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明細書 :高次シラン組成物および膜付基板の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5604044号 (P5604044)
公開番号 特開2010-159191 (P2010-159191A)
登録日 平成26年8月29日(2014.8.29)
発行日 平成26年10月8日(2014.10.8)
公開日 平成22年7月22日(2010.7.22)
発明の名称または考案の名称 高次シラン組成物および膜付基板の製造方法
国際特許分類 C01B  33/04        (2006.01)
H01L  21/316       (2006.01)
H01L  21/208       (2006.01)
C01B  33/02        (2006.01)
C01B  33/12        (2006.01)
FI C01B 33/04
H01L 21/316 G
H01L 21/208 Z
C01B 33/02 D
C01B 33/12 C
請求項の数または発明の数 8
全頁数 23
出願番号 特願2009-003554 (P2009-003554)
出願日 平成21年1月9日(2009.1.9)
審査請求日 平成23年11月18日(2011.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
発明者または考案者 【氏名】下田 達也
【氏名】松木 安生
【氏名】増田 貴史
個別代理人の代理人 【識別番号】100080609、【弁理士】、【氏名又は名称】大島 正孝
【識別番号】100122404、【弁理士】、【氏名又は名称】勝又 秀夫
【識別番号】100109287、【弁理士】、【氏名又は名称】白石 泰三
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開昭60-251114(JP,A)
特開2008-174416(JP,A)
特開昭60-255613(JP,A)
特開2007-250954(JP,A)
調査した分野 C01B 33/00 - 33/193
H01L 21/208
H01L 21/316
特許請求の範囲 【請求項1】
高次シラン化合物および溶媒を含有する組成物であって、
前記高次シラン化合物が、下記式(2)および(3)
Si2i (2)
Si2j-2 (3)
(上記式中、Xは、それぞれ、水素原子またはハロゲン原子であり、iは3~8の整数であり、jは4~14の整数である。)
のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物に紫外線を照射して得られたものであり、
前記溶媒が、二重結合を1つまたは2つ有し、アルキル基を有さず、炭素および水素のみから構成され、屈折率が1.40~1.51であり、比誘電率が3.0以下であり、そして分子量が180以下である環状炭化水素を含有してなることを特徴とする、高次シラン組成物。
【請求項2】
前記高次シラン組成物における高次シラン化合物の濃度が1~50重量%である、請求項1に記載の高次シラン組成物。
【請求項3】
前記高次シラン組成物における溶媒が、前記環状炭化水素のみからなるものである、請求項1または2に記載の高次シラン組成物。
【請求項4】
前記高次シラン組成物における溶媒が、前記環状炭化水素および分子中にシリコン原子を有する化合物からなる溶媒である、請求項1または2に記載の高次シラン組成物。
【請求項5】
基板上に、請求項1~のいずれか一項に記載の高次シラン組成物を供給する第1の工程と、
該高次シラン組成物から溶媒を除去して高次シラン化合物の被膜を形成する第2の工程とを含むことを特徴とする、膜付基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2の工程の後に、さらに前記高次シラン化合物の被膜に対して非酸化性雰囲気中で熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理を施して前記高次シラン化合物をシリコンに変換してシリコン膜とする第3の工程を有することを特徴とする、請求項に記載の膜付基板の製造方法。
【請求項7】
前記第2の工程の後に、さらに前記高次シラン化合物の被膜に対して非酸化性雰囲気中で熱処理を施して前記高次シラン化合物をシリコンに変換し、次いで該シリコンに対して酸化性雰囲気中で熱処理を施して前記シリコンを酸化シリコンに変換して酸化シリコン膜とする第3の工程を有することを特徴とする、請求項に記載の膜付基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2の工程の後に、さらに前記高次シラン化合物の被膜に対して酸化性雰囲気中で熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理を施して前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変換して酸化シリコン膜とする第3の工程を有することを特徴とする、請求項に記載の膜付基板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高次シラン組成物および膜付基板の製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
集積回路や薄膜トランジスタ等に応用されるシリコン膜(アモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜等)のパターン形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相プロセスにより全面にシリコン膜を形成した後、フォトリソグラフィーにより不要部分を除去するプロセスで行われるのが一般的である。
しかしながら、この方法では、気相プロセスを用いるため、大掛かりな装置が必要であること、原料の使用効率が悪いこと、原料が気体であるため扱いにくいこと、大量の廃棄物が発生すること等という問題がある。
そこで、液相プロセスを用いるシリコン膜の形成方法の検討が行われ、例えば液体状のシラン化合物(例えば、シクロペンタシラン)と、この液体状のシラン化合物に紫外線を照射することによって光重合させた高次シラン化合物と、デカリン、テトラリン、メチルナフタレン、トルエン、デカン、オクタン、キシレン、ベンゼン等の溶媒とを含有する高次シラン組成物を用い、この高次シラン組成物を基板上に塗布し、溶媒を除去した後、熱処理することによってシリコン膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記の高次シラン化合物は、この高次シラン組成物に用いられる溶媒に対する溶解性が低い。すなわち、高次シラン組成物に用いられる溶媒単独では、シリコン膜に必要な膜厚を形成するための十分な高濃度と高分子量の高次シラン化合物をこの溶媒中に溶解させることができない。これに対して、高次シラン化合物は、上述した液体状のシラン化合物(低次シラン化合物)に対して可溶であり、さらに、この低次シラン化合物は、前記溶媒に対して可溶である。そのため、特許文献1に記載の高次シラン組成物では、高次シラン化合物を低次シラン化合物と共存させることにより、溶媒中に高次シラン化合物が溶存する状態を作出している。すなわち、特許文献1の高次シラン組成物は、高次シラン化合物が前記溶媒と低次シラン化合物との混合溶媒中に溶解していると理解することも可能である。
このような高次シラン組成物において、高次シラン化合物の含有率と分子量を高くしようとすると、低次シラン化合物の含有率を高くする必要があるが、低次シラン化合物は酸素活性が高く、なおかつ蒸気圧が高いため、混合溶媒が不安定となるという問題がある。
このような事情により、高次シラン組成物において、安定性、安全性に優れ、且つ所望の膜厚で良質な膜を形成するのに十分な濃度と分子量の高次シラン化合物を含有する高次シラン組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2003-313299号公報
【特許文献2】特開2000-31066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、液相プロセスを用いて、所望の膜厚で良質の膜を形成することができ、しかも安定な高次シラン組成物および基板上に所望の膜厚で良質な膜を形成することのできる膜付基板の製造方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0005】
このような本発明の目的および利点は、第1に、
高次シラン化合物および溶媒を含有する組成物であって、
前記高次シラン化合物が、下記式(2)および(3)
Si2i (2)
Si2j-2 (3)
(上記式中、Xは、それぞれ、水素原子またはハロゲン原子であり、iは3~8の整数であり、jは4~14の整数である。)
のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物に紫外線を照射して得られたものであり、
前記溶媒が、二重結合を1つまたは2つ有し、アルキル基を有さず、炭素および水素のみから構成され、屈折率が1.40~1.51であり、比誘電率が3.0以下であり、そして分子量が180以下である環状炭化水素を含有してなる高次シラン組成物によって達成される。
本発明の目的および利点は、第2に、
基板上に、上記の高次シラン組成物を供給する第1の工程と、
該高次シラン組成物から溶媒を除去して高次シラン化合物の被膜を形成する第2の工程とを含む膜付基板の製造方法によって達成される

