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明細書 :アンモニウムイオン選択性配位分子およびイオンセンサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3805903号 (P3805903)
公開番号 特開2000-072767 (P2000-072767A)
登録日 平成18年5月19日(2006.5.19)
発行日 平成18年8月9日(2006.8.9)
公開日 平成12年3月7日(2000.3.7)
発明の名称または考案の名称 アンモニウムイオン選択性配位分子およびイオンセンサ
国際特許分類 C07D 323/00        (2006.01)
G01N  27/333       (2006.01)
G01N  27/416       (2006.01)
FI C07D 323/00
G01N 27/30 331C
G01N 27/46 351A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 40
出願番号 特願平10-242753 (P1998-242753)
出願日 平成10年8月28日(1998.8.28)
審査請求日 平成13年4月9日(2001.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】鈴木 孝治
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】渕野 留香
参考文献・文献 特開平06-166869(JP,A)
特開平06-166870(JP,A)
特開昭60-80754(JP,A)
特開平8-245617(JP,A)
特開平6-73045(JP,A)
MIkio Ouchi et al.,J.Org.Chem.,1987年,Vol.52,pp.2420-2427
Wolfgang Hasse et al.,Sensors and Actuators B,1994年,Vol.18-19,pp.383-386
J. Petranek et al.,Analytica Chimica Acta,1974年,Vol.72,pp.375-380
調査した分野 C07D323/00
G01N 27/416
G01N 27/333
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I)、
【化1】
JP0003805903B2_000047t.gif
(式中、R、及びRは、水素原子を示し、R、R、R、R、R、R、R、R10は、置換基を示すか、又はR及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10は、互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。nは0~2の整数、mは1~3の整数を示し、nとmの和は3である。但し、m又はnが2の場合に繰り返して現れるR、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ独立して水素原子若しくは置換基を示すか、又はR及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10が、互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示される置換-クラウン-6誘導体。
【請求項2】
一般式(I)中のR、R、R、R、R、R、R、R10の置換基が、アルキル基である請求項1に記載の置換-クラウン-6誘導体。
【請求項3】
一般式(I)中のR及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10が、互いに結合した、分枝状又は直鎖状のアルキレン基で、隣接する炭素原子と共に炭素環を形成している請求項1に記載の置換-クラウン-6誘導体。
【請求項4】
一般式(I)中のR及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10、が、互いに結合して、テトラメチレン基を形成している請求項3に記載の置換-クラウン-6誘導体。
【請求項5】
置換-クラウン-6誘導体が、19-クラウン-6誘導体である請求項1~4のいずれかに記載の置換-クラウン-6誘導体。
【請求項6】
置換-クラウン-6誘導体が、21-クラウン-6誘導体である請求項1~4のいずれかに記載の置換-クラウン-6誘導体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の置換-クラウン-6誘導体からなるアンモニウムイオン用イオノフォア。
【請求項8】
置換-クラウン-6誘導体が、19-クラウン-6誘導体又は21-クラウン-6誘導体である請求項7に記載のアンモニウムイオン用イオノフォア。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれかに記載のアンモニウムイオン用イオノフォアを含有してなるアンモニウムイオンに対するイオンセンサー。
【請求項10】
さらに陰イオン性の色素を含有してなる請求項9に記載のイオンセンサー。
【請求項11】
請求項7又は8のいずれかに記載のアンモニウムイオン用イオノフォアを含有してなるアンモニウムイオンに対するイオン選択性電極。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は臨床試料や環境試料の分析に使用されるイオン選択性電極、特にアンモニウムイオンに対するイオン選択性電極に関する。より詳細には、本発明は、置換-クラウン-6誘導体、それを用いたアンモニウムイオン補足剤、イオンセンサー、及び、イオン選択性電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン選択性電極は、臨床試料や環境試料の分析において簡便でかつ正確な分析手段として汎用されてきている。
【0003】
イオン選択性電極は、特定のイオンに感応する膜を挟んで発生する膜電位を利用して、目的イオンを選択的に認識し、そのイオンの濃度と活量を測定するイオンセンサーである。イオン選択性電極の開発は、1906年にクレメル(Cremer)によってガラス膜が水素イオン濃度に応答する事が発見されたことに端を発している(M.Cremer, Z.Biol., 47, 562 (1906) )。1950年代まで実用的なイオン選択性電極はガラス膜電極のみであった。しかし、1960年代に入り、ロス(Ross)らによるフッ化物イオン電極(M.S.Frant, J.W.Ross, Science, 154, 1553 (1966))、カルシウムイオン電極(J.W.Ross, Science, 156, 1378 (1967))、シモン(Simon )らによるカリウムイオン、アンモニウムイオン電極(Z.Stefanac, W.Simon, Chimia, 20, 436 (1966) )が相次いで開発されると、広く実用化され注目を浴びるようになった。以来、イオン選択性電極は、その優れた感度や選択性、分析の迅速さや簡便性あるいは自動連続分析への容易な適用性のため、現在では各種産業における計測装置、環境や臨床分析への適用など、多岐にわたる応用と開発がなされている。
【0004】
イオノフォア(Ionophore)とはイオン輸送担体という意味であり、あるイオンと選択的に錯体を形成する有機分子のことである。
