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明細書 :イメージングプレートX線回折装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3027361号 (P3027361)
公開番号 特開2000-035407 (P2000-035407A)
登録日 平成12年1月28日(2000.1.28)
発行日 平成12年4月4日(2000.4.4)
公開日 平成12年2月2日(2000.2.2)
発明の名称または考案の名称 イメージングプレートX線回折装置
国際特許分類 G01N 23/20      
FI G01N 23/20
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願平10-202980 (P1998-202980)
出願日 平成10年7月17日(1998.7.17)
審査請求日 平成11年7月15日(1999.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】理学電機株式会社
発明者または考案者 【氏名】横沢 裕
【氏名】大橋 裕二
【氏名】佐々木 勝成
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】居島 一仁
参考文献・文献 特開 昭62-147858(JP,A)
特開 平6-180297(JP,A)
特開 平6-19014(JP,A)
特開 昭58-162847(JP,A)
調査した分野 G01N 23/20 - 23/207
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)X線光学系とゴニオメータを備え、セットされた単結晶試料にX線回折を起こさせる手段と、
(b)前記試料のX線回折線を記憶できるように、鉛直方向に配置され、かつ、-60°~+144°の2θ測角範囲をカバーするとともに、CuKα線を用いたX線回折線測定を可能にした円筒状イメージングプレートと、
(c)該円筒状イメージングプレートの裏面の全面を支持する円筒状の移動台と、
(d)該移動台に支持された前記円筒状イメージングプレートを鉛直方向に移送する移送手段と、
(e)移送された円筒状イメージングプレートと同軸状に配置され、該円筒状イメージングプレートの内周面のX線回折線データを読み取る回転式読み取り装置とをえ、
(f)前記ゴニオメータが、前記円筒状イメージングプレートの内側下部にX線光学系やイメージングプレートと機械的干渉なく配置され、試料の軸を立てることを特徴とするイメージングプレートX線回折装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、イメージングプレートX線回折装置に係り、特に、露光エリアが拡大され、高速、高分解能で、しかも使い勝手のよい省スペースタイプのイメージングプレートX線回折装置に関するものである。

【10】
また、上記(2)の装置は横型であり、特に、幅方向のサイズが大きくなるといった問題があった。

【11】
本発明は、上記問題点を解決するために、2θ測角範囲が拡大され、高速、高分解能で、しかも使い勝手のよい省スペースタイプのイメージングプレートX線回折装置を提供することを目的とする。

【12】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕イメージングプレートX線回折装置において、X線光学系とゴニオメータを備え、セットされた単結晶試料にX線回折を起こさせる手段と、前記試料のX線回折線を記憶できるように、鉛直方向に配置され、かつ、-60°~+144°の2θ測角範囲をカバーするとともに、CuKα線を用いたX線回折線測定を可能にした円筒状イメージングプレートと、この円筒状イメージングプレートの裏面の全面を支持する円筒状の移動台と、この移動台に支持された前記円筒状イメージングプレートを鉛直方向に移送する移送手段と、移送された円筒状イメージングプレートと同軸状に配置され、この円筒状イメージングプレートの内周面のX線回折線データを読み取る回転式読み取り装置とを備え、前記ゴニオメータが、前記円筒状イメージングプレートの内側下部にX線光学系やイメージングプレートと機械的干渉なく配置され、試料の軸を立てるようにしたものである。

【13】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。

【14】
図1は本発明の実施例を示すイメージングプレートX線回折装置の全体構成図、図2はそのイメージングプレートX線回折装置の要部正面図、図3はそのイメージングプレートX線回折装置の上面図である。なお、以下に示す各部品の仕様は、単なる1例に過ぎず、これに限定されるものではない。

【15】
これらの図において、1は試料としての結晶3をセットするゴニオメータであり、(1)φは360°回転可能であり、0.02°/ステップの駆動が可能である。(2)xは-15~55°:0.002°/ステップの駆動が可能である。(3)ωは-85~265°:0.002°/ステップの駆動が可能である。軸交差精度は、例えば、20μm程度である。(4)ゴニオメータヘッドはIUCr規格(49mmタイプ)アークレスゴニオヘッド1個を設けている。

【16】
また、5はX線光学系であり、(1)カメラ部は縦型ワイセンベルグカメラ、カメラ長は127.38mm、測角範囲2θ=-60°~+144°、軸方向は±45°である。(2)モノクロメータは平板グラファイト結晶である。(3)コリメータは0.3mm,0.5mm,0.8mmダブルである。(4)ビームストッパーは結晶直後に配置し、試料観察用として、例えば、CCDカメラ(倍率モニター上で約70倍)を備えている。(5)層線スクリーンは0層線用スクリーン(幅5mm固定)である。

