
特開2005-268734(JP,A)
特表2008-506259(JP,A)
Akihiko Murai, Et.Al.,Hexagonal pyramid shaped light-emitting diodes based on ZnO and GaN direct wafer bonding,Applied Physics Letters,2006年,Vol.89,No.17,171116
調査した分野 H01L 33/00-33/64
H01L 21/02
H01L 21/20
H01S 5/183
特許請求の範囲 【請求項1】
光デバイスであって、
n型III 族窒化物、活性領域、およびp型III 族窒化物を備えたIII 族窒化物光電子デバイスと、
前記III 族窒化物光デバイスのZn面上の一つ以上の側面にウェーハ・ボンディングされた一つ以上の透明ZnO導電体層であって、該透明ZnO導電体層とIII 族窒化物光デバイスとの融着であるウェーハ・ボンディングされた少なくとも一つの界面を形成するための該透明ZnO導電体層と
を備え、光が前記透明ZnO導電体層を通過し、前記透明ZnO導電体層が透明であるために前記III 族窒化物内の光吸収を低減し、前記透明ZnO導電体層のO面は前記透明ZnO導電体層からの光取出しを改良するために整形され、前記透明ZnO導電体層が導電性であるために、活性領域から発する光を均一にすることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記透明ZnO導電体層がn型あるいはp型であることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記III 族窒化物光電子デバイスはc面III 族窒化物を含んで構成され、前記透明ZnO導電体層はc面ZnO層であることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記透明ZnO導電体層は粗面化または整形されていることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記III 族窒化物光電子デバイスが発光ダイオード(LED)であり、前記粗面化または整形されている透明ZnO導電体層はLEDの内部で繰り返し起きている光反射を低減し、これにより前記LEDからの光をより多く取り出すことを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記透明ZnO導電体層が、一つ以上の切頂六角錐状に整形されていることを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記粗面化または整形されている透明ZnO導電体層は多面体を形成する{10-11}面をもつ表面を持つことを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記透明ZnO導電体層の有極性面がIII 族窒化物ウェーハにウェーハ・ボンディングされることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記p型III 族窒化物あるいはn型III 族窒化物上に成膜された中間コンタクト層をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項10】
前記中間コンタクト層は交差指型に作られたコンタクト層を含むことを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記交差指型に作られたコンタクト層は格子状のパターンを形成し、その層の隙間のギャップが前記III 族窒化物光デバイスからの光を通すことを特徴とする、請求項10に記載の光デバイス。
【請求項12】
前記中間コンタクト層は透明か半透明であることを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項13】
前記中間コンタクト層は厚いコンタクト層を含んで構成されることを特徴とする、請求項に記載の光デバイス。
【請求項14】
前記III 族窒化物光電子デバイスと前記透明ZnO導電体層の間に挿入されて、ウェーハ・ボンディングされた界面における電気抵抗を低減するような薄い金属または金属酸化膜(Pt、Al、Ni、Au、酸化Niまたは酸化Ga)を含む中間コンタクト層を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項15】
少なくとも一つのn型電極と少なくとも一つのp型電極を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項16】
前記p型電極がn型ZnO上に形成されることを特徴とする、請求項15に記載の光デバイス。
【請求項17】
前記n型電極がGa面をもつn型GaN上に形成されることを特徴とする、請求項15に記載の光デバイス。
【請求項18】
前記n型電極がN面をもつn型GaN上に形成されることを特徴とする、請求項15に記載の光デバイス。
【請求項19】
前記III 族窒化物光電子デバイスが適当な基板上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項20】
光が一つ以上の透明ZnO導電体層を通過することを特徴とする直接ウェーハ・ボンディングされた光デバイスを作製する方法であって、
(a)一つ以上の透明ZnO導電体層およびボンディングされる側のIII 族窒化物光電子デバイスに対して平坦で正常な表面を準備するステップと、
(b)前記III 族窒化物光電子デバイスと前記透明ZnO導電体層のZn面との間で直接ウェーハ・ボンディング工程を行うことにより、前記透明ZnO導電体層とIII 族窒化物光デバイスとの融合であるウェーハ・ボンディングされた少なくとも一つの界面を形成するステップであって、前記透明ZnO導電体層のO面は前記透明ZnO導電体層からの光取出しを改良するために整形されることを特徴とするステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記III 族窒化物光電子デバイスと前記透明ZnO導電体層とが張り合わされて、その後、窒素雰囲気中で一軸性圧力の下、所定の温度で所定の時間ウェーハ・ボンディングされることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記III 族窒化物光デバイスと前記透明ZnO導電体層とをウェーハ・ボンディング用の炉の中に装着して、炉はN2 ガス流中で1時間600℃の温度に加熱されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
