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明細書 :立体画像を作成する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5645010号 (P5645010)
公開番号 特開2012-084095 (P2012-084095A)
登録日 平成26年11月14日(2014.11.14)
発行日 平成26年12月24日(2014.12.24)
公開日 平成24年4月26日(2012.4.26)
発明の名称または考案の名称 立体画像を作成する方法
国際特許分類 G06T  19/00        (2011.01)
FI G06T 19/00 F
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2010-232028 (P2010-232028)
出願日 平成22年10月14日(2010.10.14)
審査請求日 平成25年10月10日(2013.10.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 智義
【氏名】中山 弘敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100121658、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌義
審査官 【審査官】千葉 久博
参考文献・文献 特開2008-183616(JP,A)
特開2002-274100(JP,A)
特開2000-237883(JP,A)
特開平11-149576(JP,A)
特開平07-114652(JP,A)
西田義人, 外5名,”基礎からわかる画像処理 ■基礎 ■ボケ画像 ■ボケ補正画像 ■逆光補正画像 ■パノラマ画像 初版”,株式会社工学社,2007年11月25日,第1版,p.149-185
坂口竜己, 外2名,”実写映像に基づいた3次元樹木モデルの生成”,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会,1999年 9月25日,第J82-D-II巻, 第9号,p.1469-1477
調査した分野 G06T 19/00,19/20
G06T 15/00-15/87
B23K 26/00-26/70
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の二次元原画像を用いて観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を作成する方法であって、
各二次元原画像の所定の画素の輝度を掛け合わせた値に応じた値を立体画像の画素の濃度として計算する、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を作成する方法。
【請求項2】
前記各二次元原画像の所定の画素は、前記立体画像の画素から前記二次元原画像に下ろした垂線が前記二次元原画像と交差する位置における画素である請求項1記載の観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を作成する方法。
【請求項3】
n個の二次元原画像を用いて観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を作成する方法であって、
下記式に基づき、立体画像の各画素における濃度dを求める、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を作成する方法。
JP0005645010B2_000011t.gif(pは1番目の二次元原画像のある画素における輝度を、pは2番目の二次元原画像のある画素における輝度を、pはn番目(nは任意の自然数)の二次元原画像のある画素における輝度をそれぞれ表す。またRは定数を表す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を作成する方法に関する。より具体的には、クリスタルガラスやアクリル等の透明な物体に形成される立体画像を作成する方法に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
クリスタルガラスやアクリル等の透明な物体の内部にレーザーによって平面画像又は立体画像を形成する技術は、いわゆるレーザー彫刻方法として知られている。レーザー彫刻方法としては、例えば下記特許文献1にその例示がある。
【0003】
一方、3つの異なる方面からの投影図がそれぞれ異なる文字を表すよう作製された木製オブジェクトが、例えば下記非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-183616号公報
【0005】

