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明細書 :リグノフェノール誘導体の精製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5458430号 (P5458430)
公開番号 特開2011-001502 (P2011-001502A)
登録日 平成26年1月24日(2014.1.24)
発行日 平成26年4月2日(2014.4.2)
公開日 平成23年1月6日(2011.1.6)
発明の名称または考案の名称 リグノフェノール誘導体の精製法
国際特許分類 C08H   8/00        (2010.01)
FI C08H 8/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2009-147083 (P2009-147083)
出願日 平成21年6月19日(2009.6.19)
審査請求日 平成23年3月25日(2011.3.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】舩岡 正光
【氏名】三亀 啓吾
【氏名】山田 清
【氏名】市川 紀文
【氏名】芝本 信▲頼▼
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
審査官 【審査官】岡▲崎▼ 忠
参考文献・文献 特開2004-210899(JP,A)
特開2008-162997(JP,A)
特開2003-268116(JP,A)
特開2008-024880(JP,A)
化学大辞典1縮刷版,日本,共立出版株式会社,2006年 6月15日,904
調査した分野 C08H 8/00
特許請求の範囲 【請求項1】
リグノフェノール誘導体及び酸を含むフェノール誘導体溶液を水と接触処理して、フェノール誘導体溶液の水分散液とする工程と、
前記フェノール誘導体溶液の水分散液にメチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エーテル類、トルエン及びベンゼンからなる群より選ばれる溶媒を加え、水層と溶媒層とに分離する工程と、
前記溶媒層をリグノフェノール誘導体の貧溶媒に加え、沈殿物を分離する工程と、を含む、リグノフェノール誘導体の精製法。
【請求項2】
フェノール誘導体溶液の水分散液にメチルエチルケトンを加える、請求項1に記載のリグノフェノール誘導体の精製方法。
【請求項3】
前記フェノール誘導体溶液と水との接触処理が、前記フェノール誘導体溶液を水に滴下させる処理である、請求項1に記載のリグノフェノール誘導体の精製方法。
【請求項4】
前記フェノール誘導体溶液と水との接触処理が、前記フェノール誘導体溶液を水で洗浄する処理である、請求項1に記載のリグノフェノール誘導体の精製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス由来のフェノール性リグニン系高分子(以下、リグノフェノール誘導体という。)の精製法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで廃棄又は焼却して処分していた木材や草、廃木材、建築廃材等のバイオマス由来のリグニンを有効に活用するための研究開発が盛んに行われている。リグニンを利用する技術として、例えば、特許文献1には、植物由来のリグニンをフェノール誘導体及び酸と反応させてリグノフェノール誘導体に変換して分離精製する、リグノフェノール誘導体の製造方法が開示されている。
【0003】
このリグノフェノール誘導体製造とその精製方法は、以下の工程からなる。
(1)リグノセルロース系材料であるバイオマスにフェノール誘導体(具体的にはp-クレゾール)と酸(具体的には硫酸)を加え、リグニンをフェノール誘導体で溶媒和すると共に炭水化物を加水分解する工程、
(2)フェノール誘導体液を酸と分離してフェノール誘導体層を得る工程、
(3)得られたフェノール誘導体層をリグノフェノール誘導体の貧溶媒(具体的には脂肪族炭化水素類や脂肪族エーテル類)に滴下して、リグノフェノール誘導体をフェノール誘導体と分離して不溶区分として回収する工程(1次精製)、
(4)得られた不溶区分をアセトンに溶解してさらにリグノフェノール誘導体の貧溶媒に滴下することにより、不溶区分に含まれるフェノール誘導体を分離してリグノフェノール誘導体を回収する工程(2次精製)。
