TOP > 国内特許検索 > 光応答性プローブを用いたメチルシトシンの検出法 > 明細書

明細書 :光応答性プローブを用いたメチルシトシンの検出法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4951116号 (P4951116)
登録日 平成24年3月16日(2012.3.16)
発行日 平成24年6月13日(2012.6.13)
発明の名称または考案の名称 光応答性プローブを用いたメチルシトシンの検出法
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
G01N  33/58        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
C07H  19/06        (2006.01)
C07H  19/073       (2006.01)
C07H  19/10        (2006.01)
C07H  19/14        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAA
G01N 33/58 A
G01N 21/78 C
C12N 15/00 A
G01N 33/53 M
C07H 19/06
C07H 19/073
C07H 19/10
C07H 19/14
請求項の数または発明の数 9
全頁数 23
出願番号 特願2010-502724 (P2010-502724)
出願日 平成21年3月11日(2009.3.11)
国際出願番号 PCT/JP2009/001090
国際公開番号 WO2009/113303
国際公開日 平成21年9月17日(2009.9.17)
優先権出願番号 2008063290
優先日 平成20年3月12日(2008.3.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年9月27日(2011.9.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 健造
【氏名】荻野 雅之
【氏名】田屋 悠太
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】110000523、【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
【識別番号】100127133、【弁理士】、【氏名又は名称】小板橋 浩之
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 特表平7-501527(JP,A)
特開平4-77439(JP,A)
特表平1-501551(JP,A)
米国特許第426171(US,A)
調査した分野 C07H 19/06
C07H 19/073
C07H 19/10
C07H 19/14
C12Q 1/68
C12N 15/09
G01N 21/78
G01N 33/58
G01N 33/53
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
塩基部分として、次の式I、式II、式III、又は式IV:
【化1】
JP0004951116B2_000023t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1及びR3は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R2は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化2】
JP0004951116B2_000024t.gif
(ただし、式II中、R4及びR6は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R5は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化3】
JP0004951116B2_000025t.gif
(ただし、式III中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
R7及びR9は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R8は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化4】
JP0004951116B2_000026t.gif
(ただし、式IV中、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R11は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類、核酸、又はペプチド核酸である)からなる、メチルシトシン光連結剤。
【請求項2】
R2,R5,R8及びR11が、C1~C12の炭素数を有する炭化水素基である、請求項1に記載の核酸類(ただし、核酸類、核酸、又はペプチド核酸である)からなる、メチルシトシン光連結剤。
【請求項3】
請求項1~2の何れかに記載の核酸類からなる、光応答性メチルシトシン検出剤。
【請求項4】
請求項1~2の何れかに記載の核酸類を使用して、メチルシトシンを光連結する方法。
【請求項5】
請求項1~2の何れかに記載の核酸類を使用して、メチルシトシンを検出する方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、及び、
メチルシトシンを有する被験核酸を、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸と、ハイブリダイズする工程、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸とハイブリダイズすることによって、近接して配置された被験核酸と、固定化された核酸又はペプチド核酸とに対して、光照射を行って、被験核酸を、固定化された核酸又はペプチド核酸に光連結する工程、
ハイブリダイズしていた鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸を、解離して除去する工程、
固定化された核酸又はペプチド核酸に連結した被験核酸と、
被験核酸にハイブリダイズ可能な核酸又はペプチド核酸であって、標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸とを、ハイブリダイズする工程、
標識核酸又は標識ペプチド核酸が有する標識部位を、検出する工程、
を含む、被験核酸中のメチルシトシンを検出する方法。
【請求項7】
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸が、固定化された核酸又はペプチド核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列、及び被験核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列を有し、
これらのハイブリダイズ可能な配列が、固定化された核酸又はペプチド核酸、及び被験核酸を、ハイブリダイズした場合に、被験核酸のメチルシトシンと、固定化された核酸又はペプチド核酸の式I、式II、式III、又は式IVで表される基とが、隣接して配置される配列である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
標識部位が、蛍光色素、ビオチン、ハプテン、酵素、フェロセン、スピン活性化合物、及び放射性物質からなる群より選択された標識によって標識されている、請求項の何れかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸、及び、
標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸、
を含んでなる、メチルシトシン検出用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光応答性プローブ(メチルシトシン光連結剤)を用いたメチルシトシンの検出法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAのメチル化は、DNAを構成する塩基のひとつ「シトシン」に対して生じる反応で、いつ・どの遺伝子からタンパク質を作るのかを制御し、タンパク質合成に必要なRNAへの転写ステップを正しく調節している。このシトシンのメチル化(5-メチルシトシンの生成)は、遺伝子の塩基配列によらずに、例えば遺伝子の働きを不活性化する役割を果たすが、異常を起こすと発がんへ至ることも知られている。塩基配列ではなく後天的な作用によって形質発現の調節機構に影響を与えるという観点、すなわち、エピジェネティクスの観点から、シトシンのメチル化はおいて極めて重要な現象である。
【0003】
そのために、メチル化が発生するDNAの位置や、その量は正常なのかを即時に計測することが必要である。特に、例えば、医療の現場においてDNAメチル化を測定する場合には、迅速かつ正確に判定結果が得られることが求められる。
【0004】
従来のメチルシトシン(5-メチルシトシン)の検出の方法としては、亜硫酸水素塩処埋による方法が知られている。この亜硫酸水素塩処埋による方法では、被験試料であるDNAに対して亜硫酸水素塩処埋の後に、PCR、シーケンシング操作を行い、これによってメチル化されたシトシンはシトシンとして検出され、メチル化されていないシトシンは、チミンとして検出される。このような亜硫酸水素塩処埋による検出は、例えば特許文献1(特表2004-511235号公報)に開示されている。しかし、このような亜硫酸水素塩処理は、長時間の加熱反応が必要で、大半のゲノムサンプルで非特異的損傷が生じ、これによるエラー(誤検出)も発生するという欠点があった。
【0005】
従来のメチルシトシンの検出の方法としては、亜硫酸水素塩処埋による方法の他に、メチルシトシン感受性の制限酵素と非感受性の制限酵素を使用する方法(MIAMI法)が知られている。この方法では、メチルシトシン感受性の制限酵素と非感受性の制限酵素を使い分け、さらにPCR等を用いて検出を行う。しかし、酵素反応を使用するために、検出操作は煩雑であり、検出までに数日の時間を要するという欠点があった。

