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明細書 :人工二重らせん型不斉触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5248484号 (P5248484)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
発行日 平成25年7月31日(2013.7.31)
発明の名称または考案の名称 人工二重らせん型不斉触媒
国際特許分類 B01J  31/24        (2006.01)
C07C  67/347       (2006.01)
C07C  69/753       (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/24 Z
C07C 67/347
C07C 69/753 A
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 12
全頁数 15
出願番号 特願2009-510758 (P2009-510758)
出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
国際出願番号 PCT/JP2008/000574
国際公開番号 WO2008/129785
国際公開日 平成20年10月30日(2008.10.30)
優先権出願番号 2007105245
優先日 平成19年4月12日(2007.4.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年12月14日(2009.12.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】長谷川 剛史
【氏名】古荘 義雄
【氏名】八島 栄次
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 T.HASEGAWA et al. ,Enantioselective Synthesis of Complementary Double-Helical Molecules that Catalyze Asymmetric Reactions,Angew. Chem. Int. End.,2007年 6月25日,Vol.46,page.5885-5888
Y.FURUSHO et al.,Double Helix-to-Double Helix Transformation, Using Platinum(II) Acetylide Complexes as Surrogate Linkers ,Organic Letters,2006年 6月 8日,Vol.8,No.12,page.2583-2586
Y.TANAKA et al.,A Modular Strategy to Artificial Double Helices,Angew.Chem.Int.Ed.,2005年 5月18日,page.3867-3870
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
C07C 67/347
C07C 69/753
C07B 53/00
C07B 61/00
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I)、
【化8】
JP0005248484B2_000009t.gif
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物を含有してなる、不斉シクロプロパン化反応における触媒。
【請求項2】
白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(III)
(ArP-R-P(Ar (III)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数2~10のアルケニレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である請求項に記載の触媒。
【請求項3】
白金族金属の2座配位の配位子が、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである請求項又はに記載の触媒。
【請求項4】
白金族金属原子が、白金である請求項1~のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の触媒の存在下に、炭素-炭素二重結合を有する化合物と有機ジアゾ化合物とを反応させて光学活性シクロプロパン化合物を製造する方法。
【請求項6】
炭素-炭素二重結合を有する化合物がスチレンであり、有機ジアゾ化合物がジアゾ酢酸エステルである請求項に記載の方法。
【請求項7】
次の一般式(I)、
【化9】
JP0005248484B2_000010t.gif
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物。
【請求項8】
白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(IV)
(ArP-R-P(Ar (IV)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である請求項に記載の有機金属化合物。
【請求項9】
白金族金属原子が、白金である請求項7又はに記載の有機金属化合物。
【請求項10】
主鎖構造中に白金族金属錯体を含有してなるアミジン2量体とこれに相補的なカルボン酸2量体とからなる一方向巻きの二重鎖らせん構造の有機金属化合物を、2座配位の配位子の存在下に、当該白金族金属錯体の配位子交換反応により2座配位の配位子に交換して架橋することからなる、請求項のいずれかに記載の有機金属化合物を製造する方法。
【請求項11】
白金族金属錯体が、光学活性な配位子を有するものである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
