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明細書 :レーザ加工装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5558325号 (P5558325)
公開番号 特開2012-115854 (P2012-115854A)
登録日 平成26年6月13日(2014.6.13)
発行日 平成26年7月23日(2014.7.23)
公開日 平成24年6月21日(2012.6.21)
発明の名称または考案の名称 レーザ加工装置
国際特許分類 B23K  26/064       (2014.01)
B23K  26/142       (2014.01)
B23K  26/38        (2014.01)
B23K  26/40        (2014.01)
FI B23K 26/064 A
B23K 26/142
B23K 26/38
B23K 26/40
請求項の数または発明の数 7
全頁数 17
出願番号 特願2010-265869 (P2010-265869)
出願日 平成22年11月30日(2010.11.30)
審査請求日 平成25年1月15日(2013.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】宇野 義幸
【氏名】岡本 康寛
【氏名】北田 良二
【氏名】日比 貴昭
【氏名】岡本 純
個別代理人の代理人 【識別番号】100107917、【弁理士】、【氏名又は名称】笠原 英俊
審査官 【審査官】仁木 学
参考文献・文献 特開平11-005184(JP,A)
特開昭63-273587(JP,A)
特開平08-010970(JP,A)
特開平02-284782(JP,A)
特開平01-245992(JP,A)
調査した分野 B23K 26/00 - 26/70
特許請求の範囲 【請求項1】
表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、
表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置であって、
レーザビームを照射する照射手段と、
照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる移動手段と、を備えてなり、
照射手段は、
第2層の加工に適した第2レーザビームを第1層の表面の第2領域に照射する第2照射手段と、
第1層の加工に適した第1レーザビームを、第2領域を取り囲む第1領域に照射する第1照射手段と、
を有してなり、
照射手段は、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域に対する第1領域の相対位置を変更可能なものであり、
第2領域に対する第1領域の相対位置が、照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる方向において被加工物が未加工である側に偏っている位置を含むものである、レーザ加工装置。
【請求項2】
第2領域に対する第1領域の相対位置が、照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる方向において被加工物が加工済である側に偏っている位置を更に含み、
第2領域に対する第1領域の相対位置が、被加工物が未加工である側と被加工物が加工済である側との間を移動するものである、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
被加工物を加工する際に、第1領域の外縁線及び第2領域の外縁線が、第1層の表面に存する同じ点を中心とする同心円に形成され、両外縁線の間の全域に第1レーザビームが照射される状態が含まれるものである、請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
第1領域が第2領域の少なくとも一部に重なるものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
被加工物に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルをさらに備えてなり、
第1レーザビーム及び第2レーザビームが噴射ノズルのアシストガス噴射口を通過し被加工物に照射されるものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
照射手段は、第1レーザビーム及び第2レーザビームのうち所定の光路に沿ったいずれか一方のビームを通過させる通過開口を有し、該光路とは異なる方向から入射するいずれか他方のビームを該光路に沿うように反射する反射鏡を有するものである、請求項1乃至のいずれか1に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
第1レーザビームが前記他方のビームであり、
前記光路に対し反射鏡の反射面を変位させることで、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域に対する第1領域の相対位置を変更可能なものである、請求項に記載のレーザ加工装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工に用いるレーザ加工装置に関し、より詳細には、表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置は既に知られている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1には、「例えば銅および/またはエポキシからなる第1層(42、図2)と、成形化合物からなる第2層(44)とを有する」(特許文献1の発明の詳細な説明中、段落番号0013最後部分)被加工物を切断(加工)するレーザ加工装置が開示されている。
【0003】
詳細には、特許文献1の発明の詳細な説明中、段落番号0014~0015において、次に引用するレーザ加工装置が開示されている。
図3に、本発明の一実施形態の切断領域を示す。第1レーザ・ビーム(10)および第2レーザ・ビーム(20)は、X-Yステージ(30)によって支持されるICパッケージ(40)の同じ水平面を照射するように配置される。この特定の実現形態では、第1レーザ・ビーム(10)は、最大50kHzのパルス反復率を有する532nmの50W Nd:YAGレーザ源によって生成され、第2レーザ・ビーム(20)は、パルス持続時間7nsの1064nmのNd:YAGレーザによって生成される。ICパッケージ(40)は、X-Yステージ(30)に固定され、銅および/またはエポキシ材料を含む第1層(42)と、成形化合物を含む第2層(44)とを含む。第1ステップでは、第1レーザ・ビーム(10)は、基板上の第1層(42)上に位置する第1レーザ焦点に集束する。レーザ・ビーム(20)は、レーザ・ビーム(10)の近くに放射され、基板上の第2レーザ焦点上に集束する。この第2焦点は基板の動きの方向と反対の方向に第1焦点から偏位しており、第2層(44)上に位置する。X-Yステージは、所定の速度の下で所定のトラックに沿って(図では左から右に)移動するICパッケージ(40)を担持する。第1レーザ・ビーム(10)は、第1層(42)をトラックに沿ってスキャンし、第1層(42)の厚さ全体を貫通して第1切溝(142)を形成する。第2レーザ・ビーム(20)は、横方向に第1レーザ・ビームの下流側に偏位しており、(その時点で露出している)第2層(44)をトラックに沿ってスキャンし、第2層(44)の厚さ全体を貫通して第2切溝(144)を形成する。したがってICパッケージは、2つの切溝(142、144)によって分離される。
(引用終わり)
【0004】
また、本出願人に係る発明者の一部は、レーザビームを被加工物の表面に照射して該表面を加工するレーザ加工において該加工される表面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルに関する発明について特許出願を行った(特許文献2)。
