TOP > 国内特許検索 > イオン注入方法および半導体装置の製造方法 > 明細書

明細書 :イオン注入方法および半導体装置の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3749924号 (P3749924)
公開番号 特開平10-163123 (P1998-163123A)
登録日 平成17年12月16日(2005.12.16)
発行日 平成18年3月1日(2006.3.1)
公開日 平成10年6月19日(1998.6.19)
発明の名称または考案の名称 イオン注入方法および半導体装置の製造方法
国際特許分類 H01L  21/265       (2006.01)
FI H01L 21/265 Z
H01L 21/265 603A
H01L 21/265 W
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願平08-323065 (P1996-323065)
出願日 平成8年12月3日(1996.12.3)
審判番号 不服 2003-011855(P2003-011855/J1)
審査請求日 平成11年11月9日(1999.11.9)
審判請求日 平成15年6月26日(2003.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】後藤 賢一
【氏名】加勢 正隆
【氏名】松尾 二郎
【氏名】山田 公
【氏名】竹内 大輔
【氏名】豊田 紀章
【氏名】島田 規広
個別代理人の代理人 【識別番号】100091340、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 敬四郎
参考文献・文献 特開平1-225117(JP,A)
特開平5-226649(JP,A)
特開平3-165443(JP,A)
竹内大輔他,ポリアトミッククラスターイオン注入による浅い接合形成,電子情報通信学会技術研究報告TECHNICAL REPORT OF IEICE.,1995年12月,SDM95-196,Vol.95,No.400,PP.83-89
Joycb J et.al,Appearance and Ionization Potentials of Selected Fragments from Decaborane B10H14,Journal of American Chemical Society,1962年12月20日,Vol.84,pp.4198-4205
Yoshifumi ITO et.al,Electron Cyclotron Resonance Discharge of Gas Sublimated from Decaborane by CO2 Laser Irradiation,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.32(1993)pp.5114-5121 Part 1,No.11A,November 1993
難波進,エレクトロニクス技術全書〔8〕イオン注入技術,株式会社工業調査会,1975年2月28日,PP.13
特許請求の範囲 【請求項1】
固体のデカボラン(B1014)を気化させる工程と、
気体状のデカボラン分子を加速電圧40V~60Vの電子照射でイオン化させるイオン化工程と、
前記イオン化工程の後に、選択する質量数を107から123の範囲に設定し、前記イオン化したデカボランを質量分析する工程と、
次いで、前記質量分析したデカボランのイオンを電界で加速してターゲットに注入する工程と、
を含むイオン注入方法。
【請求項2】
固体のデカボラン(B1014)を気化させる工程と、
気体状のデカボラン分子を加速電圧40V~60Vの電子照射でイオン化するイオン化工程と、
前記イオン化工程の後に、選択する質量数を107から123の範囲に設定し、前記イオン化したデカボランを質量分析する工程と、
次いで、前記質量分析したデカボランのイオンを電界で加速して、少なくとも表面にn型シリコン領域を含むシリコンウエハに注入するイオン注入工程と、
次いで、活性化アニールを行い、pn接合を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記シリコンウエハが絶縁ゲート電極を備えたn型シリコン表面層を含み、前記イオン注入工程が、pチャネルMOSFETのソース/ドレイン注入工程である請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記イオン注入工程の前に、シリコンウエハに電気的に不活性な元素のイオン注入を行い、表面領域をプリアモルファス化する工程を有する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記イオン注入工程が、pチャネル型MOSトランジスタのポリシリコン乃至アモルファスシリコンからなるゲート電極へのデカボランイオンの注入工程であり、それによってp型ゲート電極を形成することを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ゲート電極の高さが0.1μm以下であることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記イオン注入工程が、pチャネルMOSトランジスタの埋め込みチャネル領域へのデカボランイオンの注入工程であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体基板へのイオン注入に関し、特にIV族半導体にボロンを浅くイオン注入する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