【非特許文献1】D.Hofstadter、“Godel,Escher,Bach: an Eternal Golden Braid”、Basic Books、1979年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような技術は加工技術そのものであって、どのような画像を作成するのかといった点については検討の余地が残る。
【0007】
また、上記非特許文献1に記載のオブジェクトは、あくまで文字の投影図に関するものであって、2値で表現されたものに過ぎず、複雑な画像、特に諧調を有して表現される画像にまで適用するのは困難であるといった課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる立体画像を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第一の観点に係る立体画像を作成する方法は、複数の二次元原画像を用い、各二次元原画像の所定の画素の輝度を掛け合わせた値に応じた値を立体画像の画素の濃度として計算する立体画像を作成することを特徴とする。
【0010】
なおこの場合において、上記各二次元原画像の所定の画素は、計算対象となる立体画像の画素から二次元原画像に下ろした垂線が二次元原画像と交差する位置における画素であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上本発明により、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる透明な物体の内部に立体画像を形成する方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】n個の二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のイメージを示す図である。
【図2】二つの二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のイメージを示す図である。
【図3】三つの二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のイメージを示す図である。
【図4】実施例1において用いた二次元原画像を示す図である。
【図5】実施例1に係る二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のシミュレーションによる結果を示す図である。
【図6】実施例2において用いた二次元原画像を示す図である。
【図7】実施例2に係る二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のシミュレーションによる結果を示す図である。
【図8】実施例3において用いた二次元原画像を示す図である。
【図9】実施例3に係る二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のシミュレーションによる結果を示す図である。
【図10】実施例3に係る二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のシミュレーションによる結果を示す図である。
【図11】実施例4において用いた二次元原画像を示す図である。
【図12】実施例4に係る二次元原画像を用いた場合の立体画像を作成する方法のシミュレーションによる結果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書においては同一又は同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る立体画像を作成する方法のイメージを示す図である。
【0015】
本実施形態に係る立体画像を作成する方法は、複数の二次元原画像を用い、各二次元原画像の所定の画素の輝度を掛け合わせた値に応じた値を立体画像の画素の濃度として計算する立体画像を作成することを特徴とする。
【0016】
また本実施形態では、上記各二次元原画像の所定の画素は、計算対象となる立体画像の画素から二次元原画像に下ろした垂線が二次元原画像と交差する位置における画素となっている。
【0017】
本実施形態において、「二次元原画像」とは、立体画像を作成する元となる二次元画像をいい、「二次元画像」とは、独立した輝度値を有する複数の画素が二つの軸で形成される面上に配置されているよう表現できる画像をいう。また本実施形態において「立体画像」とは、独立した輝度値を有する複数の画素が三つの軸で形成される空間内に配置されているよう表現できる画像をいう。
【0018】
また本実施形態に係る立体画像を作成する方法をより具体的に説明すると、本図で示すように、複数の二次元原画像を立体座標系に仮想的に配置し、作成したい立体画像の画素Dから各二次元原画像に垂線を下ろし、それら二次元原画像と垂線とが交わる位置にある各二次元原画像の画素の輝度を求め、それらを全て掛け合わせた値に定数を乗じた値を画素Dの濃度dとし、更にこれらを全ての立体画像の画素に対して求めることで立体画像を作成することができる。
【0019】
上記をより具体的に示すと、立体画像の画素Dの濃度dは、以下の式で与えられる。なお下記式中、Rは適当な定数を示しており、pは画素Dから1番目の二次元原画像Aに下ろした垂線と交わる画素aの輝度を、pは、画素Dから2番目の二次元原画像Bに下ろした垂線と交わる画素bの輝度を、pは、画素Dから3番目の二次元原画像Cに下ろした垂線と交わる画素cの輝度を、pは、画素Dからn番目(nは任意の自然数を意味する。)の二次元原画像Nに下ろした垂線と交わる画素nの輝度を、それぞれ示している。なお各二次元原画像は平行でなければよく、原理的には数の制限はない。またこの場合において、dは、下ろした垂線が二次元原画像の枠内に存在しない場合0としておくことが好ましい。
【数1】
JP0005645010B2_000002t.gif

【0020】
ここで、このアルゴリズムが成り立つのかについて検証する。まず、本図において、観測者が例えば二次元画像A’を認識するためには、二次元画像A’の法線方向において観察する必要があるが、この際投影される二次元画像A’の画素a’の最終的な輝度Pは、重なり合う立体画像の画素の濃度の和として近似することが可能であると考えられ、次のように表すことができる。
【数2】
JP0005645010B2_000003t.gif