【特許文献1】特表2004-511235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して、検出する方法として知られる従来の方法は、迅速、簡便、高感度の点で十分ではなく、DNA中のメチルシトシンを、迅速、簡便に、高感度で検出する方法が求められていた。
【0007】
従って、本発明の目的は、DNA中のメチルシトシンを、迅速、簡便に、高感度で検出する方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の目的は、迅速、簡便、高感度なメチルシトシン検出法に使用可能な化合物(検出用プローブ、検出剤)を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して検出する方法を、鋭意研究してきたところ、塩基部分として後述する式I、式II、式III、又は式IVで表される基を有する核酸類が、疎水性基に結合したビニル基によって、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)に対して、高い選択性をもって光連結すること、この性質を利用することによって、メチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して検出することができることを見出して、本発明に到達した。
【0010】
従って、本発明は、次の[1]~[10]にある。
[1]
塩基部分として、次の式I、式II、式III、又は式IV:
【化1】
JP0004951116B2_000002t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1及びR3は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R2は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化2】
JP0004951116B2_000003t.gif
(ただし、式II中、R4及びR6は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R5は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化3】
JP0004951116B2_000004t.gif
(ただし、式III中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
R7及びR9は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R8は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化4】
JP0004951116B2_000005t.gif
(ただし、式IV中、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R11は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)。
[2]
R2,R5,R8及びR11が、C1~C12の炭素数を有する炭化水素基である、[1]に記載の核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)。
[3]
[1]~[2]の何れかに記載の核酸類からなる、メチルシトシン光連結剤。
[4]
[1]~[2]の何れかに記載の核酸類からなる、光応答性メチルシトシン検出剤。
[5]
[1]~[2]の何れかに記載の核酸類を使用して、メチルシトシンを光連結する方法。
[6]
[1]~[2]の何れかに記載の核酸類を使用して、メチルシトシンを検出する方法。
[7]
[1]又は[2]に記載の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、及び、
メチルシトシンを有する被験核酸を、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸と、ハイブリダイズする工程、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸とハイブリダイズすることによって、近接して配置された被験核酸と、固定化された核酸又はペプチド核酸とに対して、光照射を行って、被験核酸を、固定化された核酸又はペプチド核酸に光連結する工程、
ハイブリダイズしていた鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸を、解離して除去する工程、
固定化された核酸又はペプチド核酸に連結した被験核酸と、
被験核酸にハイブリダイズ可能な核酸又はペプチド核酸であって、標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸とを、ハイブリダイズする工程、
標識核酸又は標識ペプチド核酸が有する標識部位を、検出する工程、
を含む、被験核酸中のメチルシトシンを検出する方法。
[8]
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸が、固定化された核酸又はペプチド核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列、及び被験核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列を有し、
これらのハイブリダイズ可能な配列が、固定化された核酸又はペプチド核酸、及び被験核酸を、ハイブリダイズした場合に、被験核酸のメチルシトシンと、固定化された核酸又はペプチド核酸の式I、式II、式III、又は式IVで表される基とが、隣接して配置される配列である、[7]に記載の方法。
[9]
標識部位が、蛍光色素、ビオチン、ハプテン、酵素、フェロセン、スピン活性化合物、及び放射性物質からなる群より選択された標識によって標識されている、[7]~[8]の何れかに記載の方法。
[10]
[1]又は[2]に記載の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸、及び、
標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸、
を含んでなる、メチルシトシン検出用キット。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して、迅速、簡便に、高感度で検出することができる。本発明においては、メチルシトシンの検出は、選択的な光連結によって行われるために、連結に必要な操作は光の照射という簡便な操作で行うことができ、従来の亜硫酸水素塩処理や制限酵素処理のような複雑な操作は必要ない。また、本発明においては、メチルシトシンの検出は、選択的な光連結によって行われるために、連結は極めて迅速な光化学反応によって行われ、従来の亜硫酸水素塩処理や制限酵素処理による方法よりも、極めて短時間で検出を行うことができる。本発明によれば、ゲノムサンプルには非特異的損傷が生じることはなく、これによるエラー(誤検出)も発生することがない。
【0012】
本発明による光連結は、可逆的な光連結である。本発明による光連結によって生じた共有結合は、光連結に使用した波長とは異なる波長の光照射を行うことによって、光開裂をすることができる。このために、メチルシトシンの検出のために光連結されたDNAは、所定の部位のシトシンについて、メチル化の有無の検出を行った後に、光開裂をさせることによって、再び遊離させることができる。すなわち、本発明によれば、検出の前後で、被験試料のDNAに全く損傷を与えることなく、メチルシトシンの検出を行うことが可能である。本発明は、このような非破壊的なメチルシトシン検出を初めて可能にするものである。
【0013】
本発明によれば、被験試料のDNAに全く損傷を与えることなく、所定の部位のシトシンについて、メチル化の有無を検出することができるために、同じ分子を反復して使用して、さらに別な部位のシトシンについても、メチル化の有無を検出することが可能である。すなわち、本発明によれば、わずか1分子のDNAがあれば、それを破壊することなく反復して使用して、分子全体にわたってシトシンのメチル化の有無を検出することが可能であるために、極めて高感度の検出が可能である。また、従来のメチルシトシン検出法では、複数の部位のシトシンについてのメチル化の有無の情報を、同種のDNA分子の集合体についての情報として得ることができるだけである。しかし、本発明によれば、複数の部位のシトシンについてのメチル化の有無の情報を、ある1分子のDNAについての情報として得ることができる。すなわち、本発明は、ある1分子のDNAにおいて、複数の部位のシトシンについてのメチル化の有無の情報を得ることを、初めて可能にするものである。
【0014】
本発明によるメチルシトシンの検出は、迅速、簡便、高感度なものであるために、医療の現場において使用される場合も、その利用の価値は極めて高い。本発明によるメチルシトシンの検出は、迅速な点から日帰りの検診にも適し、簡便な点は広範な医療施設での実施を可能とし、高感度な点は被験試料を提供する患者の身体的な負担を極めて低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明に係る光連結性核酸類のシトシン(C)及びメチルシトシン(mC)との光連結の選択性を蛍光強度の測定によって示した図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示される実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明によれば、
塩基部分として、次の式I、式II、式III、又は式IV:
【化5】
JP0004951116B2_000006t.gif
(ただし、式I中、Xは、O、SまたはNHを示し、
R1及びR3は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R2は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化6】
JP0004951116B2_000007t.gif
(ただし、式II中、R4及びR6は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R5は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化7】
JP0004951116B2_000008t.gif
(ただし、式III中、Yは、O、SまたはNHを示し、
Zは、YがOまたはSであるときNH2を示し、YがNHであるときは水素原子を示し、
R7及びR9は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R8は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)
【化8】
JP0004951116B2_000009t.gif
(ただし、式IV中、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基を示し、
R11は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基を示す。)