イオン選択性電極用イオノフォアとして最初に用いられたのは、天然物イオノフォアであった。その中で最も大きな成果を収めたのが環状のバリノマイシンであり、シモン(Simon)らによって初めて液膜型イオン選択性電極に応用され、優れたカリウムイオン選択性を示した(Z.Stefanac, W.Simon, Microchem. J., 12, 125 (1967))。その後、天然物イオノフォアの構造や機能を模倣した化合物の合成が盛んに行われるようになり、シモン(Simon)らによる非環状ポリエーテルアミド誘導体などといった実用性に極めて優れたものも開発されている(E.Metzger, D.Ammann, R.Asper, W.Simon, Anal.Chem., 58, 132 (1986))。またバリノマイシンの電極への応用と時を同じくして、Pedersenによって発見された環状のオリゴエチレングリコール誘導体(クラウンエーテル)が特異的な金属イオン捕捉能を有することが判明して以来、その誘導体のイオン選択性電極への応用も検討されるようになり、近年実用的に優れたものが次々報告されている(C.J.Pedersen, J. Am. Chem. Soc., 89, 2495, 7017 (1967))。
【0005】
近年では、ノナクチン、モナクチン、ジナクチン、トリナクチン、テトラナクチンなどのナクチン類や(特開昭59-163557号)、16-クラウン-5誘導体(特開平8-245617号)、14-クラウン-4誘導体(特開平6-73045号)などの各種合成クラウンエーテル類のような、電気的中性のイオノフォアが多数開発されてきている。
【0006】
また、イオン選択性電極用に使用される電気的中性のイオノフォアは、高脂溶化したpH指示薬と併用することにより、吸光測定方式のイオンセンサーに応用できる(K.Suzuki, et al., Anal. Chim. Acta., 237, 155 (1990) ; W.Simon, et al., Anal. Sci., 5, 557 (1989) )。
この原理は、例えば、陽イオンを検出する場合には、陰イオン性の色素を利用して、次式で示されるように可逆的なイオン対形成させることである。
【0007】
w + Sm + HAm ←→ Hw + SCAm
【0008】
(式中、Cは、目的陽イオンを示し、Sは、イオノフォアを示し、
HAは、HとAに解離しうる陰イオン性の色素を示し、添字のwとmは、それぞれ水相と高脂溶性のセンサー膜相を示す。)
イオノフォアに選択的にとりこまれた陽イオンにより、陰イオン性の色素を解離させて、その陰イオン部と会合して吸光性のイオン対(SCA)を可逆的に形成し、これを吸光測定するものである。
【0009】
この目的のイオノフォアは、イオン選択性電極に用いたのでは充分な応答が得られないようなやや大きな配位結合力を持つものも使用可能であるために、イオン選択性電極では開発することの難しいやや大きな陽イオンの検出に適用することも可能である。
【0010】
このように、イオン選択性電極やイオンセンサーなどに用いられるイオノフォアとして種々のものが開発されてきているが、これらの多くはナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン陽のものであり、アンモニウムイオンのようなやや大きな陽イオンに対して選択性の高いイオノフォアの開発が要望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アンモニウムイオンに対する高感度で高選択性のイオノフォアを提供することを目的としている。より詳細には、本発明は、置換-クラウン-6誘導体が、アンムニウムイオンに対して高感度で高選択性の電気的に中性なイオノフォアとしてのしての性質を有することを見出し完成されたものである。
また、本発明は、新規な置換-クラウン-6誘導体、それを含有してなるイオンセンサー、及び、イオン選択性電極を提供するものでもある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の一般式(I)、
【0013】
【化2】
JP0003805903B2_000002t.gif【0014】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ独立して水素原子又は置換基を示し、R及びR、R及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10は、互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。nは0~2の整数、mは1~3の整数を示し、nとmの和は3である。但し、全てが同時に水素原子の場合を除く。)
で示される置換-クラウン-6誘導体に関する。
【0015】
また、本発明は、酸素原子を6個有するクラウンエーテル類であって、当該クラウンエーテル類の炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも4個が炭化水素基又は相互に隣接する炭素原子と共に環構造を形成する基によって置換されているクラウンエーテル誘導体からなるアンモニウムイオン用イオノフォアに関する。より詳細には、本発明は、前記一般式(I)で示される置換-クラウン-6誘導体からなるアンモニウムイオン用イオノフォアに関する。
さらに、本発明は、前記したイオノフォアを含有してなるアンモニウムイオンに対するイオンセンサーに関する。本発明のイオンセンサーは、さらに陰イオン性の色素を含有してなるものが好ましい。
また、本発明は、前記したイオノフォアを含有してなるアンモニウムイオンに対するイオン選択性電極に関する。
【0016】
本発明の一般式(I)で示される置換-クラウン-9誘導体のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10の置換基としては、炭素数1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5~30、好ましくは5~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基、前記したシクロアルキル基であって少なくとも1個以上の不飽和結合を有するシクロアルケニル基、炭素数6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式のアリール基、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5~20員、好ましく5~10員、より好ましく5~7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式の複素環式基、前記したアルキル基又はアルケニル基に前記のアリール基又は複素環式基が置換したアラルキル基などが挙げられる。
【0017】
一般式(I)中の前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基、又は、アラルキル基は、本発明のイオノフォアの性質を阻害しない置換基で置換されていてもよい。
一般式(I)中の前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基、又は、アラルキル基の置換基としては、これらの基が相互に置換することができる場合には、これらの基が相互に置換したものであってもよい。例えば、アルキル置換シクロアルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換複素環式基、アルキル置換アラルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基、アルケニル置換アリール基などが挙げられる。
【0018】
その他の置換基としては、前記したアルキル基からなるアルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルシリル基、アルキル置換シロキシ基などの他に、塩素、臭素、フッ素などのハロゲン原子、メチレンジオキシ、2,2-ジメチルメチレンジオキシ基などのアルキレンジオキシ基、シアノ基などが挙げられる。
【0019】
一般式(I)の前記の置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基などの低級アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などの低級アルケニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、チエニル基、フラニル基などの複素環基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基等が挙げられる。