直接ウェーハ・ボンディングの前に、ウェーハ・ボンディングされる界面での導電率を高めるステップを更に備えることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ウェーハ・ボンディングされる界面での導電率を高めるために、前記ウェーハ・ボンディング工程の前に前記透明ZnO導電体層の表面をプラズマ処理することを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ウェーハ・ボンディング工程の前に前記III 族窒化物光電子デバイスの表面を部分的に整形してウェーハ・ボンディングされる界面を強化することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ウェーハ・ボンディング工程の後または前に、前記透明ZnO導電体層の前記O面表面を粗面化または整形することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記整形するステップは異方性エッチングによって行われることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記異方性エッチングは化学エッチングであることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記エッチングは塩酸(HCl)または希釈HCl中であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項20に記載の方法で作製される光デバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願の利益を主張するものである。
【0002】
村井 章彦(Akihiko Murai)、クリスティーナ・Ye.チェン(Christina Ye Chen)、リー・S.マッカーシー(Lee S.McCarthy)、スティーブン・P.デンバース(Steven P.DenBaars)、中村 修二(Shuji Nakamura),およびウメシュ・K.ミシュラ(Umesh K.Mishra)による米国特許仮出願第60/691,710号、2005年6月17日出願、発明の名称「光電子応用のための(AI,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法((AI,Ga,In)N AND ZnO DIRECT WAFER BONDING STRUCTURE FOR OPTOELECTRONIC APPLICATIONS AND ITS FABRICATION METHOD)」、代理人整理番号30794.134-US-P1(2005-536-1)、
村井 章彦、クリスティーナ・Ye.チェン、ダニエル・B.トンプソン(Daniel B.Thompson)、リー・S.マッカーシー、スティーブン・P.デンバース、中村 修二、およびウメシュ・K.ミシュラによる米国特許仮出願第60/732,319号、2005年11月1日出願、発明の名称「光電子応用のための(AI,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法((AI,Ga,In)N AND ZnO DIRECT WAFER BONDING STRUCTURE FOR OPTOELECTRONIC APPLICATIONS AND ITS FABRICATION METHOD)」、代理人整理番号30794.134-US-P2(2005-536-2)、および
村井 章彦、クリスティーナ・Ye.チェン、ダニエル・B.トンプソン、リー・S.マッカーシー、スティーブン・P.デンバース、中村 修二、およびウメシュ・K.ミシュラによる米国特許仮出願第60/764,881号、2006年2月3日出願、発明の名称「光電子応用のための(AI,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造とその作製方法((AI,Ga,In)N AND ZnO DIRECT WAFER BONDING STRUCTURE FOR OPTOELECTRONIC APPLICATIONS AND ITS FABRICATION METHOD)」、代理人整理番号30794.134-US-P3(2005-536-3)
これらの出願は全て参照として本明細書中に組み込まれている。
【0003】
この出願は本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の特許出願の関連出願である。
【0004】
スティーブン・P.デンバース、中村 修二、増井 久(Hisashi Masui)、ナタリー・N.フォローズ(Natalie N. Follows)、および村井 章彦による米国特許仮出願第60/734,040号、2005年11月11日出願、発明の名称「高光取り出し効率の発光ダイオード(LED)(HIGH LIGHT EXTRACTION EFFICIENCY LIGHT EMITTING DIODE (LED))」、代理人整理番号30794.161-US-P1(2006-271-1)、
スティーブン・P.デンバース、中村 修二、およびジェームス・S.スペック(James S.Speck)による米国特許仮出願第60/748,480号、2005年12月8日出願、発明の名称「高効率発光ダイオード(LED)(HIGH EFFICIENCY LIGHT EMITTING DIODE (LED))」、代理人整理番号30794.164-US-P1(2006-318-1)、および
スティーブン・P.デンバース、中村 修二、ジェームス・S.スペックによる米国特許仮出願第60/7スティーブン5号、2006年2月3日出願、発明の名称「高効率発光ダイオード(LED)(HIGH EFFICIENCY LIGHT EMITTING DIODE (LED))」、代理人整理番号30794.164-US-P2(2006-318-2)
これらの出願は全て参照として本明細書中に組み込まれている。
1.本発明の技術分野
本発明は光電子応用のためのウェーハ・ボンディング技術に関するものである。より具体的には、本発明は高効率(Al,Ga,In)Nベースの発光ダイオードのための、および光電子応用のための(Al,Ga,In)NとZnOの直接ウェーハ・ボンディング構造と、その作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0005】
2.関連技術の説明
(注意:本明細書は、多くの異なる文献を参照している。これら文献のそれぞれは以下の「参考文献」と題したセクションに見出すことができる。これら参考文献のそれぞれは参照として本明細書中に組み込まれている。)
InP/GaAs、AlGaInP/GaP、GaAs/GaN、ZnSSe/GaNのような異なる材料の組み合わせを用いるウェーハ・ボンディング技術は、発光ダイオード(LED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、および電子デバイスの光電子集積への応用を目的として研究されてきた[非特許文献1、2、3、4]。
【0006】