光学活性な配位子が、2-ジフェニルホスフィノ-2‘-メトキシ-1,1’-ビナフチルであり、2座配位子がビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである請求項11に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人工的に合成された二重鎖らせん構造を有する化合物であって、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物を含有してなる触媒、及び当該触媒を使用してなる光学活性シクロプロパン化合物の製造方法、並びに2座配位の配位子で架橋されてなる一般式(I)で表される有機金属化合物、及びその製造方法に関する。
本発明は、人工二重鎖らせん分子を反応場とする選択的不斉化学反応に使用される工業上有用な触媒を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
不斉化学反応は、生物に特有な極めて選択性の高い化学反応として自然界では普通に起こる現象であり、生成する化学物質の特殊性、固有性こそが抗原抗体反応を始めとする多くの複雑な生命活動を滞りなく進める源であると言える。不斉化学反応を人工的に制御することは人類の夢であり、L-DOPA(L-ドパ,パーキンソン病治療薬)、カルパペネム系抗生物質(パニペネム・ベタミプロン,メロペネム,イミペネム・シラスタチン)等の医薬、医薬品原料、香料等々、多くの研究が行なわれ多数の成果を生み出してきた。
【0003】
一方、DNAやRNAそのものが触媒能を示すDNAzyme(非特許文献1)やRNAzyme(非特許文献2)が知られており研究されてきた。更に最近では、DNAに金属錯体を担持させた不斉触媒も提案されている(非特許文献3)。
また、天然のDNAを用いてナノスケールの金属微粒子や金属ワイヤーを製造する方法も多数開発されてきており(特許文献1等参照)、これらのナノスケールの金属ワイヤーなどを用いて電子回路を製造することも検討されている(特許文献2参照)。
しかし、これらは何れも、天然のDNAそのものか、その修飾体であって、熱等の環境変化に対する安定性の点で劣り、さらに分子設計の困難さの点でも欠点を有しており、実用上の難点が多い。
【0004】
天然のDNAのような二重らせん構造を人工的に構築するための試みも行われてきており、例えば、多中ら(非特許文献4)は、キラルなアミジンとカルボニル基を持つm-ターフェニル誘導体が有機溶媒中でアミジニウム-カルボキシレート塩橋を介して一方向巻きの二重鎖会合体を形成することを明らかにしている。さらに、池田ら(非特許文献5)は、同様の化合物を金属の配位結合を利用して長く繋げることに成功している。
また、アシル化アニリン誘導体と芳香族アミンとからなるラセン状繊維を鋳型にして金属酸化物ナノチューブを製造する方法(特許文献3参照)や、第四級ビスフェノレートからなる二重らせん構造体に金属を配位させる方法(特許文献4参照)などが提案されている。しかし、これらのものは、会合した低分子化合物に金属原子を配位させたものであり、熱その他の環境の変化に対し不安定であり、工業的利用は難しいと言わざるを得ない。さらに、触媒や磁性材料として有用な二重らせん型複核錯体についても報告されているが(特許文献5参照)、これは数個の配位子を共有結合で環状に結合させて大環状配位子にすることにより、配位子としてのらせん構造を安定化したものである。
これらのものは、らせん構造に金属原子が配位しているものであり、らせん構造の維持や安定性に問題があるものである。
【0005】

【特許文献1】特開2006-169544号公報
【特許文献2】特開2003-26643号公報
【特許文献3】特開2004-26509合公報
【特許文献4】特開平10-139753号公報
【特許文献5】特開2003-176278号公報
【非特許文献1】S. K. Silverman Org. Biomol. Chem. 2, 2701-2706 (2004).
【非特許文献2】G. F. Joyce Annu. Rev. Biochem. 73, 791-836 (2004)
【非特許文献3】G. Roelfes & B. L. Feringa Angew. Chem. Int. Edn. 44, 3230-3232 (2005).
【非特許文献4】Y. Tanaka et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3867-3870.
【非特許文献5】M. Ikeda et al. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6806.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
天然のDNAなどのように不斉化学の反応場として、生体模倣場としての二重らせん化合物を、効率よく利用する事ができれば、効率的でかつ安定性な不斉合成が可能となり、医薬品の合成等、工業的な応用範囲は大いに広がることになる。
本発明は、二重らせん構造による不斉を利用し、熱などの環境変化にも安定な金属錯体からなる触媒、及び配位子で架橋された新規な有機金属化合物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、合成高分子化合物を用いてDNAのような二重らせん構造を形成し得る合成高分子を初めて見出し、これについての特許出願をしてきた。このような合成高分子化合物は剛直なものであり、熱安定性もよく、しかもらせんの方向によるキラリティーもあり、天然のDNAに匹敵する機能を有し、かつ工業的な利用に対しても十分な安定性を保持しているものである。本発明者らは、さらに、これらの応用として金属原子を含有し、当該金属原子に基づく触媒活性を検討してきたところ、らせん構造が比較的短くても十分なキラリティーを保持することができ、しかも十分な触媒活性が得られることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、人工的に合成された二重鎖らせん構造を有する化合物であって、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物を含有してなる触媒に関する。本発明を一般式を用いてより具体的に説明すれば、本発明は、次の一般式(II)、