で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)を、メチルシトシン光連結剤として使用して、メチルシトシンを光連結することにより、メチルシトシンを検出することができる。すなわち、上記塩基部分として、次の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、モノヌクレオチド及びペプチド核酸が含まれる)を、光応答性メチルシトシン検出剤として使用することができる。
【0018】
R2,R5,R8及びR11は、水素原子、又はC1~C12の炭素数を有する疎水性基である。このように、疎水性基をビニル基に結合することによって、シトシンがメチル化された場合に、高い選択性をもって光連結することを可能にしたものである。従って、疎水性基は、C1~C12の炭素数を有する疎水性基であればよく、疎水性基は炭化水素基に限られず、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む基であってもよく、環構造を形成していてもよく、飽和又は不飽和の基とすることができる。
【0019】
本発明の好適な実施の態様において、R2,R5,R8及びR11は、C1~C12、好ましくはC1~C10、さらに好ましくはC1~C8、さらに好ましくはC1~C6、さらに好ましくはC2~C6、さらに好ましくはC3~C6、さらに好ましくはC4~C6の炭素数を有する炭化水素基とすることができる。炭化水素基は、直鎖であってもよく、分岐を有していてもよく、環構造を形成していてもよい。炭化水素基は、飽和又は不飽和の炭化水素基とすることができる。好適に使用可能な不飽和の炭化水素基としては、例えば、メチル基(メタン-1-イル)、エチル基(エタン-1-イル)、プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-1-イル、ペンタン-2-イル、ペンタン-3-イル、メチルプロパン-1-イル、メチルプロパン-2-イル、2-メチルブタン-1-イル、2-メチルブタン-2-イル、2-メチルブタン-3-イル、2-メチルブタン-4-イル、ヘキサン-1-イル、ヘキサン-2-イル、ヘキサン-3-イル、2-メチルペンタン-1-イル、2-メチルペンタン-2-イル、2-メチルペンタン-3-イル、2-メチルペンタン-4-イル、2-メチルペンタン-5-イル、3-メチルペンタン-1-イル、3-メチルペンタン-2-イル、3-メチルペンタン-3-イル、2,2-ジメチルブタン-1-イル、2,2-ジメチルブタン-3-イル、2,2-ジメチルブタン-4-イル、2,3-ジメチルブタン-1-イル、2,3-ジメチルブタン-2-イル等を挙げることができる。好適に使用可能な環状の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、シクロヘキサン-1-イル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘキセン-3-イル、シクロヘキセン-4-イル、フェニル等を挙げることができる。
【0020】
R1、R3、R4、R6、R7、R9、R10、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、又はC1~C6のアシル基である。好適なアルキル基としては、一般にC1~C8、好ましくはC1~C6、さらに好ましくはC1~C5、さらに好ましくはC1~C4、さらに好ましくはC1~C3、さらに好ましくはC1~C2、さらに好ましくはC1の炭素数を有するアルキル基を挙げることができる。好適なアルコキシ基としては、一般にC1~C8、好ましくはC1~C6、さらに好ましくはC1~C5、さらに好ましくはC1~C4、さらに好ましくはC1~C3、さらに好ましくはC1~C2、さらに好ましくはC1の炭素数を有するアルコキシ基を挙げることができる。好適なアシル基としては、一般にC1~C8、好ましくはC1~C6、さらに好ましくはC1~C5、さらに好ましくはC1~C4、さらに好ましくはC1~C3、さらに好ましくはC1~C2、さらに好ましくはC1の炭素数を有するアシル基を挙げることができる。
【0021】
特に好適な実施の態様において、R1、R3、R4、R6、R7、R9、R10、及びR12は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、アセチル基であり、好ましくは、水素、メチル基、メトキシ基、又はシアノ基である。
【0022】
本発明における核酸類とは、核酸及びペプチド核酸(PNA)を含み、さらにモノヌクレオチドを含む。モノヌクレオチドには、リボヌクレオチドのモノヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドのモノヌクレオチドが含まれる。核酸としては、天然の核酸であるDNA及びRNAが含まれ、さらに、非天然(人工)の核酸であるLNA(BNA)等の修飾核酸が含まれる。
【0023】
本発明によるメチルシトシンの検出は、次の工程:
の式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、及び、
メチルシトシンを有する被験核酸を、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸と、ハイブリダイズする工程、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸とハイブリダイズすることによって、近接して配置された被験核酸と、固定化された核酸又はペプチド核酸とに対して、光照射を行って、被験核酸を、固定化された核酸又はペプチド核酸に光連結する工程、
ハイブリダイズしていた鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸を、解離して除去する工程、
固定化された核酸又はペプチド核酸に連結した被験核酸と、
被験核酸にハイブリダイズ可能な核酸又はペプチド核酸であって、標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸とを、ハイブリダイズする工程、
標識核酸又は標識ペプチド核酸が有する標識部位を、検出する工程、
を含む、被験核酸中のメチルシトシンを検出する方法によって、行うことができる。
【0024】
このような方法を行うことによって、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して、迅速、簡便に、高感度で検出することができる。
【0025】
本発明の好適な実施の態様において、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸が、固定化された核酸又はペプチド核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列、及び被験核酸の一部又は全部の配列とハイブリダイズ可能な配列を有し、
これらのハイブリダイズ可能な配列が、固定化された核酸又はペプチド核酸、及び被験核酸を、ハイブリダイズした場合に、被験核酸のメチルシトシンと、固定化された核酸又はペプチド核酸の式I、式II、式III、又は式IVで表される基とが、隣接して配置される配列であることが好ましい。
【0026】
このような好適な実施の1態様が、後述する式(2)の流れに図示されている。式(2)の左図では、
式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸、及び、
メチルシトシンを有する被験核酸、が用意されて、これらがハイブリッド形成(ハイブリダイズ)可能な条件下におかれることによって、ハイブリッド形成(ハイブリダイズ)している。
【0027】
式(2)の左図において、式I、式II、式III、又は式IVで表される基を有する塩基は、Xと図示されている。Xを5’末端に有する核酸は、そのもう一方の末端を、担体に固定されている。固定は、必ずしも図示された末端で行う必要はなく、配列の途中を介して、行うこともできる。担体との結合は、ハイブリダイズの効率の向上のために、適切な長さのリンカーを介して行ってもよい。リンカーは、核酸類であってもよいが、その他の高分子であってもよい。リンカーと担体との結合には、公知の手段を使用することができる。担体は、好ましくはガラス基板やプラスチック基板である。蛍光測定装置での測定に適した光透過性のプレートに適切な間隔で多数の核酸をスポットして固定して使用することができ、あるいは蛍光測定装置での測定に適した光透過性の多数のウェルを備えたプレートを使用することもできる。