窒化物LED系においては、p型GaN層上に透明電極を作製することに関する報告はいくつかある。一般的な方法はNiとAuの薄い金属膜を用いることである[非特許文献5]。金属において光が吸収されるため、透過率はわずか60%程度である。また、GaN材料が硬くp型GaNの導電率が不安定であるため、光取り出し効率の改良のために表面に特徴的な形状を整形することは困難である。
【0007】
他にはp型GaN上に酸化亜鉛(ZnO)層を成長する方法がある[非特許文献6]。しかしながらこの方法はZnOの結晶成長装置と超高真空条件を用いることを必要とする。更に、光取り出しのために特徴的な形状を整形するのに適した、例えば厚さ~500μmの層のような厚い層を成長するのが困難である。
【0008】
そこで必要とされるのは上記のような材料系におけるウェーハ・ボンディング技術の改良された方法である。本発明はそのようなニーズを満たすものであり、(Al,Ga,In)NウェーハとZnOウェーハとの間の直接ウェーハ・ボンディングを行う初めての実験例を含んでいる。

【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.56,737-39(1990)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.64,2839-41(1994)
【非特許文献3】Appl.Phys.Lett.81,3152-54(2002)
【非特許文献4】Jpn.J.Appl.Phys.43,L1275-77(2004)
【非特許文献5】Jpn.J.Appl.Phys.34,L797-99(1995)
【非特許文献6】Jpn.J.Appl.Phys.43,L180-82(2004)
【非特許文献7】J.Cryst.Growth 260,166-70(2004)
【非特許文献8】Appl.Phys.Lett.84,855-857(2004)
【非特許文献9】Proceeding of International Symposium on Blue Laser and Light Emitting Diodes(1996),113
【非特許文献10】New Semiconductor Materials,Characteristics and Properities,Ioffe Physico-Technical Institute,RussianFederation,1998
【非特許文献11】New Semiconductor Materials,Characteristics and Properties,Ioffe Physico-Technical Institute,Russian Federation,1998,Thermochimica Acta 430,155-65(2005)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にはn型III族窒化物、活性領域、p型III族窒化物を備えたIII族窒化物光電子デバイスと、III族窒化物光デバイスの一つ以上の側面にウェーハ・ボンディングした一つ以上の透明導電体層について記載する。ここで光は透明導電体層を通過し、透明導電体層は透明であるためにIII族窒化物内部の光吸収を低減し、透明導電体層は導電性があるために活性領域から出射される光分布を均一にすることができるという特徴をもっている。
【0010】
透明導電体層はZn(O,S,Te)、酸化インジウム錫、酸化ガリウム、酸化インジウム・ガリウム・亜鉛、In/SnO(酸化インジウム錫、ITO)のn型あるいはp型材料を含んで構成される。III族窒化物光電子デバイスはc面III族窒化物を含み、透明導電体層はc面ZnO層を含む。
【0011】
更に、透明導電体層は、例えばLED内で繰り返し起こっている光反射を低減し、それによってLEDからより多くの光を取り出すために粗面化または整形される。透明導電体層はZnOであり、ZnOの表面のO面が整形される。透明導電体層は、一つ以上の切頂六角錐に整形される。すなわち粗面化または整形された透明導電体層は多面体を形成する{10-11}平面を持つ。すなわち、透明導電体層の有極性面がIII族窒化物ウェーハにウェーハ・ボンディングされることになる。
【0012】
光デバイスは、p型III族窒化物あるいはn型III族窒化物上に成膜した中間コンタクト層を更に備えている。中間コンタクト層は交差指型のコンタクト層を備えている。交差指型のコンタクト層は格子状にパターンが形成され、その層の中間にあるギャップがIII族窒化物光デバイスからの光を通過させる。または中間コンタクト層はバルクのコンタクト層を備えていても良い。中間コンタクト層は透明または半透明である。ウェーハ・ボンディングされる界面での電気抵抗を小さくするように、中間コンタクト層はIII族窒化物光電子デバイスと透明導電体層の間に挿入されたPt,Al,Ni,AuあるいはTiの金属薄膜を備えていても良い。
【0013】
光デバイスは少なくとも一つのn型電極および少なくとも一つのp型電極を更に備えても良い。p型電極はn型ZnO上に形成される。n型電極はGa面n型GaN上に形成されるか、あるいはn型電極はN面n型GaN上に形成される。III族窒化物光電子デバイスは適当な基板上に形成される。
【0014】
本発明は更に、光が一つ以上の透明導電体層を通過することを特徴とした、直接ウェーハ・ボンディングされた光デバイスを作製する方法を開示する。その方法は(a)ボンディングされる一つ以上の透明導電体層とIII族窒化物光電子デバイスとの平坦で清潔な表面を準備するステップと、(b)III族窒化物光電子デバイスと透明導電体層との直接ウェーハ・ボンディング工程を行うステップを備えている。透明導電体層はZn(O,S,Te)、酸化インジウム錫、酸化ガリウム、酸化インジウム・ガリウム・亜鉛、In/SnO(酸化インジウム錫、ITO)を含む。ボンディングされる透明導電体層の表面はc面ZnOのZn面またはc面ZnOのO面を備えている。
【0015】
III族窒化物光電子デバイスおよび透明導電体層は、張り合わされて、窒素雰囲気中で一軸性圧力の下、所定の温度で所定の時間ウェーハ・ボンディングされる。III族窒化物光電子デバイスと透明導電体層はウェーハ・ボンディング用の炉の中に装着され、その炉はNガス流中で1時間600℃の温度に加熱される。
【0016】
この方法は更に、直接ウェーハ・ボンディングの前にウェーハ・ボンディングされる界面の導電率を向上させるステップを備えていても良い。透明導電体層の表面は、ウェーハ・ボンディングされる界面で導電率を向上させるために、ウェーハ・ボンディング工程の前にプラズマ処理されても良い。III族窒化物光電子デバイスの表面は、ウェーハ・ボンディング工程の前に部分的に整形されてもよく、このようにするとウェーハ・ボンディングされる界面が強くなる。
【0017】
この方法は、例えばウェーハ・ボンディング工程の後または前に、異方性エッチングを行うことにより、透明導電体層の表面が粗面化または整形される工程を更に備えてもよい。透明導電体層の表面はZnOのO面であってもよい。異方性エッチングは化学的エッチングであってもよい。エッチングはHCl或いは希釈HClを用いてもよい。本発明は更にこの方法によって作製される光デバイスを開示する。