【17】
そこで、図4及び図5に示すように、ゴニオメータ1に試料としての単結晶3をセットし、X線光学系5からX線がその結晶3に照射されるようにすると、その単結晶3によりX線回折が起き、そのX線回折線がイメージングプレート21に記憶される。

【18】
更に、図1に示した7は移動台23に搭載されるイメージングプレート21を鉛直方向の下部に移送するためのリニアガイド部、11はそのイメージングプレート21の搬送のための駆動モータであり、12は伝導機構部である。

【19】
上記した主な装置は、読み取り装置のチャンバ15の上に配置され、そのチャンバ15の内部に転式読み取り装置20が収納される。13はX線測定部の防X線を兼ねたカバー、23はイメージングプレート21の裏面の全体を支持する円筒状の移動台(図1においてその縦断面が、図3においてその横断面がそれぞれ示されている)。

【2】

【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、例えば以下に開示されるようなものがあった。

【20】
そこで、その回転式読み取り装置20について説明すると、(1)読み取り方式は内周読み取り(光学系回転)方式である。(2)イメージングプレート21は検出面積:460mm×255mm、画素サイズ:100×100μm,100×105μm,200×200μm、画素数:4600×2550,4600×1700,2300×1275である。(3)カメラ半径は127.38mmである。(4)検出器は光電子増倍管である。(5)読み取り光源は半導体レーザ(最大定格出力25mWである。(6)ダイナミックレンジ1~106 (0~1048480)である。(7)読み取り感度は1-X線ホトン/ピクセルである。(8)出力データは約23.5MB/(100×100μm)である。(9)IP枚数は1枚である。(10)読み取り時間は1500ライン/分、約100sec/(100×100μm)である。(11)消去時間は20秒である。(12)デューティタイムは約140secである。

【21】
この回転式読み取り装置20は、図6に示すように、既に、本願発明者等によって提案されている(特開平6-19014号公報参照)ように、大別すると、レーザ光源26と、回転体28の内部に収納された読み取り光学系と、蛍光検出装置30とから構成されている。

【22】
そこで、レーザ光源26で発生したレーザ光40は、ミラー32,34で反射して、移動台(図示なし)に搭載されたイメージングプレート21の記録面22に垂直な方向に向けられる。このレーザ光40は、選択ミラー36と集光レンズ38を通過して、イメージングプレート21の記録面22上に照射される。レーザ光40の当たった部分に潜像が記録されていると、そこから蛍光が発生する。

【23】
この蛍光は、集光レンズ38で集められて、平行光線となり、選択ミラー36で反射して、中心線24に平行な方向に向けられる。蛍光42はレーザ光源26の方向には戻らずに、レーザ光源26とは反対の側に配置されている蛍光検出装置30の方向に向けられる。この蛍光42は、フィルター44で赤色光をカットされて、蛍光検出装置30でその強度が検出される。25は移動台(図示なし)に搭載されたイメージングプレート21の移動方向を示している。

【24】
そこで、イメージングプレート21が読み取り装置のチャンバ15に移送されると、回転式読み取り装置20により、潜像としての試料のX線回折線が読み取られる。

【25】
したがって、図4及び図5に示すように、例えば、CuKα線による試料からの回折データが、イメージングプレート21の測角範囲2θ=-60°~+144°に記録される場合にも、回転式読み取り装置20の1回転により、測角範囲2θ=±60°の場合と同程度の高速で読み取ることができる。

【26】
また、この装置では、読み取りが終了したイメージングプレート21の記録されたデータを消去して、駆動モータ11の駆動により、鉛直方向上方に移送して、再び、X線回折線の記憶を行うために使用することができる。

【27】
また、図示しないが、コントローラとして、(1)X線露光、読み取り、データ転送のためのシーケンス制御と、(2)イメージングプレートデータ読み取り用として、高速16ビットADCと、(3)制御用I/FとしてRS-232Cと、(4)データ用I/FとしてSCSI2が設けられる。