これらの置換基は、あまりに自由度が大きいとアンモニウムイオンの選択性に悪影響が生じる場合があるので、好ましくは自由度の少ないものがよい。
【0020】
本発明の一般式(I)中のR及びR、R及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10は、互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。
この場合の環としては、5~10員、好ましくは5~8員、より好ましくは5~6員の環で、環中に酸素原子、窒素原子又は硫黄原子などの異項原子を1個以上含有していてもよく、さらに、この環に他の環が縮合していていてもよい。また、この環は、前記ような基で置換されていてもよい。
【0021】
好ましい環としては、隣接する2個の炭素原子と共に形成されるシクロアルキル環が挙げられる。より好ましくは、シクロヘキサン環が挙げられる。即ち、一般式(I)中のR及びR、R及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びR10が、テトラメチレン基である場合である。
【0022】
本発明の一般式(I)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10の14個~18個の基は、同一であってもよいが、それぞれ異なる基であってもよい。
また、本発明の一般式(I)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10のうちの10個以下の基は水素原子であってもよいが、好ましくは8個以下の基が水素原子であってもよく、より好ましくは4個以下の基が水素原子であってもよいが、全ての基が水素原子であることはない。
さらに好ましいものとしては、前記の12個以上の基が水素原子でないものを挙げることができる。
【0023】
本発明の一般式(I)中のnは0~2の整数、mは1~3の整数を示し、nとmの和は3である。即ち、nが2でmが1の場合には19-クラウン-6誘導体を示し、nが1でmが2の場合には20-クラウン-6誘導体を示し、nが0でmが3の場合には21-クラウン-6誘導体となることを示している。
そして、これらの繰り返し単位の中の置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、同じものが繰り返される必要はなく、異なる置換基を有する単位が繰り返されてもよい。
【0024】
本発明の一般式(I)で示される置換-クラウン-9誘導体は、公知のクラウン-6化合物の製造方法に準じて、置換基を有するエチレングリコール誘導体を、トリエチレングリコール、アリルアルコール、又は、ハロゲン化アリルなどと反応させて、順次環化させてゆくことにより製造することができる。
また、マロンアルデヒドのジアセタール化物を金属水素化物で還元することにより、置換-クラウン-6誘導体のトリエチレン部分を製造し、次いでこれを置換エチレングリコールなどにより環化させる方法により製造することもできる。この方法は、後述する実施例においてより具体的に説明する。
【0025】
イオン選択性電極用又はイオンセンサーに使用されるイオノフォアの満たすべき条件としては、次のようなことが報告されている(W.E.Morf, W.Simon, "Ion-Selective Electrodes in Analytical Chemistry", Edited by H.Freiser,Chap-3 (1987), (Plenum Press,New York,London) )。
【0026】
(1) 脂溶性:イオノフォアとその錯体は膜相中に充分溶解すること、
(2) 移動性:イオノフォアとその錯体の両方とも動きやすいこと、
(3) 錯形成定数:カチオンの応答性は抽出定数があまり高くない場合のみ得られるので適度な大きさであること、
(4) 交換速度:イオン交換速度は膜電極の必要な応答時間と両立しうること。
【0027】
イオン径とイオノフォアが形成する空孔が合致すること(サイズフィット)は、イオン捕捉能、及び、イオン選択性を決定する重要なファクターのひとつである。また、アルカリ、及びアルカリ土類金属イオンに対しては、配位数がイオン選択性に大きな影響を与える。そして配位原子の配置とその対称性は、イオンへの配位に関係し、一般に対称性の低いイオノフォアの配位能は、対称性の高いイオノフォアのそれに比べて低いと考えられる。言い換えれば、イオノフォアとイオンはイオン-双極子相互作用によって安定な錯体を形成するので、配位原子を対照的に配列することはすべての双極子がイオノフォアの空孔中心を向くため、イオンへの配位に有利に働くのである。
【0028】
さらに、イオノフォア分子の熱力学的自由度は、イオノフォアのリングサイズと密接な関係がある。例えば、14-クラウン-4誘導体のような小さな空孔径をもつイオノフォアはとても硬いリング構造を持ち、リングの自由度が低い。このようなイオノフォアは錯体を形成する際、その空孔を調節することは難しく、サイズフィットの考えを適用することが可能である。これに対して大きい環を持つイオノフォアでは、環の大きさが大きくなればなるほどイオノフォアのフレキシビリティーが増し、ある程度その空孔をカチオンに応じて調節することが可能となる。そのため、このようなイオノフォアのイオン選択性は低くなる。また、イオノフォアはイオン活量を正確に測定するために、その脂溶性が高い必要があることから比較的炭素数の多いものが好ましい。
【0029】
さらに、クラウンエーテル類は、その空孔に適合したイオン径を持つ金属イオンと安定な1:1錯体を形成するが、その空孔径よりも大きいイオン径を持つ金属イオンとも2:1や3:1錯体を形成する。これは、クラウンエーテルが平面的な配位子であり、生成した錯体の上下には配位可能な空間が存在し、特にクラウン環よりも大きな金属イオンとの錯体では、イオンの上方に大きな配位空間が残るためである。
【0030】
従って、クラウンエーテルのイオン選択性を向上させる方法としては、ふたつの方法が考えられる。第一の方法はクラウンエーテル骨格に、その空孔に取り込まれた目的イオンに対して錯形成能を高めるラリアート側鎖を導入する方法(ラリアート効果)であり、第二の方法は、妨害イオンとの錯形成能を低下させるブロック側鎖やサブユニットを導入する方法(ブロック効果)である。
【0031】
本発明者らは、ブロック性サブユニットを有効に利用した分子構造を基本としたアンモニウムイオノフォア分子の開発を行った。このために、NH(イオンの直径が約2.86オングストローム)と空孔径がサイズフィットすると考えられる19-クラウン-6、20-クラウン-6、21-クラウン-6(空孔の大きさが2.7~3.5オングストローム)を基本骨格とし、ブロック性サブユニットを導入した数種のイオノフォアを合成した。これらのイオノフォアのイオン選択性の評価は、イオン選択性電極法における選択係数を求めることによって行った。
【0032】
ブロック基を導入したクラウン-6誘導体として、ブロック基としてテトラメチル基を3つ導入したTTM-19-クラウン-6(化合物(a))、ブロック基としてデカリノ基を3つ導入したTD-19-クラウン-6(化合物(b))、デカリノ基を2つ導入したDD-19-クラウン-6(化合物(c))、ブロック基としてデカリノ基を3つ導入したTD-21-クラウン-6(化合物(d))を調製し、その選択性を測定したところ、これらの化合物を使用した電極は、すべてNH選択性を示した。
【0033】
アンモニウムイオン測定における主要な妨害イオンは、イオン半径がNHに近いK及びNaである。そこで、この二つのイオンに注目してイオノフォア(b),(c)を比較すると、ブロック基としてデカリノ基を3つ導入した化合物(b)は、ブロック基としてデカリノ基を2つ導入した化合物(c)よりもNH/Na、NH/K選択性が向上していることがわかる。これはブロック基を一つ増やすことにより化合物(c)のトリエチレングリコール部位の構造の堅さが増し、NHよりイオン径の小さなイオンに対するサイズフィット効果が損なわれる為と考えられる。