【0028】
式(2)の左図において、メチル化の有無を検出したい標的(target)となる部位のシトシンは、メチルシトシン(mC)又はシトシン(C)の何れかであり、Yと図示されている。本発明によってメチルシトシンが検出される場合には、Yがメチルシトシンである。Yをその配列の中に有している核酸が、被験核酸である。
【0029】
式(2)の左図において、鋳型核酸(template)は、Xを末端に有する核酸の一部と、Yを配列中に有する被験核酸の一部と、ハイブリッド形成(ハイブリダイズ)可能な相補的な配列を有している。この配列の詳細は、表1に示されている。式(2)においては、鋳型核酸とハイブリッド形成することによって、Xを末端に有する核酸のXと、被験核酸のYとは、隣接して配置されている。鋳型核酸の役割は、このようにXとYとを隣接して配置することにあるので、鋳型核酸の配列は、そのような配置を可能とする配列であればどのようなものであってもよい。そのような隣接配置を可能とする限りにおいて、鋳型核酸の配列は、Xを末端に有する核酸の一部と相補的であってもよく、全部と相補的であってもよい。また、そのような隣接配置を可能とする限りにおいて、鋳型核酸の配列は、被験核酸のどの一部と相補的であってもよく、全部と相補的であってもよい。
【0030】
式(2)の左図にあるように、XとYと隣接して配置された後に、光照射を行って、被験核酸のYを、固定化された核酸又はペプチド核酸のXと、光連結する。この光連結は、光反応によって行われるために、迅速であると同時に、意図しない副反応や非特異的な反応の心配もなく、クリーンであり、さらに、酵素反応を行う場合のような反応条件の精妙な維持は必要ない。
【0031】
光連結のために照射される光は、一般に330~380nmの範囲、好ましくは350~380nmの範囲、さらに好ましくは350~370nmの範囲、さらに好ましくは360~370nmの範囲、さらに好ましくは366nmの波長を含む光が好ましく、特に好ましくは、366nmの単波長のレーザー光である。
【0032】
式(2)の左図から中央図への流れにおいて、366nmでの光照射に続けて、ハイブリダイズしていた鋳型核酸を、洗浄によって解離して除去する工程が示されている。解離と除去のための洗浄の条件は、このようなハイブリッド解離に通常使用可能な条件で行うことができる。ただし、被験核酸は、XとYとの光連結によって、Xを末端に有する核酸を介して担体に共有結合的に固定されているので、鋳型核酸の解離と除去のための洗浄の条件は、通常使用される条件よりも、極めて強い条件で行うことができる。このような条件として、例えば、70℃~100℃、好ましくは80℃~100℃、さらに好ましくは85℃~100℃以上、さらに好ましくは90℃~100℃、さらに好ましくは95℃~100℃、さらに好ましくは98℃~100℃の範囲の温度の水又は水溶液での洗浄を挙げることができ、あるいは例えば大気圧での煮沸による洗浄を挙げることができ、このような温度の水又は水溶液で、例えば、10秒~15分、好ましくは30秒~10分の時間の洗浄を挙げることができる。このように強い条件の洗浄によって、鋳型核酸の解離と除去を行うことにより、検出のノイズを極めて低減することができる。
【0033】
XとYとの光連結によって、被験核酸は、Xを末端に有する核酸を介して担体に共有結合的に固定されている。そのため、ハイブリッド形成が解かれて、鋳型核酸が解離して除去された後も、被験核酸は、担体に固定されたままとなっている。この様子が、式(2)の中央図に示されている。
【0034】
式(2)の中央図から右図への流れにおいて、固定化された核酸に連結した被験核酸と、被験核酸にハイブリダイズ可能な核酸であって標識部位を有する標識核酸(ODN(Cy3))とを、ハイブリダイズする工程が、示されている。ハイブリッド形成(ハイブリダイズ)は、通常使用される条件を使用することができる。ODN(Cy3)は、被験核酸にハイブリダイズ可能な配列を有しており、その配列の一例が表1に示されている。
【0035】
式(2)の右図は、被験核酸が、XとYとの光連結によってXを末端に有する核酸を介して担体に共有結合的に固定され、さらに標識核酸(ODN(Cy3))とハイブリッド形成している様子を示している。
【0036】
式(2)の右図に示されているODN(Cy3)は、その標識部位として蛍光標識であるCy3を有している。標識核酸の標識部位に使用可能な標識は、公知の標識を使用することができ、例えば、蛍光色素、ビオチン、ハプテン、酵素、フェロセン、スピン活性化合物、及び放射性物質からなる群より選択された標識を使用することができ、これらの標識の検出は、それぞれ公知の手段によって行うことができる。
【0037】
式(2)の右図において、最終的に標識核酸の標識が検出されることによって、式(2)の左図において隣接して配置されていたYとXとが、光連結していたことが検出される。このようなXとの光連結は、Yがメチルシトシン(mC)である場合に、高い選択性をもって生じるために、標識核酸の標識の検出される強度によって、被験核酸の中のYがメチル化されたシトシンであることを、検出することができる。
【0038】
式(2)の右図のような状態で、Yのメチルシトシンが検出された被験核酸は、YがXと光連結している他は、式(2)の左図の状態と比べて、特段の化学修飾等を受けてはいない。そして、本発明における光連結は、光照射によって光連結した後に、光連結時とは異なる波長の光を照射することによって、光開裂をすることができる。
【0039】
光開裂のために照射される光は、一般に300~320nmの範囲、好ましくは305~315の範囲、さらに好ましくは312nmの波長を含む光が好ましく、特に好ましくは、312nmの単波長のレーザー光である。
【0040】
光連結及び光開裂は、光反応を利用しているために、pH、温度、塩濃度などに特段の制約がなく、核酸類等の生体高分子が安定に存在可能なpH、温度、塩濃度とした溶液中で、光照射によって行うことができる。
【0041】
メチルシトシンの検出に使用された被験核酸は、光連結した部分を光開裂することによって、何ら修飾や損傷を受けることなく回収することができる。これによって回収された被験核酸は、別な部位のメチルシトシンの検出のために、本発明に係る検出方法の被験試料として再び使用することができ、あるいはメチル化部位が特定された核酸として、別な用途の出発材料として使用することもできる。
【0042】
光連結した部分を光開裂することによって被験核酸を回収した場合には、固定化された核酸(Xを5’末端に有する核酸)もまた、何ら修飾や損傷を受けることなく、担体に固定された状態で回収することができ、このように回収した、固定化された核酸は、本発明に係る検出方法のために、再び使用することができる。
【0043】
このように、本発明に係る核酸類は、可逆的な光連結を可能とし、可逆的な光連結剤、可逆的な光応答性メチルシトシン検出剤として使用することができるものであるので、本発明に係る検出方法は、検出のための試薬や被験試料を、その原理において、いずれも再利用して使用できるという極めて有利な特徴を持っている。このために、本発明は、環境負荷が少なく、省資源、省エネルギーであり、また、被験試料を再利用できることから、極めて高感度の方法となっている。
【0044】
また、本発明は、式I、式II、式III、又は式IVで表される基を塩基部分として末端に有する核酸又はペプチド核酸であって、担体に固定化された核酸又はペプチド核酸、
鋳型核酸又は鋳型ペプチド核酸、及び、
標識部位を有する標識核酸又は標識ペプチド核酸、
を含んでなる、メチルシトシン検出用キットにもある。
【0045】
本発明に係るキットは、本発明に係る検出方法の実施に好適に使用できるものである。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示される実施例に限定されるものではない。
【0047】
[メチルシトシン検出の為の光応答性核酸合成]
次の式(1)の流れに従いメチルシトシン検出に用いる光応答性核酸の合成を行った。
【0048】
式(1)
【化9】
JP0004951116B2_000010t.gif