【0004】
得られたリグノフェノール誘導体は、各種材料に塗布し、乾燥して成形体とすることができる。また、リグノフェノール誘導体はアセトンに溶けるため、成形体が不要となった場合でも回収することが容易であり、繰り返し利用が可能であるという利点がある。
さらに、成形体以外の塗料以外の用途についても電子や電気用材料、医薬などへの幅広い応用が期待されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平02-233701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等はリグノセルロース系材料からリグノフェノール誘導体を製造する方法の実用化を検討してきた。小規模な実験レベルから実用化に向けたスケールアップを図る場合、工程において使用する溶媒の量を削減する必要がある。例えば、フェノール誘導体であるクレゾールを少なくした場合、フェノール誘導体溶液に含まれるリグノフェノール誘導体の濃度が高くなり、そのため粘性が高くなる。粘性が高くなるとフェノール誘導体層と酸層とを液層分離するために反応液の静置に長い時間を必要とし、また、静置分離だけでは分離が困難であるため、フェノール誘導体層に残存する酸量が多くなるという問題に直面した。実験室レベルでは、反応溶液をすぐにリグノフェノール誘導体の親溶媒や貧溶媒に滴下して酸を反応系から速やかに除去することができるため、この問題は無視されていた。静置分離に代え、高速遠心を行うことも可能であるが、装置の大型化やイニシャルコストの増大につながり好ましくない。
【0007】
フェノール誘導体層に残存する酸の量が多いと、上述した1次精製、2次精製の操作を数回繰り返す必要があり、貧溶媒の使用量は、一回の操作でフェノール誘導体量やアセトン量の15~20倍にもなってしまう。貧溶媒を多量に使用する操作が増えることは、安全面やコストの点から好ましくない。
また、フェノール誘導体溶液やフェノール誘導体層に酸が滞留していると、リグノフェノール誘導体の低分子化が進行するため、高分子量のリグノフェノール誘導体を望む場合には望ましくない。
【0008】
本発明はリグノフェノール誘導体の分離精製において、有機溶媒の使用量を増やすことなく分離精製を効率的に行う方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のリグノフェノール誘導体の精製法は、リグノフェノール誘導体及び酸を含むフェノール誘導体溶液を水と接触処理する工程と、得られた処理液を非水溶性極性溶媒で処理して非水溶性極性溶媒層を分離する工程と、
非水溶性極性溶媒層をリグノフェノール誘導体の貧溶媒に加えて沈殿物を分離する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の精製法は、有機溶媒を使用したリグノフェノール誘導体の精製を繰り返して行う必要がないので有機溶媒の使用量を少なくすることが可能であり、また、リグニンをリグノフェノール誘導体に変換する過程で使用したフェノールを効率的に回収して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のリグノフェノール誘導体の精製法の工程を示すフロー図である。
【図2】実施例1の一回目の沈殿物のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による分析結果を示す図である。
【図3】実施例2の二回目の沈殿物のGPC分析結果を示す図である。
【図4】実施例3のリグノフェノール誘導体の経時変化を示すGPC分析の結果を示す図である。
【図5】実施例4のリグノフェノール誘導体(当日処理)の経時変化を示すGPC分析の結果を示す図である。
【図6】実施例4のリグノフェノール誘導体(メチルエチルケトン抽出処理15日後)の経時変化を示すGPC分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態のリグノフェノール誘導体の精製法は以下の工程を含む。
(1)リグノフェノール誘導体及び酸を含むフェノール誘導体溶液を水と接触処理する工程、
(2)得られた処理液を非水溶性極性溶媒で処理し、非水溶性極性溶媒層を分離する工程、及び
(3)非水溶性極性溶媒層をリグノフェノール誘導体の貧溶媒に加え、沈殿物を分離する工程。