特許文献2には、「レーザビームを被加工物の表面に照射して該表面を加工するレーザ加工において該加工される表面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルであって、該アシストガスが通過する該噴射ノズルの内部に形成された流路が、下流に行くにつれて断面積が減少する絞り部と、該絞り部を通過した該アシストガスを受け入れ下流に行くにつれて断面積が増加し先端部にて該アシストガスを噴射する拡張部と、を備えている、噴射ノズル」(特許文献2の発明の詳細な説明中、段落番号0009)が開示されている(なお、特許文献2に係る特許出願は特許第3789899号として特許された。)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2003-37218号公報(例えば、要約、発明の詳細な説明中の段落番号0013~0015、第2図、第3図等)
【特許文献2】特開2004-283845号公報(例えば、要約、発明の詳細な説明中の段落番号0001~0011、第1図、第13図~第15図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1開示のレーザ加工装置によれば、「第1レーザ・ビーム(10)は、第1層(42)をトラックに沿ってスキャンし、第1層(42)の厚さ全体を貫通して第1切溝(142)を形成する。第2レーザ・ビーム(20)は、横方向に第1レーザ・ビームの下流側に偏位しており、(その時点で露出している)第2層(44)をトラックに沿ってスキャンし、第2層(44)の厚さ全体を貫通して第2切溝(144)を形成する。したがってICパッケージは、2つの切溝(142、144)によって分離される。」(特許文献1の発明の詳細な説明中、段落番号0015)が、そのためには第1レーザ・ビーム(10)の軌跡(トラック)と一致するように第2レーザ・ビーム(20)を下流側でスキャンさせる必要があり、第1レーザ・ビーム(10)と第2レーザ・ビーム(20)とのいずれも所定のトラックに沿ってスキャンさせるには、切断する軌跡(トラック)形状の自由度が低下する問題があった(例えば、切断する軌跡(トラック)として自由に種々の曲線を選択することはできない)。
【0007】
そこで、本発明では、表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置であって、被加工物を加工する軌跡(トラック)の形状に制限がなく、軌跡(トラック)として自由に種々の曲線を選択することができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレーザ加工装置(以下、「本装置」という。)は、表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置であって、レーザビームを照射する照射手段と、照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる移動手段と、を備えてなり、照射手段は、第2層の加工に適した第2レーザビームを第1層の表面の第2領域に照射する第2照射手段と、第1層の加工に適した第1レーザビームを、第2領域を取り囲む第1領域に照射する第1照射手段と、を有してなる、レーザ加工装置である。
【0009】
本装置は、表面を形成する第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含んでなる被加工物に、表面側からレーザビームを照射することで被加工物を加工するレーザ加工装置である。被加工物は、表面を有し、該表面側からレーザビームが照射される。被加工物は、第1層と、第1層の裏面側に存する第2層と、を含み、被加工物の該表面(レーザビームが照射される側の面)を第1層の表面が形成し、第1層の裏面(被加工物の該表面を構成する第1層の表面とは反対の面)側に第2層が存在する。また、加工とは、レーザビームを照射することで被加工物が融解や分解等することによって、被加工物の形状が変化することをいう。
本装置は、大まかには、照射手段と、移動手段と、を備えてなる。
照射手段は、被加工物の表面側からレーザビームを照射する。
移動手段は、照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる。ここに「照射手段に対して被加工物を相対的に移動」させるとは、照射手段に対して被加工物が相対的に移動すれば足り、絶対的位置としては、照射手段及び被加工物のうち照射手段のみが移動し被加工物は静止している場合、照射手段及び被加工物のうち被加工物のみが移動し照射手段は静止している場合、そして照射手段及び被加工物の両者とも移動する場合、の3つの場合のいずれであってもよい。
【0010】
そして、本装置においては、照射手段は、第2照射手段と、第1照射手段と、
を有してなる。
第2照射手段は、第2層の加工に適した第2レーザビームを第1層の表面の第2領域に照射する。
第1照射手段は、第2領域を取り囲む第1層の第1領域に、第1層の加工に適した第1レーザビームを照射する。
即ち、第2層の加工に適した第2レーザビームが第2領域に照射されると共に、第1層の加工に適した第1レーザビームが第2領域を取り囲む第1領域に照射されるので、第2レーザビームが照射される第2領域を取り囲む第1領域においては第1レーザビームの照射によって第1層が融解や分解(以下、「融解等」という)され除去されることで第2層が露出する。
従って、第2レーザビームを第2領域に照射すると共に、第1レーザビームを第2領域を取り囲む第1領域に照射した状態で、移動手段が、照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させれば、第1レーザビームの照射によって第1層が除去されることで露出した第2層に第2レーザビームが照射され、第2層が融解等され除去される。
第1領域は第2領域を取り囲むので、第2領域から見て、被加工物の表面に沿ったいずれの方向についても第1領域が存することにより、照射手段に対し被加工物が被加工物の表面に沿ったいずれの方向に相対的に移動されても、第2レーザビームが照射される第2領域において第2層が露出されることで第2層に第2レーザビームを照射し本装置による加工が実現される。
以上の通り、本装置においては、第2層の加工に適した第2レーザビームを照射する第2領域を取り囲む第1領域に第1レーザビームを照射することで、照射手段に対し被加工物が被加工物の表面に沿ったいずれの方向に相対的に移動されても、第2レーザビームが照射される第2領域においては第2層が露出することで第2層に第2レーザビームが照射され、第2レーザビームが被加工物を加工する軌跡(トラック)に沿ってスキャンするようにすることで被加工物を加工する軌跡(トラック)の形状に制限なく、軌跡(トラック)として自由に種々の曲線を選択し自由に加工することができる。
【0011】
本装置においては、第1領域のうち第2領域の外側に存する単独第1領域の幅が、被加工物の表面に沿ったいずれの方向についても略等しいもの(以下、「均等幅本装置」という。)であってもよい。
本装置では、第2領域から見て、被加工物の表面に沿ったいずれの方向についても第1領域が存することにより、照射手段に対し被加工物が被加工物の表面に沿ったいずれの方向に相対的に移動されても、第2レーザビームが照射される第2領域において第2層が露出されることで第2層に第2レーザビームを照射し本装置による加工が実現される。このため第1領域のうち第2領域の外側に存する単独第1領域の幅が、被加工物の表面に沿ったいずれの方向についても略等しいものとすることで、照射手段に対して被加工物を相対的に移動させる被加工物の表面に沿った方向に係わらず、第1レーザビームによる第1層の除去が同様に行われるので、照射手段に対する被加工物の相対的な移動方向を問わず、第1層から第2層にかけての加工を確実に行うことができる(移動方向を問わないので被加工物を加工する軌跡(トラック)の形状の自由度が高く、曲線加工も自由に行うことができる。)。
なお、第1領域のうち第2領域の外側に存する単独第1領域の幅とは、第2領域の重心位置を端点とする半直線(該重心位置から放射状に伸びる線)が単独第1領域を通過する距離をいい、単独第1領域の幅が被加工物の表面に沿ったいずれの方向についても略等しいとは、かかるいずれの半直線に関する該距離も略等しいことをいう。