【0034】
ブロック基としてテトラメチル基を3つ導入した化合物(a)もNH/Na、NH/K選択性が向上しているが、ブロック基としてデカリノ基を導入した化合物(c)の方がより選択性が高い。これはブロック基の環の堅さを増す効果の為と考えられる。化合物(b)は、現在アンモニウムイオノフォアとして用いられている天然物であるノナクチンに比べて、NH/K選択性ではほぼ同等、NH4+/Na+選択性では約10倍の選択性を示す優れたイオノフォアであることがわかった。
【0035】
ブロック基を導入した19-クラウン-6誘導体をイオノフォアとして用いた膜を使用し、単独溶液法によってイオン選択性を求めた結果を図1に示し、TD19-クラウン-6(TD19C6)(化合物(b))及びTTM19-クラウン-6(TTM19C6)(化合物(a))の10-1~10-6MNHCl水溶液に対する電位応答曲線を図2に示す。膜の膜溶媒としてBBPA(アジピン酸ビス(1-ブチルペンチル)エステル)を用い、膜組成は以下に示すとおりである。また、比較・検討のため、TD19-クラウン-6(TD19C6)(化合物(b))とノナクチンの選択係数を測定し、図3に示す。
なお、この測定に用いた4種の化合物を図4に示す。
【0036】
測定した19-クラウン-6誘導体は全て良好なNH選択性を示した。アンモニウムイオン測定における主な妨害イオンはイオン径の近いKとNaである。これら二つのイオンに注目して選択係数を比較すると、ブロック基としてデカリノ基を3つ導入したTD19C6はNH/K選択性が-0.98、NH/Na選択性が-3.52を示したのに対し、ブロック基としてデカリノ基を2つ導入したDD19C6はNH/K選択性が-0.24、NH/Na選択性が-2.23を示した。
【0037】
このことは、TD19C6とDD19C6の構造上の違いに着目すると、DD19C6のトリエチレングリコール部位にブロック基の入ることにより環の堅さが増し、NHよりイオン径の小さなK、Naに適した空孔径を形作るのを妨げる効果があるためと考えられる。ブロック基としてテトラメチル基を導入したTTM19C6はNH/K選択性が-0.66、NH/Na選択性が-2.82を示した。この選択性は良いものであるといえるがTD19C6の選択性と比較すると劣っている。これは、ブロック基のテトラメチル基とデカリノ基の比較よりデカリノ基の法が環の堅さを増す効果が大きいためイオン径の小さなイオンに適した空孔径に近い空孔径をTTM19Cが形成するためと考えられる。
【0038】
測定した19-クラウン-6誘導体のうち、最も良いアンモニウムイオン選択性を示したTD19C6と現在、一般に使用されている最も優れたアンモニウムイオノフォアであるノナクチンのアンモニウムイオンのカリウム、ナトリウムイオンに対する選択係数を以下の表1に示す。NH/K選択性はほぼ同等の値を示し、NH/Na選択性は10倍選択性が良かった。このことから、今回合成したTD19C6は優れたアンモニウムイオノフォアであると言える。
【0039】
【表1】
JP0003805903B2_000003t.gif【0040】
TD19C6、TTM19C6の電位応答曲線はともに10-1~10-5Mの濃度域で直線性を示している(図2参照)。また、直線部分の傾きはネルンスト応答の傾きに近い傾きを示している。しかし、TTM19C6の傾きは若干小さく、これはTTM19C6のNHに対する錯形成能が若干劣っているためと考えられる。
【0041】
TTM19C6とTD19C6を用いた感応膜の寿命を検討するため、電極作製時からコンディショニング溶液に浸漬したままで1日後、1週間後、1ヶ月後に測定を行った。なお、TD19C6は時期的要因より1日後、1週間後の2回のみ測定を行った。この測定に使用した膜は前記の測定で使用したものと同じものである。選択係数を図5に、電位応答曲線を図6に示す。
【0042】
TTM19C6を使用した膜のNH/K選択係数は1ヶ月でも同じ値を示し、またNH/Na選択係数も若干向上した値を示しており、全体的に選択性が若干向上している傾向が見られる。また、電位応答曲線の直線部分の濃度域も10-1~10-5Mでほとんど変化せず、また直線部分の傾きも似たような値をとっている。
結論として、TTM19C6を用いた電極の寿命は1ヶ月をこえており、TTM19C6の脂溶性は充分高く、実用に耐えうると考えられる。
【0043】
TD19C6の選択係数はすべてのイオン種で同じような値を示しており(図7参照)、電位応答曲線も直線性を示す濃度範囲とその部分での傾きも似た値を示している(図8参照)。TD19C6はTTM19C6よりも脂溶性が高いので更に寿命が長いことが予想される。
【0044】
さらに、21-クラウン-6誘導体であるTD21C6(化合物(d))について同様な試験を行った。
TD21C6をイオノフォアとして用いた測定結果を図9、図10及び図11に示す。図9における対NHの電位応答曲線を見ると、10-1~10-5の濃度範囲で良好な直線性を示し、その範囲での傾きは 56.45mV/a.d.でnernst応答を示していることがわかる。
また、NHに対する応答曲線の再現性を図10で見ると、直線性を示す濃度範囲、傾き共に極めて良好な再現性を示していることがわかる。さらに、図11より選択係数の再現性も良好であることがわかる。
【0045】
次に、本発明のアンモニウムイオン選択性イオノフォアであるTD19C6とTD21C6の選択性を、現在唯一実用化されているアンモニウムイオノフォアであるノナクチンと比較した。膜組成はそれぞれ最適化されたものを用い、単独溶液法を用いて測定を行った。この測定に使用したイオノフォアの化学構造式を図12に示す。また、測定された選択係数をまとめたものを図13に示す。
図13より、TD19C6、TD21C6共にNH/K選択性はノナクチンと同等またはそれ以上の値を示している。一方、NH/Na選択性では、TD19C6はノナクチンに対して約10倍の選択性の向上を示したが、TD21C6では低下している。TD21C6のNH/Na選択性の低下は、CPKモデルからデカリノ基以外のエーテル酸素を繋ぐプロピレンブリッジの構造の軟らかさからNaに適した環構造に変形でき、Naと錯形成しやすくなったためと考えられる。
【0046】
この環の軟らかさの増加はLiに対する選択性の低下からも説明できると考えられる。両クラウンエーテル化合物のカリウムイオンに対する選択性の向上は、CPKモデルよりデカリノ基の導入により、結合しているエーテル酸素の向き、距離の規制によりアンモニウムイオンのテトラヘドラル構造のうち、3つの水素原子との錯形成に通した距離、方向を作りやすくなるためだと想像できるが、これは、X線構造解析による錯形成構造の解明を待たねばならない。
以上の結果より、デカリノ基を3つ導入したクラウンエーテルはアンモニウムイオン選択性イオノフォアとして優れた性能を示し、特に19員環を基本骨格としたTD19C6はノナクチンを超えた現在世界最高性能のアンモニウムイオノフォアであるといえる。
【0047】
このように、クラウン-6化合物類のメチレン基の位置やプロキレン基の箇所にブロック基を導入することにより、アンモニウムイオンのイオン選択性の向上がみられた。また、ブロック基としては、各々の基が独立した鎖状のものよりも、隣接する2個の基が結合して、自由度の少ない環を形成するもののほうが好ましい結果が得られた。
この結果から本発明のアンモニウムイオン用イオノフォアは、酸素原子を6個有するクラウンエーテル類であって、当該クラウンエーテル類の炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも4個が、前記したアルキル基やアリール基などの炭化水素基で置換されてブロック基を形成するか、又は、当該クラウンエーテル類の相互に隣接する炭素原子の各々の水素原子が隣接する炭素原子と共に前記したアルキレン基などの環構造を形成する基によって置換されているクラウンエーテル誘導体であることが示された。
【0048】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