【0013】
リグノフェノール誘導体とは、フェニルプロパン骨格のC1(ベンジル位)にフェノール誘導体が結合した1,1-ビス(アリール)プロパン-2-O-アリールエーテル型構造を有する化合物であり、例えば、リグノセルロース系材料にフェノール誘導体が溶解した溶媒を浸透させた後、酸を混合することによって、リグノセルロースの複合状態を緩和させ、同時にリグニンのフェニルプロパン骨格のC1(ベンジル位)にフェノール誘導体を結合させることによって得ることができる。ここで酸は、バイオマスの加水分解に用いられる酸であればよく、例えば硫酸が一般的に用いられている。なお、リグノセルロース系材料に代えてセルロースから分離されたリグニンをフェノール誘導体と接触させてもよい。

【0014】
フェノール誘導体は、液体の状態でバイオマスと接触させる。フェノール誘導体として、p-クレゾールが用いられることが多いが、p-クレゾール以外のフェノール誘導体としては、フェノール、m(メタ)-クレゾール、o(オルト)-クレゾール、アニソール、2,4-ジメトキシフェノール、2,6-ジメトキシフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、プロピルフェノール、i-プロピルフェノール、tert-ブチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、ビスフェノール、バニリン、シリンゴール、グアイアゴール、フェルラ酸、クマル酸の何れか、又は、これらの組み合わせを使用することができる。

【0015】
酸は、塩酸、硫酸等の無機酸であり、硫酸が望ましい。

【0016】
リグノフェノール誘導体を含むフェノール誘導体溶液中には、リグノフェノール誘導体、リグノフェノール誘導体フラグメント等の低分子化合物、フェノール誘導体、酸が含まれている。

【0017】
リグノフェノール誘導体、フェノール誘導体及び酸を含むフェノール誘導体溶液は、液層分離により、リグノフェノール誘導体を含むフェノール誘導体溶液の層(以下、フェノール誘導体層という。)と酸液層とに分離される。さらに、分離されたリグノフェノール誘導体層は、さらに遠心分離処理が施されていてもよい。すなわち、本実施例において、フェノール誘導体溶液とは、液層分離や遠心分離等の処理にこだわらず、フェノール誘導体及び酸を含むフェノール誘導体の溶液をいう。

【0018】
フェノール誘導体溶液中のリグノフェノール誘導体の濃度が高くなると、溶液の粘性が高くなり、フェノール誘導体層への酸の混入量が増加する問題が生ずる。フェノール誘導体溶液中に存在する酸をフェノール誘導体層と液層分離しても、フェノール誘導体層に混入する酸量をなくすることは困難である。フェノール誘導体層に残留する酸の量が多いと、フェノール誘導体の再利用が困難になるだけでなく、精製工程で使用する貧溶媒にも酸が混入して貧溶媒の回収、再利用にも悪影響を及ぼすことになるので好ましくない。
また、フェノール誘導体溶液やフェノール誘導体層中に酸が存在することにより、リグノフェノール誘導体の低分子化が生じやすいという問題がある。

【0019】
フェノール誘導体層に混入した酸を取り除くため、まず、リグノフェノール誘導体を含むフェノール誘導体溶液を水と接触させる処理を行う。接触処理として、具体的には以下の操作を挙げることができる。
(1)フェノール誘導体溶液を水に滴下し、懸濁させて水分散液とする。
(2)フェノール誘導体溶液を水で洗浄する。

【0020】
フェノール誘導体溶液を水分散液とするためには、フェノール誘導体溶液より多い水を必要とするが、水洗浄の場合には、少ない水で繰り返し洗浄することで水の量を減らすことが可能である。
また、フェノール誘導体溶液と接触させる水をアルカリ性水溶液とし、酸の中和を行ってもよい。

【0021】
次いで、水と接触処理した処理液に非水溶性極性溶媒を加える。非水溶性極性溶媒は、リグノフェノール誘導体を溶解でき、水分離しやすい溶媒である。このような溶媒として、メチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エーテル類、トルエン、ベンゼンを挙げることができる。リグノフェノール誘導体の溶解性と疎水性とを考慮するとメチルエチルケトンが好ましい。

【0022】
この操作により、処理液は水層と非水溶性極性溶媒層とに分離する。非水溶性極性溶媒層には、リグノフェノール誘導体を含むフェノール誘導体溶液が含まれるが、酸は含まれない。したがって、リグノフェノール誘導体は酸の影響を受けることがない。また、酸が取り除かれることにより、フェノール誘導体のスルホン化を抑制することが可能である。

【0023】
非水溶性極性溶媒層を分離したのち、リグノフェノール誘導体の貧溶媒に滴下し、リグノフェノール誘導体を沈殿物として得る。

【0024】
発明者らにより、リグノフェノール誘導体の溶媒溶解性は、次の序列になることがわかっている。
強アルカリ溶液>アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン類>ジメチルフォルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)のような非プロトン極性溶媒>テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンのような環状エーテル類>ピリジンのようなヘテロ環状化合物>エタノール、セロソルブのようなアルコール類>tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)などの非対称エーテル類>ジエチルエーテルやジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの対称アルキルエーテル>トルエン又はキシレンとヘキサンとの混合溶媒>ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類>ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類。