【0021】
ここで、投影されたパターンを二次元原画像として認識するためには、P=pであることが理想である。しかしながら、人間の目はパターンに多少の輝度値のムラやノイズがのった程度であれば認識することが可能であり、上記(1-2)において、カッコ内の値の変化が穏やかであれば認識に問題はない。一般的な写真等を用いた場合、通常はこのカッコ内の値の変化は穏やかであり、この結果投影されたパターン(二次元画像A’)は二次元原画像Aにほぼ近いものとして認識することができる。そしてこのことは二次元画像A’だけではなく、他の二次元画像B’、C’…に対しても同様なことが言え、n次元まで拡張した記録が可能となる。
【0022】
また本実施形態に係る立体画像を作成する方法は、グレースケールだけでなく、カラー化に適用することができる。具体的には、例えば、複数の二次元原画像各々を3つ原色に分割し、そのそれぞれに対して上述の計算を行えばよい。なお加工する物体が自発光する場合は加法混色法を用いることが好ましく、例えば赤、青、緑の三色に分割することが好ましく、加工する物体が自発光しない場合は減法混色法を用いることが好ましく、例えばシアン、マゼンダ、イエローの三色に分割することが好ましい。
【0023】
また本実施形態において、作成された立体画像は、クリスタルガラスやアクリル等の透明な物体の内部にレーザーを照射することによって形成することができる。立体画像を形成する方法としては特に限定されず、例えば上記特許文献1に記載の方法によって達成することができる。
【0024】
また本実施形態において、立体画像は、レーザー装置又はレーザー装置を有する物体加工装置を利用して加工することができる限りにおいて求め方に限定はないが、例えばいわゆるコンピュータ等の情報処理装置を用いて実現することができる。この場合、上記各方法の工程を実現する各手段とすることができる。具体的には、例えば、コンピュータの記録媒体に、複数の二次元原画像の所定の画素の輝度を掛け合わせた値に応じた値を立体画像の画素の濃度として計算する立体画像を作成するプログラムを記録させてこれを実行させることが好ましい。より具体的には、コンピュータに、(1)複数の二次元原画像を立体空間内に配置する手段、(2)空間内のある一画素から上記複数の二次元原画像に対する垂線を定める手段、(3)この垂線と上記複数の二次元原画像との交点を求める手段、(4)この交点に相当する位置の画素の輝度を求める手段、(5)上記手段により各二次元原画像において求めた画素の輝度を全て掛け合わせる手段、(6)上記(1)乃至(5)を所定の画素数だけ繰り返し立体画像を作成する手段、として機能させることが好ましく、更に細かくは前述又は後述の方法を行なう手段として機能させることが好ましい。
【0025】
以上本実施形態により、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる透明な物体の内部に立体画像を形成する方法となる。特に本実施形態では、用いる二次元原画像の対応する画素の輝度を掛け合わせた値を元に定めるという非常に簡便な求め方を行なうことができるため、多数の二次元原画像を用いた場合であっても、各画像、各画素毎に複雑な式をたてて計算する必要がないといった極めて優れた効果も有する。なお、この説明をより具体的に行なうべく、以下に二次元原画像が二つの場合、三つの場合それぞれについて記載を行なっておく。
【0026】
(二つの二次元原画像を用いる場合)
まず、ここでは二つの二次元原画像を用いる場合の立体画像の作成方法について説明する。図2は、二つの二次元原画像を用いて立体画像を作成する場合のイメージ図であり、図2に示される二つの二次元画像A、Bが、立体画像作成の基礎となる二次元原画像を示す。
【0027】
この例において、物体に形成される立体画像は、互いに直交するx軸、y軸、z軸からなる直交座標系の原点に頂点の一つが配置され、l×m×nの大きさの直方体として表現される。なおこの図の例では二次元原画像Aの形成する面がz軸に垂直となっており、二次元原画像Bの形成する面がx軸に垂直となっている。
【0028】
ここで、まず、この立体画像の各画素の濃度を次のように定義する。
【数3】
JP0005645010B2_000004t.gif

【0029】
上記式において、dijkは、座標(i,j,k)における立体画像の画素Dの濃度であり、Rは適当な定数であり、paijは座標(i,j,k)からz軸に沿って二次元原画像Aに下ろされた垂線にある画素aの輝度を表し、pbjkは座標(i,j,k)からx軸に沿って二次元原画像Bに下ろされた垂線にある画素bの輝度を表す。
【0030】
つまり本実施形態では、二つの二次元原画像を用いて立体画像を作成しようとする場合、二つの二次元原画像を三次元座標上に仮想配置し、立体画像の画素から垂線を下ろし、それぞれが交差する位置における二次元原画像の画素の輝度を掛け合わせて定数を乗じた値とする。この結果、立体画像の画素の濃度を求めることができる。そしてl×m×nの画素全てに対し計算することで立体画像を作成することができる。
【0031】
ここで、このアルゴリズムが成り立つのかについて検証する。まず、z軸方向に沿ってクリスタルに光が入射され、投影された結果得られる画像A’の画素a’(x座標i、y座標j)における最終的な輝度Paijはz方向に重なり合う画素の濃度の和であるため、以下のように表すことができる。
【数4】
JP0005645010B2_000005t.gif

【0032】
一方、y軸方向に沿ってクリスタルに光が入射され、投影された結果得られる最終的な画像Bの画素b(y座標j、z座標k)における輝度Pbjkはx方向に重なり合う画素の濃度の和であるため、以下のように表すことができる。
【数5】
JP0005645010B2_000006t.gif

