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明細書 :ジアミノ酸誘導体原料、その製造方法、及びジアミノ酸誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5246671号 (P5246671)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
発行日 平成25年7月24日(2013.7.24)
発明の名称または考案の名称 ジアミノ酸誘導体原料、その製造方法、及びジアミノ酸誘導体の製造方法
国際特許分類 C07F   9/40        (2006.01)
C07C 251/20        (2006.01)
C07C 227/04        (2006.01)
C07C 229/26        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
FI C07F 9/40 CSPC
C07C 251/20
C07C 227/04
C07C 229/26
C07B 53/00 B
請求項の数または発明の数 37
全頁数 47
出願番号 特願2010-502764 (P2010-502764)
出願日 平成21年2月27日(2009.2.27)
国際出願番号 PCT/JP2009/053681
国際公開番号 WO2009/113409
国際公開日 平成21年9月17日(2009.9.17)
優先権出願番号 2008058993
優先日 平成20年3月10日(2008.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年8月31日(2010.8.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】関 和貴
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】松澤 優子
参考文献・文献 J.Org.Chem.,2003年,Vol.68, No.7,p.2583-2591
調査した分野 C07F 9/40
C07C 227/04
C07C 229/26
C07C 251/20
C07B 53/00
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式[II]で表されるジアミノ酸誘導体の原料の製造方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
一般式[II]
JP0005246671B2_000084t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
一般式[I]
JP0005246671B2_000085t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
一般式[V]
JP0005246671B2_000086t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。)
【請求項2】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項1のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項3】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項1のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項4】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項1のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項5】
前記一般式[I]で表される化合物と前記一般式[V]で表される化合物との反応が、光学活性な塩基性触媒の存在下で行われる
ことを特徴とする請求項1のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項6】
前記光学活性な塩基性触媒が、光学活性なグアニジン化合物の群の中から選ばれる何れかである
ことを特徴とする請求項5のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項7】
前記光学活性な塩基性触媒が、MX(M=Be,Mg,Ca,Sr,Ba又はRa。X=任意の基)と下記一般式[VI]で表される化合物とで構成される光学活性な塩基性触媒の群の中から選ばれる何れかである
ことを特徴とする請求項5のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
一般式[VI]
JP0005246671B2_000087t.gif [R,R,R,R10=置換基を有する環状基、又は置換基を有さない環状基。RとR10とは、環を形成する場合と、環を形成しない場合とがある。]
【請求項8】
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[I]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料。
一般式[I]
JP0005246671B2_000088t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項9】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項8のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項10】
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[II]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料。
一般式[II]
JP0005246671B2_000089t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項11】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項10ジアミノ酸誘導体原料。
【請求項12】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項10のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項13】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項10のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項14】
下記の一般式[II]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体の製造方法。
一般式[II]
JP0005246671B2_000090t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項15】
前記フルオレニル基の除去は酸処理による
ことを特徴とする請求項14のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項16】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項14のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項17】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項14のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項18】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項14のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項19】
下記の一般式[IV]で表されるジアミノ酸誘導体の原料の製造方法であって、
下記の一般式[III]で表される化合物と、下記の一般式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
一般式[IV]
JP0005246671B2_000091t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
一般式[III]
JP0005246671B2_000092t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
一般式[V]
JP0005246671B2_000093t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。)
【請求項20】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項19のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項21】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項19のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項22】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項19のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項23】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項19のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項24】
