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明細書 :水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3939459号 (P3939459)
公開番号 特開2000-290666 (P2000-290666A)
登録日 平成19年4月6日(2007.4.6)
発行日 平成19年7月4日(2007.7.4)
公開日 平成12年10月17日(2000.10.17)
発明の名称または考案の名称 水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置
国際特許分類 C10G   9/36        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C10G  35/02        (2006.01)
F23G   5/00        (2006.01)
FI C10G 9/36
B09B 3/00 ZAB
B09B 3/00 302G
C10G 35/02
F23G 5/00 ZABE
請求項の数または発明の数 17
全頁数 17
出願番号 特願平11-104598 (P1999-104598)
出願日 平成11年4月12日(1999.4.12)
審査請求日 平成15年3月11日(2003.3.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】吉川 邦夫
【氏名】嶋田 隆文
【氏名】五島 忠八
個別代理人の代理人 【識別番号】100094835、【弁理士】、【氏名又は名称】島添 芳彦
審査官 【審査官】近藤 政克
参考文献・文献 特開平11-246877(JP,A)
特開昭52-049668(JP,A)
特開昭59-030701(JP,A)
特開昭59-170187(JP,A)
特開昭57-170991(JP,A)
特開平04-350411(JP,A)
特開平05-332520(JP,A)
R&D神戸製鋼技報,1989年,39(2),p.85-88
調査した分野 C10G 9/36
B09B 3/00
B09B 3/00
C10G 35/02
F23G 5/00
JST7580(JDream2)
JSTPlus(JDream2)
Science Direct
特許請求の範囲 【請求項1】
低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって前記熱分解炉に発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する炭素化合物の水蒸気改質方法において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱し、前記熱分解炉の炉内に加熱後の高温水蒸気を導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ維持し、前記熱分解炉の炉内領域において熱分解ガス中の炭素化合物を改質することを特徴とする水蒸気改質方法。
【請求項2】
低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって前記熱分解炉に発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する炭素化合物の水蒸気改質方法において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱し、前記炭素化合物の熱分解反応により生成した前記熱分解炉の熱分解ガスを中空容器内に導入するとともに、前記高温水蒸気を前記中空容器内に導入して、熱分解ガスと高温水蒸気とを混合し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ維持し、前記中空容器内で熱分解ガス中の炭素化合物を改質することを特徴とする水蒸気改質方法。
【請求項3】
酸素濃度制御手段によって前記熱分解炉の低酸素状態又は無酸素状態を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の水蒸気改質方法。
【請求項4】
前記高温水蒸気を前記熱分解炉の溶融炉領域に導入し、熱分解ガスの水蒸気改質反応により、該熱分解ガスを改質することを特徴とする請求項1に記載の水蒸気改質方法。
【請求項5】
前記高温水蒸気を前記熱分解炉の二次燃焼領域に導入し、二次燃焼領域の熱分解ガスの水蒸気改質反応により、該熱分解ガスを改質することを特徴とする請求項1に記載の水蒸気改質方法。
【請求項6】
酸素及び/又は空気を前記水蒸気に混合し、前記酸素及び/又は空気と前記水蒸気との混合ガスを前記水蒸気改質反応の反応領域に供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水蒸気改質方法。
【請求項7】
前記酸素及び/又は空気の流量と前記水蒸気の流量との流量比を可変制御することを特徴とする請求項6に記載の水蒸気改質方法。
【請求項8】
前記水蒸気改質反応により生成した改質ガスを燃料ガスとして水蒸気発生装置に供給し、前記水蒸気、又は、空気及び水蒸気の混合物を前記燃料ガスの燃焼熱により生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水蒸気改質方法。
【請求項9】
前記水蒸気改質反応により生成した改質ガスを燃料ガスとして水蒸気加熱装置に供給し、該燃料ガスの燃焼熱により前記水蒸気を加熱することを特徴とする請求項8に記載の水蒸気改質方法。
【請求項10】
前記改質ガスを洗浄・冷却処理により精製した後に前記水蒸気発生装置及び/又は水蒸気加熱装置に供給することを特徴とする請求項9に記載の水蒸気改質方法。
【請求項11】
低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する水蒸気改質装置において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱する水蒸気加熱装置と、 該水蒸気加熱装置によって加熱された高温水蒸気を前記熱分解ガス中の炭素化合物と混合するために、前記炭素化合物の熱分解反応により熱分解ガスを生成する前記熱分解炉に前記高温水蒸気を導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を前記熱分解炉内に生起し且つ維持する水蒸気導入手段とを有することを特徴とする水蒸気改質装置。