【発明の効果】
【0006】
本発明の高次シラン組成物は、所望の膜厚で良質の膜を形成することができ、しかも安定である。
本発明の膜付基板の製造方法は、所望の膜厚で良質のシリコン膜または酸化シリコン膜を、簡易な液相プロセスにより容易に形成することができる。
本発明を適用して製造される電気光学装置および電子デバイスは、それぞれ信頼性に優れるものである。

【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の<工程1A>で使用したシクロペンタシラン、実施例1の<工程3A>で得た高次シラン化合物および実施例3で得た高次シラン化合物のGPC-MALLSチャートである。これらのチャートは、GPCで分離したものをそのままMALLSで測定したデータを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の高次シラン組成物および膜付基板の製造方法、ならびに本発明を適用して製造される電気光学装置および電子デバイスについて、好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<高次シラン組成物>
先ず、本発明の高次シラン組成物について説明する。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物および溶媒を含有する。
[高次シラン化合物]
本発明における高次シラン化合物は、後述の低次シラン化合物の重合体である。この高次シラン化合物は、非酸化性雰囲気中における熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理により、シリコン(アモルファスシリコンまたは多結晶シリコン)に;
酸化性雰囲気中における熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理により、酸化シリコンに、それぞれ変換される化合物である。
この高次シラン化合物は、その沸点が分解温度よりも高いことが好ましい。これにより、高次シラン化合物を焼成し、シリコンまたは酸化シリコンに変換して、シリコン膜または酸化シリコン膜を得る際に、シリコンまたは酸化シリコンに十分に変換する前に、高次シラン化合物が気化(蒸発)して、失われるのを回避することができる。なお、実際に沸点が分解温度より高い高次シラン化合物を加熱すると、沸点に達する以前に分解してしまうため、その沸点を実測することはできない。従って、ここで言う「沸点」とは、蒸気圧の温度依存性や、理論計算によって求めた理論値としての沸点(常圧)を意味する。


【0009】
このような高次シラン化合物は、好ましくは下記組成式(1)
SiX (1)
(上式中、Xは水素原子またはハロゲン原子であり、mは1~3の数である。)
で表される元素比を有する高分子化合物である。mは、より好ましくは1.5~2.5である。
上記高次シラン化合物の重合度、すなわち1分子の高次シラン化合物中に含まれるケイ素原子の数n、の平均値は、5以上であることが好ましく、より好ましくは8~400であり、さらに10~250であることが好ましい。この重合度nの平均値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー-多角度光散乱分析(GPC-MALLS)により測定された絶対分子量の重量平均値(重量平均絶対分子量)をSiX(ただし、Xは上記式(1)におけるのと同じ意味である。)の式量で除した値として、計算により求めることができる。
高次シラン化合物の融点、沸点および基板への密着性、高次シラン化合物を含む高次シラン組成物の基板に対する濡れ性、および粘度はそのnの大きさに依存し、前記高次シラン化合物の重合度nが大きいもの(すなわち、分子量が大きいもの)程、高次シラン化合物の融点、沸点、および基板への密着性、高次シラン組成物の粘度が高くなる傾向を示し、高次シラン組成物の酸素に対する活性が低くなる傾向を示す。このため、上記のnの平均値が前記範囲である高次シラン化合物(分子量の大きい高次シラン化合物)を用いることにより、後述する膜を形成する工程において、均一な膜厚かつ均質な膜を確実に形成することができる。さらに、かかる分子量の大きい高次シラン化合物は、反応性が低いことから、取り扱いが容易であるという利点もある。しかし前記nの平均値が400を超えるものは、固体状の硬い塊となり、秤量が困難になるために好ましくない。

【0010】
このような高次シラン化合物の製造方法は高次シラン化合物の前駆体である低次シラン化合物(例えばシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物等)を出発原料とし、この低次シラン化合物を好ましくは溶液中で重合させる方法である。本発明において、低次シラン化合物とは、このものを重合させることにより高次シラン化合物が得られるものであり、常温、常圧下において気体または液体の状態にあるものが好ましく用いられる。かかる低次シラン化合物としては、例えば光照射、電子線照射、加熱等によって重合して、高次シラン化合物となるものが挙げられるが、光照射(特に、紫外線照射)によって高次シラン化合物に変換するもの(光重合性を有するもの)が好適に用いられる。かかる低次シラン化合物を出発原料とすることにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
上記光重合性を有する低次シラン化合物は、分子中に1個以上の環状構造を有するシラン化合物またはハロゲン化シラン化合物のうちの、下記式(2)および(3)
Si2i (2)
Si2j-2 (3)
(上記式中、Xは、それぞれ、水素原子またはハロゲン原子であり、iは3~8の整数であり、jは4~14の整数である。)
のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物である。