【0009】
【化1】
JP0005248484B2_000002t.gif

【0010】
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q、Q、Q、及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の配位子を示し、Q及びQ、Q及びQ、並びにQとQ、QとQとはそれぞれ一緒になって2座配位の配位子を示してもよく、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物、より詳細には次の一般式(I)、
【0011】
【化2】
JP0005248484B2_000003t.gif

【0012】
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物を含有してなる触媒に関する。
また、本発明は、前記した本発明の有機金属化合物を含有してなる触媒を用いて、不斉合成法による光学活性化合物、より詳細には光学活性シクロプロパン化合物を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、次の一般式(I)、
【0013】
【化3】
JP0005248484B2_000004t.gif

【0014】
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される2座配位の配位子で架橋された有機金属化合物に関する。
また、本発明は、主鎖構造中に白金族金属錯体を含有してなる相補的な2種類の化合物からなる一方向巻きの二重鎖らせん構造の有機金属化合物を、2座配位の配位子の存在下に、当該白金族金属錯体の配位子交換反応により2座配位の配位子に交換して架橋することからなる、白金族金属が、2座配位の配位子により架橋された前記した本発明の有機金属化合物を製造する方法に関する。
【0015】
本発明をさらに詳細に説明すれば以下のとおりとなる。
(1)人工的に合成された二重鎖らせん構造を有する化合物であって、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物を含有してなる触媒。
(2)当該二重らせん構造を形成する主鎖構造が、メタ-ターフェニル誘導体を含有するものである前記(1)に記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(3)当該二重らせん構造を形成する主鎖構造の一方がアミジン基を有し、他方がカルボキシル基を有する化合物であり、これらの2本鎖が塩橋により2本鎖を形成してなる前記(1)又は(2)に記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(4)白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物が、前記一般式(II)で表される化合物である前記(1)~(3)のいずれかに記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(5)白金族金属が、2座配位の配位子により架橋されたものである前記(1)~(4)のいずれかに記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(6)白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物が、前記一般式(I)で表される化合物である前記(1)~(5)のいずれかに記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(7)白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(III)
(ArP-R-P(Ar (III)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数2~10のアルケニレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である前記(4)~(7)のいずれかに記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(8)白金族金属の2価の配位子が、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレンである前記(7)に記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(9)白金族金属原子が、白金である前記(1)~(8)のいずれかに記載の有機金属化合物を含有してなる触媒。
(10)触媒が、不斉触媒である前記(1)~(9)のいずれかに記載の触媒。
(11)触媒が、担体に担持されたものである前記(1)~(10)のいずれかに記載の触媒。
(12)触媒が、不斉シクロプロパン化反応における触媒である前記(1)~(11)のいずれかに記載の触媒。
【0016】
(13)前記(1)~(12)のいずれかに記載の触媒を用いて不斉合成反応により光学活性化合物を製造する方法。
(14)前記(1)~(12)のいずれかに記載の触媒の存在下に、炭素-炭素二重結合を有する化合物と有機ジアゾ化合物とを反応させて光学活性シクロプロパン化合物を製造する方法。
(15)炭素-炭素二重結合を有する化合物がスチレンであり、有機ジアゾ化合物がジアゾ酢酸エステルである前記(14)に記載の方法。
(16)前記した一般式(I)で表される有機金属化合物。
(17)白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(IV)