【0012】
均等幅本装置の場合、第1領域の外縁線及び第2領域の外縁線が、第1層の表面に存する同じ点を中心とする同心円に形成され、両外縁線の間の全域に第1レーザビームが照射されるものであってもよい。
このように第1領域の外縁線及び第2領域の外縁線を同じ点を中心とする同心円に形成し、両外縁線(第1領域の外縁線と第2領域の外縁線)の間の全域に第1レーザビームを照射することで、照射手段に対する被加工物の相対的移動方向を問わず、第1レーザビームが照射される幅(同心円同士の半径差に同じ)を確実に常に同じにすることができ、第1レーザビームによる第1層の除去がいずれの相対的移動方向であっても同じように行われ、第1層から第2層にかけての加工を一層確実に行うことができる(移動方向を問わないので被加工物を加工する軌跡(トラック)の形状の自由度が高く、曲線加工も自由に行うことができる。)。
【0013】
本装置においては、第1領域が第2領域の少なくとも一部に重なるものであってもよい。
第1レーザビームが照射される第1領域が、第2レーザビームが照射される第2領域の少なくとも一部(第2領域の一部又は全部)に重なることで、第2レーザビームが照射される第2領域の少なくとも一部(第2領域の一部又は全部)に第1レーザビームが照射される(なお、第1領域は第2領域を取り囲むので、第2領域の少なくとも一部(第2領域の一部又は全部)に重なる第1領域は、第1領域の一部である。)。このように第2領域の少なくとも一部(第2領域の一部又は全部)に第1レーザビームが照射されることで、第2レーザビームが照射される第2領域内に第1層を形成していたものが残留していても(例えば、第1レーザビームによる第1層の除去が不完全な場合や、第1レーザビームによって第1層を除去することで生じたスパッタ等の不要物が付着した場合等)、第2領域の少なくとも一部(第2領域の一部又は全部)に照射される第1レーザビームによってそのような残留物を除去できる場合があり、第2層の加工を確実ならしめる(なお、第2領域内に存する第1層を形成していた残留物を確実に除去することからは、第2領域の全部に第1レーザビームを照射するようにしてもよい。)。
【0014】
本装置においては、被加工物に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルをさらに備えてなり、第1レーザビーム及び第2レーザビームが噴射ノズルのアシストガス噴射口を通過し被加工物に照射されるものであってもよい。
前述の特許文献2にも示される通り、レーザビームを被加工物の表面に照射して該表面を加工するレーザ加工においては、レーザビームの照射により被加工物が融解等されるので、このような被加工物の融解物を除去し加工を効果的に行うため被加工物にアシストガスを噴射するための噴射ノズルが配設されることが多い。この噴射ノズルは、被加工物にアシストガスを噴射するためのアシストガス噴射口が設けられるが、かかるアシストガス噴射口から第1レーザビーム及び第2レーザビームを被加工物に向けて照射するようにしてもよく、そうすれば、アシストガスの噴射ノズルと別個に、第1レーザビーム及び第2レーザビームの光路を確保する場合に比し、装置をコンパクトにできる。そして、第1レーザビーム及び第2レーザビームの加工によって生じる物(アウトガスやドロス等)を1のアシストガス噴射口から噴射されるアシストガスによって同時に効率よく吹き飛ばし除去できる。
【0015】
本装置においては、照射手段は、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域に対する第1領域の相対位置を変更可能なものであってもよい。
本装置では、第1領域に照射される第1レーザビームによって第1層が除去されることで第2レーザビームが照射される第2領域において第2層が露出され、第2レーザビームが第2層に照射され本装置による加工が実現される。このように本装置においては、第2レーザビームが照射される第2領域に被加工物が到達するまでに第1層がうまく除去されることが重要であり、そのためには第2領域に被加工物が到達するまでの第1レーザビームの照射時間を調整したり、第1レーザビームの出力を調節するようにしてもよい。そして、第2領域に被加工物が到達するまでの第1レーザビームの照射時間は、具体的には、移動手段が照射手段に対して被加工物を被加工物の表面に沿って相対的に移動させる移動速度を調節することや、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域に対する第1領域の相対位置を変更するようにしてもよい。例えば、第1領域のうち第2領域の外側に存する単独第1領域の幅のうち、第2領域に被加工物が到達するまでの第1レーザビームの照射部分の幅を増加させれば該照射時間を増加させ、該幅を減少させれば該照射時間を減少させることができる。
【0016】
本装置においては、照射手段は、第1レーザビーム及び第2レーザビームのうち所定の光路に沿ったいずれか一方のビームを通過させる通過開口を有し、該光路とは異なる方向から入射するいずれか他方のビームを該光路に沿うように反射する反射鏡を有するもの(以下、「反射鏡本装置」という。)であってもよい。
このような反射鏡を用いることで、反射鏡が有する通過開口を、第1レーザビーム及び第2レーザビームのうち所定光路に沿ったいずれか一方のビームを通過させると共に、反射鏡の反射面(通過開口の周りにドーナツ状に形成される凹面にしてもよい)によって第1レーザビーム及び第2レーザビームのうち該所定光路とは異なる方向から入射するいずれか他方のビームを該所定光路に沿うように反射することで、該所定光路に沿った一方のビームと、該所定光路とは異なる方向から入射する他方のビームと、を該所定光路に沿ってうまく照射することができる。これにより、異なる波長の異なる発生源から発生される第1レーザビーム及び第2レーザビームを同一の光路に沿って被加工物にうまく照射することができる。
なお、通過開口を通過する該一方のビームが第1レーザビームである場合には、反射鏡の反射面によって反射される該他方のビームが第2レーザビームとなり、逆に、通過開口を通過する該一方のビームが第2レーザビームである場合には、反射鏡の反射面によって反射される該他方のビームが第1レーザビームとなる。
【0017】
反射鏡本装置の場合、第1レーザビームが前記他方のビームであり、前記光路に対し反射鏡の反射面を変位させることで、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域に対する第1領域の相対位置を変更可能なものであってもよい。
こうすることで、反射鏡の反射面によって反射される前記他方のビームを第1レーザビームとし、反射鏡の通過開口を前記所定光路に沿って通過する前記一方のビームを第2レーザビームとし、前記所定光路に対して反射鏡の反射面を変位させるという簡単な構成により、第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射しつつ第2領域(通過開口を通過する第2レーザビーム)に対する第1領域(反射面により反射される第1レーザビーム)の相対位置をうまく変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置(本装置)を示す概念的な断面図である。
【図2】本装置が加工するLEDパッケージ(被加工物)の断面を示す断面図である。
【図3】LEDパッケージの表面に照射される樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2の照射状態を示す図である。
【図4】本装置によってLEDパッケージを切断するところを示す平面図(噴射ノズルのアシストガス噴射口側から見たところを示す)である。
【図5】図4のA-A断面図である。
【図6】鏡駆動装置によるセラミックス切断レーザビームL2照射領域に対する樹脂切断レーザビームL1照射領域の相対位置変化について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。

