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明細書 :レドックス活性重合物およびそれを用いた電極

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3969906号 (P3969906)
公開番号 特開2001-072865 (P2001-072865A)
登録日 平成19年6月15日(2007.6.15)
発行日 平成19年9月5日(2007.9.5)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
発明の名称または考案の名称 レドックス活性重合物およびそれを用いた電極
国際特許分類 C08L  81/00        (2006.01)
H01M   4/60        (2006.01)
FI C08L 81/00
H01M 4/60
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願平11-248086 (P1999-248086)
出願日 平成11年9月1日(1999.9.1)
審査請求日 平成16年6月4日(2004.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】三谷 忠興
【氏名】岩佐 義宏
【氏名】上町 裕史
個別代理人の代理人 【識別番号】100108671、【弁理士】、【氏名又は名称】西 義之
審査官 【審査官】佐々木 秀次
参考文献・文献 特表2001-512526(JP,A)
特開昭50-075698(JP,A)
特開平11-329414(JP,A)
特表平09-508102(JP,A)
調査した分野 C08L 81/00
H01M 4/60
特許請求の範囲 【請求項1】
還元状態の一般式が式1で表され、酸化状態の一般式が式2で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化1】
JP0003969906B2_000010t.gif
式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。
【化2】
JP0003969906B2_000011t.gif
式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。
【請求項2】
N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレアとフェニレン-1,4- ジイソチオシアネートが重合されてなることを特徴とする式3で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化3】
JP0003969906B2_000012t.gif
式中において、nは、2以上の整数である。
【請求項3】
2以上のS-アルキル化チオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物と2以上のイソチオシアナート基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物が重合されてなることを特徴とする式4で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化4】
JP0003969906B2_000013t.gif
式中において、nは、2以上の整数であり、R1は、アルキル基であり、ベンゼン環に置換基R2,R3が結合されていてもよい。R2,R3は、低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基、R1は、保護基として導入するアルキル基である。
【請求項4】
N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテルとフェニレン-1,4-ジイソチオシアネートが重合されてなることを特徴とする式5で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化5】
JP0003969906B2_000014t.gif
式中において、nは、2以上の整数である。
【請求項5】
請求項1~の何れか1項に記載したレドックス活性重合物を電極材料とすることを特徴とする電極。
【請求項6】
リチウム二次電池用正極であることを特徴とする請求項記載の電極。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化還元反応が可逆的に行われるレドックス活性重合物及びこの重合物を電極材料として用いた電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高出力、高エネルギー密度の新型電池として、リチウムの酸化、還元を利用した高起電力のリチウム二次電池が利用されるようになった。このようなリチウム二次電池においては、その正極材料として、コバルト,ニッケル,マンガン,鉄,バナジウム,ニオブ等の金属酸化物が一般に使用される。
【0003】
しかし、このような金属酸化物を正極材料に用いた場合、その重量が大きくなると共にそのコストも高くつき、また反応電子数が少なく、単位重量当たりにおける容量が必ずしも十分であるとはいえず、高容量で高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが困難であった。
【0004】