前記一般式[III]で表される化合物と前記一般式[V]で表される化合物との反応が、光学活性な塩基性触媒の存在下で行われる
ことを特徴とする請求項19のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項25】
前記光学活性な塩基性触媒が、光学活性なグアニジン化合物の群の中から選ばれる何れかである
ことを特徴とする請求項24のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
【請求項26】
前記光学活性な塩基性触媒が、MX(M=Be,Mg,Ca,Sr,Ba又はRa。X=任意の基)と下記一般式[VI]で表される化合物とで構成される光学活性な塩基性触媒の群の中から選ばれる何れかである
ことを特徴とする請求項24のジアミノ酸誘導体原料の製造方法。
一般式[VI]
JP0005246671B2_000094t.gif [R,R,R,R10=置換基を有する環状基、又は置換基を有さない環状基。RとR10とは、環を形成する場合と、環を形成しない場合とがある。]
【請求項27】
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[III]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料。
一般式[III]
JP0005246671B2_000095t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項28】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項27のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項29】
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[IV]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料。
一般式[IV]
JP0005246671B2_000096t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項30】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項29のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項31】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項29のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項32】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項29のジアミノ酸誘導体原料。
【請求項33】
下記の一般式[IV]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体の製造方法。
一般式[IV]
JP0005246671B2_000097t.gif (Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。Rは電子求引基である。フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。)
【請求項34】
前記フルオレニル基の除去は酸処理による
ことを特徴とする請求項33のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項35】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基である
ことを特徴とする請求項33のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項36】
前記Rは、炭素数が1~8の炭化水素基、又は炭素数が1~8の複素環基である
ことを特徴とする請求項33のジアミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項37】
前記電子求引基は、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、又はアルキルスルホニル基である
ことを特徴とする請求項33のジアミノ酸誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミノ酸誘導体原料、その製造方法、及びジアミノ酸誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α,β-ジアミノ酸は化成品や医薬品の成分として重要な化合物である。前記α,β-ジアミノ酸は、その骨格に、二つの不斉点を有する。そして、α,β-ジアミノ酸の不斉合成は重要な研究課題であった。さて、グリシンのα-アニオン等価体とイミン(又はイミン等価体)とのMannich型反応(炭素—炭素結合形成反応)は、最も効率的な手法である(Scheme 2-1-1)。その理由は、生成する二つの不斉点を同時に制御できるからである。かつ、一度に望みの立体配置を有するα,β-ジアミノ酸骨格を構築できるからである。
【0003】
グリシンのα-アニオン等価体を用いたMannich型反応の代表的な例を以下に示す。
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【0004】
Soloshonok,Avilov等は、不斉補助基(量論量の不斉源)を用いたジアステレオ選択的反応を報告している。この反応にはグリシン由来の光学活性なニッケル複合体が用いられている。そして、高ジアステレオ選択的な反応が実現されている。基質一般性は乏しい。しかしながら、生成物がsynα,β-ジアミノ酸に誘導できる(Scheme 2-1-2)。
JP0005246671B2_000003t.gif
【0005】
Williams等はキラルオキサジノン由来のグリシン誘導を用いたジアステレオ選択的な反応を報告している。この例は、何れも、求核剤であるグリシン誘導体に不斉源を導入した例である。
【0006】
Viso等やDavis等は、求電子剤に不斉源を導入した例(窒素上の置換基としてキラルスルフィンイミンを用いる反応)を報告している。
【0007】
Davis等は、グリシン誘導体の窒素上の保護基を変えることによって、syn,anti体を作り分けている(Scheme 2-1-3)。
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【0008】
O’Donnel等が安定なベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を合成してから、プロキラルなグリシン誘導体として本基質を用いた様々な反応が急速に開発された。モノアルキル化体がベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を用いることで得られた。モノアルキル化体はアルジミン由来のグリシンSchiff塩基では得られ難い。更に、水中での安定性を活かし、光学活性な相間移動触媒が数多く開発された。そして、光学活性なアミノ酸誘導体のD,L体を共に作り分けることが可能となった(Scheme 2-1-4)。
このベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基(α位水素のpKa値は約18.7)は、相間移動触媒と共に用いられるKOHで容易に脱プロトン化される(Figure 2-1-1)。
しかしながら、アラニン由来のSchiff塩基は、そのpKa値が約22.8である為、ジアルキル化が抑制される。
このベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を用いた不斉Mannich型反応も開発されている。以下にその例を示す。
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【0009】
Jorgensen等は、キラル配位子を有する銅錯体存在下で、塩基としてトリエチルアミンを用いたN-トシルイミンへの付加反応を報告している(Scheme 2-1-5)。
ここでは、芳香族イミンだけで無く、脂肪族アルデヒド由来のイミンにおいても有効性が示されている。何れの場合も、得られたα,β-ジアミノ酸誘導体は高いエナンチオ選択性を示す。しかしながら、芳香族イミンを用いた場合、ジアステレオ選択性が若干低下する。アミノ基の保護基であるトシル基の除去は一般に困難である。
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【0010】
Maruoka等は、独自に開発したキラル相間移動触媒を用い、様々な反応(例えば、ベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基の不斉アルキル化)を報告している。例えば、α-イミノエステルに対するMannich型反応が報告されている(Scheme 2-1-6)。この反応は3-アミノアスパラギン酸誘導体を与える。しかしながら、求電子剤として活性なα-イミノエステルを用いなければならい。この為、基質一般性という点で課題が残っている。
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【0011】
Shibasaki等はN-Bocイミンに対するMannich型反応(相間移動触媒:酒石酸由来の光学活性ジアンモニウム塩)を報告している(Scheme 2-1-7)。ここには、芳香族イミンのみならず、脂肪族アルデヒド由来のイミンに対する反応も報告されている。そして、広範な基質一般性が示されている。この反応では高選択的にsynα,β-ジアミノエステル誘導体が得られる。
JP0005246671B2_000008t.gif
【0012】
本発明者等もグリシンSchiff塩基を用いたMannich型反応の研究を行っている(Scheme 2-1-8)。
