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明細書 :土質材の改良方法および土質改良材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5717126号 (P5717126)
公開番号 特開2012-102485 (P2012-102485A)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
発行日 平成27年5月13日(2015.5.13)
公開日 平成24年5月31日(2012.5.31)
発明の名称または考案の名称 土質材の改良方法および土質改良材
国際特許分類 E02F   7/00        (2006.01)
FI E02F 7/00 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2010-250119 (P2010-250119)
出願日 平成22年11月8日(2010.11.8)
審査請求日 平成25年9月19日(2013.9.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
発明者または考案者 【氏名】佐藤 研一
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
審査官 【審査官】▲高▼橋 祐介
参考文献・文献 特開2001-164598(JP,A)
特開2006-022492(JP,A)
田中浩之、星野恭平、佐藤研一、藤川拓郎、中島典昭,助材の影響に着目した固化処理底泥土の堤体補修材料への適用性,第44回地盤工学研究発表会,日本,地盤工学会,2009年 8月,第405頁-第406頁
調査した分野 E02F 7/00 - 7/10
特許請求の範囲 【請求項1】
液性限界の含水比以上の水分を含む土質材に対し、セメント系固化材を用いることなく、解砕されたフレッシュな竹材を270〔kg/m3〕以上混合することを特徴とする高含水比で軟弱な土質材を運搬可能にするための改良方法。
【請求項2】
前記土質材の含水比がw〔%〕の場合、前記解砕された竹材を2.2w+114.7〔kg/m3〕以上混合することを特徴とする請求項1記載の高含水比で軟弱な土質材を運搬可能にするための改良方法。
【請求項3】
前記竹材は、長さ0.333~42〔mm〕、太さ0.013~8〔mm〕に解砕されたものである請求項1または2に記載の高含水比で軟弱な土質材を運搬可能にするための改良方法。
【請求項4】
前記土質材は、液性限界の含水比の2倍以下の水分を含むものである請求項1から3のいずれかに記載の高含水比で軟弱な土質材を運搬可能にするための改良方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、沿岸域の浚渫、河川改修時の浚渫やため池底泥の除去等の工事により発生する土質材の改良方法および土質改良材に関する。
【背景技術】
【0002】
沿岸域の浚渫、河川改修時の浚渫やため池底泥の除去等の工事により発生する土砂や汚泥等の土質材は、液性限界の含水比以上の水分を含む高含水比で軟弱な土質材であるため、そのままの状態でトラックに載せて運搬することは難しい。そのため、土砂等を天日干しにするか、土砂等に対してセメント系の固化材を現位置で混合攪拌し固化させてから運搬するようにしている。
【0003】
例えば、非特許文献1~5に記載のように、本発明者らは、土砂等に対してセメント系の固化材と、助材として竹をパウダー状にした竹パウダーを用い、原位置にて固化処理を行い、堤体補修材料等として有効利用することについて研究している。また、非特許文献6~9に記載のように、さらに助材として建築廃材である石膏ボードを2mm以下に粉砕した石膏粉を用いて固化処理することについて研究している。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】星野恭平、田中浩之、佐藤研一、藤川拓朗、横田季彦,助材を用いたため池底泥の固化処理法の検討,平成20年度土木学会西部支部研究発表会,土木学会,2009年3月,ページp.551-552
【非特許文献2】田中浩之、星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、横田季彦,ため池底泥を用いた新しい堤体補修材料の材料力学特性,平成20年度土木学会西部支部研究発表会,土木学会,2009年3月,ページp.553-554
【非特許文献3】田中浩之、星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、中島典昭,助材の影響に着目した固化処理底泥土の堤体補修材料への適用性,第44回地盤工学研究発表会,地盤工学会,2009年8月,ページp.405-406
