TOP > 国内特許検索 > 排水の高度浄化方法とその装置 > 明細書

明細書 :排水の高度浄化方法とその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3816701号 (P3816701)
公開番号 特開2001-070982 (P2001-070982A)
登録日 平成18年6月16日(2006.6.16)
発行日 平成18年8月30日(2006.8.30)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
発明の名称または考案の名称 排水の高度浄化方法とその装置
国際特許分類 C02F   3/30        (2006.01)
C02F   3/00        (2006.01)
FI C02F 3/30 ZABB
C02F 3/00 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 7
出願番号 特願平11-246799 (P1999-246799)
出願日 平成11年8月31日(1999.8.31)
審査請求日 平成14年7月18日(2002.7.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】孔 海南
【氏名】稲森 悠平
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】富永 正史
参考文献・文献 特開昭60-251998(JP,A)
特開平02-214596(JP,A)
特開平04-083593(JP,A)
特開平07-185587(JP,A)
特開平02-068196(JP,A)
特開平08-084998(JP,A)
特開平09-299988(JP,A)
特開平02-191591(JP,A)
調査した分野 C02F 3/30 ZAB
C02F 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
嫌気ろ床と好気性土壌トレンチとを備えた処理ユニットを自然流下の勾配で複数段階に連設して排水浄化を行う方法であって、被処理原水を各段階の処理ユニットに分配導入して効率的に脱窒反応させることを特徴とする排水の高度浄化方法。
【請求項2】
被処理原水としての流入排水のC/N比に基づいて、硝酸性窒素に対する炭素量が3倍程度になるように各段階の処理ユニットに分配導入することを特徴とする請求項1の排水の高度浄化方法。
【請求項3】
流入排水のC/N比の変動に基づいて分配導入量を調整する請求項2の排水の高度浄化方法。
【請求項4】
処理ユニットを二段階または三段階に配置する請求項1ないし3のいずれかの排水の高度浄化方法。
【請求項5】
最終処理水の窒素濃度を10mg/l以下とする請求項1ないし4のいずれかの排水の高度浄化方法。
【請求項6】
嫌気ろ床と好気性土壌トレンチとを備えた処理ユニットを自然流下の勾配で複数段階に連設した排水浄化装置であって、被処理原水を各段階の処理ユニットに分配導入分配ユニットを有し、各段階の処理ユニットにおいて効率的に脱窒反応させるようにしたことを特徴とする排水の高度浄化装置。
【請求項7】
被処理原水としての流入排水のC/N比に基づいて、硝酸性窒素に対する炭素量が3倍程度になるように各段階の処理ユニットに分配導入する排水比例分配槽が分配ユニットとして配置されていることを特徴とする請求項6の排水の高度浄化装置。
【請求項8】
流入排水のC/N比の変動に基づいて分配導入量を調整する調整機構が排水比例分配槽に備えられている請求項7の排水の高度浄化装置。
【請求項9】
処理ユニットが二段階または三段階に配置されている請求項6ないし8のいずれかの排水の高度浄化装置。
【請求項10】
最終処理水の窒素濃度が10mg/l以下とされる請求項6ないし9のいずれかの排水の高度浄化装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、排水の高度浄化方法とその装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、低コスト、かつ無電力で、効率的に脱窒反応を可能とする排水の高度浄化方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、環境問題の一つとして排水の浄化が大きな課題になっており、特に富栄養化排水の処理は、河川、湖沼の浄化にとって緊急を要する問題になっている。
【0003】
このような排水の浄化処理については、従来より様々な観点より検討が進められてきており、嫌気性あるいは好気性処理のための数多くの方法や装置が提案されている。しかしながら、従来の方法や装置の場合には、処理設備に大規模なコストが必要とされ、かつ電力等のエネルギー消費も大きいという問題があった。また、従来の方法および装置の場合には、脱窒反応が実際的に満足できるだけの効率で進行し難いという問題があった。