【0011】
上記式(2)で表される化合物は、分子中に環状構造を1個有するシラン化合物またはハロゲン化シラン化合物であり、上記式(3)で表される化合物は、分子中に環状構造を2個有するシラン化合物またはハロゲン化シラン化合物である。
このような低次シラン化合物の具体例としては、上記式(2)で表されるものとして、例えばシクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等を;
上記式(3)で表されるものとして、例えば1,1’-ビシクロブタシラン、1,1’-ビシクロペンタシラン、1,1’-ビシクロヘキサシラン、1,1’-ビシクロヘプタシラン、1,1’-シクロブタシリルシクロペンタシラン、1,1’-シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1,1’-シクロブタシリルシクロヘプタシラン、1,1’-シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1,1’-シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1,1’-シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、スピロ[2.2]ペンタシラン、スピロ[3.3]ヘプタタシラン、スピロ[4.4]ノナシラン、スピロ[4.5]デカシラン、スピロ[4.6]ウンデカシラン、スピロ[5.5]ウンデカシラン、スピロ[5.6]ドデカシラン、スピロ[6.6]トリデカシラン等を、それぞれ挙げることができる。これらの化合物の水素原子の一部または全部をSiH基やハロゲン原子に置換した化合物であってもよい。上記式(2)におけるiは、好ましくは3~7の整数であり、上記式(3)におけるjは、好ましくは4~7の整数である。これらの化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの低次シラン化合物は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。

【0012】
低次シラン化合物としては、上記式(2)で表される化合物が好ましく、特にシクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシクロヘプタシランよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが、以上の理由に加えてさらに合成および精製が容易であるという観点から特に好ましい。
なお、上記の如き低次シラン化合物は、紫外線照射による光重合プロセスを阻害しない範囲で、必要に応じて、ペンタシラン、ヘキサシラン、ヘプタシラン、ポリジヒドロシラン等の、環状構造を有さないシラン化合物や、ホウ素原子、リン原子等により変性された変性シラン化合物等を含有していてもよい。かかる任意的に使用される環状構造を有さないシラン化合物、変性シラン化合物等の含有割合としては、低次シラン化合物との合計に対して好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。
低次シラン化合物を重合させる溶液中に含まれる溶媒としては、特に限定されないが、例えば炭化水素溶媒、エーテル溶媒、極性溶媒等を挙げることができる。
上記炭化水素溶媒の具体例としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワラン等を;
上記エーテル溶媒の具体例としては、例えばジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、p-ジオキサン等を;
上記極性溶媒の具体例としては、例えばプロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等を、それぞれ挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。

【0013】
低次シラン化合物に照射する紫外線としては、低次シラン化合物を確実に重合させることができ、また、前記溶媒を分解しない波長の光であるのが好ましい。ここで、「溶媒を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって溶媒分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。200~500nmであるのが好ましく、254~420nmであるのがより好ましい。かかる波長域の紫外線を用いることにより、前駆体を確実に重合させることができるとともに、後述するように、高次シラン化合物を単離する際に、溶媒に起因する炭素原子等の不純物原子が、固体状態の高次シラン化合物中に混入するのを防止することができる。その結果、この高次シラン化合物を用いて形成される膜の特性の劣化を防止することができる。
紫外線の照射強度は、特に限定されないが0.1~5,000mW/cm程度が好ましく、0.5~3,000mW/cm程度がより好ましい。紫外線の照射時間は、特に限定されないが10秒~20時間程度であるのが好ましく、10分~10時間程度であるのがより好ましい。このような照射強度および照射時間で紫外線を照射することにより、前述の好ましい重合度nの範囲に分布のピークを有する高次シラン化合物、すなわち適正な分子量分布を有する高次シラン化合物を得ることができる。
得られる高次シラン化合物の分子量分布は、照射する紫外線の波長、照射強度および照射時間によって制御することができる。上記の如き照射条件で紫外線を照射することにより、前述の適正な重合度nの範囲に分布のピークを有する高次シラン化合物、すなわち適正な分子量分布を有する高次シラン化合物を得ることができる。

【0014】
低次シラン化合物が重合することにより得られた高次シラン化合物を含有する溶液から高次シリコン化合物を単離する場合には、例えば、次のようにすればよい。
すなわち、溶液中に高次シラン化合物が溶解している場合には、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)法等を用いることにより、高次シラン化合物を単離(分離精製)することができ、溶液から、高次シラン化合物が析出している場合には、例えば、マイクロフィルターを用いる濾過法等を用いることにより、析出した高次シラン化合物を単離することができる。すなわち、低次シラン化合物が残存する溶液中から高次シラン化合物を単離することができる。
このようなこの高次シラン化合物は、常温、常圧において液体または固体状態を保つ限り、低次シラン化合物が少量含まれていてもよい。この低次シラン化合物としては、高次シラン化合物の出発原料として上記に例示したものと同じ化合物を例示することができる。かかる低次シラン化合物を併用する場合、その使用割合は、高次シラン化合物との合計に対して50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。

【0015】
[溶媒]
本発明の高次シラン組成物における溶媒は、二重結合を1つまたは2つ有し、アルキル基を有さず、炭素および水素のみから構成され、屈折率が1.40~1.51であり、比誘電率が3.0以下であり、そして分子量が180以下である環状炭化水素を含有してなるものである。上記屈折率は、20℃におけるNaD線(平均波長λ=598.26nm)に対する値(N20)を表す。比誘電率は20℃における値を表す。
上記した如き高次シラン化合物は、例えば飽和炭化水素重合体を溶解するために好適に用いられるデカリン、テトラリン、メチルナフタレン、トルエン、デカン、オクタン、キシレン、ベンゼン等の汎用溶媒に対する溶解性が低いという問題がある。
これは、高次シラン化合物が、同じ構造の飽和炭化水素と比較して、その分子構造中の炭素原子がシリコン原子に置換されていることに起因していると考えられる。
すなわち、分子構造中に含まれる原子の体積[ν]は、下記数式(1)に示すように、電子分極率[α]と関連付けられる。この式はLorenz-Lorentz式として知られている。

【0016】
【数1】
JP0005604044B2_000002t.gif

【0017】
(数式(1)中、εは真空の誘電率であり、Nは屈折率である。)
さらに、電子分極率[α]は下記数式(2)に示すように、二つの同一種の粒子間に働く凝集エネルギー[U](ロンドン分散力[w(r)London])と比例関係にある。この式はロンドンの式として知られている。

