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明細書 :レーザ加熱装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3268443号 (P3268443)
公開番号 特開2000-087223 (P2000-087223A)
登録日 平成14年1月18日(2002.1.18)
発行日 平成14年3月25日(2002.3.25)
公開日 平成12年3月28日(2000.3.28)
発明の名称または考案の名称 レーザ加熱装置
国際特許分類 C23C 14/24      
FI C23C 14/24 K
請求項の数または発明の数 9
全頁数 5
出願番号 特願平10-258973 (P1998-258973)
出願日 平成10年9月11日(1998.9.11)
審査請求日 平成11年9月2日(1999.9.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
発明者または考案者 【氏名】鯉沼 秀臣
【氏名】川崎 雅司
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
審査官 【審査官】瀬良 聡機
参考文献・文献 特開 昭56-44770(JP,A)
特開 平8-311651(JP,A)
特開 平2-213075(JP,A)
特開 平5-230632(JP,A)
調査した分野 C23C 14/00 - 14/58
C23C 16/00 - 16/56
H01L 21/285
C30B 23/08
特許請求の範囲 【請求項1】
成膜装置の真空チャンバ内にて基板支持機構に設置した基板に対してレーザ光を照射することにより、該基板を所定温度に加熱するようにした、薄膜形成用基板を加熱するためのレーザ加熱装置において、
前記基板支持機構が前記基板を保持する基板ホルダを備えており、該基板ホルの前記レーザ光を受光する部分が前記レーザ光の吸収効率の良い材料で形成されていることを特徴とするレーザ加熱装置。

【請求項2】
前記基板支持機構は、X軸、Y軸およびZ軸の直交3軸方向に基板の位置調整が可能であり、かつユーセントリック回転が可能な支持機構であることを特徴とする、請求項1記載のレーザ加熱装置。

【請求項3】
前記レーザ光は、真空引きされる外装パイプ内に挿通された光ファイバにより基板付近まで誘導されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加熱装置。

【請求項4】
前記光ファイバは、前記外装パイプの光出射端側と反対側の部分においてファイバチャックにより上記外装パイプに固定されるとともにフェルールを介してフランジの嵌合穴に嵌合して固定されることを特徴とする、請求項3に記載のレーザ加熱装置。

【請求項5】
前記基板ホルダは、前記基板を保持する周囲にスリット状の孔を有していることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加熱装置。

【請求項6】
前記レーザ光を受光する部分が、金属の酸化膜でコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加熱装置。

【請求項7】
前記レーザ光を受光する部分が、セラミックスでコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加熱装置。

【請求項8】
前記レーザ光を受光する部分が、前記レーザ光の吸収効率の良い薄膜材料で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加熱装置。

【請求項9】
前記薄膜材料が、蒸発しないよう透明物質で保護されていることを特徴とする、請求項8に記載のレーザ加熱装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜製造プロセスにおいて薄膜基板を高温加熱するためのレーザ加熱装置に関するものである。

【10】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明によるレーザ加熱装置の好適な実施の形態を説明する。この実施形態において図1のように、たとえば真空成膜装置100の真空チャンバ101内で基板1は、基板支持機構10によって所定位置に支持される。真空成膜装置100には基板1を高温加熱するための本発明によるレーザ加熱装置20を備えている。真空成膜装置100にはまた、真空チャンバ101内に酸素ガスを導入し、そのガス圧を所定圧力に設定調整する反応ガス制御機構(図示せず)が接続されている。

【11】
本発明において、真空成膜装置100の真空チャンバ101内に設置された基板1に対してレーザ光を照射することにより、この基板1を所定温度に加熱するようになっている。

【12】
すなわち、図1に示すように本発明のレーザ加熱装置20は、レーザ発生装置21と、後述する光ファイバでなるレーザ光誘導照射手段22とを含んでいる。レーザ発生装置21で発生させたレーザ光は光ファイバにより基板1付近まで誘導され、光ファイバ先端から直接的または間接的に基板1に対してレーザ光が照射される。この実施形態では、レーザ発生装置21により発生させたNd:YAGレーザ光を使用するものとする。

【13】
ここで、レーザ光誘導照射手段22において、図2に示したように光ファイバ23は、好適にはステンレス製の外装パイプ24内に挿通する。また、外装パイプ24内が真空引きされるようになっている。この場合、光ファイバ23の一端側の被覆部25に真空引き穴26が、光ファイバ23の先端側を含む外装パイプ24の適所に真空引き穴27(図3参照),28がそれぞれ形成され、これらの真空引き穴26,27,28を介して真空引きが行われる。