【0004】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの従来の問題点を解消し、低コストで、かつ無電力でも効率的な脱窒反応を可能とする、排水の高度浄化方法とそのための装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、嫌気ろ床と好気性土壌トレンチとを備えた処理ユニットを自然流下の勾配で複数段階に連設して排水浄化を行う方法であって、被処理原水を各段階の処理ユニットに分配導入して効率的に脱窒反応させることを特徴とする排水の高度浄化方法を提供する。
【0006】
また、この出願の発明は、上記方法について、第2には、被処理原水としての流入排水のC/N比に基づいて、硝酸性窒素に対する炭素量が3倍程度になるように各段階の処理ユニットに分配導入することを特徴とする排水の高度浄化方法を、第3には、流入排水のC/N比の変動に基づいて分配導入量を調整する排水の高度浄化方法を、第4には、処理ユニットを二段階または三段階に配置する排水の高度浄化方法を、第5には、最終処理水の窒素濃度を10mg/l以下とする排水の高度浄化方法を提供する。
【0007】
そして、この出願の発明は、第6には、嫌気ろ床と好気性土壌トレンチとを備えた処理ユニットを自然流下の勾配で複数段階に連設した排水浄化装置であって、被処理原水を各段階の処理ユニットに分配導入分配ユニットを有し、各段階の処理ユニットにおいて効率的に脱窒反応させるようにしたことを特徴とする排水の高度浄化装置を提供し、第7には、被処理原水としての流入排水のC/N比に基づいて、硝酸性窒素に対する炭素量が3倍程度になるように各段階の処理ユニットに分配導入する排水比例分配槽が分配ユニットとして配置されていることを特徴とする排水の高度浄化装置を、第8には、流入排水のC/N比の変動に基づいて分配導入量を調整する調整機構が排水比例分配槽に備えられている排水の高度浄化装置を、第9には、処理ユニットが二段階または三段階に配置されている排水の高度浄化装置を、第10には、最終処理水の窒素濃度が10mg/l以下とされる排水の高度浄化装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明においては、排水中の炭素、リンとSS分を高効率に浄化できる嫌気ろ床・好気土壌トレンチを備えたユニットを自然流下の勾配で、たとえば2~3級の複数段階に組み合わせている。
【0009】
添付した図面の図1および図2は、各々、前記の処理ユニット、すなわち嫌気ろ床と好気性土壌トレンチの組合わせを備えた処理ユニトを二段および三段に自然流下の勾配で連続配置した例を示している。
【0010】
そして、この図1および図2の例においては、前記の分配ユニットとして、排水比例分配槽を備えてもいる。この図1および図2の例の場合には、流入排水のC/N比に基づき、排水を比例して分配するようにするが、たとえば第二段および必要に応じて第三段の入口において硝酸性窒素の約3倍の炭素が含まれるように排水の量を分配して導入するようにし、嫌気ろ床において効率的に脱窒反応が行われるようにする。ここで「比例分配」とは、生活排水が先に排水比例分配槽を通り、この排水比例分配槽で第一段と第二段の出口の硝酸性窒素の量に応じ、炭素が含まれるように排水の量を第一段と第二段さらには第三段に分配し、すなわち各段への一定で排水の量を分配することを意味している。
【0011】
そして、より好適には、この比例分配に際しては、嫌気ろ床に硝酸性窒素の3倍有機性炭素源の確保する。すなわち適正的C/Nを確保する。特にこの発明の浄化方法では、第二段、さらには第三段の嫌気ろ床の入口において硝酸性窒素の薬3倍の炭素が含まれるように排水の量を提供することが望ましいのである。特に好ましくは、最終処理水の窒素が10mg/l以下まで除去できるようにする。これによって、低コスト、無電力の特徴を有する排水の高度浄化方法とその装置が実現される。
【0012】
システムの運転においては、流入排水のC/N比に基づき、前記のとおり、第二段階以降の各段の入口の硝酸性窒素の約3倍の炭素が含まれる排水量を排水比例分配槽から導入し、嫌気ろ床で効率的に脱窒反応が行われるようにする。排水中に含まれる窒素は好気土壌トレンチで硝酸性窒素になり、嫌気ろ床で脱窒反応が行われる。すなわち、排水の窒素を各段に適切に分配することにより嫌気ろ床で効率的に脱窒反応が行われるようになる。排水中のC/N比は、3倍程度とすることが望ましく、3以上の場合は、排水比例分配槽から導入される排水量が段階的に低くなり、また、各段での硝酸性窒素と炭素の比が適正となり、効率的に脱窒反応が行われることにより、最終段の処理水の窒素濃度が10mg/l以下まで浄化できるようになる。
【0013】
また、C/N比の異なる排水が複合された排水においては、事前に流入排水のC/N比を測定し、C/N比の変動に基づき、排水を比例調整機構付き排水比例分配槽から各段に導入させる排水量を手動で調整することにより、C/N比の変動或は窒素濃度の変動に対応し、効率的に脱窒反応を行われることが可能となる。
【0014】