【請求項12】
低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する水蒸気改質装置において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱する水蒸気加熱装置と、 該水蒸気加熱装置によって加熱された高温水蒸気を前記熱分解ガスと混合する混合手段と、
炭素化合物の水蒸気改質反応領域を画成する反応領域画成手段とを有し、
前記反応領域画成手段は、廃棄物の熱分解反応により生成した前記熱分解ガスを導入可能な中空容器からなり、前記混合手段は、前記高温水蒸気を前記容器内に導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を前記中空容器内に生起し且つ維持する水蒸気導入手段を有することを特徴とする水蒸気改質装置。
【請求項13】
前記熱分解炉を低酸素状態又は無酸素状態に制御する酸素濃度制御手段を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の水蒸気改質装置。
【請求項14】
前記水蒸気導入手段は、前記高温水蒸気を前記熱分解炉の溶融炉領域に導入することを特徴とする請求項11に記載の水蒸気改質装置。
【請求項15】
前記水蒸気導入手段は、前記高温水蒸気を前記熱分解炉の二次燃焼領域に導入することを特徴とする請求項11に記載の水蒸気改質装置。
【請求項16】
酸素及び/又は空気を前記水蒸気に混合する水蒸気制御手段を備えることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の水蒸気改質装置。
【請求項17】
前記酸素及び/又は空気と前記水蒸気との混合比を可変制御する流量制御手段を更に有することを特徴とする請求項16に記載の水蒸気改質装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置に関するものであり、より詳細には、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の特定の触媒の作用に依存することなく、炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ維持する水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃プラスチック、汚泥、シュレッダダスト又は都市ゴミ等の廃棄物、或いは、石炭等の低質の固体燃料を熱分解炉に導入し、無酸素又は低酸素状態の高温還元性雰囲気により廃棄物又は固体燃料を熱分解ガス化する熱分解炉が知られている。熱分解炉として、連続投入型のロータリーキルン式熱分解炉(外部加熱式熱分解炉)又はー括投入型の熱分解炉(自式熱分解炉) などの様々な形式の熱分解炉が一般に使用される。この種の熱分解炉が生成する熱分解ガスは、冷却により凝縮するタール分等の成分を比較的多量に含有するので、一般に高温状態の熱分解ガスを冷却せずに利用せざるを得ない。このため、熱分解ガスを利用可能な装置は、高温の熱分解ガスの燃焼反応により燃焼ガスを生成する型式のボイラ等に限定されてしまう。
【0003】
これに対し、近年の熱分解ガス化システムとして、例えば、熱分解ガスを生成する熱分解炉と、クラッキング装置等の高温分解処理装置と、熱分解ガスを洗浄・冷却するガス洗浄装置とを備えた構成のものが知られている。熱分解炉は、廃棄物又は石炭等の低質固体燃料を低酸素又は無酸素状態の炉内焼成雰囲気により熱分解ガス及び残渣に分解し、高温分解処理装置は、熱分解ガスのタール分及びオイル分等を高温分解し、ガス洗浄装置は、熱分解ガスの塩素分、硫黄分又は微量残留物を除去するとともに、熱分解ガスを急冷し、ダイオキシンの再合成等を防止する。
【0004】
高温分解処理及び洗浄・冷却処理を受けた熱分解ガスは、精製燃料ガスとしてガスエンジン、ガスタービン又はボイラ等の内燃機関、熱サイクル機関又は熱源機器に供給され、燃料ガスの熱エネルギーは、蒸気等の熱媒体又は電力等のエネルギー形態に変換される。このような熱分解ガス化システムによれば、廃棄物が保有するエネルギーを効率的に回収し、これを熱分解ガス化システムの系内又は系外にて有効利用可能な熱媒体又はエネルギー形態に変換することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱分解炉で生成した熱分解ガスをボイラ等に直に導入する構成のシステムにおいては、熱分解ガスの用途が制限されるばかりでなく、ボイラの燃焼ガスをガス洗浄装置によって洗浄・冷却した後に系外に排出しなければならない。ボイラの燃焼ガスの流量は、熱分解ガスの流量に比べて遙に大きく、従って、かなり大型のガス洗浄装置を付加的に設置せざるを得ず、このため、経済性及び施設規模等の問題が必然的に生じる。
【0006】
他方、高温分解処理装置によりタール分等を高温分解した熱分解ガスを洗浄・冷却する型式の熱分解ガス化システムにおいては、かなり大型且つ高価な高温分解処理装置を熱分解炉に付設しなければならず、しかも、高温分解処理を行った熱分解ガスを洗浄・冷却するには、かなり大型の洗浄・冷却装置を要する。従って、このような熱分解ガス化システムにおいても又、経済性及び施設規模等の課題が依然として残されている。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱分解炉の熱分解ガスを洗浄・冷却可能な比較的良質の高カロリーガスに改質し、有効利用可能な熱分解ガスの用途を拡大するとともに、洗浄・冷却装置を小型化することができる炭素化合物の水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置を提供することにある。
【0008】
本発明は又、比較的簡単な構成により熱分解ガスを改質する炭素化合物の水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置を提供することを目的とする。