一方、最近においては、導電性高分子を電気化学素子として用い、これを軽量で高エネルギー密度の電池用電極材料や、大面積のエレクトロクロミック素子や、微小電極を用いた生物化学センサーに利用することが検討され、従来、ポリアニリン,ポリピロール,ポリアセン,ポリチオフェン等の導電性高分子を電池の電極に使用することが研究されてきた。
【0005】
米国特許第4,833,048号明細書には、高容量で高エネルギー密度が得られる高分子として、有機硫黄化合物を正極材料として使用することが開示されている。これは、有機ジスルフィド化合物のS-S結合を電解還元により切断して有機チオレートを形成し、有機ジスルフィドを有機チオレートの電解酸化により再形成するという可逆的な電極材料である。
【0006】
有機硫黄化合物は、硫黄の酸化還元反応を利用して充放電を行うものであり、正極材料に使用して、高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが検討されている。しかし、有機硫黄化合物の場合、室温下での使用においては、酸化還元反応が遅くて、単独では大きな電流を取り出すことは困難で、充放電電流が小さくなり、絶縁体であり、室温では反応速度が小さく、100℃以上の高温での使用に限られる等の問題があった。また、還元時(放電時)に低分子状態であるため、電極外に溶解拡散してしまい、電極反応の効率劣化をもたらす。
【0007】
有機硫黄化合物のこのような問題を解決する方法として、導電性高分子を組み合わせることが、特開平4-264363号公報、特開平4-272659号公報、特開平4-359866号公報、特開平5-6708号公報、特開平5-82133号公報、特開平5-135767号公報、特開平5-135768号公報、特開平5-135769号公報、米国特許第5,324,599号明細書等に開示されている。
【0008】
特開平6-231752号公報は、ジスルフィド系化合物のうち、特に、4,5ジアミノ-2,6-ジメルカプトピリミジンとπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を、特開平7-57723号公報は、特に、7-メチル-2,6,8-トリメルカプトプリンとπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を開示している。
【0009】
また、特開平5-74459号公報は、ジスルフィド基を有する導電性高分子を有する電極材料を、特開平5-314979号公報は、芳香族系炭素原子に硫黄原子を導入した有機硫黄芳香族系化合物からなる電極材料を、特開平6-283175号公報は、2,5-ジメルカプト1,3,4-チアジアゾール(DMcT)もしくはチオシアヌル酸の単独重合体または両者の共重合体からなる電極材料を開示している。
【0010】
さらに、特に、有機ジスルフィドの酸化還元速度を加速する役目を果たす導電性ポリマーであるポリアニリンとの複合体を用いた電極については、特開平8-213021号公報、特開平8-222207号公報、特開平9-82329号公報、特開平9-106820号公報、特開平10-27615号公報に開示されており、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(DMcT)とポリアニリンとを複合化させることにより、有機硫黄化合物を常温で作動する二次電池の正極材料として用いることが可能であることが示されている(「現代化学」1996年10月,第34~41頁)。
【0011】
しかし、この複合体においては、化学結合を伴うような化合物が新しくできるわけではないので、容量劣化を完全に抑えることはできない。また、電極内でもポリアニリンとDMcTの分離がおこり、電子の移動が阻まれ、電極反応速度が低下する可能性がある。
【0012】
その他、有機ジスルフィド電極のサイクル特性を向上させるために、有機ジスルフィドの金属錯体を使用すること(米国特許第5,516,598号明細書、米国特許第5,665,492号明細書、特開平9-259864号公報、特開平9-259865公報、特開平10-241661号公報、特開平10-241662号公報)や、電解酸化によりS-S結合を生成するS-Liイオン結合を有するリチウムチオレート化合物と導電性高分子との混合物よりなる正極を使用すること(特開平5-314964号公報)なども知られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高容量で高エネルギー密度の電池や、大面積のエレクトロクロミック素子や、微小電極を用いた生物化学センサー等に好適に利用できる、低い温度においても酸化還元反応が適切に行われる新規なレドックス活性重合物を提供することを課題とするものであり、特に、電池の電極に使用した場合に、例えば室温においても適切な充放電反応が行われ、大きな電流での充放電が可能になると共に、高容量で高エネルギー密度の電池が得られるようにすることを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリマー主鎖に1,3-ジチオケトとジアミンを導入した新規重合反応物を開発することにより上記の課題を解決することに成功した。
すなわち、本発明は、還元状態の一般式が下記の式1で表され、酸化状態の一般式が下記の式2で表される構造を有するレドックス活性重合物である。
【0015】
【化6】
JP0003969906B2_000002t.gif式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい
【0016】
【化7】
JP0003969906B2_000003t.gif 式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。また、本発明は、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレアとフェニレン-1,4-ジイソチオシアネートが重合されてなることを特徴とする式3で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物である。
【0017】
【化8】
JP0003969906B2_000004t.gif式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基Rが結合されていてもよい。
【0018】
また、本発明は、2以上のS-アルキル化チオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物と2以上のイソチオシアナート基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物が重合され、下記の式4に示す構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物である。
【0019】
【化9】
JP0003969906B2_000005t.gif式中において、nは、2以上の整数であり、R1は、アルキル基であり、ベンゼン環に置換基R2,R3が結合されていてもよい。R2,R3は、低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基、R1は、保護基として導入するアルキル基である。
【0020】
上記のレドックス活性重合物の最も好ましい具体例は、N,N´-1,4-フエニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテルとフェニレン-1,4-ジイソチオシアネートが重合されてなる式5で示されるものである。
【0021】
【化10】
JP0003969906B2_000006t.gif式中において、nは、2以上の整数である。
【0022】
さらに、本発明は、上記のレドックス活性重合物を電極材料とすることを特徴とする電極であり、リチウム二次電池用正極として好適である。
【0023】
上記の式1~4において、ベンゼン環に結合する置換基R,R2,R3としては、低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基等が挙げられる。また、上記の式4において、R1は、保護基として導入するアルキル基である。このアルキル基としては、メチル、エチル、フェニルベンジル、ターシャルブチル等があげられる。
【0024】
2以上のチオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物としては、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア、N,N´-1,4-ナフタレンビスチオウレア、N,N´-2,5-ピロールビスチオウレア、N,N´-2,5-チオフェンビスチオウレア、N,N´,N´´-1,2,4-フェニレントリチオウレア、があげられる。特に、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレアが好ましい。
【0025】
2以上のS-アルキル化チオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物としては、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S’-ベンジルエーテル、N,N´-1,4-ナフタレンビスチオウレア-S,S’-エチルエーテル、N,N´-2,5-ピロールビスチオウレア-S,S’-メチルエーテル、N,N´-2,5-チオフェンビスチオウレア-S,S’-ターシャルブチルエーテル、N,N´,N´´-1,2,4-フェニレントリチオウレア-S,S’-ベンジルエーテル、があげられる。特に、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S’-ベンジルエーテルが好ましい。
【0026】
また、2以上のイソチオシアナート基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物としては、フェニレン-1,4-ジイソチオシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソチオシアネート、チオフェン-2,5-ジイソチオシアネート、ピロール-2,5-ジイソチオシアネート、フェニレン-1,2,4-トリイソチオシアネート、があげられる。特に、フェニレン-1,4-ジイソチオシアネートが好ましい。
【0027】
本発明のレドックス活性重合物は、1,3-ジチオケトとジアミンをπ共役可能なポリマー骨格に組み込むことで、従来の電極材料にない大容量を得ることができた。さらに、容量劣化や反応速度の本質的な改善をもたらすことができた。
【0028】
本発明のレドックス活性重合物の酸化還元反応の機構は、下記の式で示すS-S<->SHの反応とジアミンの反応の二つの部位で起こることが想定される。その酸化還元機能について説明すると、式1で示すポリマーは、2個のSにHが結合した還元形となり、式2で示すポリマーは、S-S結合した酸化形となる。Sの相手は、Hだけでなく、一般に,金属M(LiやNa)でもよい。