2,5,12,15,22,26-ヘキサオキサヘプタシクロ-〔25.4.4.46.11.416.21.01.27.06.11.016.21〕トリテトラコンタン(TD19C6(化合物b))の製造
この化合物の製造経路を次の反応式で示す。
【0050】
【化3】
JP0003805903B2_000004t.gif【0051】
(1)シス-1,6-ジヒドロキシビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(2))
激しく撹拌している水/ジオキサン=10ml/50ml混合溶液中に1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン(化合物(1))4.43g(36.76mmol)をゆっくり加えた。四酸化オスミウムのブタノール溶液0.86mg(2.55×10-3当量)をゆっくり滴下後、50%N-メチルモルホリン-N-オキシド水溶液を(4.306g)を加え、さらにピリジン2ml加えた後、85℃に昇温した。二時間後、四酸化オスミウム溶液を1ml加え、110℃に昇温した。48時間後、室温まで放冷した後、ハイドロサルファイトナトリウム2.5g、1N塩酸125mlを加えて10分間撹拌した。濃縮後、残渣をイオン交換水(pH7に調整)に溶解し、酢酸エチル50mlで4回抽出し、酢酸エチル層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。残渣を再び酢酸エチル50mlに溶解し、塩酸50mlで2回洗浄、酢酸エチル層を芒硝乾燥後減圧濃縮、残渣をメタノール4mlに溶かし、水を4倍量加えた後冷蔵庫にて冷却、析出した結晶を吸引濾過にて回収し、シス-1,6-ジヒドロキシビシクロ[4.4.0]デカン(2)を2.8973g(収率52.3%)得た。
H-NMR(CDCl)δ;1.17~1.98(m,16H,H-1),2.00~2.17(s,2H,H-2)TLC;Rf = 0.65(ヘキサン-酢酸エチル(4:1,v/v))
【0052】
【化4】
JP0003805903B2_000005t.gif【0053】
(2)12-12’-メチレン-ビス-(11,13-ジオキサトリシクロ[4.4.3.01.6]トリデカン)(化合物(3))
前記(1)で得られた化合物(2)1.0g(5.9mmol)をベンゼン50mlに溶解し、マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)0.476g(2.9mmol;1eq)及びp-トルエンスルホン酸100mg(0.6mmol;0.1eq)加えた後、60℃に昇温し加熱還流した。2時間後反応を終了し、反応液を減圧濃縮し、これをクロロホルムに溶解し、飽和食塩水で三回抽出した。クロロホルム層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、白い粉末12-12’-メチレン-ビス-(11,13-ジオキサトリシクロ[4.4.3.01.6]トリデカン)(3)を得た。
JP0003805903B2_000006t.gif【0054】
【化5】
JP0003805903B2_000007t.gif【0055】
(3)6,6’-プロピレンジオキシ-ビス(シス-1-ヒドロキシデカン)(化合物(4))
氷浴中で撹拌下の30mlジエチルエーテル中に、無水塩化アルミニウム2.42g(18.14mmol)をゆっくり溶解した。溶解後、水素化リチウムアルミニウム0.17g(4.54mmol)を徐々に加えた。これにジエチルエーテル40mlに溶解した化合物(3)をゆっくり加え、氷浴中で撹拌した。三時間後、水を加えて余剰のハイドライドを潰した。10mlの10% HSOを加え、しばらく撹拌した。反応液の油層をデカンテーションで分離し、残った水槽を酢酸エチル50mlで三回抽出した。上記の油層と酢酸エチルをまとめ、水で二回洗った(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)。油層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で分離し、6,6’-プロピレンジオキシ-ビス(シス-1-ヒドロキシデカン)(化合物(4))を得た。
JP0003805903B2_000008t.gif【0056】
【化6】
JP0003805903B2_000009t.gif【0057】
(4)シス-1,6-ビス(カルボキシメトキシ)ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(5))
室温で撹拌下、THF100mlにシス-1,6-ジヒドロキシ-ビシクロ[4.4.0]デカン(2)2g(25.39mmol)を溶解した溶液に水素化ナトリウム4.06g(101.5mmol)をTHF50mlに溶解したものをゆっくり滴下した後、70℃に昇温し2時間加熱還流を行った。その後、クロロ酢酸5.76g(60.93mmol)をTHF50mlに溶解したものをゆっくり滴下した後、16時間70℃で加熱還流を行った。メタノールを加えて過剰の水素化ナトリウムをつぶした後、反応溶液を減圧濃縮し、1N HCl 50mlに溶解し、クロロホルムで3回抽出した。クロロホルム層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し残渣を得た。この残渣はTLCで確認できなかったため、そのまま次の反応に移った。
【0058】
【化7】
JP0003805903B2_000010t.gif【0059】
(5)シス-1,6-ビス(エトキシカルボニルメトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(6))
化合物(5)を含む混合物をエタノール/ベンゼン・1/1溶液100mlに溶解し、モレキュラーシーブ3A 0.05g加えた。その後、撹拌下でトシル酸0.13gを加え、90℃で17時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水で3回洗った。油層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1,v/v)で分離精製し、シス-1,6-ビス(エトキシカルボニルメトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(6))2.8g(収率:69.6%)得た。
JP0003805903B2_000011t.gif【0060】
【化8】
JP0003805903B2_000012t.gif【0061】
(6)シス-1,6-ビス(2’-ヒドロキシエトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(7))
室温でTHF10mlに水素化リチウムアルミニウム1.031gを溶解した。その後、撹拌下で化合物(6)3.2g(9.3448mmol)をTHF20mlに溶解したものを徐々に加えた。その後、70℃に昇温し、25時間加熱還流を行った。その後、過剰の水素化リチウムアルミニウムをメタノールで潰した。反応液を減圧濃縮後、残渣に酢酸エチルを加えたが、溶解しなかった。更に、1M HClを加え、一晩静置し、上澄みをデンカンテーションによって分け、水で2回抽出(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)を行った。水層を酢酸エチルで2回逆抽出を行った。得られた有機層をまとめ、芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1,v/v)で分離生成し、シス-1,6-ビス(2’-ヒドロキシエトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(7))0.7000g(収率:28.99%)を得た。
【0062】
【化9】
JP0003805903B2_000013t.gif【0063】
(7)シス-1,6-ビス(2’-トシルオキシエトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(8))