この反応では、エナミン(Lewis酸で活性化されたグリシンSchiff塩基が基質である)により、脱プロトン化が行われる。そして、エノラートが生成する。この反応は、共生成するイミニウムに求核付加する反応(外部塩基を必要としない反応)である。又、Me-DUPHOSをキラルリガンドとして不斉反応への展開を行っている。この反応はジアステレオ選択性に課題が残されている。しかしながら、得られた目的物は高エナンチオ選択性を示す。この反応を三成分Mannich反応に適用すると、得られた付加体は高ジアステレオ選択性を示すことが報告されている。この反応では、他のMannich型反応の場合と異なり、anti体が主生成物として得られている。そして、反応機構などの面で興味深い。
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【0013】
以上、ベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を用いた触媒的不斉Mannich型反応の報告例を述べた。
しかしながら、これ等には、選択性や基質一般性などの点で改善の余地が残されていた。
相間移動触媒と共に用いたKOH等の金属塩基は等量以上用いられる。従って、環境調和型の反応としては満足できない。
【0014】
Jorgensen等は、触媒量の有機アミン(三級アミン等)では脱プロトン化が困難なことを報告している(Scheme 2-1-9)。
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【0015】
脱プロトン化が律速な場合は、Mannich型反応以外においても多い。Ishikawa等は、キラルなグアニジンを用いたMichael反応を報告している(Scheme 2-1-10)。この反応は高エナンチオ選択性を示す。そして、触媒は回収される。しかしながら、基質を過剰に用いなければならない。又、反応の進行が遅い。従って、反応性の高い基質の開発が望まれていた。
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【0016】
フルオレンは、ジフェニルメタンと比較して、脱プロトン化後の共役塩基が安定している。そして、9位の水素の酸性度が極めて高い(Figure 2-1-2)。
この性質を利用して、Carpino等は、アミノ基の保護基としてFmoc基を報告した。このFmoc基は、Boc基を切断する際の酸性条件では切断されないが、二級アミンのような比較的弱い塩基によって容易に切断される。そして、Fmoc基は、選択的に脱保護可能である為、ペプチドの固相合成だけでなく、天然物の合成においても用いられる(Scheme 2-1-11)。
【0017】
本発明者は、このメチンアニオンの安定と言うユニークな性質を利用し、基質の反応性を上げることが出来るのでは無いかと考えた。
JP0005246671B2_000012t.gifJP0005246671B2_000013t.gif
【0018】
先ず、フルオレノンイミン由来のグリシンSchiff塩基についてのコンセプトを述べる。
【0019】
ベンゾフェノン由来のグリシンアルキルエステルのα位水素は、一般のエステルのα位水素と比べて、極めて高い酸性度を示す(Figure 2-1-3)。
JP0005246671B2_000014t.gif これは、α位のSchiff塩基部位の電子吸引効果による。
【0020】
Schiff塩基部位の電子吸引性は、メチンアニオン共鳴構造の安定性と相関が有ると考えられる。
【0021】
そこで、対応する共役塩基にフルオレノン由来のグリシンSchiff塩基(平面性を有し、かつ、14π電子芳香性を有する共鳴構造の寄与により安定であると考えられる)を用いた。すなわち、フルオレノン由来のグリシンSchiff塩基は、ベンゾフェノン由来の塩基より、α位水素の脱プロトン化を促進し、Mannich型反応を円滑に進行させると考えられた(Figure 2-1-4)。
JP0005246671B2_000015t.gif
【0022】
実際、下記に示す通り、フルオレノンイミンのα位水素の酸性度は、ベンゾフェノンイミンのα位水素の酸性度より、極めて高い報告も有る(DMSO溶液中のpKa値にして約10の差)(Figure 2-1-5)。
JP0005246671B2_000016t.gif
【非特許文献1】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Garcia, A.; Flores, A. Chem.Rev. 2005, 105,3167.
【非特許文献2】Lucet, D.; Gall, T. L.; Mioskowski, C. Angew. Chem., Int. Ed. Engl.1998, 37, 2580.
【非特許文献3】Soloshonok, V. A.; Avilov, D. V.; Kukhar, V. P.; Meervelt, L. V.;Mischenko, N.Tetrahedron Lett. 1997, 38, 4671.
【非特許文献4】DeMong, D. E.; Williams, R. M. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 3529.
【非特許文献5】DeMong, D. E.; Williams, R. M. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 8561.
【非特許文献6】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Guerrero-Strachan, C.;Alonso, M.; Martinez-Ripoll, M.; Andre, I. J. Org. Chem. 1997, 62, 2316.
【非特許文献7】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Garcia, A.; Alonso, M.;Guerrero-Strachan, C.; Fonseca, I. Synlett 1999, 1543.
【非特許文献8】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Lopez-Rodriguez, M. L.; Garcia,A.; Tortosa, M. Synlett 2002, 755.
【非特許文献9】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Garcia, A.;Guerrero-Strachan, C.; Alonso, M.; Tortosa, M.; Flores, A.; Martinez-Ripoll,M.; Fonseca, I.; Andre, I.; Rodriguez, A. Chem. Eur. J. 2003, 9, 2867.
【非特許文献10】Viso, A.; Fernandez de la Pradilla, R.; Lopez-Rodriguez, M. L.; Garcia,A.; Flores, A.; Alonso, M. J. Org. Chem. 2004, 69, 1542.
【非特許文献11】Davis, F. A.; Deng, J. Org. Lett. 2004, 6, 2789.
【非特許文献12】Davis, F. A.; Deng, J. Org. Lett. 2005, 7, 621.
【非特許文献13】O’Donnel, M. J.; Boniece, J. M.; Earp, S. E. Tetrahedron Lett. 1978,30, 2641.
【非特許文献14】O’Donnel, M. J.; Eckrich, T. M. Tetrahedron Lett. 1978, 30, 4625.
【非特許文献15】Maruoka, K.; Ooi, T. Chem. Rev. 2003, 103, 3013.
【非特許文献16】O’Donnel, M. J. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 506.
【非特許文献17】Lygo, B.; Andrews, B. I. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 518.
【非特許文献18】Maruoka, K.; Hashimoto, T. Chem. Rev. 2007, 107, 5656.
【非特許文献19】O’Donnel, M. J.; Bennett, W. D.; Bruder, W. A.; Jacobsen, W. N.;Knuth, K.; LeClef, B.; Plot, R. L.; Bordwell, F. G.; Mrozack, S. R.; Cripe, T.A. J. Org. Chem. 1988, 110, 8520.
【非特許文献20】Bernardi, L.; Gothelf, A. S.; Hazell, R. G.; Jorgensen, K. A. J.Org. Chem. 2003, 68, 2583.
【非特許文献21】Ooi, T.; Kameda, M.; Fujii, J.; Maruoka, K. Org. Lett. 2004, 6,2397.
【非特許文献22】Okada, A.; Shibuguchi, T.; Ohshima, T.; Masu, H.; Yamaguchi, K.;Shibasaki, M. Angew. Chem., Int. Ed. 2005, 44, 4564.
【非特許文献23】Shibuguchi, T.; Mihara, H.; Kuramochi, A.; Ohshima, T.; Shibasaki,M. Chem. Asian J. 2007, 2, 794.
【非特許文献24】Kobayashi, J.; Yamashita, Y.; Kobayashi, S. Chem. Lett. 2005, 34,268.
【非特許文献25】Salter, M. M.; Kobayashi, J.; Shimizu, Y.; Kobayashi, S. Org. Lett.2006, 8, 3533.