【14】
光ファイバ23の一端側はファイバチャック29により固定されるとともに、フェルール30がフランジ31の嵌合穴31aに嵌合するようになっている。フランジ31は、ボルト等によって真空チャンバ101の所定部位に固定される。このように真空チャンバ101に取り付けられる光ファイバ23の一端側には、レーザ発生装置21からのレーザ光が導入される。

【15】
また、図3に示すように光ファイバ23の先端側の外装パイプ24には、光ファイバ23の周囲にセラミックもしくはガラス系接着剤32が充填される。光ファイバ23の先端は、ここから出射するレーザ光を適切なスポット径で基板1に照射し得るように湾曲面として成形されている。

【16】
また、この実施形態において、図1に示されるように光ファイバ23先端から反射ミラー33を介して、基板1に対してレーザ光が照射される。なお、反射ミラー33を使用せずに、すなわち光ファイバ23先端から直接基板1に対してレーザ光を照射するようにしてもよい。

【17】
基板1は、基板支持機構10の基板ホルダ11上に支持される。基板支持機構10によれば、基板ホルダ11を介してX軸、Y軸およびZ軸の直交3軸方向に基板1を位置調整することができる。この場合、直交3軸それぞれのまわりに回転位置調整可能であり、また所謂ユーセントリック回転が可能な支持機構となっている。これにより基板1を極めて高い位置精度で制御することができる。

【18】
上記構成でなる本発明のレーザ加熱装置20によれば、レーザ発生装置21で発生させたレーザ光を光ファイバ23により基板1付近まで誘導し、この例では反射ミラー33を介して光ファイバ23の先端から間接的に基板1に対してレーザ光が照射される。このように基板1の加熱方式として、特にNd:YAGレーザ光を使用することで、極めて短時間に高温加熱することができる。

【19】
また、レーザ光を用いるため、真空チャンバ101の酸化雰囲気下での使用が可能になり、また通電加熱方式でないため絶縁性基板でも有効に加熱することができる。また、基板ホルダ11付近の加熱源に電流を流さないため、磁気ノイズの発生がなく、低速荷電ビーム等を用いる分析を適正に行うことができる。この場合、基板1を基板支持機構10によって精密に位置制御することができ、性能特性に優れた精密試料台を実現することができる。

【2】

【従来の技術】半導体ウエハ上に薄膜を形成する場合をはじめとして、この種のエピタキシャル薄膜の真空成膜装置において基板上に酸化膜を形成する場合、成膜装置の真空チャンバ内に酸素ガスを導入し、10-2~10-4Torr程度の圧力にする。これとともにその基板を高温に加熱することにより、成膜条件の調整が行われる。

【20】
上記の場合、光ファイバ23が挿通する外装パイプ24内を真空引きし、このようにレーザ光を真空チャンバ101へ導入する方法を工夫することにより、雰囲気圧力を極めて高い真空度から大気圧まで調整することができる。

【21】
次に、基板ホルダーについて説明する。
Nd:YAGレーザは波長λ=1.06μmを良く吸収するため、基板ホルダーの材料としてインコネル、ニッケル及びクロムなどで熱伝導性のよい金属板を高温で酸化したものを用いるのが望ましい。図4は基板ホルダーを示す図で、(a)は外観斜視図であり、(b)は断面図である。なお、図4(a)では、レーザ光で照射する側を示した。図4に示す基板ホルダー41は、レーザ光が照射される上面にレーザ光を良く吸収する金属の酸化物やセラミックスを形成したものである。これらの熱吸収効率のよい材料はコーティングで形成してもよい。尚、図4に示す例では円板状であるが、対称性のよい形状であればよい。

【22】
図5に示す基板ホルダー51は、図4に示した基板ホルダーの基板の周囲にスリット状の孔53を形成したものであり、基板を有効に加熱できるように基板ホルダーの一部に高温で酸化させた酸化物56を形成している。基板の周囲にスリット状の孔を設ける基板ホルダーでは熱伝導性の悪い材料でもよい。なお、図5に示す例では基板がひとつであるが、複数個あってもよく、その場合は基板の周囲にスリット状の孔を設けても良く、複数の基板を囲んでスリット状の孔を設けてもよい。このような基板ホルダーではスリット状の孔があるため、基板を加熱する熱量の逃げを防止することができるので、基板が効果的に加熱されるとともに温度均一性が向上する。

【23】
またNd:YAGレーザ光を良く吸収するのに、酸化したインコネル、ニッケル及びクロムなどの金属泊を利用してもよい。図6は他の基板ホルダーの例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は断面図である。なお、図6(a)中、レーザ光で照射する側を示した。図6を参照して、他の基板ホルダー61は段差部を有して形成された孔63と、この孔の段差部にサファイア65を当接し、例えば高温で酸化させたインコネルの金属泊67をサファイア65と基板5とで挟んで固定具69で基板5を基板ホルダー61に固定している。この例では、レーザ光の照射により金属泊が蒸発しないように受光面をサファイアで囲っているが、レーザ光の加熱に耐える透明物質であればよい。このような構成の基板ホルダーでは軽量でレーザ光を良く吸収でき、加熱される金属泊から逃げる熱量をきわめて小さくできる。したがって、基板を効果的に加熱できるとともに温度均一性が向上する。