【0033】
ここで、投影されたパターンを二次元原画像として認識するためには、Paij=paij、Pbjk=pbjkであることが理想である。しかしながら、人間の目はパターンに多少の輝度値のムラやノイズがのった程度であれば認識することが可能であり、上記(2-2)、(2-3)において、k、jの値を変化させた際、カッコ内の値の変化が穏やかであれば認識に問題はない。カッコ内の値は各二次元原画像A、Bの一行毎の輝度値の総計を示しており、一般的な写真等を用いた場合、通常はこの値の変化は穏やかである。この結果、投影されたパターンは二次元原画像A、Bに近いものとして認識することができる。
【0034】
(三つの二次元原画像を用いる場合)
次に、三つの二次元原画像を用いる場合の立体画像の作成方法について説明する。図3は、三つの二次元原画像を用いて立体画像を作成する場合のイメージ図であり、図3に示される二つの二次元画像A、B、Cが、立体画像作成の基礎となる二次元原画像を示す。
【0035】
この例において、物体に形成される立体画像は、互いに直交するx軸、y軸、z軸からなる直交座標系の原点に頂点の一つが配置され、l×m×nの大きさの直方体として表現される。なおこの図の例では二次元原画像Aの形成する面がz軸に垂直となっており、二次元原画像Bの形成する面がx軸に垂直となっており、二次元原画像Cの形成する面がy軸に垂直となっている。
【0036】
ここで、まず、この立体画像の各画素の濃度を次のように定義する。
【数6】
JP0005645010B2_000007t.gif

【0037】
上記式において、dijkは、座標(i,j,k)における立体画像の画素Dの濃度であり、δは適当な定数であり、paijは座標(i,j,k)からz軸に沿って画像Aに下ろされた垂線にある画素aの輝度を表し、pbjkは座標(i,j,k)からx軸に沿って画像Bに下ろされた垂線にある画素bの輝度を表し、pbkiは座標(i,j,k)からy軸に沿って画像Cに下ろされた垂線にある画素cの輝度を表す。
【0038】
つまり本実施形態では、二つの二次元原画像を用いて立体画像を作成しようとする場合、三つの二次元原画像を三次元座標上に仮想配置し、立体画像の画素から垂線を下ろし、それぞれが交差する位置における二次元原画像の画素の輝度を掛け合わせて定数を乗じた額とする。この結果、立体画像の画素の濃度を求めることができる。
【0039】
ここで、このアルゴリズムが成り立つのかについて検証する。まず、z軸方向に沿ってクリスタルに光が入射され、投影された結果得られる画像Aの画素a(x座標i、y座標j)における最終的な輝度Paijはz方向に重なり合う画素の濃度の和であるため、以下のように表すことができる。
【数7】
JP0005645010B2_000008t.gif

【0040】
一方、x軸方向に沿ってクリスタルに光が入射され、投影された結果得られる最終的な画像Bの画素b(y座標j、z座標k)における輝度Pbjkはx方向に重なり合う画素の濃度の和であるため、以下のように表すことができる。
【数8】
JP0005645010B2_000009t.gif

【0041】
更に、y軸方向に沿ってクリスタルに光が入射され、投影された結果得られる最終的な画像Cの画素c(x座標i、z座標k)における輝度Pckiはy方向に重なり合う画素の濃度の和であるため、以下のように表すことができる。
【数9】
JP0005645010B2_000010t.gif