【非特許文献26】Ishikawa, T.; Araki, Y.; Kumamoto, T.; Seki, H.; Fukuda, K.; Isobe,T. Chem. Commun. 2001, 245.
【非特許文献27】Matthews, W. S.; Bares, J. E.; Bartmess, J .E.; Bordwell, F. G.;Cornforth, F. J.; Drucker ,G. E.; Margolin, Z.; McCallum, R. J.; Vanier, N. R. J.Am. Chem. Soc. 1975, 97, 7006
【非特許文献28】Carpino, A. L.; Han, G. Y. J. Am. Chem. Soc. 1970, 92, 5748.
【非特許文献29】Carpino, A. L.; Han, G. Y. J. Org. Chem. 1972, 37, 3404.
【非特許文献30】O’Donnel, M. J.; Plot, R. L. J. Org. Chem. 1982, 47, 2663.
【非特許文献31】O’Donnel, M. J.; Lawley, L. K.; Pushpavanam, P. B.; Burger, A.;Bordwell, F. G.; Zhang, X. Tetrahedron Lett. 1994, 35, 6421
【非特許文献32】Genet, J. P.; Uziel, J.; Touzin, A. M.; Juge, S. Synthesis 1990, 41.
【非特許文献33】Kim, D. Y.; Suh, K. H.; Huh, S. C.; Lee, K. Synth. Commun. 2000, 31,3315.
【非特許文献34】Jaszay, Z. M.; Nemeth, G.; Pham, T. S.; Petnehazy, I.; Grun, A.;Toke, L. Tetrahedron Asymmetry 2005, 16, 3837.
【非特許文献35】Blaszczyk, R.; Gajda, T. Tetrahedron Lett. 2007, 48, 5859.
【非特許文献36】Takamura, M.; Hamashima, Y.; Usuda, H.; Kanai, M.; Shibasaki, M. Angew.Chem., Int. Ed. 2000, 39, 1650
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
さて、従来の提案の技術では、ジアミノ酸誘導体が効率良く得られない。
【0024】
従って、本発明が解決しようとする課題は、ジアミノ酸(ジアミノ酸誘導体(ジアミノ酸エステルやジアミノホスホン酸エステル等の誘導体))の効率的な合成技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の課題は、
下記の一般式[II]で表されるジアミノ酸誘導体の原料の製造方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料の製造方法によって解決される。
【0026】
前記の課題は、
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[I]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料によって解決される。
【0027】
前記の課題は、
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[II]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料によって解決される。
【0028】
前記の課題は、
下記の一般式[II]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0029】
前記の課題は、
下記の一般式[IV]で表されるジアミノ酸誘導体の原料の製造方法であって、
下記の一般式[III]で表される化合物と、下記の一般式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料の製造方法によって解決される。
【0030】
前記の課題は、
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[III]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料によって解決される。
【0031】
前記の課題は、
ジアミノ酸誘導体の原料であって、
下記の一般式[IV]で表される化合物である
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体原料によって解決される。
【0032】
前記の課題は、
下記の一般式[IV]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する
ことを特徴とするジアミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0033】
一般式[I]
JP0005246671B2_000017t.gif 一般式[II]
JP0005246671B2_000018t.gif 一般式[III]
JP0005246671B2_000019t.gif 一般式[IV]
JP0005246671B2_000020t.gif 一般式[V]
JP0005246671B2_000021t.gif 前記Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。
前記Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。
前記Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。
前記Rは電子求引基である。
前記フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。
【発明の効果】
【0034】
フルオレニル基を有する一般式[I]又は[III]の化合物を用いたので、効率良く一般式[II]又は[IV]の化合物が得られる。
【0035】
特に、触媒量の塩基で反応が進行する。
【0036】
又、不斉反応も可能である。
【0037】