【0018】
以下、図面を参照する。対応する部分には一貫して同じ参照番号を付与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の好ましい実施形態の説明では、添付の図面を参照する。添付の図面は本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施例を例示するために示す。本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を利用してもよく、構造上の変化を施してもよいことは明らかである。
概要
本発明は(Al,Ga,In)NウェーハとZnOウェーハとを直接ウェーハ・ボンディングして、その後ZnOを整形することによってLEDからの光取り出し効率を増加させる手段を提供することを目的とする。
【0020】
p型GaN上に透明度が高く導電性がある電極の作製、特に表面が特徴的に整形された電極の作製は困難である。従来は、NiとAuの薄い金属層の組み合わせがp電極に対して用いられているが、これは470nm未満の光波長に対してその透過率はわずか60%程度である。
【0021】
一方、ZnOウェーハは(360nm以上の)比較的短い光波長に対して(透過率が80%以上で)透明度が高く導電性がある。
【0022】
ウェーハ・ボンディング(融着)技術を用いると、このZnO材料はGaN関連光デバイス構造に用いることが出来る。更に化学的エッチングによってZnOの表面構造を容易に整形することができ、ZnOから空気中への光の取り出しを改善することができる。
【0023】
光透過率と光取り出しを増加することによってデバイス特性が向上することが期待される。ウェーハ・ボンディング構造を用いる可能性の或る光デバイスは青色LEDおよび紫外LEDを含んでいる。更に、本発明の方法は単純で再現性があり、材料を傷つけない。
技術的な記述
図1は(Al,Ga,In)Nと酸化亜鉛(ZnO)がウェーハ・ボンディングしたLEDのような光デバイス、(Al,Ga,In)NとZnOがウェーハ・ボンディングしたLEDの一つの実施例の断面の概略図である。この実施例において、III族窒化物光電子デバイスあるいはウェーハは、p型III族窒化物(101)と活性領域(102)とn型III族窒化物(103)とを備えたLEDを含んで構成されている。一つ以上のn型ZnO層(104)がIII族窒化物光電子デバイスまたはウェーハの一つ以上の側面(105)にウェーハ・ボンディングされ、少なくとも一つの直接ウェーハ・ボンディング界面(106)を形成する。少なくとも一つのn型電極(107)およびp型電極(108)がウェーハ・ボンディングしたLED上に成膜される。この実施例ではp型電極(108)がn型ZnO(104)上に成膜され、n型電極(107)がn型III族窒化物(103)上に成膜される。
【0024】
図1では、p型III族窒化物(101)、活性領域(102)およびn型III族窒化物(103)はサファイヤ(109)のような適当な基板上に成膜された(Al,Ga,In)N合金から出来ている。
【0025】
化学的エッチングを用いて、露出したZnOウェーハ表面(110)を一つ以上の傾斜した表面(111)に整形して、少なくとも一つの切頂六角錐または円錐(112)を形成する。この傾斜表面(111)は直接ウェーハ・ボンディングした界面(106)に対して臨界角(113)で傾いている。III族窒化物光電子デバイスに、この場合にはp型III族窒化物層(101)にウェーハ・ボンディングしたZnO(104)の面(114)がZn面であることが重要である。そのためZnO表面のO面(115)は整形または粗面化されて、たとえば{10-11}面からなる多面体(116)を形成する傾斜平面(111)を形成することになる。このZnO(104)はc面である。代替としてIII族窒化物ウェーハにウェーハ・ボンディングされる面(114)は有極性方位を持つ面(有極面)であってもよい。
【0026】
p型電極(108)はチタン/アルミニウム/ニッケル/金(Ti/Al/Ni/Au)からなり、少なくとも一つの切頂六角錐または円錐(112)の頂上に成膜される。n型電極(107)はチタン/金(Ti/Au)からなる。図1はまた取り出される光の一つの可能な軌跡(117)を示している。
【0027】
図2は作製されたウェーハ・ボンディングしたLEDの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。この像は一つ以上のZnO層が一つ以上の多面体、この場合は一つ以上の切頂六角錐(200)に整形されて、n型ZnO(202)から出来ている少なくとも一つの切頂六角錐(200)の切り取られた頂上(201)に少なくとも一つのp型電極を備え、またn型電極(203)を備えている好ましい実施形態を示している。
【0028】
図3は作製されたウェーハ・ボンディングしたLEDの写真である。20mAの電流が流れるようにバイアスされており、取り出された光(300)として発光が観測できる。
【0029】
図4は作製されたウェーハ・ボンディングしたLEDの典型的な電気的特性(電圧-電流曲線)である。
【0030】
本発明はIII族窒化物光電子デバイスを備えた(Al,Ga,In)NウェーハとZnOウェーハとを直接ウェーハ・ボンディングするための2つのステップを備えている。第1のステップはボンディングされる両方のウェーハ表面に対して平坦で清潔な表面(例えば厚さ500μmの)を準備するステップである。ZnO基板に関しては、この材料は水熱方法[非特許文献7]で成長される。化学的/機械的研磨とある種の熱処理工程後、c面であるZnOウェーハはアセトンやイソプロピル・アルコールのような数種類の溶剤を用いて洗浄される。
【0031】
(Al,Ga,In)Nは例えばc面(0001)サファイヤのような適当な基板上に有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いて成長される。成長後、ウェーハは数種類の溶剤を用いて洗浄され、その後、HCl中で酸化膜除去が行われる。
【0032】
アセトンとイソプロピル・アルコールを用いた洗浄後のc面ZnO基板の表面形状は図5と図6に示されている。これらは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて得られた像である。
【0033】
図5は第1のステップ後のZn面表面をカラースケールで示した図であり、ZnO基板の表面凹凸を示している。図6は第1のステップ後のZnO基板のO面表面の表面凹凸をカラースケールで示した図である。観測された二乗平均平方根(rms)の凹凸値はそれぞれ0.75nmおよび0.51nmである。ZnOすなわち透明導電体の平坦面はrms凹凸が1nm未満である。
【0034】
図7は溶剤とHClの処理を含む第1ステップの後のGaNの表面形状をカラースケールで示したAFM像である。観測されたrms凹凸は0.55nmである。III族窒化物の平坦な表面は1nm未満のrms凹凸を含んでいる。