(ArP-R-P(Ar (IV)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である前記(16)に記載の有機金属化合物。
(18)白金族金属原子が、白金である前記(16)又は(17)に記載の有機金属化合物。
(19)白金族金属の2座配位の配位子が、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである前記(18)に記載の有機金属化合物。
(20)主鎖構造中に白金族金属錯体を含有してなる相補的な2種類の化合物からなる一方向巻きの二重鎖らせん構造の有機金属化合物を、2座配位の配位子の存在下に、当該白金族金属錯体の配位子交換反応により2座配位の配位子に交換して架橋することからなる、前記(16)~(19)のいずれかに記載の有機金属化合物を製造する方法。
(21)白金族金属錯体が、光学活性な配位子を有するものである前記(20)に記載の方法。
(22)光学活性な配位子が、2-ジフェニルホスフィノ-2‘-メトキシ-1,1’-ビナフチルであり、2座配位子がビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである前記(21)に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物を含有してなる触媒は、合成により人為的に製造された人工二重鎖らせん分子を骨格構造とするものであり、分子不斉を有し、かつ白金族金属原子による触媒活性を有し、特に不斉合成触媒として優れた触媒活性をゆうするだけでなく、構造的に強く安定した触媒活性を有する。さらに、本発明の触媒は、従来の不斉化学反応に採用されて来た種々の触媒では不可能であった不斉分子構造を、その大きならせん分子構造により反応場に存在させることができ、効率良く廉価に、しかも触媒の安定性の優れた不斉合成ができるようになる。その結果、光学活性の医薬品の合成等の各種の光学活性化合物の製造が容易となり、かつ効率が飛躍的に増大することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の二重らせん構造を有する有機金属化合物((+)-3)のMALDI-TOF-MSのチャートである。
【図2】図2は、本発明の二重らせん構造を有する有機金属化合物((+)-3)のIR(赤外吸収スペクトル)のチャートである。
【図3】図3は、本発明の二重らせん構造を有する有機金属化合物((+)-3)のH-NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)のチャートである。
【図4】図4は、本発明の二重らせん構造を有する有機金属化合物((+)-3)の31P-NMR(31P核磁気共鳴スペクトル)のチャートである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の触媒成分として使用される主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物は、合成の二重らせん構造を有していることを第一の特徴とするものであり、さらに、当該らせん構造の主鎖構造中に金属原子を有していることを第二の特徴とし、当該白金族金属原子が2座配位の配位子を介して架橋されていることを第三の特徴とするものである。
本発明の当該有機金属化合物の合成のらせん構造の長さは特に制限はなく、長くてもよいが、触媒活性に着目すれば、らせん構造によるキラリティーが安定し、かつ構造的に熱などの環境変化を受けにくいものであれば短い方が好ましい、らせん構造の主鎖構造としてターフェニル構造を採用する場合には繰り返し単位が2個以上あれば十分であるが、是に限定されるものではない。
第二の特徴である金属原子は、らせん構造の主鎖構造中に少なくとも1個存在すれば十分であるが、2個以上含有するように繰り返し単位を増加させてもよい。
第三の特徴である架橋については、必ずしも必須ではないが、らせん構造を短くし、かつ構造的な安定性を保持させるためには、らせん構造の主鎖構造同士を2座配位の配位子を介して架橋させることが好ましい。
本発明の触媒成分として使用される有機金属化合物における、好ましい主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物としては、次の一般式(II)
【0020】
【化4】
JP0005248484B2_000005t.gif

【0021】
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q、Q、Q、及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の配位子を示し、Q及びQ、Q及びQ、並びにQ及びQ、Q及びQとはそれぞれ一緒になって2座配位の配位子を示してもよく、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物が挙げられる。
また、架橋された構造の好ましい例としては、次の一般式(I)、
【0022】
【化5】
JP0005248484B2_000006t.gif

【0023】
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物が挙げられる。
これらの一般式(I)及び(II)における白金族金属原子としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)などが挙げられるが、好ましい白金族金属原子としては白金(Pt)又はパラジウム(Pd)が挙げられ、更に好ましくは白金(Pt)が挙げられる。
一般式(II)における白金族金属原子の配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリス(トリル)ホスフィンなどのトリアリールホスフィン;2-ジフェニルホスフィノ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチルなどのビナフチルホスフィン;有機アミン類などの孤立電子対を有する化合物が挙げられる。これらの配位子は光学活性なものでもよいし、光学不活性なものであってもよいが、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1つが光学活性のものであることが好ましい。光学活性な配位子としては、好ましくは、光学活性な1座の燐系配位子であり、更に好ましくは光学活性2-ジフェニルホスフィノ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル(以下、MOPと略すことがある。)である。