氷冷下でTHF10mlに化合物(7)0.7g(2.709mmol)を溶解した。これに、ピリジン20mlをゆっくり滴下し、45分間撹拌した。その後、トシルクロライド1.291g(6.773mmol)をTHF10mlに溶解したものを徐々に加えた後、5時間氷冷下撹拌した。その後、反応液にトルエンを少量加えて減圧濃縮し、得られた残渣をクロロホルムに溶解し、水で3回(1回目:HCl、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)洗った。更に水層に対して酢酸エチルで3回逆抽出を行い、油層をまとめ、芒硝で乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1,v/v)で分離精製し、シス-1,6-ビス(2’-トシルオキシエトキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(8))0.85g(収率:55%)を得た。
JP0003805903B2_000014t.gif【0064】
【化10】
JP0003805903B2_000015t.gif【0065】
2,5,12,15,22,26-ヘキサオキサヘプタシクロ-〔25.4.4.46.11.416.21.01.27.06.11.016.21〕トリテトラコンタン(TD19C6(化合物b))
室温で、THF20mlに化合物(4)0.3358gを溶解したものに、水素化ナトリウム0.1412gをTHF20mlに溶解したものを徐々に加えた。一時間後、KBr1.0gを加え、更に30分間撹拌した。その後、THF30mlに化合物(8)0.5g溶解したものを徐々に滴下した後、70℃に昇温し、145時間加熱還流を行った。その後、過剰な水素化ナトリウムをメタノールによって潰した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をクロロホルムに溶解し、水で2回(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)洗った。水層を更にクロロホルムで2回逆抽出を行った。得られた油層をまとめ、芒硝で乾燥後に減圧濃縮した後に得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1,v/v)で分離精製し、更に高速液体クロマトグラフィー(溶離液;アセトン)で精製することによって、目的化合物である 2,5,12,15,22,26-ヘキサオキサヘプタシクロ-〔25.4.4.46.11.416.21.01.27.06.11.016.21〕トリテトラコンタン(TD19C6(化合物b))9mg(収率:1.7%)を得た。
JP0003805903B2_000016t.gif【0066】
【化11】
JP0003805903B2_000017t.gif【0067】
実施例2
2,2,3,3,8,8,9,9,14,14,15,15-ドデカメチル-1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロノナデカン(TTM19C6(化合物(a)))の製造
化合物(a)の製造経路を次の反応式で示す。
【0068】
【化12】
JP0003805903B2_000018t.gif【0069】
(1)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)メタン(化合物(10))
ピナコール(9)7.27g(61.5mmol)をベンゼン150mlに溶解し、マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)5.0g(30.45mmol)及び触媒量のp-トルエンスルホン酸1gを加えた後、90℃に昇温し2時間加熱還流を行った。その後減圧濃縮し、クロロホルムに溶解し、水で二回洗った(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)。油層を芒硝で乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で分離精製し、白色固体としてビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)メタン(化合物(10))7.87g(収率95.0%)を得た。
JP0003805903B2_000019t.gif【0070】
【化13】
JP0003805903B2_000020t.gif【0071】
(2)2,2,3,3,9,9,10,10-オクタメチル-4,8-ジオキサ-ウンデカンジオール(化合物(11))
無水塩化アルミニウム(10.57g,79.3mmo1)を500mlナスフラスコに取り、氷冷撹拌下にて、ジエチルエーテル(130ml)を徐々に加えた。無水塩化アルミニウムが完全に溶解したのを確認後、水素化リチウムアルミニウム752mg(19.8mmol)のジエチルエ一テル溶液(10ml)を加え、30分間室温にて撹拌した。その後、化合物(10)3.0g(11mmol)を加え、3時間室温にて撹拌した。水を加えて過剰のハイドライドを潰した後、10%硫酸水溶液を25ml加えた。分離した二層のうち上層(エーテル層)のみをデカンテーションで取り、さらに下層(水層)を3回酢酸エチルで抽出した。すべての油層をまとめて、水で2回洗浄(1回目:イオン交換水(pH=7に調整する)、2回目:飽和食塩水)し、芒硝で乾燥後、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=1:1,v/v)で分離精製し、透明シロップとして2,2,3,3,9,9,10,10-オクタメチル-4,8-ジオキサ-ウンデカンジオール(化合物(11))2.46g(収率:80.9%)を得た。
JP0003805903B2_000021t.gif【0072】
【化14】
JP0003805903B2_000022t.gif【0073】
(3)1,6-ジカルボキシ-3,3,4,4-テトラメチル-2,5-ジオキサヘキサン(化合物(12))
室温で撹拌下、THF100mlにピナコール(9)3g(25.39mmol)を溶解した溶液に水素化ナトリウム4.06g(101.5mmol)をTHF50mlに溶解した物をゆっくり滴下した後、70℃に昇温し2時間加熱還流を行った。その後、クロロ酢酸5.76g(60.93mmol)をTHF50mlに溶解した物をゆっくり滴下した後、16時間70℃で加熱還流を行った。メタノールを加えて過剰の水素化ナトリウムをつぶした後、反応溶液を減圧濃縮し、1N HCl 50mlに溶解し、クロロホルムで3回分液抽出した。クロロホルム層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し5.011gの残渣を得た。この残渣はTLCで確認できなかったため、そのまま次の反応に移った。
【0074】
【化15】
JP0003805903B2_000023t.gif【0075】
(4)1,6-ビス(エトキシカルボニル)-3,3,4,4-テトラメチル-2,5-ジオキサヘキサン(化合物(13))
化合物(12)を含む混合物5.011gをエタノール:ベンゼン・1:1溶液100mlに溶解し、モレキュラーシーブ3A 0.05g加えた。その後、撹拌下でトシル酸0.13gを加えた後、90℃で17時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水で3回洗浄した(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)。油層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1,v/v)で分離生成し、1,6-ビス(エトキシカルボニル)-3,3,4,4-テトラメチル-2,5-ジオキサヘキサン(化合物(13))2.3328g(収率:31.6%)得た。
JP0003805903B2_000024t.gif【0076】
【化16】
JP0003805903B2_000025t.gif【0077】