【0035】
第2のステップは(Al,Ga,In)NウェーハとZnOウェーハとの間の直接ウェーハ・ボンディングプロセスである。2つのウェーハは一緒に張り合わされて、次に、窒素雰囲気中で一軸性圧力の下、所定の温度で所定の時間ウェーハ・ボンディングされる。
【0036】
図8はグラファイトのボートとねじによる構成を用いて、ZnOウェーハ(801)とGaNウェーハのような(Al,Ga,In)Nウェーハ(802)が8MPaの一軸性圧力下で張り合わされる様子を示す。グラファイトのボートとねじによる構造はカーボン固定冶具(803)を備えている。図8は、また、試料が次にウェーハ・ボンディング用の炉(804)に装着されて、炉(804)がNガス流(805)中で1時間600℃の温度に加熱される様子を示している。炉はNガス流のための入り口(806)と出口(807)と熱電対(808)とを備えている。この熱工程が終わると、2つのウェーハはウェーハ・ボンディングされている。
【0037】
図9と図10はウェーハ・ボンディングした試料の写真を示している。図9ではZnOのZn面 (901)がGaN層のGa面 (902)にウェーハ・ボンディングされている。図10ではZnOのO面(1001)がGaN層のGa面(1002)にウェーハ・ボンディングされている。どちらの場合も、ウェーハ・ボンディング工程の後でも透明なままである。図9と図10で、両ウェーハは同じ寸法である。上のウェーハはZnOであり、下のウェーハはGaNである。
【0038】
直接ウェーハ・ボンディング工程の後、O面ZnO基板は希釈HClを用いて切頂六角錐に整形される。p型電極およびn型電極は電子ビーム蒸着方法を用いて形成される。
【0039】
透明度の高いZnO材料がGaNと直接ウェーハ・ボンディング工程によって集積化する技術は新しく、現存の高輝度LED(HB-LED)の設計により優れている。
他のデバイス構造
図11、12、13、14は(Al,Ga,In)NとZnOとが直接ウェーハ・ボンディングしたLEDを備えた光デバイスの他の例を示す。透明度が高く、表面が特徴的に整形されたZnO構造を用いて、活性領域からの出射光は効率的に取り出される。ZnOは360nm以上の波長で透過率が80%以上であり、高い取り出し効率と導電性を実現することになる。ZnOは透明な導電体の例である。
【0040】
図11(a)および(b)ではウェーハ・ボンディングしたLEDのそれぞれは、例えばサファイヤ基板(1100)のような適当な基板と、n型III族窒化物層(1101)と、III族窒化物活性領域(1102)と、p型III族窒化物層(1103)と、n型ZnO層(1104)と、n型ZnO層(1104)上の少なくとも一つのp型電極(1105)と、およびn型III族窒化物(1101)上の少なくとも一つのn型電極(1106)とを備えている。
【0041】
図11(a)に示した実施例においては、p型III族窒化物層(1103)においてn型ZnO(1104)がLEDにウェーハ・ボンディングされている。図11は、また、LEDから取り出される光の可能な軌跡(1110)を示している。
【0042】
図11(b)に示す実施例では、n型ZnO(1104)はIII族窒化物光電子デバイスとZnO層(1104)との界面(1109)に関して臨界角(1108)を持って傾いている1つ以上の傾斜平面(1107)を備えている。図11(b)は、ZnO層表面(1111)が切頂六角錐に整形されているか、または適当な粗面化によって整形されていることを示す。
【0043】
n型ZnO(1104)の屈折率(~2.1)はその下にあるIII族窒化物、この場合はp型III族窒化物層(1103)の屈折率よりも小さく、臨界角(1108)は透明導電体の屈折率をIII族窒化物の屈折率で割った値で決まる。例えば、下のIII族窒化物が屈折率~2.3のGaNであり、透明導電体が屈折率~2.1のn型ZnOである場合には、臨界角(1108)は~66°である。このようにして内部全反射は抑制され、光取出し効率は増大する。透明導電体の屈折率は通常はp型あるいはn型層である近接のIII族窒化物よりも小さい。臨界角の許容公差は計算値の10%の範囲である。
【0044】
図12(a)および(b)はn型III族窒化物層(1201)と、III族窒化物活性領域(1202)と、p型III族窒化物層(1203)と、n型ZnO層(1204)と、少なくとも1つのp型電極(1205)と、および少なくとも一つのn型電極(1206)とを備えたウェーハ・ボンディングしたLEDの実施例を更に示す。この実施例ではサファイヤを含む適当な基板が除去されている。
【0045】
図12(a)に示した実施例では、n型ZnO(1204)は少なくとも一つの切頂六角錐または円錐(1207)に整形されている。少なくとも一つの切頂錐体または円錐は、III族窒化物光電子デバイスとn型ZnO(1204)との間の界面(1209)に関して臨界角(1210)で傾いている傾斜平面(1208)を備えている。傾斜平面(1208)は{10-11}方向を含んで構成されている。
【0046】
図12(b)に示した実施例では、n型ZnO(1204)は界面(1209)に関して臨界角(1210)で傾いた傾斜平面(1208)を含んで構成されている。矢印(1211)は取り出される光の可能な軌跡を示している。
【0047】
図13はIII族窒化物光電子デバイスの底面に位置して、異なる形状または多面体を含んで構成されているZnOを示す。図13(a)、(b)、および(c)はn型III族窒化物(1301)と、活性領域(1302)と、およびn型ZnO(1304)に直接ウェーハ・ボンディングされるp型III族窒化物(1303)とを備えているLEDを示している。ウェーハ・ボンディングされた構造は更にn型ZnO(1304)上に成膜またはボンディングされたp型電極(1305)と、およびn型III族窒化物(1301)のN面(1307)上に成膜されたn型電極(1306)とを備えている。代替として、n型電極(1306)がGa面上に形成されてもよい。また、図13(a)および13(c)に示すように、(この場合はn型III族窒化物上の)LEDのN面(1307)は光取出しを向上するために整形または粗面化されてもよい[非特許文献8]。矢印(1308)は取り出される光の可能な軌跡を示している。
【0048】
図13(a)に示した実施例においては、n型ZnOは実質的に平行な平面(1309)を持っている。更に、n型III族窒化物(1301)はn型III族窒化物(1301)と活性領域(1302)との間の界面(1312)に関して臨界角(1311)で傾いた傾斜平面(1310)を含んでいる。
【0049】
図13(b)に示した実施例においては、n型ZnO(1304)が、ZnO(1304)とIII族窒化物光電子デバイス、すなわちLEDとの界面(1316)に対して臨界角(1315)で傾いている傾斜平面(1314)を持つ多面体(1313)を含むように整形または粗面化される。
【0050】