そして、例えばジアミノ酸エステルやジアミノホスホン酸エステル等の誘導体が効率良く得られる。この後でフルオレニル基を除去することにより効率良くジアミノ酸誘導体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明はジアミノ酸誘導体の原料である。前記原料は、前記一般式[I]で表される化合物である。若しくは、前記一般式[II]で表される化合物である。或いは、前記一般式[III]で表される化合物である。又は、前記一般式[IV]で表される化合物である。
【0039】
本発明はジアミノ酸誘導体の原料の製造方法である。前記方法は、前記一般式[I]で表される化合物と、前記一般式[V]で表される化合物とを反応させる方法である。又は、前記一般式[III]で表される化合物と、前記一般式[V]で表される化合物とを反応させる方法である。前記化合物[I],[III]と前記化合物[V]との反応に際して、光学活性な塩基性触媒を用いたならば、光学活性なジアミノ酸誘導体の原料が得られる。前記触媒としては、例えば光学活性なグアニジン化合物が挙げられる。或いは、MX(M=Be,Mg,Ca,Sr,Ba又はRa。X=任意の基)と下記一般式[VI]で表される化合物とで構成される光学活性な塩基性触媒が挙げられる。そして、触媒量の塩基で反応は進行する。
一般式[VI]
JP0005246671B2_000022t.gif [R,R,R,R10=置換基を有する環状基、又は置換基を有さない環状基。RとR10とは、環を形成する場合と、環を形成しない場合とがある。]
【0040】
本発明はジアミノ酸誘導体の製造方法である。前記方法は、前記一般式[II]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する方法である。又は、前記一般式[IV]で表されるジアミノ酸誘導体原料のフルオレニル基を除去する方法である。前記フルオレニル基の除去は、好ましくは酸処理による。
【0041】
前記Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。好ましいRは炭素数が1~8の炭化水素基である。
前記Rは、置換基を有する炭化水素基、又は置換基を有さない炭化水素基である。好ましいRは炭素数が1~8の炭化水素基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。
前記Rは、置換基を有する炭化水素基、置換基を有する複素環基、置換基を有さない炭化水素基、又は置換基を有さない複素環基である。好ましいRは炭素数が1~8のものである。
前記Rは電子求引基である。好ましい電子求引基は、例えばアルコキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基などである。
前記フルオレニル基は、環に置換基を持つフルオレニル基、又は環に置換基を持たないフルオレニル基である。
【0042】
次に、グリシンSchiff塩基を用いたMannich型反応について述べる(Scheme 2-1-12)。
JP0005246671B2_000023t.gif
【0043】
又、グリシンSchiff塩基ホスホン酸アナログ(α-アニオン等価体)を用いたMannich型反応について述べる(Scheme2-1-13)。
JP0005246671B2_000024t.gif
【0044】
[グリシンSchiff塩基を用いるMannich型反応の開発]
(1) 基質合成の検討
O’Donnel等はベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基(グリシンエステル塩酸塩とベンゾフェノンイミンとを用いたグリシンSchiff塩基)について報告している(Scheme 2-2-1)。
JP0005246671B2_000025t.gif そこで、同様にして、フルオレノンイミンとグリシンエステル塩酸塩とを、再結晶化を目的として、塩化メチレン中で24時間撹拌した。しかしながら、目的物は得られなかった。尚、目的物の二量体が得られていた(Figure 2-2-1)。
そこで、種々条件を変えて検討が行なわれた。しかし、二量体が得られたに過ぎなかった。後処理(塩基、酸、緩衝液などによる洗浄)が行われたが、目的物は得られなかった。
JP0005246671B2_000026t.gif
【0045】
反応時間についても検討が行なわれた。例えば、1時間で反応を停止した場合、目的物が得られた。二量体は得られなかった。5時間で反応を停止した場合、目的物が良好な収率で得られた(Scheme 2-2-2)。
ベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基と同様に、本基質の合成においても、反応後、濾過・洗浄が行なわれた。そして、再結晶化が行われた。これにより目的物が得られた。
JP0005246671B2_000027t.gif
【0046】
又、メチルエステルやtert-ブチルエステルが合成された。そして、以下の検討に用いられた(Figure 2-2-2)。
JP0005246671B2_000028t.gif
【0047】
(2) 反応条件の検討
ベンゾフェノン由来のSchiff塩基(7a)の反応性とフルオレノン由来のSchiff塩基(8a)の反応性との比較が、トリエチルアミンの存在下でN-トシルイミンを用いて行われた(Scheme 2-2-3)。
フルオレノン由来のSchiff塩基(8a)を用いた場合、反応は定量的に進行した。ベンゾフェノン由来のSchiff塩基(7a)を用いた場合は、収率が低かった。
以上の結果より、フルオレノン由来のSchiff塩基は反応性に富んでいることが判った。反応の律速段階は脱プロトン化による求核種の生成過程であることが示唆された。
JP0005246671B2_000029t.gif
【0048】
N-トシルイミンを用いた場合、ジアステレオ選択性は低かった。そこで、Boc基を有するイミンを用いた処、ジアステレオ選択性が大きく改善された(Table 2-2-1, entry 1)。続いて、有機塩基のスクリーニングが行われた(entries 2 to 6)。DBUを用いた場合、反応時間は短縮したが、ジアステレオ選択性の低下が確認された(entry 3)。反応温度が-20℃の場合、改善は認められなかった(entry 4)。テトラメチルグアニジンが用いられた場合、反応時間、選択性は共に良好であった(entry 5)。反応温度が下げられた場合、選択性の向上が認められた(entry 6)。嵩高いtert-ブチルエステル基を有する基質(8b)が用いられた場合、得られた目的物(付加体)は高ジアステレオ選択性を示した(entry 7)。この条件でベンゾフェノン由来の基質(7b)が用いられた場合、反応は進行しなかった(entry 8)。触媒としてLiOPMPも有効であり、得られた目的物は、高収率(短時間)・高ジアステレオ選択性を示した(entry 9)。尚、X線結晶構造解析により、8a及び8bの何れを用いた場合にも、syn体が主生成物であることが判った(Figure 2-2-3)。