【0018】
【数2】
JP0005604044B2_000003t.gif

【0019】
(数式(2)中、hはプランク定数であり、υは最外殻電子が持つ吸収振動数であり、εは真空の誘電率であり、rは粒子間距離であり、ただし粒子の形状は球であるとする。)
従って、凝集エネルギー[U]は下記数式(3)に示すように、原子の体積[ν]、最外殻電子が持つ吸収振動数[υ]および屈折率Nの関数である。

【0020】
【数3】
JP0005604044B2_000004t.gif

【0021】
最外殻電子が持つ吸収振動数[υ]は分子構造中の二重結合の数および共役構造の有無によって大きく変化する。また、屈折率[N]は二重結合の数、共役構造の有無および分子の大きさによって変化する。これらのことから、分子構造中の炭素原子がシリコン原子に置換されて、原子の大きさ、最外殻の電子状態および屈折率が変化したために、分子構造中の凝集エネルギーが大きく変化し、その結果溶解性が著しく変化したためと考えられる。
高次シラン化合物のように、比誘電率が小さな、具体的にはその値が10以下の低極性物質、非極性物質の間に働く力を考える場合には、分子分極率の影響力は電子分極率の影響力と比較し、無視できるほど小さい。そのため低極性物質、非極性物質の凝集エネルギーは電子分極率に由来するロンドン分散力と等価であると考えることができる。高次シラン化合物のような低極性物質、非極性物質を溶媒に溶解させるには、溶媒も同様に低極性物質、非極性物質である必要がある。
溶媒に対する高次シラン化合物の分散自己エネルギー(dispersion self-energy)[△μdispersion]、すなわち高次シラン化合物を溶媒中に移すときの化学ポテンシャルの変化は、高次シラン化合物の凝集エネルギーをU、溶媒の凝集エネルギーをUとしたとき、下記数式(4)で表される関係を有することから、高次シラン化合物の凝集エネルギーと溶媒の凝集エネルギーの差が小さくなるほど、分散自己エネルギーが小さくなる、すなわち凝集エネルギーの差が小さくなるほど、高次シラン化合物が溶媒に溶解しやすくなることが判った。

【0022】
【数4】
JP0005604044B2_000005t.gif

【0023】
すなわち、高次シラン化合物を溶媒に溶解させるには、使用する溶媒の凝集エネルギーUを最適な値に調整する必要があることが判った。高次シラン化合物のように誘電率の小さな物質を溶媒中に溶解するには、溶媒として、高次シラン化合物と同様に誘電率[ε]が小さく、凝集エネルギーの大きさと相関のある屈折率[N]、原子の大きさ[ν]、つまりここでは原子の集合体である分子の大きさ[Mw]と、最外殻電子が持つ吸収振動数[υ]、つまり二重結合の数が最適な値であり、さらに上記の説明の前提となっているように形状が球もしくは球に近い形状または対称性のよい構造のものを選択する必要があることが判った。
そして、本発明における高次シラン化合物の溶解性について本発明者らが鋭意検討を行った結果、二重結合を1つまたは2つ有し、アルキル基を有さず、炭素および水素のみから構成され、屈折率が1.40~1.51であり、比誘電率が3.0以下であり、そして分子量が180以下である環状炭化水素が、上記高次シラン化合物を好適に溶解しうることが判ったのである。このような環状炭化水素は、その活性が低いことから、溶媒の取り扱いが容易となり、高次シラン組成物としての安全性を向上し得る利点のあることも明らかになった。なお、上記アルキル基とは、1価の飽和炭化水素基をいう。また、上記環状炭化水素が非局在化した二重結合を有する場合の二重結合の数は、当該環状炭化水素の極限構造式のうち二重結合を最も多く有する極限構造式における二重結合の数をいう。
上記環状炭化水素における二重結合の数は、1つであることが好ましい。このことにより、屈折率[N]および吸収振動数[υ]の値が変化し、最適な凝集エネルギーの値をとるようになる。
上記環状炭化水素は、アルキル基を有さない。アルキル基が環に結合した構造は、局所的な分極が発生する。そこで、アルキル基を有さない環状構造とすることにより、極性による溶解度への悪影響を防ぐことができる。またアルキル基のような枝構造が分子構造中に含まれないことで、分子構造の対称性が向上することとなる。

【0024】
上記環状炭化水素は、構成元素が炭素および水素のみである。炭素原子および水素原子のみからなる構造を持つ分子は極性が低く、極性による溶解度への悪影響を防ぐことができる。
上記環状炭化水素は、その分子量が180以下である。上記環状炭化水素の分子量は、60~160であることがより好ましく、65~120であることがさらに好ましい。これにより最適な凝集エネルギーの値を示す分子の大きさとなる。
上記環状炭化水素は、環状の構造を有する。分子が環状構造をとることにより、分子構造の対称性が向上する。分子構造が対称的になることで極性が低くなり、極性による溶解度への悪影響を防ぐことができる。上記環には単環および多環が含まれ、多環の例としては、例えば縮合環、架橋環、架橋縮合環等を挙げることができる。
上記環状炭化水素は、その屈折率が1.40~1.51である。上記環状炭化水素の屈折率は、1.41~1.50であることがより好ましく、1.42~1.49であることがさらに好ましい。屈折率がこの範囲にあることにより、最適な凝集エネルギーの値をとるようになる。
上記環状炭化水素は、その比誘電率が3.0以下である。上記環状炭化水素の比誘電率は、2.5以下であることがより好ましく、2.3以下であることがさらに好ましい。比誘電率が小さいほど、極性による溶解度への悪影響を防ぐことができる。