所望導電型の不純物を所望領域にドープすることは半導体デバイス構造作成のため重要な技術である。不純物ドープ方法として、イオン注入が広く用いられている。イオン注入においては、所望のイオンに加速エネルギを与え、対象とする半導体基板にイオン注入し、その後注入した不純物を活性化することによって電気的に活性な不純物ドープ領域を得る。イオン加速エネルギ、ドーズ量を選択することにより不純物ドープ領域の深さ、抵抗値を制御する。シリコン基板にp型領域を形成するためには、通常ボロンイオンが注入される。
【0003】
半導体デバイスの高速化、高集積化のためには、MOSトランジスタ等のサイズを微細化することが要求される。スケーリング則に従ってMOSトランジスタを微細化すると、ゲート長0.1μmのデバイスでは、ソース/ドレインの接合深さが0.05μm程度となり、従来のイオン注入機では実現が困難となる。
【0004】
一般的なイオン注入装置は、加速エネルギが小さくなればなる程生成できるビーム電流量は少なくなる。イオンビームは、それ自身が有するビームポテンシャルにより広がろうとする傾向を有する。広がり幅は、ビーム電流値に比例し、エネルギの1.5乗に反比例することが知られている。浅い接合を作るために、加速エネルギを低下させると、ビームの効率が悪化し、ビーム電流の低下を招く。
【0005】
ゲート長0.1μm以下のMOSトランジスタを作成する場合、ボロンの加速エネルギとしては5keV以下が要求される。Bイオンを加速エネルギ5keVでイオン注入する場合、従来のイオン注入装置では電流量が1mA以下となってしまう。このように低いビーム電流でMOSトランジスタを作成しようとすれば、生産性が極端に低下し、生産コストが上昇してしまう。
【0006】
イオンを浅く注入するためには、加速エネルギを低下させる他、注入するイオンの質量を増加させる方法がある。ボロンイオンを注入するためにBF2 イオンを使う方法が提案されている。B単体のイオン注入に較べ、BF2 イオンのイオン注入では、Bイオンの加速エネルギが実効的に約1/5になる。従って浅い接合形成に有利となる。
【0007】
しかしながら、MOSトランジスタをBF2 イオン注入を用いて形成すると、他の問題が生じることが知られてきた。MOSトランジスタのソース/ドレインにイオン注入する場合、同時にゲートにもイオンが注入される。シリコンゲートには、空乏化を防止するために充分量の不純物を注入する必要がある。微細なMOSトランジスタにおいては、ゲート酸化膜も薄くなり、たとえば10nm以下の薄い酸化膜がゲート酸化膜として用いられる。BイオンのソースとしてBF2 イオンを用いると、注入された弗素がゲート酸化膜中のB拡散を増速してしまう。これらのB原子が弗素の影響によりゲート酸化膜を通過してその下のチャネル領域に拡散すると、MOSトランジスタのしきい値を変動させてしまう。従って、薄いゲート酸化膜を持つpチャネルMOSトランジスタにはBF2 イオン注入を簡単に採用することはできない。
【0008】
また、微細なパターンを有する半導体デバイスにイオンを注入する場合、チャージング現象が問題になる。ゲート電極に正電荷が帯電し、この正電荷がゲート酸化膜を通過して放電すると、ゲート酸化膜が劣化する。この劣化現象は、流れ込むイオン電流が大きいほど顕著となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、IV族半導体基板に浅いp型不純物ドープ領域を容易に作成することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、シリコン半導体基板に浅いボロン注入領域を作成することのできるイオン注入方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、IV族半導体基板に浅いp型不純物ドープ領域を作成するのに適した半導体装置の製造装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1観点によれば、固体のデカボラン(B1014)を気化させる工程と、気体状のデカボラン分子を加速電圧40V~60Vの電子照射でイオン化させるイオン化工程と、前記イオン化工程の後に、選択する質量数を107から123の範囲に設定し、前記イオン化したデカボランを質量分析する工程と、次いで、前記質量分析したデカボランのイオンを電界で加速してターゲットに注入する工程と、を含むイオン注入方法が提供される。
【0013】
本発明の他の観点によれば、固体のデカボラン(B1014)を気化させる工程と、
気体状のデカボラン分子を加速電圧40V~60Vの電子照射でイオン化するイオン化工程と、前記イオン化工程の後に、選択する質量数を107から123の範囲に設定し、前記イオン化したデカボランを質量分析する工程と、次いで、前記質量分析したデカボランのイオンを電界で加速して、少なくとも表面にn型シリコン領域を含むシリコンウエハに注入するイオン注入工程と、次いで、活性化アニールを行い、pn接合を形成する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0014】
デカボランは、B1014の分子式を有し、B原子と較べて著しく大きな分子量を有する。同一イオン価のBとB1014とを同一加速電圧で加速すると、B1014はBに比べ質量が約10倍あるためB1原子当りの加速エネルギは約1/10になる。また、1個の分子を注入すると10個のB原子を注入したこととなるため、実効注入量も10倍となる。
【0015】
B1原子当りの加速エネルギが小さくなるため、B1014の加速エネルギを高く設定することができる。このため、ビームの広がりを抑制することができる。また、同一イオン電流で10倍のBを注入することができるため、注入効率も約10倍となる。従って全体的に考え、Bイオン注入と比べ、B1014は100倍も効率的にボロンを注入することが可能である。