【0049】
化合物2a
【化10】
JP0004951116B2_000011t.gif

【0050】
[5-ヘプテン-2’-デオキシウリジン(U)(2a)合成]
5-ヨード-2’-デオキシウリジン(1)(500 mg、1.41 mmol)をDMF(2.5 ml)とジオキサン(2.5 ml)に溶かし込み、そこヘパラジウムアセテート(31 mg、 0.14 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(340μl、1.41 mmol)、1-ヘプテン(5 ml、3.53 mmol)を加えマイクロウェーブによる加熱で100℃、20分間の反応を行った。反応後のサンプルはTLC(CHCl:MeOH=9:1)で原料が9割以上減少を確認し、シリカゲルカラムを用いて、展開溶媒をCHCl:MeOH=9:1にして精製した。Uは445 mg、 1.36 mmolで収率は97%であった。1H NMRにて目的化合物を測定し同定した。またMALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した。(calcd. for C16H25N2O5 [M+H]+ 325.179, found 325.801)

1H NMR (CDCl3): 7.59 (s, 1H, H-C(6)); 6.29-6.13 (m, 2H, vinylic H, H-C(1')); 6.00 (d,1H, J=16.5 vinylic H); 4.58 (m, 1H, H-C(3')); 4.03 (m, 1H, H-C(4')); 3.90-3.80 (m, 2H, H-C(5')); 2.38 (m, 2H, H-C(2')); 1.95-0.84 (m, 11H, CH3(CH2)2).