【0025】
かかる環状炭化水素の好ましい具体例としては、例えば1,2,3,4,4a,5,6,8a—オクタヒドロナフタレン、1,2,3,4,5,6,7,8,-オクタヒドロナフタレン、1,2,3,4,5,8-ヘキサヒドロナフタレン、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロナフタレン、1,2,4a,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン、2,3,3a,4,5,7a-ヘキサヒドロ-1H-インデン、2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-インデン、2,3,3a,4,5,6-ヘキサヒドロ-1H-インデン、2,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン、2,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-インデン、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-インデン、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-インデン、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インデン、4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデン、1,2,3,3a-4,6a-ヘキサヒドロペンタレン、1,2,3,3a,4,5-ヘキサヒドロペンタレン、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロペンタレン、1,2,3,4-テトラヒドロペンタレン、1,2,6,6a-テトラヒドロペンタレン、1,3a,6,6a-テトラヒドロペンタレン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロブタ-1,2-ジエン、シクロブタ-1,3-ジエン、シクロペンテン、シクロペンタ-1,2-ジエン、シクロペンタ-1,3-ジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサ-1,2-ジエン、シクロヘキサ-1,3-ジエン、シクロヘキサ-1,4-ジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタ-1,2-ジエン、シクロヘプタ-1,3-ジエン、シクロヘプタ-1,4-ジエン、シクロオクテン、シクロオクタ-1,2-ジエン、シクロオクタ-1,3-ジエン、シクロオクタ-1,4-ジエン、シクロオクタ-1,5-ジエン、シクロノネン、シクロノナ-1,2-ジエン、シクロノナ-1,3-ジエン、シクロノナ-1,4-ジエン、シクロノナ-1,5-ジエン、シクロデセン、シクロデカ-1,2-ジエン、シクロデカ-1,3-ジエン、シクロデカ-1,4-ジエン、シクロデカ-1,5-ジエン、シクロデカ-1,6-ジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1,3-ジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2,5-ジエン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-1,2-ジエン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-1,5-ジエン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-1,4-ジエン、1,1’-ビ(シクロヘキサ-3-エン)、1-シクロヘキシルシクロヘキサ-1,4-ジエン、5-シクロヘキシルシクロヘキサ-1,3-ジエン、(1R,6S)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-3-エン、(1R,6S)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-3,7-ジエン等を挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。

【0026】
上記環状炭化水素としては、二重結合を1つ有し、アルキル基を有さず、炭素および水素のみから構成され、屈折率が1.42~1.49であり、比誘電率が2.3以下であり、そして分子量が65~120である環状炭化水素が、最も好ましい。このことにより、高次シラン化合物の重合度nが大きい場合、例えばnの平均値が150以上の場合であっても、高次シラン化合物を10重量%以上の濃度で確実に溶解することが可能となる。
本発明の高次シラン組成物における溶媒は、上記の如き環状炭化水素のみからなっていてもよく、あるいは上記環状炭化水素と他の溶媒とを併用する混合溶媒であってもよい。ここで使用することのできる他の溶媒としては、特に限定されないが、分子中にシリコン原子を有する化合物を用いることが好ましい。かかる溶媒は、対応する構造の炭化水素溶媒に比べて凝集エネルギーが大きく、高次シラン化合物に近い凝集エネルギーを有するために混合溶媒の凝集エネルギーを調整するために、特に好適に用いることができる。
このような分子中にシリコン原子を有する化合物としては、例えばビス(インデニル)ジメチルシラン、ブロモメチルトリメチルシラン、ブロモフェニルトリクロロシラン、t-ブチルジフェニルクロロシラン、t-ブチルジフェニルシアノシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ジアリルジフェニルシラン、ジクロロフェニルトリクロロシラン、ジエチルジフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、フェニルエチニルジメチルシラン、(フェニルセレノメチル)トリメチルシラン、テトラブロモシラン、テトラフェノキシシラン、1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、ビニルジフェニルクロロシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン等を挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。

【0027】
高次シラン組成物における溶媒を上記環状炭化水素と分子中にシリコン原子を有する化合物との混合溶媒とする場合、その混合比率は、特に限定されないが、環状炭化水素:分子中にシリコン原子を有する化合物の容積比として99:1~20:80程度であるのが好ましく、95:5~90:10程度であるのがより好ましい。両者の比率を前記範囲内とすることにより、取り扱いが容易で、混合溶媒の凝集エネルギーの値を容易に調整することができる。
本発明の高次シラン組成物における溶媒としては、上記環状炭化水素のみからなるものであるか、あるいは上記記環状炭化水素および上記分子中にシリコン原子を有する化合物からなる混合溶媒であることが好ましい。溶媒として上記環状炭化水素のみを用いることにより、組成物が低次シラン化合物を含有しない場合でも高次シラン化合物の濃度の高い安定な組成物を調製することができ、後述する膜付基板の製造方法において、比較的容易に所望の膜厚の膜を形成することができることとなり、好ましい。一方、溶媒として上記記環状炭化水素および上記分子中にシリコン原子を有する化合物からなる混合溶媒を使用することにより、溶媒の凝集エネルギーを容易に調整することができることとなり、好ましい。

【0028】
[その他の添加剤]
本発明の高次シラン組成物は、上記の如き高次シラン化合物および溶媒を必須の成分として含有するが、本発明の効果を減殺しない限り、さらにその他の添加剤を含有することができる。かかるその他の添加剤としては、例えばドーパント源、表面張力調節剤等を挙げることができる。
上記ドーパント源としては、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素(リン、ホウ素、砒素等の元素)を含む物質を挙げることができる。本発明の高次シラン組成物がこのような物質を含有することにより、これら元素がドープされたシリコン膜、すなわちn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。ドーパント源としては、例えば特許文献2(特開2000-31066号公報)に挙げられているような物質が例示できる。高次シラン組成物におけるドーパント源の濃度は、得られるシリコン膜において最終的に必要なドーパント濃度に応じて適宜選択される。
上記表面張力調節剤としては、例えばフッ素系、シリコーン系、ノニオン系等の各種界面活性剤を使用することができる。これら表面張力調節剤を添加することにより、高次シラン組成物の基板に対する濡れ性が向上し、基板上に形成される液状被膜のレベリング性を改善して、形成される膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を防止することができる。