本発明は更に、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の特定の触媒の作用に依存することなく、熱分解ガス等に含まれる炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ促進し得る炭素化合物の水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、約800℃以上の超高温域に加熱された高温水蒸気を熱分解ガスに注入することにより、特定の触媒の作用に依存することなく、熱分解ガスの水蒸気改質反応を生起し且つ促進し得ることを見出し、かかる知見に基づき、本願発明を達成したものである。
【0010】
即ち、本発明によれば、低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって前記熱分解炉に発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する炭素化合物の水蒸気改質方法において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱し、前記熱分解炉の炉内に加熱後の高温水蒸気を導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ維持し、前記熱分解炉の炉内領域において熱分解ガス中の炭素化合物を改質することを特徴とする水蒸気改質方法が提供される。
本発明は又、低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって前記熱分解炉に発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する炭素化合物の水蒸気改質方法において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱し、前記炭素化合物の熱分解反応により生成した前記熱分解炉の熱分解ガスを中空容器内に導入するとともに、前記高温水蒸気を前記中空容器内に導入して、熱分解ガスと高温水蒸気とを混合し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ維持し、前記中空容器内で熱分解ガス中の炭素化合物を改質することを特徴とする水蒸気改質方法を提供する。
【0011】
800℃以上の高温域に加熱された高温水蒸気は、水性ガス化反応の進行に要する十分な顕熱を保有し、炭素化合物の吸熱改質反応に要する熱量は、高温水蒸気自体が保有する顕熱により改質反応領域に供給される。かかる高温水蒸気の存在下に進行する炭素化合物の水蒸気改質反応は、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の触媒を要することなく、改質反応領域に生起し且つ円滑に進行する。
【0014】
このような水蒸気改質方法によれば、熱分解炉の熱分解ガスは、熱分解炉の炉内領域又は熱分解炉とは別体の中空容器の容器内で水蒸気改質反応し、洗浄・冷却可能な高カロリーガスに改質される。即ち、熱分解ガスは、高温分解処理又は二次燃焼処理等を適用せずに、洗浄・冷却可能な粗燃料ガスに改質される。この結果、比較的大流量の燃焼ガス又は高温分解処理後の熱分解ガスを洗浄・冷却処理する従来の洗浄・冷却装置に比べ、洗浄・冷却装置の装置規模は、小形化する。しかも、本発明の上記構成によれば、特定の触媒を充填した触媒管、内燃式反応容器又は熱交換型反応容器等を格別に設けることなく、熱分解ガスの水蒸気改質反応を生起し且つ促進することができるので、装置構成又はシステム構成は、簡素化する。
【0015】
他の観点より、本発明は、低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する水蒸気改質装置において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱する水蒸気加熱装置と、
該水蒸気加熱装置によって加熱された高温水蒸気を前記熱分解ガス中の炭素化合物と混合するために、前記炭素化合物の熱分解反応により熱分解ガスを生成する前記熱分解炉に前記高温水蒸気を導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を前記熱分解炉内に生起し且つ維持する水蒸気導入手段とを有することを特徴とする水蒸気改質装置を提供する。
本発明は又、低酸素又は無酸素状態の熱分解炉による廃棄物等の炭素化合物の蒸し焼きによって発生した熱分解ガスを水蒸気と混合し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により改質する水蒸気改質装置において、
炭素化合物と混合すべき水蒸気を800℃以上の高温域に加熱する水蒸気加熱装置と、 該水蒸気加熱装置によって加熱された高温水蒸気を前記熱分解ガスと混合する混合手段と、
炭素化合物の水蒸気改質反応領域を画成する反応領域画成手段とを有し、
前記反応領域画成手段は、廃棄物の熱分解反応により生成した前記熱分解ガスを導入可能な中空容器からなり、前記混合手段は、前記高温水蒸気を前記容器内に導入し、前記熱分解ガス中の炭素化合物の水蒸気改質反応を前記中空容器内に生起し且つ維持する水蒸気導入手段を有することを特徴とする水蒸気改質装置を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、「炭素化合物」の概念は、炭化水素、有機炭素化合物、可燃物等を包含する。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記混合手段は、廃棄物の熱分解反応により熱分解ガスを生成する熱分解炉に上記高温水蒸気を導入する水蒸気導入手段を有する。
【0017】
本発明の他の好ましい実施形態においては、上記反応領域画成手段は、廃棄物の熱分解反応により生成した熱分解炉の熱分解ガスを導入可能な中空容器からなり、上記混合手段は、高温水蒸気を前記容器内に導入する水蒸気導入手段を有する。
【0018】
本発明の好適な実施形態によれば、上記高温水蒸気は、ロータリーキルン、ガス化溶融炉又は流動層ガス化炉の炉内領域に導入され、或いは、これらのガス化装置と別体の中空断熱容器に導入される。本発明の他の好適な実施形態において、上記高温水蒸気は、廃棄物燃焼装置の炉内領域、一次燃焼領域、二次燃焼領域又は再燃焼領域に導入され、或いは、該燃焼装置と別体の中空断熱容器に導入される。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、酸素及び/又は空気が、炭素化合物と混合すべき水蒸気、或いは、上記高温水蒸気に混合し、酸素及び/又は空気と水蒸気との混合ガスが、水蒸気改質反応の反応領域に供給される。好ましくは、酸素及び/又は空気の流量と水蒸気の流量との流量比が可変制御される。