【0016】
デカボランは弗素を含まない。従って、弗素がイオン注入されることによる悪影響は生じない。厚さ10nm以下のゲート酸化膜を用いたMOSトランジスタにおいても、Bの増速拡散を抑制することができる。従って、しきい値変動の少ない、信頼性の高いpチャネルMOSトランジスタを作成することができる。
【0017】
また、Bイオン注入と比べ、B1014イオン注入はイオン電流を約1/10とすることができるためチャージング現象を実効的に抑制することが可能である。従って信頼性の高いゲート酸化膜を有するpチャネルMOSトランジスタを生産することが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面に従って本発明の実施例を説明する。
【0019】
図1はデカボラン(B1014)の分子構造を示す。大きな丸はBを示し、小さな丸はHを示す。
【0020】
図2は実効注入エネルギに対する注入ボロン原子数の関係を示すグラフである。LANGUM-CHAILD 則に従って計算した結果である。横軸は等価加速電圧を示し、シリコン中に注入される深さを表わす。縦軸はボロン原子数を示し、単位時間当り単位面積に注入されるボロン原子数を示す。
【0021】
注入される深さを同一にすると、デカボランの原子数はBの100倍、BF2 の20倍となることが判る。
【0022】
図3はデカボランのイオン注入を行なうデカボランイオン注入装置の構成を概略的に示すダイアグラムである。デカボランボトル1がバルブ2を介して真空処理室10に接続されている。真空処理室10内には、電子銃を有するイオナイザ11、マスフィルタ12、ファラデーカップ13、アクセルレータ14、デフレクタ15、ターゲット16が配置されている。デカボランボトル1内でデカボランは気化し、気体デカボランが真空処理室10内に供給される。気体デカボランはイオナイザー11で電子照射を受け、正イオンとなり、加速されてターゲット16に注入される。
【0023】
図4A、4Bはデカボランのイオン化方法を示すダイアグラムである。図4Aにおいて、デカボランのガスはノズル4から吹出し、イオナイザ11でイオン化され、アクセルレータ14で加速されてターゲットに向って進行する。
【0024】
図4Bにおいては、デカボランガスはプラズマ発生室18内においてプラズマ化され、引出し電極19の形成する引出し電界によって加速して引出される。さらにアクセルレータ14により加速され、ターゲットに向って進行する。
【0025】
デカボランは構成原子数が大きく、高エネルギのビームを照射すると分裂する可能性が高い。プラズマによってデカボランをイオン化すると、種々の分子量のイオンが発生してしまう。電子照射によれば、デカボラン分裂を低減することができる。
【0026】
なお、プラズマによってデカボランをイオン化させた場合にも、その後段に質量分析機を配置することにより、所望の分子量のイオンのみを引出すことができる。
【0027】
図5はシリコン基板にB+ 、BF2 + 、B1014+ イオンをそれぞれ注入した時の基板内のボロン濃度分布を示すグラフである。横軸は基板内の深さをnmで示し、縦軸はボロン濃度をatoms/cm3 で示す。なお、B+ イオンの注入は加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1014cm-2で行ない、BF2 + イオンの注入は、加速エネルギを5keV、ドーズ量を1×1014cm-2で行なった。B1014+ イオンの注入は、加速エネルギは他と同様に5keVとし、ドーズ量はB原子のドーズ量が同一となるように1×1013cm-2に設定した。
【0028】
まず、B+ イオンの注入においては、B+ イオンがかなり深く注入されドーズ量のピーク位置も10nmより大きな値となっている。BF2 + イオンとB1014+ の注入においてはドーズ量のピークは約3nm程度の位置にあり、その後急激に低下している。曲線p4とp5とは低下する勾配が異なり、曲線p4の方が狭い範囲に分布している。曲線p4とp5を比較すると、そのピーク値はp4の方がわずかに高い。このように、B1014+ イオンを注入すると、約1/10のドーズ量でBF2 + とほぼ同等のイオン注入量を得ることができる。
【0029】
図5においては、BF2 + イオンとB1014+ イオンとを同一の加速エネルギでイオン注入した結果を示した。同一の加速エネルギでイオン注入すると、B1014+ イオンは、BF2 + イオンよりも浅く注入することができる。同じ深さにイオン注入しようとする場合は、B1014+ イオンの加速エネルギはより高くすることができる。
【0030】
図6は、ほぼ同じ深さにB1014とBF2 とをイオン注入した実験結果を示す。横軸は基板内の深さをnmで示し、縦軸はボロン濃度をatms/cm3 で示す。
曲線p7はB1014を加速エネルギ10keVでドーズ量1×1013cm-2でイオン注入した結果を示し、曲線p8はBF2 を加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1014cm-2でイオン注入した結果を示す。図から明らかなように、曲線p7とp8はほぼ同一の分布を示している。従って、B1014をソースとしたイオン注入を行なう場合、BF2 をソースとしたイオン注入と比べ約2倍の加速エネルギを印加することができる。
【0031】
イオン注入した不純物は、アニールを行なって活性化しないと電気的に活性な不純物とはならない。活性化アニールは同時に不純物の拡散を生じさせる。そこで、B1014のイオン注入およびBF2 のイオン注入を行なった後、900℃および1000℃で活性化アニールを行ないボロン分布がどのように変化するかを調べた。
【0032】