【0029】
[高次シラン組成物]
本発明の高次シラン組成物は、上記の如き高次シラン化合物および任意的に使用されるその他の添加剤が、上記の如き特定の溶媒に溶解された溶液状態として調製される。
本発明の高次シラン組成物における高次シラン化合物の濃度(含有量)は、目的とする膜厚等によって適宜に設定されるべきであるが、1~50重量%程度であることが好ましく、5~45重量%程度であることがより好ましい。高次シラン化合物の濃度を前記範囲とすることにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られることとなる。また、かかる範囲内で、高次シラン化合物の濃度を適宜設定することにより、形成される高次シラン化合物膜の膜厚を所望の値に設定することができる。
以上のようにして調製された高次シラン組成物の粘度(常温)は、0.4~100mPa・s程度であることが好ましく、0.5~20mPa・s程度であることがより好ましい。これにより、十分な膜厚を有し、かつ、均一な膜厚の膜を得ることができる。高次シラン組成物の粘度は、高次シラン化合物の分子量分布、濃度、溶媒の種類等を選択することによって容易に調整することができる。

【0030】
<膜付基板の製造方法>
次に、上述した高次シラン組成物を用いて膜付基板を製造する、本発明の膜付基板の製造方法について説明する。
本発明の膜付基板の製造方法は、少なくとも本発明の高次シラン組成物を供給して高次シラン組成物の液状被膜を形成する第1の工程と、該高次シラン組成物から溶媒を除去して高次シラン化合物の被膜を形成する第2の工程と、を含み、好ましくは前記第2の工程の後に、さらに前記高次シラン化合物の被膜に対して熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理を施す第3の工程を有する。

【0031】
[第1の工程]
本発明の膜付基板の製造方法を適用する上記基板としては、特に限定されないが、例えば石英基板、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等よりなるガラス基板;金、銀、銅、シリコン、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等よりなる金属基板;これらの金属またはその酸化物もしくは混合酸化物(例えばITO等の透明電極)等を表面に有するガラス基板またはプラスチック基板等を使用することができる。
かかる基板上に本発明の高次シラン組成物を供給するには、例えば塗布法によることができ、具体的には例えばスピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、液滴吐出法等の適宜の塗布方法を採用することができる。
ここで、液滴吐出法とは、高次シラン組成物の液滴を所望の領域に吐出することにより、高次シラン組成物の液状被膜を所望のパターンで形成する方法である。
上記液滴吐出法は、高次シラン組成物が吐出時に噴霧されるものであってもよく、高次シラン組成物の1滴1滴が連続するように吐出されるものであってもよい。スピンコート法を用いる場合のスピナーの回転数は、目的とする膜厚、高次シラン組成物の組成等によっても若干異なるが、100~5,000rpm程度であるのが好ましく、300~3,000rpm程度であるのがより好ましい。
基板上に高次シラン組成物を供給する際には、高次シラン組成物が固化または高次シラン化合物が析出しない温度の範囲で行うのが好ましい。この範囲の温度では高次シラン組成物の供給を良好に行うことができる。
基板上への高次シラン組成物の供給は、水や酸素の含有量を低減した雰囲気で行うのが好ましく、溶媒や添加物も、水や酸素の含有量を低減させたものを用いるのが好ましい。雰囲気や溶媒、添加物の水や酸素の含有量を低減させることにより、高次シラン化合物が、水や酸素と反応して、変性するのを確実に防止することができる。
本発明の高次シラン組成物は、基板に対する濡れ性が高く、均一な液状被膜を容易に形成することができる。

【0032】
[第2の工程]
次いで、高次シラン組成物からなる液状被膜が形成された基板を好ましくは加熱することにより、液状被膜中から溶媒を除去して、基板上に高次シラン化合物からなる被膜を形成する。
ここで、加熱温度は、溶媒を効率よく気化して除去し得るように、溶媒の種類、雰囲気等によって、適宜設定される。これにより、得られる膜の膜厚が不均一となることや、溶媒に由来する元素が不純物として残存してしまうのを好適に防止することができる。基板の加熱温度は、50℃以上250℃未満程度であるのが好ましく、80~200℃程度であるのがより好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5~180分であり、より好ましくは1~120分である。
この加熱は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下や、減圧状態のような非酸化性雰囲気下で行うのが好ましい。これにより、この段階における高次シラン化合物の変質をより確実に防止することができる。

【0033】
[第3の工程]
次いで上記のようにして形成された高次シラン化合物からなる被膜に対して熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理を施す。
この第3の工程を行う際の雰囲気を非酸化性雰囲気とすることにより、前記高次シラン化合物はシリコンに変換され、シリコン膜を有する膜付基板を得ることができる。一方、第3の工程を、以下の2段階で行うことにより、酸化シリコン膜を有する膜付基板を得ることができる。すなわち、先ず非酸化性雰囲気中で熱処理を施して前記高次シラン化合物をシリコンに変換し、次いで該シリコンに対して酸化性雰囲気中で熱処理を施して前記シリコンを酸化シリコンに変換する方法である。さらに、第3の工程を行う際の雰囲気を酸化性雰囲気とすることによっても、前記高次シラン化合物は酸化シリコンに変換され、酸化シリコン膜を有する膜付基板を得ることができる。
シリコン膜を有する膜付基板を製造する場合、第3の工程は、加熱処理によるか、あるいは加熱処理後に光照射処理を行うことが好ましい。
上記加熱処理は、高次シラン化合物の分解温度より高い温度で行われる。これにより、高次シラン化合物が分解してシリコンに変換する。
ここで、得られるシリコン膜の結晶性は、熱処理の温度により制御することができる。
例えば、熱処理を、到達温度が550℃を超えるようにして行った場合、好ましくは550℃を超えて1,200℃以下となるようにして行った場合には、多結晶状のシリコン膜(多結晶シリコン膜)を有する膜付基板を得ることができる。