JP0005246671B2_000030t.gifJP0005246671B2_000031t.gif
【0049】
そこで、テトラメチルグアニジンを触媒とし、基質一般性の検討が行なわれた(Table 2-2-2)。芳香族イミンが用いられた場合、得られた目的物は高収率・高ジアステレオ選択性を示した(entries 1 to 4)。脂肪族アルデヒド由来のイミンが用いられた場合、付加体が良好な収率で得られた。但し、ジアステレオ選択性が大きく低下した(entry 5)。
JP0005246671B2_000032t.gif
【0050】
脂肪族アルデヒド由来のイミンが用いられた場合、ジアステレオ選択性は中程度であった。そこで、メチルエステルを有する基質(8a)が用いられる場合、良好な結果を与えたLiOPMPが用いられた(Table 2-2-3)。反応は円滑に進行した。そして、得られた付加体は良好なジアステレオ選択性を示した。
JP0005246671B2_000033t.gif
【0051】
(3) 不斉反応への応用
テトラメチルグアニジンが用いられると良好な結果が得られた。そこで、キラルなグアニジンを用いて不斉反応に展開した。
キラルグアニジンを用いた反応(ベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基とアクリル酸エステルとを用いるMichael反応)が、Ishikawa等によって報告されている(Scheme 2-2-4)。この反応では、キラルグアニジン(9)に導入されている水酸基によって、エノラートが効率的に形成される。そして、得られたMichael付加体は高エナンチオ選択性を示した。しかしながら、グリシンSchiff塩基の脱プロトン化が遅い。この為、過剰量の基質を用いる必要が有る。そこで、より速やかに脱プロトン化されるフルオレノン由来のグリシンSchiff塩基が用いられると、これらの問題を改善できるのではないかと考えた。
JP0005246671B2_000034t.gif
【0052】
ベンズアルデヒド由来のN-Bocイミン8aをモデル基質とし、反応条件の検討が行われた(Table 2-2-4)。THFが溶媒として用いられた場合、反応は円滑に進んだ。しかし、エナンチオ選択性は殆ど認められなかった(entry 1)。トルエン(無極性溶媒)が用いられた場合、エナンチオ選択性が大きく向上した(entry 2)。そこで、溶媒としてトルエンが用いられて、反応温度の検討が行なわれた。-45℃の反応では、ジアステレオ選択性の低下が確認された。しかしながら、得られた付加体は高エナンチオ選択性を示した(entry 3)。低温での反応の場合、収率に顕著な低下が認められた。ジアステレオ選択性は更に低下した(entry 4)。塩化メチレンが用いられた場合、エナンチオ選択性が逆転した(entry 5)。
JP0005246671B2_000035t.gif
【0053】
tert-ブチルエステル基を有する基質(8b)を用いた反応が行われた(Scheme 2-2-5)。反応は円滑に進み、得られた目的物は高収率・高ジアステレオ・高エナンチオ選択性を示した。
JP0005246671B2_000036t.gif
【0054】
同条件下でベンゾフェノン由来の基質(8b)が用いられて同様に行われた。但し、反応温度を80℃にしても、目的物は、殆ど得られなかった(Scheme2-2-6)。
JP0005246671B2_000037t.gif
【0055】
[グリシンSchiff塩基ホスホン酸を用いるMannich型反応の開発]
α,β-ジアミノホスホン酸は医薬・化学的に興味深い化合物である。このα,β-ジアミノホスホン酸の合成手法として、グリシンアルキルエステルの場合と同様に、グリシンSchiff塩基ホスホン酸アナログ(Glyp Schiff base)のα-アニオン等価体とイミン(イミン等価体)とのMannich型反応が考えられた(Scheme 2-3-1)。
JP0005246671B2_000038t.gif
【0056】
しかしながら、グリシンSchiff塩基と比して、α位水素の酸性度が低い。この為、反応例は非常に少ない(Figure 2-3-1)。以下に、その反応例を示す。
JP0005246671B2_000039t.gif
【0057】
Genet等は液体の相間移動触媒を用いたアルキル化を報告している(Scheme2-3-2)。彼らは、溶媒にTBABを用いた場合、収率は中程度で、炭酸カリウムは塩基として不十分であると報告している。
JP0005246671B2_000040t.gif
【0058】
Kim等は相間移動触媒を用いたMichael反応を報告している(Scheme
2-3-3above)。種々のアクリル酸エステルに対して、Michael付加体が高収率で得られた。Jaszay等は不斉Michael反応を報告している(Scheme2-3-3 down)。しかしながら、不斉源が等量必要であり、エナンチオ選択性にも改善の余地が残されていた。これらの例では、いずれも等量以上の塩基が用いられている。そして、反応性の高い基質の開発が望まれた。
JP0005246671B2_000041t.gif
【0059】
Gajda等はα,β-ジアミノホスホン酸を与える反応(イソチオシアネートホスホン酸エステルを用いたMannich型反応)を報告している(Scheme 2-3-4)。ここでも、塩基が等量以上必要である。かつ、生成物の変換時に水銀を用いる必要が有る。この為、満足できない。脂肪族アルデヒド由来のイミンが用いられた場合、収率が中程度である。そして、基質一般性においても、改善の余地が残されていた。
JP0005246671B2_000042t.gif
【0060】
(1) 反応条件の検討
N-トシルイミンを求電子剤とし、種々の塩基を用いた反応が行われた(Table 2-3-1)。有機塩基として高い脱プロトン化能を有するDBUやKOtBu等が用いられたが、反応は全く進行しなかった(entries 1 to 5)。グリシンSchiff塩基にて良好な結果を与えていたN-Bocイミンが用いられた場合、トリエチルアミンが用いられると、付加体が少し得られた(entry6)。DBU,LiOPMPが用いられた場合、付加体が高収率で得られた(entries7,8)。
JP0005246671B2_000043t.gif
【0061】