図13(c)に示した実施例においては、n型ZnO(1304)が傾斜平面(1314)を備えていて、n型III族窒化物(1301)が傾斜平面(1310)を備えている。
【0051】
図14に示した光デバイスは炭化珪素(SiC)または窒化ガリウム(GaN)のような導電性があり透明な基板を含む適当な基板(1401)と、n型III族窒化物層(1402)と、活性領域(1403)と、p型III族窒化物(1404)と、n型ZnO(1405)と、p型電極(1406)と、およびn型電極(1407)とを備えている。光はLEDから矢印(1408)で示したように取り出される。
【0052】
図15はウェーハ・ボンディングした垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を備えた光デバイスの断面の概略図である。VCSELは2酸化シリコンと酸化タンタル(SiO/Ta)からなる2つの分布ブラッグ反射器(1501)と、n型III族窒化物層(1502)と、活性領域(1503)と、n型ZnO(1505)にウェーハ・ボンディングしたp型III族窒化物(1504)とを備えている。光デバイスはさらに少なくとも一つのp型電極(1506)および少なくとも一つのn型電極(1507)を備えている。VCSELは電流がp型電極(1506)からp型III族窒化物(1504)へ拡がるように流れることができる。矢印(1508)はレーザ発光の方向を示す。
【0053】
図16は、III族窒化物光デバイス、この場合はLED、の両方の面(1603)上に直接ウェーハ・ボンディングされたZnO(1601)、(1602)を含んで構成された一つ以上の透明導電体層の断面の概略図である。
【0054】
LEDはn型III族窒化物層(1604)と、活性領域(1605)と、およびp型III族窒化物(1606)とを備えている。p型ZnO層(1601)およびn型ZnO層(1602)はそれぞれn型III族窒化物(1604)およびp型III族窒化物(1606)にウェーハ・ボンディングされている。図16はまたデバイスから取り出される光の可能な軌跡(1607)を示している。少なくとも一つのn型電極(1608)および少なくとも一つのp型電極(1609)が透明導電体層(1601)(1602)の上部に成膜されている。
【0055】
これら全ての図において、一つ以上の透明導電体層はZnOの代わりに酸化インジウム錫(ITO)、セレン化亜鉛(ZnS)或いはテルル化亜鉛(ZnTe)、酸化ガリウム、および酸化インジウム・ガリウム・亜鉛を備えてもよい。透明導電体層は導電性があり、III族窒化物光電子デバイスの動作する波長に対して透過率が60%より大きい必要がある。高透過率特性により、LED中の光吸収が低減される。導電性の特性により、LED内の活性領域から発する光を均一にすることが出来る。整形または粗面化された透明導電体層はLEDの中で繰り返し起こる光反射を低減し、LEDからより多くの光を取り出す。
【0056】
図17はウェーハ・ボンディングしたLEDの断面の概略図であり、ITO(1701)および(1702)を備えた一つ以上の透明導電体層がIII族窒化物光デバイスの両面にボンディングされる様子を示す。III族窒化物光デバイスはn型III族窒化物(1703)、活性領域(1704)、p型III族窒化物(1705)、および炭化珪素あるいは窒化ガリウムを含む適当な基板(1706)を備えている。一つ以上のn型透明導電体層(1701)および一つ以上のp型透明導電体層(1702)がそれぞれp型III族窒化物(1705)および適当な基板(1706)上にボンディングされる。ウェーハ・ボンディングしたLEDはさらに少なくとも一つのp型電極(1707)および少なくとも一つのn型電極(1708)を備えている
図17は一つ以上の透明導電体層が整形または粗面化される様子を示している。整形された一つ以上の透明導電体層は界面(1711)に対して臨界角(1710)で傾いた一つ以上の透明導電体層(1701)、(1702)の一つ以上の傾斜平面(1709)を備えており、例えば上部に少なくとも一つの電極(1708)を持つ、少なくとも一つの切頂六角錐(1712)を形成している。矢印(1713)は取り出される光の可能な軌跡を示している。
【0057】
図18は、本発明の好ましい実施形態を用いた光取り出し効率の高いLEDの概略図である。一般にLEDは(Al,Ga,In)NとZnOが直接ウェーハ・ボンディングしたLED構造である。
【0058】
この例では、一つ以上のIII族窒化物LEDはサファイヤ基板のような適当な基板(1801)上に成膜されており、III族窒化物LEDはn-GaNのようなn型層(1802)と、活性層(1803)と、及びp-GaNのようなP型層(1804)を備えている。1つ以上のn型電極(1805)はn型層(1802)上に位置している。整形された一つ以上のn型ZnO層(1806)がLEDにウェーハ・ボンディングされている。ZnO(1806)は円錐形(1807)に整形されていて、n型ZnOの切頂円錐(1807)の頂上にp型電極(1808)を持っている。
【0059】
Pt、Al、Ni、Au、Ti、酸化Ni、または酸化Gaのような薄い金属、または酸化金属からなる少なくとも一つの中間コンタクト層(1809)が(Al,Ga,In)Nを含むIII族窒化物光デバイスとZnOウェーハとの間に、ボンディングの前に成膜される。この薄い金属または酸化金属により、ウェーハ・ボンディングされる界面(1810)での電気抵抗を低減することができる。
【0060】
図18において、中間コンタクト層(1809)は、ウェーハ・ボンディングされる前のp型層(1804)上に成膜された交差指型のコンタクト層を備えている。代替の実施例として、中間コンタクト層はn型層上に成膜されても良い。図18では、矢印(1811)はコンタクト層の幾何学的配置を示す上面図(1812)を指している。矢印(1813)はデバイスから出射する光の可能な軌跡を示している。矢印(1814)は円錐(1807)の高さを表す。
【0061】
この実施例において、交差指型のコンタクト層(1809)は格子状にパターンが形成されており、層内の隙間ギャップはLEDを備えたIII族窒化物光電子デバイスからの光を通過させる。コンタクト層は指型、クロスバー型、斜線または行列状のパターンなど、多くの異なるパターンを備えていてもよい。更に、コンタクト層の材料は透明であっても半透明であってもよい。
【0062】
図19は本発明の好ましい実施例による、光取り出し効率の高いLEDの概略図である。このデバイスは図18に示したデバイスと同様であり、サファイヤ基板のような適当な基板(1901)上にLEDを備えていて、III族窒化物LEDはn-GaNのようなn型層(1902)と、活性層(1903)と、およびp-GaNのようなp型層(1904)とを備えている。一つ以上のn型電極(1905)はn型層(1902)上に位置している。一つ以上のn型ZnO層(1906)はLEDにウェーハ・ボンディングされ、例えば円錐(1908)状に整形されたn型ZnO(1906)の最上部にはp型電極(1907)がある。