【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置(本装置)11を示す概念的な断面図であり、図2は本装置11が加工するLEDパッケージ101(被加工物)を示す断面図である。図1及び図2を参照して、本装置11について説明する。
ここでは被加工物たるLEDパッケージ101は、平板状のセラミックス基板103と、セラミックス基板103の表面103aに密接するように形成されたシリコーン樹脂層105と、を有してなり、LEDパッケージ101の裏面101bをセラミックス基板103の裏面が形成すると共に、LEDパッケージ101の表面101aをシリコーン樹脂層105の表面が形成している。セラミックス基板103の材質としては、例えば、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。

【0021】
また、ここでは図示していないが、LEDパッケージ101には、セラミックス基板103の表面103a上に規則的にLEDチップ(発光ダイオードチップ。図示せず)が配設されており、その個々のLEDチップはシリコーン樹脂層105によって密封(樹脂封止)されている。図1及び図2においては、LEDチップが存在しない断面を示している。本装置11は、例えば、LEDパッケージ101のような2層を有する複合部材を切断し分離するために使用される。なお、図2に示されたLEDパッケージ101が切断されることによって、1個又は複数個のLEDチップを有する個々のLEDデバイスが製造される。また、図2に示されたシリコーン樹脂層105の表面101aが平坦な態様の他に、シリコーン樹脂層105に凸レンズ等が形成された態様が存在する。