【0025】
リグノフェノール誘導体の貧溶媒は、非対称エーテル類、対称アルキルエーテル、環状炭化水素類、直鎖状炭化水素、エステル類を使用することができる。具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、n-ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルを挙げることができ、ジイソプロピルエーテルが好ましい。なお、上述した貧溶媒を混合して、極性を変化させて使用することは当分野において常套手段であり、極性の異なる溶媒を組み合わせたものを貧溶媒として使用してもよい。

【0026】
非水溶性極性溶媒として、メチルエチルケトンを使用した場合、メチルエチルケトンと液体の直鎖状炭化水素の組み合わせが好ましい。

【0027】
沈殿したリグノフェノール誘導体を遠心分離等により回収する。得られたリグノフェノール誘導体は、精製度を高めるために、アセトンやメチルエチルケトンに溶解し、さらにジイソプロピルエーテル又はメチルエチルケトンと液体状の直鎖状炭化水素との混合溶媒に滴下して再沈殿させてもよい。

【0028】
なお、メチルエチルケトン、貧溶媒、フェノール誘導体の分離は蒸留にて分離可能である。
【実施例1】
【0029】
ヒノキ脱脂木粉1gにp-クレゾール10mリットルを加え、これに72%のHSOを10mリットル添加し、30℃で1時間攪拌した。反応停止10分前にm,p-クレゾールを5mリットル加え、攪拌した。反応終了後、遠心分離し、クレゾール層と硫酸層に分離した。クレゾール層を水25mリットルに滴下したところ、薄桃白色に懸濁した。
【実施例1】
【0030】
懸濁液にメチルエチルケトン10mリットルを加え、しばらく静置すると、リグノフェノール誘導体を含むメチルエチルケトン層と水層とに分離した。上層のメチルエチルケトン層をジイソプロピルエーテルに滴下し、淡桃白色の沈殿物を得た。この沈殿物をアセトンに溶解し、可溶区分を濃縮後、再度ジイソプロパノールに滴下して0.282gの沈殿物(リグノフェノール誘導体)を得た。この沈殿物はリグニン当たり104%であった。
図2に一回目の生成物の沈殿物のGPC分析結果を、図3に二回目の沈殿物のGPC分析結果を示す。
【実施例2】
【0031】
実施例1と同じ条件でヒノキ木粉を処理した。得られたクレゾール層を室温で0~7日間放置し、クレゾール層からリグノフェノール誘導体を精製して、平均分子量の変化を調べた。精製溶媒はジイソプロピルエーテルを使用した。得られたリグノフェノール誘導体のGPC分析の結果を図4に示す。
【実施例2】
【0032】
相分離処理後遠心分離を行ない、すぐに精製したリグノフェノール誘導体の重量平均分子量は、約14000であったが、3時間室温放置で約8500まで低下した。15時間経過すると分子量は約4200まで低下した。7日目まで経時変化を調べたが、2日目以降は、分子量約3500で更なる低分子化は見られなかった。
【実施例3】
【0033】
カバ木粉を連続式植物資源変換プラントにて変換し得られたクレゾール層1000gを5リットルの分液ロートに入れ、そこにイオン交換水250gを加え、ゆっくり攪拌した。次いで、メチルエチルケトン1リットルを添加し、5分間攪拌後、1時間静置し、分離した。メチルエチルケトン層が約1470g、水層が約500g回収された。水層の硫酸濃度は約36%となり、クレゾール層に含まれる硫酸の大半が水層に移行した。
【実施例3】
【0034】
メチルエチルケトン層に15%炭酸ナトリウム水溶液337gを加え、5分間攪拌後、1時間静置し、分離した。
メチルエチルケトン層にイオン交換水250gを加え、5分間攪拌後、1時間静置し、分離した。さらにイオン交換水250gを加え、5分間攪拌後、1時間静置し、分離した。水洗したメチルエチルケトン層を減圧濃縮し、メチルエチルケトン層を回収した。