【0034】
また、熱処理を、到達温度が550℃以下となるようにして行った場合、アモルファス状のシリコン膜(アモルファスシリコン膜)を得ることができる。この場合の到達温度は、具体的には250~450℃程度であるのが好ましく、300℃~400℃程度であるのがより好ましい。到達温度が前記下限値未満の場合、高次シラン化合物の熱分解が十分に進行せず、加熱処理後に大気中に出した際に酸化されてしまうおそれがある。
熱処理の時間は、特に限定されないが、10~240分程度であるのが好ましく、30~180分程度であるのがより好ましい。
上記非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気や、水素等の還元性雰囲気等が挙げられる。
上記のようにしてアモルファスシリコン膜を形成した後、光照射処理を行うことにより、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)を得ることができる。この場合、用いる光源としては、例えば、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等のエキシマレーザー等が挙げられる。このうち、レーザー光を用いるのが好ましい。これにより、アモルファスシリコン膜を効率よく多結晶化することができる。これらの光源の出力は、10~5,000W程度であるのが好ましく、100~1,000W程度であるのがより好ましい。これらの光源の波長は、高次シラン化合物が多少でも吸収するものであればよく、特に限定されないが、通常、170~600nm程度のものが好適に用いられる。照射量は、好ましくは10~600mJ/cmであり、より好ましくは200~400mJ/cmである。
光照射処理の際の雰囲気は、特に限定はされない。
光照射処理時の温度は、好ましくは室温~1,500℃程度の範囲で目的とするシリコン膜の半導体特性に応じて適宜に選択される。
上記のようにして得られたアモルファスシリコン膜または多結晶シリコン膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、前記アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンを酸化シリコンに変換して、主として酸化シリコンからなる酸化シリコン膜を有する膜付基板を得ることができる。この場合、加熱温度は、300~550℃程度であるのが好ましく、350℃~500℃程度であるのがより好ましい。この場合の加熱時間は、特に限定されないが、10分から20時間程度であるのが好ましく、10分から10時間程度であるのがより好ましい。上記酸化性雰囲気としては、例えば空気中雰囲気を挙げることができる。

【0035】
さらに、第3の工程において、酸化性雰囲気下で高次シラン化合物からなる被膜に対して熱処理および光照射処理よりなる群から選択される少なくとも1種の処理を施すことにより、前記高次シラン化合物は酸化シリコンに変換され、酸化シリコン膜を有する膜付基板を得ることができる。この場合の熱処理温度は、好ましくは200~550℃、より好ましくは300~500℃であり、熱処理時間は好ましくは10~1,200分、より好ましくは10~600分である。この場合の光照射処理の条件は、アモルファスシリコン膜を効率よく多結晶化する場合の光照射の好ましい条件として上記したところと同様である。
以上のような工程を経て、高次シラン化合物膜、シリコン膜または酸化シリコン膜が基板上に形成された膜付基板(本発明の膜付基板)が製造される。
本発明の膜付基板の製造方法は、液相プロセス(液体プロセス)を用いるため、大掛かりな装置が不要であること、原料の使用効率がよいこと、原料が液体であるため扱い易いこと、廃棄物が発生し難いこと等の利点もある。
以上説明したような膜付基板の製造方法は、例えばトランジスタのチャネル、ソース、ドレインの形成、光センサーに用いられるシリコン膜の形成、太陽電池の製造等に用いることができる他、半導体素子が配置されてなる様々な用途の半導体素子基板の製造方法に適用できる。