図7A、7Bは、B1014イオン注入およびBF2 イオン注入の後、900℃および1000℃で活性化アニールを行なった場合のボロン分布を示す。各図において、横軸は基板中の深さをnmで示し、縦軸はボロン濃度をcm-3で示す。図7Aは、B1014+ イオンを加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1013cm-2でイオン注入した場合を示し、図7BはBF2 + イオンを加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1014cm-2でイオン注入した結果を示す。曲線p10はイオン注入したままの状態のボロン分布を示し、曲線p11、p12は900℃、10秒間、1000℃、10秒間の活性化アニールを行なった後のボロン濃度分布を示す。また、曲線p13はイオン注入直後のボロン濃度分布を示し、曲線p14、p15は900℃、10秒間、1000℃、10秒間の活性化アニールを行なった後のボロン濃度分布を示す。なお、ボロン濃度分布はSIMS測定によって行なった。
【0033】
図7Aに示すように、B1014をイオン注入した場合、900℃10秒間の活性化アニールではボロン濃度分布はイオン注入直後のボロン濃度分布とほとんど変化していない。拡散によりわずかに平均深さが深くなっているのみである。1000℃、10秒間の活性化アニールを行なうと、1019cm-3以上の濃度領域において顕著な拡散が起こるのに対し、1019cm-3以下の濃度領域においてはイオン注入直後のボロン濃度分布がほぼ平行移動した状態を保っている。言い換えれば、1000℃、10秒間の活性化アニールを行なうと、B1014のイオン注入領域は、理想的なボックス型不純物分布を示すようになる。
【0034】
図7Bにおいては、BF2 イオン注入直後のボロン濃度分布はB1014+ イオン注入と比べ、かなり広い深さ領域に渡って分布する。900℃、10秒間の活性化アニールを行なうと、ボロン濃度分布の勾配が緩やかになり、ボロン濃度分布は明確により広い領域に広がることが判る。1000℃、10秒間の活性化アニールは、900℃、10秒間の活性化アニールと較べると、ボロン濃度1018cm-3以上の領域でより広い領域に広がる顕著な傾向を示している。1018cm-3以下の濃度領域においては、900℃、10秒間の活性化アニールと1000℃、10秒間の活性化アニールにおいて顕著な差は認められない。
【0035】
図7Bと図7Aを比較すると、より浅い拡散層を得るためには、B1014+ イオン注入を行ない、約900℃、10秒間程度以下の活性化アニールを行なうことが好ましいと判る。また、B1014+ イオン注入後1000℃、10秒間程度以上の活性化アニールを行なうと、ボックス型のボロン濃度を得ることができる。
【0036】
なお、図7A、7Bにおけるボロン濃度はSIMS測定の結果であり、必ずしも電気的に活性なボロン濃度を意味しない。後に説明するように、同一温度の活性化アニールを行なった場合、B1014を用いた場合にBF2 と比べより低いシート抵抗を実現することができる。
【0037】
図8は、活性化アニール温度に対するシート抵抗の変化を示すグラフである。横軸は活性化アニール温度を℃で示し、縦軸をシート抵抗ohm/□で示す。イオン注入条件としては、B1014+ イオンを加速エネルギ3keV、5keV、10keVでイオン注入し、BF2 + イオンを加速エネルギ5keVでイオン注入した。活性化アニール温度としては、900℃、950℃、1000℃、1050℃を用いた。曲線p16はB1014+ を加速エネルギ3keVでイオン注入した場合を示し、曲線p17はB1014+ イオンを加速エネルギ5keVでイオン注入した結果を示し、曲線p18はB1014+ イオンを加速エネルギ10keVでイオン注入した結果を示す。曲線p19は、比較のためBF2 + イオンを加速エネルギ5keVでイオン注入した結果を示す。また曲線p20は、B+ イオンを加速エネルギを5keVでイオン注入した結果を示す。
【0038】
図6に示したように、B1014イオンの加速エネルギ10keVでのイオン注入とBF2 イオンの加速エネルギ5keVでのイオン注入はほぼ同等の効果を示す。図8における曲線p18とp19はこの場合に相当する。曲線p18は、曲線p19よりも常に下に位置し、低いシート抵抗が得られることを示している。すなわち、同一深さまでほぼ同一ドーズ量のイオン注入を行なっても、B1014をイオン注入した場合にBF2 と比べより低いシート抵抗が得られることが判る。
【0039】
また、図8の結果は、B1014のイオン注入を行ない、適当な活性化アニールを行なうことによりシート抵抗を低減できることを示している。
【0040】
図9は、接合深さに対するシート抵抗の関係を示すグラフである。横軸は接合深さをnmで示し、縦軸はシート抵抗をohm/□で示す。デカボランのイオン注入条件は、加速エネルギ3keVでドーズ量を1×1013cm-2、3×1013cm-2、1×1014cm-2、および加速エネルギ5keVでドーズ量1×1013cm-2に変化させた。また参考として、BF2 イオンを加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1014cm-2でイオン注入した場合、ボロシリケートガラスからの固相拡散を行なった場合(プロットp26、p27)およびキャリア濃度を1×1020cm-3のボックス型の接合を仮定した時の理想的なシート抵抗(曲線p28)を示す。イオン注入後の活性化アニールは900℃~1000℃で行なった。
【0041】