メチルエチルケトン層を濃縮し、300mリットルをヘプタン/メチルエチルケトン70/30混合液2900mリットルに下した。不溶区分を減圧ろ過にて回収し、ヘプタンで洗浄した。これを乾燥し、65gの精製リグノフェノール誘導体を得た。このリグノフェノール誘導体には約13%のクレゾールが含まれていた。
【実施例3】
【0035】
得られたリグノフェノール誘導体を250mリットルのメチルエチルケトンに溶解し、不溶区分をろ過にて除去した。ろ液をヘプタン/メチルエチルケトン80/20混合液1450mリットルに滴下した。不溶区分を減圧ろ過にて回収し、ヘプタンで洗浄した。これを乾燥し、37gの二次精製リグノフェノール誘導体を得た。
【実施例3】
【0036】
二次精製リグノフェノール誘導体を316mリットルのメチルエチルケトンに溶解し、不溶区分をろ過にて除去した。ろ液をヘヘプタン/メチルエチルケトン80/20混合液1450mリットルに滴下した。不溶区分を減圧ろ過にて回収し、ヘプタンで洗浄した。これを乾燥し、32gの三次精製リグノフェノール誘導体を得た。
【実施例3】
【0037】
本精製法で得られたリグノフェノール誘導体は、ジイソプロピルエーテル単独溶媒精製と比べて、性状はほぼ同じであり、収率は少し高くなった。これらのことから、溶媒の取扱いの安全性と回収率ならびコストが改善可能であった。
【実施例4】
【0038】
3mol倍のp-クレゾールを収着したヒノキ木粉15g(木粉として10g)に72%硫酸100mlを加え、30℃で60分攪拌し、終了10分前にm,p-クレゾール80mリットルをくわえた。これを遠心分離し、フェノール層を回収した。フェノール層に固形分も少なく、分離性は良好であった。界面洗浄として10mリットルのm,p-クレゾールを加え、界面を洗浄した。クレゾール層100mリットルが回収された。このクレゾール層を600mリットルの水に滴下した。滴下後は淡桃白色の分散液となった。これに200mリットルのメチルエチルケトンを加え、分液ロートに入れ、一晩放置した。翌日、メチルエチルケトン層の濁りは少なくなっていた。水層を抜き、メチルエチルケトン層160mリットルを回収した。
【実施例4】
【0039】
イオンクロマトによりクレゾール層及びメチルエチルケトン層の硫酸を定量したところ、クレゾール層中の硫酸量は9.68%であったが、メチルエチルケトン層から硫酸は検出できなかった。
【実施例4】
【0040】
処理当日に、メチルエチルケトン層10mリットルを120mリットルのジイソプロピルエーテルに滴下し、1次精製リグノフェノール誘導体を得た。GPC分析の結果を図5に示す。
【実施例4】
【0041】
1次精製リグノフェノール誘導体をアセトンに溶解後、ジイソプロピルエーテルに滴下し2次精製を行い、0.125gのリグノフェノール誘導体を得た。
【実施例4】
【0042】
処理後15日後のメチルエチルケトン層10mリットルを120mリットルのジイソプロピルエーテルに滴下し、1次精製リグノフェノール誘導体を得た。GPC分析の結果を図6に示す。
1次精製リグノフェノール誘導体をアセトンに溶解後、ジイソプロピルエーテルに滴下し2次精製を行い、0.136gのリグノフェノール誘導体を得た。
【実施例4】
【0043】
GPCを見ると処理後15日後のリグノフェノール誘導体は、若干、重量平均分子量にばらつきがあり、高分子区分が少なくなっているが、ほとんど変化は見られなかった。
収率も処理日、15日目ともほぼ同じであり、経時変化による低分子化は進んでいなかった。
【実施例4】
【0044】
<比較例>
実施例1と同様に、ヒノキ脱脂木粉1gにp-クレゾール10mリットルを加え、これに72%のHSOを20mリットル添加し、激しく攪拌した。60分攪拌後、遠心分離(3500/rpm)によりp-クレゾール層と硫酸層とに分離した。p-クレゾール層をジイソプロピルエーテルに滴下したところ、滴下初期は分散状態となったが、すぐに油状凝集物を生成し、淡桃白色のリグノフェノール誘導体を得ることができず、さらに2~3回の分離精製処理を必要とした。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5