【0036】
<膜付基板>
上記の如き本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板は、電気光学装置、メモリ、電子デバイス等に適用することができる。
上記電気光学装置とは、例えば液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL素子等を備えた装置であって、前記半導体素子基板を駆動回路等に適用した装置をいう。
上記電子デバイスとは、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板を備えた一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば上記電気光学装置やメモリを具備するものである。その具体例としては、例えばICカ-ド、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等を挙げることができる。
以上、本発明の高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスについて具体例を挙げて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の膜付基板の製造方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の工程を追加してもよい。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
なお、以下では、特に記載しない限り、各処理を酸素濃度1ppm以下の窒素雰囲気下で行った。
以下の実施例および比較例における高次シラン化合物の重合度nの平均値は、GPC-MALLSにより測定された絶対分子量の重量平均値をSiHの式量である30.1で除して、計算によりより求めた値である。
【実施例】
【0038】
1.高次シラン組成物の調製
実施例1(サンプルNo.1A)
<工程1A>
先ず、低次シラン化合物としてシクロペンタシラン(沸点:194℃)3gをベンゼン10mL中に溶解することによりシクロペンタンシラン溶液を調製した。
ここで低次シラン化合物として使用したシクロペンタシランのGPC-MALLSチャートを図1に示した。
<工程2A>
次に、このシクロペンタシラン溶液をガラスビーカーに入れ、撹拌しながら波長254nm、強度50mW/cmの紫外線を10分間照射することにより、シクロペンタシランを重合させて、溶液中に高次シラン化合物を析出させた。
<工程3A>
次に、溶液中の析出物を、0.5μmのマイクロフィルターを用いて濾別することにより高次シラン化合物を得た。この高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。ここで得た高次シラン化合物のGPC-MALLSチャートを図1に「サンプルNo.1A」として示した。
<工程4A>
次に、高次シラン化合物をシクロヘキセンで溶解することによりサンプルNo.1Aの高次シラン組成物を得た。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、20重量%であった。
比較例1(サンプルNo.2A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物をシクロヘキサンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.2Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は1重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が著しく低下する傾向を示した。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
【実施例】
【0039】
実施例2(サンプルNo.3A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物を1,4-シクロヘキサジエンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.3Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は18重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率はほぼ同じであった。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
比較例2(サンプルNo.4A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物をベンゼンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.4Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は0.1重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が著しく低下する傾向を示した。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
【実施例】
【0040】
実施例3(サンプルNo.5A)
上記実施例1の<工程2A>において、紫外線の照射条件を強度100mW/cm、30分間とした以外は実施例1と同様にして、サンプルNo.5Aの高次シラン組成物を得た。ここで得た高次シラン化合物のGPC-MALLSチャートを図1に「サンプルNo.5A」として示した。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は15重量%であった。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が500のものであった。
比較例3(サンプルNo.6A)
上記比較例1の<工程2A>において、紫外線の照射条件を強度100mW/cm、30分間とした以外は比較例1と同様にして、サンプルNo.6Aの高次シラン組成物を調整しようと試みたが、高次シラン化合物は溶解しなかった。
【実施例】
【0041】
実施例4(サンプルNo.7A)
上記実施例2の<工程2A>において、紫外線の照射条件を強度100mW/cm、30分間とした以外は実施例2と同様にして、サンプルNo.7Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は9重量%であった。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が500のものであった。サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の分子量が大きなものが溶解していたが、溶解可能な濃度の上限は小さくなっていた。
比較例4(サンプルNo.8A)
上記比較例2の<工程2A>において、紫外線の照射条件を強度100mW/cm、30分間とした以外は比較例2と同様にして、サンプルNo.6Aの高次シラン組成物を調整しようと試みたが、高次シラン化合物は溶解しなかった。
比較例5(サンプルNo.9A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物を3-メチル—シクロヘキセンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.9Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は0.2重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が著しく低下する傾向を示した。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
【実施例】
【0042】
実施例5(サンプルNo.10A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物をシクロヘキセンおよび3-メチル-シクロヘキセンからなる混合溶媒(混合比=50:50(重量比))で溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.10Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は15重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が若干減少する傾向を示したが、サンプルNo.9Aと比較すると高次シラン化合物の含有率は著しく向上していた。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
比較例6(サンプルNo.11A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物を3,4-ジヒドロ-2H-ピランで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.11Aの高次シラン組成物を得た。
この高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、0.2重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が著しく低下する傾向を示した。
なお、この高次シラン組成物に含まれる高次シラン化合物は、重合度nの平均値が200のものであった。
【実施例】
【0043】
比較例7(サンプルNo.12A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物を1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12-ドデカヒドロオクタレンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.12Aの高次シラン組成物を調整しようと試みたが、高次シラン化合物は溶解しなかった。
比較例8(サンプルNo.13A)
上記実施例1の<工程4A>において、高次シラン化合物を1,2,3,3a,4,4a,8,8a-オクタヒドロインデンで溶解した以外は、実施例1と同様にして、サンプルNo.13Aの高次シラン組成物を調整しようと試みたが、高次シラン化合物は溶解しなかった。
以上の高次シラン組成物調製実験の結果を、表1にまとめて示した。
【実施例】
【0044】
2.シリコン膜付基板の製造
以下では、シリコン膜付基板を10個製造した。以下に示す測定結果における各数値は、いずれも10個の平均値である。
実施例6
<工程1B>
先ず、上記実施例1で調製したサンプルNo.1Aの高次シラン組成物を、1,500rpmでスピンコート法を用いて、石英基板上に塗布することによって液状被膜を形成した。
<工程2B>
次に、この液状被膜を形成した基板を、150℃×30分で加熱して溶媒を除去することにより、高次シラン化合物膜を得た。
<工程3B>
次に、得られた高次シラン化合物膜に対して、350℃×60分で熱処理を行った。
これにより、茶褐色の膜を得た。
この膜に対してRAMAN分光法による測定を行った結果、この膜はアモルファスシリコン膜であることが判明した。また、このアモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析(表面組成の測定)を行った結果、ほとんどシリコン原子で構成されており、不純物としては酸素:0.1%、炭素:0.05%、その他の金属原子についてはすべて0.01%未満であった。
<工程4B>
次に、得られたアモルファスシリコン膜に対して、大気(室温)中で波長308nmのエキシマレーザーをエネルギー密度300mJ/cmで照射した。
これにより、多結晶シリコン膜を得た。以上のようにして、サンプルNo.1Bのシリコン膜付基板を製造した。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:95%であった。
上記で得られた多結晶シリコン膜付基板について、光干渉式膜厚計を用いて、基板上に形成された多結晶シリコン膜の膜厚を10ヶ所測定し、その平均膜厚を求めた。
以下の表2に、測定された平均膜厚を示した。
【実施例】
【0045】
実施例7~10および比較例9~12
使用した高次シラン組成物の種類をそれぞれ表2に記載のとおりとした以外は、上記実施例6と同様に実施して、サンプルN0.2B~5B、7Bおよび9B~11Bの多結晶シリコン膜付基板を得た。
ここでそれぞれの基板上に形成された多結晶シリコン膜の膜厚を各10ヶ所測定して求めた平均膜厚を表2に示した。
【実施例】
【0046】
3.酸化シリコン膜付基板の製造
以下では、酸化シリコン膜付基板を10個製造した。以下に示す測定結果における各数値は、いずれも10個の平均値である。
実施例11
上記実施例6において<工程1B>および<工程2B>を経て高次シラン化合物膜を得るまでは、実施例6と同様な処理を行った後、上記<工程3B>において、熱処理を行いつつ、窒素雰囲気のチャンバー内を徐々に大気で置換して30分間で大気雰囲気にした。その後さらに大気雰囲気下で熱処理を30分継続して行った。
そして前記<工程4B>に代えて、大気中で400℃×60分の熱処理を行った。これにより、無色透明な膜を得た。
この膜に対してESCA分析を行ったところ、シリコン:酸素の比がほぼ1:2の酸化シリコン膜であることが判明した。この酸化シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果、不純物としては炭素:0.05%、その他の金属原子についてはすべて0.01%未満であった。
このようにしてサンプルNo.1Cの酸化シリコン膜付基板を製造した。
上記で得た酸化シリコン膜付基板について、光干渉式膜厚計を用いて、基板上に形成された酸化シリコン膜の膜厚を10ヶ所測定し、その平均膜厚を求めた。
以下の表3に、測定された平均膜厚および結晶化度を示す。
【実施例】
【0047】
実施例12~15および比較例13~16
使用した高次シラン組成物の種類をそれぞれ表3に記載のとおりとした以外は、上記実施例11と同様に実施して、サンプルNo.2C~5C、7Cおよび9C~11Cの酸化シリコン膜付基板を得た。
これらの膜に対してESCA分析を行ったところ、いずれについてもシリコン:酸素の比がほぼ1:2の酸化シリコン膜であることが判明した。また、これらの酸化シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果、不純物としては炭素:0.05%、その他の金属原子についてはすべて0.01%未満であった。
ここでそれぞれの基板上に形成された酸化シリコン膜の膜厚を各10ヶ所測定して求めた平均膜厚を表3に示した。
【実施例】
【0048】
【表1】
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【実施例】
【0049】
【表2】
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【実施例】
【0050】
【表3】
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【実施例】
【0051】
なお、高次シラン組成物No.6A、8A、12Aおよび13Aについては、組成物中に高次シラン化合物を溶解することができなかったため、多結晶シリコン膜付基板の製造および酸化シリコン膜付基板の製造は行わなかった。
図面
【図1】
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