また、これらの一般式(I)及び(II)における2座配位の配位子としては、白金族金属原子に配位できる部分を2カ所有しており、これらが架橋に適した距離を保てるものであれば特に制限は無いが、好ましい2座配位の配位子としては次の一般式(III)、
(ArP-R-P(Ar (III)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数2~10のアルケニレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体が挙げられる。
炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などの炭素数6~20、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式アリール基が挙げられる。これらのアリール基は、炭素数1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
また、炭素数1~10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基などの炭素数1~10、好ましくは1~8、1~5の直鎖状又は分枝状のアルキレン基が挙げられる。
炭素数2~10のアルケニレン基としては、エチレン基、1,2-ジメチルエチレン基などの炭素数2~10、好ましくは2~8、2~5の直鎖状又は分枝状のアルケニレン基が挙げられる。
一般式(III)で表されるジホスフィノアルカン誘導体の好ましい例としては、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(以下、dppmと略すこともある。)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレンなどが挙げられる。
【0024】
これらの一般式(I)及び(II)における炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基におけるアルキル基としては、それぞれ同じであっても異なっていてもよいが、メチル基、エチル基などの炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。好ましいトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられる。
これらの一般式(I)及び(II)におけるアミジノ基の置換基であるRは、水素原子であってもよいが、それぞれ炭素数1~40、好ましくは6~40の炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては、炭素数1~40、好ましくは炭素数6~40、炭素数6~20の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数2~40、好ましくは炭素数6~40、炭素数6~20の直鎖状又は分枝状のアルケニル基;炭素数2~40、好ましくは炭素数6~40、炭素数6~20の直鎖状又は分枝状のアルキニル基;炭素数3~40、好ましくは炭素数6~40、炭素数6~20の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基;炭素数6~40、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1~40のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)などが挙げられる。好ましいアミジノ基の窒素原子における置換基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基などの炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基が挙げられる。
好ましいR基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基(Pr-)などの炭素数1~10、より好ましくは1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
【0025】
二重らせん構造を形成する主鎖構造が、メタ-ターフェニル誘導体を含有するものである場合には、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造の一方がアミジン基を有し、他方がカルボキシル基を有する化合物であり、これらの2本鎖が塩橋により2本鎖を形成してなる構造が好ましい。前記した一般式(I)や一般式(II)で示されるように、カルボキシル基の酸性の水素原子と相補鎖中に存在するアミジノ基によりアミジニウム基となり、またカルボキシル基が酸性の水素原子を失うことによりカーボキシレートとなり、陽イオンと陰イオンによる塩橋となる。このような塩橋により2本鎖の剛直ならせん構造が形成されることになる。これはDNAにおける2本の鎖を結合させる水素結合のような役割を果たしていることになる。
【0026】
本発明の主鎖構造を形成するメタ-ターフェニル誘導体は、両末端にエチニル基を持ち、中央部のフェニル基のオルト位にアミジノ基やカルボキシル基などの極性の官能基が結合した「く」の字型をしており、二重らせんを組みやすい構造をしている。メタ-ターフェニル誘導体の両末端のエチニル基の片方をトリアルキルシリル基などの保護基で保護し、白金族の金属化合物と反応させることにより、それぞれの主鎖構造部分を製造することができる。これらの化合物の製造方法は、八島らの方法(Y.Furusyo, Y.Tanaka, and E.Yashima, Org. Lett., Vol.8, No.12, 2583-2586 (2006)、及びそのサポーティング情報参照)によって製造することができる。