【24】
上記実施形態において、レーザ媒質としてNd:YAGの固体レーザの場合に限らず、その他液体レーザまたは気体レーザ、あるいは半導体レーザを用いることが可能である。

【25】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、この種の真空装置において基板の加熱方式としてレーザ光を使用することにより、酸化雰囲気下での使用が可能になり、また絶縁性基板でも有効に加熱することができる。このように装置の適用範囲が大幅に拡大され、その場合磁気ノイズの発生がなく、正確な分析結果等を得ることができる。

【3】
このような真空成膜装置内で上記のように基板を加熱しながら、その基板の位置を精密に制御する場合、精密試料台(ゴニオメータ等)の基板設置部に通電式の小型ヒータが設置される。そして、このヒータに通電して発熱させ、その熱で間接的に基板を加熱するようにしている。

【4】
あるいはまた、試料台に固定された基板に直接電流を流し、この場合基板自体を発熱させる方法が知られている。

【5】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来装置において、特に通電式の小型ヒータを用いるものにあっては、加熱の最高到達温度は高々800℃程度に限定される。このため加熱効率が十分でなく、所望の成膜条件を得ることが必ずしも容易でない。その上ヒータが焼き切れるおそれがあり、その場合、酸化雰囲気下等では使用することができなくなる。また、試料基板に電流を流す場合、シリコン基板等の通電加熱が可能な試料に限定され、適用範囲が限定されざるを得ない。

【6】
さらに、上述したいずれの方法もしくは装置とも、間接または直接的な電流による加熱方式であるから、両者ともその電流による磁界が発生する。このような磁界の発生は、特に低速イオンや電子ビームを用いる分析の際、ビームの進行方向を曲げる原因ともなり、分析精度に影響する等の問題を生じさせる。

【7】
本発明は以上の点に鑑み、この種の真空装置において効率的にかつ適正に試料基板を加熱し得るレーザ加熱装置を提供することを目的とする。

【8】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、成膜装置の真空チャンバ内にて基板支持機構に設置した基板に対してレーザ光を照射することにより、該基板を所定温度に加熱するようにした、薄膜形成用基板を加熱するためのレーザ加熱装置において、前記基板支持機構が基板を保持する基板ホルダを備えており、この基板ホルのレーザ光を受光する部分がレーザ光の吸収効率の良い材料で形成されていることを特徴としている。前記構成において、基板支持機構は、X軸、Y軸およびZ軸の直交3軸方向に基板の位置調整が可能であり、かつユーセントリック回転が可能な支持機構であることを特徴とする。また、本発明のレーザ加熱装置において、前記レーザ光は、真空引きされる外装パイプ内に挿通された光ファイバにより基板付近まで誘導されることを特徴とする。前記光ファイバは、前記外装パイプの光出射端側と反対側の部分においてファイバチャックにより上記外装パイプに固定されるとともにフェルールを介してフランジの嵌合穴に嵌合して固定されることを特徴とする。さらに本発明のレーザ加熱装置において、前記基板ホルダは、基板を保持する周囲にスリット状の孔を有していることを特徴とする。また、前記基板ホルダのレーザ光を受光する部分は、好ましくは、金属の酸化膜及びセラミックスでコーティングされる。また前記基板ホルダのレーザ光を受光する部分は、好ましくは、レーザ光の吸収効率の良い薄膜材料で形成される。さらに上記構成に加え、コーティング及び薄膜材料が蒸発しないように透明物質で保護するようにしたことを特徴とする。

【9】
レーザ加熱装置は、基板ホルダの加熱に電流を用いないため、磁気ノイズの発生がなく、低速荷電ビームを用い分析を必要とする真空成膜装置にとって必要不可欠である。また、酸化雰囲気下での基板加熱も可能になり、絶縁性基板でも有効に加熱することができる。さらに、本発明では、基板ホルダのレーザ光を受光する部分が、レーザ光の吸収効率の高い物質でコーティングされており、また、基板ホルダにスリット状の孔を有しているから、薄膜形成用基板を熱吸収効率良く温度上昇させることができると共に、基板内の温度均一性を高くすることができる。また、基板を基板支持機構を介して、X軸、Y軸およびZ軸の直交3軸方向に位置調整することができ、さらにユーセントリック回転させることができる。また、光ファイバを挿通する外装パイプは真空引きすることができ、さらに、外部のレーザ光源からレーザ光を導くことができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5