【0042】
ここで、投影されたパターンを二次元原画像として認識するためには、Paij=paij、Pbjk=pbjk、Pcki=pckiであることが理想である。しかしながら、人間の目はパターンに多少の輝度値のムラやノイズがのった程度であれば認識することが可能であり、上記(3-2)、(3-3)、(3-4)において、i、k、jの値を変化させた際、カッコ内の値の変化が穏やかであれば認識に問題はない。カッコ内の値は各画像A、B、Cの一行毎の輝度値の総計を示しており、一般的な写真等を用いた場合、通常はこの値の変化は穏やかである。この結果、投影されたパターンは二次元原画像A、B、Cに近いものとして認識することができる。
【0043】
以上、本実施形態に係る、観測者が複数の方向から見た場合に異なる画像を認識することのできる透明な物体の内部に立体画像を形成する方法となる。特に本実施形態では、用いる二次元原画像の対応する画素の輝度を掛け合わせた値を元に定めるという非常に簡便な求め方を行なうことができるため、多数の二次元原画像を用いた場合であっても、各画像、各画素毎に複雑な式をたてて計算する必要がないといった極めて優れた効果も有する。
【実施例】
【0044】
ここで、上記実施形態に係る立体画像を作成する方法の効果につき、シミュレーションを行いその効果を確認した。以下に示す。なおもちろん、上記実施形態に係る立体画像を作成する方法も多くの異なる実施が可能であり、以下に示す実施例に限定されるわけではない。
【0045】
(実施例1:2つの二次元原画像の例)
まず、図4で示す2つの画像を用いた。各画像のサイズは縦×横=64×64とし、(a)は、画像の垂線がz軸と平行となるよう仮想的に配置し、(b)は、画像の垂線がx軸と平行となるよう仮想的に配置した。
【0046】
そしてこの画像を用い、上記実施形態に係る方法に従い画像を作成し、クリスタルの内部の濃度として表現した。この結果を図5で示す。なお本図中、(a)は、クリスタルを斜めから見た場合を、(b)は、クリスタルをz軸方向から、(c)はクリスタルをx方向から見た場合の図である。この結果、配置した点数の合計は492,858点であり、投影画像にはライン状のムラが生じてしまっているものの、十分に画像を認識することができるのを確認した。
【0047】
(実施例2:3つの二次元原画像の例)
まず、図6で示す3つの画像を用いた。各画像のサイズは縦×横=64×64とし、(a)は、画像の垂線がz軸と平行となるよう仮想的に配置し、(b)は、画像の垂線がx軸と平行となるよう仮想的に配置し、(c)は、画像の垂線がy軸と平行となるよう仮想的に配置した。
【0048】
そしてこの画像を用い、上記実施形態に係る方法に従い画像を作成し、クリスタルの内部の濃度として表現した。この結果を図7で示す。なお本図中、(a)は、クリスタルを斜めから見た場合を、(b)は、クリスタルをz軸方向から、(c)はクリスタルをx方向から、(d)は、クリスタルをy軸方向からそれぞれ見た場合の図である。この結果、配置した点数の合計は491,001点であり、投影画像にはライン状のムラが生じてしまっているものの、十分に画像を認識することができるのを確認した。
【0049】
(実施例3:6つの二次元原画像の例)
まず、図8で示す6つの画像を用いた。各画像のサイズは縦×横=64×64とした。各画像は、12面のクリスタルを想定し、そのうち対向しない6面に平行となるよう仮想的に配置した。(a)乃至(f)がそれぞれ立体画像作成の基礎となった二次元原画像である。
【0050】
そしてこの画像を用い、上記実施形態に係る方法に従い画像を作成し、クリスタルの内部の濃度として表現した。この結果を図9、図10で示す。なお図9は、クリスタルをいずれの二次元原画像とは平行でない方向から見た場合を、図10(a)乃至(f)は、クリスタルを基礎となった二次元原画像いずれかと平行な方向から見た場合の図である。この結果、配置した点数の合計は495,039点であり、画像には多少の劣化が生じてしまっているものの、十分に画像を認識することができるのを確認した。
【0051】
(実施例4:カラー化の例)
まず、図11で示す2つの画像を用いた。各画像のサイズは縦×横=64×64とした。
各画像に対しては、加法混色法によるフルカラー投影を試みるため、赤、青、緑の3色に分割し、それぞれの色に対し、上記実施例1と同様な配置、計算を行なった。
【0052】
そしてこの画像を用い、上記実施形態に係る方法に従い画像を作成し、クリスタルの内部を表現した。この結果を図12で示す。この結果、投影画像にはライン状のムラが生じてしまっているものの、十分に画像を認識することができるのを確認した。なお本図(a)の上3図は、左から赤、緑、青の単色画像を、(b)の上3図は、左から赤、緑、青の単色画像をそれぞれ示している。
【0053】
以上、本実施例によって、本発明の効果を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、立体画像を作成する方法として産業上の利用可能性がある。本方法は、クリスタル加工に好適であるだけでなく、例えば光通信において、所定の方向からの光を透過又は遮断させる物質の立体画像の作成方法としても使用することができ、応用の範囲は極めて広い。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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