このようにして製造された、アミジノ基を有する主鎖構造と、カルボキシル基を有する主鎖構造とを、水系溶媒または有機溶媒中で混合すると所望の二重らせん高分子を得ることができるが、この2種類の高分子に付属するアミジン基とカルボキシル基の量比が1対1に近いほど効率的である。通常、1対2から2対1であれば、所望の二重らせん高分子を効率良く得ることができる。更に好ましい量比は、2対3から3対2の範囲である。
2種類の相補的高分子の溶媒中に於ける濃度は、溶解度が許す範囲であれば、高濃度でも良いが、濃度が高すぎると凝集が起こり易く、所望の2重らせん高分子の均一性が失われるため好ましくない。一方、希薄に過ぎると、所望の2重らせん高分子が僅かしかできず、効率的でない。好ましい範囲は、2種類の合計が1mg/ml以下であり、更に好ましくは0.001~0.3mg/ml、更に好ましくは0.01~0.2mg/mlである。溶媒は水系でも有機溶媒系でも可能であるが、溶解性の自由度が高い点で有機溶媒が好ましい。
以上のようにして、本発明の架橋されていない有機金属化合物を製造することができる。
【0027】
次に、架橋された有機金属化合物の製造方法について説明する。
上記のようにして製造された白金族錯体を有するアミジン2量体、好ましくはキラルな配位子を持つ白金族錯体を有するアミジン2量体と、これに相補的なカルボン酸2量体、好ましくはアキラルなカルボン酸2量体とからなる一方向巻きの二重鎖らせん化合物に2座配位の配位子を作用させ、配位子交換を起こさせることにより、本発明の架橋された有機金属化合物を製造することができる。
配位子交換後は2つの白金族原子によって架橋され、強固な構造を有するに至った二重鎖らせん分子を生成させる事ができる。この二重鎖らせん化合物は、容易に担体に担持でき、担持された二重鎖らせん化合物は、不斉触媒として働き、従来、不可能であった大きな分子の不斉化反応を可能にする。
相補的なアミジンとカルボン酸は溶媒中で一方向巻きの二重鎖らせん化合物を形成するが、溶媒は有機溶媒でも水系溶媒でもかまわない。好ましくは、溶解度の関係で有機溶媒が選択され、更に好ましくは、極性の小さな有機溶媒、最も好ましくはクロロホルム又はトルエンなどが挙げられる。
カルボキシル基を有する白金族金属錯体とアミジン基を有する白金族金属錯体からなる二本鎖型の会合体の濃度としては、10mmol/L以下であることが好ましい。更に好ましくは、2mmol/L以下、最も好ましくは0.1-0.8mmol/Lである。カルボキシル基を有する白金族金属錯体とアミジン基を有する白金族金属錯体からなる二重鎖型の会合体と2座配位の配位子、例えばdppmとの割合は1:1から1:10が好ましい。更に好ましくは1:2から1:4が挙げられ、最も好ましくは1:3程度が挙げられる。
二重鎖らせん化合物を形成する時の温度は、50℃以下である事が必要であり、好ましくは0℃以下、より好ましくは-70℃~-50℃である。
最終的に生成した本発明の有機金属化合物を取り出す方法には制限は無く、一般に知られる方法が選択できるが、簡単には、再沈殿法やクロマト法が利用できる。
完成した二重らせん構造の本発明の有機金属化合物の構造を確認するには、質量スペクトル/可視吸収スペクトル/円二色性スペクトル/核磁気共鳴スペクトル等の一般的な方法が使われる。
【0028】
本発明の製造方法をさらに具体的に例を上げて説明する。
キラルな配位子である(R)-2-ジフェニルホスフィノ-2‘-メトキシ-1,1’-ビナフチル((R)-MOPと略記)を持つ白金錯体を有するアミジン2量体と、これに相補的なアキラルなカルボン酸2量体とからなる一方向巻きの二重らせん構造を有する有機金属化合物、即ち、トランス-ビス((R)-2-ジフェニルホスフィノ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル)-ビス(4-(2’-(N,N’-ジイソプロピルアミジノ)-4”-トリメチルシリルエチニル-1,1’:3’,1”-タ-フェニル)エチニル)白金(II)錯体(trans-bis ((R)-2-diphenylphosphino-2'-methoxy-1,1'- binaphthyl)-bis(4-(2'-(N,N'-diisopropylamidino)-4"-trimethylsilylethynyl- 1,1':3',1"- terphenyl)ethynyl)platinum(II))(以下、分子鎖(R)-1と略称する)、及びトランス-ビス(トリフェニルホスフィン)-ビス(4-(2’-カルボキシ-4”-トリメチルシリルエチニル-1,1’:3’,1”-タ-フェニル)エチニル)白金(II)錯体(trans-bis(triphenylphosphine)- bis(4-(2'-carboxy-4"- trimethylsilylethynyl- 1,1':3',1"-terphenyl)ethynyl)platinum(II))(以下、分子鎖-2と略称する)からなるらせん構造体(以下、二重らせん(R)-1・2と略称する)に、例えば、2座配位の配位子であるビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(以下、dppmと略称する)を作用させ、配位子交換を起こさせる。配位子交換後は2つの白金原子によって架橋された二重らせん分子(以下、(+)-3と略称する。)を生成させる事ができる。
【0029】
本発明の二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物、より詳細には前記一般式(I)又は一般式(II)で表される有機金属化合物は、触媒活性を有する金属原子を含有しており当該金属原子が有している触媒活性に起因する触媒として使用することができる。また、らせん構造などによる分子不斉を有しており不斉触媒として使用することができる。本発明の触媒は、容易に各種の触媒担持体に担持でき、担持された二重鎖らせん化合物は、不斉触媒として働き、従来、不可能であった大きな分子の不斉化反応を可能にする。