実際の排水処理場においてC/N比の異なる数ケ所の排水からなる複合原水として流入する場合に、ある一ケ所の排水の量あるいは成分の変動により複合原水のC/N比が変動し、その変動が原因となって第一段、第二段の出口の硝酸性窒素の量も連動し、C/N比は3にならなくなり硝酸性窒素の脱窒の効率が落ちることがある。そこでこの出願の発明では、事前に流入排水のC/N比を測定し、C/N比の変動に基づき、排水比例配分槽での比例調整機構の調整によって原水の各段への排水の量を再調整することが考慮される。これにより、C/N比を3とし、その硝酸性窒素の脱窒の効率を回復させることができる。「比例調整機構」とは実際の現場の原水のC/Nの変動に対して各段への排水の量を再調整することにより硝酸性窒素の脱窒の効率を回復させるための機構である。
【0015】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく発明の形態について説明する。
【0016】
【実施例】
図3に具体例としての処理施設の処理フローの構成を例示したものである。また、図4は、この施設の具体的な平面構造を示したものである。
【0017】
規模が7人程度で、処理水量が約1.4m3 /day-1であり、嫌気濾床のHRTが24時間、土壌トレンチが毛細管法の集水式処理施設で、水量負荷は100~200L・day-1とした。土壌トレンチの受皿の両側の微生物反応区の下に直径8~10cmの多孔通気管を設置した。強制通気系としてトイレットファンで強制換気し、自然通気系としてトイレット回転式ベンチレーターを設置して自然の風を利用して換気するように設定した。土壌トレンチでは土壌の通気性を改善するために火山灰土壌と籾殻が9:1の比率になるように混合した通気性土壌を使用した。散水管周辺の汚濁負荷高い区域の嫌気性を改善するために均一散水する毛細促進ろ材を使用した。土壌トレンチの上部にガス回収する18Lの密閉チャンバーを設置した。土壌トレンチは三列に分けて、第一列は非通気系とし、他の二列は土壌トレンチの受皿の両側の微生物反応区の下に多孔管を設置し、第二列は強制通気系として風量900l・min-1・m-3のトイレットファンで出口から多孔管に強制換気する(入口は開口)ようにし、第三列は自然通気系とし回転式ベンチレーターを設置して自然の風を利用して出口から多孔管に換気する(入口は開口)ように設定した。処理施設の排水負荷と処理性能が安定していることを確認した上で、土壌トレンチの処理水質と発生したCH4 ,N2 Oガスのサンプルを採取し、8回/月の頻度で測定を行った。
【0018】
その結果、以下に要約されるとおりの成果を得た。
(1)嫌気濾床・土壌トレンチの処理水は、BOD 9.6mg・l-1(除去率96%)、T-N 11.3mg・l-1(除去率74%)、T-P 0.16mg・l-1(除去率97%)、SS 4.2mg・l-1(除去率99%)程度の高度な水質であり、特にT-Nの除去率が従来に比べて大幅に向上することがわかった。
【0019】
(2)処理水の水質は建設省と厚生省等の再利用水の水質基準を十分に満足しており、再利用水としてのリサイクルの期待ができることがわかった。
(3)CH4 、N2 OガスFluxは同じ期間の比較としての土壌トレンチと比べるとそれぞれ1/3~1/2、1/9~1/6程度と低いことがわかった。
【0020】
(4)強制通気系と自然通気系ともに通気系は無通気系と比べるとCH4 、N2 OガスFluxは約半分に抑制可能である、通気系の適正条件が確定されればCH4 、N2 Oガスの抑制効果は更に拡大する傾向のあることがわかった。
【0021】
(5)強制微量通気方式における通気強度は1l・min-1・m-3程度の通気量で十分であることがわかった。
(6)強制通気系、自然通気系のORPは約>300mv程度まで安定して維持される傾向がみられ、無通気系のORPは続けて低下傾向にあることがわかった。
【0022】
この発明の嫌気ろ床、土壌トレンチの設備により、再利用処理水基準を十分に満足する高度処理水質が得られ、従来型の土壌トレンチと比べると微量通気、通気性土壌、均一散水等対策を適用することによりORPを+300~+400mVレベルに維持でき、CH4 、N2 Oガスの放出量をそれぞれ約数分の一程度まで抑制できることが確認された。また、開発された嫌気ろ床・土壌トレンチは施設構造が簡単で、無電力運転でき、建設資材が現地で調達可能で、低コストで維持管理が容易なシステムであることが実証された。
【0023】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、低コストで、かつ無電力でも効率的な脱窒反応を可能とする、排水の高度浄化方法とそのための装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の二段方式の処理フローの構成図である。
【図2】この発明の三段方式の処理フローの構成図である。
【図3】実施例としての処理フローの構成図である。
【図4】実施例設備の平面構造図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3