【0022】
また、セラミックス基板103の厚さとシリコーン樹脂層105の厚さとについては、今後のLEDデバイスの開発によって様々な値が考えられる。例えば、セラミックス基板103の厚さは0.3~0.8mm程度、シリコーン樹脂層105の厚さは数mm以下、現実的には1mm以下であると考えられる。

【0023】
LEDパッケージ101は、直交3軸であるX軸、Y軸及びZ軸に沿って自由に移動可能な支持ステージ201の上面に裏面101bが密接した状態で支持ステージ201に保持されるよう、図示しない治具によって支持ステージ201に着脱自在に取り付けられている。なお、図1中、X軸及びZ軸について矢印で示したが、Y軸は図1の面に対して垂直方向になっている。
このためX軸、Y軸及びZ軸に沿って支持ステージ201を移動させることで、LEDパッケージ101を自由に移動させることができる。

【0024】
本装置11は、大まかには、LEDパッケージ101のシリコーン樹脂層105の切断に適したレーザビームである樹脂切断レーザビームL1(具体的には、COレーザビーム)を照射する第1発生手段31と、LEDパッケージ101のセラミックス基板103の切断に適したレーザビームであるセラミックス切断レーザビームL2(具体的には、ファイバーレーザビーム)を照射する第2発生手段51と、LEDパッケージ101の加工(切断)状況を観察する観察手段71と、を備えてなる。

【0025】
第1発生手段31は、シリコーン樹脂層105の切断に適した樹脂切断レーザビームL1を発生する樹脂切断レーザビーム発生装置33と、樹脂切断レーザビーム発生装置33によって発生した樹脂切断レーザビームL1を反射する反射鏡35と、反射鏡35を駆動する鏡駆動装置37と、を有してなる。

【0026】
樹脂切断レーザビーム発生装置33が発生する樹脂切断レーザビームL1は、具体的には、9~11μm程度の波長を有するCOレーザビームである。樹脂切断レーザビームL1のスポット径とエネルギーとについては,加工条件や発振のモードによって大きく変わる。例えば、スポット径は20μm~1mm程度、エネルギーは数百W程度が考えられる。

【0027】
樹脂切断レーザビーム発生装置33が発生する樹脂切断レーザビームL1は、ここではX軸方向に沿って進み、反射鏡35によってZ軸方向(LEDパッケージ101に向かう方向)に反射される。そして、樹脂切断レーザビームL1は、シリコーン樹脂層105の表面101a、又はシリコーン樹脂層105の内部に焦点を結ぶ。なお、光学的な手段又は支持ステージ201の駆動によって、この焦点のZ軸方向の位置を適宜制御することができる。

【0028】
LEDパッケージ101側からZ軸方向に沿って見ると、反射鏡35は、第1の円形に見える開口35hが形成された第2の円形(第1の円形と第2の円形との中心は略一致する)に見える反射面35s(凹面)を有しており、開口35hは後述のセラミックス切断レーザビームL2をLEDパッケージ101に向かう方向に通過させる。
鏡駆動装置37は、例えばモータを含んでなり、反射鏡35を自由に駆動することができる。図1には1軸によって反射鏡35を駆動する例が示されている。これに限らず、複数の軸によって反射鏡35を駆動することもできる。

【0029】
第2発生手段51は、セラミックス基板103の切断に適したセラミックス切断レーザビームL2(例えば、ファイバーレーザビーム)を発生するセラミックス切断レーザビーム発生装置53と、セラミックス切断レーザビーム発生装置53によって発生したセラミックス切断レーザビームL2を導く導光ケーブル(光ファイバー)54と、導光ケーブル54により導かれたセラミックス切断レーザビームL2を光軸調整しつつ平行に放射するコリメータ55と、コリメータ55によって放射されたセラミックス切断レーザビームL2がLEDパッケージ101の表面101a近傍に焦点を結ぶよう屈折させる集光レンズ57と、を有してなる。

【0030】
なお、コリメータ55によって平行に放射されたセラミックス切断レーザビームL2は、集光レンズ57に到達する前に後述の第2ダイクロイックミラー77(セラミックス切断レーザビームL2を通過させる。)を通過する。
集光レンズ57によって屈折したセラミックス切断レーザビームL2は、前述の反射鏡35の開口35hを通過する。そして、セラミックス切断レーザビームL2は、セラミックス基板103の表面103a、又は、セラミックス基板103の内部に焦点を結ぶ。

【0031】
セラミックス切断レーザビームL2としては、ファイバーレーザビームの他に、例えば、YAGレーザビーム、YVOレーザ等を使用することができる。ファイバーレーザビームについてパルス発振であるQ-SW発振を使用する場合には、スポット径は10~100μm程度、エネルギーは50μJ~1J/Pulseが考えられる。また、ファイバーレーザビームについて連続発振による連続波を使用することもできる。

【0032】
観察手段71は、CCDカメラ72と、CCDカメラ72に結像させる結像レンズ73と、照明に適した特定の範囲の波長の光のみを透過させるバンドパスフィルター74と、LEDパッケージ101の表面101a(必要に応じてシリコーン樹脂層105の露出面、セラミックス基板103の表面103a・露出面等を含む。以下同じ。)を照らす観察用照明器76と、観察用照明器76からの照明光を反射すると共にCCDカメラ72への結像光を通過させる第1ダイクロイックミラー75と、可視光を反射すると共にセラミックス切断レーザビームL2を通過させる第2ダイクロイックミラー77と、を有してなる。

【0033】
これによって観察用照明器76からの照明光は、第1ダイクロイックミラー75及び第2ダイクロイックミラー77により反射されることでLEDパッケージ101の表面101aを照らす。そして、この照明光により照らされた表面101aは、第2ダイクロイックミラー77による反射光が第1ダイクロイックミラー75とバンドパスフィルター74とを順次通過した後、結像レンズ73によりCCDカメラ72に結像し観察される。このようにしてCCDカメラ72を通じてLEDパッケージ101の表面101aを観察しつつレーザ加工ができる。