【0020】
本発明の更に好適な実施形態によれば、水蒸気改質反応により生成した改質ガスは、燃料ガスとして水蒸気発生装置に供給され、水蒸気、或いは、水蒸気及び空気の混合物が、該燃料ガスの燃焼熱により生成される。好ましくは、水蒸気改質反応により生成した改質ガスは、燃料ガスとして水蒸気加熱装置に供給され、水蒸気、或いは、水蒸気と空気及び/又は酸素の混合物は、燃料ガスの燃焼熱により加熱される。更に好ましくは、洗浄・冷却処理により精製した改質ガスが、上記水蒸気発生装置及び/又は水蒸気加熱装置に供給される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、水蒸気を高温域に加熱する水蒸気加熱装置は、低温の水蒸気流を流通可能な流路を備えた熱交換装置と、該熱交換装置との伝熱接触により加熱された高温水蒸気流を第1及び第2給気分流に分流する分流域と、可燃性物質を導入可能な燃焼域とを有する。熱交換装置、燃焼域及び分流域は、相互連通し、第2給気分流は、上記混合手段に供給され、燃焼域の燃焼反応により生成した高温ガスは、熱交換装置を介して排気される。熱交換装置は、燃焼域の燃焼反応により生成した高温ガスに伝熱接触して蓄熱するとともに、低温水蒸気流に伝熱接触して放熱する蓄熱体を備える。好ましくは、熱交換装置は、水蒸気流と燃焼ガスとが交互に流通可能な多数の流路を備えたハニカム型蓄熱体からなり、ハニカム型蓄熱体は、各流路を構成する所定の断面形状のセル孔を備えた格子状のハニカム構造に成形される。セル孔を画成するセル壁の壁厚及び各セル壁間のピッチは、好ましくは、蓄熱体の容積効率の最大値に相応し且つ0.7乃至1.0の温度効率を確保し得る壁厚及びピッチに設定される。
【0022】
図1は、本発明の好適な実施形態を示す熱分解ガス化システムの概略フロー図である。
熱分解ガス化システムは、廃棄物を所定寸法以下の砕片に破砕又は解砕する前処理装置1と、熱分解ガスを生成し且つ熱分解ガスを粗燃料ガスに改質する外部加熱式又は間接加熱式の熱分解・改質炉2と、粗燃料ガスを洗浄し且つ冷却するガス洗浄装置4と、熱分解・改質炉2に高温の水蒸気を供給する水蒸気加熱装置10とを備える。
【0023】
前処理装置1によって破砕された廃棄物は、廃棄物搬送ラインWSを介して熱分解・改質炉2の炉内領域に導入される。熱分解・改質炉2の炉内領域は、低酸素又は無酸素状態の高温焼成雰囲気に制御される。廃棄物の熱分解反応が熱分解・改質炉2内で進行し、熱分解ガス及び残渣が炉内領域に生成する。
【0024】
水蒸気加熱装置10は、水蒸気を750℃以上、好ましくは、800℃以上、所望により1000℃近傍の超高温域に加熱し、800℃乃至1000℃の高温水蒸気を高温水蒸気供給ラインHSに送出する。高温水蒸気供給ラインHSは、高温水蒸気を熱分解・改質炉2の炉内領域に導入する。炉内領域の熱分解ガスは、高温水蒸気と混合し、炭素化合物の水性ガス化反応が生起し且つ進行する。炭素化合物、殊に、炭化水素の水性ガス化反応は、一般に次式で示す吸熱改質反応である。
【0025】
炭化水素(又は炭素)+H2 O→CO+H2
800℃以上に加熱された高温水蒸気は、水性ガス化反応の進行に要する十分な顕熱を保有する。即ち、高温水蒸気供給ラインHSは、炭素化合物と反応すべき水蒸気を熱分解・改質炉2に供給するばかりでなく、炭素化合物の吸熱改質反応に要する熱量を熱分解・改質炉2に供給する。ここに、800℃以上の高温域に加熱された高温水蒸気による炭素化合物の水蒸気改質反応は、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の触媒に依存することなく、熱分解・改質炉2に生起し且つ円滑に進行する。
【0026】
熱分解ガス中のタール分及びオイル分は、高温水蒸気により熱分解し、炉内領域に生成し得るダイオキシン類は、高温水蒸気により破壊され、熱分解ガス中の炭素化合物は、熱分解・改質炉2内で進行する水蒸気改質反応により、一酸化炭素及び水素を主成分とする高温の粗燃料ガスに改質される。
【0027】
高温粗燃料ガスは、粗燃料ガス給送ラインHGを介してガス洗浄装置4に導入される。ガス洗浄装置4は、粗燃料ガスを常温域に冷却し且つ洗浄し、この結果、粗燃料ガスは、任意の用途に利用可能な比較的低温(常温)且つ高品位の精製燃料ガスに精製される。精製燃料ガスは、燃料ガス供給ラインRFを介して蒸気発生装置9に供給される。蒸気発生装置9として、精製燃料ガスの燃焼・発熱反応により水蒸気を生成し得る燃焼装置、内燃機関又は熱サイクル機関、例えば、精製燃料ガスの燃焼反応によりプロセス蒸気等を生成する蒸気ボイラ等の燃焼装置、或いは、精製燃料ガスの燃焼反応及び発熱反応によりガスタービン及び発電機を回転駆動し且つ水蒸気を生成するゴジェネレーションプラント等を好適に使用し得る。
【0028】
ガス洗浄装置4は、精製燃料ガスの一部を燃料ガス供給ラインFGに送出し、供給ラインFGは、精製燃料ガスを水蒸気加熱装置10に導入する。蒸気発生装置9は、約100℃の水蒸気を生成し、水蒸気の大部分を冷暖房装置等の系外の任意の廃熱利用設備又は熱負荷に供給するとともに、水蒸気の一部を水蒸気供給ラインSTに送出し、これを水蒸気加熱装置10に供給する。水蒸気加熱装置10は、再生式(リジェネレイティブ)熱交換器として機能する蓄熱体を備えるとともに、精製燃料ガスの燃焼反応領域を備える。燃焼反応領域に生成する燃焼ガスは、蓄熱体と伝熱接触し、蓄熱体を高温に加熱する。高温の蓄熱体は、水蒸気供給ラインSTを介して供給された比較的低温の水蒸気と伝熱接触し、水蒸気を800℃以上の高温域に加熱する。水蒸気加熱装置10は、高温の水蒸気を連続的に高温水蒸気供給ラインHSに送出し、供給ラインHSは、高温水蒸気を熱分解・改質炉2に継続的に導入する。高温水蒸気は、熱分解・改質炉2内の熱分解ガスと混合し、炭素化合物の水蒸気改質反応が、熱分解・改質炉2内で生起し且つ進行する。
【0029】
図2は、本発明の他の好適な実施形態を示す熱分解ガス化システムの概略フロー図である。