【0051】
化合物3a
【化11】
JP0004951116B2_000012t.gif

【0052】
[5-ヘプテン-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン(3a)合成]
化合物(2a)(340 mg、1.05 mmol)を脱水ピリジンで3回共沸した。そこへ脱水ピリジン(2.0 ml)を加え1時間脱気した4,4’-ジメトキシトリチルクロライド(427 mg、1.26 mmol)を加え、続けてDMAP(38 mg、0.31 mmol)を添加した。最後に、トリエチルアミン(170μl、1.26 mmol)を加えて室温で13時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH=95:5)で生成物を確認した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて展開溶媒をCHCl:MeOH=98:2から95:5に変化させて精製し薄黄色い固体の目的化合物(3a)(304 mg、0.49 mmol、収率46%)を得た。1H NMRにて目的化合物を測定し固定した。また、 MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した。(calcd. for C37H43N2O7 [M+H]+ 627.306, found 627.455)

1H NMR (CDCl3): 8.46 (br.s, 1H, NH); 7.63 (s, 1H, H-C(6)); 7.49-7.23 (m, 8H,
arom. H); 6.87-6.82 (m, 5H, arom. H); 6.45-6.16 (m, 3H, H-C(l'), vinylic H); 4.56 (m,1H, H-C(3')); 4.09-4.04 (m, 1H, H-C(4')); 3.76 (s, 6H, OMe); 3.53-3.33 (m, 2H, H-C(5')); 2.44-2.20 (m, 2H, H-C(2')); 1.79-1.63 (m, 11H, CH3(CH2)2).

【0053】
化合物4a
【化12】
JP0004951116B2_000013t.gif

【0054】
[5-ヘプテン-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジンホスホアミダイト(4a)合成]
アセトニトリル(0.5 mL)で共沸した化合物(3a)(233 mg、0.37 mmol)にアセトニトリル(1.5 ml)を加えた。反応溶液に2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホアミダイト(120μL、0.38 mmol)と0.45M テトラゾールのアセトニトリル溶液(910μL、0.41 mmol)を加えて、反応溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応溶液を脱酢酸処理した酢酸エチルで3回抽出し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgS0で乾燥し、溶媒を除去した。ゴムシールドボトルにアセトニトリルで移し3回共沸し、目的化合物(4a)(収量320 mg、0.39 mmol, quant)を得た。 MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C46H60N4O8P [M+H]+ 827.414, found 827.731)。

【0055】
化合物2b
【化13】
JP0004951116B2_000014t.gif

【0056】
[5-シクロヘキシルビニル-2’-デオキシウリジン(HVU)(2b)合成]
5-ヨード-2’-デオキシウリジン(1)(505 mg、1.42 mmol)をDMF(2.5 mL)とジオキサン(2.5 mL)に溶かし込み、そこヘパラジウムアセテート(33 mg、0.14 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(340μl、1.41 mmol)、ビニルシクロヘキサン(2.0 mL、14.1 mmol)を加えマイクロウェーブによる加熱で100℃、20分間の反応を行った。原料の消失をTLC(CHCl:MeOH=9:1)にて確認した。その後、シリカゲルカラムを用いて、展開溶媒をCHCl:MeOH=9:1にして精製した。(2b)は400 mg、1.19 mmolで収率は84%であった。1H NMRにて目的化合物を測定し同定した。またMALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C17H25N2O5 [M+H]+ 337.176, found 337.156)。

1H NMR (CDCl3): 7.62 (s, 1H, H-C(6)); 6.36-6.28 (m, 1H, vinylic H); 6.21-6.13 (m, 2H, vinylic H, H-C(1')); 6.03 (d, 1H, J=16.2, vinylic H); 4.61 (m, 1H, H-C(3')); 4.04 (m, 1H, H-C(4')); 3.97-3.81 (m, 2H, H-C(5')); 2.51-2.33 (m, 2H, H-C(2')); 2.14-1.06 (m,11H, C6H11).

【0057】
化合物3b
【化14】
JP0004951116B2_000015t.gif

【0058】
[5-シクロヘキシルビニル-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン(3b)合成]
化合物(2b)(320 mg、0.95 mmol)を脱水ピリジンで3回共沸した。そこへ脱水ピリジン(1.5 mL)を加え、4,4’-ジメトキシトリチルクロライド(380 mg、1.12 mmol)を加え、続けてDMAP(41 mg、0.34 mmol)を添加した。最後に、トリエチルアミン(160μl、1.14 mmol)を加えて室温で21時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH=9:1)で生成物を確認した後、シリカゲルカラムにて、展開溶媒をCHCl:MeOH=98:2から95:5に変化させて精製し薄黄色い固体の目的化合物(3b)(329 mg、0.52 mmol、収率54%)を得た。1H NMRにて目的化合物を測定し同定した。また、MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C38H43N2O7 [M+H]+ 639.306, found 639.496)。

1H NMR (CDCl3): 8.17 (br. s, 1h, NH); 7.68 (s, 1H, H-C(6)); 7.44-7.22 (m, 8H, arom. H); 6.82 (m, 6H, arom. H, vinylic H); 6.42-6.19 (m, 2H, vinylic H, H-C(1')); 4.54(m, 1H, H-C(3')); 4.04(m, 1H, H-C(4')); 3.79 (s, 6H, OMe) 3.50 (dd, 1H, J=10.5, 3.0, H-C(5')); 2.99 (dd, 1H, J=10.5, 3.0, H-C(5'); 2.42-2.26 (m, 2H, H-C(2')); 1.99-1.22 (m, 11H, C6H11).