(5)4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール(化合物(14))
室温でTHF10mlに水素化リチウムアルミニウム1.031gを溶解した。その後、撹拌下で化合物(13)2.3328g(8.034mmol)をTHF 20mlに溶解したものを徐々に加えた。その後、70℃に昇温し、25時間加熱還流を行った。その後、過剰の水素化リチウムアルミニウムをメタノールで潰した。反応液を減圧濃縮後、残渣に酢酸エチルを加えたが、溶解しなかった。更に、1M HClを加え、一晩静置し、上澄みをデンカンテーションによって分け、水で2回抽出(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)を行った。水層を酢酸エチルで2回逆抽出を行った。得られた有機層をまとめ、芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1,v/v)で分離生成し、4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール(化合物(14))0.8162g(収率:49.25%)を得た。
JP0003805903B2_000026t.gif【0078】
【化17】
JP0003805903B2_000027t.gif【0079】
(6)4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール ジトシレート(化合物(15))
氷冷下でTHF10mlに化合物(14)0.8162g(1.497mmol)を溶解した。後、ピリジン20mlをゆっくり滴下し、45分間撹拌した。その後、トシルクロライド0.7137g(3.743mmol)をTHF 10mlに溶解したものを徐々に加えた後、5時間氷冷下撹拌した。その後、反応液にトルエンを少量加えて減圧濃縮し、得られた残渣をクロロホルムに溶解し、水で3回(1回目:HCl、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)抽出を行った。更に水層に対して酢酸エチルで3回逆抽出を行い、油層をまとめ、芒硝乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1,v/v)で分離精製し、4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール ジトシレート(化合物(15))1.1873g(収率:58.57%)を得た。
JP0003805903B2_000028t.gif【0080】
【化18】
JP0003805903B2_000029t.gif【0081】
(7)2,2,3,3,8,8,9,9,14,14,15,15-ドデカメチル-1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロノナデカン(TTM19C6(化合物(a)))
室温でTHF10mlに化合物(11)0.2375gを溶解したものに、水素化ナトリウム0.1354gをTHF10mlに溶解したものを徐々に加えた。一時間後、KBr1.0g加え、更に30分間撹拌した。その後、THF10mlに化合物(15)0.5g(1eq)溶解したものを徐々に滴下した後、70℃に昇温し、78時間加熱還流を行った。その後、過剰な水素化ナトリウムをメタノールによって潰した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をクロロホルムに溶解し、水で2回(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水)分液抽出を行った。水層を更にクロロホルムで2回逆抽出を行った。得られた油層をまとめ、芒硝乾燥後に減圧濃縮した後に得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1,v/v)で分離精製し、さらに高速液体クロマトグラフィー(溶離液;エタノール)によって精製し、目的化合物である2,2,3,3,8,8,9,9,14,14,15,15-ドデカメチル-1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロノナデカン(TTM19C6(化合物(a)))18.2mg(収率:4.7%)を得た。
JP0003805903B2_000030t.gif【0082】
【化19】
JP0003805903B2_000031t.gif【0083】
実施例3
実施例1の(8)において、化合物(8)に代えてビス(2-トシルオキシエトキシ)-エタンを用いて、同様に処理してDD19C6(化合物(c))を得た。
【0084】
実施例4
2,6,13,17,24,28-ヘキサオキサヘプタシクロ-〔27.4.4.47.12.418.23.01.29.07.12.018.23〕ペンタテトラコンタン(TD21C6(化合物d))の製造
この化合物の製造経路を次の反応式で示す。
【0085】
【化20】
JP0003805903B2_000032t.gif【0086】
【化21】
JP0003805903B2_000033t.gif【0087】
(1)(1-(6-プロプ-2-エニルオキシビシクロ[4.4.0]デシルオキシ)プロプ-2-エン(化合物(16))
実施例1の(1)の方法で製造したビシクロ[4.4.0]デカン-1,6-ジオール(化合物2)1.1394g(2.495mモル)を無水THF50mlにとり、室温撹拌下に溶解し、30分間撹拌した後、無水THF20mlに水素化ナトリウム0.3992g(9.981mmol、4eq)を混ぜた懸濁液を徐々に滴下した後、80℃に昇温し2時間加熱還流を行った。反応系を室温に戻し、アリルブロミド2.415g(19.962mmol、8eq)を無水THF50mlに溶解したものを滴下漏斗を用いて徐々に滴下した後、14時間撹拌を行った。過剰の水素化ナトリウムを潰すためにメタノールを加えた。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し水で3回分液抽出を行った(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2同目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)。油層を芒硝乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;へキサン;酢酸エチル=9:1、v/v)で分離精製し、1-(6-プロプ-2-エニルオキシビシクロ[4.4.0]デシルオキシ)プロプ-2-エン(化合物16)0.7895g(収率:63.7%)を得た。
【0088】
JP0003805903B2_000034t.gif【0089】
【化22】
JP0003805903B2_000035t.gif【0090】
(2)3-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ビシクロ[4.4.0]デシルオキシ)プロパン-1-オール(化合物(17))
氷冷撹拌下、テトラヒドロホウ素ナトリウム0.1384g(3.66mmol;0.9eq)をTHFに溶解した。続いて、化合物(16)1.1394g(4.06mmol;1eq)をTHFに溶解したものを滴下した。さらに、ボロンフルオリドエチルエーテルコンプレックス0.692g(4.88mmol;1.2eq)をTHFに溶解したものを滴下漏斗を用いてゆっくり滴下し、滴下終了から5時間氷冷下撹拌した。蒸留水を加えてボランを潰した後、水酸化ナトリウム0.163g(4.06mmol;1eq)を溶解した水溶液を加え、さらに30%過酸化水素水0.553g(4.88mmol;1eq)を加え室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、水で3回分液抽出を行った(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)。さらに1回目の水層を酢酸エチルで3回逆抽出を行った。酢酸エチル層を芒硝乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;へキサン:酢酸エチル=1:9、v/v)で分離精製し、3-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ビシクロ[4.4.0]デシルオキシ)プロパン-1-オール(化合物17)mg(収率:%)を得た。