図2に示す熱分解ガス化システムは、前処理装置1、熱分解炉2、改質器3、ガス洗浄装置4、蒸気発生装置9及び水蒸気加熱装置10を備える。前処理装置1、蒸気発生装置9及び水蒸気加熱装置10は、前述の実施形態(図1)における装置1、9、10と実質的に同一の構成を有する。しかしながら、本実施形態の熱分解ガス化システムにおいては、熱分解炉2は、一般的なロータリーキルン、ガス化溶融炉又は流動層ガス化炉等の任意の熱分解炉からなり、熱分解ガス給送ラインLGを介して別体の改質器3に接続される。改質器3は、断熱反応型の反応容器を構成する中空の圧力容器からなり、熱分解ガス給送ラインLG、粗燃料ガス給送ラインHG及び高温水蒸気供給ラインHSに接続される。
【0030】
熱分解炉2に導入された廃棄物は、無酸素又は低酸素濃度に調整した炉内の高温焼成雰囲気により熱分解ガス及び残渣に分解し、高温の熱分解ガスは、熱分解ガス給送ラインLGを介して改質器3に導入される。水蒸気加熱装置10によって750℃以上、好ましくは、800℃以上、所望により1000℃以上の高温域に加熱された高温水蒸気が、高温水蒸気供給ラインHSを介して改質器3に導入され、熱分解ガスと混合する。改質器3の容器内領域において、熱分解ガス中のタール分及びオイル分等は、高温水蒸気により熱分解し、熱分解ガス中の炭素化合物、殊に、炭化水素成分は、水性ガス化反応により改質され、更に、熱分解炉2において発生し得るダイオキシン類は、高温水蒸気により破壊される。炭素化合物の吸熱改質反応に要する熱量は、上述の実施形態と同様、高温水蒸気の顕熱として改質器3に供給され、炭化水素の水蒸気改質反応は、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の触媒を改質器3内に充填することなく、改質器3の容器内中空領域に生起し且つ進行する。かくして、熱分解ガス中のタール分及び及びオイル分等は、改質器3内で高温分解し、熱分解ガスは、一酸化炭素及び水素を主成分とする高温の粗燃料ガスに改質される。
【0031】
高温粗燃料ガスは、粗燃料ガス給送ラインHGを介してガス洗浄装置4に導入され、ガス洗浄装置4の冷却・洗浄作用により、任意の用途に利用可能な常温域の精製燃料ガスとして精製される。比較的低温(常温)の精製燃料ガスは、燃料ガス供給ラインRFを介して蒸気ボイラ又はコジェネレーションシステム等の蒸気発生装置9に供給される。上述の実施形態(図1)と同様、ガス洗浄装置4の精製燃料ガスの一部は、燃料ガス供給ラインFGを介して水蒸気加熱装置10に導入され、蒸気発生装置9の水蒸気の一部は、水蒸気供給ラインSTを介して水蒸気加熱装置10に供給される。水蒸気は、水蒸気加熱装置10において800℃~1000℃の高温域に加熱された後、高温水蒸気供給ラインHSを介して改質器3に供給される。
【0032】
このように構成された熱分解ガス化システムによれば、上記水蒸気改質反応工程及び洗浄・冷却工程によって得られる精製燃料ガスは、窒素酸化物の含有量が少なく、高い発熱量を有する熱分解ガスの特性を引き継ぎ、発熱量が高く、しかも、クリーンな高カロリーガスとして水蒸気発生装置9に供給される。また、上記熱分解ガス化システムにおいては、熱分解ガス中のタール分又はオイル分を高温水蒸気により熱分解し、熱分解ガス中の炭素化合物を水蒸気改質反応により水素及び一酸化炭素に改質し、これにより、粗燃料ガスを生成しており、粗燃料ガスの容積は、熱分解ガスの再燃焼反応の結果として得られる燃焼ガスの容積に比べて遙に小さい。従って、粗燃料ガスを洗浄・冷却する上記ガス洗浄装置4の容量及び全体寸法は、燃焼ガスを洗浄・冷却する従来の洗浄・冷却装置に比べて大幅に低減する。更に、プラスチック樹脂等の焼却処理において特に問題視されるダイオキシンは、高温水蒸気により破壊されるので、ダイオキシンの発生又は再合成は、可成り抑制される。
【0033】
また、上記構成の熱分解ガス化システムは、任意の型式の熱分解炉に適用し得るので、実務的に極めて広範な適応性又は応用可能性を有する。殊に、改質器3を備えた上記熱分解ガス化システムの構成は、既存の熱分解炉を本発明に係る熱分解ガス化システムに改造する上で極めて有利である。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置を適用した熱分解ガス化システムの実施例について説明する。
図3は、本発明の第1実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【0035】
図3に示す熱分解ガス化システムは、図1に示す概略フロー図に相応する全体構成を備えており、前処理装置1、熱分解・改質炉2、ガス洗浄装置4及び水蒸気加熱装置10を備える。前処理装置1は、シュレッダーダスト又は都市ゴミの破砕、選別及び乾燥工程、或いは、汚泥の沈降分離、脱水及び乾燥工程を実施する公知の手段を備えており、熱分解効率を向上すべく、例えば150mm以下の寸法の砕片に廃棄物を破砕した後、廃棄物の砕片を熱分解・改質炉2の廃棄物装入部5に投入する。
【0036】
熱分解・改質炉2は、酸素濃度制御手段を備えた外部加熱式ロータリーキルンからなり、ロータリーキルンの炉内焼成雰囲気は、酸素濃度制御手段(図示せず)によって低酸素状態又は無酸素状態に維持・管理される。炉内に導入された廃棄物は、所謂蒸し焼き状態の炉内焼成雰囲気にて約500~600℃程度に加熱され、熱分解反応の進行により熱分解ガス及び残渣に分解する。
【0037】
粗燃料ガス及び残渣は、分離部6において相互分離する。残渣は、残渣取出装置、有価金属選別装置、溶融炉等(図示せず)に導入され、他方、粗燃料ガスは、ガス洗浄装置4に導入される。ガス洗浄装置4は、粗燃料ガスを常温域に冷却するとともに、粗燃料ガスに含まれる塩素分、硫黄分及び微量残留物等を除去し、粗燃料ガスを精製燃料ガスに精製する。精製燃料ガスの供給ラインRFは、蒸気発生装置9に接続され、精製燃料ガスの供給ラインFGは、水蒸気加熱装置10の燃料供給路F1、F2に接続される。
【0038】
蒸気発生装置9は、一般的な蒸気ボイラからなり、約100℃の水蒸気を生成し、水蒸気給送ラインSAを介して系外の熱負荷に水蒸気を供給するとともに、水蒸気供給ラインSTを介して水蒸気加熱装置10に水蒸気を供給する。なお、蒸気発生装置9の燃焼排ガスは、排ガスラインEAを介して大気に放出される。
【0039】