【0063】
しかしながら、図19では中間コンタクト層(1909)は酸化ニッケルと金(NiO/Au)を含むバルクコンタクト層を備えている。バルクコンタクト層は<200Åの厚さである。矢印(1910)は取り出される光の可能な軌跡を示し、矢印(1911)は円錐(1908)の高さを表す。ZnOを含んで構成される透明導電体の透過率は360nmより長い波長に対して80%より大きいため、取り出し効率が高くなる。
プロセス工程
図20は、光が一つ以上の透明導電体層を通過することを特徴とする直接ウェーハ・ボンディングした光デバイスを作製する方法を表している。
【0064】
ブロック2000は、接合される一つ以上の透明導電体層およびIII族窒化物光デバイスの平坦で清潔な表面を準備するステップを表す。III族窒化物光デバイスは適当な基板上に成長される。透明導電体層はZn(O,Se,Te)、酸化インジウム錫、酸化ガリウム、酸化インジウム・ガリウム・亜鉛、In/SnO(酸化インジウム錫、ITO)を含んで構成されている。接合される一つ以上の透明導電体層の表面はc面ZnOのZn面を含んで構成されている。接合される透明導電体層の表面はc面ZnOのO面を含んで構成されてもよい。III族窒化物光電子デバイス表面はウェーハ・ボンディング工程の前に部分的に整形され、ウェーハ・ボンディングされる界面を強化することができる。
【0065】
ブロック2100は、直接ウェーハ・ボンディングを行う前にウェーハ・ボンディングされる界面の導電率を向上させる工程を表す。直接ウェーハ・ボンディングを行う前に、ウェーハ・ボンディングされる界面の導電率を向上させるために一つ以上の透明導電体層の表面はプラズマ処理を受ける。
【0066】
ブロック2200は、一つ以上の透明導電体層とIII族窒化物光デバイスとの直接ウェーハ・ボンディングを行うステップをあらわす。III族窒化物光電子デバイスと一つ以上の透明導電体層は張り合わされ、つぎに窒素雰囲気中の一軸性圧力下で、所定温度で所定の時間ウェーハ・ボンディングされる。III族窒化物光電子デバイスおよび一つ以上の透明導電体層はウェーハ・ボンディング用の炉内に装着され、その炉はNガス流中で1時間600℃の温度に加熱される。
【0067】
ブロック2300は、ウェーハ・ボンディング工程の後または前に、例えば異方性エッチングによって一つ以上の透明導電体層の表面を粗面化または整形するステップを表す。整形される表面はZnOのO面を含む。異方性エッチングは化学的エッチングを含む。ZnOはHClまたは希釈HClを用いてエッチング出来る。このステップはウェーハ・ボンディング工程の前に行ってもよい。
【0068】
ブロック2400は、p型あるいはn型電極を形成するステップを表す。
【0069】
いくつかのステップは所望のように、削除または付加されてもよい。更に、ステップは別の順番で行われてもよい。この方法を用いて光デバイスが製作される。
可能な変更と変形
(Al,Ga,In)NとZnOとの間の直接ウェーハ・ボンディングの重要な側面は、表面の平坦性と清潔性である。ウェーハ・ボンディングのための理想的な表面を準備するために、研磨、プラズマ処理を含むさまざまな表面処理技術が用いられる。平坦な表面を実現するためには十分に制御された結晶成長も必要である。また、研磨またはエピタキシャル成長技術を用いた平坦な(Al,Ga,In)N表面を得るためのさまざまな改良により、さらに均一なウェーハ・ボンディングが実現できる。
【0070】
ウェーハ・ボンディング工程の前に、(Al,Ga,In)N表面は強いウェーハ・ボンディング用界面を実現する目的で、マイクロチャネルを形成するために部分的に整形されてもよい。
【0071】
ZnOの最上層の表面の導電率は、GaまたはAlを多量にドープしたエピタキシャル層成長、イオン注入、ドーパント拡散、化学的表面処理、および水素プラズマとアルゴンプラズマを含んだプラズマ処理などの方法でバルク部分よりも高い値に変化させることが出来る。分極誘起またはバンドギャップエンジニアリングを用いた界面バリヤの高さの低減は、ウェーハ・ボンディングされた界面での電気抵抗を小さくするためにもまた有用である。
【0072】
白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ti)または金属酸化物(酸化Ni或いは酸化Ga)の非常に薄い金属層を挿入することもまた、ZnOと(Al,Ga,In)Nのウェーハ・ボンディングした界面での導電率を向上させることができる。
【0073】
ZnOの成長方法については、有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシー法(MBE)のような他の技術も追加的な層形成のために用いられる。
【0074】
(Al,Ga,In)N層の成長に関しては、これらの層は色々な適当な基板、特にSiC、Si、GaN、ZnOあるいはAlN上にMOCVDあるいはMBEによって成長される。III族窒化物は、例えばc面などいかなる方位をもっていてもよい。
【0075】
表面処理とボンディング条件に関し、(Al,Ga,In)N層の処理に関してHFも用いることが出来る。ウェーハ・ボンディング工程を強化するためにプラズマ処理を用いることが出来る。ウェーハ・ボンディング工程中の雰囲気のために、Hのような他のガスを用いることも出来る。ウェーハ・ボンディング工程は真空条件下で行うことも出来る。勿論、ウェーハ・ボンディング工程中の温度と一軸性圧力の設定値は変化してもよい。
【0076】
ZnO表面形状の整形にはウェットエッチング方法、ドライエッチング方法、およびはつり方法を用いることも出来る。
【0077】
直接ウェーハ・ボンディングは、他には(Al,Ga,In)NとZn(S,Te)との間、(Al,Ga,In)NとSnOとの間、および(Al,Ga,In)NとIn/SnO(酸化インジウム錫ITO)との間で可能である。ZnOは有極性でも無極性でも良い。
【0078】
LEDに加えて、本発明は光検出器応用、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池のようなその他の光デバイス応用に対応する(Al,Ga,In)NとZnOウェーハのボンディングに適用できる。
利点と改良点
(Al,Ga,In)NとZnOウェーハをボンディングする本発明の方法は新しく、特に発光ダイオード(LED)応用において現存のデバイス設計よりも優れている。ZnOの透明度が高いという特性により、LEDの中の光吸収が低減される。ZnOの導電性はLED中の活性領域からの光の出射を均一にすることができる。整形または粗面化されたZnOはLED内で繰り返し起こっている光反射を低減するため、より多くの光をLEDから取り出すことができる。結果として、この新しいハイブリッドのGaN/ZnO設計によるデバイスの外部量子効率は、必然的に現存のGaNベースのデバイスのそれよりも大きくなる。
【0079】
SiCやGaNのような導電性がある基板上に成長した窒化物LEDと透明ZnO電極との組み合わせは、導電性がある材料上に電極を形成するのが容易であるため、LEDの製作に必要な工程数減らすことができる。