たとえば、加速エネルギ5keVでデカボランをイオン注入した曲線p24と、同一加速エネルギ、同一Bドーズ量でBF2 をイオン注入した曲線p25を比較すると、デカボランをイオン注入した場合により浅く低抵抗の接合を形成できることがわかる。また、曲線p22、p23に示すように、極めて低いシート抵抗を得ることもできる。イオン電流に対応するイオン量の10倍のボロンがドープできるためであろう。プロットp26、p27と比較すると、固相拡散によるボロン拡散領域よりもかなり浅い接合を形成できることが判る。
【0042】
図10は、p+ n接合の逆バイアス特性を示すグラフである。横軸は逆バイアス電圧をVで示し、縦軸はリーク電流をAで示す。曲線p29はB1014を加速エネルギ30keV、ドーズ量2×1014cm-2でイオン注入した場合を示し、曲線p30はBF2 イオンを加速エネルギ25keV、ドーズ量2×1015cm-2でイオン注入した場合を示す。デカボランのイオン注入を行なって接合を形成した場合にもBF2 のイオン注入を行なって接合を形成した場合と同様の良好な逆バイアス特性が得られることが判る。
【0043】
図11は、pチャネルMOSトランジスタの構成を概略的に示す。n型シリコン領域21表面には、選択的にフィールド酸化膜22が形成されている。フィールド酸化膜22で画定された活性領域内に、厚さ約4nmのゲート酸化膜24が形成され、その上に多結晶シリコンのゲート電極25が形成されている。なお、ゲート電極をポリサイド構造とする場合は、多結晶シリコンゲート電極25aの上にシリサイド層25bを積層する。ゲート電極25をパターニングした後、デカボランイオンを加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1013cm-2でイオン注入し、LDD用の延長部26を形成する。なお、参考のためにBF2 イオンを加速エネルギ5keV、ドーズ量1×1014cm-2でドープしたサンプルも作成した。
【0044】
その後、SiO2 等の絶縁物をCVDで堆積し、異方性エッチングを行なうことにより、サイドウオールスペーサ28を作成する。サイドウオールスペーサ28作成後、デカボランを加速エネルギ30keV、ドーズ量2×1014cm-2でイオン注入し、ソース/ドレイン領域29およびゲート電極25のイオン注入を行なった。その後、1000℃、10秒間の活性化アニールをRTAで行なった。なお、図に示すようにゲート長をLgで示す。
【0045】
図12A、12Bは、LDD領域にデカボランを注入したpチャネルMOSトランジスタのドレイン電流Id対ドレイン電圧Vd特性およびドレイン電流Id対ゲート電圧Vg特性を示す。電源電圧2Vでしきい値Vth=-0.13V、ドレイン電流Id-0.33mA/μm、Sファクタ=85mV/decの良好なトランジスタ特性が得られた。
【0046】
図13は、LDD領域にデカボランとBF2 を注入したpチャネルMOSトランジスタのしきい値Vthのゲート長依存性を示すグラフである。横軸にゲート長Lgをμmで示し、縦軸にしきい値VthをVで示す。曲線p37はデカボランをイオン注入した場合を示し、曲線p38はBF2 をイオン注入した場合を示す。ゲート長が短くなると、曲線p37、曲線p38共に上昇するが、その上昇の程度は曲線p38の方が大きい。すなわち、デカボランをイオン注入した場合、短チャネル効果が抑制されることが判る。前述したように、B1014とBF2 のイオン注入は共に加速エネルギ5keVで行なわれており、この場合デカボランのイオン注入の方が浅い接合を形成しているためと考えられる。
【0047】
図14は、Sファクタのゲート長依存性を示す。横軸はゲート長Lgをμmで示し、縦軸はSファクタをmV/decで示す。曲線p39はデカボランをイオン注入した場合を示し、曲線p40はBF2 をイオン注入した場合を示す。ゲート長Lgが短くなるにつれて曲線p39、p40共に上昇するが、その程度は曲線p39の方が小さい。すなわち、Sファクタにおいてもデカボランをイオン注入した方が短チャネル効果を抑制できることが判る。
【0048】
図15は、ドレイン電流Idのしきい値Vth依存性を示す。横軸はしきい値VthをVで示し、縦軸はドレイン電流IdをmA/μmで示す。しきい値Vthをパラメータとすると、デカボランをイオン注入した場合もBF2 をイオン注入した場合と同様の電流が流れることが判る。
【0049】
以上の実験結果をまとめると、デカボランイオンを注入して浅いp型領域を形成した場合、短チャネル効果を抑制したより特性のよいpチャネルMOSトランジスタを形成できることが判る。
【0050】
pチャネルMOSトランジスタの多結晶シリコンゲートの高さは、通常ボロンの注入深さによって決められる。ゲート酸化膜にボロンが打ち込まれないように多結晶シリコンゲート電極の高さをある程度以上高くするためである。多結晶シリコンゲート電極がゲート酸化膜側で空乏化すると、良好なトランジスタ特性が期待できない。このため、多結晶シリコンゲートには充分高濃度の不純物をドープする必要がある。現在のイオン注入技術では、ボロンを大量にかつ浅くイオン注入することは困難である。
【0051】
図16は、Si中にボロンをイオン注入した時のプロファイルを計算によって算出した結果を示すグラフである。横軸は深さをμmで示し、縦軸は濃度をatoms/cm3 で示す。ボロンイオンの加速エネルギは、1keV~7keVの範囲で変化させ、ドーズ量は2×1015cm-2とした。なお、曲線p41~p47は加速エネルギが1~7keVのボロンイオン注入の場合を示す。なお、曲線n1は参考としてバックグラウンドにAsをイオン注入した場合の分布を示す。現在行なわれているボロンの低加速エネルギイオン注入は加速エネルギが約7keVである。この場合、注入深さが約160nmとなる。プロセスマージンを考慮し、ゲート高さは通常180nmに設定される。ゲート高さをたとえば120nm以下にしようとすると、プロセスマージンを考慮してイオン注入深さは約100nm以下とすることが望まれる。この場合、ボロンイオンの加速エネルギは3keV以下となる。現在のイオン注入装置を用い、3keV以下の加速エネルギでボロンイオンを注入しようとすると、ビーム電流の指数関数的減少により膨大な時間を必要とする。