【0034】
そして、LEDパッケージ101の表面101aに面する位置に、アシストガス(例えば、酸素ガスや空気等を例示できる。)を噴射するための噴射ノズル91が配設されている。噴射ノズル91は、アシストガス噴射口93からアシストガスを噴射するためのノズルであり、略中空の円錐台形状を有している。噴射されたアシストガスは、LEDパッケージ101に樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2を照射することによってLEDパッケージ101を切断する際にLEDパッケージ101から生じる不要物(例えば、LEDパッケージ101の融解物)を吹き飛ばす。かかる噴射ノズル91はレーザ加工装置に既によく用いられており、例えば、特許第3789899号公報の図2、図4及び図5等に記載されたようなノズルを用いることができる。

【0035】
噴射ノズル91には、図示しないアシストガス配管が接続される。そして、加圧されたアシストガスが噴射ノズル91に供給されることで、アシストガス噴射口93からLEDパッケージ101の表面101aに向けてアシストガスが勢いよく吹き付けられる。
そして、アシストガス噴射口93は、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2も通過させ、それによって樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2がLEDパッケージ101の表面101aに照射される。LEDパッケージ101の表面101aに向かって、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2が照射されつつアシストガスが噴射されるので、効果的にレーザ加工(ここでは切断)を行うことができる。

【0036】
図3は、LEDパッケージ101の表面101a(ここでは図1中のZ軸に垂直な平面状をなす)に照射される樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2の照射状態を示す図であり、具体的には、図3(a)は、LEDパッケージ101の表面101aに照射される樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2の実際の照射状態を示す図であり、図3(b)は図3(a)に示されたもののうち樹脂切断レーザビームL1のみの照射部分を示したものであり、そして図3(c)は図3(a)に示されたもののうちセラミックス切断レーザビームL2のみの照射部分を示したものである。図3を参照して、LEDパッケージ101の表面101aに照射される樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2の照射状態について説明する。なお、図3においては、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2の照射状態が容易に理解できるように、それぞれの照射領域にハッチングを付している。

【0037】
図3(b)に示す通り、樹脂切断レーザビームL1は、表面101aに存する中心C1の半径r1の円における中心C2の半径r2の円を取り囲む領域(半径r1の円から半径r2の円を取り除いた形状の領域)に照射される。すなわち、樹脂切断レーザビームL1は、トーラスを平面視した形状(以下「円環」という。)の領域に照射される。そして、図3(c)に示す通り、セラミックス切断レーザビームL2は、表面101aに存する中心C2の半径r2(但し、r2<r1)の円形状の領域に照射される。これら樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2は、表面101aに存する中心C1と中心C2とが一致し図3(a)に示す1点である点Cとなるよう表面101aに同心に照射される。このため、セラミックス切断レーザビームL2照射領域の外側に存する樹脂切断レーザビームL1が照射されている領域Tの幅はいずれの方向についても同じ(具体的には、(r1-r2))になっている。なお、実際には、樹脂切断レーザビームL1は、半径r2の円の内側の領域においても小さな強度分布を有する。

【0038】
ところで、反射鏡35の開口35hの径、反射面35sの曲率、反射面35sにおける樹脂切断レーザビームL1によって照査される領域の大きさ等を変更することができる。このことにより、セラミックス切断レーザビームL2照射領域の少なくとも一部に樹脂切断レーザビームL1が重なって照射されている状態にすることもできる。さらに、セラミックス切断レーザビームL2照射領域の全域に樹脂切断レーザビームL1が照射されている状態にすることもできる。

【0039】
主に、LEDパッケージ101に照射される樹脂切断レーザビームL1はシリコーン樹脂層105を熱分解等させる。また、LEDパッケージ101に照射されるセラミックス切断レーザビームL2はセラミックス基板103を溶融等させる。そして、これらLEDパッケージ101の熱分解や溶融等から生じた物質は、噴射ノズル91のアシストガス噴射口93から表面101aに向けて噴射されるアシストガスにより吹き飛ばされ除去される。これらによって、LEDパッケージ101を切断加工することができる。

【0040】
図4は、本装置11によってLEDパッケージ101を切断するところを示す平面図(噴射ノズル91のアシストガス噴射口93側から見たところを示す)であり、図5は図4のA-A断面図である。図4及び図5を参照し、本装置11によるLEDパッケージ101の切断工程について説明する。
図3(a)に示した通り、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2は、表面101aに向けて、同心状の円環及び円の領域にそれぞれ照射されている。そして、LEDパッケージ101は、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2に対し、図4及び図5において矢印M方向に移動するように支持ステージ201が移動している。ここでは移動方向(矢印M)は上述のY軸と同じ方向である。

【0041】
LEDパッケージ101に表面101a側から樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2が照射される。まず、樹脂切断レーザビームL1によってシリコーン樹脂層105が熱分解等される。そして、噴射ノズル91のアシストガス噴射口93から表面101aに向けて噴射されるアシストガスによって、熱分解したシリコーン樹脂層105が吹き飛ばされる。これにより、シリコーン樹脂層105が除去される。そして、樹脂切断レーザビームL1によってシリコーン樹脂層105が除去されることでセラミックス基板103が露出する。

【0042】
次に、露出したセラミックス基板103にセラミックス切断レーザビームL2が照射されることでセラミックス基板103を溶融等させる。そして、噴射ノズル91のアシストガス噴射口93から噴射されるアシストガスによって、セラミックス基板103が溶融することによって生成された物質が吹き飛ばされる。これにより、セラミックス基板103が除去される。