【0080】
光電子デバイス応用を目的とする材料安定性に関し、ZnMgSSeベースのレーザ・ダイオード(LD)は点欠陥のために劣化が起こる。欠陥を低減し、徐々に起こる劣化速度を遅くすることによって、ZnMgSSeベースのLDの信頼性が確立できる[非特許文献9]。ZnOにはこの問題はない。
【0081】
ZnとOの間の結合力はZnとSeの間に比べてより強い。表1はいくつかの材料の電子親和力を示している[非特許文献10]。ZnOの電子親和力は他に比べて大きく、ZnOが安定であることを示している。
【0082】
【表1】
JP0005043835B2_000002t.gif
更に、ZnOの熱伝導率はサファイヤよりも約2倍大きい。そのため、従来のサファイヤの代わりにZnOを基板として用いることによって熱放出も増大できる。表2はいくつかの材料の熱伝導率を示す[非特許文献11]。
【0083】
【表2】
JP0005043835B2_000003t.gif
参考文献
次の参考文献は参照として本発明書中に組み込まれている。
1.Appl.Phys.Lett.56,737-39(1990)
2.Appl.Phys.Lett.64,2839-41(1994)
3.Appl.Phys.Lett.81,3152-54(2002)
4.Jpn.J.Appl.Phys.43,L1275-77(2004)
5.Jpn.J.Appl.Phys.34,L797-99(1995)
6.Jpn.J.Appl.Phys.43,L180-82(2004)
7.J.Cryst.Growth 260,166-70(2004)
8.Appl.Phys.Lett.84,855-857(2004)
9.Proceeding of International Symposium on Blue Laser and Light Emitting Diodes(1996),113
10.New Semiconductor Materials,Characteristics and Properities,Ioffe Physico-Technical Institute,RussianFederation,1998
11.New Semiconductor Materials,Characteristics and Properties,Ioffe Physico-Technical Institute,Russian Federation,1998,Thermochimica Acta 430,155-65(2005)
結論
これで本発明の好ましい実施形態の説明を終える。本発明の一つ以上の実施例に関する上記の記述は、例示のために示された。開示の形態そのものによって本発明を包括または限定することを意図するものではない。多くの変更と変形が上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に添付の請求項によって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】(Al,Ga,In)NおよびZnOを直接ウェーハ・ボンディングしたLED構造の断面の概略図である。
【図2】ウェーハ・ボンディングしたLEDの走査型電子顕微鏡(SEM)の像である。
【図3】ウェーハ・ボンディングしたLEDが発する光の写真である。
【図4】ウェーハ・ボンディングしたLEDの電気的特性(電圧-電流曲線)を示す。
【図5】ZnOウェーハの亜鉛(Zn)面のSRF凹凸をカラースケールで示す原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図6】ZnOウェーハのO面の表面凹凸をカラースケールで示す原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図7】溶剤とHCl処理後の窒化ガリウム(GaN)ウェーハのGa面の表面凹凸をカラースケールで示す原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図8】グラファイトのボートとねじによる構成を用いて、ZnOウェーハとGaNウェーハが8MPaの一軸性圧力の下でボンディングされる様子を示す。
【図9】ウェーハ・ボンディングされたZn面ZnOウェーハとGa面GaN層からなるウェーハ・ボンディング構造の写真である。GaNが下側のウェーハであり、ZnOが上側のウェーハである。
【図10】ウェーハ・ボンディングされたO面ZnOウェーハとGa面GaN層からなるウェーハ・ボンディング構造の写真である。GaNが下側のウェーハであり、ZnOが上側のウェーハである。
【図11】異なったZnOウェーハ形状を持ち、ウェーハ・ボンディングされたLEDの断面の概略図である。図11(a)は長方形のZnOウェーハを示し、図11(b)はいくつかの傾いた平面で構成されたZnO表面を示す。
【図12】異なったZnOウェーハ形状を持ち、サファイヤ基板を取り除きウェーハ・ボンディングされたLEDの断面の概略図である。図12(a)は切頂六角錐を含んで構成されたZnO 表面を示す。図12(b)はいくつかの傾いた平面を含んで構成されたZnO表面を示す。
【図13】LEDの底面側に位置し、異なったZnOウェーハ形状を持つウェーハ・ボンディングしたLEDの断面の概略図である。図13(a)は長方形状をもつZnOウェーハを示す。図13(b)は傾斜した側面を含んで構成されたZnOウェーハを示す。図13(c)は2つの切頂円錐を含んで構成されたZnOウェーハ表面を示す。
【図14】炭化珪素(SiC)基板あるいはGaN基板を含んで構成された、ウェーハ・ボンディングしたLEDの断面の概略図である。
【図15】ウェーハ・ボンディングした垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の断面の概略図である。
【図16】デバイスの両側にボンディングしたZnOまたは透明導電体を含んで構成された、ウェーハ・ボンディングしたLEDの断面の概略図である。
【図17】デバイスの両側にボンディングしたZnOまたは透明導電体(ITO)を含んで構成された、ウェーハ・ボンディングしたLEDの断面の概略図である。
【図18】本発明の好ましい実施形態による光取り出し効率の高いLEDの概略図である。
【図19】本発明の好ましい実施形態による光取り出し効率の高いLEDの概略図である。
【図20】光が一つ以上の透明導電体層を通過することを特徴とする、直接ウェーハ・ボンディングした光デバイスを作製するための方法を示す。
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図8】
2
【図11】
3
【図12】
4
【図13】
5
【図14】
6
【図15】
7
【図16】
8
【図17】
9
【図18】
10
【図19】
11
【図20】
12
【図2】
13
【図3】
14
【図5】
15
【図6】
16
【図7】
17
【図9】
18
【図10】
19