【0052】
前述したように、デカボランを用いれば、B1原子当りの加速エネルギを約1/10に低減することができ、かつイオン電流に対するボロン原子濃度を約10倍にすることができる。従って、デカボランのイオン注入を行なえば、高さの低いゲート電極を実現することが容易となる。ゲート電極の高さを低くすると、ポリサイドゲート電極の場合のポリサイドゲートエッチングが容易になり、コンタクトホールの形成が容易になる。
【0053】
埋め込みチャネル型MOSトランジスタは、ゲート直下に極薄のpn接合を作ることが製造技術上の鍵になる。埋め込みチャネル型pチャネルMOSトランジスタの作成において、埋め込みチャネル作成にデカボランを使用することができる。デカボランをイオン注入して浅い接合を形成すれば、良好な埋め込みチャネル型pチャネルMOSトランジスタを形成でき、短チャネル効果に対して強いpチャネルMOSトランジスタを得ることができる。
【0054】
図3に示したイオン注入装置においては、デカボランのイオン化に電子照射を用いている。照射電子のエネルギを高くすればデカボランのイオン化率を上げることができ、ビーム電流が多く取れる。しかしながら、照射電子のエネルギを高くすると、デカボランの分子が分解しやすくなる。たとえば、B+ やB2 4 + イオン等が生成される。このような状態でイオン注入を行なうと、質量の小さいボロンを含むイオンが深く注入され、実効的な注入深さが深くなってしまう。
【0055】
図17A~17Dはデカボラン分子に加速電圧20Vから100Vの電子を照射した時の発生粒子の質量分析結果を示すグラフである。横軸は質量数を示し、縦軸は信号強度を示す。図17Aは、加速電圧Veが20Vの場合を示し、図17Bは、加速電圧Veが40Vの場合を示し、図17Cは、加速電圧Veが60Vの場合を示し、図17Dは、加速電圧が100Vの場合を示す。
【0056】
照射電子の加速電圧が20Vの場合、図17Aに示すようにB原子を9個以下含むデカボラン由来スピーシーズは極めて少なく、B原子を10個含むイオンがほとんどである。B原子を10個含むスピーシーズを便宜上デカボランと呼ぶ。
【0057】
図17B~17Dに示すように、加速電圧を40V以上にすると、デカボランの存在確率は急減し、B原子を9個以下含むスピーシーズが増大する。加速電圧をVe=100Vの場合には、B原子を1個含むスピーシーズの強度が最も高く、B原子の数が増大するにつれて高さは減少し、B原子を9個含むスピーシーズのピークが最も低く、デカボランのピーク高さはB9 よりは高くなっている。
【0058】
加速電圧Veを40V以上に設定した場合には、デカボランをイオン化して発生した全てのスピーシーズをイオン注入すると、種々の質量のデカボラン由来スピーシーズがイオン注入されてしまう。イオン化後に質量分析を行なわない場合には、照射電子の加速電圧は40V未満に設定することが好ましい。
【0059】
デカボランをプラズマや高エネルギの電子照射でイオン化した後、質量分析する場合の公的な質量分析範囲について説明する。
【0060】
ボロンの同位体としては、原子量10のボロンと原子量11のボロンが約2:8の割合で存在する。デカボランはB原子を10個含むため、同位体の混合比率によって分子量は114から124まで変化する。
【0061】
イオン注入において、イオンを作成した後質量分析を行なえば、イオン注入をするイオン種を選択することができる。B+ イオンやAs+ イオンを注入する場合は、原子量11と54を選択すればよい。しかしながら、デカボランの場合には分子量が上述のように広い範囲に存在し得る。すべての同位体の組み合わせを考慮すると、質量分析で分子量114から124のイオンを選択することとなる。また、デカボランを構成している水素は原子照射によって脱離し易い。
【0062】
図18は、照射電子の加速電圧Veを20V、40V、60Vに設定した時の、デカボランを質量分析した結果を質量数107から124の範囲で示す。横軸は質量数を示し、縦軸は信号強度を示す。いずれの加速電圧の場合にも、質量数117付近でピークを有する分布が形成されている。加速電圧Veが20Vの場合には、質量数111から124の範囲で分布している。加速電圧を40V以上にしても、質量数の多い領域の分布はあまり変らず、質量数の低い領域に分布が広がる。加速電圧を40V以上に設定した時は、B原子が9個以下のスピーシーズが多く発生するため、質量分析の必要性が生じる。この場合、選択する質量数は107から123の範囲に設定することが望ましい。このように選択する質量数の範囲を設定することにより、B原子を9個以下含むスピーシーズを排除し、B原子を10個含むスピーシーズのほとんど全部を利用することが可能となる。
【0063】
図19~21は、デカボランイオンを注入するのに適したイオン注入装置の構成例を示す。
【0064】
図19において、デカボランを収容するデカボランボトル50は、デカボランボトル50の内部を所望の温度まで加熱するためのヒータ51を備え、ニードルバルブ52を介して真空槽53に接続されている。真空槽53内においては、フィラメント55とアノード56を含む電子照射系54が、デカボランガスが噴射される位置の近くに配置されている。引出電極57は、電子照射系54の次に配置され、正イオンを引き出す。引出電極57によって引き出されたイオンは、レンズ58a、58bおよび開口59によって収束される。収束されたイオンビームは、加速器60によって加速され、X偏向器61およびY偏向器62によって偏向され、ターゲット63の所望の位置に注入される。
【0065】
図19の装置において、デカボラン分子は電子照射によってイオン化されている。