【0043】
上述したように樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2によるシリコーン樹脂層105及びセラミックス基板103の除去が、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2に対するLEDパッケージ101の矢印M方向への移動に伴い、セラミックス切断レーザビームL2がLEDパッケージ101に照射される軌跡(トラック)に沿って順次生じる。このことにより、樹脂切断レーザビームL1が形成するシリコーン樹脂層105の分断溝105dと、セラミックス切断レーザビームL2が形成するセラミックス基板103の分断溝103dと、が形成される。ここまでの工程によってLEDパッケージ101が切断される。

【0044】
なお、図3(a)の状態を保ちながら、X軸及びY軸に沿って支持ステージ201を適宜移動させることができる。これにより、平面視した場合における曲線に沿ってLEDパッケージ101を切断することができる。

【0045】
そして、鏡駆動装置37(図1参照)は反射鏡35を所定の角度で正逆に回動させるものであり、それによって樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2を照射しつつセラミックス切断レーザビームL2の照射領域に対する樹脂切断レーザビームL1の照射領域の相対位置を変化させる。

【0046】
図6は、鏡駆動装置37によるセラミックス切断レーザビームL2照射領域に対する樹脂切断レーザビームL1照射領域の相対位置変化について説明する図である(図3(a)と同様の位置から見たところを示している)。図6(b)は図3(a)と同様の状態を示しており、具体的には、樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2は中心C1と中心C2とが同じ点Cとなるよう同心に照射されている。

【0047】
図6(b)の状態から、鏡駆動装置37を駆動し反射鏡35を正方向に回動させた状態を図6(a)に示している。図6(b)の状態に比し、セラミックス切断レーザビームL2の中心C2に比して樹脂切断レーザビームL1の中心C1は、LEDパッケージ101の移動方向(矢印M方向)に対して逆方向に移動している。このように両中心C1、C2を偏心させることで、図6(b)の状態を固定して照射する場合に比し、セラミックス切断レーザビームL2照射領域にLEDパッケージ101が到達するまでの樹脂切断レーザビームL1の照射時間を増加させることができる。

【0048】
図6(b)の状態から、鏡駆動装置37を駆動し反射鏡35を逆方向(図6(a)とは逆方向)に回動させた状態を図6(c)に示している。図6(b)の状態に比し、セラミックス切断レーザビームL2の中心C2に比して樹脂切断レーザビームL1の中心C1は、LEDパッケージ101の移動方向(矢印M方向)に対して同方向に移動している。このように両中心C1、C2を偏心させることで、図6(b)の状態を固定して照射する場合に比し、セラミックス切断レーザビームL2照射領域にLEDパッケージ101が到達するまでの樹脂切断レーザビームL1の照射時間を短くすることができる。

【0049】
図6(b)-図6(a)-図6(b)-図6(c)-図6(b)の順に樹脂切断レーザビームL1の中心C1を移動させることによって、セラミックス切断レーザビームL2の照射領域において樹脂切断レーザビームL1をY軸方向に走査させることができる。この走査を繰り返すことによって、被加工物であるLEDパッケージ101に対して樹脂切断レーザビームL1を周期的に照射することが実質的に可能になる。したがって、樹脂切断レーザビームL1に関して、高エネルギーで短時間照射する方式に比べて低エネルギーで長時間LEDパッケージを照射することが可能になる。このことによって、樹脂切断レーザビームL1がセラミックス基板103に与えるダメージ(熱影響)を抑制することができる。したがって、切断された部分の品位を向上させることができる。なお、樹脂切断レーザビームL1を走査させる場合には、アシストガス噴射口93を走査方向に沿う長穴にすることもできる。

【0050】
また、セラミックス切断レーザビームL2の照射領域において樹脂切断レーザビームL1を走査させる場合には、図1に示された支持ステージ201をθ方向に適宜回転(回動)させることが好ましい。このことにより、シリコーン樹脂層105が除去された部分の幅を一定に保つことができる。更に、平面視した場合における曲線に沿って被加工物を切断することもできる。この場合には、支持ステージ201をθ方向に適宜回転(回動)させることによって、被照射部分におけるその曲線の接線方向と樹脂切断レーザビームL1の走査方向とを一致させることが好ましい。このことにより、シリコーン樹脂層105が除去された部分の幅を一定に保つことができる。

【0051】
また、図6(a)の状態を固定してLEDパッケージ101を切断することもできる。これにより、ある被照射部分について考えると、セラミックス切断レーザビームL2によって照射される前に樹脂切断レーザビームL1によって照射される時間を長くすることができる。したがって、セラミックス切断レーザビームL2を照射する前にシリコーン樹脂層105をいっそう確実に除去することができる。これにより、切断された部分の品位を向上させることができる。

【0052】
また、被加工物であるLEDパッケージ101を完全に切断する加工(フルカット)について説明した。これに限らず、被加工物において厚さ方向の途中(厚さの半分程度)まで溝を形成する加工(ハーフカット)を行う場合においても本発明を適用することができる。また、浅い溝を形成する加工、貫通穴を形成する加工、止り穴を形成する加工、長穴を形成する加工等にも、本発明を適用することができる。

【0053】
ここでは被加工物として、平板状のセラミックス基板103と、セラミックス基板103の表面103a上に規則的に配列されたLEDチップ(不図示)と、セラミックス基板103の表面103aに密接するように形成され個々のLEDチップを密封(樹脂封止)するシリコーン樹脂層105と、を有してなるLEDパッケージ101を例にとって説明した。本装置11は、LEDパッケージ101を個々のLEDデバイスに切断するための装置として用いられるものである。このため本装置11においては、LEDパッケージ101に含まれるLEDチップ部分の盛り上がり(LEDデバイスのレンズ部分の高さ)に噴射ノズル91が干渉(当接)しないよう、アシストガスを噴射するための噴射ノズル91の先端(アシストガス噴射口93が開口する面)と被加工物(LEDパッケージ101)との間の距離(ノズル高さ)は、LEDパッケージ101に含まれるレンズ部分の高さ(例えば、1.0~1.5mm)よりも大きく(例えば、1.5mm超)設定できるようにされる。