LiOPMPが用いられた場合、良好なジアステレオ選択性を示す付加体が短時間で得られた。そこで、ベンゾフェノン由来の基質(11),(12)との反応性の比較、及び温度条件の検討が行われた(Table 2-3-2)。10aが用いられた場合、反応は速やかに完了し、付加体が定量的に得られた(entry 1)。11が用いられた場合、反応時間は長くなったが、収率は中程度であった(entry 2)。12が用いられた場合、反応性は比較的高かったが(entry 3)、-78℃においては、殆ど、付加体は得られなかった(entry 6)。10aが用いられた場合、-78℃においても反応は円滑に進行した(entry 5)。触媒量が2 mol%に減じられても、目的物が定量的に得られた(entry 7)。以上の結果から、フルオレノン由来の基質(10a)は、CF3のような強い電子吸引基を有しているベンゾフェノン由来の基質(12)と比較して、α位水素の酸性度が高く、容易に脱プロトン化されることが判った。
JP0005246671B2_000044t.gif
【0062】
次に、変換率が100%に達するまでの時間(Xh)、ジアステレオ選択性を指標として触媒のスクリーニングが行われた(Table 2-3-3)。リチウム塩のカウンターアニオンによる選択性の大きな変化は認められなかった(entries 1 and 2)。NaOtBu及び相間移動触媒が用いられた場合、ジアステレオ選択性が向上した(entries 3 and 5)。種々のアルカリ土類金属が用いられた場合、反応は円滑に進行した。しかし、ジアステレオ選択性は低かった(entries 6 to 9)。Sc(OiPr)3,Zn(OtBu)2が用いられた場合、満足できる結果は得られなかった(entries 10,11)。
JP0005246671B2_000045t.gif
【0063】
選択性の向上を目指し、より嵩高いイソプロピルエステルを有する基質(10b)を用いて検討が行なわれた(Table 2-3-4)。LiOPMPが用いられた場合、ジアステレオ選択性の向上が顕著であった (entry 4) 。NaOtBuを用いての反応が行われた場合、0℃において、得られた付加体は高ジアステレオ選択性を示した(entry 6)。-20℃では、収率が若干低下した(entry 6)。X線結晶構造解析により、10bを用いた反応でも、主生成物はsyn体であった(Figure 2-3-3)。
JP0005246671B2_000046t.gifJP0005246671B2_000047t.gif
【0064】
最適条件が得られた為、基質一般性の検討が行なわれた(Table 2-3-5)。芳香族イミンが用いられた場合、反応は円滑に進行した。そして、得られた目的物は高収率・高ジアステレオ選択性を示した。脂肪族アルデヒド由来のイミンにおいては、求電子剤のイミンが2当量用いられた場合、目的物は良好な収率で得られた。
JP0005246671B2_000048t.gif
【0065】
(2) 脱保護の検討
生成物の有用性を示す為、フルオレニル基の除去の検討が行なわれた。温和な酸性条件下で、脱保護が容易に行われた。例えば、脱保護体が塩酸塩として得られた(Scheme 2-3-4)。尚、この条件ではBoc基は除去されない。
JP0005246671B2_000049t.gif 以下、更に具体的に述べる。
【0066】
[ジアミノ酸及びジアミノホスホン酸誘導体の製造方法]
(1) ジアミノ酸エステルの合成
JP0005246671B2_000050t.gifJP0005246671B2_000051t.gifJP0005246671B2_000052t.gif [フルオレングリシンエステルとBocイミンとの不斉Mannich型反応の操作]
減圧加熱乾燥した10mLの反応容器内がアルゴン置換された。この反応容器がグローブボックス中に持ち込まれた。そして、リガンド(0.018mmol)、モレキュラーシーブス4A(50mg)、Ca(OiPr)2(0.015mmol)が、順に、秤量された。グローブボックスから取出後、ガスタイトシルンジによってトルエン(0.15mL)が注入された。この後、室温で2時間の攪拌が行なわれた。これにより触媒調製が行われた。触媒調製後、ガスタイトシリンジによって、40℃で、フルオレン保護tert-ブチルグリシンエステル(0.15mmol)のトルエン溶液(0.2mL)、Bocイミンのトルエン溶液(0.3mL)が、順に、加えられた。そして、TLC(展開溶媒:ヘキサン/アセトン=4/1)によって反応完結が確認された後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)が加えられ、反応が停止した。この後、塩化メチレン(10mL)による抽出が4回行われた。そして、無水硫酸ナトリウムによって乾燥が行われた。濾過後に減圧濃縮が行なわれた。このようにして得られた粗生成物がシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって精製され、目的物(α,β-ジアミノ酸誘導体)が得られた。
収率は78%であった。ジアステレオ選択性はsyn/anti =1.5/1であった。エナンチオ選択性は71%でsyn体が得られた。尚、ジアステレオ選択性、エナンチオ選択性はHLPCで決定された。
JP0005246671B2_000053t.gif
【0067】
(1-1) 基質の合成
Boc-imine
前記非特許文献に沿って合成が行われた。脂肪族アルデヒド由来のイミンも前記非特許文献に沿って合成された。そして、速やかに反応に用いられた。
Fluoren-9-ylideneamine
JP0005246671B2_000054t.gif フルオレノン(4.0 g, 22.2 mmol )の攪拌が、110℃のオートクレーブ中で、アンモニア(7~8atm)雰囲気下において3日間行われた。反応終了後、ジエチルエーテルに溶解させられた。そして、塩化水素が吹き込まれた。室温下で1時間の撹拌が行われた。得られた懸濁液の濾過が行われ、ジエチルエーテルで洗浄された。これによって、フルオレノンイミン塩酸塩(3.4 g, 71 %)が得られた。この塩酸塩はアンモニア水によって分解させられた。そして、塩化メチレンとヘキサンとを用いての再結晶化が行われた。そして、Fluoren-9-ylideneamine(2.3g, 58%)が得られた。
1H NMR (CDCl3):δ7.31
(dt, J = 1.1, 7.4 Hz, 2H), 7.44 (dt, J = 1.1, 7.4 Hz, 2H), 7.54
(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.73 (br d, J = 7.4 Hz, 2H), 10.3 (s,1H).
13C NMR (CDCl3):δ 120.1, 122.2, 128.20,132.19,
132.20, 142.2, 173.2.