本発明の触媒は、金属原子に起因する水素化反応、環化反応、置換反応、付加反応などにおける触媒として、特に不斉触媒として使用することができる。
例えば、本発明の触媒は後記する具体例に示されるように、例えばスチレンなどのような炭素-炭素二重結合を有する化合物と、例えばジアゾ酢酸エステルなどのような有機ジアゾ化合物とを反応させて光学活性シクロプロパン化合物を製造する方法に使用することができる。
【0030】
本発明の一般式(I)で表される有機金属化合物、即ち、2本鎖のらせん構造における各々の鎖中に存在する金属原子が相互に、2座配位の配位子により架橋された有機金属化合物は新規化合物である。したがって、本発明は、触媒、特に不斉合成触媒として有用な新規な一般式(I)で表される有機金属化合物を提供するものである。
本発明の一般式(I)で表される有機金属化合物における好ましい2座配位の配位子としては、次の一般式(IV)、
(ArP-R-P(Ar (IV)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体が挙げられる。一般式(IV)におけるアリール基やアルキレン基は、前記した一般式(III)の場合と同様であり、より好ましい2座配位の配位子としては、具体的には、例えば、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンが挙げられる。
【0031】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
二重らせんの架橋
八島らの方法(Y.Furusho, Y.Tanaka, E.Yashima, Org.Lett., 8(12), 2583-2586)により製造された(R)-1・2を用いて、次に示す化学反応スキームにしたがって架橋を行った。
【0033】
【化6】
JP0005248484B2_000007t.gif

【0034】
25℃で、(R)-1・2(1.72mg,0.48μmol)のクロロホルム溶液(0.08mL)にdppm(0.55mg,1.44μmol)のクロロホルム溶液(0.08mL)を加えた。5分間撹拌した後,反応溶液をそのままサイズ排除クロマトグラフィーにかけ、架橋された二重らせん型錯体(+)-3を得た。収率は70%であった。
【0035】
得られた化合物の同定は以下の方法に依った。
MALDI-TOF-MS(positive mode, matrix: dithranol):
[(+)-3a+H] 2897.9。
図1にチャートを示す。図1に示されるチャートより、目的とする架橋された二重らせんに由来する分子イオンピークを検出することができた。
IR(KBr)ν:
3401(νN-H)、2155(νC≡C)、2098(νC≡C)、
1636(νC=N)cm-1
結果のチャートを図2に示す。図2のチャートより、アミジン、カルボキシル基、アセチレンに由来する吸収帯の存在を確認できた。
H-NMR(500MHz,CDCl,(+)-(2.2mM),25℃)δ:
12.56 (d, J = 9.0 Hz, 4H, NH), 7.94-7.84 (m, 16H, ArH),
7.64-7.40 (m, 28H, ArH), 7.30-7.21 (m, 6H, ArH),
7.18-7.04 (m, 28H, ArH), 6.55 (m, 8H, ArH),
4.66 (m, 4H, PCHP), 2.94 (m, 4H, CHN),
0.58 (d, J = 6.9 Hz, 24H, CH), 0.30 (s, 18H, TMS),
0.27 (s, 18H, TMS);
図3に結果のチャートを示す。
31P-NMR(200MHz,CDCl,(+)-3(0.6mM),25℃)δ:
2.72 (J =2,778 Hz, J =34 Hz), 1.53 (J =2,768 Hz, J =31 Hz).
図4に結果のチャートを示す。
これらのNMRの結果から、架橋された二重らせん構造から期待されるシグナルの全てを検出することができた。
元素分析 C166156PtSi として、
計算値 : C,68.81; H,5.43; N,1.93.
実測値 : C,68.54; H,5.21; N,1.85。
架橋された二重らせん分子から期待される元素比が一致した。
【実施例2】
【0036】
(不斉シクロプロパン化反応)
次に示す化学反応スキームにしたがって反応を行った。
【0037】
【化7】
JP0005248484B2_000008t.gif

【0038】
実施例1で製造した二重鎖らせん構造を有する化合物(+)-3(81%e.e.(エナンチオマー過剰率)、8.6mg,3.0μmol))のジクロロエタン溶液(0.1 mL)に、25℃でテトラキス銅(I)ヘキサフルオロホスフェート(1.2mg,3.0μmol)を加えた。この溶液にスチレン(6.2mg,60mol)とジアゾ酢酸エチル(3.4mg,30μmol)を加え、25℃で48時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残査をカラムクロマトグラフィーにて精製し(シリカゲル,溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)、目的とする2-フェニル-4-シクロプロパンカルボン酸エチルを得た。収率は39%であった(トランス/シス=63:37,80%e.e.(トランス体),8%e.e.(シス体))。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、触媒、特に不斉触媒として有用な二重らせん構造を有する新規な有機金属化合物を提供するものであり、医薬品などの光学活性化合物を製造する際の触媒として産業上有用なものであり産業上の利用可能性を有する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3