【28】
更に、制御・データ処理用コンピュータを設けて、制御を行うとともに、X線回折データの処理とその表示を行うことができる。

【29】
本発明によれば、上記のように構成したので、以下のような利点がある。

【3】
一般的に有機物や無機物の結晶構造の解析には、単結晶を作製し、X線回折測定を行う方法がとられている。

【30】
(1)高速、高分解能でX線回折データ収集・解析を行うことできる。例えば、上記した先行技術(1)によれば、データ収集に、3~4日要していたが、本発明によれば、3~4時間でデータ収集を行うことができる。

【31】
(2)X線検出部にイメージングプレートを、試料の周囲に縦型に円筒状に設置することにより、多量のX線回折データ1度に収集し、高速化を図るとともに、高分解能化を実現することができる。

【32】
(3)また、イメージングプレートは2次元検出器(記憶媒体)として、高感度で、かつ、広いダイナミックレンジと大きな検出(記憶)面積を有し、更に、半永久的に繰り返し使用が可能である。

【33】
(4)従来品に比べて、X線源と試料間の距離を約40%短縮することで、X線強度を向上させられる。また、CuKαでの測定を可能にしたことにより、高精度の測定が可能となる。

【34】
(5)例えば、φ軸:360°、x軸:-15~55°、ω軸:-85~265°回転可能なゴニオメータとの組合せにより、広い測角範囲、つまり、2θ=-60°~+144°を実現することができる。

【35】
なお、上記実施例では、図示していないが、試料としての結晶に向けて、例えば、上方に放射口を有する導入管を配置して、その導入管の放射口から冷却用ガス、例えば、窒素ガスを放出して、試料を冷却しながら、X線回折測定を行うことができる。更に、種々の試料の雰囲気の設定を行うようにすることもできる。

【36】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

【37】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。

【38】
(1)2θ測角範囲が拡大され、高速、高分解能で、しかも使い勝手のよい省スペースタイプのイメージングプレートX線回折装置を提供することができる。

【39】
(2)上記したゴニオメータ(1/4χゴニオメータ)によれば、試料としての結晶の軸を立てる場合、X線光学系やイメージングプレートとの機械的干渉がなく、結晶の軸を立てることができる。また、測角範囲は2θ=-60°~+144°と広い測角範囲を有しており、放射X線がMoKα線の場合は言うまでもなく、CuKα線の場合でも、ほぼ全空間のデータ収集と処理が可能である。また、CuKα線で0.83Å程度の分解能をカバーすることができる。

【4】
しかし、今後の研究には、これまでに比べて、迅速で分解能の高いデータ測定を行える装置の開発が必要となっている。例えば、1台のX線回折装置でもって、Mo(モリブデン)Kα線(波長0.710Å)の測定に止まらず、銅(Cu)Kα線(波長1.542Å)の測定が必要になってきている。

【40】
(3)従来品に比べて、X線源と試料間の距離を約40%短縮することで、X線強度を向上させ、かつイメージングプレートの裏面の全面は円筒状の移動台により支持され、高精度の測定が可能である。

【5】

【発明が解決しようとする課題】そのような、単結晶のX線による構造解析装置として、
(1)3次元スポットの測定を自在に行うことができる単結晶自動X線解析装置が開発されている。この単結晶自動X線解析装置は、X線発生装置と、4軸ゴニオメータと、このゴニオメータの2θ軸に搭載されたシンチレーションカウンタと、回折データの処理を行うコンピュータシステムを備えている。

【6】
この単結晶自動X線解析装置は、試料のあらゆるX線回折データ収集が可能である反面、3次元スポットの測定であるために、試料の全X線回折データ収集に、3日から4日を要するとともに、装置のスペースが大きくなるといった問題もあった。

【7】
(2)更に、X線回折データ収集時間を短縮するために、円筒状のイメージングプレートを横方向に配置して、X線回折データを一度に取り込めるようにしたイメージングプレートX線回折装置が開発されている。

【8】
このイメージングプレートX線回折装置は、X線回折データ収集時間の短縮に寄与するところは大であるが、2θ測角範囲は、±60度で、MoKα線(波長0.710Å)の測定専用であった。つまり、CuKα線(波長1.542Å)を使用すると、少なくとも0度から140度の2θ測角範囲が必要となり、この2θ測角範囲を確保するためには、結晶へのアクセススペースを著しく狭めざるを得ず、使い勝手に難があった。

【9】
したがって、上記したMoKα線(波長0.710Å)の測定と、CuKα線(波長1.542Å)の測定との両方の測定を行うためには、上記した(1)の装置を用い、長いデータ収集時間を許容するか、使い勝手を犠牲にせざるを得ないという問題があった。
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5