【0068】
Glycine Schiff base
フルオレイミン(1.52 g, 8.48 mmol)と、グリシンtert-ブチルエステル塩酸塩(1.42 g, 8.48 mmol)との攪拌が、塩化メチレン中で、室温下において5時間行なわれた。反応溶液がセライトにて濾過され、溶媒の留去が減圧下で行われた。得られた残渣はジエチルエーテルに溶解させられた。そして、セライトで濾過された。得られたエーテル溶液が水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄された。そして、硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。濾過、減圧濃縮が行なわれた後、得られた粗成生物はジエチルエーテル/ヘキサンにより精製(再結晶化)された。そして、(Fluoren-9-ylideneamino)-acetic acid tert-butyl ester(1.18 g,
66%)が得られた。
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【0069】
同様にして(Fluoren-9-ylideneamino)-acetic acid methyl esterが得られた。
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【0070】
1-2) ジアミノ酸エステル合成の一般操作
グリシンSchiff塩基 (58.7 mg, 0.2 mmol)のTHF溶液(0.40 ml)が-20℃で撹拌された。テトラメチルグアニジン(0.2 mmol)のTHF(1.0 ml)溶液(0.1 ml)、イミン(49.3 mg, 0.24 mmol)のTHF溶液(0.50 mL)が、順次、加えられた。そして、-20℃のままで1時間の撹拌が行われた。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液が加えられ、反応が停止させられた。この後、昇温(室温)が行われた。塩化メチレンによる水層からの抽出が3度行われた。そして、有機層を併せての乾燥が無水硫酸ナトリウムを用いて行われた。濾過、減圧濃縮後、得られた粗生成物は薄層シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/Acetone = 4/1)で精製された。これにより、目的物が得られた。ジアステレオマー比はHPLC分析により決定された。
【0071】
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【0072】
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【0073】
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【0074】
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【0075】
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【0076】
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【0077】
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【0078】
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【0079】
2) ジアミノ酸エステルの不斉合成
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【0080】
[一般操作]
キラルグアニジン誘導体(8.0 mg, 0.020 mmol)と、グリシンSchiff塩基 (58.7 mg, 0.20 mmol)のトルエン溶液(0.60 ml)との攪拌が-45℃で行われた。この攪拌中に、イミン(49.3 mg, 0.24 mmol)のトルエン溶液(0.40 mL)が加えられた。そして、攪拌が-45℃で16時間行われた。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液が加えられ、反応は停止した。そして、昇温(室温)が行われた。この後、塩化メチレンを用いた水層からの抽出が3回行われた。有機層を併せての乾燥が無水硫酸ナトリウムを用いて行われた。濾過、減圧濃縮後、得られた粗生成物は薄層シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/Acetone = 4/1)で精製された。そして、目的物が得られた。ジアステレオマー比はHPLC分析により決定された。
【0081】
3) ジアミノホスホン酸エステル誘導体の合成
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【0082】
3-1) グリシン Schiff 塩基ホスホン酸誘導体の合成
フルオレンイミン塩酸塩(5.0 g, 46.7 mmol)とアミノメチルホスホン酸エステル(7.8 g, 46.7 mmol)との攪拌が、塩化メチレン中で、室温下において24時間行われた。反応溶液がセライトにて濾過された。この後、減圧下で溶媒が留去された。得られた残渣はジエチルエーテルに溶解させられた。そして、セライトによる濾過が行なわれた。得られたエーテル溶液が水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄された。そして、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過、減圧濃縮後、得られた粗成生物が中性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane / acetone = 4 / 1)により精製された。(Fluoren-9-ylideneaminomethyl)-phosphonic acid diethyl ester(6.3 g,61%)がヘキサンによる洗浄で得られた。
【0083】
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【0084】
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【0085】
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【0086】
JP0005246671B2_000072t.gif アルゴン雰囲気下で、マグネシウム(1.34 g, 55 mmol)のEt2O懸濁液(10 mL)に、4-ブロモベンゾトリフルオリド(12.4 g, 55 mmol)の一部と少量のヨウ素とが加えられた。そして、適度な加熱が行われた。反応開始が観察されてから、残りの4-ブロモベンゾトリフルオリドのEt2O溶液(15 mL)がゆっくり加えられた。1時間の加熱還流後、4-(trifluoromethyl)benzonitrile(11.8 g, 86 mmol)のトルエン溶液(10 mL)が、室温下で、ゆっくり加えられた。20時間の加熱還流後、無水メタノール(12 mL)が室温下で加えられた。そして、30分の撹拌が行われた。不溶物はセライト濾過により除去された。濾液の減圧濃縮が行われた。この後、得られた粗生成物の減圧蒸留が行われた。そして、目的物(11.9 g, 75%)が得られた。蒸留後、生成物は固化した。
Bp: 115 ℃ (0.30 mmHg).
1H NMR (CDCl3): δ 7.53-7.84 (m, 8H), 10.1 (s, 1H).
13C NMR (CDCl3): δ123.8 (q, J = 278.9 Hz), 125.4, 125.9, 127.9, 129.5,
132.2-132.9 (m), 140.9, 142.9, 175.9.
【0087】
3-2) ジアミノホスホン酸エステル誘導体合成の一般操作
Typical
experimental procedure for the reaction of fluoren-9-ylideneaminomethyl)-phosphonic
acid diethyl ester with Boc-imine
グリシンSchiff塩基ホスホン酸アナログ(0.2 mmol)のTHF溶液(0.4 ml)の攪拌が、アルゴン雰囲気下で、0℃で行われた。NaOtBu(0.04mmol)のTHF(1.0ml)溶液(0.1 ml)、イミン(0.24 mmol)のTHF溶液(0.50 mL)が順次加えられた。0℃で10分間の撹拌が行われた。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液の添加によって反応が停止させられた。そして、昇温(室温)が行われた。塩化メチレンによる水層からの抽出が3度行われた。そして、有機層を併せての乾燥が無水硫酸ナトリウムを用いて行われた。濾過、減圧濃縮後、得られた粗生成物は薄層シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/Acetone = 2/1)で精製された。これにより、目的物が得られた。ジアステレオマー比は31P-NMRの比により決定された。
【0088】
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【0089】
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【0090】
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【0098】
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【0099】
この出願は、2008年3月10日に出願された日本出願特願2008-58993を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。