【0059】
化合物4b
【化15】
JP0004951116B2_000016t.gif

【0060】
[5-シクロヘキシルビニル-2’-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジンホスホアミダイト(4b)合成]
アセトニトリル(0.5 mL)で共沸した化合物(3b)(320 mg、0.50 mmol)にアセトニトリル(2.5 ml)を加えた。反応溶液に2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホアミダイト(160μL、0.50 mmol)と0.45M テトラゾールのアセトニトリル溶液(1.2 mL、0.55 mmol)を加えて、反応溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応溶液を脱酢酸処理した酢酸エチルで3回抽出し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgS0で乾燥し、溶媒を除去した。ゴムシールドボトルにアセトニトリルで移し3回共沸し、目的化合物(4b)(収量432 mg、0.51 mmol、quant.)を得た。MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C47H60N4O8P [M+H]+ 839.414, found 839.330)。

【0061】
化合物2c
【化16】
JP0004951116B2_000017t.gif

【0062】
[5-tert-ブチルビニル-2’-デオキシウリジン(BuVU)(2C)合成)
5-ヨードデオキシウリジン(1)(0.5 g、1.41 mmol)をDMF(2.5 mL)とジオキサン(2.5 mL)に溶かし込み、そこヘパラジウムアセテート(32.0 mg、 0.14 mmol)を加え懸濁させた。更にトリブチルアミン(340μl、1.41 mmol)、3,3-ジメチル-1-ブテン(5.5 mL、42.3 mmol)を加えマイクロウェーブによる加熱で100℃で15分間、反応を行った。TLC(CHCl:MeOH=9:1)にて原料6割以上の消失を確認し、反応を終了した。その後、さらに、この操作をもう一度行い、合成した後に、シリカゲルカラムを用いて、展開溶媒をCHCl:MeOH=9:1にして精製した。目的化合物(2c)(271 mg、0.87 mmol、 収率31%)を得た。1H NMRにて目的化合物を固定した。また、MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C15H23N2O5 [M+H]+ 311.160, found 311.355)。

1H NMR (DMSO): 8.03 (s, 1H, H-C(6)); 6.44 (d, 1H, J=16.5, vinylic H); 6.17 (t, 1H, J=6.6, H-C(1')); 5.96(d, 1H, J=16.5, vinylic H); 5.24 (m, 1H, 3'-0H); 5.13 (t, 1H, J=5.0, 5'-0H); 4.25 (m, 1H, H-C(3')); 3.78 (m, 1H, H-C(4')); 3.65-3.54 (m, 2H, H-C(5')); 2.12 (m, 2H, H-C(2')); 1.59-1.49 (m, 2H, (CH3)3C); 1.40-1.24(m, 2H, (CH3)3C); 1.04(m, 5H, (CH3)3C).

【0063】
化合物3c
【化17】
JP0004951116B2_000018t.gif

【0064】
[5-tert-ブチルビニル-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン(3c)合成]
化合物(2c)(497 mg、1.60 mmol)を脱水ピリジンで3回共沸した。そこへ脱水ピリジン(2.0 ml)を加え4,4’-ジメトキシトリチルクロライド(666 mg、 1.97 mmol)を加え、続けてDMAP(67 mg、0.55 mmol)を添加した。最後に、トリエチルアミン(270μl、1.92 mmol)を加えて室温で19時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH=9:1)で生成物を確認した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて展開溶媒をCHCl:MeOH=97:3から95:5に変化させて精製し薄黄色い固体の目的化合物(3c)(601 mg、0.98 mmol、収率61%)を得た。1H NMRにて目的化合物を同定した。MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C36H41N2O7 [M+H]+ 613.291, found 613.699)。

1H NMR (DMSO): 11.5(br. s, 1H, NH); 8.32 (s, 1H, H-C(6)); 7.43-7.22 (m, 8H, arom. H); 6.89-6.85 (m, 5H, arom. H); 6.41 (d, 1H, J=16.2, vinylic H); 6.23 (t, 1H, J=6.3, H-C(1')); 5.72 (d, 1H, J=16.2, vinylic H); 5.32 (t, 1H, J=4.5, 3'-0H); 4.26 (m, 1H, H-C(3')); 3.91(m, 1H, H-C(4')); 3.73 (s, 6H, OMe); 3.27-3.11 (m, 2H, H-C(5')); 2.35-2.25 (m, 1H, H-C(2')); 2.21-2.13 (m, 1H, H-C(2')); 0.90-0.76 (m, 9H, (CH3)3C).
【0065】
化合物4c
【化18】
JP0004951116B2_000019t.gif

【0066】
[5-tert-ブチルビニル-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジンホスホアミダイト(4c)合成]
アセトニトリル(0.5 mL)で共沸した化合物(3b)(186 mg、0.25 mmol)にアセトニトリル(1.5 ml)を加えた。反応溶液に2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホアミダイト(80μL、0.25 mmol)と0.45Mテトラゾールのアセトニトリル溶液(600μL、0.27 mmol)を加えて、反応溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応溶液を脱酢酸処理した酢酸エチルで3回抽出し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgS0で乾燥し、溶媒を除去した。ゴムシールドボトルにアセトニトリルで移し3回共沸し、目的化合物(4b)(収量197 mg、0.24 mmol、収率99%)を得た。MALDI-TOF MSにて質量分析を行い目的化合物である事を同定した(calcd. for C45H58N4O8P [M+H]+ 813.399, found 814.770)。

【0067】
[DNA合成]
式(1)の流れによる合成で得られた光応答性核酸をABI 3400 DNA 合成機を用いて1μmolスケールで合成した。28%アンモニア水溶液によるCPGの切り出し後、55℃で8時間インキュベートして脱保護を行い、speed vacにてアンモニアを除去した。凍結乾燥後、HPLCにより精製を行いODN(U)、ODN(HVU)、ODN(BuVU)を得た。その後、質量分析をMALDI-TOF-MSにて行った。
【0068】
ODN(HU):5'-HUGACGTGTATCGCATTGGSSSS-NH2-3'
ODN(HVU):5'-HVUGACGTGTATCGCATTGGSSSS-NH2-3'
ODN(BuVU):5'-BuVUGACGTGTATCGCATTGGSSSS-NH2-3'
【0069】
ただし、上記配列中のSSSSは、次の構造の単量体Sがリン酸基側を5’末端側に向けてリン酸エステル結合してなる鎖状構造(リンカー)を示す。
【0070】
【化19】
JP0004951116B2_000020t.gif

【0071】
calcd. for ODN(HU):[(M+H)+] 7185.08, found 7184.36.
calcd. for ODN(HVU):[(M+H)+] 7197.09, found 7197.59.
calcd. for ODN(BuVU):[(M+H)+] 7171.05, found 7171.20.