【0066】
図20の装置においては、図19のニードルバルブに代え、ストップバルブ65とマスフローコントローラ66の組み合わせが用いられている。ストップバルブ65は、マスフローコントローラ66の背圧が約1torr以上であることを保証する。第1段電子レンズ58aの後に、入口開口67、電子レンズ68、アナライザマグネット69および出口または分解開口70が配置され、質量分析器を構成している。出口開口70の後には、他の電子レンズ71が配置されている。図20の装置の他の構成は、図19の対応するものと同等である。
【0067】
図20の装置において、デカボランの流れはストップバルブ65とマスフローコントローラ66によって制御できるため、デカボランボトル50は50℃以上に加熱することができ、デカボラン分子の供給を安定化することができる。
【0068】
図21の装置においては、電子照射系の代わりに、プラズマイオン源73が用いられている。引出電極74は、プラズマイオン源の後に配置され、イオンビームをアナライザマグネット69に供給する。図21の装置の他の構成要素は、図20のものと同等である。
【0069】
以上説明したように、極めて浅いドープ領域を形成するためにデカボランイオンを用いることができる。さらに、我々は、活性化アニーリング後の不純物分布を極めて浅く維持するためには、一定レベル以下の加速エネルギが好ましいことを見いだした。
【0070】
図22は、デカボランイオンを5keVおよび10keVで加速した時のボロン分布を示す。図において、横軸は2次イオン質量分析(SIMS)で測定した基板内の深さをnmで示し、縦軸はB濃度を原子/cm3 で示す。曲線p50は、デカボランイオンを5keVで加速し、1×1013cm-2のドーズとした時の打ち込んだままのボロン分布を示す。曲線p51は、曲線p50のイオン注入後、900℃で10秒間の活性化アニーリングを行った後のボロン分布を示す。ボロン分布p51は、曲線p50の分布に極めて近いことが明確に読み取れる。
【0071】
曲線p52は、ドーズ量1.0×1013cm-2で、10keVで加速したデカボランを注入した後の注入したままのボロン分布を示す。曲線p53は、曲線p52のデカボラン注入の後、900℃で10秒間の活性化アニーリングを行った後のボロン分布を示す。活性化アニーリングによって、分布p53は、注入したままの分布p52よりもかなり深く拡張している。電気的に活性な不純物原子を得るためには、打ち込んだイオンを活性化することが必要である。したがって、極めて浅い接合深さを得るためには、デカボランを約5keV以下の加速エネルギで注入することが好ましい。
【0072】
ボロンイオンを注入する場合には、1018cm-3以下のボロン分布が過度に拡がる(拡散する)過渡的増速拡散が常に認められた。この現象は、デカボランを10keVの加速エネルギで注入した時にも認められた。5keVの加速エネルギにおいては、過渡的増速拡散は著しく低減し、極めて浅い接合を可能とした。5keVの加速エネルギにおいては、単一のボロンイオン当たりの平均的加速エネルギは500eVであり、この値は従来のボロンイオン注入においては、実現不可能であった。
【0073】
不純物原子は、Si結晶をチャンネリングによって通過することがある。チャンネリングを防止するためには、基板表面にアモルファス層を形成することが好ましい。たとえば、Geイオンを加速エネルギ40keV、ドーズ2×1014原子/cm2 で注入し、その後デカボランイオンをSi結晶に注入すればよい。
【0074】
以上説明したように、デカボランを用いることにより、Bのイオン注入と比較して高い効率でボロンを浅くイオン注入することが可能となる。
【0075】
本発明は、以下の態様を含む。
1.固体のデカボラン(B1014)を気化する工程と
気体状のデカボラン分子をイオン化させる工程と
デカボランのイオンを電界で加速してターゲットに注入する工程と
を含むイオン注入方法。
【0076】
2.前記固体デカボランの気化工程が固体デカボランを減圧雰囲気中で気化させる工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0077】
3.前記固体デカボランを気化する工程が、固体デカボランを加熱する工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0078】
4.さらに、気化したデカボランをストップバルブと微調整バルブを介して前記イオン化工程を行なうイオン化室へ供給する工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0079】
5.前記イオン化工程が電子照射によってデカボランをイオン化させる工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0080】
6.前記電子照射工程が加速エネルギ20eV以下の電子を照射する工程を含む5項記載のイオン注入方法。
【0081】
7.前記イオン化工程の後に質量分析を行ない、所望のイオンを選択する工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0082】
8.前記イオン化工程の後に質量分析を行ない所望のイオンを選択する工程を含む5項記載のイオン注入方法。
【0083】
9.前記イオン化工程がプラズマによってデカボラン分子をイオン化させる工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0084】
10.前記イオン化工程の後に質量分析を行ない、所望のイオンを選択する工程を含む9項記載のイオン注入方法。
【0085】
11.前記イオン化工程の後に質量分析を行ない所望のイオンを選択する工程を含む7項記載のイオン注入方法。
【0086】