図4及び図5は、熱分解ガス化システムを構成する水蒸気加熱装置の全体構成及び作動態様を示す概略ブロックフロー図及び概略断面図である。図4及び図5の各図において、(A)図は、水蒸気加熱装置10の第1加熱工程を示し、(B)図は、水蒸気加熱装置10の第2加熱工程を示す。
【0040】
図5に示す如く、水蒸気加熱装置10は、対をなす第1及び第2加熱炉10A、10Bと、各加熱炉を相互連通する連通部10Cとから構成される。加熱炉10Aは、第1熱交換装置11及び第1燃焼域13を有し、加熱炉10Bは、第2熱交換装置12及び第2燃焼域14を有する。第1及び第2燃焼域13、14は、流路切換装置20を介して水蒸気供給ラインSTに交互に連通する。連通部10Cは、水蒸気加熱装置10の中心軸線に対して対称の構造に形成され、該中心軸線上において流路内方に突出する三角形状断面の突出部16を備える。精製燃料ガスを燃焼域13、14内に吐出ないし噴射する燃料供給口43、44と、酸化剤を燃焼域13、14に供給する酸化剤吐出口83、84とが、第1及び第2加熱炉10A、10Bに夫々配設される。燃料供給口43、44は、燃料供給路F1、F2を介して燃料ガス供給ラインFGに接続され、酸化剤吐出口83、84は、酸化剤供給路OX1、OX2を介して酸化剤供給ラインOXG に接続される。
【0041】
水蒸気加熱装置10は更に、燃料供給口43、44の燃料ガス吹込み量及び吹込み時期を制御する燃料供給制御装置40と、酸化剤吐出口83、84の酸化剤供給量及び供給時期を制御する酸化剤供給制御装置80とを有する。制御装置40は、燃料供給路F1、F2に夫々介装された燃料供給制御弁41、42を備え、制御装置80は、酸化剤供給路OX1、OX2に夫々介装された第1及び第2流量制御弁81、82を備える。酸化剤として、酸素濃度を調整した空気又は酸素O2が一般に使用される。
【0042】
第1及び第2熱交換器11、12は、多数のセル孔を備えたハニカム構造のセラミックス製蓄熱体からなり、各セル孔は、水蒸気及び燃焼排ガスが交互に通過可能な流路を構成する。この種の蓄熱体として、例えば、アンモニア選択接触還元法等においてハニカム型触媒の担体として一般に使用され且つ多数の狭小流路(セル孔)を備えるセラミック製ハニカム構造体を好適に使用し得る。蓄熱体は、加熱炉10A、10Bの内部に組込み可能な全体形状及び寸法を有し、セル壁の壁厚及び各セル壁のピッチ(壁体間隔)は、好ましくは、蓄熱体の容積効率の最大値に相応し且つ0.7乃至1.0の範囲内の熱交換装置11、12の温度効率を確保し得る所望の壁厚及びピッチに設定されるとともに、セル壁の壁厚は、1.6mm以下の所定厚に設定され、セル壁ピッチは、5.0mm以下の所定値に設定される。
【0043】
第1及び第2燃焼域13、14の間に位置する分流域15は、高温水蒸気供給ラインHSの上流端に接続され、第1及び第2熱交換装置11、12の各基端部は、流路切換装置20を介して、水蒸気供給ラインST及び排気導出路EXに接続される。流路切換装置20は、第1給気開閉弁21、第2給気開閉弁22、第1排気開閉弁23及び第2排気開閉弁24を備える。第1及び第2給気開閉弁21、22は、水蒸気供給ラインSTの分岐連通管路25を介して相互連通し、第1及び第2排気開閉弁23、24は、排気導出路EXの分岐連通管路26を介して相互連通する。
【0044】
第1給気開閉弁21及び第1排気開閉弁23は、同時に開放し且つ同時に閉塞するように連動し、第2給気開閉弁22及び第2排気開閉弁24は、同時に開放し且つ同時に閉塞するように連動する。水蒸気加熱装置10の制御装置(図示せず)は、図4(A)及び図5(A)に示す第1加熱工程において、第1給気開閉弁21及び第1排気開閉弁23を開放し且つ第2給気開閉弁22及び第2排気開閉弁24を閉塞する。他方、水蒸気加熱装置10の制御装置は、図4(B)及び図5(B)に示す第2加熱工程において、第1給気開閉弁21及び第1排気開閉弁23を閉塞し且つ第2給気開閉弁22及び第2排気開閉弁24を開放する。
【0045】
上記構成の水蒸気加熱装置10は、以下の如く作動する。
蒸気発生装置9の水蒸気は、水蒸気供給ラインSTを介して流路切換装置20に供給される。流路切換装置20は、第1加熱工程において、水蒸気を第1燃焼域13に導入し且つ第2燃焼域14の燃焼排ガスを排気導出路EXに導出し(図4A)、第2加熱工程において、水蒸気を第2燃焼域14に導入し且つ第1燃焼域13の燃焼排ガスを排気導出路EXに導出する(図4B)。第1加熱工程と第2加熱工程とは、120秒以下、好適には、60秒以下の所定時間に設定された所定の時間間隔毎に交互に切換えられる。
【0046】
第1加熱工程において、燃料供給制御装置40は、燃料ガス供給ラインFGの精製燃料ガスを燃料供給口44から第2燃焼域14に吹込み、酸化剤供給制御装置80は、酸化剤吐出口84から酸化剤を第2燃焼域14に供給する。第2加熱工程では、燃料供給制御装置40は、燃料ガス供給ラインFGの精製燃料ガスを燃料供給口43から第1燃焼域13に吹込み、酸化剤供給制御装置80は、酸化剤吐出口83から酸化剤を第1燃焼域13に供給する。従って、第2燃焼域14は、第1加熱工程において燃焼作動し、第1燃焼域13は、第2加熱工程において燃焼作動する。
【0047】
第1加熱工程(図4A:図5A)において、水蒸気供給ラインSTの水蒸気は、第1給気開閉弁21、第1給排路L1、第1熱交換装置11及び第1中間流路L3を介して第1燃焼域13に供給される。水蒸気流は、第1熱交換装置11を流通する間に800℃以上の高温域、好適には、1000℃以上の高温域に加熱される。高温水蒸気流SHは、第3中間流路L5を介して分流域15に流入し、分流域15において、第1及び第2高温水蒸気流SH1:SH2に分流する。第2水蒸気流SH2は、高温水蒸気供給ラインHSに送出され、熱分解・改質炉2に供給される。他方、第1水蒸気流SH1は、第4中間流路L6を介して第2燃焼域14に流入し、燃料吐出口44及び酸化剤吐出口84から第2燃焼域14に導入される精製燃料ガス及び酸化剤と混合し、精製燃料ガスの燃焼反応により高温の燃焼排ガスが第2燃焼域14に生成する。燃焼排ガスは、第2中間流路L4、第2熱交換装置12、第2給排路L2及び第1排気開閉弁23を介して、排気誘引型送風機30(図3)の吸引圧力下に排気導出路EXに導出され、排ガスダクトEG及び大気開放手段31を介して大気に解放される。燃焼排ガスは、第2熱交換装置12を通過する際に第2熱交換装置12の蓄熱体と伝熱接触し、燃焼排ガス流が保有する顕熱は、該蓄熱体に蓄熱される。