【0029】
式1で、R=Hの場合、その理論容量は、このユニット(Mw=194)がS-Sによる2電子反応するとすると276mAh/g、さらに、1電子S-S環内で反応するとすると414mAh/g、ジアミンの部分でユニット当たりさらに1電子反応するとしても414mAh/gとなる。以上の値は、高容量材料である有機硫黄化合物と同程度かそれを上回る値である。式3で示すポリマーは、合成の都合で保護基R2を導入した構造であり、保護基R2は化学的にも電気化学的にも取り除くことが可能なので、保護基R2を導入したまま、電極材料として使用することができる。そして、最初の電池反応で保護基R2を脱離させ、以降は、下記の反応式のように式1と式2の形での酸化還元反応が繰り返される。
【0030】
【化11】
JP0003969906B2_000007t.gif さらに、本発明のレドックス活性重合物は、従来の有機硫黄化合物で課題となっていた容量劣化や反応速度の本質的な改善をもたらすことができた。つまり、還元時にS-S結合が開裂しても、従来の有機硫黄化合物のようにポリマー主鎖が分解し低分子化するわけではなく、硫黄はチオール乃至チオケトの形で側鎖として残るので、電解質溶液への溶解拡散に伴う容量劣化などがない。また、通常の無機化合物のような結晶構造の崩壊にともなう容量劣化もない。
【0031】
本発明のレドックス活性重合物の硫黄は分子内で、硫黄原子は酸化還元時に分子内で反応し易い隣り合った位置に存在しているため、反応が容易に進行する。π共役骨格に硫黄原子や窒素原子が結合しているため、電荷移動速度が速くなる。酸化時のジスルフィド基を含む複素環は、偽芳香族性を示すことが報告されており、このようなπ電子豊富な環であるため、その電子移動速度が速くなることが期待される。その上、酸化状態では、π共役ポリマーとなるため導電性を期待できる。
【0032】
本発明の新規レドックス活性重合物は、チオウレア+イソチオシアナートの重付加反応によって製造することができ、出発物質を無極性、中極性、極性溶媒で還流すればよいが、このままでは、反応性が低いため、反応の効率を上げるために、実際は、チオウレアのチオケト基にアルキル基を導入してS-エーテルとして反応性を高め、ポリマーを合成する。
【0033】
S-エーテルとして導入したR1、アルキル基は、酸化又は還元により取り除くことができるので、後の化学、電気化学処理により、あるいはそのまま電池反応により取り除くことができる。
【0034】
本発明のレドックス活性重合物を用いて電極を作製するにあたっては、レドックス活性重合物に導電材料、イオン伝導材料、バインダー等を必要に応じて加える。導電材料としては、金属粉末、炭素材料、導電性高分子等を用いることができる。例えば金属粉末としては、ニッケル,ステンレス鋼等が用いられ、炭素材料としてはアセチレンブラック,気相成長炭素,グラファイト等が用いられ、導電性高分子としては、ポリアニリン,ポリピロール,ポリパラフエニレン,ポリアセチレン及びこれらの誘導体等が用いられる。
【0035】
また、イオン伝導材料としては、無機イオン固体電解質や有機イオン固体電解質が用いられ、有機イオン固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO),ポリアクリロニトリル(PAN)及びこれらの誘導体に電解質塩を含有させたポリマーや、電解質溶液を含浸させたゲル状ポリマー等を用いることができる。
【0036】
また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の電極の作製に通常用いられるポリマーを使用することができる。
【0037】
さらに、上記のレドックス活性重合物を用いて電極を作製するにあたっては、必要に応じて、2,5-ジメルカプト-1,3-チアジアゾール(DMcT)等の他の有機硫黄化合物や硫黄を混合させたり、また電極の比表面積を大きくしたり、その製膜性を向上させるために、ゼオライト,ウイスカー等の繊維状や粒子状の固形物を混合させることも可能である。
【0038】
また、上記のレドックス活性重合物を用いて電極を作製する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記のレドックス活性重合物に導電材料等を加えて乳鉢で混合した合剤を集電体等に塗布して形成したり、プレス機械で押し固めて成形する等の方法を用いることができる。
【0039】
本発明の電極材料は、リチウム二次電池の正極材料として好適に使用することができる。上記の可逆性電極材料レドックス活性重合物を用いて作製した電極をリチウム二次電池の正極に使用する場合、負極や電解質には従来より一般に使用されている公知のものを用いることができる。負極としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料や無機材料、アルミニウムまたはアルミニウム含有合金と炭素とを主成分とする組成物等で構成されたものを用いることができる。
【0040】
また、電解質としては、例えば、エチレンカーボネート等の有機溶媒に電解質塩としてLiClO4 等のリチウム化合物を溶解させた液体や、無機材料を用いた固体電解質や、ポリマーを用いた固体電解質等を用いることができ、また、ポリマーに上記の液体を含浸させてゲル状にしたゲル状ポリマー電解質を使用することも可能である。
【0041】