【非特許文献4】星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、中島典昭,助材を用いたため池底泥の固化処理法と材料力学特性,第64回年次学術講演会講演概要集,土木学会,2009年9月,ページp.925-926
【非特許文献5】星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、原口祐理子、中島典昭,ため池底泥を用いた堤体補修材料の固化材添加率の違いが力学特性に与える影響,平成21年度土木学会西部支部研究発表会,土木学会,2010年3月,ページp.539-540
【非特許文献6】原口祐理子、佐藤研一、藤川拓朗、星野恭平、中島典昭,ため池底泥を用いた堤体補修材料の解きほぐし粒径及び助材添加率の違いが力学特性に与える影響,平成21年度土木学会西部支部研究発表会,土木学会,2010年3月,ページp.541-542
【非特許文献7】星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、中島典昭,解繊した竹を混入したため池底泥の堤体補修材料への適用性,地盤環境および防災における地域資源の活用に関するシンポジウム発表論文集,地盤工学会,2010年1月,ページp.71-74
【非特許文献8】星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、中島典昭,ため池底泥を用いた堤体補修材料の力学特性に与える固化材および助材の影響,第45回地盤工学研究発表会,地盤工学会,2010年8月,ページp.491-492
【非特許文献9】星野恭平、佐藤研一、藤川拓朗、中島典昭,ため池底泥を用いた堤体補修材料の透水・力学特性,第65回年次学術講演会講演概要集,土木学会,2010年9月,ページp.947-948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、天日干しでは、土砂等を仮置きする広大な敷地が必要であり、かつ乾燥までの時間が必要である。また、セメント系の固化材による改良では、コストがかかることはもちろんのこと、セメント系固化材が高アルカリ性であるため、生態系の維持のためにその利用は好ましくなく、セメント利用による土壌のpHの変化は土壌環境影響として大きな問題となる。
【0006】
そこで、本発明においては、セメント系固化材を用いることなく、高含水比で軟弱な土質材を運搬可能にする土質材の改良方法および土質改良材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の土質材の改良方法は、液性限界の含水比以上の水分を含む土質材に対し、解砕された竹材を270〔kg/3〕以上、より好ましくは360〔kg/3〕以上、さらに好ましくは430〔kg/3〕以上混合することを特徴とする。また、本発明の土質改良材は、液性限界の含水比以上の水分を含む土質材に対し、270〔kg/3〕以上、より好ましくは360〔kg/3〕以上、さらに好ましくは430〔kg/3〕以上混合される解砕された竹材からなる。
【0008】
本発明の土質材の改良方法または土質改良材によれば、解砕された竹材が液性限界の含水比以上の水分を含む土質材に混合されることにより、土質材の水分を吸収しつつ、土質材に絡みついて纏めるように作用し、土質材がトラック等に載せて運搬可能な程度の強度に改良される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セメント系固化材を用いることなく、液性限界の含水比以上の水分を含む高含水比で軟弱な土質材を改良し、トラック等に載せて運搬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における土質改良材を構成する竹材の長さおよび太さについての説明図である。
【図2】底泥の粒径加積曲線を示す図である。
【図3】竹材の写真と混合時の含水比を示す図である。
【図4】竹材の拡大写真および顕微鏡写真を示す図である。
【図5】竹材の添加量とコーン指数の関係を示す図である。
【図6】竹フレークの添加量とコーン指数の関係を示す図である。
【図7】含水比と竹フレークの添加量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態における土質材の改良方法および土質改良材が対象とする土質材は、液性限界の含水比以上の水分を含む土質材である。液性限界とは、土が塑性状態から液状に移るときの含水比をいい、日本工業規格(JIS A 1205)「土の液性限界・塑性限界試験方法」に規定されている。本実施形態における土質材の改良方法および土質改良材は、特に運搬に際して最も取り扱いにくいとされている液性限界の含水比の1.5倍以上2倍以下の水分を含む土質材に好適である。