【0048】
第1加熱工程に引き続いて実行される第2加熱工程(図4B:図5B)において、水蒸気供給ラインSTの水蒸気は、第2給気開閉弁22、第2給排路L2、第2熱交換装置12及び第2中間流路L4を介して第2燃焼域14に供給される。水蒸気流は、第2熱交換装置12を流通する間に800℃以上の高温域、好適には、1000℃以上の高温域に加熱される。高温水蒸気流SHは、第4中間流路L6を介して分流域15に流入し、分流域15において、第1及び第2高温水蒸気流SH1:SH2に分流する。第2水蒸気流SH2は、高温水蒸気供給ラインHSに送出され、熱分解・改質炉2に供給される。他方、第1水蒸気流SH1は、第3中間流路L5を介して第1燃焼域13に流入し、燃料吐出口43及び酸化剤吐出口83から第1燃焼域13に導入される精製燃料ガス及び酸化剤と混合し、精製燃料ガスの燃焼反応により高温の燃焼排ガスが第1燃焼域13に生成する。燃焼排ガスは、第1中間流路L3、第1熱交換装置11、第1給排路L1及び第2排気開閉弁24を介して、排気誘引型送風機30の吸引圧力下に排気導出路EXに導出され、排ガスダクトEG及び大気開放手段31を介して大気に解放される。燃焼排ガスは、第1熱交換装置11を通過する際に第1熱交換装置11の蓄熱体と伝熱接触し、燃焼排ガス流が保有する顕熱は、該蓄熱体に蓄熱される。
【0049】
かくして、水蒸気加熱装置10においては、第1及び第2燃焼域13、14に導入される温度Tci(100℃程度)の水蒸気は、第1及び第2熱交換装置11、12を介してなされる燃焼域13、14の燃焼排ガス(温度Thi:1000℃~1600℃)との実質的に直接的な熱交換作用により、温度Tco(800℃~1000℃)に加熱され、分流域15において第1及び第2高温水蒸気流SH1:SH2に分流する。第2水蒸気流SH2は、連続的に高温水蒸気供給ラインHSに送出され、熱分解・改質炉2に継続的に供給される。なお、熱交換装置11、12と伝熱接触した燃焼排ガスは、温度Tho(200℃~350℃)に降温する。
【0050】
図3に示す如く、高温水蒸気供給ラインHSの高温水蒸気は、熱分解・改質炉2の炉内領域に導入され、炉内の熱分解ガスと混合し、この結果、熱分解ガス中のタール分及びオイル分は、熱分解し、炉内に生成し得るダイオキシン類は、破壊され、更に、熱分解ガス中の炭素化合物は、水蒸気改質反応により、一酸化炭素及び水素を主成分とする高温の粗燃料ガスに改質される。
【0051】
図6は、本発明の第2実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。図6において、上記第1実施例の各構成要素又は手段と実質的に同じ構成要素又は手段については、同一の参照符号が付されている。
【0052】
図6に示す熱分解ガス化システムは、図2に示す概略フロー図に相応する全体構成を備えており、前処理装置1、熱分解炉2、改質器3、ガス洗浄装置4及び水蒸気加熱装置10を備える。前処理装置1、ガス洗浄装置4及び水蒸気加熱装置10は、上記第1実施例の各装置1、4、10と実質的に同一の構成を有するものであるので、更なる詳細な説明は省略する。
【0053】
本実施例において、熱分解炉2は、熱分解ガスを生成可能な一般的構造のロータリーキルンからなる。熱分解炉2の炉内領域は、低酸素又は無酸素状態の高温焼成雰囲気に制御され、廃棄物の熱分解反応により熱分解ガス及び残渣が炉内に生成し、熱分解ガス及び残渣は、分離部6において分離される。熱分解ガスは、熱分解ガス給送ラインLGを介して改質器3に導入される。改質器3は、竪型円筒形の中空圧力容器からなり、断熱反応型の反応容器を構成する。熱分解ガス給送ラインLGの下流端が改質器3のガス導入ポートに接続されるとともに、粗燃料ガス給送ラインHGの上流端が、改質器3のガス導出ポートに接続され、更に、高温水蒸気供給ラインHSの下流端が改質器3の水蒸気導入ポートに接続される。
【0054】
水蒸気加熱装置10によって800℃以上、所望により1000℃以上の超高温域に加熱された高温水蒸気が、高温水蒸気供給ラインHSを介して改質器3に導入され、熱分解ガスと混合する。熱分解ガス中のタール分及びオイル分等は、高温水蒸気の存在下に熱分解し、熱分解ガスが含有し得るダイオキシン類等は、高温水蒸気により破壊され、更に、熱分解ガスの炭素化合物は、800℃以上の高温水蒸気と水性ガス化反応し、一酸化炭素及び水素を主成分とする高温の粗燃料ガスに改質される。炭素化合物、殊に、炭化水素の吸熱改質反応に要する熱量は、高温水蒸気の顕熱として改質器3に供給され、水蒸気改質反応は、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の触媒の作用に依存することなく、改質器3内に生起し且つ進行する。
【0055】
高温粗燃料ガスは、粗燃料ガス給送ラインHGを介してガス洗浄装置4に導入され、ガス洗浄装置4において冷却され且つ洗浄され、任意の用途に利用可能な常温域の精製燃料ガスとして精製される。比較的低温の精製燃料ガスは、燃料ガス供給ラインRFを介して蒸気発生装置9に供給されるとともに、燃料ガス供給ラインFGを介して水蒸気加熱装置10に供給される。蒸気発生装置9は、例えば、ガスタービン型コジェネレーションシステムとして構成され、精製燃料ガスによりガスタービン及び発電機を回転駆動し、電力供給ラインPLを介して系外の受電設備に電力を出力するとともに、廃ガスボイラにより約100℃の水蒸気を生成する。蒸気発生装置9の水蒸気は、水蒸気供給ラインSTを介して水蒸気加熱装置10に導入され、水蒸気加熱装置10において800℃~1000℃の高温域に加熱された後、高温水蒸気供給ラインHSを介して改質器3に供給される。
【0056】
図7は、本発明の第3実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。図7において、上記第1及び第2実施例の各構成要素又は手段と実質的に同じ構成要素又は手段については、同一の参照符号が付されている。
【0057】