なお、この発明のレドックス活性重合物は電池の電極に用いる他に、発色退色速度の速いエレクトロクロミック素子や、応答速度の速いグルコースセンサー等のセンサーや、書き込み・読み出し速度が速い電気化学アナログメモリー等に用いることもできる。
【0042】
【実施例】
以下、この発明の実施例に係る1,2,4-ジチアゾリウム-ジアミノベンゼンポリマーの合成方法について、電池の電極材料に用いた場合を例に具体的に説明する。なお、本発明のレドックス活性重合物の用途は、下記の実施例に示す電池の電極に限定されるものではなく、レドックス活性重合物の特性を利用するその他の用途にも当然適用されるものである。
【0043】
実施例1
(1)下記の反応式で示すN,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテルの合成
【0044】
【化12】
JP0003969906B2_000008t.gifN,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア230mgをNMP4ml-EtOH4ml混合溶液に溶解した後、塩化ベンジル270mgを滴下した。この溶液を30分間還流した。室温まで冷却後、NaOH80mgを蒸留水10mlに溶解したアルカリ溶液を反応溶液に加えた。さらにエーテル40mlを加えエーテル層を抽出した。このエーテル溶液に無水硫酸マグネシウム150mgを加え、2時間撹拌した。エーテル溶液をろ過し、ろ液をエバポレートした。こうして、N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテル400mgを得た。
【0045】
(2)下記の反応式で示すSベンジル化ポリ(1-フェニル-2,4-ジチオビウレット)の合成
【0046】
【化13】
JP0003969906B2_000009t.gifN,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテル406mgをdry THF10mlとベンゼン10mlの混合溶液に溶解した。フェニレン-1,4-ジイソチオシアネート200mgをdry THF5m1-ベンゼン5mlの混合溶液に溶解したものをこの溶液に加えた。この溶液を3日間還流した反応溶液をろ過し、ろ紙上の固形物をアセトンで洗浄し、S-ベンジル化ポリ(1-フェニル2,4-ジチオビウレット)100mgを得た。
【0047】
(3)1,2,4-ジチアゾリウム-ジアミノベンゼンポリマーの合成
S-ベンジル化ポリ(1フェニル-2,4-ジチオビウレット)と酸化剤を反応させるか、電気化学的に酸化反応させて目的の1,2,4-ジチアゾリウムジアミノベンゼンポリマーを得ることができるが、本実施例では、S-ベンジル化ポリ(1フェニル-2,4-ジチオビウレット)を用いて電池電極を作成し、電池を組立てた後電池反応を行わせて1,2,4ジチアゾリウム-ジアミノベンゼンポリマーを合成した。
【0048】
S-ベンジル化ポリ(1-フェニル-2,4-ジチオビウレット)の粉末0.4gを乳鉢上でよ<粉砕した。これにアセチレンブラック0.4gを数回に分けて加え、粉砕混合した。さらに、PVDFを0.1g加え、よく混合した後にDMF50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶液を、大きさ10×10cm、厚さ30cmのチタン箔上に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行った。これを1×1cmに切出し、評価用電極とした。
【0049】
評価用電極を正極、金属リチウムを負極と参照極とし、三極式のビーカー型のモデル電池を作成した。電解質溶液にはLiClO4 をプロピレンカーボネートに溶解し、1Mに調整したものを用いた。電池の作成は全て窒素ガスフローのグローブボックス内で行った。電池反応は、放電下限1.75V、充電上限4.5V、電流値0.1mAの定電流充電反応を行った。電池反応を行わせながら1,2,4-ジチアゾリウム-ジアミノベンゼンポリマーを正極に形成した。
【0050】
(4)電池特性の測定結果
第3回目の放電時における放電特性を調べ、その結果を図1に示す。3回目以降の放電曲線は同様の形状を示し、活物質当たり260mAh/gと従来の電極材料にない大きな容量を示した。また、充放電反応が繰り返し可能であることが確認出来た。なお、放電1、2回目の放電曲線の形状は3回目以降とは異なり放電容量も小さかった。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明におけるレドックス活性重合物は、ポリマー主鎖に1,3-ジチオケトとジアミンを導入したものであり酸化還元能を有する新規ポリマーとしての優れた特性を有しており、このレドックス活性重合物において電子の移動がスムーズに行われ、このレドックス活性重合物を、電池、エレクトロクロミック表示素子、センサー、メモリーなどの電気化学素子に使用することが可能であり、特に、リチウム二次電池の正極材料として用いた場合、大きな電流での充放電が可能になると共に、高容量で高エネルギー密度の電池が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレドックス活性重合物を正極材料としたリチウム二次電池の第3回目の放電時における放電特性を示すグラフである。
図面
【図1】
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