【0012】
このような土質材は、例えば、沿岸域の浚渫、河川改修時の浚渫やため池底泥の除去等の工事により発生する土砂や汚泥等であり、そのままではショベルですくうことも困難なべちゃべちゃの状態の土質材である。本実施形態における土質材の改良方法では、このような土質材に対し、解砕された竹材のみからなる土質改良材を270〔kg/3〕以上混合することで、ショベルですくい、トラック等に載せて運搬可能な程度の強度に改良する。

【0013】
ここで、トラック等に載せて運搬可能な程度の強度とは、一軸圧縮強さqu=30〔kN/m2〕以上であれば十分であるとされている(社団法人セメント協会:セメント系固化材による地盤改良マニュアル(第2版)(1994),p.154参照。)。なお、本発明の改良の対象である土砂や汚泥等の土質材では一軸圧縮強さを計測することが困難であるため、コーン指数試験により評価を行うこととする。コーン指数試験により評価を行う場合、コーン指数qc≒5qu(社団法人地盤工学会:地盤調査法(1995),p.225参照。)となる。

【0014】
そこで、本実施形態における土質材の改良方法および土質改良材による目標強度は、一軸圧縮強さqu=30〔kN/m2〕に相当するコーン指数qc=150〔kN/m2〕以上とする。なお、本発明の改良の対象である土砂や汚泥等の液性限界の含水比以上の水分を含む土質材の改良強さは、大きなばらつきを示すことが多いため、一軸圧縮強さquの改良目標値はqu=50~100〔kN/m2〕とする例が多い。そこで、本実施形態における土質材の改良方法および土質改良材による目標強度は、望ましくは一軸圧縮強さqu=50〔kN/m2〕に相当するコーン指数qc=250〔kN/m2〕以上とする。

【0015】
竹材は、伐採された竹廃材等の竹を植繊機や解砕(ほぐし)機等によりフレーク(薄片)状に解砕し(ほぐし)たものである。植繊機等では、予めチップ状にした竹をホッパーから投入すると、中のスクリューによって圧縮、混練され、さらにカッターによってミンチ状にすり潰されて、機械先端部の穴からバラバラにほぐれた竹材が排出される。

【0016】
また、竹材は、長さ0.333~42〔mm〕、太さ0.013~8〔mm〕に解砕されたものである。図1に示すように、長さとは、竹の繊維方向と同一方向をいう。また、太さとは、竹の繊維方向に対して直交方向の外径をいう。