【0054】
そして、ここでは被加工物として上述のLEDパッケージ101を例にとって説明したが、LEDパッケージ101に限定されるものでないことは言うまでもなく、さらにここではセラミックス基板103とシリコーン樹脂層105との2層を有する被加工物であったが、このような2層に限定されるものではなく、2層、3層、4層、5層・・・・のように複数層を含む被加工物であればよい。

【0055】
以上説明した通り、本装置11は、表面101aを形成する第1層(シリコーン樹脂層105)と、第1層(シリコーン樹脂層105)の裏面側に存する第2層(セラミックス基板103)と、を含んでなる被加工物(LEDパッケージ101)に、表面101a側からレーザビーム(樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2)を照射することで被加工物(LEDパッケージ101)を加工するレーザ加工装置であって、レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1及びセラミックス切断レーザビームL2)を照射する照射手段(樹脂切断レーザビームL1を照射する第1発生手段31と、セラミックス切断レーザビームL2を照射する第2発生手段51と、を含んでなる。)と、照射手段(第1発生手段31及び第2発生手段51)に対して被加工物(LEDパッケージ101)を被加工物(LEDパッケージ101)の表面101aに沿って相対的に移動させる移動手段(ここでは支持ステージ201)と、を備えてなり、照射手段(第1発生手段31及び第2発生手段51)は、第2層(セラミックス基板103)の加工に適した第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2)を第1層(シリコーン樹脂層105)の表面の第2領域(図3(c))に照射する第2照射手段(第2発生手段51)と、第1層(シリコーン樹脂層105)の加工に適した第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)を、第2領域(図3(c))を取り囲む第1領域(図3(b))に照射する第1照射手段(第1発生手段31)と、を有してなる、レーザ加工装置である。

【0056】
本装置11においては、第1領域(図3(b))のうち第2領域(図3(c))の外側に存する単独第1領域(図3(a)において、樹脂切断レーザビームL1が照射される領域のうち、セラミックス切断レーザビームL2が照射される領域の外側に存するドーナツ状の部分)の幅が、被加工物(LEDパッケージ101)の表面101aに沿ったいずれの方向についても略等しい(ここでは(r1-r2))ものである。
本装置11においては、第1領域(図3(b))の外縁線(中心C1の半径r1の円周)及び第2領域(図3(c))の外縁線(中心C2の半径r2の円周)が、第1層(シリコーン樹脂層105)の表面に存する同じ点(図3(a)の点C)を中心とする同心円に形成され、両外縁線(中心C1と中心C2とが点Cに一致する場合の中心C1の半径r1の円周と中心C2の半径r2の円周)の間の全域に第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)が照射されるものである。

【0057】
本装置11においては、第1領域(図3(b))が第2領域(図3(c))の少なくとも一部に重なるようにしてもよい。
本装置11においては、被加工物(LEDパッケージ101)に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズル91をさらに備えてなり、第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)及び第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2)が噴射ノズル91のアシストガス噴射口93を通過し被加工物(LEDパッケージ101)に照射されるものである。
本装置11においては、照射手段(第1発生手段31及び第2発生手段51)は、第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)及び第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2)を照射しつつ第2領域(図3(c))に対する第1領域(図3(b))の相対位置を変更可能(図6(a)、(b)、(c))なものである。

【0058】
本装置11においては、照射手段(第1発生手段31及び第2発生手段51)は、第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)及び第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2)のうち所定の光路(ここではZ方向に沿った光路)に沿ったいずれか一方のビーム(ここでは第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2))を通過させる通過開口(開口35h)を有し、該光路(ここではZ方向に沿った光路)とは異なる方向(ここではX方向)から入射するいずれか他方のビーム(ここでは第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1))を該光路(ここではZ方向に沿った光路)に沿うように反射する反射鏡35を有するものである。
本装置11においては、第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)が前記他方のビームであり、前記光路(Z方向に沿った光路)に対し反射鏡35の反射面35sを変位させることで、第1レーザビーム(樹脂切断レーザビームL1)及び第2レーザビーム(セラミックス切断レーザビームL2)を照射しつつ第2領域(セラミックス切断レーザビームL2の照射領域)に対する第1領域(樹脂切断レーザビームL1の照射領域)の相対位置を変更可能なものである(ここでは鏡駆動装置37が反射鏡35を駆動することによる)。
【符号の説明】
【0059】
11 本装置
31 第1発生手段
33 樹脂切断レーザビーム発生装置
35 反射鏡
35h 開口
35s 反射面
37 鏡駆動装置
51 第2発生手段
53 セラミックス切断レーザビーム発生装置
54 導光ケーブル
55 コリメータ
57 集光レンズ
71 観察手段
72 CCDカメラ
73 結像レンズ
74 バンドパスフィルター
75 第1ダイクロイックミラー
76 観察用照明器
77 第2ダイクロイックミラー
91 噴射ノズル
93 アシストガス噴射口
101 LEDパッケージ
101a 表面
101b 裏面
103 セラミックス基板
103a 表面
103d 分断溝
105 シリコーン樹脂層
105d 分断溝
201 支持ステージ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5