【0072】
[メチルシトシン検出]
次の表1に示した配列を用いて、ガラス基板上でのメチルシトシン検出を、以下の式(2)の流れに従って行った。
【0073】
【表1】
JP0004951116B2_000021t.gif

【0074】
式(2)
【化20】
JP0004951116B2_000022t.gif

【0075】
(1)光応答性プローブの固定化
2μM ODN(U)、50mMカコジル酸ナトリウム、100mM NaClになる水溶液を調整した。ODN(HVU)、ODN(BuVU)に関しても、それぞれ同様の水溶液を調整した。これらをガラス基板上に2.0μLずつスポットし、基板上に固定化する為に16時開静置した。固定終了後に、室温で、0.1%(w/v)SDS水溶液で2回洗浄し、その後さらに超純水で2回洗浄した。室温で乾燥させたガラス基板上にNaBH(3.75 mg)をPBS(リン酸緩衝サリン溶液:pH7.2)(1.5 mL)、エタノール(375μL)に溶かした溶液を全面に滴下して5分開静置した。その後に超純水で洗浄し、98℃の熱水で3分間煮沸し、煮沸後、室温で乾燥させた。
【0076】
(2)ガラス基板上での光連結反応
10μM target(C)、10μM template、50mM カコジル酸ナトリウム、100mM NaClになる水溶液を調整し、(1)で作製したガラス基板上の光応答性プローブを固定化した位置に4.0μLずつスポットした。target(mC)に関しても同様の水溶液を調整して4.0μLずつスポットした。このガラス基板を0℃の条件下でトランスイルミネーターを用いて366nmの光照射を1時間行った。光照射後に98℃の熱水で5分間煮沸して、未反応のtarget(C)、target(mC)とtemplateを洗い流した。
【0077】
(3)ODN(Cy3)による蛍光検出
5μM ODN(Cy3)、10μM template、50mM カコジル酸ナトリウム、100mM NaClになる水溶液を調整した。この水溶液を(2)のガラス基板上に50μL滴下して、カバーガラスを上から載せて全面に広げ、4℃で24時開静置してハイブリダイゼーションさせた。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスをつけたまま、洗浄液1(1xSSC、0.2%SDS)を満たした容器に入れてカバーガラスが外れるまで軽く震盪した。別の容器に洗浄液1を満たしてカバーガラスの外れたプレートを入れて室温で適度に震盪しながら5分開静置した。さらに別の容器に洗浄液2(0.1XSSC、0.2%SDS)を満たしてプレートを入れて、室温で適度に震盪しながら5分開静置し、更に同じ操作を別の容器でもう一度繰り返した。別の容器に洗浄液3(0.1XSSC)を満たしてプレートを入れて、室温で適度に震盪しながら1分開静置し、更に同じ操作を別の容器でもう一度繰り返した。最後にMilli Qを満たしたビーカにプレートを軽く浸して洗浄した。プレート用のスピナーで水分を取り除いた後にプレートリーダーにて蛍光の検出を行った。
【0078】
[結果]
プレートリーダーで蛍光強度を読み取った結果を図1(a)に示す。その強度を
target(C)とtarget(mC)とで比較したグラフが図1(b)に示す。ODN(U)、ODN(HVU)、ODN(BuVU)のいずれの構造も、メチルシトシンとの連結効率が検出可能な程度に高いものであった。 target(C)とtarget(mC)の蛍光強度の比をとると、ODN(U)を用いた場合に、メチルシトシン(mC)の蛍光強度はシトシン(C)の蛍光強度と比較して4.2倍という高い値であった。ODN(HVU)では、メチルシトシン(mC)の蛍光強度はシトシン(C)の蛍光強度と比較して4.1倍、ODN(BuVU)ではメチルシトシン(mC)の蛍光強度はシトシン(C)の蛍光強度と比較して2.6倍という高い値であった。
【0079】
以上のように、ODN(U)、ODN(HVU)、ODN(BuVU)のいずれの構造でも、メチルシトシン(mC)の蛍光強度は、シトシン(C)の蛍光強度と比較して極めて大きいことがわかった。このことから、本発明に係る光連結性核酸類を使用した場合に、メチルシトシン(mC)に対する光連結は、シトシン(C)に対する光連結と比較して、非常に高い効率で起こること、すなわち、メチル化されたシトシンに対して選択的に光連結が生じることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、DNA中のメチル化されたシトシン(メチルシトシン)を、メチル化されていないシトシンから区別して、迅速、簡便に、高感度で検出することができるために、産業において非常に有用である。本発明は、非破壊的なメチルシトシン検出を初めて可能にするものであり、ある1分子のDNAにおいて複数の部位のシトシンについてのメチル化の有無の情報を得ることを初めて可能にするものである。本発明によるメチルシトシンの検出は、医療の現場において使用される場合も、その利用の価値は極めて高く、迅速な点から日帰りの検診にも適し、簡便な点から広範な医療施設での実施を可能とし、高感度な点から被験試料を提供する患者の身体的な負担を極めて低減するものである。
図面
【図1】
0