【0017】
このように解砕された竹材のみからなる土質改良材を液性限界の含水比以上の水分を含む土質材に対して約270kg/3以上混合し、攪拌すると、解砕された竹材が土質材の水分を吸収しつつ、土質材に絡みついて纏めるように作用し、土質材がトラック等に載せて運搬可能な程度の強度に改良される。すなわち、本実施形態における土質材の改良方法および土質改良材によれば、セメント系固化材を用いることなく、液性限界の含水比以上の水分を含む高含水比で軟弱な土質材を改良し、トラック等に載せて運搬することが可能となる。
【実施例】
【0018】
本発明の土質材の改良方法および土質改良材について検証を行った。土質材には、佐賀県長場恵ため池から採取した底泥を用いた。底泥の物理特性を表1に、粒径加積曲線を図2に示す。竹材は、加工方法の異なる3種類のフレッシュな竹材を使用した。ここでは、粒径が大きいものから「竹チップ大」、「竹チップ小」、「竹フレーク」とした。図3に竹材の写真と混合時の含水比を示す。
【実施例】
【0019】
【表1】
JP0005717126B2_000002t.gif
【実施例】
【0020】
また、それぞれの竹材の拡大写真を図4に示した。図4(a)に示す竹チップ大は、ほとんどが肉眼で確認できる大きさで、顕微鏡でははみ出してしまうような大きさであったため拡大写真で寸法の測定を行ったところ、長さ5.5~42〔mm〕、太さ1~8〔mm〕であった。図4(b)に示す竹チップ小は、竹チップ大と同様に写真による寸法の確認が可能であったため拡大写真で測定したところ、長さ2~11〔mm〕、太さ1~3.5〔mm〕であった。
【実施例】
【0021】
図4(c)に示す竹フレークは、ほとんどが細かい材料で肉眼による寸法の確認ができなかったため、図4(d)に示す顕微鏡写真で測定したところ、長さ0.333~10.5〔mm〕、太さ0.013~0.8〔mm〕であった。なお、竹チップ大、竹チップ小においても、長さ1〔mm〕以下の細かな屑が含まれていたが、割合的にごく僅かであったため除外した。
【実施例】
【0022】
実験条件を表2に示す。底泥の含水比は、液性限界wLの1.0,1.5,2.0倍の75〔%〕,110〔%〕,150〔%〕の3パターンとした。これに対し、竹材の添加量は、目標強度を得るため少しずつ変化させながら最適な添加量を見つけることとした。ここで、竹材の添加量は底泥1〔m3〕に対する竹材の湿潤重量〔kg〕で配合を行った。
【実施例】
【0023】
コーン指数試験用供試体の作製は、含水比を調整した底泥に竹材を混合し、ミキサーで4分間十分に攪拌した後、3時間養生させ、その後、直径10〔cm〕、高さ12.5〔cm〕のコーン指数試験用モールドに3層に分けて打設することにより行った。なお、打設の際、締固めすぎると水分がにじみ出てくるため、水分が出てこないように適度なエネルギーで締固めることとした。
【実施例】
【0024】
【表2】
JP0005717126B2_000003t.gif
【実施例】
【0025】
図5に竹材の添加量とコーン指数の関係を示す。コーン指数は、竹材の種類によらず竹材の添加量の増加に伴って、徐々に強度増加が現れ、一定の添加量を境に急激に増加する傾向を示した。その後、コーン指数はピークを示し、竹の添加量が多くなりすぎると減少する傾向を示した。また、同じ竹を破砕した材料にもかかわらず、特に竹フレークは、竹チップ大および竹チップ小に比べて少ない添加量で軟弱粘土を改良し、所定の強度まで改良することができることが示された。
【実施例】
【0026】
また、図6は竹フレークの添加量とコーン指数の関係を示している。この図6よりqc=150〔kN/m2〕を得るための竹フレークの必要添加量を以下のように算出した。
1)w=75% のとき、B=272.7〔kg/m2
2)w=110%のとき、B=369.2〔kg/m2
3)w=150%のとき、B=438.4〔kg/m2
【実施例】
【0027】
この結果から、含水比と竹フレークの添加量の関係をグラフに示したものが、図7である。含水比w〔%〕と竹フレークの添加量B〔kg/3〕の関係は、直線的な関係にあり、図中に示すように近似式2.2w+114.7〔kg/3〕で表すことができる。また、相関係数Rは0.99と非常に相関性が高い。
【実施例】
【0028】
また、上記結果から、w=75%すなわち液性限界の含水比の場合には解砕された竹材を270〔kg/3〕程度以上、w=110%すなわち液性限界の含水比の1.5倍の場合には解砕された竹材を360〔kg/3〕程度以上、w=150%すなわち液性限界の含水比の2倍の場合には解砕された竹材を430〔kg/3〕程度以上添加することで、掘削可能な強度まで底泥を改良可能であることが分かった。

【実施例】
【0029】
なお、液性限界の含水比の2倍を超える水分を含む土質材は、ほぼ水と同様であり、改良対象としては不適切だと思われ、液性限界の含水比の2倍以下の水分を含むものを改良対象とすれば良い。特に、液性限界の含水比の1.5~2倍の水分を含む土質材は、最も取り扱いが困難であると言われており、本発明の土質材の改良方法および土質改良材では、このような土質材を改良して容易に運搬することが可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、沿岸域の浚渫、河川改修時の浚渫やため池底泥の除去等の工事により発生する液性限界の含水比以上の水分を含む土質材の改良に用いられる方法および土質改良材として有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6