図7に示す実施例において、熱分解ガス化システムは、廃棄物ガス化溶融炉として構成された熱分解炉2を備える。熱分解炉2は、溶融炉領域60、溶融廃棄物流動領域61、上部二次燃焼領域62、廃棄物投入口63、副資材投入口64、廃棄物シュート65、廃棄物搬送装置66、副資材搬送装置67及びスラグ・メタル流出口69を備えるとともに、溶融廃棄物流動領域61に配置された主羽口50、副羽口51及び3段羽口52を備える。熱分解ガス給送ラインLGの上流端が二次燃焼領域62の上部に連結され、熱分解炉2の熱分解ガスは、改質器3に供給される。高温水蒸気供給ラインHSの高温水蒸気が、改質器3に導入され、高温水蒸気は、改質器3の容器内領域において熱分解ガスと混合する。改質器3におけるタール分等の熱分解作用および炭素化合物の水蒸気改質反応により、熱分解ガスは、洗浄・冷却可能な粗燃料ガスに改質される。改質器3、ガス洗浄装置4、蒸気発生装置9及び水蒸気加熱装置10の各構成は、上記第2実施例の熱分解ガス化システムの各装置3、4、9、10と実質的に同一であるので、更なる詳細な説明は、省略する。
【0058】
図8は、本発明の第4実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。図8に示す実施例は、上記第3実施例の変形例に係る実施例であり、図8において、上記第3実施例の各構成要素又は手段と実質的に同じ構成要素又は手段については、同一の参照符号が付されている。
【0059】
本例において、高温水蒸気供給ラインHSは、熱分解炉2の二次燃焼領域62に接続され、水蒸気加熱装置10の高温水蒸気は、二次燃焼領域62に導入される。高温水蒸気は、二次燃焼領域62の熱分解ガスと混合し、熱分解ガスに含まれるタール分及びオイル分等の熱分解反応および炭素化合物の水蒸気改質反応が、二次燃焼領域62において生起し且つ進行する。また、熱分解ガスに含まれる可能性があるダイオキシン類等は、高温水蒸気により破壊される。
【0060】
酸素及び/又は空気を供給可能な酸素供給ラインLAが水蒸気供給ラインSTに接続される。酸素供給ラインLAは、水蒸気供給ラインSTの水蒸気に酸素及び/又は空気を導入し、改質反応領域を構成する二次燃焼領域62の酸素量を調整する。水蒸気に混合すべき酸素及び/又は空気の流量を制御することにより、改質反応領域に存在すべき酸素量を調整し、これにより、水蒸気改質反応に係る熱分解ガスの反応温度場の雰囲気調整、反応速度の調整、更には、発熱反応の制御を実行することができる。好ましくは、酸素及び/又は空気の流量は、熱分解ガスの成分に応じて可変制御される。
【0061】
図9は、上記第4実施例の変形例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
図9に示す熱分解ガス化システムにおいて、高温水蒸気供給ラインHSは、熱分解炉2の溶融炉領域60に接続され、高温水蒸気と酸素及び/又は空気の混合流体は、溶融炉領域60の一次燃焼域に導入される。酸素量又は空気量の制御により、溶融炉領域60の反応温度場及び反応速度等は、適当に制御され、熱分解ガスに含まれるタール分及びオイル分等の熱分解反応および炭素化合物の水蒸気改質反応が、高温水蒸気の存在下に一次燃焼域において進行するとともに、ダイオキシン類等は、高温水蒸気により破壊される。
【0062】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0063】
例えば、上記各実施例における水蒸気加熱装置10の各部構造、例えば、流路切換装置20の弁型式、分流域15の構造等については、適宜変更することが可能であり、例えば、流路切換装置20として、4方弁型式の弁機構を採用しても良く、また、分流域15は、第1燃焼域13及び第2燃焼域14を連通する連通路として形成しても良い。
【0064】
また、所望により、排煙脱硝設備又は排煙脱硝装置等を熱分解ガス化システムの適所に付加的に配設しても良い。
更に、酸素供給ラインLAを高温水蒸気供給ラインHSに接続し、酸素及び/又は空気を高温水蒸気に混合することも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した如く、800℃以上の高温域に加熱した高温水蒸気を炭素化合物と混合して炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ促進する本発明の上記構成によれば、ニッケル系触媒又はルテニウム系触媒等の特定の触媒の作用に依存することなく、炭素化合物の水蒸気改質反応を生起し且つ促進し得る水蒸気改質方法及び水蒸気改質装置が提供される。
【0066】
また、熱分解炉の炉内領域又は中空容器の内部領域に高温水蒸気を導入して熱分解ガスを改質する本発明の構成によれば、比較的簡単な構成により熱分解炉の熱分解ガスを洗浄・冷却可能な比較的良質の燃料ガスに改質し、有効利用可能な熱分解ガスの用途を拡大するとともに、洗浄・冷却装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態を示す熱分解ガス化システムの概略フロー図である。
【図2】本発明の他の好適な実施形態を示す熱分解ガス化システムの概略フロー図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【図4】熱分解ガス化システムを構成する水蒸気加熱装置の全体構成及び作動態様を示す概略ブロックフロー図である。
【図5】熱分解ガス化システムを構成する水蒸気加熱装置の全体構成及び作動態様を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【図7】本発明の第3実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【図8】本発明の第4実施例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【図9】図8に示す実施例の変形例に係る熱分解ガス化システムの全体構成を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 前処理装置
2 熱分解・改質炉、熱分解炉
3 改質器
4 ガス洗浄装置
9 蒸気発生装置
10 水蒸気加熱装置
WS 廃棄物搬送ライン
LG 熱分解ガス給送ライン
HG 粗燃料ガス給送ライン
RF 燃料ガス供給ライン
ST 水蒸気供給ライン
FG 燃料ガス供給ライン
HS 高温水蒸気供給ライン
EX 排気導出路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8