12.前記質量分析を行なう工程が前記イオン化したデカボランの分子量を107から123の質量範囲に選択する工程を含む11項記載のイオン注入方法。
【0087】
13.前記デカボラン中のボロン原子が原子量11のボロンのみで構成されている1項記載のイオン注入方法。
【0088】
14.前記デカボラン中のボロン原子が原子量10のボロンのみで構成されている1項記載のイオン注入方法。
【0089】
15.前記デカボランのイオンを加速する工程は、約5keV以下の加速エネルギでイオンを加速する1項記載のイオン注入方法。
【0090】
16.さらに、前記デカボランのイオンを加速する工程の前に、前記ターゲットに電気的に不活性の不純物原子を注入し、アモルファス表面層を形成する工程を含む1項記載のイオン注入方法。
【0091】
17.デカボランをイオン化する工程と、
イオン化したデカボランをSiウエハに注入する工程と
を含む半導体装置の製造方法。
【0092】
18.デカボランをイオン化するイオン化工程と、
イオン化したデカボランをSiウエハに約5keV以下の加速エネルギで注入する注入工程と
を含む半導体装置の製造方法。
【0093】
19.前記Siウエハが少なくとも表面にn型Si領域を含み、さらに注入工程後、活性化アニールを行ないpn接合を形成する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0094】
20.前記Siウエハが絶縁ゲート電極を備えたn型Si表面層を含み、
前記注入工程がpチャネルMOSFETのLDD部にデカボランを注入しpn接合を形成する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
21.前記Siウエハが絶縁ゲート電極を備えたn型Si表面層を含み、前記注入工程がpチャネルMOSFETのソース/ドレインにデカボランを注入しpn接合を形成する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
22.前記注入工程がpチャネルMOSFETのポリSiまたはアモルファスSiのゲートにデカボランを注入しp+ 型ゲート電極を形成する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0097】
23.前記pチャネルMOSFETのゲートが高さ0.1μm以下である22項記載の半導体装置の製造方法。
【0098】
24.前記注入工程の前に、Siウエハに電気的に不活性な元素のイオン注入を行ない、表面領域をプリアモルファス化する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0099】
25.前記注入工程が埋め込みpチャネルMOSデバイスの埋め込みチャネルにデカボランを注入する工程を含む18項記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
26.固体デカボラン(B1014)を気化するための手段と、
気化されたデカボラン分子をイオン化するための手段と、
デカボランイオンを電界によって加速し、ターゲットに注入するための手段とを有するイオン注入装置。
【0101】
27.前記デカボランを気化するための手段は、固体デカボランを収容する排気可能な容器を含む26項記載のイオン注入装置。
【0102】
28.前記排気可能な容器は、ヒータを備える26項記載のオン注入装置。
【0103】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、Bのイオン注入と比較して、高い効率でボロンを浅くイオン注入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デカボランの分子構造を示す図である。
【図2】等価引出電圧とボロン原子数の関係を示すグラフである。
【図3】デカボランイオン注入装置を概略的に示す線図である。
【図4】デカボラン分子がどのようにイオン化でき、イオン化されたデカボランイオンがどのように質量分析できるかを示す線図である。
【図5】基板内のボロン分布を示すグラフである。
【図6】基板内のボロン分布を示すグラフである。
【図7】基板内のボロン分布を示すグラフである。
【図8】面抵抗とアニール温度の関係を示すグラフである。
【図9】面抵抗と接合深さの関係を示すグラフである。
【図10】リーク電流と逆方向電圧の関係を示すグラフである。
【図11】デカボランイオン注入を用いて形成する半導体装置の概略断面図である。
【図12】ドレイン電流とドレイン電圧との関係およびドレイン電流とゲート電圧との関係を示すグラフである。
【図13】閾値電圧とゲート長との関係を示すグラフである。
【図14】S因子とゲート長との関係を示すグラフである。
【図15】ドレイン電流と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【図16】種々の注入エネルギにおけるボロン分布のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図17】デカボラン分子を種々の加速電圧の電子で照射した時の質量分析の実験的結果を示すグラフである。
【図18】デカボラン分子を種々の加速電圧の電子でイオン化した時の種々の種の分布を示すグラフである。
【図19】デカボランを注入するためのイオン注入装置を示す概略的断面図である。
【図20】デカボランを注入するためのイオン注入装置を示す概略的断面図である。
【図21】デカボランを注入するためのイオン注入装置を示す概略的断面図である。
【図22】デカボランイオンを5keVおよび10keVで加速した時のボロン分布を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21