【0091】
JP0003805903B2_000036t.gif【0092】
【化23】
JP0003805903B2_000037t.gif【0093】
(3)1,6-ビス(3-トシルオキシプロポキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(18))
氷冷下でピリジン10mlに化合物(17)1g(3.49mmol、1eq)を溶解し、45分間撹拌した。その後、トシルクロライド1.664g(8.73mmol、2.5eq)をピリジン10mlに溶解したものを徐々に加えた後、5時間氷冷下撹拌した。その後、反応液にトルエンを少量加えて減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水で3回(1回目:HCl、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)抽出を行った。油層を芒硝乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;へキサン:酢酸エチル=4:1、v/v)で分離精製し、1,6-ビス(3-トシルオキシプロポキシ)-ビシクロ[4.4.0]デカン(化合物(18))0.38g(収率:18.3%)を得た。
【0094】
JP0003805903B2_000038t.gif【0095】
【化24】
JP0003805903B2_000039t.gif【0096】
(4)2,6,13,17,24,28-ヘキサオキサヘプタシクロ[27.4.4.47,12.418,23.01,29.07,12.018,23]ペンタテトラコンタン(TD21C6)
化合物(4)0.245g(0.644mmol;1eq)をTHFに溶解し、30分間撹拌した後、水素化ナトリウム0.103g(2.575mmol;4eq)のTHF懸濁液を徐々に滴下し、加熱還流を行った。1時間後、触媒量のプロム化カリウムを加えた後、化合物(18)0.380g(0.644mmol;1eq)をTHFに溶解したものを徐々に滴下した後、40℃で12時間撹拌した。12時間後、反応系の温度を上げ、48時間加熱還流を行った。過剰の水素化ナトリウムをメタノールで潰した後、反応溶液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し水で分液抽出を行った(1回目:イオン交換水(pH7に調整)、2回目:飽和食塩水、3回目:イオン交換水)。油層を芒硝乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;へキサン:酢酸エチル=9:1、v/v)で分離精製し、2,6,13,17,24,28-ヘキサオキサヘプタシクロ[27.4.4.47,12.418,23.01,29.07,12.018,23]ペンタテトラコンタンン(TD21C6)0.0095g(収率:2.34%)を得た。
【0097】
JP0003805903B2_000040t.gif【0098】
【化25】
JP0003805903B2_000041t.gif【0099】
実施例5
以上の実施例に記載の方法と同様にして、次に示す製造経路1~3に従ってTD20C6を製造する。
【0100】
【化26】
JP0003805903B2_000042t.gif【0101】
【化27】
JP0003805903B2_000043t.gif【0102】
【化28】
JP0003805903B2_000044t.gif【0103】
実施例6
膜組成が使用イオノフォア:3.0wt%、膜溶媒:67.9wt%、ポリ塩化ビニル(PVC):29.1wt%、脂溶性アニオン:10mol%(イオノフォアに対して)になるように精秤したものにTHFを少量加え、よく撹拌し、乾燥させて膜を作成した。この膜を直径5mmになるようにポンチで切り取り、DKK社製のLiquid Membrane Electrode Kitに装着して電極を作成した。
【0104】
実施例7
電極電位の測定は、日本工業規格のイオン電極方法通則(JIS-K0122-1981)に従って行った。装置は電位差計、イオン電極、参照電極、試料溶液の入ったビーカー、ターンテーブル、プリンターからなる。電位差計は東亜電波工業社製HE-20型を用い、mV単位で測定し、その値をPC-9801に出力させた。また、参照電極は、DKK社製銀塩化銀ダブルジャンクション型のものを用い、外筒には0.3M 硝酸セシウム水溶液を入れた。電極構成は以下の通りである。
【0105】
JP0003805903B2_000045t.gif【0106】
実施例8
電極電位応答の測定方法は、あらかじめ0.1M塩化アンモニウム水溶液に12時間以上浸漬し、コンディショニングした電極をまずMQ-waterで電位が安定するまで洗浄し、その後はMQ-waterで9分間洗浄した後、クロライド水溶液のサンプルに浸してその安定電位を測定することを交互に繰り返した。
各イオンに対する選択係数(logkpot)の決定は、単独溶液法(SSM)を用いた。0.1Mの各種クロライド水溶液の応答電位から、次式を用いて算出した。
【0107】
【数1】
JP0003805903B2_000046t.gif【0108】
式中の添字iは測定対象イオンを示し、添字jは共存イオンを示す。Cは濃度(mol/l)を示し、Zはイオンの価数を示し、Ei及びEjは同じ濃度のiイオン溶液及びjイオン溶液に対する電位差を示す。
【0109】
【発明の効果】
本発明の置換-クラウン-6誘導体は、置換-クラウン-6の特定の位置をブロック基で置換することにより、アンモニウムイオンに対して優れたイオン選択性を示すイオノフォアである。また、本発明の置換-クラウン-6誘導体は、イオノフォアとして充分な脂溶性を有すると共に、長期間使用しても再現性に優れ、イオンセンサーやイオン選択性電極に適用するイオノフォアとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の19-クラウン-6誘導体の選択係数を図示したものである。
【図2】 図2は、本発明の19-クラウン-6誘導体の、アンモニウムイオン応答曲線を示したものである。
【図3】 図3は、本発明の19-クラウン-6誘導体及び公知のノナクチンの選択係数の比較を図示したものである。
【図4】 図4は、本発明の19-クラウン-6誘導体及び公知のノナクチンの化学構造式を例示したものである。
【図5】 図5は、本発明のTTM19C6の選択係数の長期変動を図示したものである。
【図6】 図6は、本発明のTTM19C6のアンモニウムイオン応答曲線の長期変動を図示したものである。
【図7】 図7は、本発明のTD19C6の選択係数の長期変動を図示したものである。
【図8】 図8は、本発明のTD19C6のアンモニウムイオン応答曲線の長期変動を図示したものである。
【図9】 図9は、本発明のTD21C6のアンモニウムイオン応答曲線を示したものである。
【図10】 図10は、本発明のTD21C6のアンモニウムイオン応答曲線の長期変動を図示したものである。
【図11】 図11は、本発明のTD21C6の選択係数の長期変動を図示したものである。
【図12】 図12は、本発明のTD19C6、TD21C6及び公知のノナクチンの化学構造式を例示したものである。
【図13】 図13は、本発明のTD19C6、TD21C6及び公知のノナクチンの選択係数の比較を図示したものである。
図面
【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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